前記特許公報に開示の吸着材循環型脱臭装置は、粒状の活性炭を舞上げる程度の流速で有臭ガスが脱臭装置内を通流するから、有臭ガスの活性炭に対する接触時間がきわめて短く、有臭ガスに含まれる臭気を活性炭に十分に吸着させることができず、有臭ガスから臭気の全てを取り去ることが難しい。また、吸着材循環型脱臭装置は、有臭ガスが容器内を一様に流動することがないから、活性炭を載せた支持部材全域に有臭ガスを満遍なく通流させることが難しく、全ての活性炭に満遍なく有臭ガスを接触させることができず、活性炭の全てを臭気の吸着に利用することができない。この吸着材循環型脱臭装置は、活性炭の臭気吸着機能を十分に利用することができず、脱臭効率が低い。
本発明の目的は、脱臭効率が高く、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる脱臭装置を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の特徴は、上下方向へ延びる周壁および頂部開口を有する収納ケースと、収納ケースの下端部に設置されて下端部から頂部開口へ向かって空気を流通させる送風ファンと、空気が通流可能な上下方向へ延びる複数の空気流路を有して送風ファンの直上における収納ケースの内側に着脱可能に設置された脱臭カートリッジと、収納ケースの下端部に延びる周壁に形成されてケースの内側に空気を取り入れる貫通孔とを有することにある。
本発明の一例としては、脱臭カートリッジが臭気を吸着する炭から作られて空気が通流可能な上下方向へ延びる空気流路を有する複数の筒材が隣接する筒材集合物であり、送風ファンによって貫通孔から収納ケースの内側に取り入れられた空気が筒材集合物を形成するそれら筒材の空気流路を通って頂部開口からケースの外側へ流出する。
本発明の他の一例としては、筒材の空気流路の上下方向の長さが3〜15cmの範囲にある。
本発明の他の一例としては、筒材集合物の上端および下端の面積が9〜100cm2の範囲にある。
本発明の他の一例としては、筒材集合物の1cm2当たりにおける筒材の空気流路の数が30〜50の範囲にある。
本発明の他の一例としては、収納ケースの周り方向へ開口するスリットが脱臭カートリッジの上方であって収納ケースの上端部に延びる周壁に形成され、所定の芳香を放散する芳香シートがスリットからケースの内側に挿脱可能に挿入される。
本発明の他の一例としては、脱臭装置が収納ケースの下端部につながる台座を含み、送風ファンに電気を供給する電池が台座に着脱可能に収納される。
本発明の他の一例としては、脱臭装置が収納ケースの下端部につながる台座を含み、送風ファンに電気を供給するフレキシブルソーラーパネルが台座の外周面に設置されている。
本発明の他の一例としては、送風ファンの回転数を可変する回転数可変回路が台座に設置されている。
本発明の他の一例としては、送風ファンの回転速度が60〜480r/minの範囲にあり、筒材の空気流路を流れる空気の流速が0.01〜0.1m3/secの範囲にある。
本発明にかかる脱臭装置によれば、送風ファンによって貫通孔からケースの内側に取り入れられた空気が脱臭カートリッジの下端から上端に向かって上下方向へ延びるそれら空気流路を通るから、空気に含まれる臭気が脱臭カートリッジにおいて確実に取り除かれ、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。脱臭装置は、脱臭カートリッジが送風ファンの直上に位置することで、貫通孔からケースの内側に取り入れられた空気を脱臭カートリッジのそれら空気流路の全てに満遍なく通流させることができるから、脱臭カートリッジの脱臭機能を最大限に利用することができ、装置における脱臭効率を向上させることができる。
脱臭カートリッジが臭気を吸着する炭から作られて上下方向へ延びる空気流路を有する複数の筒材が隣接する筒材集合物であり、送風ファンによって貫通孔からケースの内側に取り入れられた空気が筒材集合物を形成するそれら筒材の空気流路を通って頂部開口からケースの外側へ流出する脱臭装置は、炭から作られた筒材の空気流路に空気を通流させることで、空気を筒材の内周面に確実に接触させることができるから、空気に含まれる臭気を筒材集合物に十分に吸着させることができ、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。脱臭装置は、空気に含まれる臭気を筒材集合物において確実に取り除くことができるから、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。脱臭装置は、筒材集合物が送風ファンの直上に位置することで、貫通孔からケースの内側に取り入れられた空気を筒材集合物を形成するそれら筒材の空気流路の全てに満遍なく通流させることができるから、筒材集合物の脱臭機能を最大限に利用することができ、装置における脱臭効率を向上させることができる。
筒材の空気流路の上下方向の長さが3〜10cmの範囲にある脱臭装置は、筒材の空気流路の上下方向の長さを前記範囲にすることで、筒材の内周面に対する空気の接触時間を長くすることができるから、空気に含まれる臭気を筒材集合物に十分に吸着させることができ、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。脱臭装置は、空気に含まれる臭気を筒材集合物において確実に取り除くことができるから、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。
筒材集合物の上端および下端の面積が9〜100cm2の範囲にある脱臭装置は、筒材集合物の上下端の面積が前記範囲にあるから、空気を多くの筒材の内周面に接触されることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。脱臭装置は、空気に含まれる臭気を筒材集合物において確実に取り除くことができるから、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。
筒材集合物の1cm2当たりにおける筒材の空気流路の数が30〜50の範囲にある脱臭装置は、筒材集合物の1cm2当たりにおける筒材の空気流路の数が前記範囲にあり、炭から作られた多くの筒材の空気流路に空気を通流させることで、空気を多くの筒材の内周面に接触させることができるから、空気に含まれる臭気を筒材集合物に十分に吸着させることができ、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。脱臭装置は、空気に含まれる臭気を筒材集合物において確実に取り除くことができるから、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。
収納ケースの周り方向へ開口するスリットが脱臭カートリッジの上方であってケースの上端部に延びる周壁に形成され、所定の芳香を放散する芳香シートがスリットからケースの内側に挿脱可能に挿入される脱臭装置は、脱臭カートリッジによって清浄された空気に芳香シートによって芳香が付与されるから、空気に含まれる臭気を除去しつつ、よい香りの空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。脱臭装置は、清浄された空気が芳香として送気されるから、芳香療法に利用することができる。
ケースの下端部に連接された台座を含み、送風ファンに電気を供給する電池が台座に着脱可能に収納される脱臭装置は、電池を利用して送風ファンを駆動させることにより、貫通孔からケースの内側に取り入れられた空気を脱臭カートリッジのそれら空気流路に通流させることができ、空気に含まれる臭気が脱臭カートリッジにおいて確実に取り除かれ、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。
ケースの下端部につながる台座を含み、送風ファンに電気を供給するフレキシブルソーラーパネルが台座の外周面に設置されている脱臭装置は、フレキシブルソーラーパネルを利用して送風ファンを駆動させることにより、貫通孔からケースの内側に取り入れられた空気を脱臭カートリッジのそれら空気流路に通流させることができ、空気に含まれる臭気が脱臭カートリッジにおいて確実に取り除かれ、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。脱臭装置は、ソーラーパネルの発電機能を利用して送風ファンを駆動させるから、光エネルギーのみを利用した省エネルギータイプの脱臭装置にすることができ、省エネを図ることができるとともに、環境に負荷をかけることもない。
送風ファンの回転数を可変する回転数可変回路が台座に設置されている脱臭装置は、回転数可変回路を利用して送風ファンの回転数を変えることで、脱臭カートリッジのそれら空気流路に通流させる空気の流速を変えることができ、空気の流速を脱臭カートリッジの脱臭機能を最大限に発揮させる流速に設定することができる。脱臭装置は、脱臭カートリッジの脱臭機能を最大限に利用することができるから、空気に含まれる臭気が脱臭カートリッジにおいて確実に取り除かれ、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケースの頂部開口から外側に送気することができる。
送風ファンの回転速度が60〜480r/minの範囲にあり、筒材の空気流路を流れる空気の流速が0.01〜0.1m3/secの範囲にある脱臭装置は、送風ファンをゆっくりと回転させ、流速を前記範囲にすることで、脱臭カートリッジに対する空気の接触時間を長くすることができるから、空気に含まれる臭気を脱臭カートリッジに十分に吸着させることができ、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。
一例として示す脱臭装置の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる脱臭装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、脱臭カートリッジ14を取り外した状態で示す脱臭装置10Aの上面図であり、図3は、脱臭カートリッジ14を設置した状態で示す脱臭装置10Aの上面図である。図4は、脱臭カートリッジ14の斜視図である。図1では、上下方向を矢印Aで示し、図2では、径方向を矢印Bで示し、周り方向を矢印Cで示す。
脱臭装置10Aは、ケース11および台座12と、送風ファン13(DCモータ付きプロペラファン)および脱臭カートリッジ14とから形成されている。脱臭装置10Aは、テーブルや机等に載置して使用する卓上型である。ケース11は、透明な合成樹脂から作られ、円筒型に成型されている。ケース11は、上下方向へ延びる断面円形の周壁15と、周壁15の上端縁16に囲繞された円形の頂部開口17とを有する。なお、ケース11の形状を円筒型に限定するものではなく、角筒型に成型されていてもよい。
周壁15は、所定の厚みを有し、上下方向へ長い円筒型を呈する。周壁15は、台座12の側に位置する下端部18と、その反対側に位置する上端部20と、上下端部18,20の間に位置する中間部19とを有する。周壁15の下端部18と中間部19との境界近傍には、ケース11の径方向内方へ張り出す円形のフランジ21が形成されている。フランジ21は、脱臭カートリッジ14の下端を支持する。フランジ21の下方であって周壁15の下端部18には、周壁15を貫通する複数個の円形の貫通孔22が形成されている。それら貫通孔22は、周壁15の周り方向へ等間隔で並んでいる。
台座12は、合成樹脂から作られ、末広がりの円筒型に成型されている。台座12は、頂部23と底部25と頂底部23,25の間に延びる中間部24とを有する。台座12は、その頂部23が連結手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介してケース11の下端部18(下端縁)に連結され、その底部25が脱臭装置10Aを載置するテーブルや机等の上面に当接する。台座12の中間部24における外周面には、周り方向へ延びる可撓性のフレキシブルソーラーパネル26が固定手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介して設置(固定)されている。
ソーラーパネル26は、光エネルギーを電気に変換し、その電気を送風ファン13に送る。台座12の中間部24における外周面には、ON/OFFスイッチ27と回転数可変ダイヤル28とが取り付けられている。ON/OFFスイッチ27をONにすることで、送風ファン13が起動し、ON/OFFスイッチ27をOFFにすることで、送風ファン13が停止する。
台座12の内部には、送風ファン13の回転数を可変する回転数可変回路(図示せず)が設置されている。回転数可変回路の一例としては、DCモータの回転中に発生する起電力(BackEMF)を使ってフィードバックし、PWM制御のデューティ比を変えて回転数一定制御を行う。なお、回転数可変のその他の手段として、直列に可変抵抗を設置する場合、オートトランスを設置する場合、サイリスタによるチョッパ回路を使用する場合等がある。
送風ファン13の稼動中では、図1に矢印L1,L2で示すように、回転数可変ダイヤル28を時計回り方向または反時計回り方向とのいずれかに回転させることで、回転数可変回路が作動し、ファン13の回転数が変更される。たとえば、ダイヤル28を矢印L1で示す時計回り方向へ回転させることで、ファン13の回転数が上がり、ダイヤル28を矢印L2で示す反時計回り方向へ回転させることで、ファン13の回転数が下がる。なお、台座12の外周面に設置されたフレキシブルソーラーパネル26に代えて、電気を送風ファン13(DCモータ)に送る電池(図示せず)を利用することもできる。電池は、台座12の内部に取り付けられた電池ボックス(図示せず)に着脱可能に設置される。
送風ファン13は、DCモータ29と、モータ29の軸に取り付けられたプロペラ30とから形成されている。送風ファン13のうちのDCモータ29は、台座12の頂部23の中央に開口するモータ固定孔に嵌め込まれ、固定手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介してモータ固定孔に固定されている。DCモータ29は、配線(図示せず)を介してON/OFFスイッチ27や回転数可変ダイヤル28、フレキシブルソーラーパネル26(または電池)に接続されている。送風ファン13のうちのプロペラ30は、周壁15の下端部18の中央に配置されている。
脱臭カートリッジ14は、臭気を吸着する炭から作られている。炭には、広葉樹から作られた中温炭、広葉樹から作られた高温炭、針葉樹から作られた中温炭(活性化炭素)、針葉樹から作られた高温炭(活性化炭素)、竹から作られた中低温炭のいずれかまたはそれらの混合物を使用することができる。炭は高い臭気吸着機能を有する。ゆえに、脱臭カートリッジ14が高い臭気吸着機能を有する。
脱臭カートリッジ14は、図4に示すように、正四角柱状に成型されている。なお、カートリッジ14の立体形状を正四角柱状に限定するものではなく、カートリッジ14が上下方向へ長い四角柱状に成型されていてもよく、また、上下方向へ長い円柱状に成型されていてもよい。脱臭カートリッジ14は、空気が通流可能な上下方向へ延びる空気流路31を有する複数の筒材32が隣接する筒材集合物33である。筒材32の空気流路31は、筒材集合物33の下端34から上端35に向かって集合物32を貫通している。
筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)は、その縦寸法M1と横寸法M2とが3〜10cmの範囲、好ましくは、4〜8cmの範囲にあり、その高さ寸法M3が3〜15cmの範囲、好ましくは、4〜8cmの範囲にある。筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の上端35の面積S1と下端34の面積S2とは、9〜100cm2の範囲、好ましくは、16〜64cm2の範囲にある。
縦横寸法M1,M2が3cm未満であって上端35および下端34の面積S1,S2が9cm2未満では、筒材集合物33における空気流路31の数が少なくなり、筒材集合物33(カートリッジ14)の脱臭性能が低下し、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができない。高さ寸法M3が3cm未満では、筒材32の内周面に対する空気の接触時間が短くなり、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができない。筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)は、縦横寸法M1,M2や高さ寸法M3が前記範囲にあるとともに、上端35および下端34の面積S1,S2が前記範囲にあるから、空気を多くの筒材32の内周面に長い時間十分に接触されることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。
筒材32は、その断面形状が正六角形のハニカム形を呈する。筒材32は、その空気流路31の上下方向の長さが3〜15cmの範囲、好ましくは、4〜8cmの範囲にある。なお、筒材集合物33の1cm2当たりにおける筒材32の空気流路31の数は、30〜50の範囲、好ましくは、35〜40の範囲にある。筒材32の空気流路31の数が30未満では、多くの筒材32の空気流路31に空気を通流させることができず、空気を多くの筒材32の内周面に接触させることができないから、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができない。筒材集合物33の1cm2当たりにおける筒材32の空気流路31の数が前記範囲にあるから、空気を多くの筒材32の内周面に接触されることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。
この脱臭装置10Aの使用手順を説明すると、以下のとおりである。最初に収納ケース11の内側に脱臭カートリッジ14を収納する。脱臭カートリッジ14を頂部開口17からケース11の内部に入れる。カートリッジ14をケース11内部に入れると、筒材集合物33(カートリッジ14)が送風ファン13の直上に位置し、筒材集合物33(カートリッジ14)の下端34がフランジ21に当接し、筒材集合物33(カートリッジ14)がフランジ21に支持される。
なお、収納ケース11の上下方向の長さ寸法は、筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の高さ寸法M3よりも大きく、ケース11の容積は、筒材集合物33(カートリッジ14)の全体を収容可能な大きさに調節されており、カートリッジ14の全体がケース11の内部に納まる。筒材集合物33を形成するそれら筒材32の空気流路31はケース11の下端部18と上端部20との間において上下方向へ延びる。空気流路31の下端(筒材集合物33の下端34)はファン13に対向し、空気流路31の上端(筒材集合物33の上端35)は頂部開口17の側に位置する。ケース11の内側に脱臭カートリッジ14を収納した後、脱臭装置10Aをテーブルや机等の上に置き、ON/OFFスイッチ27をONにする。
スイッチ27をONにすると、ソーラーパネル26(または電池)からDCモータ29に電気が送られ、DCモータ29の軸の回転によってプロペラ30が回転する。プロペラ30が回転すると、図1に矢印Nで示すように、ケース11の下端部18から上端部20に向かって空気の流れが生じ、それら貫通孔22からケース11の内側に空気が流入し、その空気がそれら筒材32の空気流路31の下端(筒材集合物33の下端34)から空気流路31に流入する。
空気流路31に流入した空気は、流路31を囲繞する筒材32の内周面に接触することで、それに含まれる臭気が筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)に吸着され、清浄化されつつ空気流路31の上端(筒材集合物33の上端35)から筒材32の外側に流出する。筒材32から流出した清浄空気は、ケース11の頂部開口17からケース11の外側に送気される。脱臭カートリッジ14を所定期間使用した後は、そのカートリッジ14をケース11から取り出し、新しいカートリッジ14をケース11に収納する。
脱臭装置10Aでは、送風ファン13(プロペラ30)の回転速度が60〜480r/minの範囲にあり、筒材32の空気流路31を流れる空気の流速が0.01〜0.1m3/secの範囲にある。ファン13の回転速度が480r/minを超過し、筒材32の空気流路31を流れる空気の流速が0.1m3/secを超過すると、空気が筒材32の空気流路31を短時間に通過してしまうから、筒材32の内周面に対する空気の接触時間が短くなり、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができない。脱臭装置10Aは、送風ファン13の回転速度が前記範囲にあるとともに、筒材32の空気流路31を流れる空気の流速が前記範囲にあり、空気が筒材32の空気流路31をゆっくりと流れるから、筒材32の内周面に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができる。
脱臭装置10Aは、送風ファン13によって貫通孔22からケース11の内側に取り入れられた空気を筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の下端34から上端35に向かって上下方向へ延びるそれら筒材32の空気流路31に流入させ、炭から作られた筒材32の空気流路31に空気を通流させることで、空気を筒材32の内周面に確実に接触させることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができる。脱臭装置10Aは、空気に含まれる臭気が筒材集合物33によって確実に取り除かれ、清浄な空気を作ることができ、清浄な空気をケース11の頂部開口17から外側に送気することができる。脱臭装置10Aは、筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)が送風ファン13の直上に位置することで、貫通孔22からケース11の内側に取り入れられた空気を筒材集合物33を形成するそれら筒材32の空気流路31全てに満遍なく通流させることができるから、筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の脱臭機能を最大限に利用することができ、装置10Aにおける脱臭効率を向上させることができる。
脱臭装置10Aは、筒材32の空気流路31の上下方向の長さが3〜15cmの範囲にあり、筒材32の内周面に対する空気の接触時間を十分に確保することができるから、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができ、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。また、筒材集合物33の上端35および下端34の面積が9〜100cm2の範囲にあり、筒材集合物33の1cm2当たりにおける筒材32の空気流路31の数が30〜40の範囲にあるとともに、筒材32が六角形に形成されており、炭から作られた多くの筒材32の空気流路31に空気を通流させることで、空気を多くの筒材32の内周面に接触させることができるとともに、筒材32の周面の面積を最大にすることができるから、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができ、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。
図5は、他の一例として示す脱臭装置10Bの斜視図であり、図6は、芳香シート36を取り外した状態で示す図5の脱臭装置10Bの上面図である。図7は、芳香シート36を設置した状態で示す図5の脱臭装置10Bの上面図である。図5では、上下方向を矢印Aで示し、図6では、径方向を矢印Bで示し、周り方向を矢印Cで示す。この脱臭装置10Bが図1のそれと異なるところは、芳香シート36が挿脱可能に挿入される点にあり、その他の構成は図1の脱臭装置10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の脱臭装置10Aの説明を援用することで、この脱臭装置10Bにおけるその他の構成の詳細な説明は省略する。
脱臭装置は、ケース11および台座12と、送風ファン13(DCモータ付きプロペラファン)および脱臭カートリッジ14と、芳香を放散する芳香シート36とから形成されている。ケース11は、上下方向へ延びる断面円形の周壁15と、周壁15の上端縁16に囲繞された円形の頂部開口17とを有する。周壁15は、上下方向へ長い円筒型を呈し、上下端部18,20と中間部19とを有する。
周壁15の上端部20には、ケース11の周り方向へ開口するスリット37が形成されているとともに、ケース11の径方向内方へ張り出す円形の第1フランジ38が形成されている。スリット37は、周壁15の円周長さの3/4まで形成されているが、周壁115の円周長さに対して少なくとも1/2以上形成されていればよい。第1フランジ38は、スリット37の直下に形成され、芳香シート36の周縁部39を支持する。スリット37とフランジ38とは、脱臭カートリッジ14をケース11に収納したときに、そのカートリッジ14の上方に位置する。周壁15の下端部18と中間部19との境界近傍には、脱臭カートリッジ14の下端を支持する第2フランジ21が形成されている。フランジ21の下方であって周壁15の下端部18には、周壁15を貫通する複数個の円形の貫通孔22が形成されている。
台座12は、合成樹脂から作られ、その頂部23が連結手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介してケース11の下端部18(下端縁)に連結されている。台座12の中間部19における外周面には、周り方向へ延びる可撓性のフレキシブルソーラーパネル26が固定手段(接着剤による接着、ビス止め等)(図示せず)を介して設置されている。台座12の中間部19における外周面には、ON/OFFスイッチ27と回転数可変ダイヤル28とが取り付けられている。台座12の内部には、送風ファン13の回転数を可変する回転数可変回路(図示せず)が設置されている。なお、図1の脱臭装置10Aと同様に、台座12の外周面に設置されたフレキシブルソーラーパネル26に代えて、台座12の内部に取り付けられた電池ボックス(図示せず)に着脱可能に設置される電池(図示せず)を利用することもできる。
送風ファン13は、DCモータ29およびプロペラ30から形成されている。DCモータ29は、配線(図示せず)を介してON/OFFスイッチ27や回転数可変ダイヤル28、フレキシブルソーラーパネル26(または電池)に接続されている。プロペラ30は、周壁15の下端部18の中央に配置されている。脱臭カートリッジ14は、臭気を吸着する炭から作られている。脱臭カートリッジ14は、正四角柱状に成型されている(図4援用)。脱臭カートリッジ14は、空気流路31を有する複数の筒材32が隣接する筒材集合物33である。筒材32の空気流路31は、筒材集合物33の下端34から上端35に向かって集合物32を貫通している。
筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)は、その縦寸法M1と横寸法M2とが3〜10cmの範囲、好ましくは、4〜6cmの範囲にあり、その高さ寸法M3が3〜15cmの範囲、好ましくは、4〜8cmの範囲にある。筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の上端35の面積S1と下端34の面積S2とは、9〜100cm2の範囲、好ましくは、16〜64cm2の範囲にある。筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)は、縦横寸法M1,M2や高さ寸法M3が前記範囲にあるとともに、上端35および下端34の面積S1,S2が前記範囲にあるから、空気を多くの筒材32の内周面に長い時間十分に接触されることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。
筒材は、その断面形状が正六角形のハニカム形を呈する。筒材は、その空気流路の上下方向の長さが3〜15cmの範囲、好ましくは、4〜8cmの範囲にある。筒材集合物の1cm2当たりにおける筒材の空気流路の数は、30〜50の範囲、好ましくは、35〜40の範囲にある。筒材集合物33の1cm2当たりにおける筒材32の空気流路31の数が前記範囲にあるから、空気を多くの筒材32の内周面に接触されることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができるとともに、空気に含まれる臭気を確実に取り除くことができる。
芳香シート36は、通気性を有する不織布、または、通気性を有する織物や編み物、あるいは、開口が形成された紙から作られ、その平面形状が円形を呈する。なお、ケース11が角筒型に成型された場合は、芳香シート36の平面形状が四角形を呈する。芳香シート36の周縁部39には、径方向外方へ延出する摘み部40が形成されている。芳香シート36は、スリット37からケース11の内側に着脱可能に収納される。芳香シート36は、脱臭装置10Bにおいて所定時間使用された後(香りの放散がなくなった後)、新たなそれと交換される。芳香シート36には、液体香料(エッセンシャルオイル)(香り成分)が滲み込んでいる。液体香料には、天然香料と合成香料とのうちの少なくとも一方を使用することができる。
液体香料としては、水溶性および油溶性のいずれであってもよい。それら香料には、モノテルペン炭化水素類、モノテルペンアルコール類、フェノール類、フェノールメチルエーテル類、セスキテルペン炭化水素類、セスキテルペンアルコール類、ケトン類、ラクトン類、カルボン酸類、ジテルペンアルコール類、アルデヒド類、エステル類、オキサイド(炭化物)類のうちのいずれか1つまたはそれらを所定の割合でブレンドした混合物を使用することができる。また、それら香料には、乳香やポプリオイル(ジャスミン、ベルガモット、ラベンダー、ローズ、ローズ・ド・メイ)を使用することもできる。
モノテルペン炭化水素類の主な芳香成分には、ピネン、リモネン、ミルセン、テルピネン、テルピノレン、δ−3−カレン、トリサイクレン、カンフェン、サビネン、オシメン、シメン、フエランドレン、パラシメン、ヒマカレン、カラレンがある。モノテルペンアルコール類の主な芳香成分には、シトロネロール、ゲラニオール、テルピネン−4−ol、ツヤノール−4、メントール、イソプレゴール、リナロール、テルピネオール、ネロール、ボルネオール、ネロリドールがある。フェノール類の主な芳香成分には、アネトール、カルバクロール、オイゲノール、チモール、パラクレゾール、カビコールがある。フェノールメチルエーテル類の主な芳香成分には、トランスアネトール、サフロール、チャビコール・メチルエーテル、パラクレゾール・メチルエーテル、イソオイゲノール・メチルエーテル、オイゲノール・メチルエーテルがある。
セスキテルペン炭化水素類の主な芳香成分には、αガイエン、カジネン、カマズレン、βカリオフィレン、ビサボレン、セリネン、βセスキフェランドレン、クルゼノン、セイチュレン、デハイドロアズリン、ゲルマクレンD、コバエン、セドレン、ファネッセン、ジンジベレン、ツヨブセン、リンデステレン、αパチュレン、ブルネッセンがある。セスキテルペンアルコール類の主な芳香成分には、セドロール、カジノール、サンタロール、グロブロール、ピリディフロロール、ネロリドール、パチュロール、レドール、キャトロール、エレモール、スパスレロールがある。
ケトン類の主な芳香成分には、カンファー、アセトフェノン、ジャスモン、ノートカトン、ビノカンフォン、ベルベノン、ピペリトン、メントン、フェンコン、カルボン、プレゴン、アトラントン、ピノカルボン、メチルイソブチルがある。ラクトン類の主な芳香成分には、クマリン、フロクマリン、ジャスミンラクトン、ジャスモン、ベルガプテンがある。カルボン酸類の主な芳香成分には、安息香酸、ケイ皮酸がある。ジテルペンアルコール類の主な芳香成分には、スクラレオール、フィトール、イソフィトールがある。
アルデヒド類の主な芳香成分には、シトラール、シトロネラール、ミルテナール、アセトアルデヒド、ペリルアルデヒド、ピペロナール、ワニリン、デカナール、ノナナール、ヘキサナール、ヘプタナールがある。エステル類の主な芳香成分には、酢酸テルピニル、酢酸リナリル、酢酸ネリル、酢酸オイゲノール、酢酸ゲラニル、アンゼリカ酸イソブチル、酢酸ボルニル、酢酸ミルテニル、安息香酸コンフィニル、安息香酸シンナミル、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、蟻酸ゲラニル、蟻酸シトロネリル、アンゼリカ酸メチル、酢酸ベンジルがある。オキサイド(炭化物)類の主な芳香成分には、カリオフィレンオキサイド、ビサボロールオキサイド、1,8シネオール、リナロールオキサイド、ローズオキサイドがある。
芳香シート36には、粉末香料(香り成分)を収納することもできる。芳香シート36に粉末香料を収納する場合、図示はしていないが、シート36が二枚重ねの通気性を有する不織布、または、二枚重ねの通気性を有する織物や編み物から作られ、不織布や織物、編み物の間に粉末香料を収納可能な袋が形成されている。粉末香料には、ドライハーブ粉砕物、ヒノキ粉砕物、お茶の葉粉砕物、コーヒー豆粉砕物、お茶ガラ粉砕物、コーヒーガラ粉砕物等を使用することができる。
ドライハーブには、オリスルート、オレンジピール、カモマイル・ジャーマン、クローブ、月桂樹、エキナセア、スペアミント、タイム、ハイビスカス、矢車草、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーベナ、レモンバーム、レモンピール、ローズヒップ、ミニローズ・ピンク、ローズマリー、ヒソップ、ペパーミント、マージョラム、マロウ・ブルー、ローズ・バッズピンク、ローズ・ピンク、ローズ・レッド、タラゴン、ダンデリオン、サンダルウッド、シナモンスティック、ジュニパーベリー、トンカビーンズ、ペニーロイヤル、マリーゴールド、むぎわら菊、ユーカリのうちのいずれかから作られている。ドライハーブは、それらから作られたいずれか1つまたはそれらから作られた2種類以上を所定の割合でブレンドしたものを使用することができる。なお、粉末香料には、現在市販されているあらゆる香料を使用することができる。
この脱臭装置10Bの使用手順を説明すると、以下のとおりである。図1の装置10Aと同様に、最初に収納ケース11の内側に脱臭カートリッジ14を収納する。脱臭カートリッジ14を頂部開口17からケース11の内部に入れる。カートリッジ14をケース11内部に入れると、筒材集合物33(カートリッジ14)がファンの直上に位置し、筒材集合物33(カートリッジ14)の下端34が第2フランジ21に当接し、筒材集合物33(カートリッジ14)がフランジ21に支持される。筒材集合物33を形成するそれら筒材32の空気流路31はケース11の下端部18と上端部20との間において上下方向へ延びる。
なお、図1の脱臭装置10Aと同様に、収納ケース11の上下方向の長さ寸法は、筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の高さ寸法M3よりも大きく、ケース11の容積は、筒材集合物33(カートリッジ14)の全体を収容可能な大きさに調節されている。
次に、芳香シート36の摘み部40を持ちながら、シート36をスリット37から収納ケース11の内部に挿入する。芳香シート36をケース11内部に挿入すると、シート36の周縁部39が第1フランジ38に支持され、シート36が筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)の上方に位置する。筒材32の空気流路31の下端(筒材集合物33の下端34)はファン13に対向し、空気流路31の上端(筒材集合物33の上端35)は芳香シート36に対向する。ケース11の内側に脱臭カートリッジ14を収納するとともに、芳香シート36を挿入した後、脱臭装置10Bをテーブルや机等の上に置き、ON/OFFスイッチ27をONにする。
スイッチ27をONにすると、ソーラーパネル26(または電池)からDCモータ29に電気が送られ、DCモータ29の軸の回転によってプロペラ30が回転する。プロペラ30が回転すると、図5に矢印Nで示すように、ケース11の下端部18から上端部20に向かって空気の流れが生じ、それら貫通孔22からケース11の内側に空気が流入し、その空気がそれら筒材32の空気流路31の下端(筒材集合物33の下端34)から空気流路31に流入する。
空気流路31に流入した空気は、流路31を囲繞する筒材32の内周面に接触することで、それに含まれる臭気が筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)に吸着され、清浄化されつつ空気流路31の上端(筒材集合物33の上端35)から筒材32の外側に流出する。筒材32から流出した清浄空気は、芳香シート36を通過し、シート36から放散された香り成分が清浄空気に混入し、清浄かつ芳香空気がケース11の頂部開口17からケース11の外側に送気される。
脱臭カートリッジ14を所定期間使用した後は、そのカートリッジ14をケース11から取り出し、新しいカートリッジ14をケース11に収納する。また、芳香シート36を所定期間使用した後は、そのシート36をケース11から抜き取り、新しい芳香シート36をケース11に挿入する。
脱臭装置10Bでは、送風ファン13(プロペラ39)の回転速度が60〜480r/minの範囲にあり、筒材32の空気流路31を流れる空気の流速が0.01〜0.1m3/secの範囲にある。脱臭装置10Bは、送風ファン13の回転速度が前記範囲にあるとともに、筒材32の空気流路31を流れる空気の流速が前記範囲にあり、空気が筒材32の空気流路31をゆっくりと流れるから、筒材32の内周面に対する空気の接触時間を長くすることができ、空気に含まれる臭気を筒材集合物33に十分に吸着させることができる。
この脱臭装置10Bは、図1の脱臭装置10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。脱臭装置10Bは、筒材集合物33(脱臭カートリッジ14)によって清浄された空気に芳香シート36によって芳香が付与されるから、空気に含まれる臭気を除去しつつ、よい香りの空気を収納ケース11の頂部開口17から外側に送気することができる。脱臭装置10Bは、清浄された空気が芳香として送気されるから、芳香療法に利用することができる。
図1や図5の脱臭装置10A,10Bでは、送風ファン13の回転数を可変する回転数可変回路が台座12の内部に設置され、回転数可変ダイヤル28が台座12の外周面に取り付けられているが、回転数可変回路や回転数可変ダイヤル28を省くこともできる。この場合、送風ファン13(プロペラ39)の回転速度が60〜480r/minの範囲で事前に設定され、ファン13が設定の回転速度で回転する。