JP2012062419A - エラストマー材料、その製造方法、それを用いた柔軟導電材料およびトランスデューサ - Google Patents

エラストマー材料、その製造方法、それを用いた柔軟導電材料およびトランスデューサ Download PDF

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Abstract

【課題】 耐絶縁破壊性を低下させる不純物の含有量が少ないエラストマー材料およびその製造方法、ならびに柔軟導電材料を提供する。また、耐絶縁破壊性が高く、耐久性に優れたトランスデューサを提供する。
【解決手段】 エラストマー材料は、溶剤により抽出され、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物を含まない。また、柔軟導電材料は、当該エラストマー材料と導電剤とを有する。当該エラストマー材料は、例えば、架橋後のエラストマー材料を溶剤に浸漬し、該エラストマー材料から不純物を抽出した後、乾燥して製造することができる。また、再沈殿法により精製したゴムポリマーを用いて製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エラストマー製の誘電膜を備えるアクチュエータ、センサ等のトランスデューサに関し、詳しくは、当該トランスデューサに用いられるエラストマー材料およびその製造方法、ならびに柔軟導電材料に関する。
トランスデューサには、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等がある。柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサを構成するためには、誘電体エラストマー等の高分子材料が有用である。
例えば、誘電体エラストマーからなる誘電膜の厚さ方向両面に、一対の電極を配置して、アクチュエータを構成することができる。この種のアクチュエータでは、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電膜は厚さ方向から圧縮され、誘電膜の厚さは薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に伸長する。一方、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電膜に対する厚さ方向からの圧縮力が小さくなり、誘電膜の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に収縮する。このように、アクチュエータは、誘電膜を伸長、収縮させることによって、駆動対象部材を駆動させる。
アクチュエータの力および変位量を大きくするためには、誘電膜の比誘電率が大きいことが望ましい。また、大きな電圧を印加できるように、誘電膜の耐絶縁破壊性が高いことが望ましい。例えば、誘電膜の材料としては、比誘電率が大きいニトリルゴム、アクリルゴム等が用いられる。この種のエラストマーの架橋には、通常、硫黄や加硫促進剤等が用いられる(例えば、特許文献1〜3参照)。
特表2003−506858号公報 特表2001−524278号公報 特開2009−124839号公報 特開2009−296703号公報
例えば、硫黄架橋の場合、架橋後のエラストマー中に、未反応の硫黄や加硫促進剤等、および硫黄や加硫促進剤等の分解物(反応残渣)が残存することが多い。また、原料のゴムポリマーにも、重合反応時に添加される開始剤、乳化剤、連鎖移動剤等の反応残渣が含まれている。これらの反応残渣は、エラストマー中の不純物であり、誘電膜の耐絶縁破壊性を低下させる一因となる。すなわち、不純物がイオン化して、誘電膜中を移動することにより、誘電膜の電気抵抗が小さくなる。これにより、電圧を印加した時に、電流が誘電膜中を流れやすくなる(いわゆる漏れ電流が大きくなる)。電流が誘電膜中を流れると、ジュール熱が発生する。発生した熱により、誘電膜の物性が変化するおそれがある。さらには、誘電膜が破壊されやすくなる。つまり、誘電膜の耐絶縁破壊性が低下する。誘電膜の耐絶縁破壊性が低下すると、例えばアクチュエータにおいて、大きな電圧を印加することができない。よって、充分な力および変位量を得ることができない。
また、アクチュエータにおいて、電極は、誘電膜の厚さ方向両面に固定されている。したがって、電極は、誘電膜の伸長、収縮を妨げないように、誘電膜の変形に応じて伸縮可能であることが望ましい。伸縮可能な電極は、例えば、特許文献3、4に記載されているように、エラストマーにカーボンブラック等の導電剤を配合した柔軟導電材料から、形成することができる。この場合、誘電膜と同様に、エラストマー中の不純物が問題になる。
上述したように、架橋後のエラストマー中には、不純物が含まれる。電極中の不純物は、イオン化して、誘電膜に移動するおそれがある。不純物が誘電膜に移動すると、誘電膜の電気抵抗が低下する。つまり、電圧を印加した時に、電流が誘電膜中を流れやすくなる。したがって、誘電膜と電極との界面に電荷が溜まりにくく、消費電力が増加してしまう。また、電流が誘電膜中を流れると、上述したように、発生するジュール熱により、誘電膜の物性が変化するおそれがある。さらには、誘電膜の耐絶縁破壊性が低下する。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、耐絶縁破壊性を低下させる不純物の含有量が少ないエラストマー材料およびその製造方法、ならびに柔軟導電材料を提供することを課題とする。また、耐絶縁破壊性が高く、耐久性に優れたトランスデューサを提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明者は、エラストマー材料に含まれる不純物について鋭意研究を重ねた。その結果、エラストマー材料から抽出される抽出物の体積抵抗率が、当該エラストマー材料の耐絶縁破壊性と関係があることを見いだした。そして、抽出物の体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の場合、エラストマー材料の耐絶縁破壊性が低くなる、という知見を得た。このような知見に基づいてなされた本発明のエラストマー材料は、誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備えるトランスデューサに用いられるエラストマー材料であって、溶剤により抽出され、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれないことを特徴とする。
低抵抗不純物は、エラストマー材料を溶剤に浸漬させて抽出することができる。低抵抗不純物には、例えば、架橋剤や架橋促進剤として添加された化合物の反応残渣、原料のゴムポリマーの重合反応時に添加された開始剤、乳化剤、連鎖移動剤等の反応残渣等が含まれると考えられる。
本発明のエラストマー材料には、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれない。このため、本発明のエラストマー材料によると、イオン化した低抵抗不純物の移動による電気抵抗の低下が、生じにくい。したがって、本発明のエラストマー材料を、トランスデューサの誘電膜として用いた場合には、電圧印加時に、電流が誘電膜中を流れにくい(いわゆる漏れ電流が小さい)。電流が誘電膜中を流れにくいため、ジュール熱の発生は抑制される。よって、熱により、誘電膜の物性が変化したり、誘電膜が破壊されるおそれは小さい。つまり、本発明のエラストマー材料を用いると、耐絶縁破壊性が高く、耐久性に優れた誘電膜を実現することができる。したがって、当該誘電膜を用いてアクチュエータを構成すると、より大きな電圧を印加することができる。その結果、より大きな力を発生させることができる。
(2)本発明の第一のエラストマー材料の製造方法は、上記(1)の構成のエラストマー材料の製造方法であって、架橋後のエラストマー材料を溶剤に浸漬し、該エラストマー材料から不純物を抽出する抽出工程と、抽出後の該エラストマー材料を乾燥させる乾燥工程と、を有することを特徴とする。
本発明の第一の製造方法によると、抽出工程において、架橋後のエラストマー材料から不純物を抽出する。これにより、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物を含まない上記本発明のエラストマー材料を、容易に製造することができる。
(3)本発明の第二のエラストマー材料の製造方法は、上記(1)の構成のエラストマー材料の製造方法であって、原料のゴムポリマーを良溶媒に溶解したゴムポリマー溶液を、該ゴムポリマー中の不純物を溶解可能であって該ゴムポリマーを溶解しにくい貧溶媒に添加して、該ゴムポリマーを沈殿させる沈殿工程と、沈殿した該ゴムポリマーを架橋する架橋工程と、を有することを特徴とする。
本発明の第二の製造方法によると、沈殿工程において、原料のゴムポリマーを精製する。こうすることにより、原料のゴムポリマーから、不純物、すなわち、重合反応時に添加された開始剤等の反応残渣を、除去することができる。したがって、本発明の第二の製造方法によると、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物を含まない上記本発明のエラストマー材料を、容易に製造することができる。
(4)本発明の柔軟導電材料は、誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、複数の該電極と各々接続される配線と、を備えるトランスデューサにおいて、該電極および該配線の少なくとも一方に用いられる柔軟導電材料であって、上記(1)の構成のエラストマー材料と、該エラストマー材料に配合される導電剤と、を有することを特徴とする。
本発明の柔軟導電材料は、上記本発明のエラストマー材料を母材とする。これにより、本発明の柔軟導電材料は、柔軟であり、伸縮可能である。したがって、本発明の柔軟導電材料を用いたトランスデューサの電極や配線は、誘電膜の変形に追従して伸縮することができる。よって、誘電膜の動きを規制しにくい。
上述したように、本発明のエラストマー材料には、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれない。したがって、当該エラストマー材料に導電剤を配合した本発明の柔軟電極材料から電極を形成した場合には、電極から誘電膜へ低抵抗不純物が移動しない。このため、誘電膜の電気抵抗は低下しにくい。つまり、電圧印加時に、電流が誘電膜中を流れにくい。よって、電極間への電圧印加により、誘電膜と電極との界面に、多くの電荷を蓄えることができる。また、電流が誘電膜中を流れにくいため、ジュール熱の発生が抑制される。したがって、熱により、誘電膜の物性が変化したり、誘電膜が破壊されるおそれが小さい。このように、本発明の柔軟導電材料によると、誘電膜の変形を規制しにくく、かつ誘電膜の耐絶縁破壊性を低下させる不純物が少ない電極、配線を実現することができる。
(5)本発明のトランスデューサは、誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備えるトランスデューサであって、前記誘電膜は、上記(1)の構成のエラストマー材料からなることを特徴とする。
トランスデューサは、ある種類のエネルギーを他の種類のエネルギーに変換する装置である。トランスデューサには、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が含まれる。
本発明のトランスデューサは、上記本発明のエラストマー材料からなる誘電膜を備える。このため、電圧印加時に、電流が誘電膜中を流れにくい。つまり、熱により、誘電膜の物性が変化したり、誘電膜が破壊されるおそれは小さい。したがって、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。また、本発明のトランスデューサをアクチュエータとして用いた場合には、誘電膜に大きな電圧を印加することができる。よって、印加電圧を大きくすることにより、より大きな力を発生させることができる。
本発明のトランスデューサの一実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を示す。 本発明のトランスデューサの一実施形態である発電素子の断面模式図であって、(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。 本発明のトランスデューサの一実施形態であるスピーカの斜視図である。 図3のIV−IV断面図である。 抽出物の体積抵抗率の測定装置の概略図である。 測定装置に取り付けられたアクチュエータの表側正面図である。 図6のVII−VII断面図である。
以下、本発明のエラストマー材料、その製造方法、柔軟導電材料、トランスデューサの各実施形態について説明する。なお、本発明のエラストマー材料、その製造方法、柔軟導電材料、トランスデューサは、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
<エラストマー材料>
本発明のエラストマー材料は、溶剤により抽出され、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物を含まない。低抵抗不純物の有無は、エラストマー材料を溶剤に浸漬した時に抽出される抽出物により、判断すればよい。すなわち、抽出物がないか、あるいは、抽出物の体積抵抗率が1×10Ω・cm以上であれば、本発明のエラストマー材料に含まれる。
抽出に使用する溶剤は、エラストマー材料から低抵抗不純物を抽出できる溶剤であればよく、例えば、ケトン類、トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。これらの混合溶剤を用いてもよい。低抵抗不純物を抽出しやすいという観点から、溶剤の極性は大きい方が望ましい。例えば、水に対する溶解度が10質量%以上の溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等が好適である。溶剤への浸漬条件は、エラストマー材料や溶剤の種類、エラストマー材料の厚さ等に応じて、適宜決定すればよい。例えば、厚さ200μm程度の薄膜状のエラストマー材料を、MEKに浸漬する場合には、室温下で5時間程度浸漬すればよい。
本発明のエラストマー材料において、エラストマーの種類は、特に限定されない。例えば、トランスデューサの誘電膜として用いる場合、絶縁破壊しにくいという観点から、本発明のエラストマー材料の体積抵抗率は、1×1011Ω・cm以上であることが望ましい。また、柔軟で伸縮しやすいという観点から、本発明のエラストマー材料の弾性率は、10MPa以下であることが望ましい。さらに、静電引力を大きくするという観点から、本発明のエラストマー材料の比誘電率は、4以上であることが望ましい。
これらを考慮すると、エラストマーとしては、例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム等が好適である。また、エポキシ化天然ゴム、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム等のように、官能基を導入する等により変性したエラストマーを用いてもよい。エラストマーとしては、一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
本発明のエラストマー材料は、所定のゴムポリマーを含むゴム組成物を架橋して製造される。ゴム組成物には、必要に応じて、架橋剤、加硫促進剤、加工助剤、可塑剤、老化防止剤、補強剤、着色剤等の添加剤を配合してもよい。架橋方法は、ゴムポリマーの種類等に応じて、適宜決定すればよい。例えば、硫黄架橋、過酸化物架橋、イソシアネート架橋、ヒドロシリル架橋、エポキシ架橋、電子線(EV)架橋、紫外線(UV)架橋等が挙げられる。また、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用してもよい。
ゴムポリマーおよび必要に応じて添加剤を、ロールや混練機により混練りして、ゴム組成物を調製する場合には、調製したゴム組成物を、例えば金型に充填して、所定の条件下でプレス架橋すればよい。あるいは、ゴムポリマーおよび必要に応じて添加剤を、所定の溶剤中に溶解して、ゴム組成物を調製する場合には、次のようにして架橋すればよい。まず、調製したゴム組成物を、基材等に塗布する。次に、塗膜を乾燥させて、溶剤を揮発させる。そして、塗膜の乾燥と共に、または別途所定の条件下で、架橋反応を進行させる。
例えば、有機金属化合物のゾルゲル反応では、反応残渣が生じにくい。したがって、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用して架橋を行う、あるいは、架橋剤等の添加剤として、低抵抗不純物となる物質を含まないものを用いることにより、架橋後のエラストマー材料から不純物を抽出する工程(本発明の第一の製造方法における抽出工程)を、省略できる場合がある。
有機金属化合物は、空気中や、反応系(ゴムポリマー、溶液)中の水分と反応し、加水分解して重縮合する(ゾルゲル反応)。したがって、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用して、ゴム組成物を架橋する場合には、有機金属化合物と水との急激な反応を抑制し、均質な膜を形成するという観点から、有機金属化合物をキレート化して用いることが望ましい。この場合、例えば、次の方法を採用するとよい。まず、ゴムポリマーを溶解することができ、かつ、有機金属化合物をキレート化できる溶剤中に、ゴムポリマーを溶解した第一溶液を調製する。次いで、第一溶液に、有機金属化合物を混合して、第二溶液(ゴム組成物)を調製する。その後、第二溶液を基材上に塗布し、乾燥させることにより、第二溶液から溶剤を除去して、架橋反応を進行させる。
有機金属化合物のゾルゲル反応を利用すると、架橋による三次元網目構造が、従来の架橋剤ではなく、有機金属化合物により形成される。得られたエラストマー材料は、ゴムポリマーと有機金属化合物とが反応して架橋構造が形成されている態様でもよく、ゴムポリマーと有機金属化合物とが反応せずに、有機金属化合物の架橋構造中にゴムポリマーが侵入した、いわゆる相互網目構造を有する態様であってもよい。
<エラストマー材料の製造方法>
[第一の製造方法]
本発明の第一のエラストマー材料の製造方法は、抽出工程と乾燥工程とを有する。以下、各工程について説明する。
(1)抽出工程
本工程は、架橋後のエラストマー材料を溶剤に浸漬し、該エラストマー材料から不純物を抽出する工程である。
架橋後のエラストマー材料の種類については、本発明のエラストマー材料に準ずる。また、溶剤および浸漬条件についても、上記本発明のエラストマー材料の実施形態において、説明した通りである。すなわち、比較的極性が大きい溶剤を用いることが望ましく、例えば、厚さ200μm程度の薄膜状のエラストマー材料を、MEKに浸漬する場合には、室温下で5時間程度浸漬すればよい。また、本工程で抽出される不純物の量は、エラストマー材料全体に対して15質量%以下であることが望ましい。抽出される不純物の量が15質量%を超えると、エラストマー材料の強度が低下するおそれがある。
(2)乾燥工程
本工程は、先の抽出工程で不純物を抽出した後のエラストマー材料を、乾燥させる工程である。
乾燥は、例えば、溶剤から取り出したエラストマー材料を、100℃程度に加熱した状態で1時間程度保持すればよい。
[第二の製造方法]
本発明の第二のエラストマー材料の製造方法は、沈殿工程と架橋工程とを有する。以下、各工程について説明する。
(1)沈殿工程
本工程は、原料のゴムポリマーを良溶媒に溶解したゴムポリマー溶液を、該ゴムポリマー中の不純物を溶解可能であって該ゴムポリマーを溶解しにくい貧溶媒に添加して、該ゴムポリマーを沈殿させる工程である。
原料となるゴムポリマーの種類については、本発明のエラストマー材料に準ずる。所定のゴムポリマーを良溶媒に溶解して、ゴムポリマー溶液を調製すればよい。良溶媒としては、当該ゴムポリマーに対して溶解度の大きい溶剤を用いればよい。例えば、MEK、IPA等が挙げられる。また、貧溶媒としては、当該ゴムポリマー中の不純物を溶解可能であり、かつ、当該ゴムポリマーに対して溶解度の小さい溶剤を用いればよい。例えば、メタノール、ブタノール、n−ヘキサン等が挙げられる。ゴムポリマー溶液の貧溶媒への添加は、貧溶媒を攪拌しながら、ゴムポリマー溶液を滴下して行うことが望ましい。
本工程により、原料のゴムポリマーが精製される。すなわち、原料のゴムポリマーから、重合反応時に添加された開始剤等の反応残渣(不純物)を、除去することができる。ゴムポリマーの精製は、一回だけ行ってもよく、二回以上行ってもよい。すなわち、本工程の後に、得られたゴムポリマーを繰り返し沈殿させてもよい。この場合、本発明の第二の製造方法を、本工程の後に、沈殿したゴムポリマーを良溶媒に溶解してゴムポリマー溶液を調製し、該ゴムポリマー溶液を、該ゴムポリマー中の不純物を溶解可能であって該ゴムポリマーを溶解しにくい貧溶媒に添加して、該ゴムポリマーを再沈殿させる再沈殿工程を、少なくとも一回有するよう構成すればよい。再沈殿工程において、良溶媒は、先の沈殿工程および再沈殿工程で使用された溶剤と、同じでも異なっていてもよい。同様に、貧溶媒についても、先の沈殿工程および再沈殿工程で使用された溶剤と、同じでも異なっていてもよい。
(2)架橋工程
本工程は、先の沈殿工程や再沈殿工程で沈殿したゴムポリマーを架橋する工程である。架橋方法については、上記本発明のエラストマー材料の実施形態において、説明した通りである。反応残渣が生じにくいという観点から、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用する、あるいは、架橋剤等の添加剤として、低抵抗不純物となる物質を含まないものを用いることが望ましい。後者の架橋方法としては、ヒドロシリル架橋、エポキシ架橋等が挙げられる。
一方、前者の場合、有機金属化合物としては、金属アルコキシド化合物、金属アシレート化合物、および金属キレート化合物が挙げられる。これらから選ばれる一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
金属アルコキシド化合物としては、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシシラン、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラエトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンブトキシドダイマー等が挙げられる。また、金属アシレート化合物としては、ポリヒドロキシチタンステアレート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等が挙げられる。また、金属キレート化合物としては、チタン−ジイソプロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)、チタン−テトラアセチルアセトネート、チタン−ジオクチロキシ−ビス(オクチレングリコレート)、チタン−ジイソプロポキシ−ビス(エチルアセトアセテート)、チタン−ジイソプロポキシ−ビス(トリエタノールアミネート)、チタン−ジブトキシ−ビス(トリエタノールアミネート)等のチタンキレート化合物、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネート−ビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシ−ビス(エチルアセトアセテート)等のジルコニウムキレート化合物等が挙げられる。
<柔軟導電材料>
本発明の柔軟導電材料は、誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、複数の該電極と各々接続される配線と、を備えるトランスデューサにおいて、該電極および該配線の少なくとも一方に用いられる。本発明の柔軟導電材料は、上記本発明のエラストマー材料と、該エラストマー材料に配合される導電剤と、を有する。
導電剤の種類は、特に限定されない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金等の金属材料、酸化インジウム錫(ITO)や、酸化チタン、酸化亜鉛にアルミニウム、アンチモン等の他金属をドーピングしたもの等の導電性酸化物の中から、適宜選択すればよい。導電剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。例えば、カーボンブラックは、母材との密着性が高く、凝集して導通経路を形成しやすい、という点で好適である。なかでも、ケッチェンブラック等の高導電性カーボンブラックが好適である。
また、粒子表面を金属で被覆して導電性を付与した被覆粒子を使用してもよい。金属単体の粒子と比較して、被覆粒子の比重は小さい。よって、塗料化した際に沈降しにくく、分散性が向上する。また、粒子を加工することにより、様々な形状の被覆粒子を容易に製造することができる。被覆する金属としては、先に列挙した金属材料を用いればよい。また、粒子には、グラファイトやカーボンブラック等の炭素材料、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物、シリカ等の無機物、アクリルやウレタン等の樹脂等を用いればよい。
導電剤の配合量は、電極、配線として所望の導電性が得られるように決定すればよい。例えば、電極としての導電性を確保するという観点から、導電剤の配合量は、柔軟導電材料の体積を100vol%とした場合の0.1vol%以上であることが望ましい。1vol%以上であるとより好適である。一方、導電剤の配合量が多くなると柔軟性が低下する。このため、導電剤の配合量は、柔軟導電材料の体積を100vol%とした場合の35vol%以下であることが望ましい。15vol%以下であるとより好適である。
本発明の柔軟導電材料は、上記本発明のエラストマー材料を製造する過程で、ゴム組成物に導電剤を添加して、製造することができる。すなわち、所定のゴムポリマー、導電剤、および必要に応じて添加剤を、ロールや混練機により混練りして、ゴム組成物を調製すればよい。あるいは、所定のゴムポリマー、導電剤、および必要に応じて添加剤を、所定の溶剤中に溶解して、ゴム組成物を調製すればよい。また、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用する場合には、ゴムポリマーが溶解可能であり、かつ、有機金属化合物をキレート化できる溶剤中に、ゴムポリマーと、導電剤と、有機金属化合物と、を混合した混合溶液を調製すればよい。いずれにおいても、ゴムポリマーと導電剤とを予め混練りしておくと、導電剤の分散性が向上する。また、ゴム組成物の架橋後に、得られた柔軟導電材料を溶剤に浸漬して、母材のエラストマー材料から不純物を抽出してもよい。
<トランスデューサ>
本発明のトランスデューサは、誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備える。ここで、誘電膜は、上記本発明のエラストマー材料からなる。本発明のエラストマー材料の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。なお、本発明のトランスデューサにおいても、本発明のエラストマー材料の好適な態様を採用することが望ましい。以下、本発明のトランスデューサの例として、アクチュエータ、発電素子、およびスピーカの実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、電極を本発明の柔軟導電材料から形成している。しかし、本発明のトランスデューサにおいては、電極材料として、必ずしも本発明の柔軟導電材料を採用しなくてもよい。
[第一実施形態]
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータの実施形態を説明する。図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)は電圧オフ状態、(b)は電圧オン状態を各々示す。
図1に示すように、アクチュエータ1は、誘電膜10と、電極11a、11bと、配線12a、12bと、を備えている。誘電膜10は、本発明のエラストマー材料からなる。電極11aは、誘電膜10の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極11bは、誘電膜10の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極11a、11bは、各々、配線12a、12bを介して電源13に接続されている。電極11a、11bは、いずれも本発明の柔軟導電材料からなる。
オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極11a、11b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜10の厚さは薄くなり、その分だけ、図1(b)中白抜き矢印で示すように、電極11a、11b面に対して平行方向に伸長する。これにより、アクチュエータ1は、図中上下方向および左右方向の駆動力を出力する。
本実施形態によると、誘電膜10には、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれない。このため、電圧印加時に、誘電膜10中を電流が流れにくい。よって、ジュール熱により、誘電膜10の物性が変化したり、誘電膜10が破壊されるおそれは小さい。つまり、誘電膜10は、耐絶縁破壊性および耐久性に優れる。
また、電極11a、11bは、柔軟で伸縮可能である。このため、電極11a、11bは、誘電膜10の変形に追従して伸縮することができる。すなわち、誘電膜10の動きが、電極11a、11bにより妨げられにくい。また、本実施形態によると、電極11a、11bから誘電膜10へ低抵抗不純物が移動しない。このため、電圧印加時に、誘電膜10中を電流が流れにくい。よって、電圧印加により、誘電膜10と電極11a、11bとの界面に、多くの電荷を蓄えることができる。また、電流が誘電膜10中を流れにくいため、ジュール熱の発生が抑制される。したがって、熱により、誘電膜10の物性が変化したり、誘電膜10が破壊されるおそれも小さい。
以上より、アクチュエータ1は、高い耐絶縁破壊性を有し、耐久性に優れる。また、アクチュエータ1によると、より大きな電圧を印加することができる。その結果、より大きな力を発生させることができる。
[第二実施形態]
本発明のトランスデューサの第二例として、発電素子の実施形態を説明する。図2に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。
図2に示すように、発電素子3は、誘電膜30と、電極31a、31bと、配線32a〜32cと、を備えている。誘電膜30は、本発明のエラストマー材料からなる。電極31aは、誘電膜30の上面の略全体を覆うように、配置されている。同様に、電極31bは、誘電膜30の下面の略全体を覆うように、配置されている。電極31aには、配線32a、32bが接続されている。すなわち、電極31aは、配線32aを介して、外部負荷(図略)に接続されている。また、電極31aは、配線32bを介して、電源(図略)に接続されている。電極31bは、配線32cにより接地されている。電極31a、31bは、いずれも本発明の柔軟導電材料からなる。
図2(a)中白抜き矢印で示すように、発電素子3を圧縮し、誘電膜30を電極31a、31b面に対して平行方向に伸長すると、誘電膜30の膜厚は薄くなり、電極31a、31b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、図2(b)に示すように、誘電膜30の弾性復元力により誘電膜30は収縮し、膜厚が厚くなる。その際、蓄えられた電荷が配線32aを通して放出される。
本実施形態によると、誘電膜30には、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれない。このため、誘電膜30中を電流が流れにくい。したがって、圧縮量が大きい場合でも、誘電膜30の内部に、多くの電荷を蓄えることができる。すなわち、発電素子3によると、大きな発電量を得ることができる。また、誘電膜30中に電流が流れにくいため、ジュール熱の発生が抑制される。よって、熱により、誘電膜30の物性が変化したり、誘電膜30が破壊されるおそれは小さい。つまり、誘電膜30は、耐絶縁破壊性および耐久性に優れる。
また、電極31a、31bは、柔軟で伸縮可能である。このため、電極31a、31bは、誘電膜30の変形に追従して伸縮することができる。すなわち、誘電膜30の動きが、電極31a、31bにより妨げられにくい。また、本実施形態によると、電極31a、31bから誘電膜30へ低抵抗不純物が移動しない。よって、誘電膜30中に電流が流れにくい。このため、圧縮量が大きい場合でも、誘電膜30と電極31a、31bとの界面に、多くの電荷を蓄えることができる。すなわち、発電素子3によると、大きな発電量を得ることができる。さらに、ジュール熱により、誘電膜30の物性が変化したり、誘電膜30が破壊されるおそれも小さい。以上より、発電素子3は、高い耐絶縁破壊性を有し、耐久性に優れる。
[第三実施形態]
本発明のトランスデューサの第三例として、スピーカの実施形態を説明する。まず、本実施形態のスピーカの構成について説明する。図3に、本実施形態のスピーカの斜視図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。図3、図4に示すように、スピーカ4は、第一アウタフレーム40aと、第一インナフレーム41aと、第一誘電膜42aと、第一アウタ電極43aと、第一インナ電極44aと、第一振動板45aと、第二アウタフレーム40bと、第二インナフレーム41bと、第二誘電膜42bと、第二アウタ電極43bと、第二インナ電極44bと、第二振動板45bと、八つのボルト460と、八つのナット461と、八つのスペーサ462と、を備えている。
第一アウタフレーム40a、第一インナフレーム41aは、各々、樹脂製であって、リング状を呈している。第一誘電膜42aは、円形の薄膜状を呈している。第一誘電膜42aは、本発明のエラストマー材料からなる。第一誘電膜42aは、第一アウタフレーム40aと第一インナフレーム41aとの間に張設されている。すなわち、第一誘電膜42aは、表側の第一アウタフレーム40aと裏側の第一インナフレーム41aとにより、所定の張力を確保した状態で、挟持、固定されている。
第一振動板45aは、樹脂製であって、円板状を呈している。第一振動板45aは、第一誘電膜42aよりも小径である。第一振動板45aは、第一誘電膜42aの表面の略中央に配置されている。第一アウタ電極43aは、本発明の柔軟導電材料からなり、リング状を呈している。第一アウタ電極43aは、第一誘電膜42aの表面に貼着されている。第一インナ電極44aも、本発明の柔軟導電材料からなり、リング状を呈している。第一インナ電極44aは、第一誘電膜42aの裏面に貼着されている。第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとは、第一誘電膜42aを挟んで、表裏方向に背向している。図4に示すように、第一アウタ電極43aは、端子430aを備えている。第一インナ電極44aは、端子440aを備えている。端子430a、440aには、外部から電圧が印加される。
第二アウタフレーム40b、第二インナフレーム41b、第二誘電膜42b、第二アウタ電極43b、第二インナ電極44b、第二振動板45b(以下、「第二部材」と総称する。)の構成、材質、形状は、上記第一アウタフレーム40a、第一インナフレーム41a、第一誘電膜42a、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44a、第一振動板45a(以下、「第一部材」と総称する。)の構成、材質、形状と、同様である。また、第二部材の配置は、上記第一部材の配置と、表裏方向に対称である。簡単に説明すると、第二誘電膜42bは、第二アウタフレーム40bと第二インナフレーム41bとの間に張設されている。第二誘電膜42bは、本発明のエラストマー材料からなる。第二振動板45bは、第二誘電膜42bの表面の略中央に配置されている。第二アウタ電極43bは、第二誘電膜42bの表面に印刷されている。第二インナ電極44bは、第二誘電膜42bの裏面に印刷されている。第二アウタ電極43b、第二インナ電極44bは、いずれも本発明の柔軟導電材料からなる。第二アウタ電極43bの端子430b、第二インナ電極44bの端子440bには、外部から電圧が印加される。
第一部材と第二部材とは、八つのボルト460、八つのナット461により、八つのスペーサ462を介して、固定されている。「ボルト460−ナット461−スペーサ462」のセットは、スピーカ4の周方向に所定間隔ずつ離間して配置されている。ボルト460は、第一アウタフレーム40a表面から第二アウタフレーム40b表面までを貫通している。ナット461は、ボルト460の貫通端に螺着されている。スペーサ462は、樹脂製であって、ボルト460の軸部に環装されている。スペーサ462は、第一インナフレーム41aと第二インナフレーム41bとの間に、所定の間隔を確保している。第一誘電膜42aの中央部裏面(第一振動板45aが配置されている部分の裏側)と、第二誘電膜42bの中央部裏面(第二振動板45bが配置されている部分の裏側)と、は接合されている。このため、第一誘電膜42aには、図4に白抜き矢印Y1aで示す方向に、付勢力が蓄積されている。また、第二誘電膜42bには、図4に白抜き矢印Y1bで示す方向に、付勢力が蓄積されている。
次に、本実施形態のスピーカの動きについて説明する。端子430a、440aと端子430b、440bとを介して、第一アウタ電極43aおよび第一インナ電極44aと、第二アウタ電極43bおよび第二インナ電極44bと、には、初期状態(オフセット状態)において、所定の電圧(オフセット電圧)が印加されている。スピーカ4の動作時には、端子430a、440aと端子430b、440bとに、逆位相の電圧が印加される。 例えば、端子430a、440aに、オフセット電圧+1Vが印加されると、第一誘電膜42aのうち、第一アウタ電極43aと第一インナ電極44aとの間に配置されている部分の膜厚が薄くなる。並びに、当該部分が径方向に伸長する。これと同時に、端子430b、440bに逆位相の電圧(オフセット電圧−1V)が印加される。すると、第二誘電膜42bのうち、第二アウタ電極43bと第二インナ電極44bとの間に配置されている部分の膜厚が厚くなる。並びに当該部分が径方向に収縮する。これにより、第二誘電膜42bは、第一誘電膜42aを引っ張りながら、図4に白抜き矢印Y1bで示す方向に、自身の付勢力により弾性変形する。反対に、端子430b、440bにオフセット電圧+1Vが印加され、端子430a、440aに逆位相の電圧(オフセット電圧−1V)が印加されると、第一誘電膜42aは、第二誘電膜42bを引っ張りながら、図4に白抜き矢印Y1aで示す方向に、自身の付勢力により弾性変形する。このようにして、第一振動板45a、第二振動板45bを振動させることにより空気を振動させ、音声を発生させる。
次に、本実施形態のスピーカ4の作用効果について説明する。本実施形態によると、第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42bには、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれない。このため、電圧印加時に、電流が第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42b中を流れにくい。よって、ジュール熱の発生が抑制される。したがって、熱により、第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42bの物性が変化したり、第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42bが破壊されるおそれは小さい。つまり、第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42bは、耐絶縁破壊性および耐久性に優れる。
また、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44a、第二アウタ電極43b、および第二インナ電極44b(以下適宜、「電極43a、44a、43b、44b」と称す)は、柔軟で伸縮可能である。このため、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44aは、第一誘電膜42aの変形に追従して伸縮することができる。同様に、第二アウタ電極43b、および第二インナ電極44bは、第二誘電膜42bの変形に追従して伸縮することができる。すなわち、第一誘電膜42a、第二誘電膜42bの動きが、電極43a、44a、43b、44bにより妨げられにくい。
また、本実施形態によると、第一アウタ電極43a、第一インナ電極44aから第一誘電膜42aへ、低抵抗不純物が移動しない。同様に、第二アウタ電極43b、第二インナ電極44bから第二誘電膜42bへ、低抵抗不純物が移動しない。このため、電圧印加時に、電流が第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42b中を流れにくい。よって、ジュール熱により、第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42bの物性が変化したり、第一誘電膜42aおよび第二誘電膜42bが破壊されるおそれは小さい。以上より、スピーカ4は、高い耐絶縁破壊性を有し、耐久性に優れる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<エラストマー材料の製造>
[実施例1のエラストマー材料]
まず、原料ゴムポリマーのニトリルゴム(日本ゼオン(株)製「Nipol(登録商標)DN003」)100質量部と、加硫助剤の酸化亜鉛2種(堺化学工業(株)製)5質量部とを、ロール練り機にて混練りした。続いて、架橋剤の硫黄(鶴見化学工業(株)製「サルファックスT−10」)0.44質量部と、加硫促進剤のテトラエチルチウラムジスルフィド(三新化学工業(株)製「サンセラー(登録商標)TET−G」)2.1質量部、およびN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(同社製「サンセラーCZ−G」)1質量部と、を添加して、ロール練り機にて混練りし、シート状のゴム組成物を製造した。次に、製造したゴム組成物を金型に充填し、150℃で18分間プレス架橋することにより、薄膜状のエラストマー材料を得た。そして、得られたエラストマー材料を、室温下でMEKに60分間浸漬して、不純物の抽出処理を行った。抽出後、エラストマー材料を溶剤から取り出して、100℃下で60分間乾燥させた。乾燥後のエラストマー材料を、実施例1のエラストマー材料とした。
[実施例2のエラストマー材料]
まず、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴム(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)95質量部を、アセチルアセトンに溶解して、ゴムポリマー濃度が12質量%の第一溶液を調製した。続いて、調製した第一溶液に、有機金属化合物のテトラ−n−ブトキシチタンの重合体(日本曹達(株)製「B−4」)6.5質量部を添加して、第二溶液を調製した。ここで、アセチルアセトンは、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴム(ゴムポリマー)を溶解させる溶媒であると共に、テトラ−n−ブトキシチタン(金属アルコキシド化合物)のキレート剤である。その後、第二溶液を基材上に塗布し、この状態のまま室温下で二週間、乾燥、養生した後、150℃で60分間加熱して、薄膜状のエラストマー材料を得た。得られたエラストマー材料を、実施例2のエラストマー材料とした。
[実施例3のエラストマー材料]
実施例2で得られたエラストマー材料を、室温下でMEKに60分間浸漬して、不純物の抽出処理を行った。抽出後、エラストマー材料を溶剤から取り出して、100℃下で60分間乾燥させた。乾燥後のエラストマー材料を、実施例3のエラストマー材料とした。
[実施例4のエラストマー材料]
まず、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴム(同上)95質量部を、MEK(良溶媒)に溶解して、濃度が12質量%のゴムポリマー溶液を調製した。次に、調製したゴムポリマー溶液を、10倍の体積のブタノール(貧溶媒A)に添加して、ゴムポリマーを沈殿させた。そして、沈殿したゴムポリマーを、80℃下で60分間乾燥させた。続いて、乾燥したゴムポリマーを、再びMEKに溶解して、濃度が12質量%のゴムポリマー溶液を調製した。そして、調製したゴムポリマー溶液を、10倍の体積のn−ヘキサン(貧溶媒B)に滴下して、ゴムポリマーを再沈殿させた。その後、再沈殿したゴムポリマーを、100℃下で30分間乾燥させて、精製されたカルボキシル基含有水素化ニトリルゴムを得た(以下、「精製ニトリルゴム」と称す)。
得られた精製ニトリルゴムを用いた以外は、上記実施例2と同様にして、薄膜状のエラストマー材料を得た。得られたエラストマー材料を、実施例4のエラストマー材料とした。また、実施例4のエラストマー材料を、室温下でMEKに60分間浸漬して、不純物の抽出処理を行った。
[比較例1のエラストマー材料]
実施例1のエラストマー材料の製造過程で得られた、不純物の抽出処理を行う前の薄膜状のエラストマー材料を、比較例1のエラストマー材料とした。
<抽出された不純物>
実施例1のエラストマー材料の製造過程において、抽出処理によりエラストマー材料から抽出された不純物の量と、体積抵抗率と、を測定した。ここで、不純物を抽出したエラストマー材料は、比較例1のエラストマー材料である。したがって、抽出された不純物は、比較例1のエラストマー材料に含まれていた不純物ということになる。
同様に、実施例3のエラストマー材料を製造するために、実施例2のエラストマー材料から抽出された不純物についても、量および体積抵抗率を測定した。つまり、抽出された不純物は、実施例2のエラストマー材料に含まれていた不純物ということになる。さらに、実施例4のエラストマー材料から抽出された不純物についても、量および体積抵抗率を測定した。
体積抵抗率の測定方法は、次のようにして行った。まず、抽出物を含むMEKをシャーレに入れ、室温下で一晩放置して、MEKを揮発させた。次に、残存した抽出物の体積抵抗率を測定した。図5に体積抵抗率の測定装置の概略図を示す。
図5に示すように、測定装置6において、抽出物60は、シャーレ61内に収容されている。抽出物60の表面には、一対の電極62a、62bが配置されている。電極62a、62bは、各々、銅箔から形成されており、短冊状を呈している。電極62a、62bの長さは、各々、50mmである。また、電極62aと電極62bとの間の距離は、5mmである。電極62a、62bは、各々、配線を介して電圧印加ソースメジャーユニット63に接続されている。
電圧印加ソースメジャーユニット63により、電極62a、62b間に電圧を印加して、測定された電気抵抗から、抽出物60の体積抵抗率を算出した。体積抵抗率は、図5中、点線ハッチングで示す部分の体積[断面積(抽出物厚さ×電極長さ)×電極間距離]を、抽出物60の体積とみなして算出した。体積抵抗率の測定結果を、各エラストマー材料における原料の配合割合と共に、表1に示す。
Figure 2012062419
表1に示すように、実施例1のエラストマー材料の製造過程で得られたエラストマー材料(比較例1のエラストマー材料)から抽出された不純物の体積抵抗率は、1×10Ω・cm未満であった。つまり、比較例1のエラストマー材料には、低抵抗不純物が含まれていることが確認された。一方、実施例2のエラストマー材料から抽出された不純物の体積抵抗率は、1×10Ω・cm以上であった。つまり、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用して製造された実施例2のエラストマー材料には、低抵抗不純物が含まれていないことが確認された。同様に、実施例4のエラストマー材料から抽出された不純物の体積抵抗率も、1×10Ω・cm以上であった。つまり、精製ニトリルゴムを用いて製造された実施例4のエラストマー材料には、低抵抗不純物が含まれていないことが確認された。以上より、実施例2、4のエラストマー材料は、本発明のエラストマー材料に含まれる。また、不純物を抽出した後の実施例1、3のエラストマー材料については、低抵抗不純物を含まないことは明らかである。したがって、実施例1、3のエラストマー材料も、本発明のエラストマー材料に含まれる。
<エラストマー材料の体積抵抗率>
実施例および比較例のエラストマー材料の体積抵抗率を、JIS K6271(2008)に準じて測定した。測定は、直流電圧100Vを印加して行った。体積抵抗率の測定結果を、上記表1にまとめて示す。表1に示すように、実施例1〜4のエラストマー材料の体積抵抗率は、いずれも1×1011Ω・cm以上であった。これに対して、比較例1のエラストマー材料の体積抵抗率は、1×1011Ω・cm未満であった。
<アクチュエータの評価>
次に、実施例および比較例のエラストマー材料を、各々誘電膜としてアクチュエータを構成し、アクチュエータの最大発生応力、最大電界強度、および駆動回数を測定した。まず、実験装置および実験方法について説明する。
実施例および比較例の各エラストマー材料からなる誘電膜(以下、単に「実施例の誘電膜」等と称す。)の表裏両面に、アクリルゴムにカーボンブラックが混合されてなる電極を各々貼着してアクチュエータを作製した。以下、作製したアクチュエータを、誘電膜の種類に対応させて、「実施例のアクチュエータ」等と称す。図6に、実験装置に取り付けられたアクチュエータの正面図を示す。図7に、図6のVII−VII方向断面図を示す。
図6、図7に示すように、アクチュエータ5の上端は、実験装置における上側チャック52により把持されている。アクチュエータ5の下端は、下側チャック53により把持されている。上側チャック52、下側チャック53と、アクチュエータ5とは、各々絶縁されている。アクチュエータ5は、予め上下方向に延伸された状態で、上側チャック52と下側チャック53との間に、取り付けられている(延伸率25%)。上側チャック52の上方には、ロードセル(図略)が配置されている。
アクチュエータ5は、誘電膜50と一対の電極51a、51bとからなる。誘電膜50は、自然状態で、縦50mm、横25mm、厚さ40μmの長方形の薄膜状を呈している。電極51a、51bは、誘電膜50を挟んで表裏方向に対向するよう配置されている。電極51a、51bは、自然状態で、各々、縦40mm、横25mm、厚さ10μmの長方形の薄膜状を呈している。電極51a、51bは、上下方向に10mmずれた状態で配置されている。つまり、電極51a、51bは、誘電膜50を介して、縦30mm、横25mmの範囲で重なっている。電極51aの下端には、配線(図略)が接続されている。同様に、電極51bの上端には、配線(図略)が接続されている。電極51a、51bは、各々の配線を介して、電源(図略)に接続されている。
電極51a、51b間に電圧を印加すると、電極51a、51b間に静電引力が生じて、誘電膜50を圧縮する。これにより、誘電膜50の厚さは薄くなり、延伸方向(上下方向)に伸長する。誘電膜50の伸長により、上下方向の延伸力は減少する。電圧印加前後において減少した延伸力を、ロードセルにより測定して、発生応力とした。発生応力の測定は、印加する電圧を段階的に増加させて、誘電膜50が破壊されるまで行った。そして、誘電膜50が破壊される寸前における発生応力を、最大発生応力とした。また、その時の電圧値を誘電膜50の膜厚で除した値を、最大電界強度とした。
また、アクチュエータの駆動回数を測定して、耐久性を評価した。駆動回数の測定においては、アクチュエータを、40Vp−p/μm、10Hz、duty比33.3%の矩形波電圧を印加させて駆動した。そして、駆動回数が1×10回以上の場合を合格(表1中○印で示す)、1×10回未満の場合を不合格(表1中×印で示す)、と評価した。上記表1に、実施例および比較例のアクチュエータにおける最大発生応力、最大電界強度の測定結果、および耐久性の評価結果をまとめて示す。
表1に示すように、実施例1〜4のアクチュエータの最大発生応力は、比較例1のアクチュエータの最大発生応力と比較して、大きくなった。また、実施例1〜4のアクチュエータの最大電界強度も、比較例1のアクチュエータの最大電界強度と比較して、大きくなった。さらに、実施例1〜4のアクチュエータは、耐久性に優れることも確認された。なかでも、実施例3、4のアクチュエータにおいて、最大発生応力、最大電界強度が大きくなった。実施例3の誘電膜は、有機金属化合物のゾルゲル反応を利用して製造された実施例2のエラストマー材料から不純物を抽出した、実施例3のエラストマー材料からなる。実施例4の誘電膜は、精製ニトリルゴムを用いて製造された実施例4のエラストマー材料からなる。
このように、本発明のエラストマー材料を誘電膜として用いることにより、耐絶縁破壊性および耐久性に優れ、大きな力を出力できるアクチュエータを実現することができた。
<柔軟導電材料の製造>
まず、エポキシ基含有アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「Nipol AR42W」)100質量部を、MEKに溶解して、濃度が12質量%のゴムポリマー溶液を調製した。次に、調製したゴムポリマー溶液に、導電剤(ケッチェンブラックインターナショナル(株)製「ケッチェンブラック(登録商標)EC−600JD」)10質量部を添加して、ビーズミルにより混練し、分散させた。このゴムポリマー溶液に、さらに、加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学(株)製「ノクセラー(登録商標)PZ」)2.5質量部、およびジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(大内新興化学(株)製「ノクセラーTTFE」)0.5質量部を添加して混合し、混合液を調製した。続いて、調製した混合液を基材上に塗布し、塗膜を約170℃で30分間加熱して、架橋反応を進行させた。得られた薄膜状の柔軟導電材料を、未抽出の柔軟導電材料と称す。
次に、未抽出の柔軟導電材料を、室温下でIPAに60分間浸漬して、不純物の抽出処理を行った。抽出後、柔軟導電材料を溶剤から取り出して、100℃下で60分間乾燥させた。乾燥後の柔軟導電材料を、抽出後の柔軟導電材料と称す。
なお、抽出処理により抽出された不純物の体積抵抗率を測定したところ、1×10Ω・cm未満であった。つまり、未抽出の柔軟導電材料には、低抵抗不純物が含まれていることが確認された。一方、不純物を抽出した後の柔軟導電材料については、低抵抗不純物を含まないことは明らかである。したがって、抽出後の柔軟導電材料は、本発明の柔軟導電材料に含まれる。
<アクチュエータの評価>
製造した二種類の柔軟導電材料を電極としてアクチュエータを構成し、アクチュエータの最大発生応力、最大電界強度、および駆動回数を測定した。誘電膜としては、上記実施例1のエラストマー材料を使用した。すなわち、まず、実施例1の誘電膜の表裏両面に、未抽出の柔軟導電材料からなる電極を貼着して、アクチュエータを作製した。次に、実施例1の誘電膜の表裏両面に、抽出後の柔軟導電材料からなる電極を貼着して、アクチュエータを作製した。以下、前者のアクチュエータを「参考例のアクチュエータ」、後者のアクチュエータを「実施例5のアクチュエータ」と称す。実験装置および実験方法については、先に行ったアクチュエータの評価と同じである(前出図6、図7参照)。参考例および実施例5のアクチュエータにおける最大発生応力、最大電界強度の測定結果、および耐久性の評価結果を、表2に示す。
Figure 2012062419
表2に示すように、最大発生応力および最大電界強度のいずれについても、実施例5のアクチュエータの方が、参考例のアクチュエータよりも大きくなった。以上より、本発明の柔軟導電材料を電極として用いることにより、誘電膜、ひいてはトランスデューサの耐絶縁破壊性がより高くなることが確認された。
本発明のエラストマー材料および柔軟導電材料は、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、発電素子等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン、ノイズキャンセラ等のトランスデューサに広く用いることができる。なかでも、大きな電圧下で使用されるアクチュエータ、発電素子、スピーカ等に好適である。
1:アクチュエータ(トランスデューサ) 10:誘電膜 11a、11b:電極
12a、12b:配線 13:電源
3:発電素子(トランスデューサ) 30:誘電膜 31a、31b:電極
32a〜32c:配線
4:スピーカ(トランスデューサ)
40a:第一アウタフレーム 40b:第二アウタフレーム
41a:第一インナフレーム 41b:第二インナフレーム
42a:第一誘電膜 42b:第二誘電膜
43a:第一アウタ電極 43b:第二アウタ電極
44a:第一インナ電極 44b:第二インナ電極
45a:第一振動板 45b:第二振動板
430a、430b、440a、440b:端子 460:ボルト 461:ナット
462:スペーサ
5:アクチュエータ 50:誘電膜 51a、51b:電極 52:上側チャック
53:下側チャック
6:測定装置 60:抽出物 61:シャーレ 62a、62b:電極
63:電圧印加ソースメジャーユニット

Claims (10)

  1. 誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備えるトランスデューサに用いられるエラストマー材料であって、
    溶剤により抽出され、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の低抵抗不純物が含まれないことを特徴とするエラストマー材料。
  2. 体積抵抗率は、1×1011Ω・cm以上である請求項1に記載のエラストマー材料。
  3. ゴムポリマーと有機金属化合物とから合成される請求項1または請求項2に記載のエラストマー材料。
  4. 前記誘電膜に用いられ、比誘電率は4以上である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエラストマー材料。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエラストマー材料の製造方法であって、
    架橋後のエラストマー材料を溶剤に浸漬し、該エラストマー材料から不純物を抽出する抽出工程と、
    抽出後の該エラストマー材料を乾燥させる乾燥工程と、
    を有することを特徴とするエラストマー材料の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエラストマー材料の製造方法であって、
    原料のゴムポリマーを良溶媒に溶解したゴムポリマー溶液を、該ゴムポリマー中の不純物を溶解可能であって該ゴムポリマーを溶解しにくい貧溶媒に添加して、該ゴムポリマーを沈殿させる沈殿工程と、
    沈殿した該ゴムポリマーを架橋する架橋工程と、
    を有することを特徴とするエラストマー材料の製造方法。
  7. 前記沈殿工程の後に、沈殿した前記ゴムポリマーを良溶媒に溶解してゴムポリマー溶液を調製し、該ゴムポリマー溶液を、該ゴムポリマー中の不純物を溶解可能であって該ゴムポリマーを溶解しにくい貧溶媒に添加して、該ゴムポリマーを再沈殿させる再沈殿工程を、少なくとも一回有する請求項6に記載のエラストマー材料の製造方法。
  8. 誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、複数の該電極と各々接続される配線と、を備えるトランスデューサにおいて、該電極および該配線の少なくとも一方に用いられる柔軟導電材料であって、
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエラストマー材料と、
    該エラストマー材料に配合される導電剤と、
    を有することを特徴とする柔軟導電材料。
  9. 誘電膜と、該誘電膜を介して配置される複数の電極と、を備えるトランスデューサであって、
    前記誘電膜は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエラストマー材料からなることを特徴とするトランスデューサ。
  10. 前記電極は、請求項8に記載の柔軟導電材料からなる請求項9に記載のトランスデューサ。
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