JP2012056914A - タモギタケ抽出物を有効成分とする抗カンジダ菌剤ならびにカンジダ症予防および/または治療剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 タモギタケの水系溶媒抽出物、タモギタケから抽出されるグルコシルセラミド、タモギタケから抽出されるエルゴチオネインおよびタモギタケから抽出されるエルゴステロールパーオキサイドからなる群から選択される1または2以上の物質を有効成分とする。
【選択図】 図1
Description
(1)タモギタケ熱水抽出物の調製
生のタモギタケ150kg〜200kgを水200Lに入れて加熱し、沸騰させた状態で5分間煮出した後、濾過して150Lの濾液を得ることにより、タモギタケ熱水抽出物を調製した。
6ウェルプレート(IWAKI社)の各ウェルにブレインハートフュージョン培地(BHI培地;栄研化学社)を入れたものを4枚準備し、A、B、CおよびDとして、計4サンプルを調製した。各サンプルの各ウェルに、カンジダ菌(Candida albicans ATCC90028株)を、培養液の600nmにおける吸光度が0.01〜0.05となるよう植菌した後、B、CおよびDの各ウェルに、本実施例(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物を、それぞれ、6%(v/v)、8%(v/v)および60%(v/v)となるように添加した。なお、何も添加しないAのウェルをコントロールとした。
本実施例(2)のA、B、CおよびDを25℃にて16時間培養した。次に、カンジダ菌生菌数の指標として、培養後の培地について、分光光度計(BioRad社)を用いて波長600nmにおける吸光度を測定することにより、濁度を求めた。続いて、サンプルごとに各ウェルにおける濁度の平均値と標準偏差を算出した。また、算出したB、CおよびDにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図1に示す。図中の*は、検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
(1)タモギタケ熱水抽出物のヒトβ−ディフェンシン産生促進効果の検討
[1−1]サンプルの調製および培養
ウシ胎児血清(FBS;Gibco−BRL社)およびペニシリン・ストレプトマイシン(シグマ社)をそれぞれ10%(v/v)および2%(v/v)の終濃度で含むDMEM培地(シグマ社)を調製し、F−P−DMEM培地とした。F−P−DMEM培地に、ヒト不死化ケラチノサイト細胞(HaCaT細胞;東京歯科大学病理学講座村松敬氏提供)を1×105個/mLとなるよう添加して、細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液3mLを60mmディッシュ(IWAKI社)に入れたものを5枚準備し、A、B、C、DおよびEとして、計5サンプルを調製した。続いて、各サンプルを37℃、CO25%(v/v)の環境下にて、80%コンフルエントに達するまで、約3日間培養した。
実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物を、DDWを用いて希釈して、それぞれ、2%(v/v)、20%(v/v)および40%(v/v)の熱水抽出物水溶液を調製した。次に、DDW、2%(v/v)、20%(v/v)、40%(v/v)の熱水抽出物水溶液および実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物をそれぞれ25%(v/v)となるようF−P−DMEM培地に添加して、コントロール用交換培地とタモギタケ熱水抽出物を下記の終濃度で含む交換培地とを調製した。本実施例(1)[1−1]の各サンプルの培地を、調製した交換培地に下記のとおり交換した後、本実施例(1)[1−1]に記載の環境下にて、さらに24時間培養した。
A :DDW (コントロール用交換培地)
B :タモギタケ熱水抽出物 終濃度0.5%(v/v)
C :タモギタケ熱水抽出物 終濃度 5%(v/v)
D :タモギタケ熱水抽出物 終濃度 10%(v/v)
E :タモギタケ熱水抽出物 終濃度 25%(v/v)
本実施例(1)[1−2]の各サンプルから細胞を回収した後、TRIzol reagent(Invitrogen社)を用いて細胞中の全RNAを抽出した。続いて、抽出した全RNAの10%(v/v)容量のクロロホルムを添加して、13000rpm、4℃の条件下で10分間遠心分離を行った後、水層を回収した。次に、等量のイソプロパノールを添加して、13000rpm、4℃の条件下で10分間遠心分離を行った後、上清を除去し、70%(v/v)エタノール600μLを添加して沈殿物を洗浄した。その後、沈殿物を滅菌DEPC処理水に溶解し、全RNA溶液を得た。この全RNA溶液から適量を分取し、分光光度計NanoDrop ND−1000(NanoDrop products社)を用いて波長260nmにおける吸光度を測定することにより、濃度を測定した。
本実施例(1)[1−3]のcDNAを鋳型として、ヒトβ−ディフェンシン−1(hBD−1)、ヒトβ−ディフェンシン−2(hBD−2)、ヒトβ−ディフェンシン−3(hBD−3)およびグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)について、Taq Man 7300 Real−Time PCR System(Applied Biosystems社)およびTaq Man Universal Master Mix(Applied Biosystems社)を用いて、付属の使用書に従い、定量PCR法を行い、一定の増幅産物量になるサイクル数(Ct値)を測定した。定量PCR法に用いたプライマーおよびプローブは下記のとおりである。
Taq Man Gene Expression Assays(Applied Biosystems社);
hBD−1の増幅に用いたプライマー・プローブ:AssayID Hs00608345_m1
hBD−2の増幅に用いたプライマー・プローブ:AssayID Hs00823638_m1
hBD−3の増幅に用いたプライマー・プローブ:AssayID Hs00218678_m1
GAPDHの増幅に用いたプライマー・プローブ:AssayID Hs99999905_m1
[2−1]タモギタケ熱水抽出物の濾液および濾物の調製
実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物150mLについて、分画分子量1000の限外濾過膜を用いて限外濾過を行い、25mLの濾液および濾物(乾燥重量;0.2g)を得た。
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、CおよびDの計4サンプルをを調製し、培養した。
本実施例(2)[2−1]の濾物をDDWに溶解し、1mg/mLの濾物水溶液を調製した。次に、DDW、本実施例(2)[2−1]の濾液、濾物水溶液および実施例1(1)で調製した熱水抽出物をそれぞれ10%(v/v)となるようF−P−DMEM培地に添加して、コントロール用交換培地と濾液、濾物およびタモギタケ熱水抽出物を含む交換培地とを調製した。本実施例(2)[2−2]のA、B、CおよびDの培地を、調製した交換培地に下記のとおり交換した後、本実施例(1)[1−1]に記載の環境下にて、さらに24時間培養した。
A :DDW(コントロール用交換培地)
B :濾液
C :濾物
D :タモギタケ熱水抽出物
本実施例(2)[2−3]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法によりRNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、hBD−3mRNAの定量を行った。また、算出したB、CおよびDにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図3に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[3−1]タモギタケ水抽出物の調製
フードプロセッサーに生のタモギタケ100gと水100gとを投入し、粉砕した後、濾布を用いて濾過し、70mLの濾液を得た。得られた濾液のpHを測定したところ、pH6.08であった。続いて、オートクレーブ装置を用いて、濾液を120℃で15分間滅菌処理した。
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、C、DおよびEの計5サンプルを調製し、培養した。続いて、実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物に代えて、本実施例(3)[3−1]で調製したタモギタケ水抽出物を用いて、本実施例(1)[1−2]に記載の方法により、タモギタケ水抽出物を添加した培地での培養を行った。
本実施例(3)[3−2]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、ヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量を行った。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図4に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[4−1]タモギタケ酸性溶媒抽出物の調製
水を0.4%(w/w)クエン酸水溶液に代えて、本実施例(3)[3−1]に記載の方法によりタモギタケの抽出物を調製し、これをタモギタケ酸性溶媒抽出物とした。なお、オートクレーブによる滅菌処理を行う前の濾液のpHは、pH4.61であった。
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、C、DおよびEの計5サンプルをを調製し、培養した。続いて、実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物に代えて、本実施例(4)[4−1]で調製したタモギタケ酸性溶媒抽出物を用いて、本実施例(1)[1−2]に記載の方法により、タモギタケ酸性溶媒抽出物を添加した培地での培養を行った。
本実施例(4)[4−2]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、ヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量を行った。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図5に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[5−1]タモギタケ塩基性溶媒抽出物の調製
水を1%(w/w)重曹水溶液に代えて、本実施例(3)[3−1]に記載の方法により、タモギタケの抽出物を調製し、これをタモギタケ塩基性溶媒抽出物とした。なお、オートクレーブによる滅菌処理を行う前の濾液のpHは、pH7.6であった。
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、C、DおよびEの計5サンプルを調製し、培養した。続いて、実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物に代えて、本実施例(5)[5−1]で調製したタモギタケ塩基性溶媒抽出物を用いて、本実施例(1)[1−2]に記載の方法により、タモギタケ塩基性溶媒抽出物を添加した培地での培養を行った。
本実施例(5)[5−2]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、ヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量を行った。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図6に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[6−1]タモギタケ由来エルゴチオネインの調製
生のタモギタケ150kg〜200kgを水200Lに入れて加熱し、沸騰させた状態で5分間煮出した後、濾過して150Lの濾液を得た。この濾液について、5000rpm、10℃の条件下で30分間遠心分離を行って135Lの上清を回収した。5×30cmのカラムに充填したイオン交換樹脂(アンバーライトIR120B H型;オルガノ社)に、回収した上清のうちの7.5Lを入れ、一晩自然落下させた。続いて、イオン交換樹脂を回収し、蒸留水2.5Lを用いて洗浄して糖質成分を除去した後、0.28%(w/w)アンモニア水10Lを用いて溶出し、イオン交換樹脂に吸着していた陽イオン性化合物を含む溶出液10mLを得た。ロータリーエバポレーターを用いてこの溶出液を濃縮した後、下記の条件により定法に従って高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行い、流出開始3〜4分に検出されるピークの画分を分取した。
HPLCシステム;日立高速液体クロマトグラフLaChrom Elite
溶離溶媒;0〜1%(v/v)アセトニトリル水溶液
カラム;Inertsil ODS−SP(ジーエルサイエンス社)
検出器;UV検出器
検出条件;250nm
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、およびCの計3サンプルを調製し、培養した。
本実施例(6)[6−1]で調製したタモギタケ由来エルゴチオネインをDDWに溶解して、それぞれ、10mmol/Lおよび100mmol/Lのエルゴチオネイン水溶液を調製した。次に、DDW、10mmol/Lおよび500mmol/Lのエルゴチオネイン水溶液をそれぞれ1%(v/v)となるようF−P−DMEM培地に添加して、コントロール用交換培地とタモギタケ由来エルゴチオネインを下記の終濃度で含む交換培地とを調製した。本実施例(6)[6−2]の各サンプルの培地を、調製した交換培地に下記のとおり交換した後、本実施例(1)[1−1]に記載の環境下にて、さらに24時間培養した。
A :DDW (コントロール用交換培地)
B :タモギタケ由来エルゴチオネイン 終濃度100μmol/L
C :タモギタケ由来エルゴチオネイン 終濃度 5mmol/L
本実施例(6)[6−3]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、ヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量を行った。また、算出したBおよびCにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図7に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[7−1]タモギタケ由来エルゴステロールパーオキサイドの調製
生のタモギタケ150kg〜200kgを水200Lに入れて加熱し、沸騰させた状態で5分間煮出した後、濾過して濾物(残渣)を得た。この濾物を加熱して乾燥させた後、粉砕機を用いて粒子径が0.1mmとなるまで粉砕し、12kgの粉末を得た。99.5%(v/v)エタノールを、この粉末100g当たりに500mL〜1000mL添加して加熱し、粉末に含まれる成分を溶解させた。この溶液を冷却した後、5000rpm、10℃の条件下で30分間遠心分離を行って上清を回収し、1mol/LのNaOH水溶液を等量添加して室温下で2時間攪拌することによりケン化反応を行った。続いて、6mol/Lの塩酸水溶液を適量添加することによりpHを5〜6に調整した後、5000rpm、10℃の条件下で30分間遠心分離を行った。上清を除去した後、沈殿物に100mLのエタノールを添加して攪拌し、減圧下でエタノールを留去して、白色の沈殿物10〜50gを得て、これを脂質粗抽出物とした。
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、およびCの計3サンプルを調製し、培養した。
本実施例(7)[7−1]で調製したタモギタケ由来エルゴステロールパーオキサイドをジメチルスルホキシドに溶解して、それぞれ、100μmol/Lおよび1mmol/Lのエルゴステロールパーオキサイド水溶液を調製した。次に、ジメチルスルホキシド、100μmol/Lおよび1mmol/Lのエルゴステロールパーオキサイド水溶液をそれぞれ1%(v/v)となるようF−P−DMEM培地に添加して、コントロール用交換培地とタモギタケ由来エルゴステロールパーオキサイドを下記の終濃度で含む交換培地とを調製した。本実施例(7)[7−2]の各サンプルの培地を、調製した交換培地に下記のとおり交換した後、本実施例(1)[1−1]に記載の環境下にて、さらに24時間培養した。
A :ジメチルスルホキシド (コントロール用交換培地)
B :タモギタケ由来エルゴステロールパーオキサイド 終濃度 1μmol/L
C :タモギタケ由来エルゴステロールパーオキサイド 終濃度10μmol/L
本実施例(7)[7−3]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により、定量PCR法を行い、ヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量を行った。また、算出したBおよびCにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図8に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[8−1]タモギタケ由来グルコシルセラミドの調製
シリカゲルカラムからの各溶出液について、薄層クロマトグラフィーにより含有成分を確認し、選択する際に、エルゴステロールパーオキサイドに代えてグルコシルセラミドを含む溶出液を選択して、本実施例(7)[7−1]に記載の方法を行うことにより、精製されたタモギタケ由来グルコシルセラミド20〜25g(0.028〜0.034mol)を得た。
本実施例(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、C、DおよびEの計5サンプルを調製し、培養した。
本実施例(8)[8−1]で調製したタモギタケ由来グルコシルセラミドをジメチルスルホキシドに溶解して、それぞれ、100μmol/L、1mmol/L、10mmol/Lおよび100mmol/Lのグルコシルセラミド水溶液を調製した。次に、ジメチルスルホキシド、100μmol/L、1mmol/L、10mmol/Lおよび100mmol/Lのグルコシルセラミド水溶液をそれぞれ0.1%(v/v)となるようF−P−DMEM培地に添加して、コントロール用交換培地とタモギタケ由来グルコシルセラミドを下記の終濃度で含む交換培地とを調製した。本実施例(8)[8−2]の各サンプルの培地を、調製した交換培地に下記のとおり交換した後、本実施例(1)[1−1]に記載の環境下にて、さらに24時間培養した。
A :ジメチルスルホキシド (コントロール用交換培地)
B :タモギタケ由来グルコシルセラミド 終濃度0.1μmol/L
C :タモギタケ由来グルコシルセラミド 終濃度 1μmol/L
D :タモギタケ由来グルコシルセラミド 終濃度 10μmol/L
E :タモギタケ由来グルコシルセラミド 終濃度100μmol/L
本実施例(8)[8−2]の各サンプルについて、本実施例(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、本実施例(1)[1−4]に記載の方法により、定量PCR法を行い、ヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量を行った。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図9に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
(1)サンプルの調製および培養
実施例2(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、CおよびDの計4サンプルを調製した。ただし、HaCaT細胞に代えて正常ヒト表皮角化細胞(NHEK細胞;三光純薬社)を用い、培養時間は3日間に代えて2日間とした。
本実施例(1)の各サンプルについて、実施例2(1)[1−2]に記載の方法により、タモギタケ熱水抽出物を添加した培地での培養を行った。ただし、各サンプルに用いた交換培地は下記のとおりとした。
A :DDW (コントロール用交換培地)
B :タモギタケ熱水抽出物 終濃度0.5%(v/v)
C :タモギタケ熱水抽出物 終濃度 5%(v/v)
D :タモギタケ熱水抽出物 終濃度 25%(v/v)
本実施例(2)の各サンプルについて、実施例2(1)[1−3]に記載の方法により、RNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、実施例2(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、hBD−2mRNAおよびhBD−3mRNAの定量を行った。また、算出したB、CおよびDにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図10に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
(1)タモギタケ熱水抽出物
実施例2(1)[1−1]〜[1−4]に記載の方法により、実験を行った。ただし、タモギタケ熱水抽出物を添加した培地での培養時間は24時間に代えて2時間とし、定量PCR法によるヒトβ−ディフェンシンmRNAの定量は、hBD−2およびhBD−3について行った。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図11に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
実施例2(2)[2−1]〜[2−4]に記載の方法により、実験を行った。ただし、タモギタケ熱水抽出物の濾液および濾物を添加した培地での培養時間は24時間に代えて2時間とした。また、算出したB、CおよびDにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図12に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
[3−1]タモギタケ熱水抽出物の超音波処理物の調製
実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物20mLをネジ口瓶に入れ、超音波発生器を用いて、40kHzの超音波を50分間照射することにより、タモギタケ熱水抽出物の超音波処理物を得た。
実施例2(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、およびCの計3サンプルを調製し、培養した。
DDWを用いて本実施例(3)[3−1]のタモギタケ熱水抽出物の超音波処理物を希釈して、10%(v/v)の超音波処理物水溶液を調製した。次に、DDW、10%(v/v)の超音波処理物水溶液および本実施例(3)[3−1]のタモギタケ熱水抽出物の超音波処理物を、それぞれ10%(v/v)となるようF−P−DMEM培地に添加して、コントロール用交換培地と、タモギタケ熱水抽出物の超音波処理物を下記の終濃度で含む交換培地とを調製した。本実施例(3)[3−2]の培地を、調製した交換培地に下記のとおり交換した後、実施例2(1)[1−1]に記載の環境下にて、さらに2時間培養した。
A :DDW (コントロール用交換培地)
B :タモギタケ熱水抽出物の超音波処理物 終濃度 1%(v/v)
C :タモギタケ熱水抽出物の超音波処理物 終濃度10%(v/v)
本実施例(3)[3−3]の各サンプルについて、実施例2(1)[1−3]に記載の方法によりRNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、実施例2(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、hBD−3mRNAの定量を行った。また、算出したBおよびCにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図13に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
実施例2(3)[3−1]〜[3−3]に記載の方法により、実験を行った。ただし、タモギタケ水抽出物を添加した培地での培養時間は24時間に代えて2時間とした。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図14に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
実施例2(4)[4−1]〜[4−3]に記載の方法により、実験を行った。ただし、タモギタケ酸性溶媒抽出物を添加した培地での培養時間は24時間に代えて2時間とした。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図15に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
実施例2(5)[5−1]〜[5−3]に記載の方法により、実験を行った。ただし、タモギタケ塩基性溶媒抽出物を添加した培地での培養時間は24時間に代えて2時間とした。また、算出したB、C、DおよびEにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図16に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
実施例2(6)[6−1]〜[6−4]に記載の方法により、実験を行った。ただし、タモギタケ由来エルゴチオネインを添加した培地での培養時間は24時間に代えて2時間とした。また、算出したBおよびCにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図17に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
(1)サンプルの調製および培養
実施例2(1)[1−1]に記載の方法により、A、B、C、D、E、F、GおよびHの計8サンプルを調製した。ただし、HaCaT細胞に代えてNHEK細胞(三光純薬社)を用い、培養時間は3日間に代えて2日間とした。
スエヒロタケ由来βグルカン(ソニフィラン;科研製薬社)、大麦由来βグルカン(MP Biomedicals社)、Toll Like Receptor(TLR)−2およびTLR−6のアゴニストであるマイコプラズマ由来ジアシルリポペプチド(FSL−1;InvivoGen社)および実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物を、DDWを用いて希釈またはDDWに溶解し、下記のb、c、d、eおよびgの水溶液を調製した。また、タモギタケ熱水抽出物にスエヒロタケ由来βグルカンまたはFSL−1を溶解することにより、下記のfおよびhのタモギタケ熱水抽出物溶液を調製した。
b:スエヒロタケ由来βグルカン 100μg/mL
c:大麦由来βグルカン 100μg/mL
d:FSL−1 100ng/mL
e:タモギタケ熱水抽出物 50%(v/v)
f:タモギタケ熱水抽出物 100%(v/v)+スエヒロタケ由来βグルカン 200μg/mL
g:FSL−1 200μg/mL+スエヒロタケ由来βグルカン 200μg/mL
h:タモギタケ熱水抽出物 100%(v/v)+FSL−1 200μg/mL
A:DDW (コントロール用交換培地)
B:スエヒロタケ由来βグルカン 終濃度10μg/mL
C:大麦由来βグルカン 終濃度10μg/mL
D:FSL−1 終濃度10ng/mL
E:タモギタケ熱水抽出物 終濃度 5%(v/v)
F:タモギタケ熱水抽出物 終濃度5%(v/v)+スエヒロタケ由来βグルカン 終濃度10μg/mL
G:FSL−1 終濃度10ng/mL+スエヒロタケ由来βグルカン 終濃度10μg/mL
H:タモギタケ熱水抽出物 終濃度5%(v/v)+FSL−1 終濃度10ng/mL
本実施例(2)の各サンプルについて、実施例2(1)[1−3]に記載の方法によりRNAの抽出およびcDNAの作製を行った後、実施例2(1)[1−4]に記載の方法により定量PCR法を行い、hBD−2mRNAおよびhBD−3mRNAの定量を行った。また、算出したB、C、D、E、F、GおよびHにおける結果について、Aにおける結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図18に示す。図中の*は、U検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
(1)タモギタケ熱水抽出物を含有する口腔用ジェルの調製 実施例1(1)で調製したタモギタケ熱水抽出物と白色ワセリン(ヤクハン製薬社)とを歯科用ダッペングラスに入れ、プラスチックのセメントスパチュラを用いて攪拌・混合することにより、タモギタケ熱水抽出物を60%(w/w)含有する口腔用ジェルを調製した。
既報(Takakuraら、Microbiol.Immunol.、第47巻、第5号、第321−326頁、2003年)に従い、口腔カンジダ症モデルマウスを作製した。具体的には、6週齢のC3H/HeJJcl雄マウス(日本クレア社)15匹に、マウス体重1kg当たり100mgの量のプレドニゾロンを皮下注射した。続いて、滅菌した水道水に塩酸クロルテトラサイクリンを0.83mg/mLとなるよう添加したものを飲料水として自由摂取させながら24時間飼育した後、マウス1個体あたり、2mg/mLのクロルプロマジン塩酸塩水溶液50mLを大腿部に筋肉注射した。30分経過後、1×108cfu/mLのカンジダ菌(Candida albicans ATCC90028株)懸濁液を滅菌綿棒に付着させ、これを用いてマウスの舌と口腔内へカンジダ菌の播種を行った。
本実施例(2)のマウス15匹を7匹と8匹とに分け、7匹からなる群をコントロール群、8匹からなる群をジェル投与群として、各群のマウスを3日間飼育した。この間、ジェル投与群にのみ、本実施例(1)の口腔用ジェルを1匹当たり0.05g、口腔内に塗布することを1日3回行った。
本実施例(3)の各群のマウスから舌を摘出し、舌の重量100mgあたり1mLの生理食塩水を添加してホモジナイズし、懸濁液とした。この懸濁液100μLについて、CHIROMagar選択培地(CHIROMagar社)を用いて定法に従い平板法を行うことにより、カンジダ菌生菌数を測定し、群ごとに生菌数の平均値と標準偏差を求めた。また、算出したジェル投与群における結果について、コントロール群における結果との間でマンホイットニーのU検定を行った。その結果を図19に示す。図中の*は、検定の結果、統計的に有意であることを示す(p<0.05)。
Claims (8)
- タモギタケの水系溶媒抽出物、タモギタケから抽出されるグルコシルセラミド、タモギタケから抽出されるエルゴチオネインおよびタモギタケから抽出されるエルゴステロールパーオキサイドからなる群から選択される1または2以上の物質を有効成分とする抗菌剤。
- 水系溶媒抽出物が熱水抽出物である、請求項1に記載の抗菌剤。
- タモギタケの水系溶媒抽出物、タモギタケから抽出されるグルコシルセラミド、タモギタケから抽出されるエルゴチオネインおよびタモギタケから抽出されるエルゴステロールパーオキサイドからなる群から選択される1または2以上の物質を有効成分とするβディフェンシン産生促進剤。
- βディフェンシンがヒトβディフェンシン−1、ヒトβディフェンシン−2およびヒトβディフェンシン−3からなる群から選択される1または2以上のβディフェンシンである、請求項3に記載のβディフェンシン産生促進剤。
- 水系溶媒抽出物が熱水抽出物である、請求項3または請求項4に記載のβディフェンシン産生促進剤。
- タモギタケの水系溶媒抽出物、タモギタケから抽出されるグルコシルセラミド、タモギタケから抽出されるエルゴチオネインおよびタモギタケから抽出されるエルゴステロールパーオキサイドからなる群から選択される1または2以上の物質を有効成分とするカンジダ症予防および/または治療剤。
- 口腔乾燥症の患者に用いる、請求項6に記載のカンジダ症予防および/または治療剤。
- 水系溶媒抽出物が熱水抽出物である、請求項6または請求項7に記載のカンジダ症予防および/または治療剤。
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