JP2012061045A - ガス滅菌装置の運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 滅菌槽1内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置の運転制御方法であって、滅菌に用いられる滅菌槽1内の所定のガス濃度、所定の温度および所定の湿度を基準状態とするときのD値(D1)に基づいて、基準滅菌時間を設定しておき、滅菌工程中に前記基準状態が変化したとき、この変化した状態におけるD値(D2)を計算し、変化した状態におけるD値(D2)と前記基準状態におけるD値(D1)との比を求め、前記基準滅菌時間から前記基準状態の変化を判定したときまでの経過時間を減じた滅菌残時間に前記比を乗じた時間を補正滅菌残時間とする。
【選択図】 図1
Description
このガス滅菌装置は、通常、滅菌槽内を設定圧力まで減圧し、且つ加湿を行い、滅菌槽内の温度が滅菌所要温度まで上昇した段階で、滅菌ガスを滅菌槽1内に供給し、滅菌ガスが滅菌槽1内に供給されて設定圧力となったら滅菌工程に入り、予め設定された時間、滅菌ガス供給後の状態を維持し、設定時間を経過したら滅菌工程を終了させ、その後、滅菌槽内の余剰滅菌ガスを排出し、次いで、被滅菌物表面に付着している滅菌ガスを除去する、といった工程で運転される。
滅菌ガスによる滅菌は、滅菌槽内の滅菌ガス濃度、温度、湿度、滅菌時間の4つの要素で規程され、この内、滅菌ガス濃度および温度が高くなるほど滅菌時間は短くなるといった関係にあり、ガス滅菌装置では、このような関係を基に、滅菌槽内の滅菌ガス濃度、温度、湿度、滅菌時間を設定している。
このような事態に対し、滅菌槽内の滅菌ガス濃度が低下した場合、滅菌時間を延長し、また、温度が変化した場合は温度に応じて滅菌時間を変更するようにしたガス滅菌装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載されたガス滅菌装置では、滅菌槽内の滅菌ガス濃度が低下した場合、缶体(滅菌槽)に供給される滅菌ガスの圧力を検知し、滅菌を行うべき設定圧力P0と比較し、滅菌ガス圧Pが低い場合、P0−Pが0.2kg/cm2 より大きいときは設定時間を1.5倍に延長し、P0−Pが0.1kg/cm2 より大きいときは設定時間を1.25倍に延長し、そして、P0−Pが0.3kg/cm2 より大きいときは、設定時間を延長せず、給ガスを継続するようになっている。
先ず、本発明に係るガス滅菌装置の運転制御方法の実施の形態の第1例を説明する。図1は本例を実施するガス滅菌装置の一部省略構成説明図である。
本例を実施するガス滅菌装置は、被滅菌物を収容する滅菌槽1に加湿路2と、給気路3と排気路4とが接続されている。滅菌槽1内には、滅菌ガスカートリッジ5を穿孔するための穿孔装置(図示省略)を設けてあり、運転開始前に、この穿孔装置に滅菌ガスを封入した滅菌ガスカートリッジ5をセットしておき、運転開始後、所定の工程において、滅菌ガスカートリッジ5が穿孔され、滅菌ガスカートリッジ5の内部に封入された滅菌ガスが滅菌槽1内に供給されるように構成されている。
先ず、滅菌槽1に被滅菌物を収容し、滅菌ガスカートリッジ5を滅菌ガスカートリッジ穿孔装置にセットし、開閉蓋20で滅菌槽1を密閉して、真空ポンプ14を作動させて滅菌槽1内を減圧する。滅菌槽1内を減圧したら、真空弁12を閉じるとともに真空ポンプ14を停止して、加湿弁6を開き加湿を行い、滅菌槽1内の圧力が上昇したら、加湿弁6を閉じ、真空弁12を開くとともに真空ポンプ14を所定時間作動させる。
続いて、加湿弁6を所定時間開いた後、加湿弁6を閉じて真空弁12を開くとともに真空ポンプ14を所定時間作動させて停止させる動作を数回繰り返す。滅菌槽1内の湿度が所定の湿度となり、温度が所定の温度まで上昇したら、セットされている滅菌ガスカートリッジ5を穿孔して、滅菌ガスを滅菌槽1内に供給する。
滅菌ガスの供給により減圧されている滅菌槽1内の圧力が上昇し、所定の圧力に達したら、滅菌工程に入る。滅菌工程は、設定された時間(滅菌時間)、滅菌ガス供給後の状態を維持することにより行われ、設定時間を経過すると滅菌工程は終了する。
滅菌工程が終了すると、排気工程に移行し、真空弁12を開くと共に真空ポンプ14を作動させて滅菌槽1内の余剰滅菌ガスを排出し、次いで、被滅菌物表面に吸着している滅菌ガスを除去する洗浄工程を行い、そして、被滅菌物内部に吸着している滅菌ガスを確実に除去するためのエアレーション工程が実行され、滅菌運転が終了する。
本例では、また、前記基準状態の変化の判定は所定時間毎に行い、前記基準状態に変化があったときは、その都度滅菌槽1内のガス濃度および滅菌槽1の温度におけるD値(D2)を計算し、所定時間毎のD値(D2)と前記基準状態におけるD値(D1)との比を求め補正滅菌残時間T4 を算出している。このようにして補正滅菌残時間T4 として算出される滅菌時間は、基準状態の変化の内容、例えば、ガス濃度の低下や温度の低下、湿度の低下などの変化に応じて、基準滅菌時間T1は適切に延長されることになる。
本例を実施するガス滅菌装置は、その構成は制御器の制御内容以外は、前記した第1例と同様なので、図1及び第1例の説明を援用する。
また、本例のガス滅菌装置の基本運転も、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
さらに、本例では、基準状態におけるガス濃度と滅菌槽1内の温度からの変化を所定の幅21で段階的に設定し、ガス濃度の変化と温度の変化から求められるD値(D2)と基準状態で求められるD値(D1)の比(D2/D1)で作られる表(図2参照。)を制御部19に記憶させている。そして、滅菌工程中におけるガス濃度および/または温度が変化したとき、変化したガス濃度および/または温度が入った特定の幅21における比(D2/D1)を制御部19に記憶させた表から抽出し、この抽出した比(D2/D1)を、基準滅菌時間T1からガス濃度および/または温度が特定の幅21に入ったことを判定したときまでの経過時間T2を減じた滅菌残時間T3に乗じ、この乗じた時間を補正滅菌残時間T4として、滅菌運転を行うように制御部19で制御している。
例えば、基準状態720mg/L、温度55℃のときの基準滅菌時間T1とする。滅菌工程開始からt分経過したとき、温度は55℃、滅菌ガスの濃度が590mg/Lまで変化したとすると、この状態でのD値(D2)と基準状態で求められるD値(D1)との比は、図2から、R15となるので、状態が変化してから延長される滅菌時間T’は、つぎのように計算される。
T’=R15×(T1−t)
このようにして補正滅菌残時間T4 として算出される滅菌時間T’は、基準状態の変化の内容に応じ、例えば、ガス濃度や温度の高低変化により、基準滅菌時間T1より延長される。
滅菌槽1内の所定のガス濃度、所定の温度および所定の湿度を基準状態とするときのD値(D1)及び変化した状態におけるD値(D2)の算出は、本例では、第1例と同様に、実験的に求められた式により算出される。また、このときのD値(D2)にあっては、滅菌槽1内の湿度は所定湿度未満まで変化がなく、滅菌性能に影響しないものとして算出される。
本例を実施するガス滅菌装置は、その構成は制御器の制御内容以外は、前記した第1例と同様なので、図1及び第1例の説明を援用する。
また、本例のガス滅菌装置の基本運転も、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
本例を実施するガス滅菌装置は、その構成は制御器の制御内容以外は、前記した第1例と同様なので、図1及び第1例の説明を援用する。
また、本例のガス滅菌装置の基本運転も、前記した第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
そして、本例では、滅菌工程中にガス濃度が低下したとき、この低下したガス濃度におけるD値(D2)が基準状態とするときのD値(D1)となるように、滅菌槽1の温度を上昇させるように制御部19で制御して滅菌運転を行うようにしている。
また、低下したガス濃度におけるD値(D2)が基準状態とするときのD値(D1)となるように、滅菌槽の温度を上昇させる上昇温度の算出は、D値(D1)及びD値(D2)の計算式により算出される。
2 加湿路
3 給気路
4 排気路
5 滅菌ガスカートリッジ
6 加湿弁
7 オリフィス
8 逆止弁
9 空気フィルタ
10 給気弁
11 逆止弁
12 真空弁
13 減圧手段
14 真空ポンプ
15 逆止弁
16 圧力センサ
17 温度センサ
18 湿度センサ
19 制御器
20 開閉蓋
21 ガス濃度/温度の変化幅
Claims (5)
- 滅菌槽内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置の運転制御方法であって、
滅菌に用いられる滅菌槽内の所定のガス濃度、所定の温度および所定の湿度を基準状態とするときのD値(D1)に基づいて、基準滅菌時間を設定しておき、滅菌工程中に前記基準状態が変化したとき、この変化した状態におけるD値(D2)を計算し、変化した状態におけるD値(D2)と前記基準状態におけるD値(D1)との比を求め、前記基準滅菌時間から前記基準状態の変化を判定したときまでの経過時間を減じた滅菌残時間に前記比を乗じた時間を補正滅菌残時間とすることを特徴とするガス滅菌装置の運転制御方法。 - 前記基準状態の変化の判定は所定時間毎に行い、前記基準状態に変化があったときは、その都度滅菌槽内のガス濃度および温度におけるD値(D2)を計算し、所定時間毎のD値(D2)と前記基準状態におけるD値(D1)との比を求め、前記基準滅菌時間から前記所定時間までの経過時間を減じた滅菌残時間に前記比を乗じた時間を補正滅菌残時間とすることを特徴とする請求項1に記載のガス滅菌装置の運転制御方法。
- 前記基準状態における前記ガス濃度と滅菌槽内の温度からの変化を所定の幅で段階的に設定し、前記ガス濃度の変化と温度の変化から求められるD値(D2)と前記基準状態で求められるD値(D1)の比(D2/D1)で作られる表を制御部に記憶させておき、滅菌工程中における前記ガス濃度および/または温度が変化したとき、変化した前記ガス濃度および/または温度が入った前記幅における比(D2/D1)を前記制御部に記憶させた表から抽出し、抽出した比(D2/D1)を、前記基準滅菌時間から前記ガス濃度および/または温度が前記幅に入ったことを判定したときまでの経過時間を減じた滅菌残時間に乗じ、この乗じた時間を補正滅菌残時間とすることを特徴とする請求項1に記載のガス滅菌装置の運転制御方法。
- 前記基準状態における前記ガス濃度と滅菌槽内の温度からの変化を所定の幅で段階的に設定しておき、滅菌工程中における前記ガス濃度および/または温度が変化したとき、変化した前記ガス濃度および/または温度が入った前記幅におけるD値(D2)を計算し、この幅におけるD値(D2)と前記基準状態におけるD値(D1)との比を求め、前記基準滅菌時間から前記ガス濃度および/または温度が前記幅に入ったことを判定したときまでの経過時間を減じた滅菌残時間に前記比を乗じた時間を補正滅菌残時間とすることを特徴とする請求項1に記載のガス滅菌装置の運転制御方法。
- 滅菌槽内へ滅菌ガスを供給し、被滅菌物を滅菌処理するガス滅菌装置の運転制御方法であって、
滅菌に用いられる滅菌槽内の所定のガス濃度、所定の温度および所定の湿度を基準状態とするときのD値(D1)に基づいて、基準滅菌時間を設定しておき、滅菌工程中にガス濃度が低下したとき、この低下したガス濃度におけるD値(D2)が前記基準状態とするときのD値(D1)となるように、滅菌槽の温度を上昇させることを特徴とするガス滅菌装置の運転制御方法。
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