JP2012056815A - 線引き炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】線引き時に外径変動の大きいガラス母材を用いても、十分にシールする機構を備えた線引き炉を提供する。
【解決手段】光ファイバ線引き用のガラス母材5が挿入される上端開口部2aと、上端開口部2aから挿入されたガラス母材5を収容する炉心管3と、炉心管3に収容されたガラス母材5を加熱して溶融する加熱源と、上端開口部2aとガラス母材5との間の間隙をシールするシール機構11と、を備えた線引き炉で、シール機構11は、ガラス母材5を囲むように配置されたシール部材13を有し、シール部材13は、耐熱性と可撓性を有し、シールガスの圧力によってガラス母材5の外周面に付勢されて間隙をシールする。
【選択図】図2
【解決手段】光ファイバ線引き用のガラス母材5が挿入される上端開口部2aと、上端開口部2aから挿入されたガラス母材5を収容する炉心管3と、炉心管3に収容されたガラス母材5を加熱して溶融する加熱源と、上端開口部2aとガラス母材5との間の間隙をシールするシール機構11と、を備えた線引き炉で、シール機構11は、ガラス母材5を囲むように配置されたシール部材13を有し、シール部材13は、耐熱性と可撓性を有し、シールガスの圧力によってガラス母材5の外周面に付勢されて間隙をシールする。
【選択図】図2
Description
本発明は、光ファイバを線引きする炉の上端開口部と光ファイバ線引き用のガラス母材との間をシールする機構を備えた光ファイバ線引き炉に関する。
光ファイバは、線引き炉の上端開口部から炉心管内に光ファイバ線引き用のガラス母材を下降させながらその先端を加熱して溶融させ、ガラス母材の先端から細径化して光ファイバとして線引きすることにより製造される。このときの線引き炉内の温度は、約2000℃と非常に高温となるため、線引き炉内の部品に耐熱性の優れたカーボンが用いられている。このカーボンは、高温の酸素含有雰囲気中で酸化して消耗する。これを防止するため、線引き炉の内部は、アルゴンガスやヘリウムガス等の不活性ガスや窒素ガスの雰囲気に保つと共に、線引き炉内に酸素を含んだ大気が入るのを防止する必要がある。
例えば、特許文献1には、線引き炉の上端開口部とガラス母材とをシールする線引き炉が開示されている。図7を参照して、特許文献1に係る線引き炉を説明する。線引き炉101は、リング状の絞り板102を有し、その絞り板102をガラス母材103に遊嵌させた状態で炉体104の上面104aに滑動自在に設置させている。絞り板102は、内周102aから高圧ガスを噴出させることにより、上端開口部105とガラス母材103との間をシールしている。
現在、光ファイバの製造コストを下げるため、ガラス母材の長さを長くするとともに外径も大きくし、ガラス母材の段取り替えを少なくすることが行われている。
しかしながら、特許文献1に係る線引き炉をガラス母材の外径が大きいものに適用した場合、長手方向のガラス母材の外径変動は、一般的にガラス母材の外径が小さいものに比べて大きくなるため、光ファイバの線引き時に線引き炉の上端開口部とガラス母材との間隙が大きく変化する場合がある。
しかしながら、特許文献1に係る線引き炉をガラス母材の外径が大きいものに適用した場合、長手方向のガラス母材の外径変動は、一般的にガラス母材の外径が小さいものに比べて大きくなるため、光ファイバの線引き時に線引き炉の上端開口部とガラス母材との間隙が大きく変化する場合がある。
このように線引き炉の上端開口部とガラス母材の間隙が大きく変動すると、高圧ガスの噴出では、十分にシールすることができず、酸素を含んだ外気が線引き炉内に入り、高温状態にある炉芯管等のカーボン製の部材が酸化により浸食される虞があった。
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、線引き時に外径変動の大きいガラス母材を用いても、十分にシールする機構を備えた線引き炉を提供することを目的とする。
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、線引き時に外径変動の大きいガラス母材を用いても、十分にシールする機構を備えた線引き炉を提供することを目的とする。
光ファイバ線引き用のガラス母材が挿入される上端開口部と、上端開口部から挿入されたガラス母材を収容する炉心管と、炉心管に収容されたガラス母材を加熱して溶融する加熱源と、上端開口部とガラス母材との間の間隙をシールするシール機構と、を備えた線引き炉で、シール機構は、ガラス母材を囲むように配置されたシール部材を有し、シール部材は、耐熱性と可撓性を有し、シールガスの圧力によってガラス母材の外周面に付勢されて間隙をシールする。
シール機構は環状のハウジングを有し、ハウジングは、中心部に前記上端開口部に連通しガラス母材が挿通される連通孔部と、内部に前記シールガスが流し込まれるガス供給路に連通する内部空間を備え、連通孔部と内部空間に連通する開口を塞ぐようにシール部材が配設されていることが好ましい。
シール部材には、中央部の径が端部の径よりも小さい鼓形状のものを用いることができ、両端部が開口の縁に沿って固定され、シールガスの圧力によって中央部がガラス母材の外周面に接するように付勢される。
シール部材には、中央部の径が端部の径よりも小さい鼓形状のものを用いることができ、両端部が開口の縁に沿って固定され、シールガスの圧力によって中央部がガラス母材の外周面に接するように付勢される。
また、環状のハウジングは、複数の環状部材が積層されることにより形成され、位置が固定される環状部材と径方向に移動可能な環状のシートパッキンとが交互に配され、シール部材は前記環状のシートパッキン間に各々配され、内部空間からのシールガスの圧力によって、環状で径が伸縮可能なシール部材の内周面が、ガラス母材の外周面に接するように付勢される。
シールガスは、不活性ガスまたは窒素ガスであり、前記シール部材は通気性を有し、前記間隙にシールガス層を形成することが好ましい。なお、シール部材は、カーボンフェルト又はセラミックフェルトで形成されていることが好ましい。
本発明による線引き炉によれば、線引き炉の上端開口部とガラス母材の間隙が大きく変動しても、シール部材がガラス母材の外径の変動に応じてシールガスの圧力によって付勢され、間隙をシールする。このため、外径変動のあるガラス母材を線引きする場合でも確実にシールすることができる。
図1及び図2を参照して、本発明による線引き炉を説明する。図1に示すように、線引き炉1は、炉体2と、炉心管3と、加熱源4と、シール機構11とを備えている。
炉体2は、上端開口部2a(図2参照)と下端開口部2bを有している。炉体2は、例えば、ステンレス鋼製で形成され、断熱材がその内部に配されている。
炉心管3は、炉体2の中央部に設けられた円筒状の管であり、炉体2の上端開口部2aと連通している。炉心管3は、炉体2の上端開口部2aからガラス母材5が挿入されて収容するようになっている。
炉体2は、上端開口部2a(図2参照)と下端開口部2bを有している。炉体2は、例えば、ステンレス鋼製で形成され、断熱材がその内部に配されている。
炉心管3は、炉体2の中央部に設けられた円筒状の管であり、炉体2の上端開口部2aと連通している。炉心管3は、炉体2の上端開口部2aからガラス母材5が挿入されて収容するようになっている。
加熱源4は、炉心管3を囲むように配置され、炉心管3の内部に挿入されたガラス母材5の下端部5aを加熱溶融する。
シール機構11は、炉体2の上端に配置され、炉体2の上端開口部2aと炉体2の上端開口部2aから挿入されたガラス母材5の外周との間の間隙をシールする。
シール機構11は、炉体2の上端に配置され、炉体2の上端開口部2aと炉体2の上端開口部2aから挿入されたガラス母材5の外周との間の間隙をシールする。
次いで図2及び図3を参照して、本実施形態に係るシール機構11を説明する。図2は、シール機構の断面図を示し、図3(A)は、図2のa−a断面である。図3(B)は、本実施形態に係るシール部材の形状を示す図である。シール機構11は、ハウジング12と、シール部材13と、を有している。
図2に示すように、ハウジング12は、その中心部に連通孔部12aが形成された略円筒形状となっている。そして、ハウジング12の内部には、ガス供給路12bと、ガス噴出路12cと、シール部材固定部12d、内部空間16と、が形成されている。また、連通孔部12aを構成する周面には、内部空間16と連通する開口12eが形成されている。
連通孔部12aは、図2に示すように、炉体2の上端開口部2aと略同径となっており、上端開口部2aと連通する孔である。また、連通孔部12aは、ガラス母材5が挿入されると、ガラス母材5の外周を、ある程度の隙間を持って囲むようになっている。
ガス供給路12bは、注入口からシールガスが注入される流路であり、例えば、同心円上に4箇所形成されている。シールガスは、例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、窒素等のガスであり、バルブ18を通じてガス供給路12bに供給される。
ガス供給路12bは、注入口からシールガスが注入される流路であり、例えば、同心円上に4箇所形成されている。シールガスは、例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、窒素等のガスであり、バルブ18を通じてガス供給路12bに供給される。
内部空間16は、ガス供給路12bと連通孔部12aとの間に形成された略リング状の空間であり、ガス噴出路12cを介してガス供給路12bと連通し、開口12eを介して連通孔部12aと連通する。
内部空間16を構成するハウジング12のうち開口12eが形成される縁には、シール部材13を固定するシール部材固定部12dが形成されている。
内部空間16を構成するハウジング12のうち開口12eが形成される縁には、シール部材13を固定するシール部材固定部12dが形成されている。
シール部材13は、図3に示す通り、中央部13aの径が端部13bの径よりも小径な鼓形状となっており、耐熱性と可撓性と通気性とを有している。シール部材13は、例えば、カーボンフェルト、セラミックフェルトで形成される。ここで、シール部材13として用いるカーボンフェルト、セラミックフェルトは、密度0.05〜0.4g/cm3の範囲であることが望ましい。
シール部材13は、その端部13bがハウジング12のシール部材固定部12dによって保持される。このとき、シール部材13の小径の中央部13aは、開口12eから連通孔部12a側へ出っ張るようになっており、連通孔部12aにガラス母材5が挿入されると、ガラス母材5の外周に接触する。
シール部材13は、その端部13bがハウジング12のシール部材固定部12dによって保持される。このとき、シール部材13の小径の中央部13aは、開口12eから連通孔部12a側へ出っ張るようになっており、連通孔部12aにガラス母材5が挿入されると、ガラス母材5の外周に接触する。
内部空間16は、シール部材13によって開口12eが塞がれると、シールガスが溜まる空間を構成し、ガス噴出路12cよりシールガスが流し込まれて溜まるようになっている。
シール部材13は、シールガスが内部空間16に溜まると、開口12eから連通孔部12a側へ出っ張るように作用する圧力が発生する。このとき、連通孔部12aにガラス母材5が挿入されていると、シール部材13の中央部13aは、ガラス母材5の外周に付勢される。そして、ガラス母材5に外径変動が生じた場合(図2の点線で示すように、外径が小さくなった場合)、シール部材13の中央部13aは、シールガスの圧力によって、ガラス母材5の外周側へ更に出っ張ってガラス母材5の外周に当接するようになっている。
シール部材13は、シールガスが内部空間16に溜まると、開口12eから連通孔部12a側へ出っ張るように作用する圧力が発生する。このとき、連通孔部12aにガラス母材5が挿入されていると、シール部材13の中央部13aは、ガラス母材5の外周に付勢される。そして、ガラス母材5に外径変動が生じた場合(図2の点線で示すように、外径が小さくなった場合)、シール部材13の中央部13aは、シールガスの圧力によって、ガラス母材5の外周側へ更に出っ張ってガラス母材5の外周に当接するようになっている。
シール部材13は、前述した通り通気性を有しており、シールガスを漏らしながらガラス母材5の外周に付勢される。シール部材13から漏れたシールガスは、図2(A)に示すように、ガラス母材5の外周面とシール部材13との当接部の上下から漏れ、シール部材13とガラス母材5の外周との間隙にシールガス層を形成する。このシールガス層は、上端開口部2aとガラス母材5の間隙をより強くシールする。
また、シールガス層は、例えば、シール部材13がカーボンフェルトで形成されている場合、カーボンフェルトが酸素を含んだ外気に触れて酸化するのを防止する。なお、シール部材13がセラミックフェルトで形成されている場合は、酸化の虞がない為、シール部材13の通気性が無くても良い。
以上に説明した本実施形態に係るシール機構11を備えた線引き炉1によれば、線引き炉1の上端開口部2aとガラス母材5の間隙が大きく変動しても、シール部材13がガラス母材5の外径の変動に追従してガラス母材5の外周に付勢されるとともにシール部材13から漏れたシールガスがシールガス層を形成する。これにより、線引き炉1にガラス母材5の外径変動が大きいものを用いて線引きする場合でも、良好にシールすることができ、酸素を含んだ外気が線引き炉1の内部に入り、高温状態にある炉芯管等のカーボン製の部材が酸化するのを抑えることができる。
また、本実施形態に係るシール機構11を備えた線引き炉1は、主にシール部材13をガラス母材5の外周に当接させてシールさせる構成となっているため、高圧ガスを噴出させてシールする従来技術と比較して、シールガスの使用量を抑えることができる。
図4〜図6を参照して、他の実施形態に係るシール機構21を説明する。図4は、シール機構の断面図を示し、図5(A)は、シール部材を示し、図5(B)は、シートパッキンを示している。また、図6はハウジングを構成する環状部材の構成部品を示す図で、図6(A)が蓋部を示し、図6(B)が本体部材を示し、図6(C)が基台部材を示している。
シール機構21は、図4に示すように、シール部材22と、シートパッキン23と、ハウジング24等から構成され、炉体2の上端開口部2aと連通する連通孔部24aを有している。
シール機構21は、図4に示すように、シール部材22と、シートパッキン23と、ハウジング24等から構成され、炉体2の上端開口部2aと連通する連通孔部24aを有している。
まず、シール部材22と、シートパッキン23とを説明する。このシール部材22は、図5(A)に示すような環状となっており、内周面22aと外周面22bを有している。このシール部材22は、耐熱性と可撓性と通気性を有し、径方向に伸縮可能である。なお、シール部材22は、例えば、図3(B)の例と同様にカーボンフェルトやセラミックフェルト等で形成することができ、カーボンフェルト、セラミックフェルトは、密度0.05〜0.4g/cm3の範囲であることが望ましい。
シートパッキン23は、図5(B)に示すように、中央にガラス母材5を挿通する挿通部23aが形成された穴あき円板形状となっており耐熱性を有している。シートパッキン23は、例えば、カーボンフェルトを圧縮成形して形成する。
挿通部23aは、ガラス母材5の外周と嵌合又は遊嵌されるものであり、使用されるガラス母材5の外径に合せて形成される。そして、挿通部23aは、ガラス母材5の外周に嵌合されて使用される際、ガラス母材5の径の変動を許容するために切り欠き23bを形成させておくことが好ましい。
挿通部23aは、ガラス母材5の外周と嵌合又は遊嵌されるものであり、使用されるガラス母材5の外径に合せて形成される。そして、挿通部23aは、ガラス母材5の外周に嵌合されて使用される際、ガラス母材5の径の変動を許容するために切り欠き23bを形成させておくことが好ましい。
ハウジング24は、図6に示すように、分割された複数の環状部材が積層することにより形成されている。すなわち、ハウジング24は、例えば、基台部材25と、3個の本体部材26と、蓋部材27とを有している。基台部材25、本体部材26及び蓋部材27は、例えば、ステンレス鋼で形成される。
基台部材25は、中心に挿通孔25aが形成された穴あき円板形状であり、上面にシートパッキン23を摺動可能に載置可能な凹み部であるシートパッキン載置部(積層面)25bが形成されている。なお、基台部材25は、線引き炉1の上端に固定される。
基台部材25は、中心に挿通孔25aが形成された穴あき円板形状であり、上面にシートパッキン23を摺動可能に載置可能な凹み部であるシートパッキン載置部(積層面)25bが形成されている。なお、基台部材25は、線引き炉1の上端に固定される。
挿通孔25aは、ガラス母材5を挿通させる孔であり、基台部材25が線引き炉1の上端に載置された際に上端開口部2aと連通する。挿通孔25aは、上端開口部2aの外径と略同径となっている。
シートパッキン載置部25bは、その凹み部の外径がシートパッキン23の外径よりも大きく、凹み部の深さがシートパッキン23の厚みと同等であり、シートパッキン23を径方向に摺動可能に載置することができる。
シートパッキン載置部25bは、その凹み部の外径がシートパッキン23の外径よりも大きく、凹み部の深さがシートパッキン23の厚みと同等であり、シートパッキン23を径方向に摺動可能に載置することができる。
本体部材26は、外径が基台部材25と同径の略円筒形状となっており、中心に空洞部26aを有し、上面に基台部材25と同様にシートパッキン23を摺動可能に載置可能な凹み部であるシートパッキン載置部26bが形成されている。本体部材26は、基台部材25の上面に固定される。
空洞部26aは、本体部材26が基台部材25に固定された際に、基台部材25の挿通孔25aと連通する。そして、空洞部26aの内径は、基台部材25の挿通孔25aの内径よりも大きく、また、シール部材22の外径よりも大きくなっている。空洞部26aは、その内径がシール部材22の外径よりも大きくなっていることにより、シール部材22を、隙間を持って格納することができる。
そして、本体部材26の内部には、ガス供給路部26cとガス噴出路26dが形成されている。ガス供給路部26cは、シールガスが供給される流路であり、例えば、本体部材26の周方向に等間隔で4箇所形成されている。ガス噴出路26dは、ガス供給路と空洞部26aに連通し、ガス供給路部26cに流し込まれたシールガスを空洞部26aに流し込む流路となっている。このような本体部材は、1層のみでも良いし、同様な構造で複数積層させる構造であっても良い。
蓋部材27は、中心に挿通孔27aが形成され、径方向外方に等間隔にガス供給口27bが4箇所形成された穴あき円板形状である。蓋部材27は、外径が本体部材26と同径となっており、本体部材26の上に固定される。
挿通孔27aは、ガラス母材5を挿通させるもので、蓋部材27が本体部材26の上に固定されると、本体部材26の空洞部26aと連通する。蓋部材27の挿通孔27aの径は、基台部材25の挿通孔25aの径と略同径となっており、本体部材26の空洞部26aの径よりも小さくなっている。
ガス供給口27bは、バルブ18を通じてシールガスが流し込まれる口であり、蓋部材27が本体部材26の上に固定されると、ガス供給路部26cと連通する。
挿通孔27aは、ガラス母材5を挿通させるもので、蓋部材27が本体部材26の上に固定されると、本体部材26の空洞部26aと連通する。蓋部材27の挿通孔27aの径は、基台部材25の挿通孔25aの径と略同径となっており、本体部材26の空洞部26aの径よりも小さくなっている。
ガス供給口27bは、バルブ18を通じてシールガスが流し込まれる口であり、蓋部材27が本体部材26の上に固定されると、ガス供給路部26cと連通する。
以上に説明したシール機構21は、図4に示すように、基台部材25のシートパッキン載置部25bにシートパッキン23を摺動可能に載置し、本体部材26を基台部材25の上に固定する。
そして、本体部材26の空洞部26aに、シール部材22をその外周面22bが本体部材26のガス噴出路26dの噴出孔に対向するように配置する。このとき、シール部材22は、基台部材25に置かれたシートパッキン23によって下側が支持され、本体部材26のシートパッキン載置部26bにシートパッキン23が載置されるとそのシートパッキン23によって上側が支持されて空洞部26aに配置される。ここで、シール部材22は、前述した通り、その外径が空洞部26aの内径よりも小さくなっており、また、径が伸縮可能となっている。
そして、本体部材26の空洞部26aに、シール部材22をその外周面22bが本体部材26のガス噴出路26dの噴出孔に対向するように配置する。このとき、シール部材22は、基台部材25に置かれたシートパッキン23によって下側が支持され、本体部材26のシートパッキン載置部26bにシートパッキン23が載置されるとそのシートパッキン23によって上側が支持されて空洞部26aに配置される。ここで、シール部材22は、前述した通り、その外径が空洞部26aの内径よりも小さくなっており、また、径が伸縮可能となっている。
以上により、本体部材26の空洞部26aには、2枚のシートパッキン23と、空洞部26aの内周面と、シール部材22の外周面22bとで空間(内部空間)28を形成する。すなわち、シール部材22は、2枚のシートパッキン23の間に形成される開口24bを塞ぐように配置されている。この空間28には、ガス噴出路26dの噴出口よりシールガスが流し込まれる。シール部材22は、空間28にシールガスが充填されるとシールガスの圧力を受けて径が小さくなる。
本実施形態においては、更に2個の本体部材26を有し、4枚のシートパッキン23によって、3個のシール部材22が図示するように支持されている。そして、本体部材26には、所定位置に蓋部材27が固定される。蓋部材27のガス供給口27bには、バルブ18が取り付けられ、バルブ18を通じてシールガスが流し込まれる。
以上のように構成されたシール機構21は、その中心に炉体2の上端開口部2aと連通する連通孔部24aが形成され、ガラス母材5が挿通される。
以上のように構成されたシール機構21は、その中心に炉体2の上端開口部2aと連通する連通孔部24aが形成され、ガラス母材5が挿通される。
ガラス母材5は、連通孔部24aに挿通されると、各シートパッキン23の挿通部23aとシール部材22の内側に通される。このとき、各シートパッキン23の挿通部23aは、ガラス母材5の外周と嵌合される。
そして、シール機構21は、バルブ18を通じてシールガスが流し込まれると、シールガスが各本体部材26のガス供給路部26cを通り、ガス噴出路26dの噴出口から空間28に流し込まれる。
そして、シール機構21は、バルブ18を通じてシールガスが流し込まれると、シールガスが各本体部材26のガス供給路部26cを通り、ガス噴出路26dの噴出口から空間28に流し込まれる。
シール部材22は、シールガスが空間28に流し込まれて充填されると、シールガスの圧力によってシール部材22の外周面22bが押され、径が縮んで内周面22aがガラス母材5の外周面に付勢される。
また、シール部材22は、線引き中にガラス母材5の外径変動が生じた場合(図4の二点鎖線で示すように外径が小さくなった場合)、シール部材22は、シールガスの圧力によって、径が更に縮んで内周面22aがガラス母材5の外周に当接し、上端開口部2aとガラス母材5の間隙をシールするようになっている。
また、シール部材22は、線引き中にガラス母材5の外径変動が生じた場合(図4の二点鎖線で示すように外径が小さくなった場合)、シール部材22は、シールガスの圧力によって、径が更に縮んで内周面22aがガラス母材5の外周に当接し、上端開口部2aとガラス母材5の間隙をシールするようになっている。
また、シール部材22は、前述した通り通気性を有しており、シールガスを漏らしながらガラス母材5の外周に付勢される。シール部材22から漏れたシールガスは、シール機構21の連通孔部24aとガラス母材5の外周面との隙間にシールガスのシール層を形成する。これにより、炉体2の上端開口部2aとガラス母材5の間隙をより強くシールするとともに、シール部材22の酸化を防止する。
また、各シートパッキン23,23,23,23は、前述したように、シートパッキン載置部25b,26b,26b,26bによって摺動可能に載置されている。これにより、各シートパッキン23,23,23,23は、線引き中にガラス母材5の偏心があった場合、シートパッキン載置部25b,26b,26b,26bを摺動して偏心を許容するように移動することができる。
以上に説明した他の実施形態に係るシール機構21を備えた線引き炉1によれば、線引き炉1の上端開口部2aとガラス母材5の間隙が大きく変動しても、シール部材22の径がガラス母材5の外径の変動に応じて伸縮して内周面22aがガラス母材5の外周に付勢する。これにより、ガラス母材5の外径変動が大きいものを使用したとしても、線引き炉1の上端開口部2aとガラス部材5との間の間隙をシールすることができる。
また、他の実施形態に係るシール機構21を備えた線引き炉1は、主にシール部材22をガラス母材5の外周に当接させてシールさせる構成となっているため、高圧ガスを噴出させてシールする従来技術と比較して、シールガスの使用量を抑えることができる。
なお、本体部材26は、3個積み重ねられる構成で説明したがこれに限定されるものではない。本体部材26の積み重ねられる数は、適宜変更することができる。
また、シートパッキン23は、挿通部23aがガラス母材5の外周に嵌合される態様で説明したがシール部材22をガイドすることができれば良く、これに限定されるものではない。例えば、挿通部23aの径をガラス母材5の外径よりも大きくして遊びを持たせても良い。
また、シートパッキン23は、挿通部23aがガラス母材5の外周に嵌合される態様で説明したがシール部材22をガイドすることができれば良く、これに限定されるものではない。例えば、挿通部23aの径をガラス母材5の外径よりも大きくして遊びを持たせても良い。
1…線引き炉、2…炉体、2a…上端開口部、2b…下端開口部、3…炉心管、4…加熱源、5…ガラス母材、11…シール機構、12…ハウジング、12a…連通孔部、12b…ガス供給路、12c…ガス噴出路、12d…シール部材固定部、12e…開口、13…シール部材、13a…中央部、13b…端部、16…内部空間、18…バルブ、21…シール機構、22…シール部材、22a…内周面、22b…外周面、23…シートパッキン、23a…挿通部、23b…切り欠き、24…ハウジング、24a…連通孔部、24b…開口、25…基台部材、25a…挿通孔、25b…シートパッキン載置部、26…本体部材、26a…空洞部、26b…シートパッキン載置部、26c…ガス供給路部、26d…ガス噴出路、27…蓋部材、27a…挿通孔、27b…ガス供給口、28…空間(内部空間)、101…ガラス母材、102…上端開口部、103…ガラス母材、104…絞り板、104a…内周。
Claims (7)
- 光ファイバ線引き用のガラス母材が挿入される上端開口部と、該上端開口部から挿入された前記ガラス母材を収容する炉心管と、該炉心管に収容された前記ガラス母材を加熱して溶融する加熱源と、前記上端開口部と前記ガラス母材との間の間隙をシールするシール機構と、を備えた線引き炉であって、
前記シール機構は、前記ガラス母材を囲むように配置されたシール部材を有し、前記シール部材は、耐熱性と可撓性を有し、シールガスの圧力によって前記ガラス母材の外周面に付勢されて前記間隙をシールすることを特徴とする線引き炉。 - 前記シール機構は環状のハウジングを有し、該ハウジングは、中心部に前記上端開口部に連通し前記ガラス母材が挿通される連通孔部と、内部に前記シールガスが流し込まれるガス供給路に連通する内部空間を備え、前記連通孔部と前記内部空間に連通する開口を塞ぐように前記シール部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の線引き炉。
- 前記シール部材は、中央部の径が端部の径よりも小さい鼓形状であり、両端部が前記開口の縁に沿って固定され、前記シールガスの圧力によって前記中央部が前記ガラス母材の外周面に接するように付勢されることを特徴とする請求項2に記載の線引き炉。
- 前記環状のハウジングは、複数の環状部材が積層されることにより形成され、位置が固定される前記環状部材と径方向に移動可能な環状のシートパッキンとが交互に配され、前記シール部材は前記環状のシートパッキン間に各々配され、前記内部空間からのシールガスの圧力によって、環状で径が伸縮可能な前記シール部材の内周面が、前記ガラス母材の外周面に接するように付勢されることを特徴とする請求項2に記載の線引き炉。
- 前記シールガスは、不活性ガスまたは窒素ガスであり、前記シール部材は通気性を有し、前記間隙にシールガス層を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の線引き炉。
- 前記シール部材は、カーボンフェルトで形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の線引き炉。
- 前記シール部材は、セラミックフェルトで形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の線引き炉。
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