JP2012057103A - 難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線及びケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線及びケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きい絶縁電線又はケーブルにも、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与できる難燃性樹脂組成物等を提供すること。
【解決手段】(A)ポリエステル系エラストマと、(B)リン系難燃剤とを含み、リン系難燃剤が、ポリエステル系エラストマ100質量部に対して10〜75質量部の割合で配合され、ポリエステル系エラストマが、10〜90質量%のエステル−カーボネート共重合体(A1)と、90〜10質量%のポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物(A2)からなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線及びケーブルに関する。
自動車などに搭載される電気機器同士を接続するケーブルは、絶縁電線とそれを包囲するシースとを少なくとも備えており、絶縁電線は、導体とそれを被覆する絶縁層とからなる。
このようなケーブルの絶縁層に使用する組成物として、例えば下記特許文献1に開示されるものが知られている。下記特許文献1では、熱可塑性ポリエステル連続相およびポリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレン/(メタ)アクリレートゴム分散相を含む溶融加工可能な熱可塑性加硫物組成物と、ホスフィン酸塩等からなる難燃剤とをそれぞれ所定割合で含む組成物により、難燃性や耐熱性に優れたケーブルを得ることが提案されている。
特表2010−509485号公報
ところで、自動車に用いるケーブルとしては、小さい導体断面積を有するケーブルだけでなく、大きい導体断面積を有するケーブルの使用が必要となる場合もある。例えばハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)においては、大電力を供給するために導体断面積が3mm以上のケーブルを使用する必要があり、ガソリン式自動車であっても、例えばバッテリ接続用のケーブルとして使用される場合がある。このようなケーブルでは、絶縁性を確保するため絶縁層を厚肉化する必要がある。その結果、配線作業性が悪くなるばかりでなく、絶縁層の厚さに起因してケーブルを容易に曲げることができなくなるため、ケーブルを配置する空間に十分なスペースが必要とされることとなり、ひいては自動車の小型化が困難となる。そこで、優れた耐熱性と優れた柔軟性とを両立させることができるケーブルの必要性が増してきている。特に電気自動車のように大きな電力が必要とされ、絶縁層の被覆厚を大きくすることが必要とされる自動車においては、そのようなケーブルの必要性はますます高くなっている。またこのようなケーブルには、絶縁層の被覆厚が小さいケーブル同様、難燃性や機械的特性も要求される。従って、絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きいケーブルにも、難燃性、機械的特性、耐熱性及び柔軟性を付与できることが望まれている。
しかし、上記特許文献1に記載の難燃性樹脂組成物は、ケーブルに十分な柔軟性を付与することができなかった。従って、ケーブルを構成する絶縁電線の絶縁層を、特許文献1の難燃性樹脂組成物を用いて、被覆厚が0.5mm以上となるように形成すると、配線作業が容易ではなくなるという問題があった。また、ケーブルを曲げることも容易でないため、ケーブルを配置するスペースの小型化、ひいては自動車の小型化を妨げるおそれもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きい絶縁電線又はケーブルにも、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与することができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、絶縁層を形成する難燃性樹脂組成物を得るにあたり、2種類のポリエステル系エラストマを所定の割合で配合させるとともに、ポリエステル系エラストマに対して所定の割合でリン系難燃剤を配合することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)ポリエステル系エラストマと、(B)リン系難燃剤とを含み、前記リン系難燃剤が、前記ポリエステル系エラストマ100質量部に対して10〜75質量部の割合で配合され、前記ポリエステル系エラストマが、10〜90質量%のエステル−カーボネート共重合体(A1)と、90〜10質量%のポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物(A2)からなる難燃性樹脂組成物である。
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きい絶縁電線又はケーブルにも、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与することができる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記動的架橋物(A2)のショアA硬度が90未満であることが好ましい。
この場合、難燃性樹脂組成物は、より柔軟性に優れることとなる。
また本発明は、導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備えており、前記絶縁層が、上記難燃性樹脂組成物で構成される絶縁電線である。
さらに本発明は、導体及び前記導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、前記絶縁電線を囲むシースとを備え、前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が上記難燃性樹脂組成物で構成されるケーブルであってもよい。
本発明によれば、絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きい絶縁電線又はケーブルにも、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与することができる難燃性樹脂組成物、これを用いた絶縁電線及びケーブルが提供される。
本発明のケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[ケーブル]
図1は、本発明に係るケーブルの一実施形態を示す部分側面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、ケーブル10は、絶縁電線1と、絶縁電線1を包囲する編組2と、編組2を被覆するシース3とを備えている。そして、絶縁電線1は、内部導体4と、内部導体4を被覆する絶縁層5とを有している。
ここで、絶縁層5は難燃性樹脂組成物からなり、この難燃性樹脂組成物は、(A)ポリエステル系エラストマと、(B)リン系難燃剤とを含む。ここで、リン系難燃剤は、ポリエステル系エラストマ100質量部に対して10〜75質量部の割合で配合されている。またポリエステル系エラストマは、10〜90質量%のエステル−カーボネート共重合体(A1)と、90〜10質量%のポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物(A2)からなる。
このように絶縁層5を構成する難燃性樹脂組成物が上記の構成を有するため、ケーブル10によれば、絶縁層5の被覆厚が0.5mm以上と大きくても、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性が得られる。
[ケーブルの製造方法]
次に、上述したケーブル10の製造方法について説明する。
<難燃性樹脂組成物の準備工程>
まず上記難燃性樹脂組成物を準備する。難燃性樹脂組成物は、(A)ポリエステル系エラストマと、(B)リン系難燃剤とを溶融混練することによって得ることができる。以下、(A)ポリエステル系エラストマ、(B)リン系難燃剤のそれぞれについて詳細に説明する。
(A)ポリエステル系エラストマ
ポリエステル系エラストマは、上述したように、エステル−カーボネート共重合体(A1)と、ポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物(A2)とから構成されている。
(A1)エステル−カーボネート共重合体
エステル−カーボネート共重合体は、ポリエステル系エラストマ中に10〜90質量%の配合率で配合されている。配合率が10質量%未満では、難燃性及び機械的特性が低下する。一方、配合率が90質量%を超えると、柔軟性が低下する。
ポリエステル系エラストマ中のエステル−カーボネート共重合体の配合率は、柔軟性をより向上させることができることから、好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは25〜50質量%である。
エステル−カーボネート共重合体は、エステルとカーボネートとの共重合体であればよい。エステルとしては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチレンナフタレートなどの芳香族エステルが挙げられる。カーボネートとしては、原料のジオールとして炭素数2〜12の脂肪族ジオールを用いたものが好ましく、このような脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。
好ましいエステル−カーボネート共重合体としては、ポリエステルとしてポリブチレンテレフタレートを用い、ポリカーボネートとして、原料のジオールが炭素数5〜12の脂肪族ジオールであるものを用いたエステル−カーボネートブロック共重合体が挙げられる。
エステル−カーボネート共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ブロック共重合体である方が、耐熱性をより向上させることができることから好ましい。
(A2)ポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物
ポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物は、ポリエステル系エラストマ中に90〜10質量%の配合率で配合されている。配合率が90質量%を超えると、難燃性、機械的特性及び耐摩耗性が低下する。一方、配合率が10質量%未満では、柔軟性が低下する。
ポリエステル系エラストマ中の動的架橋物の配合率は、柔軟性をより向上させることができることから、好ましくは80〜40質量%であり、より好ましくは75〜50質量%である。
動的架橋物のショアA硬度は90未満であることが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物の柔軟性をより向上させることができる。
ポリエステルは、例えば、少なくとも1種のジカルボン酸(エステルなどのジカルボン酸誘導体も含む)と、少なくとも1種のジオールとを反応させて得られたものである。
ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸や、セバシン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4'−ビシクロヘキシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
ジオールとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
好ましいポリエステルとしては、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン2,6−ナフトエート)およびポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)(PCT)が挙げられる。
アクリルゴムは、ポリ(メタ)アクリレート、複数種の(メタ)アクリレートの共重合体、またはオレフィンと少なくとも1種の(メタ)アクリレートとの共重合体を用いて製造されたものである。オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレンなどが用いられる。また3種以上の(メタ)アクリレートを共重合させることによってもアクリルゴムを得ることができる。ここで、アクリルゴムは未架橋の状態にある。
動的架橋物は、ポリエステルとアクリルゴムとを混合し、その混合物を、過酸化物フリーラジカル開始剤および多価の有機オレフィン助剤とともに溶融混練させ、アクリルゴムを動的架橋させることによって得ることができる。ここで、上記混合物中のポリエステルの含有率は好ましくは15〜75質量%であり、アクリルゴムの含有率は好ましくは85〜25質量%である。過酸化物フリーラジカル開始剤としては、例えばジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどが用いられ、多価の有機オレフィン助剤としては、例えばトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)などが用いられる。
動的架橋物としては、具体的には、日油社製ノフアロイ(登録商標) TZ660−6602−BK、日油社製ノフアロイ(登録商標) TZ660−7612−BK、デュポン社製ETPV 90A01HSなどが挙げられる。
(難燃剤)
リン系難燃剤としては、例えば、リン酸金属塩や縮合リン酸エステルが用いられる。具体的には、各種フォスフィネート金属塩(Al塩やZn塩など)やレゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェートなどが用いられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。リン系難燃剤としては、溶融混練時に液体であるものが好ましい。ここで、溶融混練時に液体であるリン系難燃剤としては、例えばビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェートが挙げられる。溶融混練時に液体であるリン系難燃剤は、エステル−カーボネート共重合体に対して分散しやすくなり、リン系難燃剤を絶縁層5中に均一に分散できる。その結果、ケーブル10の難燃性をより向上させることができる。なお、リン系難燃剤は、溶融混練時に液体となっていればよいため、常温(25℃)で液体であるものでもよい。
リン系難燃剤は、ポリエステル系エラストマ100質量部に対して10〜75質量部の割合で配合されている。リン系難燃剤の割合が10質量部未満では、難燃性が低下する。リン系難燃剤の割合が75質量部を超えると、機械的特性及び耐低温性が低下する。リン系難燃剤は、ポリエステル系エラストマ100質量部に対して20〜40質量部の割合で配合されていることが好ましく、25〜35質量部の割合で配合されていることがより好ましい。
上記難燃性樹脂組成物は、加水分解抑制剤、受酸剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤、カーボンブラック、架橋助剤などの充填剤を必要に応じて含んでもよい。
上記ポリエステル系エラストマとリン系難燃剤との混練は例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
<絶縁層形成工程>
次に、上記難燃性樹脂組成物で内部導体4を被覆する。具体的には、上記の難燃性樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練し、チューブ状の押出物を形成する。そして、このチューブ状押出物を内部導体4上に連続的に被覆する。こうして内部導体4が絶縁層5で被覆された絶縁電線1が得られる。なお、内部導体4は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、内部導体4は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
<編組形成工程>
次に、上記絶縁電線1を編組2で包囲する。編組2は外部導体として機能し、例えば軟銅線などの金属で構成される。
<シース被覆工程>
最後に、編組2を前記難燃性樹脂組成物で被覆し、シース3を形成する。シース3は、絶縁層5を物理的又は化学的な損傷から保護するものである。以上のようにしてケーブル10が得られる。
上述したケーブル10の製造方法によれば、得られるケーブル10において、絶縁層5の被覆厚が0.5mm以上と大きくても、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与できる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ケーブル10が同軸構造となっているが、例えば平型ケーブルなどのケーブルにも適用可能である。このうち平型ケーブルなどに使用する場合には、編組2は省略することもできる。また上記実施形態では、絶縁電線1がケーブル10の一部として使用されているが、絶縁電線1は、ケーブル10の一部としてではなく、それ単独で使用することも可能である。
また上記実施形態では、絶縁電線1の絶縁層5、シース3が上記の難燃樹脂組成物で構成されているが、絶縁層5が通常の絶縁樹脂で構成され、シース3のみが、絶縁層5を構成する難燃性樹脂組成物で構成されてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6及び比較例1〜10)
(A1)TPE−E1(エステル−カーボネート共重合体)、(A2)TPE−E2、(A2)TPE−E3、(B)難燃剤1、及び(C)難燃剤2を、表1〜3に示す配合比で配合し、バンバリーミキサによって混練し、難燃性樹脂組成物を得た。なお、表1〜表3において、上記各配合成分の配合量の単位は質量部である。
上記(A1)TPE−E1(エステル−カーボネート共重合体)、(A2)TPE−E2、(A2)TPE−E3、(B)難燃剤1及び(C)難燃剤2としては具体的には以下のものを用いた。
(A1)TPE−E1(エステル−カーボネート共重合体)
東洋紡社製ペルプレン(登録商標) C2000
(A2)TPE−E2(ポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物)
日油社製ノフアロイ(登録商標) TZ660−7612−BK(ショアA硬度=76)
(A2)TPE−E3(ポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物)
デュポン社製ETPV 90A01HS(ショアA硬度=90)
(B)難燃剤1(リン系難燃剤)
ADEKA社製FP−600(ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート)
(C)難燃剤2(水酸化マグネシウム)
協和化学社製キスマ5A
次いで、上記難燃性樹脂組成物をバンバリーミキサによって240℃にて15分間混練した。その後、この難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入してチューブ状の押出物を押し出し、導体(58/0.26A線)上に、厚さ0.7mmとなるように被覆した。こうして外径3.7mmの絶縁電線を得た。

Figure 2012057103
Figure 2012057103
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上記のようにして得られた実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線について、以下の特性を評価した。
[特性評価]
(1)難燃性
実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線について、ISO6722の45度傾斜燃焼試験を行い、この試験結果に基づき、以下のようにして難燃性評価を行った。即ち、70秒以内で消火し、500mm中の上部50mmが残っている絶縁電線を合格とし、そうでない絶縁電線を不合格とした。結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3において、合格であった絶縁電線については「○」と表示し、不合格であった絶縁電線については「×」と表示した。
(2)機械的特性
機械的特性は、実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線について、JIS規格C3005により引張試験を行い、測定された引張破断強度に基づいて以下のように評価した。即ち引張破断強度が8MPa以上のものは機械的特性に優れるとして合格とし、8MPa未満のものは不合格とした。引張破断強度の結果を表1〜3に示す。なお、引張試験は、引張速度200mm/min、標線間距離20mmで行った。
(3)柔軟性
柔軟性は、実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線について、JIS規格C3005により引張試験を行い、測定された100%モジュラスの結果に基づいて以下のように評価した。即ち、100%モジュラスが10MPa以下のものは柔軟性に優れるとして合格とし、10MPaを超えるものは不合格とした。100%モジュラスの結果を表1〜3に示す。なお、引張試験は、引張速度200mm/min、標線間距離20mmで行った。また表1〜3において、100%伸びないものについては、100%モジュラスを測定することができないため、「−」と表示した。
(4)耐熱性
耐熱性は、耐加熱変形性及び耐熱老化性の両方の結果に基づいて評価した。
(A)耐熱加熱変形性
絶縁電線の耐加熱変形性は、ISO6722に基づいて、以下のようにして評価した。即ち、150℃のオーブン中に絶縁電線を入れて4時間放置し、4.7Nの荷重で4時間、厚さ0.7mmの金属製ブレードのエッジを押し当てた。そして、絶縁電線を6mmφマンドレルに巻き付けた後に、エッジを押し当てた部分に対して1kVの電圧を1分間印加して耐電圧試験を行った。そして、絶縁電線に絶縁破壊が生じているかどうかを目視にて観察した。結果を表1〜3に示す。表1〜3において、絶縁破壊が生じない絶縁電線については耐加熱変形性に優れるとして「○」と表示し、絶縁破壊が生じていた絶縁電線については「×」と表示した。
(B)耐熱老化性
絶縁電線の耐熱老化性は、ISO6722に基づいて、以下のようにして評価した。即ち150℃のオーブン中に絶縁電線を入れて3000時間放置した。そして、絶縁電線を6mmφマンドレルに巻き付けた後に、1kVの電圧を1分間印加して耐電圧試験を行った。そして、絶縁電線に絶縁破壊が生じているかどうかを目視にて観察した。結果を表1〜3に示す。表1〜3において、絶縁破壊が生じない絶縁電線については耐熱老化性に優れるとして「○」と表示し、絶縁破壊が生じていた絶縁電線については「×」と表示した。
表1〜3において、耐加熱変形性及び耐熱老化性の両方とも合格のものについては耐熱性に優れるとして合格とし、耐加熱変形性及び耐熱老化性のいずれか一方でも不合格のものについては耐熱性に劣るとして不合格とした。
上記特性の他、以下の引張破断伸び、耐摩耗性及び耐低温性について以下のようにして評価した。
(5)引張破断伸び
引張破断伸びは、実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線について、JIS規格C3005により引張試験を行うことにより測定した。即ち、引張破断伸びが150%以上のものは合格とし、150%未満のものは不合格とした。なお、引張試験は、引張速度200mm/min、標線間距離20mmで行った。結果を表1〜3に示す。
(6)耐摩耗性
実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線についての耐摩耗性の評価は、スクレープ試験(ISO6722)に基づいて以下の手順で行った。
即ち、φ0.45mmのニードルを、荷重7Nで絶縁電線の表面に押し当てながら、その絶縁電線の表面上を往復摩耗させた。そのときニードルが絶縁電線内の導体に接触するまでの往復回数を測定した。そして、絶縁電線をニードルに対して移動させた後、その長手方向を中心軸として90°回転させ、そのときニードルに対向する個所でも上記と同様に往復回数を測定した。この操作を12回繰り返して行い、その平均値を求めた。そして、この測定した往復回数の平均値が3000回以上である絶縁電線については良好とし、3000回未満である絶縁電線については不良とした。
なお、測定は、往復回数が3000回を超えた時点で終了させた。結果を表1〜3に示す。表1〜3において、良好な絶縁電線については「○」と表示し、不良な絶縁電線については「×」と表示した。
(7)耐低温性
実施例1〜6及び比較例1〜10の絶縁電線についての耐低温性の評価は、以下のようにして行った。
即ち、絶縁電線を−40℃にて6mmφマンドレルに巻き付けた。その後、1kVで1分間電圧を印加し、耐電圧試験を行った。そして、マンドレルに巻きつけた際に導体が露出するかどうか、耐電圧試験により絶縁破壊が生じるかどうかを調べた。結果を表1〜3に示す。表1〜3において、絶縁電線をマンドレルに巻きつけた際に導体が露出するか、耐電圧試験により絶縁破壊が生じた場合には、耐低温性が不良であるとして「×」と表示し、導体が露出せず、絶縁破壊も生じなかった場合には、耐低温性が良好であるとして「○」と表示した。
表1〜3に示す結果より、実施例1〜6の絶縁電線は、絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きくても、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与できることができることが分かった。これに対し、比較例1〜10の絶縁電線は、難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性のうち少なくとも1つにおいて合格基準に到達せず、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を同時に満足できないことが分かった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物によれば、絶縁層の被覆厚が0.5mm以上と大きい絶縁電線にも、優れた難燃性、耐熱性、機械的特性及び柔軟性を付与できることができることが確認された。
1…絶縁電線
2…編組
3…シース
4…内部導体
5…絶縁層
10…ケーブル。

Claims (6)

  1. (A)ポリエステル系エラストマと、
    (B)リン系難燃剤とを含み、
    前記リン系難燃剤が、前記ポリエステル系エラストマ100質量部に対して10〜75質量部の割合で配合され、
    前記ポリエステル系エラストマが、10〜90質量%のエステル−カーボネート共重合体(A1)と、90〜10質量%のポリエステル及びアクリルゴムを含む混合物の動的架橋物(A2)からなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記動的架橋物(A2)のショアA硬度が90未満である、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記リン系難燃剤が、縮合リン酸エステル及びリン酸金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記リン系難燃剤が混練温度において液状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 導体と、
    前記導体を被覆する絶縁層と、
    を備えており、
    前記絶縁層が、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物で構成されること、
    を特徴とする絶縁電線。
  6. 内部導体及び前記内部導体を被覆する絶縁層を有する絶縁電線と、
    前記絶縁電線を囲むシースとを備え、
    前記絶縁層及び前記シースの少なくとも一方が請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成されることを特徴とするケーブル。

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