JP2012055976A - 表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法 - Google Patents

表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】すぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備え、かつ、長期に亘って被削材の仕上げ面精度を維持することができる表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートの製造方法を提供する。
【解決手段】原料粉末を成形、焼結することにより所定形状のTiCN基サーメット製切削インサートを作製した後、その表面にウエットブラスト処理を施すことにより、インサート表面部の硬質相に450〜1000MPaの残留圧縮応力を付与すると同時にインサート表面粗さを、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下に平滑化し、その表面に、物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することにより、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備え、かつ、長期に亘って被削材の仕上げ面精度を維持することができる表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インサート着脱式の各種工具に取り付けられて切削加工に用いられる表面被覆炭窒化チタン基(TiCN基)サーメット製切削インサートの製造方法に関し、硬質被覆層の形成前に、インサート表面部の硬質相に圧縮残留応力を付与すると同時にインサート表面を平滑化し、インサート基体の耐欠損性を高めるとともに、硬質被覆層の耐チッピング性、耐欠損性を高めることにより、高熱発生を伴い、しかも、切れ刃に断続的負荷が作用する高速断続切削加工等に供した場合に、長期の使用に亘って被削材の仕上げ面精度を維持することができる表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートの製造方法に関するものである。
従来から、Tiの炭化物あるいは窒化物あるいは炭窒化物を主成分とする硬質相とCoおよびNiの内の1種または2種を主成分とする金属結合相からなるTiCN基サーメット製切削インサートの表面に、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、Y、Mn、NiおよびSの群から選ばれる少なくとも一種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素とからなる化合物の一層または二層以上からなる硬質被覆層をPVD(物理蒸着)法で被覆形成した表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートが広く知られている。
そして、この表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートは、一般的に、すぐれた耐摩耗性を備えることが知られているが、さらに、耐摩耗性を向上させることを目的として、例えば、特許文献1に示されるように、TiCN基サーメット製切削インサートの表面に、ほぼ球状の鋼、鋳造粒子、重金属粉、ガラス、コランダム、硬金属粒子、耐破壊性セラミック等を圧縮空気で投射して乾式ブラスト処理することによって、切削インサート上に被覆形成されるPVD層内に生じる残留応力と同程度の残留応力を上記切削インサート表面近傍に形成することが提案されており、そしてこのような表面被覆TiCN基サーメット製切削インサート(以下、従来被覆インサートという)では、上記切削インサートとPVD層間に発生する残留応力差が小さくなることによって、従来被覆インサートの耐摩耗性が向上することが知られている。
特表2009−523618号公報
切削加工の分野では近年ますます高速化が求められているが、上記従来被覆インサートを、例えば鋼の高速切削に用いた場合には、すぐれた切削性能を発揮するものの、高熱発生を伴い、しかも、切れ刃に衝撃的・断続的負荷が作用する高速断続切削加工に用いた場合には、インサート基体の欠損や硬質被覆層のチッピング、欠損等が発生し易く、比較的短時間で使用寿命にいたるのが現状である。
また、高速化に加えて、高精度加工も要求されるようになってきており、従来からの管理項目である加工寸法精度は当然のことながら、それに加えて被削材の仕上げ面精度の維持・向上も重視されるようになってきている。このため切削加工表面の品質に関してその判断基準が厳しくなってきており、切削初期の段階から、あるいは、切削開始後の比較的短時間の段階で満足できない状況となり、インサートの摩耗の発生はまだ小さく被削材の加工寸法精度が公差内であっても作業者に寿命と判断されて、使用切れ刃やインサートそのものが交換されている実情がある。ここで、作業者は、被削材の切削加工表面にムシレや毛羽立ちと呼ばれる現象が発生して、手で触ったときにざらつき感があったり、光沢のない白濁した表面に見えることで、切れ刃が寿命であると判断している。
したがって、高速断続切削加工に用いた場合にも、インサート基体の欠損が生じず、かつ、硬質被覆層の耐チッピング性、耐欠損性に優れるとともに、長期の使用に亘って、被削材にムシレや毛羽立ちのない、光沢のある高品質な仕上げ加工面の形成が可能となる表面被覆TiCN基サーメット製切削インサート(以下、被覆インサートという)が求められている。
問題を解決するための手段
従来被覆インサート(前記特許文献1)においては、硬質被覆層を形成する前に、インサート基体に対して乾式ブラスト処理を施すことによって、TiCN基サーメットからなる切削インサート(単に、インサートという)の表面近傍に1.5〜3.5GPaの圧縮残留応力を付与し、しかも、この残留応力値を、インサート表面上に被覆形成されるPVD層内に生じる残留応力と同程度(±10%)とすることによって、インサート−PVD層間に発生する残留応力差を小さくし、その結果として、従来被覆インサートの耐摩耗性向上を図っていたが、脆性材料であるTiCN基サーメット製切削インサートに対してこのような乾式ブラスト処理で残留応力を付与した場合には、インサート表面にクラックが生じたり、あるいはインサート表面の粗面化を招くことがある。なお、表面が粗面なインサート上にPVD法により硬質被覆層を被覆した場合、被覆後のインサート表面粗さも粗面となることは一般によく知られている。
また、乾式ブラスト処理には、噴射研磨材がインサート表面へ食い込み、不純物の残留現象も生じやすいという欠点があり、この上に硬質被覆層を蒸着形成した場合には、硬質被覆層の表面粗さが大となるため、結果として、耐チッピング性、耐欠損性が不十分となり、さらに、被削材の仕上げ面精度も長時間の使用によって次第に低下し、ムシレや毛羽立ち等の発生を抑制することは困難であった。
本発明者等は、高熱発生を伴い、しかも、切れ刃に対して衝撃的・断続的負荷が作用する切削条件下であっても、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備えるとともに、長期の使用に亘って、優れた仕上げ面精度を維持し、光沢ある高品質な切削加工表面を形成することができる被覆インサートを得ることを目的として、特に、硬質被覆層形成前のインサートの前処理について鋭意研究を行った結果、前記従来被覆インサートの製造工程におけるほぼ球状の研磨材を用いる乾式ブラスト処理にかえて、所定条件のウエットブラスト処理を施すことにより、インサート表面のクラックの発生や粗面化を招かないばかりか、むしろ、より平滑な面、具体的にはカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下のインサート表面を得ることができると同時に、表面における不純物の残留の減少、インサート表面部の硬質相への450〜1000MPaの残留圧縮応力付与を行い、さらに、この上に、TiAlN層、TiCN層等の硬質被覆層をPVD(物理蒸着)法で所定の膜厚にまで蒸着形成した場合には、硬質被覆層の表面粗さがRaで0.25μm以下である平滑表面を得ることができること、また、その結果として、被覆インサートの耐チッピング性、耐欠損性を高め、長期の使用に亘って、被削材の仕上げ面精度を維持することができることを見出したのである。
本発明は、前記の知見に基づいてなされたものであって、
「(1)原料粉末を成形、焼結することにより、所定形状の炭窒化チタン基サーメット製切削インサートを作製した後、該インサートの表面にウエットブラスト処理を施すことにより、インサート表面部の硬質相に450〜1000MPaの残留圧縮応力を付与すると同時にインサート表面粗さをカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下とした後、該インサート表面に物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することを特徴とする表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(2)上記インサートの硬質被覆層の表面粗さがカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.25μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(3)上記ウエットブラスト処理を施した後、インサートの刃先先端にホーニング加工を施し、その後、物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(4)上記ホーニング加工を湿式ブラシホーニングで施し、インサートの刃先先端のホーニング部の表面粗さをカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.1μm以下とした後、物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することを特徴とする前記(3)に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(5)インサート表面の硬質被覆層が、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、Y、Mn、NiおよびSの群から選ばれる少なくとも一種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素とからなる化合物の一層または二層以上からなることを特徴とする前記(1)乃至(4)の何れかに記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(6)上記硬質被覆層のうち、少なくとも一層はTiAlN層で構成されていることを特徴とする前記(5)に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(7)上記硬質被覆層が、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物から選ばれる一層または複層からなり、総膜厚が1〜15μmであることを特徴とする前記(5)に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(8)上記硬質被覆層は、インサート側より、膜厚0.1〜1.0μmのTiN層、膜厚0.5〜5.0μmのTiCN層、膜厚0.1〜1.0μmのTiN層の順で被覆形成されていることを特徴とする前記(7)に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
(9)前記(1)乃至(8)の何れかに記載の製造方法で作製した表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサート。」
を特徴とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
この発明では、炭窒化チタン基サーメット製切削インサート(以下、単にインサートという)の表面に、PVD(物理蒸着)法にて硬質被覆層を蒸着形成するに先立って、上記インサート表面に所定の条件のウエットブラストを施すことにより、該インサート表面の硬質相に所定の残留応力を付与すると同時に、インサートの表面を平滑化する工程を必須とする。
特許文献1に示される従来技術では、硬質被覆層を蒸着形成する前のインサートに対して、硬質被覆層と残留応力が同程度になるようにインサート表面に乾式ブラストを施し、1.5〜3.5GPaの圧縮残留応力を付与しているが、乾式ブラストによれば、二種の流体(粉流・気流)でインサート表面をブラストするため、インサート表面に残留応力を付与することはできるものの、TiCN基サーメットのような脆性材料の場合には、1.5〜3.5GPaという過度の残留応力付与によって、インサート表面にクラックが生じたり、インサート表面がカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaが0.2μmを超える粗面となったり、また、二種の流体による乾式ブラスト処理では、噴射研磨材がインサート表面へ食い込み、不純物の残留現象も生じやすく、このような表面に硬質被膜を被覆すると、成膜時の異常組織の形成や、被膜とインサート基体間の密着強度の低下を引き起こしたり、切削使用中の破壊の起点となることがあり、長期の使用に亘って、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性を発揮することはできなかった。
すなわち、公知の従来技術は、表面被覆される基体がWC基超硬合金(特許文献1では「硬金属」と表される)製切削インサートに対しては耐摩耗性の向上等、有効な効果を発揮するが、本発明で対象にしている一般的に基体の靭性がWC基超硬合金と比較して低い表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートにおいては、前述のクラックの発生等、乾式ブラスト処理を行うことにより新たな問題が生じ、インサートの性能を向上させることが難しいばかりか、条件によっては製品性能を低下させる事例も発生している。
また、乾式ブラスト処理を施した場合に生じるインサート表面への不純物の残留現象は、基体材料がWC基超硬合金、TiCN基サーメットのいずれの場合においても発生し、応力付与の手法自体にも課題が残されている。このような問題を抜本的に改善し、かつ、表面被覆TiCN基サーメット製インサートの課題(耐チッピング性、耐欠損性等)を確実に解決する方法が求められている。
そこで、本発明では、硬質被覆層を形成する前のインサート表面に、好ましくは、多角形状の砥粒を用いてウエットブラスト処理を施し、インサート表面部の硬質相に450〜1000MPaの圧縮応力を付与して、インサート自体の耐欠損性を高め、同時に、インサート表面を、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下となるように平滑化する。ついで、インサート表面に硬質被覆層をPVD(物理蒸着)法で蒸着形成することによって、表面平滑性の高い(即ち、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaが0.25μm以下となるような表面平滑性)硬質被覆層を形成し、その結果として、被覆インサートの耐チッピング性、耐欠損性を高めることができ、さらに、長期の使用に亘る被削材の仕上げ面精度の維持を図ることができる。
インサート表面の硬質相に付与する圧縮残留応力が450MPaより小さい場合には、インサート基体の耐欠損性改善の効果が小さく、一方、付与する圧縮残留応力が1000MPaを越えると、インサート基体表面にクラックが発生したり、インサートの基体表面粗さがRaで0.2μmを超えるようになり、その結果、被覆インサートの表面粗さもRaが0.25μmを越えるようになり、その結果として、被覆インサートの耐チッピング性、耐欠損性が低下することから、ウエットブラスト処理により、インサート基体表面の硬質相に付与する圧縮残留応力の値は、450〜1000MPaと定めた。
ウエットブラスト処理に用いる噴射研磨材としては、アルミナ、炭化珪素、ジルコニア、樹脂系、ガラス系など種々使用可能あるが、砥粒の形状は球形状よりも多角形状が望ましい。これは、球形状の研磨材を使用する場合、残留応力の付与は容易であるが、インサート表面の平滑度を向上させる効果が少なく、本発明で規定するカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下となる平滑性を得ることができないという理由による。
この発明においては、インサートの表面粗さ及び被覆インサートの表面粗さは、JIS B0601−1994(2001)にしたがい、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで測定する。カットオフ値を0.08mmとしているのは、焼結前の圧粉体の密度バラツキや焼結時に発生する焼結変形等に起因するインサートあるいは被覆インサートのうねり現象の影響を除去するためである。
また、この発明でいうインサート、被覆インサートとしては、概略正方形、三角形、菱形、六角形、丸形等の略平板インサートやドッグボーン型や三角形等の溝入れあるいはねじ切りインサート、刃先交換式の各種エンドミル用インサート、あるいは厚みの厚い縦刃型インサートなど、その形状等を問わず、種々のものが利用可能であり、また、工具本体への取り付けに使用される貫通穴あるいはチップブレーカーの有無やネガティブタイプやポジティブタイプの形状についても特段の問題なく適用可能である。
インサート表面へのウエットブラスト処理:
ウエットブラスト処理は、すでによく知られているように、噴射研磨材を含有した液体(一般的には水)である研磨液を被処理物に噴射して、表面の研磨を行ったり、また、圧縮残留応力を付与したりする処理である。
なお、このようなウエットブラスト処理の噴射研磨材としては、硬質の微粒メディアであれば材質としてはアルミナ、炭化珪素、ジルコニア、樹脂系、ガラス系など種々使用可能であるが、この発明においては、研磨材の形状としては、多角形状の砥粒を用いることが望ましい。
より具体的に言えば、図2に代表的な球形状のアルミナ研磨材(図2(b))および多角形状のアルミナ研磨材(図2(a))の写真を示す。多角形状の研磨材は球形状と比べ、その形状より研削力が大きく、残留応力を付与すると同時に加工表面を平滑に仕上げる効果が大きい。それに対し、研磨材が球形状の場合は、残留応力付与には適しているが研削作用が弱く、所定の表面粗さまでインサート表面を平滑に仕上げる為に、長時間のウエットブラスト処理時間を必要とし、この場合、生産性が悪いばかりでなく、ウエットブラスト処理が過多に成り、圧縮残留応力が1000MPaを超え、基体表面にクラックが生じる場合がある。
なお、多角形状の研磨材に関しては、各社より種々の製品が商品化されている。
また、噴射条件としては、例えばメディアとしてアルミナを使用する場合には液体(水)と混合した状態において15〜60重量%の範囲となるようにメディアを含有させて研磨液を調整し、ブラストガンに供給する圧縮空気の圧力すなわち噴射圧力を0.05〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.3MPaの範囲として噴射することによって、インサート表面の硬質相に450〜1000MPaの圧縮残留応力を付与することができると同時に、インサートの表面を、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下となるように平滑化することができる。
なお、ウエットブラスト処理を行うインサートの表面とは、インサートの全面あるいは部分のいずれでも良いが、少なくとも切削に関与する被覆インサートの切れ刃または切れ刃周辺に対応するインサート領域が処理されていることが必要である。
また、ウエットブラスト処理を行うためのブラストガンの配置は、特開2007−152477号公報に示されているように公知であるが、例えば、図1に示されるブラストガンの配置(上記特開2007−152477号公報の図5に相当)によって、インサート全周に均一にブラスト処理を行うことができる。
PVD(物理蒸着)法による硬質被覆層の形成:
本発明では、インサートの表面にウエットブラスト処理を施した後、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、Y、Mn、NiおよびSの群から選ばれる少なくとも一種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素とからなる化合物の一層または二層以上からなる硬質被覆層をPVD(物理蒸着)法にて所定の膜厚にまで蒸着形成するが、ウエットブラスト処理により、インサートの表面粗さがカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下となるように平滑化されていることから、この上に通常のPVD(物理蒸着)法で硬質被覆層を成膜すると、表面粗さが、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.25μm以下である平滑化された硬質被覆層表面が形成される。
そして、このような硬質被覆層を蒸着形成した被覆インサートは、硬質被覆層表面が平滑であることによって、高熱発生を伴い、しかも、切れ刃に対して衝撃的・断続的負荷が作用する切削条件下においても、耐チッピング性、耐欠損性にすぐれ、同時に、長期の使用に亘ってすぐれた仕上げ面精度を維持することができる。
なお、硬質被覆層は上記した物質によって構成されるが、切削インサートにおいては、TiC、TiCN、TiN、TiAlN等のTi系硬質被膜が特に有効であり、さらに被削材の仕上げ面が要求される切削が多い表面被覆TiCN基サーメット製インサートにおいては、上記物質の中でも、耐溶着性に優れたTiC、TiCN、TiNによる硬質被覆層と組み合わせ、使用することができる。
また、ウエットブラスト処理によって、インサート表面の硬質相に残留応力が形成されていることによって、インサート自体の耐欠損性も向上するため、高速断続切削加工における耐欠損性が一段と向上する。
なお、ここでいうPVD(物理蒸着)法とは、例えば、アークイオンプレーティング法やホロカソード法、スパッタリング法等種々の蒸着方法を指しており、いずれの方法においても有効で、特に限定するものではない。
本発明では、インサートの表面にウエットブラスト処理を施した後、インサートの刃先先端部(すくい面と逃げ面の交差稜線部)に、例えば、湿式ブラシホーニングによるホーニング加工を施し、刃先の表面粗さをさらに低減することにより、例えば、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.1μm以下、好ましくは0.05μm以下に低減することにより、被覆インサートの刃先先端部の平滑性を一段と高めることができ、その結果、より一層、耐チッピング性、耐欠損性を改善し、さらに、被削材の仕上げ面精度の維持・向上を図ることができ、また、光沢ある高品質な切削加工表面を形成することができる。
本発明の被覆インサート(表面被覆TiCN基サーメット製切削インサート)の製造方法によれば、硬質被覆層形成前に、インサート表面にウエットブラスト処理を施し、インサート表面の硬質相に450〜1000MPaの圧縮残留応力を付与し、しかも、インサートの表面粗さを、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下とすることにより、この上にPVD(物理蒸着)法により蒸着被覆する硬質被覆層の表面粗さを、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.25μm以下とすることができるため、この被覆インサートを、高熱発生を伴うとともに、切れ刃に衝撃的・断続的負荷が作用する高速断続切削加工に供した場合でも、インサート自体の耐欠損性にすぐれることに加え、硬質被覆層のチッピング、欠損を生じることなく、長期の使用に亘ってすぐれた仕上げ面精度を維持することができ、切削加工表面の高品質化を図ることができる。
インサートに対してウエットブラスト処理を行うための装置の一例を示す。 ウエットブラスト処理に用いる研磨材の一例を示し、(a)は多角形状のアルミナ研磨材の写真、また、(b)は球形状のアルミナ研磨材の写真を示す。
本発明を、実施例に基づいて以下に説明する。
P30グレードTiCN基サーメットの原料粉末をプレス成型した後、焼結し、CNMG120408に規定する形状・寸法を有するインサート基体を準備した。
これらのインサートに対して、中心粒子径40μmを有するアルミナを噴射研磨材とし、噴射圧力0.3MPa、0.2MPaおよび0.1MPaでウエットブラスト処理を行った。
ウエットブラスト処理では、図2(a)で示される噴射研磨材の多角形状のアルミナを水と混合し研磨液中の研磨材の含有量が30重量%となるように噴射研磨液を調製し、図1に示されるウエットブラスト処理装置を用い、噴射角は45°一定とし、一対の回転軸で挟み込んで保持した部分を除いてほぼインサート全面が処理されるようウエットブラストを行った。
その後、切刃については、砥粒を含有したナイロンブラシを使用し、すくい面側から測定した幅が0.09mm、かつ逃げ面側から測定した幅が0.05mmのウォーターフォール型の曲面ホーニングを湿式処置で施し、表1に示す本発明1〜3のインサートを作製した。
作製したインサートについて、インサート表面部の硬質相の圧縮残留応力を測定した。
なお、本発明でいう、インサート表面部の硬質相に付与される残留応力の値とは、(株)養賢堂発行の「残留応力のX線評価」(田中啓介、鈴木賢治、秋庭義明著)の第六章冒頭(P99〜105)に記載される周知のsin2Ψ法を用いX線回折装置によって測定された値である。
さらに、sin2Ψ測定範囲に関しては、0〜0.5ないし0〜0.75間で選択される範囲において等間隔に5ないし6点、並傾法にて展開し測定した。
測定に用いたX線回折装置はスペクトリス(株)製のPANalytical
X’ Pert PRO MPDで、X線源としてはCuKα線を使用した。
残留応力測定にはNaCl型結晶構造を有する硬質相の(422)面の回折ピークを用いた。
また、測定に用いた残留応力計算ソフトウエアはX’ Pert High Score Plusで、硬質相のヤング゛率として475GPa、ポアソン比として0.200を使用し計算を実施した。
表1に、圧縮残留応力の測定値を示す。
また、本発明インサート1〜3について、それぞれの逃げ面および刃先先端の表面粗さを、JIS B0601−1994(2001)にしたがい、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで測定した。
表1に、逃げ面および刃先先端の表面粗さRaの測定値を示す。
本発明1〜3のインサートでは、すくい面がブレーカを有した曲面となっているためにX線回析測定に必要な平坦面を確保できず、すくい面の残留応力を直接測定することはできないが、本実施例1では、ウエットブラスト処理時の噴射角を45°として、基本的に逃げ面とすくい面に同様な作用が加わるように処理を行っているので、すくい面、特に逃げ面とほぼ直角に位置する切れ刃近傍のランド部分やブレーカ底部(すくい面では切れ刃に近いランド部分や凹状に湾曲した最も深いブレーカ底部の残留応力値が耐欠損向上に重要である)の残留応力は、逃げ面で測定された残留応力と概略同等であると考えられることからインサートの残留応力は、逃げ面について測定した残留応力で代表させることとする。
また、表面粗さについても、ウエットブラスト処理時の噴射角を45°としたことから、すくい面(ブレーカ底)の表面粗さは逃げ面の表面粗さとほぼ同等の値を示したので、インサートの表面粗さは、逃げ面について測定した表面粗さで代表させることとする。
比較のため、上記本発明1〜3のインサートと同様な組成・形状・寸法を有する切削インサートに対してウエットブラスト処理を施さない切削インサート(参考例1)およびウエットブラスト処理の代わりに表3に示す乾式ブラスト処理(特許文献1の乾式ブラスト処理条件に対応)を施した切削インサート(参考例2)を作製した。本発明1〜3と同様の手法で、逃げ面平坦部における残留応力と、インサートの逃げ面およびホーニング部の表面粗さを測定した。表1に残留応力値および表面粗さの測定値を示す。
最後に全てのインサートに対して、その表面に、PVD(物理蒸着)法の一種であるアークイオンプレーティング装置により、平均膜厚1.5μmのTiAlN単層の硬質被覆層を蒸着形成した。
Figure 2012055976
表1によると、本発明1〜3ではウエットブラスト処理により基体表面部に480〜720MPa程度の圧縮残留応力が付与されているが、ウエットブラスト処理を施していない参考例1は圧縮で80MPa程度の残留応力となっている。乾式ブラスト処理を行った参考例2は1500MPaを超える非常に大きな圧縮残留応力が付与されている。
また、参考例1の逃げ面の面粗さはRa0.45μm程度であるが、ウエットブラスト処理をすることにより、本発明1〜3では1/2以下の表面粗さとなり、平滑性が高められている。乾式ブラスト処理を行った参考例2は参考例1よりは平滑度が向上しているものの、本発明1〜3と比較すると表面粗さは大きくなっている。
ホーニング部(切刃部)においては、ウエットブラスト処理の有無に関わらず、Ra0.1μm未満の小さな値になっているが、これはいずれの例においても、ブラシホーニング加工がされている為、良好な面粗さ精度を維持しているからである。
次に、以下に示す条件により切削試験を行った。
《切削試験1》
被削材:JIS−S45Cの丸棒、
切削速度:300m/min、
送り速度:0.15mm/rev、
切込み:1.0mm
の湿式連続切削を行い、実加工時間20分後の逃げ面摩耗幅を評価した。
なお、加工途中であっても、逃げ面摩耗幅が0.2mmに達した場合は寿命としそれまでの実加工時間を評価した。
《切削試験2》
被削材:JIS−SCM440の角材、
切削速度:400m/min、
送り速度:0.12mm/rev、
切込み:1.5mm
の湿式断続切削を行い、
欠損が発生するまでの衝撃回数を評価した。各試料5切れ刃を評価し、その平均値を衝撃回数とした。
表2に、上記切削試験1における逃げ面摩耗幅と被削材仕上げ面外観状態、切削試験2における欠損発生するまでの衝撃回数を示す。
Figure 2012055976
表2の切削試験1の結果より、ウエットブラスト処理を施していない参考例1に比べ本発明1〜3は良好な被削材仕上げ面を確保しながら、逃げ面摩耗幅が少なく工具寿命の延長が可能となった。乾式ブラスト処理を施した参考例2の切削途中で切れ刃にチッピングを生じ、加工時間12分で切削中止となった。また、仕上げ面に関しては、本発明1〜3が長期にわたり、光沢のある良好な仕上げ面を得られているのに対し、参考例1では切削初期のみ良好な仕上げ面で、その後仕上げ面の悪化が見られた。乾式ブラスト処理を施した参考例2も、参考例1より工具寿命は長いものの、やはり比較的切削初期にて仕上げ面悪化が見られた。
これは、ブラシホーニングによりホーニング部の表面粗さが小さくなっている為、切削初期では良好な仕上げ面を得ることが出来るが、工具摩耗が進行した場合、表面粗さの大きい面が切れ刃として使用され始め、それに伴い急激に仕上げ面が悪化したと考えられる。
また、インサートに非常に大きな負荷の掛かる湿式断続試験(切削試験2)については、ウエットブラスト処理を施した本発明1〜3は参考例1に比較し、2〜3倍の衝撃回数値を得ることが出来、耐欠損性の改善を確認することが出来た。
また、ウエットブラストの噴射圧力が大きくなるほど、耐欠損性の改善効果が大きくなる傾向がある。
乾式ブラスト処理を施した参考例2のインサートでは、評価した5つの切れ刃のうち、3つの切れ刃は欠損時の衝撃回数が1,500回以上となったが、残り2つの切れ刃に関しては切削初期(衝撃回数100回未満)で欠損を生じ、バラツキのある結果となった。早期に欠損した切れ刃は、乾式ブラスト処理により、クラック等の欠陥が基体に生じていたか、基体表面に残留した研磨材や不純物が起点となり、インサートの破壊が進行したと考えられ、ウエットブラスト処理を施した本発明1〜3と比較し、参考例2は品質安定性に欠ける結果と言える。
P20グレードTiCN基サーメットの原料粉末をプレス成型した後、焼結し、CCMT120408に規定する形状・寸法を有する切削インサートを準備した。
表3に示す順序と条件にてホーニングおよびウエットブラスト処理を行った。
ウエットブラスト処理では、実施例1と同様、噴射研磨材の多角形状アルミナを水と混合し研磨液中の研磨材の含有量が30重量%となるように噴射研磨液を調製し、図1に示されるウエットブラスト処理装置を用い(但し、ブラストガンは、切れ刃に対抗する1本のみを使用した)、少なくともインサート逃げ面およびチップブレーカ表面にウエットブラスト処理を行った。
噴射角は45°一定としたが、インサートの逃げ角が7°であることから、すくい面への噴射角度が逃げ面への噴射角度より、より直角に近いものとなるため、すくい面には、逃げ面で測定した残留応力と同等以上の圧縮残留応力が付与されていると考えられる。
ホーニングは、砥粒を含有したナイロンブラシを使用し、R0.06の丸ホーニングを湿式処置で施した。
また、比較の為、ウエットブラスト処理を行わない参考例インサートも作製した。
作製したインサートの表面部における硬質相の残留応力を、インサート逃げ面の平坦面で、X線回析装置により測定した。
測定に用いたX線回析装置はスペクトリス(株)製のPANalytical
X’ Pert PRO MPDで、X線源はCuKα線を使用した。
また、インサートの逃げ面およびホーニング部の表面粗さを、JIS B0601−1994(2001)にしたがい、カットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで測定した。
表3に測定した残留応力値および表面粗さ値を示す。
次に物理蒸着法により、表3に示す膜種にて平均層厚1.5μmの硬質被覆層を形成した。
最後に硬質被覆層の上から、インサートの逃げ面およびホーニング部の表面粗さを、基体の表面粗さ測定時と同じ条件にて測定した。
表3に硬質被覆層の表面粗さ値を示す。
Figure 2012055976
表3によると、本発明4〜11では、ウエットブラスト処理により基体表面部に460〜690MPa程度の圧縮残留応力が付与されているが、ウエットブラスト処理を施していない参考例3,4は圧縮で80MPa程度の残留応力となっている。
また、基体逃げ面の表面粗さは、本発明4〜11でRa0.2μm以下、ウエットブラスト処理を施していない参考例3,4はRa0.3μm程度であり、PVD法による被覆後の表面粗さは本発明4〜11が最大Ra0.24μmと0.25μm以下となっているのに対し、参考例3,4はRa0.4μm以上と非常に平滑度が悪く、Ra0.25μm以下を達成していない。
次に、以下に示す条件により切削試験を行いインサート性能を評価した。
《切削試験3》
被削材:JIS−SNCM439の溝入り丸棒(溝は長手方向に6溝)、
切削速度:150m/min、
送り速度:0.15mm/rev、
切込み:2mm
の湿式断続切削を行い、切れ刃交換までの実切削時間を評価した。
切れ刃交換までの時間は、使用切れ刃にチッピングや欠損等が発生するか、インサートが割損する等、実切削を継続することが不能となるまでの時間とし、また、正常な切削が維持されている場合は、逃げ面摩耗幅が0.2mmに達するまでの時間とした。
《切削試験4》
被削材:JIS−S45Cの丸棒、
切削速度:250m/min、
送り速度:0.15mm/rev、
切込み:1.0mm
の湿式連続切削を行い、実加工時間20分後の逃げ面摩耗幅を評価した。
なお、加工途中で在っても、逃げ面摩耗幅が0.2mmに達した場合は寿命としそれまでの実加工時間を評価した。
表4に、上記切削試験3における欠損発生するまでの衝撃回数および切削試験4における逃げ面摩耗幅と切削終了時の被削材仕上げ面の外観状態を示す。
Figure 2012055976
表4によると、ウエットブラスト処理を施していない参考例3、4に比べ本発明4〜11は湿式断続切削において、優れた耐欠損性を示し、ウエットブラストの投射圧力が大きいほどその効果は大きくなった。
また、湿式連続切削の結果によると、本発明4〜7と比較し、ホーニング部の表面粗さを更に改善した本発明8〜11は光沢のある更に良好な仕上げ面を長期にわたり得ることができた。
これに対して、ウエットブラスト処理がされていない参考例3および4では、切削初期においては良好な仕上げ面を得る事ができたものの、早期に切れ刃部に欠損が発生し短時間で工具寿命を迎えた。
また、いずれの硬質被膜を被覆したインサートに関しても、基体へのウエットブラスト処理による性能改善効果は確認できるが、TiN−TiCN−TiNの積層コートを施したインサートの方が、被覆工程以外の工程が同条件で製作されたTiAlNの単層コートを施したインサートより耐欠損性に優れた結果となった。
本発明の製造方法によれば、切れ刃に対して、高熱発生を伴い、かつ、衝撃的・断続的負荷が作用する高速断続切削において、すぐれた耐チッピング性、耐欠損性を備え、かつ、仕上げ面精度に優れ、光沢のある高品質な切削加工表面の形成を可能とする表面被覆TiCN基サーメット製切削インサートを提供することができるばかりか、このインサートを通常条件の切削加工に適用した場合にも、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削加工の省エネ化、低コスト化に十分満足に対応することができるものである。

Claims (9)

  1. 原料粉末を成形、焼結することにより、所定形状の炭窒化チタン基サーメット製切削インサートを作製した後、該インサートの表面にウエットブラスト処理を施すことにより、インサート表面部の硬質相に450〜1000MPaの残留圧縮応力を付与すると同時にインサート表面粗さをカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.2μm以下とした後、該インサート表面に物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することを特徴とする表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  2. 上記インサートの硬質被覆層の表面粗さがカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  3. 上記ウエットブラスト処理を施した後、インサートの刃先先端にホーニング加工を施し、その後、物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  4. 上記ホーニング加工を湿式ブラシホーニングで施し、インサートの刃先先端のホーニング部の表面粗さをカットオフ値0.08mmにおける算術平均粗さRaで0.1μm以下とした後、物理蒸着法にて硬質被覆層を蒸着形成することを特徴とする請求項3に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  5. インサート表面の硬質被覆層が、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、Y、Mn、NiおよびSの群から選ばれる少なくとも一種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素とからなる化合物の一層または二層以上からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  6. 上記硬質被覆層のうち、少なくとも一層はTiAlN層で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  7. 上記硬質被覆層が、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物から選ばれる一層または二層以上からなり、総膜厚が1〜15μmであることを特徴とする請求項5に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  8. 上記硬質被覆層は、インサート側より、膜厚0.1〜1.0μmのTiN層、膜厚0.5〜5.0μmのTiCN層、膜厚0.1〜1.0μmのTiN層の順で被覆形成されていることを特徴とする請求項7に記載の表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートの製造方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の製造方法で作製した表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサート。
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