JP2012056794A - セメントキルン排ガスからの回収水の利用システム及び利用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多量の地下水や工業用水を確保できない地域等でも、焼却灰や塩素バイパスダストを脱塩水洗処理し、有効利用するシステム等を提供する。
【解決手段】セメントキルン3(プレヒータ5)の排ガスG1を集塵する集塵装置7から排出された排ガスG2から熱回収する熱回収器9と、熱回収された排ガスG3を冷却して凝縮水Wを回収する過冷却機(スクラバー)10と、過冷却機から排出された排ガスG5を再加熱する再加熱器15と、過冷却機で回収された凝縮水を塩素含有物質の脱塩水洗処理装置18へ供給する回収水供給ライン21とを備えるセメントキルン排ガスからの回収水の利用システム8等。過冷却機の後段に、過冷却機で回収された凝縮水を貯留するとともに、貯留した凝縮水の一部を冷却した後過冷却機に循環させる循環液槽13及び冷却器11と、循環液槽から排出されたガスに含まれるミストを回収するミストセパレータ14とを備えることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、セメントキルンの排ガスから回収した凝縮水を利用するシステム及び方法に関する。
近年、ごみ処分場等の最終処分場の枯渇化の虞に鑑み、これまで最終処分場で処理されていた廃棄物等の有効利用が推進されている。その一環として、都市ごみなどを焼却した際に発生する焼却灰をセメント原料としてリサイクルしている。都市ごみ焼却灰のうち、気体とともに運ばれ、集塵装置で回収される飛灰は、10〜20%の塩素分を含むため、脱塩水洗装置を用い、飛灰に含まれる水溶性塩素化合物を水洗除去した後、セメント原料として利用している(例えば、特許文献1参照)。
一方、セメント製造装置には、プレヒータの閉塞等の問題を引き起こす原因となる塩素を除去する塩素バイパスシステムが用いられている。近年、上記焼却灰を含む廃棄物のセメント原料化又は燃料化によるリサイクルが推進され、廃棄物の処理量が増加するに従い、セメントキルンに持ち込まれる塩素等の揮発成分の量も増加し、塩素バイパスダストの発生量も増加している。そのため、塩素バイパスダストをすべてセメント粉砕工程で利用することができず、塩素バイパスダストについても水洗処理した後、セメント原料として利用している(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−100243号公報 特開2001−129513号公報
しかし、焼却灰や塩素バイパスダストを脱塩水洗処理する場合には、多量の地下水や工業用水を使用する必要があるため、脱塩水洗処理に必要な水を確保することができない地域等では、焼却灰や塩素バイパスダストを有効利用できないという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、多量の地下水や工業用水を確保することができない地域等であっても、焼却灰や塩素バイパスダスト等を脱塩水洗処理し、有効利用するシステム等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、セメントキルン排ガスからの回収水の利用システムであって、セメントキルンの排ガスを集塵する集塵装置から排出されたガスから熱回収する熱回収器と、該熱回収器で熱回収された排ガスを冷却して凝縮水を回収する過冷却機と、該過冷却機から排出されたガスを再加熱する再加熱器と、前記過冷却機で回収された凝縮水を、塩素含有物質の脱塩水洗処理装置へ供給する回収水供給ラインとを備えることを特徴とする。
そして、本発明によれば、熱回収器によって集塵装置から排出されたガスから熱回収した後、過冷却機で凝縮水を回収し、回収した凝縮水を回収水供給ラインを経て塩素含有物質の脱塩水洗処理装置へ供給することで、脱塩水洗処理に必要な水を確保することができない地域等でも、焼却灰や塩素バイパスダストなどを有効利用することができる。また、従来焼却灰等を脱塩水洗処理していた場合でも、処理に使用していた地下水や工業用水の全量又は一部を上記回収水に置き換えることができる。
さらに、本発明によれば、セメントキルン排ガスに含まれる酸性ガスが溶解した凝縮水を用いるため、難溶性塩の溶解を促進することもできる。また、セメント製造装置の煙突から最終的に排出されるガス中の水分を低減することで、白煙や、地球温暖化に寄与する水蒸気の大気放出を軽減することができる。また、セメント焼成装置の最終排ガス中の酸性ガス濃度を低減することもできる。
上記回収水利用システムにおいて、前記過冷却機の後段に、該過冷却機で回収された凝縮水を貯留するとともに、貯留した凝縮水の一部を冷却した後前記過冷却機に循環させる循環液槽及び冷却器と、該循環液槽から排出されたガスに含まれるミストを回収するミストセパレータとを備えることができる。これにより、効率よく凝縮水を回収することができる。
上記回収水利用システムにおいて、前記熱回収器と前記再加熱器とでガスガスヒータを構成することができる。
また、本発明は、セメントキルン排ガスからの回収水の利用方法であって、セメントキルンから排出されたガスに含まれる水分を回収し、回収水を塩素含有物質の脱塩水洗に用いることを特徴とする。本発明によれば、上記発明と同様に、脱塩水洗処理に必要な水を確保し、難溶性の塩の溶解を促進し、水蒸気の大気放出を軽減し、セメント焼成装置の最終排ガス中の酸性ガス濃度を低減することが可能となる。
上記セメントキルン排ガスからの回収水の利用方法において、前記塩素含有物質を、焼却灰又は/及びセメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのセメントキルン排ガス流路より抽気された燃焼ガスに含まれるダストとすることができ、焼却灰や塩素バイパスダストを有効利用することができる。また、焼却灰に含まれる難溶性のフリーデル氏塩の溶解を促進することもできる。
以上のように、本発明によれば、脱塩水洗処理に必要な水を確保することができない地域等においても、焼却灰や塩素バイパスダスト等を有効利用することなどが可能となる。
本発明にかかるセメントキルン排ガスからの回収水の利用システムの一実施の形態を適用したセメント製造装置の全体構成図である。
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明にかかるセメントキルン排ガスからの回収水の利用システム(以下、「回収水利用システム」と略称する)の一実施の形態を適用したセメント製造装置1を示し、この回収水利用システム8は、セメント焼成装置2の後段に付設され、回収水利用システム8の後段に焼却灰Aの脱塩水洗装置18が配置される。
セメント焼成装置2を構成するセメントキルン3、クリンカクーラ4、プレヒータ5及び仮焼炉6、並びにバグフィルタ7については、セメント製造装置で一般的に用いられているものであり、これらについての詳細説明は省略する。尚、バグフィルタ7の前段には、プレヒータ5に供給するセメント原料Rを乾燥や粉砕するための原料系の装置等が配置される。バグフィルタ7に代えて電気集塵機等も用いられる。
回収水利用システム8は、バグフィルタ7の下流側に配置され、熱回収器9及び再加熱器15からなるガスガスヒータと、熱回収器9で冷却された排ガスG3をさらに冷却して凝縮水Wを回収するスクラバー(過冷却機)10及びその付帯設備とで構成される。
ガスガスヒータの熱回収器9は、バグフィルタ7から供給された排ガスG2から熱回収するため、再加熱器15は、ミストセパレータ14から排出された排ガスG5を再加熱するために備えられる。再加熱器15の後段には、誘引ファン16と、煙突17が配置される。
スクラバー10は、熱回収器9で冷却された排ガスG3を、チラー(冷却器)11からの冷却水CWを用いてさらに冷却して凝縮水Wを回収する。チラー11は、ポンプ12を介して供給された循環液槽13内の凝縮水Wを冷却する。スクラバー10の下方には、スクラバー10で回収された凝縮水Wを貯留するための循環液槽13が設けられる。また、循環液槽13の下流側には、スクラバー10及び循環液槽13を通過した排ガス中のミストを除去するため、ミストセパレータ14が配置される。循環液槽13に貯留した凝縮水Wを脱塩水洗装置18の固液分離機20に導入するため、回収水供給ライン21が設けられる。
脱塩水洗装置18は、回収水利用システム8で回収された凝縮水Wを用いて焼却灰Aを脱塩水洗処理するため、溶解反応槽19と、固液分離機20とを備える。
溶解反応槽19は、焼却灰Aを、固液分離機20から排出されたケーク洗浄水Fに溶解させてスラリー化し、さらにミストセパレータ14から排出された排ガスG4から分取した排ガスG6に含まれるCO2と、焼却灰Aに含まれるカルシウム分とを反応させるために備えられる。
固液分離機20は、溶解反応槽19から排出されたスラリーSを固液分離しながら、循環液槽13から回収水供給ライン21を介して供給された凝縮水Wで水洗して塩素分を除去するために備えられる。固液分離機20には、フィルタプレス等が用いられる。
次に、上記構成を有するセメント製造装置1の動作について、図1を参照しながら説明する。
セメント焼成装置2の運転時に、プレヒータ5に供給されたセメント原料Rは、プレヒータ5で予熱され、仮焼炉6で仮焼された後、セメントキルン3にて焼成されてセメントクリンカが生成される。一方、セメントキルン3の排ガスは、セメントキルン3から仮焼炉6を経てプレヒータ5から排出され、プレヒータからの排ガスG1をバグフィルタ7で集塵する。
バグフィルタ7で集塵した後の排ガスG2を熱回収器9に導入し、排ガスG2から熱回収した後、スクラバー10に供給する。スクラバー10に供給された排ガスG3は、スクラバー10の入口に噴霧されたチラー11からの冷却水によって冷却され、排ガスG3に含まれる水蒸気が凝縮し、循環液槽13に凝縮水Wが回収される。また、ミストセパレータ14によって循環液槽13を通過した排ガス中のミストを回収し、循環液槽13に貯留する。プレヒータ5から排出された排ガスG1には、含水率の高い廃棄物等をセメントキルン3で処理していることから、10%程度の水分が含まれているため、この水分を回収して後段の脱塩水洗装置18で有効に利用することができる。
溶解反応槽19に、焼却灰Aと、固液分離機20からのケーク洗浄水Fとを供給して焼却灰Aをスラリー化するとともに、溶解反応槽19にミストセパレータ14から排出された排ガスG4から分取した排ガスG6を導入する。排ガスG6に含まれるCO2によって、スラリー中のカルシウム分を炭酸カルシウム(CaCO3)に変化させて溶存カルシウムの量を低減し、後段の装置でのカルシウムスケールの生成を少なくすることができる。
次に、溶解反応槽19から排出されたスラリーSを固液分離機20に供給し、また、循環液槽13に貯留された凝縮水Wを回収水供給ライン21を介して固液分離機20に供給し、スラリーSを固液分離しながら固液分離して得られるケークを水洗して塩素分を除去する。固液分離機20で分離された塩水SWは、排水処理後放流する。一方、固液分離機20で分離された脱塩ケークCは、セメント原料として利用する。
一方、排ガスG4から排ガスG6を分取した後の排ガスG5は、再加熱器15によって加熱した後、誘引ファン16及び煙突17を介して大気に放出する。
尚、図1では、排ガスG2の全量を熱回収器9を介してスクラバー10に導入しているが、後段の脱塩水洗装置18での凝縮水Wの使用量に合わせて、排ガスG2の一部をスクラバー10に導入して凝縮水Wを回収することもできる。
また、上記実施の形態においては、焼却灰Aを脱塩水洗処理したが、セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのセメントキルン排ガス流路より抽気された燃焼ガスに含まれるダストや、該ダストから粗粉を除去して得られた塩素バイパスダスト等の塩素含有物質を脱塩水洗処理することもできる。
さらに、回収水利用システム8の構成は、上記実施の形態に示された装置構成に限定されず、バグフィルタ7からの排ガスG2に含まれる水分を回収することができれば、他の構成を採用することもでき、ガスガスヒータ(熱回収器9及び再加熱器15)以外の熱回収器及び再加熱器を用いることも可能である。
1 セメント製造装置
2 セメント焼成装置
3 セメントキルン
4 クリンカクーラ
5 プレヒータ
6 仮焼炉
7 バグフィルタ
8 回収水利用システム
9 熱回収器
10 スクラバー
11 チラー
12 ポンプ
13 循環液槽
14 ミストセパレータ
15 再加熱器
16 誘引ファン
17 煙突
18 脱塩水洗装置
19 溶解反応槽
20 固液分離機
21 回収水供給ライン

Claims (5)

  1. セメントキルンの排ガスを集塵する集塵装置から排出されたガスから熱回収する熱回収器と、
    該熱回収器で熱回収された排ガスを冷却して凝縮水を回収する過冷却機と、
    該過冷却機から排出されたガスを再加熱する再加熱器と、
    前記過冷却機で回収された凝縮水を、塩素含有物質の脱塩水洗処理装置へ供給する回収水供給ラインとを備えることを特徴とするセメントキルン排ガスからの回収水の利用システム。
  2. 前記過冷却機の後段に、該過冷却機で回収された凝縮水を貯留するとともに、貯留した凝縮水の一部を冷却した後前記過冷却機に循環させる循環液槽及び冷却器と、該循環液槽から排出されたガスに含まれるミストを回収するミストセパレータとを備えることを特徴とする請求項1に記載のセメントキルン排ガスからの回収水の利用システム。
  3. 前記熱回収器と前記再加熱器とでガスガスヒータを構成することを特徴とする請求項1又は2に記載のセメントキルン排ガスからの回収水の利用システム。
  4. セメントキルンから排出されたガスに含まれる水分を回収し、回収水を塩素含有物質の脱塩水洗に用いることを特徴とするセメントキルン排ガスからの回収水の利用方法。
  5. 前記塩素含有物質は、焼却灰又は/及びセメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに至るまでのセメントキルン排ガス流路より抽気された燃焼ガスに含まれるダストであることを特徴とする請求項4に記載のセメントキルン排ガスからの回収水の利用方法。
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