JP2012056246A - 微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤、およびそれを用いたNi複盤の製造方法 - Google Patents

微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤、およびそれを用いたNi複盤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Ni to Ni電鋳において、再現性よく凹凸パターンの良好なNi複盤の形成を可能とし、かつ100nmを切るスケールにおいても適用可能とする。
【解決手段】微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤12において、凹凸パターンに沿って上記表面に、フッ素化合物を含有した離型層14を備える。フッ素化合物はパーフルオロポリエーテルが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、所定の微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤、および当該Ni原盤を用いて電鋳によりNi複盤を電鋳形成するNi複盤の製造方法に関するものである。
近年、2次元的または3次元的なパターン転写を効率的に行う磁気転写方法およびナノインプリント方法が開発されている。
磁気転写は、磁気記録媒体の製造で行われる転写技術であり、微細な磁化パターンを表面に有する磁気転写用マスターディスクをスレーブ媒体(被転写媒体ともいう。)に密着させた状態で、転写用磁界を印加して、磁化パターンに対応した情報(例えばサーボ信号)をスレーブ媒体に転写する技術である。一方、ナノインプリントは、ディスクリートトラックメディア(DTM)やビットパターンドメディア(BPM)等の製造で行われる転写技術であり、微細な凹凸パターンを表面に有するナノインプリント用マスター担体を熱可塑性樹脂、光硬化樹脂等に押し当て、その凹凸パターンを樹脂に転写する技術である。このような技術によれば、上記のようなマスターモールド(上記マスターディスクや上記マスター担体を含む)をスレーブ媒体に押し付けて、2次元的または3次元的なパターンを一括的に転写することができ、ナノレベルの微細パターンを容易にかつ低コストに形成することが可能である。現在では微細化の要請から、100nmを切るスケールの極微細な凹凸パターンの転写技術の開発が盛んに行われている。
通常上記のようなマスターモールドは、ガラスやSiウェハ等の原盤を用いた電鋳により、金属材料を当該原盤に析出させて形成される。さらに近年では特許文献1および2に示すように、マスターモールドの量産性を考慮して、電鋳形成されたNi電鋳物(Ni複盤ともいう)を新たなNi原盤とし、さらにNi電鋳物を形成する技術(Ni to Ni電鋳)の開発が盛んに行われている。
このようにNi原盤を用いてNi複盤を形成する場合には、Ni原盤からNi複盤を容易に剥離することができるかという離型性の問題が生じる。従来、Ni原盤およびNi複盤の間に離型性を向上させるための離型層を形成することにより、この問題の改善が図られている。例えば、特許文献1には、離型層としてNi原盤最表面に、Ni酸化膜を形成することが開示されている。また、特許文献2には、離型層としてNi原盤最表面に、アミノ系シランカップリング剤を表面修飾することが開示されている。
特開2009−43324号公報 特開2005−120392号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、凹凸パターンが微細になるにつれ、Ni原盤からNi複盤を剥離する際に、Ni酸化膜の一部はNi原盤側に付着し、他の部分はNi複盤側に付着して、所望の凹凸パターンを再現性よく形成することが困難となる場合がある。また、特許文献2の方法には、具体的な凹凸パターンの微細度(例えば、ライン&スペースパターンの場合には、ラインの幅、高さおよびピッチ等の具体的な長さのスケール)に関する記載が全くなく、我々が適用を考える100nmを切るスケールのNi to Ni電鋳にも特許文献2の方法が適用できるのか否かが不明である。現に、本発明者による追試においては、特許文献2の方法を用いた100nmを切るスケールのNi to Ni電鋳によって、良好な凹凸パターンを有するNi複盤を得ることはできなかった。
また、微細な凹凸パターンの剥離という観点では、ナノインプリントモールドとレジスト樹脂との離型性を高めるために、原盤に離型剤を塗布する方法が広く知られている。しかし、離型剤を用いて100nmを切るスケールの微細な凹凸パターンを有する金属製の原盤と、その上に化学的に析出した金属製の電鋳物との離型性を高めるという検討は行われていない。電鋳物の原盤からの離型性については、離型性が良すぎても電鋳中に剥がれてしまうなどの問題が有り、適当な離型性を付与することが重要である。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、Ni to Ni電鋳において、再現性よく凹凸パターンの良好なNi複盤の形成を可能とし、かつ100nmを切るスケールの極微細な凹凸パターンを有するNi複盤の形成にまで利用することが可能なNi原盤、およびそれを用いたNi複盤の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係るNi原盤は、
微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤において、
凹凸パターンに沿って上記表面に、フッ素化合物を含有した離型層を備えたことを特徴とするものである。
さらに、本発明に係るNi原盤において、フッ素化合物は、Niと化学的に結合可能な官能基を有し、
離型層は、官能基によってNi原盤の上記表面と結合したフッ素化合物の分子膜を含有するものであることが好ましい。
さらに、フッ素化合物はパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。
さらに、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(1)で表されるものとすることができる。
構造式(1):
構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、
Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表し、
a〜eは、それぞれ0以上の整数を表し、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(1)において任意であり、
Xは、Niと化学的に結合可能な官能基を表す。
この場合、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(2)で表されるものであることが好ましい。
構造式(2):
(OCFCFCFOC−Si(OCH
構造式(2)において、pは1以上の整数を表す。
一方、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(3)で表されるものとすることができる。
構造式(3):
m-nM-Z-Y-X-(OC-(OC-(OCF-O-X-Y-Z-MPm-n
構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1であり、a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意であり、
Xは、構造式(3−1):-(O)-(CF-(CH-(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表し、
Yは、二価の極性基または単結合を表し、
Zは、構造式(3−2):-(CH-(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表し、
-MPm-nは、Niと化学的に結合可能な官能基を表し、
Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表し、
Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表し、
Rは、水素または炭化水素基を表し、
mは、(Mで表される原子の価数-1)の整数を表し、
nは、1〜mの整数を表し、
-OC-は、-OCFCFCF-、または-OCF(CF)CF-を表し、
-OC-は、-OCFCF-、または-OCF(CF)-を表す。
この場合、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(4)で表されるものであることが好ましい。
構造式(4):
(CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
構造式(4)において、j及びkは重合度を表す。
そして、本発明に係るNi複盤の製造方法は、
微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤であって、凹凸パターンに沿って上記表面に、フッ素化合物を含有した離型層が設けられたNi原盤を用意し、
離型層付きのNi原盤をNi含有の電鋳液に浸漬して、Ni原盤の上記表面に離型層の上からNi電鋳物を電鋳により形成し、
このNi電鋳物を剥離して、凹凸パターンの形状に対して反転した形状の凹凸パターンを表面に有するNi複盤を得ることを特徴とするものである。
さらに、本発明に係るNi複盤の製造方法において、フッ素化合物が、Niと化学的に結合可能な官能基を有し、
離型層が、官能基によってNi原盤の上記表面と結合したフッ素化合物の分子膜を含有するものであることが好ましい。
さらに、フッ素化合物はパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。
さらに、パーフルオロポリエーテルは、上記構造式(1)で表されるものとすることができ、この場合、パーフルオロポリエーテルは、上記構造式(2)で表されるものであることが好ましい。
一方、パーフルオロポリエーテルは、上記構造式(3)で表されるものとすることができ、この場合、パーフルオロポリエーテルは、上記構造式(4)で表されるものであることが好ましい。
本発明に係るNi原盤およびNi複盤の製造方法は、離型層としてフッ素化合物を含有した層を設けているから、フッ素化合物の良好な離型性によりNi原盤からNi複盤を容易に剥離することが可能となる。これより、Ni to Ni電鋳において、再現性よく凹凸パターンの良好なNi複盤の形成を可能とし、かつ100nmを切るスケールの極微細な凹凸パターンを有するNi複盤の形成にまで適用することが可能となる。
本発明に係るNi原盤の一部分を模式的に示す断面拡大図である。 実施例1において製造した第2のNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。 実施例2において製造した第2のNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。 比較例1において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。 比較例2において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。 比較例3において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。 比較例4において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
「離型層付きNi原盤」
(Ni原盤)
図1は、本実施形態のNi原盤の一部分を模式的に示す断面拡大図である。本実施形態のNi原盤12は、図1に示すように、微細な凹凸パターンPを表面に有するNi原盤において、凹凸パターンPに沿って上記表面に、フッ素化合物を含有した離型層14を備えたものである。Ni原盤12は表面に転写情報に対応した微細な凹凸パターンPを有しており、この凹凸面に離型層14が被覆形成されている。
微細な凹凸パターンPの凸部は、平面視で長方形であり、トラック方向(ディスクの円周方向であり、図1の矢印方向)の長さAと、トラック幅方向(ディスクの半径方向)の長さL、並びに突起の高さ(厚さ)Hの値は、記録密度や記録信号波形等により適宜設計される。例えば、長さAが80nmに、長さLが200nmに設定される。ハードディスク装置に用いられる磁気ディスクのサーボ信号の場合、この微細な凹凸パターンPは、トラック方向の長さAに比べてトラック幅方向の長さLの方が長く形成される。例えば、トラック幅方向の長さLが0.05〜20μm、トラック方向の長さAが0.05〜5μmであることが好ましい。この範囲でトラック幅方向の方が長いパターンを選ぶことが、サーボ信号の情報を担持するパターンとしては好ましい。凸部パターンの高さH(凹部パターンの深さ)は、20〜800nmの範囲が好ましく、30〜600nmの範囲がより好ましい。
Ni原盤12は、例えば表面に凹凸パターンを有する石英基板或いはシリコンウェハを用いて、当該凹凸パターンのある面にNi電鋳によってNi電鋳物を形成し、このNi電鋳物を剥離することにより得られる。Ni原盤12の全体形状は、一般的には円盤型或いはドーナツ型のディスク状である。
(離型層の材料)
本願発明において、離型層14はフッ素化合物を含有した層である。さらに、Ni原盤との密着性を向上させる観点から、フッ素化合物は、Niと化学的に結合可能な官能基を有し、離型層は、当該官能基によってNi原盤の上記表面と結合したフッ素化合物の分子膜を含有するものであることが好ましい。さらに、フッ素化合物はパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。
Ni原盤の表面を被覆するのに用いる、Niと化学的に結合可能な官能基を有するパーフルオロポリエーテルは、下記構造式(1)で表されるものとすることができる。
構造式(1):
構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状のものを挙げることができる。好ましくは、CF−、C−、C−である。Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表す。a〜eそれぞれは、パーフルオロポリエーテル鎖の括弧でくくられた繰返し単位の繰返し単位数を表し、それぞれ0以上の整数を表す。ここで、a+b+c+d+eは、少なくとも1である。a〜eそれぞれは、0〜200が好ましく、後述するパーフルオロポリエーテルの数平均分子量を考慮すれば、0〜50がより好ましい。a+b+c+d+eは、好ましくは1〜100である。
a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、便宜上構造式式(1)中においてはこの順に記載したが、パーフルオロポリエーテルの構成に鑑み、これらの各繰返し単位の結合順序は、この順に限定されるものではない。
Xは、Niと化学的に結合可能な官能基を表す。「化学的に結合可能」とは、常温〜200℃程度の温度で、必要により加湿下、Ni原盤と接触させることにより、その原盤を構成する材料と化学的に反応することをいう。パーフルオロポリエーテルが化学的に結合しているか否かは、上記反応後、上記パーフルオロポリエーテルを溶解する薬剤でNi原盤の表面を十分に洗浄した後、その表面の接触角を測定することなどにより、確認することができる。官能基Xは、原盤の材料に応じて種々選択することができるが、反応性の観点から、ケイ素原子、チタン原子若しくはアルミニウム原子を含む加水分解性基、ホスホノ基、カルボキシル基、水酸基又はメルカプト基であることが好ましい。なかでも、ケイ素原子を含む加水分解性基が好ましい。特に、Xがケイ素原子を含む加水分解性基である場合、下記構造式(1−1)で表される基が好ましい。
構造式(1−1):
上記構造式(1−1)中のYは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記炭素数1〜4のアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等を挙げることができ、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記構造式(1−1)のX′は、水素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。上記構造式(1−1)中のlは、パーフルオロポリエーテル鎖を構成する炭素とこれに結合するケイ素との間に存在するアルキレン基の炭素数を表し、0、1又は2であるが、より好ましくは、0である。
上記構造式(1−1)中のmは、ケイ素に結合する置換基Rの結合数を表し、1、2又は3である。置換基Rが結合していない部分には、当該ケイ素にはRが結合する。
上記Rは、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。上記加水分解可能な置換基としては特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、ハロゲン、−OR、−OCOR、−OC(R)=C(R、−ON=C(R、−ON=CR[式中、Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、Rは、水素又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素数3〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。]等を挙げることができる。より好ましくは、塩素、−OCH、−OCである。上記Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す。上記1価の炭化水素基としては特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等を挙げることができ、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
上記構造式(1−1)中のnは、1以上の整数を表し、特に上限はないが、本発明の目的を達するためには、1〜10の整数であることが好ましい。上記nは、構造式(1−1)中においては整数を表すが、このような整数nを有する構造式(1)で表されるポリマーの混合物として本発明に係るパーフルオロポリエーテルが存在していてもよい。このように混合物としてパーフルオロポリエーテルが存在する場合には、上記nは、当該混合物中において平均値として表すことができ、当該パーフルオロポリエーテルが混合物として存在する場合には、本発明の目的を考慮すれば、nの平均値は、1.3〜3が好ましく、1.5〜2.5が特に好ましい。
上記構造式(1)に係るパーフルオロポリエーテルの数平均分子量は、5×10〜1×10である。5×10未満では、ポリマーとしての性質を有しないので利用価値がなく、1×10を超えると加工性に乏しくなるので、上記範囲に限定される。好ましくは、1×10〜1×10である。
上記の記載を考慮し、パーフルオロポリエーテルの好ましいものとして、例えば、構造式(1−2)で表されるもの等を挙げることができる。
構造式(1−2):
上記構造式(1−2)中のpは、1以上の整数であれば特に限定されないが、1〜200が好ましく、本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、より好ましくは、1〜50である。上記パーフルオロポリエーテルとしては、通常市販されているものを用いることができる。Xがケイ素原子を含む加水分解性基の場合は、通常市販されているパーフルオロポリエーテルを原料として用い、末端に例えば、ヨウ素を導入した後、これに、例えば、下記構造式(1−3)[式中、Y、R、R、l、mは、前記と同じ。]で表されるビニルシラン化合物を反応させること等により得ることができる。
構造式(1−3):
さらに、パーフルオロポリエーテルが構造式(1)で表される場合、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(2)で表されるものであることがより好ましい。
構造式(2):
(OCFCFCFOC−Si(OCH
構造式(2)において、pは1以上の整数を表す。
一方、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(3)で表されるものとすることができる。
構造式(3):
m-nM-Z-Y-X-(OC-(OC-(OCF-O-X-Y-Z-MPm-n
構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1である。a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意である。
また構造式(3)において、Xは、構造式(3−1):-(O)-(CF-(CH-(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表す。Yは、二価の極性基または単結合を表す。Zは、構造式(3−2):-(CH-(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表す。-MPm-nは、Niと化学的に結合可能な官能基を表す。Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表す。Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表す。Rは、水素または炭化水素基を表す。mは、(Mで表される原子の価数-1)の整数を表す。nは、1〜mの整数を表す。-OC-は、-OCFCFCF-、または-OCF(CF)CF-を表す。-OC-は、-OCFCF-、または-OCF(CF)-を表す。
さらに上記構造式(3)中のa、b及びcは、好ましくはそれぞれ0〜200の整数である。さらにa、b及びcは、含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、より好ましくは、1〜100の整数である。
上記構造式(3)におけるXの構造式(3−1)中のd、e及びfは、好ましくは、それぞれ0〜50の整数である。ここで、d、e及びfは、好ましくは0、1または2であり、より好ましくはd=0または1、e=2、f=0または1である。
上記構造式(3)中のYで表される二価の極性基は、例えば、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−OCHCH(OH)CH−、−CHCH(OH)CHO−、−COS−、−SCO−、−O−等を挙げることができる。好ましくは、−COO−、−CONH−、−OCHCH(OH)CH−または−CHCH(OH)CHO−である。
上記構造式(3)におけるZの構造式(3−2)中のgは、好ましくは0〜50の整数であり、より好ましくは0、1、2または3である。
上記構造式(3)中の官能基−MPm−nは、Ni原盤への反応性の観点から、Mとしては、周期表の1族〜15族の金属元素が挙げられ、ケイ素原子、チタン原子若しくはアルミニウム原子であることが好ましい。なかでも、Mとしては、ケイ素原子が好ましい。官能基−MPm-nとしては、−SiP3−nで表されるケイ素原子を含む加水分解性基が好ましい。
上記構造式(3)中、Mの価数は、Mで表される金属原子の性質にもよるが、通常1〜5、例えば、2〜5、特に3〜5である。例えば、上述のように、Mがケイ素原子(Si)の場合では、m=3であり、n=1、2または3である。しかし、通常含フッ素ポリマーは、異なるnを有する構造式(3)で表されるポリマーの混合物として存在している場合が多い。このように混合物として含フッ素ポリマーが存在する場合には、上記nは、混合物中において平均値として表すことができる。
上記構造式(3)中、Rで表される炭化水素基は、好ましくは1〜5の炭素原子を含む1価の炭化水素基であり、具体的には、−CH、−C、−C、−Cなどのアルキル基が例示でき、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
上記構造式(3)中、Pで表される加水分解可能な置換基としては、特に限定されず好ましいものとしては、例えば、ハロゲン、−OR、−OCOR、−OC(R)=C(R、−ON=C(R、−ON=CR[式中、Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、Rは、水素又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素数3〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。]等を挙げることができる。Pとしてより好ましくは、塩素、−OCH、−OCである。
上記構造式(3)に係るパーフルオロポリエーテルの数平均分子量については、上記構造式(1)の場合と同様である。
上記構造式(3)において、Yが二価の極性基であるパーフルオロポリエーテルは、好ましくは、構造式(3−3)で表される化合物と構造式(3−4)で表される化合物とを反応させることにより合成することができる。
構造式(3−3):
Q−Z−M−Pm−n
構造式(3−3)中、Z、M、P、R、m及びnは、構造式(3)の説明において前述した意味と同義であり、Qは極性基を表す。
構造式(3−4):
T−X−(OC−(OC−(OCF−X−T
構造式(3−4)中、X、a、b及びcは、構造式(3)の説明において前述した意味と同義であり、Tは極性基を表す。
構造式(3−3)のQ及び構造式(3−4)のTが反応することにより、構造式(3)のYを形成する。即ち、極性基Q及び極性基Tは、上記のYに対応する二価の極性基を形成し得る極性基である。極性基Qとしては、例えば、−COOH、−OH、−NH、−SH、−Hal(ハロゲン)または構造式(3−5)で表される基等を挙げることができる。
構造式(3−5):
また、極性基Tとしては、例えば、HO−、HOOC−、Hal−CO−(酸ハライド)、HN−、HS−、または構造式(3−6)で表される基等を挙げることができる。
構造式(3−6):
極性基Qと極性基Tの反応は、公知の反応(例えば、脱水縮合反応、エポキシの開環反応)により実施することができる。
上記構造式(3)で表されるパーフルオロポリエーテルのうち、好ましいものとして、例えば、下記構造式(3−7)で表される化合物を挙げることができる。
構造式(3−7):
m−nSi−Z−Y−X−(OC−(OC−(OCF−O−X−Y−Z−SiPm−n
構造式(3−7)中、a、b、c、X、Y、Z、R、Pは、構造式(3)の説明において前述した意味と同義である。
さらに、パーフルオロポリエーテルが構造式(3)で表される場合、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(4)で表されるものであることが好ましい。
構造式(4):
(CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
構造式(4)中、j及びkは重合度を表す。
上記構造式(4)は、例えばアウジモント社製のフォンブリンZDOLを用いることによって生成することが可能である。フォンブリンZDOLとは、具体的には、下記構造式式(4−1)で表される化合物である。
構造式(4−1):
HO−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−OH
構造式(4−1)中、j及びkは重合度を表す。数平均分子量は約2000である。
例えば、上記構造式(4−1)で示されるフォンブリンZDOLに、NaH(ソディウムハイドライド)を反応させて両端の水酸基をソディウムオキサイドとし、これにアリルブロマイドを反応させて両端の水酸基をアリル化する。得られた末端不飽和化合物に対し、トリクロロシラン(SiHCl)でハイドロシリレーションを行う。その後、メタノールを作用させケイ素上の塩素原子をメトキシで置換して、上記構造式(4)で示される化合物を得ることができる。
(離型層の形成)
離型層の形成は、Ni原盤をパーフルオロポリエーテルに暴露することにより行うことが好ましい。これにより、パーフルオロポリエーテルの主鎖が平行に配列した分子膜を得ることができる。具体的には以下の通りである。
パーフルオロポリエーテルは、0.01から10重量パーセント、好ましくは0.01から1重量パーセント、より好ましくは0.01から0.2重量パーセントの濃度にフッ素系不活性溶剤で希釈して使用する。すなわち、このような希釈溶液に、Ni原盤を浸漬することにより離型層の形成を行うのが好ましい。上記フッ素系不活性溶剤としては、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−225)等を挙げることができる。浸漬する際の温度は特に限定されないが、0℃〜100℃であればよい。また、浸漬に必要な時間は温度に応じて変化するが、通常、10分以内がよく、1分程度でも十分である。
本発明におけるパーフルオロポリエーテルは、空気と接触することにより有毒ガスを発生することがないので、本願発明の離型層は、大気中(すなわち開放系)で行うことができる。ただし、微小な埃などの混入は避ける必要がある。
また、離型層の形成は、Ni原盤を、減圧下でパーフルオロポリエーテルの蒸気に暴露することにより行うこともできる。この場合の気圧としては、1気圧未満で0.01気圧以上の範囲内であれば特に限定されない。金型をパーフルオロポリエーテルの蒸気に暴露するためには、例えば、上記パーフルオロポリエーテルの希釈溶液を加熱して蒸気にした状態でNi原盤を放置してもよいし、Ni原盤にパーフルオロポリエーテルの蒸気を吹きつけてもよい。この場合の蒸気の温度は、100℃〜250℃程度でよい。
この離型層の形成後、得られたNi原盤を、上述したようなフッ素系不活性溶剤で洗浄してもよい。
本発明の製造方法は、Ni原盤とパーフルオロポリエーテルとの反応をより進行させるため、さらに、パーフルオロポリエーテルに暴露されたNi原盤を加温加湿下に放置する工程を含むことが好ましい。この工程は恒温恒湿槽中で行えばよい。この工程の温度条件としては、常温以上であればよく、具体的には、30℃〜150℃が好ましく、より好ましくは40℃〜100℃である。また、この工程の湿度条件は、高いほど好ましく、具体的には、湿度85%以上が好ましく、より好ましくは湿度90%以上が好ましい。さらに、この工程において放置する時間は特に限定されないが、10分〜1日程度でよい。この工程の後、得られたNi原盤を、再度、上述したようなフッ素系不活性溶剤で洗浄してもよい。加えて、精製水やエチルアルコールなどのアルコール等で洗浄してもよい。
以上のような暴露及び必要により放置の工程を行うことにより、パーフルオロポリエーテルがNi原盤表面と化学的に結合することが可能になる。
「Ni複盤の製造方法」
次に、本発明のNi複盤の製造方法について説明する。
本発明に係るNi複盤の製造方法は、微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤であって、凹凸パターンに沿って上記表面に、フッ素化合物を含有した離型層が設けられたNi原盤を用意し、離型層付きのNi原盤をNi含有の電鋳液に浸漬して、Ni原盤の上記表面に離型層の上からNi電鋳物を電鋳により形成し、このNi電鋳物を剥離して、凹凸パターンの形状に対して反転した形状の凹凸パターンを表面に有するNi複盤を得るものである。
離型層付きのNi原盤については、前述した通りである。
Ni電鋳は、電鋳装置の電解液中にNi原盤を浸し、Ni原盤上の導電性を担う層を陰極として、この陰極と陽極との間を通電することにより行われる。このとき、電解液の濃度、pH、電流のかけ方等は、形成されるNi電鋳物に歪みのない最適条件となるように調整されることが求められる。本実施形態では、Ni原盤そのものを陰極として使用することができる。しかし、導電性をより確保する観点から、導電層を別途設けてもよい。例えばこのような導電層は、Ni原盤の凹凸パターン面上にNiをスパッタリングすることにより形成することができる。上記のようにして電鋳が終了した後、所定厚のNi電鋳物が形成されたNi原盤が電鋳装置の電解液から取り出され、剥離槽内の純水に浸される。
剥離したNi電鋳物は、Ni原盤の凹凸パターンの形状に対して反転した形状の凹凸パターンを表面に有することとなり、これがNi複盤となる。本実施形態に係るNi原盤は、離型層としてフッ素化合物を含有した層を設けているから、フッ素化合物の良好な離型性によりNi原盤からNi複盤を容易に剥離することが可能となる。この要因は、フッ素系化合物の持つ低表面エネルギーが、電鋳液から析出したニッケル金属原子に対しても高い離型性を示すことであると推定している。また、フッ素系化合物は撥水性にも優れているため、離型処理後に電鋳液に浸漬してもフッ素系化合物が溶解したりしないことも、均一なNi to Ni電鋳が可能となる一因であると考えられる。これより、Ni to Ni電鋳において、再現性よく凹凸パターンの良好なNi複盤の形成を可能とし、かつ100nmを切るスケールの極微細な凹凸パターンを有するNi複盤の形成にまで適用することが可能となる。
そして、本発明により、再現性よく凹凸パターンの良好なNi to Ni電鋳が実施可能となるため、得られたNi複盤を新たなNi原盤として、再現性よく凹凸パターンの良好な新たなNi複盤をさらに形成することが可能となる。したがって、ある1つのNi原盤(第1世代のNi電鋳物。ファザースタンパともいう)から、第2世代(マザースタンパともいう)、第3世代(サンスタンパともいう)等のNi電鋳物の生産性を飛躍的に向上させることができる。そして、最終的に得られたNi電鋳物(Ni複盤)が、磁気転写用或いはナノインプリント用のマスターモールドとして使用される。
Ni原盤の作成に際して、極微細パターンを電子線描画したSi原盤を用いたNi電鋳だけでは、量産の際に大量のSi原盤が必要となる。しかし、一枚のSi原盤全面に極微細パターンを描画するには通常7〜10日の時間を要するため、Ni原盤を量産するためにはそれに応じて数台の電子線描画装置が必要となり、莫大なコストが生じる。それに対し、Si原盤から電鋳により作成したNi複盤を新たな原盤として、繰り返しNi電鋳を行うことが出来れば、磁気転写用或いはナノインプリント用のマスターモールドの量産性・スループットは著しく向上する。
Si原盤から作成した第1世代のNi複盤(ファザースタンパ)を原盤として電鋳形成された第2世代のNi複盤(マザースタンパ)が、Si原盤と同等の凹凸パターン精度を持っているため、これを原盤としてさらに使用することができることとなる。つまり、Si原盤を電子線描画で1枚作成してしまえば、更なるSi原盤の準備は原則不要となる。第2世代のNi複盤(マザースタンパ)の1枚当たりの作成にかかる時間は、離型処理、電鋳時間を含めても6時間以下であるため、Si原盤に電子線描画する工程を経る場合に比べて飛躍的に生産性を向上させることができる。さらに、後述する実施例の結果からわかるように、本発明は、先行特許で報告されているシランカップリング剤では対応出来ない極微細な凹凸パターンのNi to Ni電鋳に対しても適応可能な点で、先行技術にない非常に有益な効果を有する。
以上のように、本実施形態に係るNi原盤は、離型層としてフッ素化合物を含有した層を設けているから、フッ素化合物の良好な離型性によりNi原盤からNi複盤を容易に剥離することが可能となる。これより、Ni to Ni電鋳において、再現性よく凹凸パターンの良好なNi複盤の形成を可能とし、かつ100nmを切るスケールの極微細な凹凸パターンを有するNi複盤の形成にまで適用することが可能となる。
<実施例1>
トラックピッチ(TP)が90nm、ライン&スペース(L/S)がそれぞれ50nm/40nm、および凸部の高さ(H)が60nmである凹凸パターンを有するSi原盤の凹凸パターン面上にNi電鋳を行い、Si原盤の上記凹凸パターンに対して反転した形状(TP=90nm、L/S=40nm/50nm、H=60nm)の第1のNi複盤を形成した。そして、この第1のNi複盤を第1のNi原盤として、この第1のNi原盤の凹凸パターン面上にフッ素化合物を含有する離型層を形成した(離型処理)。
この離型処理は具体的には以下のように行った。まず、第1のNi原盤の表面を有機溶剤で超音波洗浄し、凹凸パターン面上にUVオゾン処理を施した後、パーフルオロポリエーテルを0.1重量%の濃度に希釈した希釈溶液に第1のNi原盤を45分間浸漬して、第1のNi原盤の表面に離型層を形成した。離型層のフッ素化合物としては、C(OCFCFCFOC−Si(OCH(数平均分子量4000)で表されるパーフルオロポリエーテルを用い、希釈する溶媒としてはフッ素系不活性溶剤(パーフルオロヘキサン)を用いた。浸漬後、第1のNi原盤をフッ素系不活性溶剤(パーフルオロヘキサン)で5分間リンスした。
その後、電鋳時における導電性を確保するため、スパッタリングにより9nmのNi導電層を第1のNi原盤の凹凸パターン面上に形成した。スパッタリング時の電力、圧力はそれぞれ700W、0.2Paとした。
第1のNi原盤の凹凸パターン面上に離型層および導電層を形成した後、この第1のNi原盤に対してNi電鋳を行い、Ni電鋳物をNi原盤から剥離することにより、所望の凹凸パターンを表面に有する第2のNi複盤を得た。この第2のNi複盤の凹凸パターンは、Ni原盤から良好に剥離されたことにより欠陥のないものであった。
さらに、上記のようにして得られた第2のNi複盤を第2のNi原盤として、当該第2のNi原盤の凹凸パターン面上に、前述と同様の工程を経ることによって離型層および導電層を形成し、そしてNi電鋳を行い、第3のNi複盤を得た。この第3のNi複盤の凹凸パターンも、第2のNi複盤の場合と同様に、Ni原盤から良好に剥離されたことにより欠陥のないものであった。
<実施例2>
離型層のフッ素化合物として、(CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH(数平均分子量2000)を用いた点以外は、実施例1と同様にして、第2のNi複盤、および第3のNi複盤を製造した。これらのNi複盤も、実施例1の場合と同様に、Ni原盤から良好に剥離されたことにより欠陥のないものであった。
<比較例1〜4>
特許文献1(特開2005−120392)にある4種類のシランカップリング剤(比較例1:3―アミノプロピルトリエトキシシラン、比較例2:2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、比較例3:3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、および比較例4:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン。いずれも信越化学工業株式会社製。)それぞれについて、極微小な凹凸パターン(TP=90nm、L/S=40nm/50nm、H=60nm)を有するNi原盤を用い、それ以外は特許文献1に記載されている条件でNi to Ni電鋳を行った。具体的には、それぞれのシランカップリング剤を水溶媒で濃度1g/Lとなるように希釈し、当該希釈水溶液にNi原盤を浸漬して、離型処理を実施した。離型処理後、Ni原盤表面にムラが視認できた。Ni電鋳後、Ni原盤からNi電鋳物を剥離し、このNi電鋳物およびNi原盤表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、凹凸パターンに欠陥が発生しており、正確なパターン転写がなされていなかった。
<結果>
図2は、上記実施例1において製造した第2のNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図であり、図3は、上記実施例2において製造した第2のNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。また、図4は、上記比較例1において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図であり、図5は、上記比較例2において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図であり、図6は、上記比較例3において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図であり、図7は、上記比較例4において製造したNi複盤の凹凸パターンの表面のSEM像を示す図である。
これらのSEM像より、本発明のNi原盤、およびそれを用いたNi複盤の製造方法は、Ni to Ni電鋳において、再現性よく凹凸パターンの良好なNi複盤の形成を可能とし、かつ100nmを切るスケールの極微細な凹凸パターンを有するNi複盤の形成にまで適用することが可能であることが解る。
12 原盤
14 離型層
P 凹凸パターン

Claims (14)

  1. 微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤において、
    前記凹凸パターンに沿って前記表面に、フッ素化合物を含有した離型層を備えたことを特徴とするNi原盤。
  2. 前記フッ素化合物が、Niと化学的に結合可能な官能基を有し、
    前記離型層が、前記官能基によってNi原盤の前記表面と結合した前記フッ素化合物の分子膜を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のNi原盤。
  3. 前記フッ素化合物がパーフルオロポリエーテルであることを特徴とする請求項2に記載のNi原盤。
  4. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項3に記載のNi原盤。
    構造式(1):
    (構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、
    Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表し、
    a〜eは、それぞれ0以上の整数を表し、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(1)において任意であり、
    Xは、Niと化学的に結合可能な官能基を表す。)
  5. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項4に記載のNi原盤。
    構造式(2):
    (OCFCFCFOC−Si(OCH
    (構造式(2)において、pは1以上の整数を表す。)
  6. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(3)で表されるものであることを特徴とする請求項3に記載のNi原盤。
    構造式(3):
    m-nM-Z-Y-X-(OC-(OC-(OCF-O-X-Y-Z-MPm-n
    (構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1であり、a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意であり、
    Xは、構造式(3−1):-(O)-(CF-(CH-(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表し、
    Yは、二価の極性基または単結合を表し、
    Zは、構造式(3−2):-(CH-(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表し、
    -MPm-nは、Niと化学的に結合可能な官能基を表し、
    Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表し、
    Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表し、
    Rは、水素または炭化水素基を表し、
    mは、(Mで表される原子の価数-1)の整数を表し、
    nは、1〜mの整数を表し、
    -OC-は、-OCFCFCF-、または-OCF(CF)CF-を表し、
    -OC-は、-OCFCF-、または-OCF(CF)-を表す。)
  7. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(4)で表されるものであることを特徴とする請求項6に記載のNi原盤。
    構造式(4):
    (CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
    (構造式(4)中、j及びkは重合度を表す。)
  8. 微細な凹凸パターンを表面に有するNi原盤であって、前記凹凸パターンに沿って前記表面に、フッ素化合物を含有した離型層が設けられたNi原盤を用意し、
    前記離型層付きの前記Ni原盤をNi含有の電鋳液に浸漬して、該Ni原盤の前記表面に前記離型層の上からNi電鋳物を電鋳により形成し、
    該Ni電鋳物を剥離して、前記凹凸パターンの形状に対して反転した形状の凹凸パターンを表面に有するNi複盤を得ることを特徴とするNi複盤の製造方法。
  9. 前記フッ素化合物が、Niと化学的に結合可能な官能基を有し、
    前記離型層が、前記官能基によってNi原盤の前記表面と結合した前記フッ素化合物の分子膜を含有するものであることを特徴とする請求項8に記載のNi複盤の製造方法。
  10. 前記フッ素化合物がパーフルオロポリエーテルであることを特徴とする請求項9に記載のNi複盤の製造方法。
  11. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項10に記載のNi複盤の製造方法。
    構造式(1):
    (構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、
    Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表し、
    a〜eは、それぞれ0以上の整数を表し、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(1)において任意であり、
    Xは、Niと化学的に結合可能な官能基を表す。)
  12. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項11に記載のNi複盤の製造方法。
    構造式(2):
    (OCFCFCFOC−Si(OCH
    (構造式(2)において、pは1以上の整数を表す。)
  13. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(3)で表されるものであることを特徴とする請求項10に記載のNi複盤の製造方法。
    構造式(3):
    m-nM-Z-Y-X-(OC-(OC-(OCF-O-X-Y-Z-MPm-n
    (構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1であり、a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意であり、
    Xは、構造式(3−1):-(O)-(CF-(CH-(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表し、
    Yは、二価の極性基または単結合を表し、
    Zは、構造式(3−2):-(CH-(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表し、
    -MPm-nは、Niと化学的に結合可能な官能基を表し、
    Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表し、
    Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表し、
    Rは、水素または炭化水素基を表し、
    mは、(Mで表される原子の価数-1)の整数を表し、
    nは、1〜mの整数を表し、
    -OC-は、-OCFCFCF-、または-OCF(CF)CF-を表し、
    -OC-は、-OCFCF-、または-OCF(CF)-を表す。)
  14. 前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(4)で表されるものであることを特徴とする請求項13に記載のNi複盤の製造方法。
    構造式(4):
    (CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
    (構造式(4)において、j及びkは重合度を表す。)
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