JP2012057628A - 内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置 - Google Patents

内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノーマルクローズ型の電磁弁を備えた高圧燃料ポンプを用いて、高回転時まで精度良く燃圧制御を可能とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置を提供する。
【解決手段】流体の吸入通路と、流体の吐出通路と、吸入通路と吐出通路とを繋ぐ加圧室と、加圧室内の流体を吐出通路に圧送する加圧部材と、吐出通路内に設けられた吐出弁と、吸入通路内に設けられ、通電時に開弁する電磁弁とを有するポンプを制御する制御装置において、電磁弁を駆動するON信号を出力するための基準信号をポンプの圧縮行程におくことを特徴とする制御装置である。
【選択図】 図34

Description

本発明は、自動車等に搭載される内燃機関の装置に係り、特に高圧燃料ポンプを備えた高圧燃料供給装置に関する。
現在の自動車は、環境保全の観点から自動車の排出ガスに含まれる一酸化炭素(CO),炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)等の排出ガス物質の削減が求められており、これらの削減を目的として、筒内噴射エンジンの開発が行われている。筒内噴射エンジンは、燃料噴射弁による燃料噴射を気筒の燃焼室内に直接行うものであり、燃料噴射弁から噴射される燃料の粒径を小さくさせることによって噴射燃料の燃焼を促進し、排出ガス物質の削減及びエンジン出力の向上等を図っている。
ここで、燃料噴射弁から噴射される燃料の粒径を小さくするためには燃料の高圧化を図る手段が必要になり、燃料噴射弁に高圧の燃料を圧送する高圧燃料ポンプの技術が各種提案されている。
例えば、特許文献1においては、ノーマルクローズ型の電磁弁を備えた高圧燃料ポンプにかかる技術が提案されている。
特開2006−250086号公報
ノーマルクローズ型の電磁弁を備えた高圧燃料ポンプは、高圧燃料ポンプ制御装置内位相演算部で適切な通電開始・終了要求位相を演算し、制御装置内駆動信号出力部において要求位相通りに通電開始,終了を実施しなければ意図しない蓄圧室(以下、コモンレールと呼ぶ)内の昇圧・降圧が発生し、最適な燃焼を実現するために目標とする燃料圧力とならず燃焼の安定性および排出ガス性能の悪化を招く。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ノーマルクローズ型の電磁弁を備えた高圧燃料ポンプ装置において、制御装置内位相演算部で適切な通電開始・終了要求位相を演算し、制御装置内駆動信号出力部において要求位相通りに通電開始,終了を実施することにより燃料システムの安定化,燃焼の安定化及び排出ガス性能の改善に貢献する内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置を提供することである。
流体の吸入通路と、流体の吐出通路と、吸入通路と吐出通路とを繋ぐ加圧室と、加圧室内の流体を吐出通路に圧送する加圧部材と、吐出通路内に設けられた吐出弁と、吸入通路内に設けられ、通電時に開弁する電磁弁とを有するポンプを制御する制御装置において、 電磁弁を駆動するON信号を出力するための基準信号をポンプの圧縮行程におくことを特徴とする制御装置である。
本発明にかかる内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置は、制御装置内位相演算部で適切な通電開始・終了要求位相を演算し、制御装置内駆動信号出力部において要求位相通りに通電開始,終了を実施することが可能となるので、燃料システムの安定化,燃焼の安定化及び排出ガス性能の改善に貢献することができる。
本実施形態の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置を備えたエンジンの全体構成図。 図1のエンジン制御装置の内部構成図。 図1の高圧燃料ポンプを備えた燃料系システムの全体構成図。 図3の高圧燃料ポンプの縦断面図。 図3の高圧燃料ポンプの動作タイミングチャート。 図5の動作タイミングチャートの補足説明図。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御ブロック図。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御ブロック図。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御ブロック図。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御ブロック図。 図3の高圧燃料ポンプの吐出量特性。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御状態遷移図。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御ブロック図。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明制御タイムチャート。 図1の内燃機関制御装置による本発明の効果の一例を説明する図。
以下、図面に基づき本発明の内燃機関における高圧燃料供給制御装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の筒内噴射エンジン507の制御システム全体構成を示したものである。筒内噴射エンジン507は4気筒からなるが、ここではその中のひとつについて説明する。シリンダ507bに導入する空気は、エアクリーナ502の入口部から取り入れられ、空気流量計(エアフロセンサ503)を通り、吸気流量を制御する電制スロットル弁505aが収容されたスロットルボディ505を通ってコレクタ506に入る。コレクタ506に吸入された空気は、筒内噴射エンジン507の各シリンダ507bに接続された各吸気管501に分配された後、ピストン507a,シリンダ507b等によって形成される燃焼室507cに導かれる。また、エアフロセンサ503からは、吸気流量を表す信号が本実施形態の高圧燃料ポンプ制御装置を有するエンジン制御装置(コントロールユニット515)に出力されている。さらに、スロットルボディ505には、電制スロットル弁505aの開度を検出するスロットルセンサ504が取り付けられており、その信号もコントロールユニット515に出力されるようになっている。
一方、ガソリン等の燃料は、燃料タンク50から低圧燃料ポンプ51により一次加圧されて燃圧レギュレータ52により一定の圧力(例えば3kg/cm2)に調圧されるとともに、後述する高圧燃料ポンプ1でより高い圧力(例えば50kg/cm2)に2次加圧され、コモンレール53を介して各シリンダ507bに設けられている燃料噴射弁(以下、インジェクタ54と呼ぶ)から燃焼室507cに噴射される。燃焼室507cに噴射された燃料は、点火コイル522で高電圧化された点火信号により点火プラグ508で着火される。
筒内噴射エンジン507のクランク軸507dに取り付けられたクランク角センサ(以下ポジションセンサ516と呼ぶ)は、クランク軸507dの回転位置を表す信号をコントロールユニット515に出力する。また、排気弁526の開閉タイミングを可変にする機構に備えられたカム軸(図示省略)に取り付けられたカム角センサ(以下フェーズセンサ511と呼ぶ)は、カム軸の回転位置を表す角度信号をコントロールユニット515に出力するとともに、排気弁526のカム軸の回転に伴って回転する高圧燃料ポンプ1のポンプ駆動カム100の回転位置を表す角度信号をもコントロールユニット515に出力する。
コントロールユニット515の主要部を図2に示す。コントロールユニット515は、MPU603,EP−ROM602,RAM604及びA/D変換器を含むI/OLSI601等で構成され、ポジションセンサ516,フェーズセンサ511,水温センサ517,アクセルセンサ(図示省略),空燃比センサ518,エアフロセンサ503,燃圧センサ56,イグニションスイッチ(図示せず)を含む各種のセンサ等からの信号を入力として取り込む。その後、所定の演算処理を実行し、この演算結果として算定された各種の制御信号をアクチュエータである高圧ポンプソレノイド200,低圧燃料ポンプ51,各インジェクタ54,点火コイル522,電制スロットル弁505a等に供給して、燃料吐出量の制御,燃料噴射量の制御及び点火時期の制御等を実行するものである。
図3は、高圧燃料ポンプ1を備えた燃料系システムの全体構成図を示し、図4は、高圧燃料ポンプ1の縦断面図を示している。
高圧燃料ポンプ1は、燃料タンク50からの燃料を加圧してコモンレール53に高圧の燃料を圧送するものであり、燃料吸入通路10,燃料吐出通路11,燃料加圧室12が形成されている。燃料加圧室12には、加圧部材であるプランジャ2が摺動可能に保持されている。燃料吐出通路11には、下流側の高圧燃料を加圧室に逆流させないために燃料吐出弁6が設けられている。また、燃料吸入通路10には、燃料の吸入を制御する電磁弁8が設けられている。電磁弁8はノーマルクローズ型の電磁弁であり、非通電時に閉弁方向に力が作用し、通電時には開弁方向に力が作用する。
燃料は、燃料タンク50から低圧燃料ポンプ51にて高圧燃料ポンプ1の燃料導入口(燃料吸入通路10につながる)に、燃圧レギュレータ52によって一定の圧力に調圧されて導かれる。その後、高圧燃料ポンプ1にて加圧され、燃料吐出通路を経て燃料吐出口からコモンレール53に圧送される。
コモンレール53には、インジェクタ54(本実施例では4つ),燃圧センサ56,圧力調整弁(以下リリーフ弁55と呼ぶ)が装着されている。リリーフ弁55はコモンレール53内の燃料圧力が所定値を超えた際に開弁し、高圧配管系の破損を防止する。
インジェクタ54は、エンジンの気筒毎に装着されており、コントロールユニット515から与えられる駆動電流(制御信号)に従って燃料を噴射する。燃圧センサ56は取得した圧力データをコントロールユニット515に出力する。コントロールユニット515は各種センサから得られるエンジン状態量(例えばクランク回転角,スロットル開度,エンジン回転数,燃料圧力等)に基づいて適切な噴射燃料量や燃料圧力等を演算し、ポンプ1やインジェクタ54を制御する。
プランジャ2は、エンジン507における排気弁526のカム軸の回転に伴って回転するポンプ駆動カム100に圧接されたリフタ3を介して往復運動し、燃料加圧室12の容積を変化させている。プランジャ2が下降して加圧室12の容積が拡大すると、電磁弁8が開弁し、燃料吸入通路10から加圧室12に燃料が流入する。このプランジャ2が下降する行程を以下、吸入行程と記す。プランジャ2が上昇し、電磁弁8が閉弁すると、加圧室12内の燃料は昇圧され、燃料吐出弁6を押し開けてコモンレール53へ圧送される。燃料吐出弁6は、逆止弁となっており、コモンレール53から燃料吐出通路に向けて燃料が流れることはない構造となっている。このプランジャ2が上昇する行程を以下、圧縮行程と記す。
図5は、高圧燃料ポンプ1の動作タイミングチャートを示している。なお、ポンプ駆動カム100で駆動するプランジャ2の実際のストローク(実位置)は、図6の下図に示すような曲線になるが、上死点と下死点の位置を分かり易くするために、以下、プランジャ2のストロークを図6の上図のごとく直線的に表すこととする。
圧縮行程中に電磁弁8が閉じれば、吸入行程中に加圧室12に吸入された燃料は加圧され、コモンレール53側へ吐出される。また、燃料吸入通路10内の圧力は、コモンレール53内の圧力よりも低いため、圧縮行程中に電磁弁8が開弁していれば、その間、燃料は吸入通路10側へ押し戻され、加圧室12内の燃料はコモンレール53側へは吐出されない。このように、ポンプ1の燃料吐出は電磁弁8の開閉によって操作される。電磁弁8の開閉はコントロールユニット515によって制御される。
電磁弁8は弁体5、弁体5を閉弁方向に付勢するばね92,ソレノイド200,アンカ91を構成部品として有する。ソレノイド200に電流が流れると、アンカ91に電磁力が発生して図中右側に引き寄せられ、アンカ91と一体に形成された弁体5が開弁する。ソレノイド200に電流が流れないと、弁体5を閉弁方向に付勢するばね92により、弁体5は閉じる。電磁弁8は駆動電流を流さない状態で閉弁する構造の弁であるため、ノーマルクローズ型の電磁弁と称する。
吸入行程中は、燃料加圧室12の圧力が燃料吸入通路10の圧力よりも低くなり、その圧力差によって吸入通路10内にある燃料が弁体5を押し開け、燃料が加圧室12に吸入される。このとき、ばね92は弁体5が閉弁方向に引っ張られるように設置するが、圧力差により、燃料が弁体を押し開けられるように設計されているここで、ソレノイド200に駆動電流を流せば、弁体5は更に開弁しやすくなる。
一方、圧縮行程中は加圧室12の圧力の方が吸入通路10よりも高くなるため、弁体5は、圧力差により、閉弁方向に力を受ける。ここで、ソレノイド200に駆動電流が流れていなければ、弁体5を閉弁方向に付勢するばね力などにより、弁体5は閉弁する。一方、ソレノイド200に駆動電流が流れ十分な磁気吸引力が発生していれば、磁気吸引力により弁体5は開弁する。
よって、吸入行程中に電磁弁8のソレノイド200に駆動電流を与え始め、圧縮行程中も与え続けると、弁体5は開弁した状態で保持される。その間、加圧室12内の燃料は燃料吸入通路10に逆流するため、燃料はコモンレール内へ圧送されない。一方、圧縮行程中あるタイミングで駆動電流を与えるのを止めると、弁体5は閉弁し、加圧室12内の燃料が加圧され、吐出通路11側へ吐出される。駆動電流を与えるのを止めるタイミングが早いと、加圧される燃料の容量が大きく、タイミングが遅いと、加圧される燃料の容量が小さくなる。よって、コントロールユニット515は弁体5が閉じるタイミングを制御することにより、ポンプ1の吐出流量を制御することができる。
さらに、燃圧センサ56の信号に基づき、コントロールユニット515にて適切な通電OFFタイミングを演算し、ソレノイド200をコントロールすることにより、コモンレール53の圧力を目標値にフィードバック制御させることができる。
図7は、高圧燃料ポンプ制御装置を有するコントロールユニット515のMPU603が実施する高圧燃料ポンプ1の制御ブロック図の一態様である。高圧燃料ポンプ制御装置は、燃圧センサ56からの信号をフィルタ処理して実燃圧を出力する燃圧入力処理手段701,エンジン回転数と負荷とからその動作点に最適な目標燃圧を算出する目標燃圧算出手段702,実燃圧と目標燃圧とからポンプの吐出流量を制御するための位相パラメータを演算するポンプ制御角度算出手段703,バッテリ電圧とエンジン回転数とからポンプの駆動信号であるデューティ信号のパラメータを演算するポンプ制御DUTY算出手段704,筒内噴射エンジン507の状態を判定してポンプ制御モードを遷移させるポンプ状態遷移判定手段705,ソレノイド200にデューティ信号から生成される電流を与えるソレノイド駆動手段706から構成される。
図8にポンプ制御角度算出手段703の一態様を示す。ポンプ制御角度算出手段703は、通電開始角度算出手段801および通電終了角度算出手段802から構成される。
図9に通電開始角度算出手段801の一態様を示す。エンジン回転数とバッテリ電圧とを入力とした基本通電開始角度算出マップ901から基本通電開始角度STANGMAPを演算し、ポンプ駆動カム軸の可変バルブタイミング機構による位相差EXCAMADV分を補正することにより通電開始角度STANGを演算する。
可変バルブタイミング機構による位相差の補正は、動作角0位置に対して進角側に動作する場合は、減算をし、遅角側に動作する可変バルブタイミング機構であれば加算する。本実施例では、遅角側に動作する可変バルブタイミング機構を前提とする。以下、ポンプ制御位相パラメータにおいて、可変バルブタイミング機構による位相差補正が必要な部分は同様の考え方である。
図10に、基本通電開始角度STANGMAPの設定方法について示す。基本通電開始角度STANGMAPは、可変バルブタイミング機構による位相差が0のときには、通電開始角度STANGと等しい。本ポンプはノーマルクローズ式であるため、ポンププランジャ下死点までに電磁弁8を開弁することが可能となる力が働いていなければ、電磁弁8は閉弁し全吐出となる。
プランジャ2により燃料加圧室12内の燃料を加圧するタイミングが、弁を開弁するタイミングよりも早い場合、駆動電流により弁を開く力よりも、燃料加圧室12と燃料吸入通路10との圧力差により弁を閉じる力のほうが大きくなるため(特に燃料がガソリンの場合、プランジャ2の上昇により燃料加圧室12内の圧力は即座に上昇する)、開弁することができなくなる。これは、駆動電流により弁を開弁させる力は、それほど大きくすることはできないことによる。このような状況下では、コントロールユニット515で演算された燃料の吐出量にかかわらず、プランジャ2の上昇により燃料加圧室内に吸入された燃料は全て吐出弁を押し開けコモンレール53内に流入することになる。
このため、通電開始角度を内燃機関の運転状態に応じて正確に制御しなければ意図しない昇圧状態が発生し、燃焼状態の悪化を招き排出ガス性能が悪化する。このため、本発明者は通電開始角度の制御精度向上手段に注目している。また、通電開始角度を可変とせず、画一的にポンププランジャ上死点から通電を開始した場合には、必要以上の電磁弁開弁力発生時間を与えることとなり、ポンプソレノイドの消費電力増大,発熱量増加に繋がる。
開弁することが可能となる力は、回転数に比例して大きくなり、プランジャ2による燃料加圧室12内の昇圧が行われる前であれば、閉弁方向にはたらく力に勝る程度の力である。よって、ソレノイドに発生する力は電流に比例するので、ポンプ下死点までにソレノイド200に一定値以上の電流が流れている必要がある。その一定値に到達するまでの時間は、ソレノイド200に対する電源であるバッテリの電圧に依存し、その一定値は回転数に依存するので、基本通電開始角度算出マップ901には、エンジン回転数とバッテリ電圧とを入力する。
また、ソレノイド200に流れる電流が一定値まで到達する時間は、吸入行程期間以内であることが前述のポンプの動作特性上必要である。よって、通電開始角度範囲すなわちON信号の出力を要求される角度範囲は、基本的にはポンプ吸入行程中内となる。
加えて、ポンプ駆動カムには組付け時の位相バラツキがある。このため、ポンプが最進角側のバラツキを持つ場合でもポンプ下死点までにソレノイド200に一定値以上の電流が流れるように設定することにより、カム組付けがバラツキを持つ場合でも意図しない昇圧状態を回避できる。バラツキを考慮する設定方法としては、基本通電開始角度STANGMAPにバラツキ分込みで設定する方法がある。
図11に通電終了角度算出手段802の一態様を示す。本ポンプは、通電終了角度を変化させることにより吐出量が制御される。インジェクタによる噴射量とエンジン回転数を入力とした基本角度マップ1101より基本角度BASANGを演算する。BASANGは、定常運転状態における要求吐出量を吐出に対応する閉弁角度を設定する。
図12に、基本角度BASANGの設定方法について示す。図12は閉弁タイミングに対する高圧燃料ポンプ吐出量を表した図である。本ポンプは、電磁弁閉弁タイミングがプランジャ上死点に近づくほど吐出量が減少する。また、高圧燃料ポンプの吐出量は、エンジン回転数に応じて吐出効率が異なるため、変化する。よって、基本角度BASANGは回転数により変化する。このため、インジェクタによる噴射量とエンジン回転数を入力としたマップより基本角度BASANGを演算することにより制御応答性を高めることが可能となる。
燃圧F/B制御演算部1102では、目標燃圧と実燃圧より演算されたF/B分を基本角度BASANGに加算することにより基準角度REFANGを演算する。基準角度REFANGは、可変バルブタイミング動作が無いと仮定した場合の、基準REFからの電磁弁8を閉弁したい角度を示している。ここで基準REFとは、位相制御の基準点となる位置である。コントロールユニット515において、要求された位相に出力を実施するためには基準点の設定が必要である。
基準角度REFANGに、REFANGとエンジン回転数を入力とした閉弁遅れ演算マップ1103より演算した閉弁遅れPUMDLYと可変バルブタイミング動作角を加減算することにより通電終了角度OFFANGを演算する。ここで閉弁遅れPUMDLYにREFANGとエンジン回転数を用いるのは、閉弁タイミングと回転数によってポンプ内に発生する流体力が異なるためである。
また、OFFANGは、出力強制終了角度CPOFFANGを上限値に持つ。CPOFFANGは、回転数とバッテリ電圧を入力としたマップ値より可変バルブタイミング動作角を加算した値である。
図13に、出力強制終了角度CPOFFANGの設定方法について示す。CPOFFANGの目的は、通電を止めた場合においても無吐出になる角度領域は通電を止め、消費電力の低減・ソレノイド200の発熱防止を図る目的である。このため、出力強制終了角度CPOFFANGを運転条件に応じて精度良く制御することが必要である。図13に示すように上死点以前に駆動信号を停止しても閉弁遅れがあるため上死点付近まで開弁し、ポンプは無吐出運転となる。
出力強制終了角度CPOFFANGは、ポンプ無吐出運転を要求される燃料カット時にも使用し、この角度でソレノイドへの通電を終了する。このことにより、ソレノイド200へ全通電制御することにより無吐出運転状態をつくることよりも消費電力を低減し、ソレノイド200の発熱防止も図ることが可能となる。
図14に、ポンプ状態遷移判定手段705の一態様を表す状態遷移図を示す。制御ブロックは、A制御,B制御,フィードバック制御(以下F/B制御と記す),燃料カット中制御(以下F/C中制御と記す)から構成される。
A制御は、デフォルト制御であり、もし始動時においてエンジンが回転中である場合、ポンプは全吐出を実施する。B制御は、コモンレール内の残圧が高い場合においてREF信号認識前の昇圧防止を目的としている。F/B制御は、目標燃圧となるように制御することを目的とし、F/C中制御はF/C中におけるコモンレール内燃圧の昇圧防止を目的として、圧送を停止する。
まず、イグニッションスイッチがOFFからONになり、コントロールユニット515のMPU603がリセット状態になると、A制御ブロック1402である無通電制御状態になり、ポンプ状態変数:PUMPMD=0とし、ソレノイド200に対する通電は行われない。
次に、スタータスイッチがONになり、エンジン507がクランキング状態となってクランク角信号CRANKを検出し、コモンレール53内の燃圧が高い場合、条件1が成立してB制御ブロック1403である等間隔通電制御状態に遷移し、ポンプ状態変数:PUMPMD=1とする。ここで、B制御ブロック1403は、クランク角信号CRANKのパルスは検出しているものの、REF信号であるプランジャ2のストロークの認識は行われておらず、未だクランク角信号CRANKとカム角信号CAMとのプランジャ位相が確定されていない状態であり、すなわち高圧燃料ポンプ1のプランジャ2が下死点位置に来るタイミングを認識できない状態である。
そして、クランキング状態が初期から中期に入り、クランク角信号CRANKとカム角信号CAMとのプランジャ位相が確定し、基準REFを生成可能な運転状態になると、条件3が成立してF/B制御ブロック1404に遷移し、ポンプ状態変数:PUMPMD=2とするとともに、燃圧入力処理手段701で算出された実燃圧が、目標燃圧算出手段702で算出された目標燃圧となるようにソレノイド制御信号を出力する。図19に基準REF生成方法の一例を示す。クランク角センサ信号には歯欠け部分(通常のクランク角センサ信号間隔より間隔を広くした部分)が存在する。エンジン始動時から初回歯欠け認識時のクランク角センサを基準REFとし、以後一定角度毎にクランク角センサ値から基準REFを生成する。歯欠け認識はクランク角センサ入力間隔より判定する。
なお、B制御中にプランジャ位相が確定せずREF信号が生成できない場合等は条件2が成立し、A制御に遷移する。
また、スタータスイッチがONになり、エンジン507がクランキング状態となって、コモンレール53内の燃圧が低い場合、A制御を実施することにより昇圧を促進し、ポンプ基準REFが生成されており、かつ目標燃圧とコモンレール内燃圧が収束しつつあると条件4が成立し、F/B制御ブロック1404に遷移する。これは、ポンプ基準REFが生成されている場合においても、目標燃圧と比較してコモンレール内燃圧が大幅に低い場合にはA制御を継続した方がポンプは全吐出をするので、昇圧を促進することが可能となるためである。
以降、エンストが発生しない限り、F/B制御ブロック1404が継続する。しかし、F/B制御ブロック1404において、車両の減速等による燃料カットが生ずる場合には、インジェクタ54による燃料噴射は行われず、コモンレール53からの燃料量の減少がないので、条件5が成立してF/C中制御ブロック1405に遷移し、ポンプ状態変数:PUMPMD=3とし、高圧燃料ポンプ1からコモンレール53への燃料圧送が止まる。なお、F/C中制御ブロック1405からは、燃料カットの終了により条件6が成立してF/B制御ブロック1404に遷移し、通常のフィードバック制御に戻る。
なお、F/B制御、またはF/C中制御中にコントロールユニット515がエンストを認識すると条件7が成立し、A制御ブロック1402に遷移する。
図15に、F/B制御中におけるソレノイド200への通電信号のタイムチャートを示す。通電開始角度STANGから通電終了角度OFFANGまでオープン電流制御デューティを出力する。オープン電流制御デューティは、初期通電時間TPUMONおよび初期通電後のデューティにより構成される。ここで、初期通電時間TPUMONおよび初期通電後のデューティ比PUMDTYは、ポンプ制御DUTY算出手段704内で演算する。図18にポンプ制御DUTY算出手段704内での演算の一例を示す。初期通電時間TPUMONは、バッテリ電圧とエンジン回転数のマップ(ブロック1801)により演算される。
また、デューティ比PUMDTYは、回転数とバッテリ電圧のマップ(ブロック1802)から演算される。
初期通電時間TPUMONおよびデューティ比PUMDTYは、運転状態を示すパラメータである回転数およびバッテリ電圧より演算される。このため制御精度向上には、運転状態の正確な把握が必要であるため常に設定可能な最新値を使用することが良い。
図16に、コントロールユニット515による燃圧の制御に対するソレノイド制御信号の通電開始角度STANG及び通電終了角度OFFANGに用いられる各パラメータを示したものである。
CRANK信号とCAM信号に基づいて生成される基準REFと、プランジャ2のストロークからソレノイド信号の通電開始角度STANG及び通電終了角度OFFANGが設定され、まず、通電開始角度STANGは、図9に記したようにエンジン回転数とバッテリ電圧を入力としたマップ値にポンプ駆動カム軸の可変バルブタイミング機構による位相差を補正することにより演算する。
また、通電終了角度OFFANGは、式1のように求めることができる。
OFFANG=REFANG+EXCAMADV−PUMDLY (式1)
ここで、REFANGは基準角度であり、式2のように求めることができる。
REFANG=BASANG+FBGAIN (式2)
ここで、BASANGは基本角度であり、エンジン507の運転状態に基づいて基本角度マップ1101(図11)で演算される。EXCAMADVはカム作動角であり、可変バルブタイミングの動作角に相当する。PUMDLYはポンプ遅れ角度であり、FBGAINは、フィードバック分である。
図17に各制御状態における、ソレノイド200に対する通電信号を示す。A制御中は、ソレノイド200に通電を実施しない。B制御中は、B制御許可時から初回基準REFまでオープン電流制御デューティを出力する。F/B制御中は、通電開始角度STANGから通電終了角度OFFANGまでオープン電流制御デューティを出力する。F/C中制御中は、通電開始角度STANGから強制通電終了角度CPOFFANGまでオープン電流制御デューティを出力する。
図10に対する説明中で記したように、通電開始角度を正確に制御することは重要である。通電開始角度の制御精度向上には、以下の対応が必要である。
(1)通電開始角度STANGの演算精度を向上させる。
(2)要求値として演算した通電開始角度STANGと実際の出力開始角度との誤差を小さくする。
上記(1)への対応の第一の実施例を図20に示す。図20は、基準REFとプランジャ変位の関係を示している。基準REFを通電開始角度設定範囲の直前(最進角位相)のクランク角信号上に配置することにより演算精度を向上させる。これは、基準REFにおいて、そのときの運転状態に基づいた通電開始角度要求値を決定するので、基準REFと通電開始角度設定範囲が離れていると、運転状態の変化を受けやすく、通電開始時には運転状態が変わっている(要求値が変わっている)可能性があるからである。クランク角信号上に配置するのは、回転数の変動等の影響を受けずに、常に同一位相を基準とするためである。また、カム角センサ出力をポンプ駆動カム上死点に配置することにより、クランク角センサが故障した場合においても、カム角センサ出力を利用することにより通電開始角度の制御精度を保つことが可能となる。
本実施例では、通電開始位置を重要なパラメータとして取り扱うことによりシステム性能の向上を図り、そのためには基準REFをポンプの圧縮行程に配置することが必要であることを見出している。
通電開始角度設定範囲は、ポンプ動作特性から要求される範囲に加えて、可変バルブタイミング最大動作角、およびセンサおよびカム取り付けバラツキ分を加えた範囲となる。図23にポンプ動作特性から要求される通電開始角度設定範囲および出力強制終了角度設定範囲を示す。通電開始角度設定範囲は、ポンプ動作特性上、基本的にはプランジャ上死点後から運転状態に応じて決定される範囲となる。一方、出力強制終了角度設定範囲は、ポンプ動作特性上、プランジャ上死点前から運転状態に応じて決定される範囲となる。
加えて、精度向上のため、基準REF間に通電開始要求位相範囲が収まることが良い。
これは通電開始要求位相範囲の途中に基準REFが存在すると、基準REFより進角側の範囲は、一つ前からの基準REFでの決定値を使わなくてはならず制御精度が落ちる。加えて、基準REFにおいて、手前のREFからの要求値か今回の基準REFからの要求値かの切換え制御が必要となり、コントロールユニットの演算負荷を圧迫し、かつ制御精度が落ちる。
図21は、可変バルブタイミングが進角側に動くカムとポンプ駆動カムが同一システムの場合を示した図である。この場合も、通電開始角度設定範囲は、ポンプ特性から要求される範囲に加えて、可変バルブタイミング最大動作角およびセンサおよびカム取り付けバラツキ分を加えた範囲となり、前述した理由で基準REFは通電開始角度設定範囲の直前(最進角位相)のクランク角信号上に配置するのが良く、基準REFは圧縮行程上となる。
同様に出力強制終了角度についても演算精度を向上させる必要があることは、図13に対する説明中で記している。出力強制終了角度演算精度向上手段の一実施例を図22に示す。図22は、基準REFとプランジャ変位の関係を示している。基準REFを出力強制終了角度設定範囲の直前(最進角位相)に配置することにより演算精度を向上させる。これは、基準REFにおいて、そのときの運転状態に基づいた出力強制終了角度要求値を決定するので、基準REFと出力強制終了角度設定範囲が離れていると、運転状態の変化を受けやすく、出力強制終了時には運転状態が変わっている(要求値が変わっている)可能性があるからである。
出力強制終了角度設定範囲は、ポンプ動作特性から要求される範囲に加えて、可変バルブタイミング最大動作角範囲を加えた範囲となる。また、センサおよびカム取り付けバラツキ分を考慮しても良い。
また、図22のように基準REFを出力強制終了角度設定範囲の直前(最進角位相)に配置し、通電開始角度と通電終了角度の基準REFに同一の信号を使うことにより、基準REFの近傍に精度の必要な通電開始角度設定範囲および出力強制終了角度設定範囲を配置することが可能となり、同一の信号を利用することにより、ポンプ制御方法を簡易化することが可能となり、演算負荷の低減を図ることが可能となる。
上記(1)への対応の第二の実施例を図24に示す。通電開始角度演算方法を示したタイムチャートである。基準REF時において、通電開始角度(仮値)および通電開始角度再演算タイミングを設定する。ここで、通電開始角度(仮値)とは、基準REF前の定時周期(例えば10ms周期)タイミングで演算された通電開始角度である。通電開始角度再
演算タイミングは、通電開始角度(仮値)より演算する。通電開始角度再演算タイミングを設定する目的は、通電開始時期直前の運転状態を認識することを目的とする。このため、通電開始角度再演算タイミングは、通電開始角度(仮値)以前に設定する。通電開始角度(仮値)と通電開始角度再演算タイミングとの間隔は、通電開始角度(仮値)までに最演算が終了する時間以上に設定する。時間の代わりとしてクランク角信号を使用しても良い。
次に通電開始角度再演算タイミング時に、再度通電開始角度を演算し、設定する。本演算により基準REF後の定時周期(例えば10ms周期)タイミングで演算された通電開始
角度を反映することが可能となり、通電開始角度の演算精度を向上することが可能となる。
同様の制御を通電終了角度演算にも実施することにより、通電終了角度においても演算精度を向上することが可能となる。
図25は、通電開始角度再演算タイミング時に、再度演算した通電開始角度が通電開始角度再演算タイミングより以前の要求値だった場合および通電終了角度再演算タイミング時に、再度演算した通電終了角度が通電終了角度再演算タイミングより以前の要求値だった場合のタイムチャートである。通電開始角度再演算タイミング時に、再度演算した通電開始角度が通電開始角度再演算タイミングより以前の要求値だった場合、即時に通電を開始する。通電終了角度再演算タイミング時に、再度演算した通電終了角度が通電終了角度再演算タイミングより以前の要求値だった場合、即時に通電を終了する。
上記(2)への対応の実施例を図26に示す。要求値として演算した通電開始角度STANGと実際の出力開始角度との誤差を小さくするために、角度+時間制御を実施する。角度+時間制御についての説明を図27に示す。角度+時間制御では、クランク角センサから所定クランク角度間隔において出力されるクランク信号(例えば10deg)を基にして制御角度を設定する。図27は、基準REF時に通電開始角度STANG=33degを要求された場合の制御方法を示している。クランク信号毎にカウントアップされるカウンタ:ONCANTが3になったとき(=基準REFから30degの距離になったとき)、残り3deg分をONCNT=2中の時間Aより3deg分の時間を設定する。つまり、本実施例では
3deg分=時間A×0.3 (式3)
となる。前記クランク信号毎にカウントアップするカウンタによる設定方法を角度制御、3deg分の設定方法を時間制御と呼ぶ。角度+時間制御は、時間制御のみと比較して、回転数急変時において制御精度が高い。
本ノーマルクローズ式吸入弁を備えた高圧燃料ポンプ1では、通電終了角度の制御精度も必要である。このため、通電終了制御に対しても角度+時間制御を実施する。つまり、本高圧燃料ポンプの通電開始および通電終了は、角度+時間制御とする。加えて、本高圧燃料ポンプの制御において、通電開始角度および出力強制終了角度が重要である。このため、図28に示すように通電開始角度設定範囲および出力強制終了角度設定範囲上には歯欠けが存在しないようにクランク角センサ信号とポンプ駆動カム位相の配置を実施する。これは、歯欠け上では、クランク角信号が無いため時間制御の期間が長くなり、制御精度が低下するためである。
図32および図33は、通電開始角度のみを角度+時間制御とし、通電終了角度を時間制御とした場合の実施例について記している。本実施例では、最も重要なパラメータである通電開始角度のみを角度+時間制御とすることにより、制御精度を確保している。コントロールユニット515内のMPU603の演算負荷を抑制したい場合、図32および図33に示す実施例が適している。
図29は、通電中にポンプ制御角度設定タイミングである基準REFが入ってきた場合のタイムチャートを示す。シーン1は次回基準REF時においての通電終了角度OFFANGの要求が、基準REF間隔以下の値だった場合である。この場合、要求を満足するために基準REFにおいて即時に通電を終了する。
シーン2は次回基準REF時において、設定に使用する通電終了角度OFFANGの要求が、基準REF間隔以上の値だった場合である。この場合、(OFFANG−基準REF間隔(例えば90deg))の角度を設定する。このことにより最新の運転状態を反映できることとなり制御精度を向上することが可能となる。
図29に示すように通電中に次回の基準REFが入ってくる場合は、設定初回の基準REF時に判別可能であるため、設定初回基準REF時には、通電終了のための時間+角度制御設定は実施しない。この方式により、各基準REF時には多い場合でも通電開始時期と通電終了時期の各一つずつを設定すれば良くなり、制御ロジックの簡易化および演算負荷の低減に貢献する。
図30は、基準REFから通電開始時期と通電終了時期の各一つずつを角度+時間制御で設定した場合において、設定が逆転した場合の対策を記したタイムチャートである。2つの角度+時間制御を併用した場合、クランク角信号のノイズ等により制御開始順序が逆転する場合がある。図30に示す状態の場合、通電終了時期は通電開始時期より前に存在する。通電開始時期から次期基準REF間に通電終了要求が入ってきた場合、その要求はノイズ等による誤制御と判断し、通電終了要求を受け付けない。通電終了要求を受け付けない理由は、本ポンプでは通電をしない場合、全吐出する可能性があるためである。
一方、図31に示す状態の場合、通電終了時期は通電開始時期より後に存在する。通電終了制御から次期基準REF間に通電開始要求が入ってきた場合、その要求はノイズ等による誤制御と判断するが、通電開始要求を受け付ける。これは、無通電による全吐出を回避するためである。
また、上記(2)への別対応として、基準REF時のMPU603の演算量を抑制することが挙げられる。基準REF時の演算量が多い場合、角度設定までに時間を要し要求出力開始時期に間に合わないことが考えられる。このため、ポンプ駆動信号に対する要求値である通電開始角度STANG,通電終了角度OFFANG,初期通電時間TPUMON,デューティ比PUMDTY等は定時周期(例えば10ms)で演算することにより、基準REF割込み時のMPU603の演算量を抑制する。
以上のように、本発明の実施形態は、上記の構成によって次の機能を奏するものである。
本実施例のコントロールユニット515は、シリンダ507bに備えられたインジェクタ54と、インジェクタ54に燃料を圧送するノーマルクローズ式吸入弁を備えた高圧燃料ポンプ1とコモンレール53と燃圧センサ56とを有する筒内噴射エンジン507の高圧燃料ポンプ制御装置であって、制御装置内位相演算部で適切な通電開始・終了要求位相を演算し、制御装置内駆動信号出力部において要求位相通りに通電開始,終了を実施することにより燃料システムの安定化,燃焼の安定化及び排出ガス性能の改善を図ることが出来る。
本実施例の効果の一例を図34により述べる。図34は本実施例の場合の制御装置と従来技術においてのタイムチャートである。従来技術では、通電開始角度と基準REFとの間隔が大きく、角度設定点である基準REF時に認識した運転状態と、通電開始時の運転状態が異なる場合がある(図34では、バッテリ電圧で例示)。このとき、意図しない昇圧が発生する場合がある。
本実施例では、基準REFと通電開始時期を近づけることにより基準REF時に認識した運転状態と通電開始時の運転状態をほぼ同じにすることが可能となり、高回転時まで安定して吐出量を制御することが出来る。より燃料システムを安定化し、燃焼の安定化及び排出ガス性能の改善を図ることが出来る。
以上、本実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく設計において種々の変更ができるものである。
1 高圧燃料ポンプ
2 プランジャ
3 リフタ
4 下降ばね
5 弁体
6 燃料吐出弁
8 電磁弁
10 燃料吸入通路
11 燃料吐出通路
12 燃料加圧室
50 燃料タンク
51 低圧燃料ポンプ
52 燃圧レギュレータ
53 コモンレール
54 インジェクタ
55 リリーフ弁
56 燃圧センサ
91 アンカ
92 ばね
100 ポンプ駆動カム
200 ソレノイド
502 エアクリーナ
503 エアフロセンサ
504 スロットルセンサ
505 スロットルボディ
505a 電制スロットル弁
506 コレクタ
507 筒内噴射エンジン
507a ピストン
507b シリンダ
507c 燃焼室
507d クランク軸
508 点火プラグ
511 フェーズセンサ
515 コントロールユニット
516 ポジションセンサ
522 点火コイル
526 排気弁
601 I/OLSI
602 EP−ROM
603 MPU
604 RAM
701 燃圧入力処理手段
702 目標燃圧算出手段
703 ポンプ制御角度算出手段
704 ポンプ制御デューティ算出手段
705 ポンプ状態遷移判定手段
706 ソレノイド駆動手段
801 通電開始角度算出手段
802 通電終了角度算出手段
1101 基本角度マップ
1102 燃圧F/B制御演算部
1402 A制御ブロック
1403 B制御ブロック
1404 F/B制御ブロック
1405 F/C中制御ブロック

Claims (19)

  1. 流体の吸入通路と、流体の吐出通路と、前記吸入通路と前記吐出通路とをつなぐ加圧室と、前記加圧室内の流体を前記吐出通路に圧送する加圧部材と、前記吐出通路内に設けられた吐出弁と、前記吸入通路内に設けられ、通電時に開弁する電磁弁とを有するポンプを制御する制御装置において、
    前記ポンプの圧縮行程において生成される基準信号に基づいて、前記電磁弁を開弁するON信号を出力することを特徴とする制御装置。
  2. 前記電磁弁の駆動終了の基準信号を前記通電開始信号の基準信号と同一信号とすることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  3. ON信号出力要求位相範囲が前記ON信号を出力するための基準信号間に収まっていることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  4. 強制駆動信号終了要求位相範囲が前記ON信号を出力するための基準信号間に収まっていることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  5. ON信号出力要求位相範囲の最進角位相での信号を前記ON信号出力の基準信号として用いることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  6. 強制駆動信号終了要求位相範囲の最進角位相での信号を前記ON信号出力の基準信号として用いることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  7. 前記ON信号出力要求位相範囲及び/又は前記強制駆動信号終了要求位相範囲に、クランク角センサの歯欠け信号が無いことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  8. クランク角センサから所定クランク角度間隔において出力されるクランク信号に基づき、ON信号を出力し、前記クランク信号に基づき駆動出力を終了することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  9. クランク角センサから所定クランク角度間隔において出力されるクランク信号に基づき、ON信号を出力し、所定時間後に駆動出力を終了することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  10. ON信号出力中に駆動信号終了位相設定のための基準信号を認識した場合には、前記基準信号時点において終了位相を再設定することを特徴とする請求項8記載の制御装置。
  11. ON信号出力中に前記制御装置の要求と異なる位相で通電終了要求が発生した場合には、要求を受け付けないことを特徴とする請求項8記載の制御装置。
  12. 前記駆動信号に対する要求値は、定時周期で演算することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  13. 流体の吸入通路と、流体の吐出通路と、前記吸入通路と前記吐出通路とを繋ぐ加圧室と、前記加圧室内の流体を前記吐出通路に圧送する加圧部材と、前記吐出通路内に設けられた吐出弁と、前記吸入通路内に設けられ、通電時に開弁する電磁弁とを有するポンプを制御する制御装置において、
    前記電磁弁の駆動信号に対する要求値は、ON信号出力かつ/またはOFF信号出力予定位相の規定タイミング前に再度前記駆動信号に対する要求値を演算することを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
  14. カム角センサ出力信号を前記ポンプ駆動カム上死点にあることを特徴とする請求項13記載の制御装置。
  15. 流体の吸入通路と、流体の吐出通路と、前記吸入通路と前記吐出通路とを繋ぐ加圧室と、前記加圧室内の流体を前記吐出通路に圧送する加圧部材と、前記吐出通路内に設けられた吐出弁と、前記吸入通路内に設けられ、通電時に開弁する電磁弁とを有するポンプを制御する制御装置において、
    前記制御装置は、前記電磁弁の開弁を要求する通電開始角度を演算する位相演算部と、前記通電開始角度に基づいて前記電磁弁を駆動する駆動信号を出力する駆動信号出力部とを有し、
    前記通電開始角度は、前記制御装置に入力される所定の基準信号に基づいて演算されることを特徴とする制御装置。
  16. 前記所定の基準信号は、前記ポンプの圧縮行程において生成される信号を用いることを特徴とする請求項15記載の制御装置。
  17. 前記所定の基準信号は、クランク角センサからの信号であることを特徴とする請求項
    15記載の制御装置。
  18. 前記駆動信号は、前記基準信号が生成される圧縮行程に続く吸入行程において出力されることを特徴とする請求項16記載の制御装置。
  19. 流体の吸入通路と、流体の吐出通路と、前記吸入通路と前記吐出通路とを繋ぐ加圧室と、前記加圧室内の流体を前記吐出通路に圧送する加圧部材と、前記吐出通路内に設けられた吐出弁と、前記吸入通路内に設けられ、通電時に開弁する電磁弁とを有するポンプを制御する制御装置において、
    前記制御装置は、前記ポンプの圧縮行程中にある基準信号を用いて前記電磁弁の開弁を要求する通電開始角度を演算する位相演算部と、前記通電開始角度に基づいて前記電磁弁を駆動する駆動信号を出力する駆動信号出力部とを有することを特徴とする制御装置。
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