JP2012058644A - 無端状金属薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電鋳膜の内径が30mm以下になっても電鋳膜を円筒状金属母型からが容易に脱型することができる無端状金属薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部1aが設けられた本体部1と、(b)前記本体部1の細径部1aが着脱可能に嵌合される、内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部2b、を有する袴状部2aが上方に設けられると共にツバ状のフランジ2eが下方に設けられた下端部2と、で構成された円筒状母型10の外周に電鋳によって無端状金属薄膜(電鋳膜)25を形成した後、前記無端状金属薄膜25を持ち上げて前記円筒状母型10の下端部2を引き抜くように取り外して該無端状金属薄膜25の下端の内側近傍に空間を形成し、続いて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式による複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置における定着部材の基材として用いられる無端状金属薄膜を電鋳によって製造する無端状金属薄膜の製造方法に関する。
電子写真方式による複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、円筒状のローラーやベルトを加熱定着部品として、これを各種手段によって加熱し、トナー定着を行っている。前期円筒状ローラーやベルトの基材としては、ニッケル電鋳法によって製造された、シームレスで円筒状のニッケル電鋳皮膜が一般的に用いられている。
次に、トナー定着装置の一つである、QSU(短時間スタートユニット)による定着装置を説明する。
図8に示されているように、前記QSUによる定着装置には、中心部にハロゲンヒーター等の発熱部材101を設置した薄肉アルミ製の加熱パイプ102が設けられ、その加熱パイプ102内には、ステー103に固定された加圧用パッド104が設置されている。その加熱パイプ102の外周部には、内側に摺動層を形成し、外側に弾性層と離型層とを形成した、シームレスのニッケル電鋳製定着ベルト105が嵌合される。前記定着ベルト105と向き合って加圧ローラー106が設置されていて、前記加圧パッド104によって前記定着ベルト105と前記加圧ローラー106が接触され、この間をトナーの付着した紙107が通過される機構となっている。
前記定着ベルトの基材であるニッケル電鋳皮膜の厚さは、10μmを下回ると、基材としての強度が足りなくなり、60μmを超えるとベルトとしての柔軟性が低下するので、その膜厚は、好ましくは、10〜60μmであり、さらに好ましくは、20〜50μmである。その内側に、摺動層として厚さ15μmのポリイミド又はPFA層が積層され、その外周部に、弾性層として100〜200μm厚の発泡シリコーンゴム層が積層され、さらに、その外周部に、離型層として20〜40μm厚のPFAが積層されて、図9に示される定着ベルトとされている。
ニッケル電鋳法によって定着用ベルト基材を製造する方法としては、表面を鏡面加工し清浄化したSUS製などの円筒状母型をニッケル電鋳浴へ浸漬して通電し、ニッケルを円筒状母型表面に析出させてから浴外に引き上げ、析出したニッケル電鋳皮膜を円筒状母型から脱型し、上下をカットして必要な長さにするものが知られている。
ベルトの径が比較的大きな場合には、従来例にあるような、電鋳後に冷水に浸漬して熱膨張差を利用しての脱型や、電鋳浴組成や電鋳条件を調整して電鋳皮膜の内部応力を圧縮応力にし、電鋳皮膜が膨張することによって脱型する、といった手段が採用されている。なお、円筒状母型と無端状金属薄膜のクリアランスが、片側で8〜10μm(直径差にして16〜20μm)を超えていれば、前述の方法で脱型が可能であることが、本件特許の発明者の円筒電鋳での経験から判明している。
図5は、SUS製円筒とニッケル円筒が、温度が5℃から50℃に変化した時の、熱膨張によるニッケル円筒−SUS円筒間の直径の差を、前記円筒直径が30mmφ〜100mmφの間において、表したグラフである。なお、図5における50℃はニッケル電鋳時の浴温度で、5℃は電鋳後に浸漬する冷水温を示している。円筒母型の直径が100mmφ以上であれば、電鋳後に冷水で冷却すれば脱型が可能であることが、図5から見て取れる。実際には、本件特許の発明者が各種直径の円筒電鋳を実施した結果からも、それが正しいことがわかっている。しかし近年、複写機やプリンターのコンパクト化が急速に進み、部品として使用されるベルトやローラーなどの部品も、より小径化が要求されている。具体的には、前記QSUトナー定着装置のユニットでは、定着ベルトの直径は30mm以下が要求されている。
前述したように、このような小径では、熱膨張差のみでの脱型は困難となるので、さらに、電鋳浴組成や電鋳条件を調整して電鋳皮膜の内部応力を圧縮応力にし、電鋳皮膜が応力によって膨張する効果を追加した、脱型が利用されている。図6は、円筒状母型−電鋳皮膜間クリアランスと電鋳被膜内部応力との関係を、熱膨張差(ニッケル電鋳時の浴温度である50℃と室温である20℃との間)を加えた状態で示すグラフである。図6に示すように、直径が60mmφの円筒状母型では、応力が−20N/mm2程度でクリアランスが8μm超となる。しかし、前記QSUトナー定着装置のユニットでは、定着ベルトの直径は30mmφ以下が要求されている。直径が30mmφになると、クリアランス8μmを確保するためには、−50〜−60N/mm2 程度の圧縮応力が必要となる。
ニッケルの電鋳では、電鋳皮膜の結晶粒を微細化して光沢度を増す目的で、硫黄分を含むスルホン基を含有する1次光沢剤(サッカリンナトリウム、p−トルエンスルホンアミド、ナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸三ナトリウム、など)を添加するが、これらの添加によって電鋳皮膜を圧縮応力側にできる。ただし、大きな圧縮応力を得ようとして、前述の1次光沢剤を大量に添加すると、硫黄分が電鋳皮膜中に過剰に含有されるようになるので、硫黄脆性を起こし、そのために、電鋳皮膜の強度を著しく低下させることになる。
また、前述のような定着ベルトといった用途には、高い耐久性(通紙テスト200K回で傷、破損無し)と耐熱性(PFA離型層形成に350℃、30分)が要求される。電鋳浴中にりんやマンガン、コバルトをいった物質を微量添加し、電鋳皮膜中に0.01質量%から場合によっては5〜10質量%含有させることによって、加熱による結晶粒の粗大化を防ぎ、ニッケル電鋳皮膜の耐熱、耐久性を高めることができる。しかし、これらの物質が含有されると電鋳皮膜の内部応力は引張り側に動くので、大きな圧縮応力を得ることは難しい。具体的には、定着ベルト用基材として使用可能なニッケル電鋳皮膜を製作するときの皮膜内部応力は、高くても−30〜−40N/mm2 程度であるので、そのままでは、直径30mmφ以下の円筒母型からの脱型は困難である。
前記加熱定着部品の基材を電鋳によって製造する技術(次に示す特許文献1,2,3を参照。)は、既に、提案されている。
(1)特許文献1に記載された技術
前記特許文献1には、ニッケル電析膜中に0.01〜0.02質量%の硫黄と0.02質量%を超え0.05前記質量%未満のマンガンとを含有する電気鋳造製円筒状ニッケルベルトの製造において、円筒状金属母型の表面に形成したニッケル電析膜を剥離する際に、前記ニッケル電析膜の電着応力が0〜−50N/mm2の範囲の圧縮応力をかけて剥離・脱型することが記載されている。ここに記載された技術によれば、電鋳浴組成と電鋳条件によって、ニッケル電析膜を圧縮応力となるように調整すると、円筒状金属母型からの剥離、脱型時に、ニッケル電析膜の径が膨張するので、前記ニッケル電析膜と円筒状金属母型との隙間に圧縮空気を吹き付けて前記ニッケル電析膜と円筒状金属母型とを剥離させることができるが、前記ニッケルベルトの内径が40mmを下回り30mm以下になると、前記ニッケル電析膜と円筒状金属母型との隙間が小さくなるので、前記ニッケル電析膜が容易に剥離、脱型ができなくなるという問題があった。
(2)特許文献2に記載された技術
前記特許文献2には、円筒状金属母型を電解液中に浸漬して電気鋳造法により製造する円筒状継目無しニッケルベルトの製造方法において、前記電解液に、ニッケルのほかに周期表1族、6族、7族、8族から選ばれる少なくとも一種の金属元素を体積分率で10〜10000ppmの割合で含ませると、前記円筒状金属母型の表面に形成したニッケル電析膜の電着応力が、0〜49N/mm2 の圧縮応力を持って形成されることが記載されている。ここに記載された技術によれば、電鋳浴組成と電鋳条件によって、ニッケル電析膜を圧縮応力となるように調整すると、円筒状金属母型からの剥離、脱型時に、ニッケル電析膜の径が膨張するので、前記ニッケル電析膜と円筒状金属母型との隙間に圧縮空気を吹き付けて前記ニッケル電析膜と円筒状金属母型とを剥離させることがができるが、前記ニッケルベルトの内径が40mmを下回り30mm以下になると、前記ニッケル電析膜と円筒状金属母型との隙間が小さくなるので、前記ニッケル電析膜が容易に剥離、脱型ができなくなるという問題があった。
(3)特許文献3に記載された技術
前記特許文献3には、円筒状金属母型を電解液中に浸漬して電気鋳造法により製造する円筒状継目無しニッケルベルトの製造方法において、前記電解液に、ニッケルのほかにリンを0.05質量%以上、0.4質量%未満の含有率で、硫黄を0.01〜0.016質量%の含有率で、炭素を0.005〜0.01質量%の含有率で含有させることが記載されている。ここに記載された技術によれば、電鋳浴組成と電鋳条件とを調整し、電鋳後に母型を水中に浸漬して、ニッケル電析膜を円筒状金属母型から遊離させることにより剥離、脱型しているが、ニッケルベルトの内径が30mm以下になると、やはりニッケル電析膜と円筒状金属母型との隙間が小さくなるので、前記ニッケル電析膜が容易に剥離、脱型ができなくなるという問題があった。
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、電鋳膜の内径が30mm以下になっても電鋳膜を円筒状金属母型からが容易に脱型することができる無端状金属薄膜の製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、(a)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部が設けられた本体部と、(b)前記本体部の細径部が着脱可能に嵌合される、内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部、を有する袴状部が上方に設けられると共にツバ状のフランジが下方に設けられた下端部と、で構成された円筒状母型の外周に電鋳によって無端状金属薄膜を形成した後、前記無端状金属薄膜を持ち上げて前記円筒状母型の下端部を引き抜くように取り外して該無端状金属薄膜の下端の内側近傍に空間を形成し、続いて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させることを特徴とする無端状金属薄膜の製造方法。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記円筒状母型の本体部分における上端部分に設けられた上部絶縁部の下部分に逆くさび状の絶縁コート部を設けてそのきっかけ部分から前記無端状金属薄膜(電鋳皮膜)をテープ状に剥離することを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記円筒状母型の下端部を外した後、前記フランジに対応する前記無端状金属薄膜の下端部分を該フランジに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させると共に、前記逆くさび形状の絶縁コート部のすぐ下部分を円筒状母型と同じ内径とする半円のかしめ二つで対向するようにして押さえて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記円筒状母型に相対する位置に少なくともひとつ以上のアノードを設置すると共に、前記円筒状母型の下端部に対応する相対する位置に少なくともひとつ以上のアノードを設置し、そして、前記円状筒母型の下端部と下端部用のアノードとには、前記円筒状母型とは独立した整流器を設けて、前記円筒状母型に電鋳する際の電流密度より高い電流密度で電鋳を行うことにより、前記無端状金属薄膜の下端部の電鋳厚さが、前記円筒状母型の本体部に形成される電鋳厚さより厚くなるようにすることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記フランジに対応する無端状金属薄膜の下端部を該フランジに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部から隙間ができないように押し付けて密着させて前記円筒状母型の下端部があった空間に気体を高圧で吹き込むことを特徴とするものである。
請求項1に記載された発明によれば、(a)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部が設けられた本体部と、(b)前記本体部の細径部が着脱可能に嵌合される、内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部、を有する袴状部が上方に設けられると共にツバ状のフランジが下方に設けられた下端部と、で構成された円筒状母型の外周に電鋳によって無端状金属薄膜(電鋳皮膜)を形成した後、前記無端状金属薄膜を持ち上げて前記円筒状母型の下端部を引き抜くように取り外して該無端状金属薄膜の下端の内側近傍に空間を形成し、続いて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させるので、無端状金属薄膜の内径が30mm以下になっても無端状金属薄膜を円筒状金属母型からが容易に脱型することができる無端状金属薄膜とすることができる。
請求項2に記載された発明によれば、前記円筒状母型の本体部分における上端部分に設けられた上部絶縁部の下部分に逆くさび状の絶縁コート部を設けてそのきっかけ部分から前記無端状金属薄膜(電鋳皮膜)をテープ状に剥離するので、前記円筒状母型から無端状金属薄膜を容易に脱型することができる。
請求項3に記載された発明によれば、前記円筒状母型の下端部を外した後、前記フランジに対応する前記無端状金属薄膜の下端部分を該フランジに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させると共に、前記逆くさび形状の絶縁コート部のすぐ下部分を円筒状母型と同じ内径とする半円のかしめ二つで対向するようにして押さえて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させるので、前記円筒状母型の下端部を外した時の第一のテーパ部の隙間から前記円筒状母型と前記無端状金属薄膜との間に気体がスムーズに入り込むことによって隙間ができ、そのために、無端状金属薄膜を円筒状金属母型から容易に離型させることができ、よって、前記円筒状母型から無端状金属薄膜を容易に脱型することができる。
請求項4に記載された発明によれば、前記円筒状母型に相対する位置に少なくともひとつ以上のアノードを設置すると共に、前記円筒状母型の下端部に対応する相対する位置に少なくともひとつ以上のアノードを設置し、そして、前記円状筒母型の下端部と下端部用のアノードとには、前記円筒状母型とは独立した整流器を設けて、前記円筒状母型に電鋳する際の電流密度より高い電流密度で電鋳を行うことにより、前記無端状金属薄膜の下端部の電鋳厚さが、前記円筒状母型の本体部に形成される電鋳厚さより厚くなるようにするので、前記円筒状母型の下端部を外す際に前記無端状金属薄膜破いたり破損させたりすることはない。
請求項5に記載された発明によれば、前記フランジに対応する無端状金属薄膜の下端部を該フランジに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部から隙間ができないように押し付けて密着させて前記円筒状母型の下端部があった空間に気体を高圧で吹き込むので、前記円筒状母型から無端状金属薄膜をいそう容易に脱型することができる。
本発明の一実施の形態を示す無端状金属薄膜の製造方法に用いられる円筒状母型のであって、(a)は、斜視図であり、(b)は、側面図であり、そして、(c)は、一部断面図である。 本発明の一実施の形態を示す無端状金属薄膜の製造方法に用いられる電鋳装置の模式図である。 本発明の一実施の形態を示す無端状金属薄膜の製造方法に用いられる円筒状母型及びアノードの設置の様子を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態を示す無端状金属薄膜の製造方法に用いられる円筒状母型の脱型の様子を示す断面説明図である。 SUS製円筒とニッケル円筒が、温度が5℃から50℃に変化した時の、熱膨張によるニッケル円筒−SUS円筒間の直径の差を、前記円筒直径が30mmφ〜100mmφの間で表したことを示すグラフである。 円筒状母型−電鋳皮膜間クリアランスと鋳被膜内部応力との関係を示すグラフである。 電鋳皮膜厚が35μmの場合の、エアー圧力とニッケル電鋳皮膜直径変動(無端状金属薄膜直径変動)との関係を、電鋳皮膜の直径が30mmφ、40mmφ、及び60mmφの場合で示すグラフである。 QSUトナー定着装置の概略図である。 定着ベルトの拡大層断面図である。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,4に示されているように、本発明の「無端状金属薄膜の製造方法」は、(a)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部1aが設けられた本体部1と、(b)前記本体部1の細径部1aが着脱可能に嵌合される、内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部2b、を有する袴状部2aが上方に設けられると共にツバ状のフランジ2eが下方に設けられた下端部2と、で構成された円筒状母型10の外周に電鋳によって無端状金属薄膜(電鋳膜)25を形成した後、前記無端状金属薄膜25を持ち上げて前記円筒状母型10の下端部2を引き抜くように取り外して該無端状金属薄膜25の下端の内側近傍に空間を形成し、続いて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させることよりなる。
前記細径部1aは、円筒状の本体部1の外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くして第一のテーパ部1fを形成することによって設けられる。前記凹部2bは、前記袴状部2aの内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を広くして第二のテーパ部2cを形成することによって設けられる。前記下端部2には、前記袴状部2aの外側上端から始まる前記下端部2の外周を一周する滑らかな末広がり状に広がった第三のテーパ部2dを介して繋がったツバ状のフランジ2eが設けられている。
このように、(a)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部1aが設けられた本体部1と、(b)前記本体部1の細径部1aが着脱可能に嵌合される、内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部2b、を有する袴状部2aが上方に設けられると共にツバ状のフランジ2eが下方に設けられた下端部2と、で構成された円筒状母型10の外周に電鋳によって無端状金属薄膜(電鋳皮膜)25を形成した後、前記無端状金属薄膜25を持ち上げて前記円筒状母型10の下端部2を引き抜くように取り外して該無端状金属薄膜25の下端の内側近傍に空間を形成し、続いて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで脱型させると、無端状金属薄膜の内径が30mm以下になっても無端状金属薄膜25を円筒状金属母型10から容易に脱型することができる無端状金属薄膜25とすることができる。
本発明においては、前記円筒状母型10の本体部分1における上端部分に設けられた上部絶縁部1bの下部分に逆くさび状の絶縁コート部1eを設けてそのきっかけ部分から前記無端状金属薄膜(電鋳皮膜)25をテープ状に剥離する。このように、前記円筒状母型10の本体部分1における上端部分に設けられた上部絶縁部1bの下部分に逆くさび状の絶縁コート部1eを設けてそのきっかけ部分から前記無端状金属薄膜25をテープ状に剥離すると、前記円筒状母型10から無端状金属薄膜25を容易に脱型することができる。
本発明においては、前記円筒状母型10の下端部2を外した後、前記フランジ2eに対応する前記無端状金属薄膜25の下端部分を該フランジ2eに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させると共に、前記逆くさび形状の絶縁コート部1eのすぐ下部分を円筒状母型10と同じ内径とする半円のかしめ24二つで対向するようにして押さえて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで離型させる。このように、前記円筒状母型10の下端部2を外した後、前記フランジ2eに対応する前記無端状金属薄膜25の下端部分を該フランジ2eに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させると共に、前記逆くさび形状の絶縁コート部1eのすぐ下部分を円筒状母型10と同じ内径とする半円のかしめ24二つで対向するようにして押さえて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで離型させると、前記円筒状母型10の下端部2を外した時の第一のテーパ部1fの隙間から前記円筒状母型と前記無端状金属薄膜との間に気体がスムーズに入り込むことによって隙間ができ、そのために、無端状金属薄膜を円筒状金属母型から容易に離型させることができ、よって、前記円筒状母型から無端状金属薄膜を容易に脱型することができる。
図2に示されているように、本発明においては、前記円筒状母型10に相対する位置に少なくともひとつ以上のアノード13を設置すると共に、前記円筒状母型10の下端部2に対応する位置に少なくともひとつのアノード14を設置し、そして、前記円状筒母型10の下端部2と下端部2用のアノード14とには、前記円筒状母型10とは独立した整流器15を設けて、前記円筒状母型10に電鋳する際の電流密度より高い電流密度で電鋳を行うことにより、前記無端状金属薄膜25の下端部2の電鋳厚さが、前記円筒状母型10の本体部1に形成される電鋳厚さより厚くなるようにする。
図4に示されているように、本発明においては、前記フランジ2eに対応する無端状金属薄膜25の下端部分を該フランジ2dに対応した大きさの円筒状の押さえ具22,23で上下部から隙間ができないように押し付けて密着させて前記円筒状母型10の下端部2があった空間に気体を高圧で吹き込む。このように、前記フランジ2eに対応する無端状金属薄膜25の下端部分を該フランジ2dに対応した大きさの円筒状の押さえ具22,23で上下部から隙間ができないように押し付けて密着させて前記円筒状母型10の下端部2があった空間に気体を高圧で吹き込むと、前記円筒状母型10から無端状金属薄膜25をいそう容易に脱型することができる。
次に、本発明の無端状金属薄膜(電鋳皮膜)の製造方法を、ニッケルで構成される無端状金属薄膜(電鋳皮膜)の製造方法によって、詳しく説明する。
図1に示されているように、ニッケルで構成される無端状金属薄膜(電鋳皮膜)の製造方法に用いられる円筒状母型10を構成する材料としては、SUS材の300番系列の材料が最も適している。その他には、アルミ材で構成される円筒状母型10も使用できる。前記円筒状母型10の最上部には、牽吊用電極1cが設置されている。この牽吊用電極1cの部分は電鋳浴に浸漬されない。前記円筒状母型10の上端部1dから該円筒状母型10を電鋳浴に浸漬した時に、電鋳浴液面の高さから下に約20mmになるところまでの上部絶縁部1bは、絶縁コーティングされているが、この部分には電鋳皮膜25が析出しないようになっている。上部絶縁部1bのすぐ下の部分には、縦の幅が5〜10mmの逆くさび形状の絶縁コート部1eを形成して、電鋳皮膜25を形成後、前記円筒状母型10からの脱型する際に、この部分をきっかけに前記の幅で円筒に沿ってテープ状に電鋳皮膜25の上部を剥離し、脱型できるようにする。
また、円筒状母型10の下端部2を着脱可能とし、かつ、該下端部2は、円筒を一周するツバ状のフランジ2eを持ち、該フランジ2eは、下端部2の円筒から滑らかなアール状の広がりによって繋がるようにする。前記円筒状母型10の本体部1と下端部2とは電気的に導通しており絶縁されていない。前記フランジ2eのツバ端部及び下部は、絶縁コーティングされており、これらの部分には、電鋳皮膜25が析出しないようになっている。前記円筒状母型10の本体部1と下端部2との接合部は、該本体部1の側が細径部1aの形成による凸とされ、この凸に相対する下端部2の側が袴状部2aの形成による凹とされていて、前記円筒状母型10の本体部1の側が円周の径が先端に向けて細くなる第一テーパーとされ、下端部2の側が先端に向けて円周の径が太くなる第二のテーパー2cとされ、そして、隙間やがたつき無く嵌合するようにされている。さらに、接合部の接ぎ部分は、極力滑らか加工し、段差の無いようにしておく。前記円筒状母型10全体の長さは、定着時に通紙する紙のサイズがA4横の場合には、円筒上下の電鋳皮膜25の厚さが均一にならない部分をカットすることを想定して、450mm程度とする。前記円筒状母型10の表面は、電鋳皮膜25が容易に脱型できるように、その表面粗さRaが0.1μm以下になるように表面加工する。前記円筒状母型10は電鋳前に母型側面を不織布で払拭洗浄した後に脱脂、酸洗浄しておく。
前記円筒状母型10には、例えば、図2に示される電鋳装置100を用いて、ニッケル電鋳を実施する。
図3に示されるように、前記電鋳装置100には、前記円筒状母型10と相対する位置に少なくともひとつ以上、好ましくは、2〜4個のアノード13を設置する。前記アノード13は、前記円筒状母型10を垂直に立てた状態を真上から見て、90°〜180°ごとに設置される。アノード13の下部には、前記円筒状母型10の下端部2と相対する位置に、少なくともひとつ以上、好ましくは、2〜4個のアノード14を設置し、前記前記円筒状母型10の下端部2と下部アノード14とには、前記円筒状母型10に電鋳するための整流器19とは独立した整流器15を設ける。このようにすることで、前記円筒状母型10の下端部2にかかる電流量を独自に調整でき、電流集中によって電鋳皮膜25の膜厚が変動しやすい前記円筒状母型10の下端部2に形成される電鋳皮膜2の膜厚を均一にできる。前記アノード15,19は、チタンなど耐食性のある金属材料でバスケット状の形状をしたものに、ニッケル溶出性の良好なSラウンドニッケルやSペレットニッケルを入れ、これらをアノードバックで覆って、前記アノード15,19の溶出に伴って発生するスラッジが電鋳浴内に混入するのを防ぐ。前記電鋳装置100の下部には、液噴出ノズル16が設置されてていて、フィルター17を通してろ過された新しい電鋳浴が、前記円筒状母型10に吹き付けられるようになっている。また、前記電鋳装置100には補助タンク21を設置し、そこでダミーの電極を入れて、0.1〜1A/dm2程度の弱い通電を常に行って、電鋳浴内の重金属等の不純物の除去を行う。
前記電鋳装置100にて使用するニッケル電鋳浴は、基本的にはニッケル塩(硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル)と、pH緩衝剤(ほう酸、クエン酸)、アノード溶出促進剤としてニッケルハロゲン化物(塩化ニッケル、臭化ニッケル)、その他の添加剤、の構成になっている。後記する本件発明の実施例では、ニッケル塩として引張り応力側になりづらく高速電鋳が可能なスルファミン酸ニッケルを500〜550g/l、pH緩衝剤としてほう酸を30〜35g/l、ニッケルハロゲン化物として低応力の臭化ニッケルを2〜5g/l、を基本の浴組成(後述する実施例1を参照。)とする。その他の添加剤としては、1次光沢剤としてp−トルエンスルホンアミドを0.08g/l、2次光沢剤として2−ブチン−1,4−ジオールを0.1g/l、電鋳皮膜の耐熱性向上のために次亜りん酸ナトリウムを0.15〜0.3g/l、の構成とする。電鋳浴のpHは3.5〜4.5、電鋳時の浴温度は55±3℃に調整する。
次に、ニッケル電鋳を実施する手順を説明する。
前記円筒状母型10の前記上部絶縁部:9の下端が電鋳浴液面から約20mm沈む位置に円筒状母型を浸漬させ、通電を開始する。円筒状母型は、浸漬中は30〜80r/min.の回転数で回転させる。前記円筒状母型10の浸漬後、約10秒間無通電状態で該円筒状母型10の表面を電鋳浴になじませてから、30秒〜1分間程度、0.5〜1A/dm2程度の弱い通電を行い、その後4〜6A/dm2程度にまで電流密度を上げてから、所定の膜厚(本実施例では約35μm)に到達するまでの時間(約24〜36分間)、通電を続ける。前記下端部2と前記アノード12に繋がった整流器15には、前記円筒状母型よりやや低めの3〜5A/dm2の電流密度で通電し、同じ時間通電を続ける。これにより、下端部の皮膜厚は、下部への電流密度分布の集中効果があっても、円筒状母型側とほぼ同じ皮膜厚になる。
通電終了後、電鋳皮膜25が形成された円筒状母型10を電鋳浴から引き上げ、水洗する。その後、前記円筒状母型10の下端部2のフランジ2eの端部に形成された電鋳皮膜25を上に持ち上げるようにして前記円筒状母型10の下端部2から剥離して、該円筒状母型10の下端部2を円筒状母型10から引き抜くようにして外す(図4を参照。)。前記下端部2を外した後、該フランジ2eの部分の電鋳皮膜25を該フランジ2eに対応した大きさの円筒上の押さえ具22,23で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させる。また、前述の逆くさび形状の絶縁コート部1eのすぐ下部分を前記円筒状母型10と同じ内径を持つ半円状のかしめ24二つで対向するようにして押さえる。この状態で、前記下端部2があった空間にドライエアなどの気体を高圧で吹き込む(図4を参照。)。これによって、前述の下端部2を外した時の第一のテーパ部の隙間(図4の矢印部分を参照。)から、前記円筒状母型10と前記電鋳皮膜25の間に気体がスムーズに入り込んでクリアランスができる。このようなテーパー状の隙間が無いと、エアが前記円筒状母型10と前記電鋳皮膜25との間に入るきっかけが無いため、最悪クリアランスができる前に、高圧によって電鋳皮膜が破れるおそれがある。
この際、前記このかしめ24によって前記電鋳皮膜25の上部を円周状に押さえ付けることにより、後述のドライエア吹き込み時にこの部分でエアが留まり、前記電鋳皮膜25が膨張して均等なクリアランスを形成できる。つまり、前記円筒状母型10と前記電鋳皮膜25の一部空間のみにエアが抜けてその部分のみにクリアランスができてしまい、結果として脱型できなくなる事態を防ぐことができる。
図7は、電鋳皮膜厚が35μmの場合のエアー圧力とNi電鋳膜径変動との関係を示すグラフである。径が30mmの電鋳皮膜の場合、エア圧力を4kgf/cm2 以上かければ径で16μmを超える(クリアランスで片側8μm超)変動となる。この状態で、逆くさび形状の絶縁コート部1eのきっかけ部分から、円筒に沿って電鋳皮膜10の上部をテープ状に剥離し(図1(b)を参照。)、その後、前記かしめ24を緩めて、前記円筒状母型10から電鋳皮膜10を脱型する。このような方法を用いることで、前記電鋳皮膜10の内部応力や熱膨張差を利用しなくても、前記円筒状母型10から電鋳皮膜10をスムーズに脱型できる。脱型した電鋳皮膜10は、その上部及び下部の皮膜厚さの均一でない部分をカットして、定着ベルト用基材として使用できるようになる。また、このようにして形成されたニッケルで構成される電鋳皮膜25には、主成分としてのニッケルの他に、りんが0.5〜0.7質量%含有されている。そのため、前述のPFA離型層形成に350℃、30分の熱処理をかけても、200K回の通紙テストの実施後も電鋳皮膜25に傷や折れといった欠陥が見られなくなる。
(実施例1)
(1)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部が設けられたSUS310で構成された円筒状母型の本体部の上部に絶縁コーティングして上部絶縁部を形成し、その上部絶縁部のすぐ下の部分に縦の幅が5〜10mmの逆くさび形状の絶縁コート部を形成した。この円筒状母型の本体部における細径部を「前記本体部の細径部が着脱可能に嵌合される、内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部、を有する袴状部が上方に設けられると共に円筒を一周するツバ状のフランジが下方に設けられた下端部」における袴状部の凹部に勘合させて円筒状母型とした。前記円筒状母型の本体部の相対する位置にアノードを設け、前記円筒状母の型下端部と相対する位置にもアノードを設置設け、そして、前記下端部及び前記下端部に設けられたアノードには、前記円筒状母型とは独立した整流器をそれぞれ設けることによって、前記下端部にかかる電流量を独自に調整できるようにする電鋳装置とした。
(2)前記電鋳装置における電鋳層にスルファミン酸ニッケル550〜550g/l、ほう酸30〜35g/l、臭化ニッケル2〜5g/l、第一光沢剤0.08g/l、第二光沢剤0.1g/l、及び、次亜りん酸ナトリウム0.2g/lよりなる電解液を入れて電鋳浴とした後、その電鋳浴のpHを3.5〜4.5とし、浴温度を55±3℃に調整してた電鋳浴とした。この電鋳浴に前記円筒状母型をの浸漬した後、約10秒間無通電状態で円筒状母型の表面を電鋳浴になじませてから、30秒〜1分間程度、0.5〜1A/dm2程度の弱い通電を行い、その後4〜6A/dm2 程度にまで電流密度を上げてから、約18〜28分間通電を続けた。前記円筒状母型の下端部と下部アノードに繋がった整流器には、3〜5A/dm2 の電流密度で同時間通電した。これにより、電鋳皮膜は要求値の32μmとなり、また、下端部の皮膜厚は、下部への電流密度分布の集中があっても、円筒状母型側とほぼ同じで均一な皮膜厚となった。そして、前記円筒状母型の下端部のフランジ端部に形成された電鋳皮膜を上に持ち上げるようにして該下端部から剥離して、該下端部を円筒状母型から引き抜くようにして外した。前記下端部の形状が滑らかなアールを持った末広がり状のフランジ形状になっているので、該下端部から電鋳皮膜を外す時に電鋳皮膜が破れたりして破損することなく、スムーズに外すことが可能であった。
(3)前記下端部を外した後、該フランジ部分の電鋳皮膜を、フランジに対応した大きさの円筒状状の押さえ具で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させ、前記逆くさび形状の絶縁コート部のすぐ下部分を、円筒状母型と同じ内径を持つ半円のかしめ二つで、対向するようにして押さてえた後、前記下端部があった空間にドライエアを高圧で吹き込んだ。これによって、前記下端部を外した時の第一のテーパ部の隙間から、前記円筒状母型と前記電鋳皮膜との間に気体がスムーズに入り込んで、均一なクリアランスができた。この状態で、前記逆くさび形状の絶縁コート部のきっかけを使って、円筒状に沿ってテープ状に電鋳皮膜の上部を剥離し(図1(b)を参照。)、その後、前記のかしめを外してから、円筒状母型を抜き取ったところ、スムーズに脱型できた。このようにして形成されたニッケル電鋳皮膜には、りんが0.5〜0.7質量%含有されていたので、350℃、30分の熱処理後の、200K回の通紙テストを実施しても、電鋳皮膜に傷や折れといった欠陥は見られなかった。
このようにして形成されたニッケル電鋳皮膜には、りんが0.5〜0.7質量%含有された。そのため、350℃、30分の熱処理後の、200K回の通紙テストを実施しても、電鋳皮膜に傷や折れといった欠陥は見られなかった。
(実施例2)
アルミニウムで構成された円筒状母型の上端部及び下端部を実施例1と同様の形状に加工して形成した。前記円筒状母型の上端部及び下端部の側面の表面を、表面粗さRaが0.1μm以下になるように表面加工した後、これらの表面にクロム電鋳によってクロム皮膜を形成した。この円筒状母型の上端部及び下端部の側面の表面を30〜50g/リットル、液温約50℃の水酸化ナトリウム水溶液中に30秒〜1分間浸漬してエッチング処理した後水洗した。そして、前記エッチング処理した円筒状母型の上端部及び下端部を20〜30重量%、室温の硝酸水溶液に約1分間浸漬して表面のスマットを除去した後、奥野製薬社製、サブスターZN−111 500ml/lを含有する室温の水溶液に40〜60秒間浸漬して、前記円筒状母型の上端部及び下端部その表面にジンケート処理剤による亜鉛置換処理を行った。次に、前記円筒状母型の上端部及び下端部を、その表面を水洗してから、20〜30重量%、室温の硝酸水溶液に約1分間浸漬して、該表面の亜鉛皮膜を一度除去し、その後、再度、同一の条件で、ジンケート処理を行うことによって、前記表面に微細で緻密な亜鉛皮膜を形成した。続いて、前記円筒状母型の上端部及び下端部を無粋クロム酸250〜300g/l、けいふっ化ナトリウム15〜20g/l、硫酸0.5〜1g/l、浴温40〜50℃のクロム電鋳浴に浸漬し、20〜60r/min.で回転させながら、10〜20A/dm2 で10〜20分間通電して、クロム皮膜を10〜20μm析出させた。なお、アノードにはアンチモンを2〜5質量%含有した鉛合金を用いた。このような構成の円筒状母型を用いた以外は、実施例1と同様にして、ニッケル電鋳法によってニッケル電鋳皮膜を形成した。このようにして形成されたニッケル電鋳皮膜には、350℃、30分の熱処理後の、200K回の通紙テストを実施しても、実施例1と同様に、電鋳皮膜に傷や折れといった欠陥は見られなかった。
(実施例3)
ニッケル電鋳浴を、ニッケル塩として引張り応力側になりづらく高速電鋳が可能なスルファミン酸ニッケルを500〜550g/l、ほう酸を30〜35g/l、臭化ニッケル2〜5g/l、第一光沢剤0.08g/l、第二光沢剤0.1g/l、及び、硫酸コバルトとした以外は、実施例1と同様にして、ニッケル電鋳法によってニッケル電鋳皮膜を形成した。このようにして形成されたニッケル電鋳皮膜には、主成分としてのニッケルの他に、コバルトが0.03〜0.06質量%含有されている。そのため、前述のPFA離型層形成に350℃、30分の熱処理をかけても、実施例1と同様に、200K回の通紙テストの実施後も電鋳皮膜に傷や折れといった欠陥は見られなかった。
(実施例4)
前記円筒状母型の本体部を前記電鋳浴に浸漬した後、無通電状態で該本体部の表面を該電鋳浴に約10秒間なじませてから、30秒〜1分間程度、0.5〜1A/dm2 程度の弱い通電を行い、その後、4〜6A/dm2 程度にまで電流密度を上げてから、13〜20分間通電を続け、そして、前記円筒状母型の下端部及び下部アノードに繋がった整流器には、倍の8〜12A/dm2 にまで電流密度を上げて、13〜20分間通電を続けた以外は、このような構成の円筒状母型を用いた以外は、実施例1と同様にして、ニッケル電鋳法によってニッケル電鋳皮膜を形成した。このようにして得たニッケル電鋳皮膜の下端部の皮膜厚は、下部への電流密度分布の集中効果によって、前記円筒状母型の本体側の皮膜厚の倍以上となっていることがわかった。このニッケル電鋳皮膜は、この後実施例1度同様の脱型の工程を実施したが、下端部側の電鋳皮膜が厚くなっているので、電鋳皮膜が破れたり折れたりして破損することなく、スムーズに脱型が完了した。
1 本体部
1a 細径部
1b 上部絶縁部
1c 牽吊用電極
1d 電極
1e 絶縁コート部
1f 第一のテーパ部
2 下端部
2a 袴状部
2b 凹部
2c 第二のテーパ部
2d 第三のテーパ部
2e フランジ
10 円筒状母型
13,14 アノード
15,19 整流器
16 ノズル
17 フィルター
18 浴循環ポンプ
20 電鋳漕
21 補助タンク
22,23 押さえ具
24 かしめ
25 無端状金属薄膜(電鋳皮膜)
100 電鋳装置
特開2006−257548号公報 特開2006−84718号公報 特開2006−47766号公報

Claims (5)

  1. (a)外側の下端近傍から下端にかけて漸次円周の径を細くした細径部が設けられた本体部と、(b)前記本体部の細径部を着脱可能に嵌合する内側の下端から上端にかけて漸次円周の径を太くした凹部を有する袴状部が上方に設けられると共にツバ状のフランジが下方に設けられた下端部と、で構成された円筒状状母型の外周に電鋳によって無端状金属薄膜を形成した後、前記無端状金属薄膜を持ち上げて前記円筒状母型の下端部を引き抜くように取り外して該無端状金属薄膜の下端の内側近傍に空間を形成し、続いて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで離型させることを特徴とする無端状金属薄膜の製造方法。
  2. 前記円筒状母型の本体部分における上端部分に設けられた上部絶縁部の下部分に逆くさび状の絶縁コート部を設けてそのきっかけ部分から前記無端状金属薄膜をテープ状に剥離することを特徴とする請求項1に記載の無端状金属薄膜の製造方法。
  3. 前記円筒状母型の下端部を外した後、前記フランジに対応する前記無端状金属薄膜の下端部分を該フランジに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部に隙間ができないように押し付けて密着させると共に、前記逆くさび形状の絶縁コート部のすぐ下部分を円筒状母型と同じ内径とする半円のかしめ二つで対向するようにして押さえて、前記空間に気体を高圧で吹き込んで離型させることを特徴とする請求項2に記載の無端状金属薄膜の製造方法。
  4. 前記円筒状母型に相対する位置に少なくともひとつ以上のアノードを設置すると共に、前記円筒状母型の下端部に対応する相対する位置に少なくともひとつ以上のアノードを設置し、そして、前記円状筒母型の下端部と下端部用のアノードとには、前記円筒状母型とは独立した整流器を設けて、前記円筒状母型に電鋳する際の電流密度より高い電流密度で電鋳を行うことにより、前記無端状金属薄膜の下端部の電鋳厚さが、前記円筒状母型の本体部に形成される電鋳厚さより厚くなるようにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端状金属薄膜の製造方法。
  5. 前記フランジに対応する無端状金属薄膜の下端部を該フランジに対応した大きさの円筒状の押さえ具で上下部から隙間ができないように押し付けて密着させて前記円筒状母型の下端部があった空間に気体を高圧で吹き込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無端状金属薄膜の製造方法。
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