JP2012052690A - 高周波加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常加熱になった場合でも、加熱室内の温度と蒸気量とを検知することで安全に動作させ、また、発熱シートを利用した市販の冷凍食品に対しても、早切れが防止されること。
【解決手段】食品が少量であるか大量であるか判定し(ステップS7)、食品が少量か大量かで閾値を変更して食品の異常加熱を検出してマグネトロンの出力レベルを低下させる(ステップS9)とともに、食品が少量であった場合、加熱室内の蒸気量が所定値以下(ステップS14)であればマグネトロンを停止する(ステップS12)。
【選択図】図5
【解決手段】食品が少量であるか大量であるか判定し(ステップS7)、食品が少量か大量かで閾値を変更して食品の異常加熱を検出してマグネトロンの出力レベルを低下させる(ステップS9)とともに、食品が少量であった場合、加熱室内の蒸気量が所定値以下(ステップS14)であればマグネトロンを停止する(ステップS12)。
【選択図】図5
Description
本発明は、表面温度検出手段により加熱室内の食品温度を検出し、安全性に配慮した高周波加熱装置に関するものである。
従来、オーブンレンジ等の高周波加熱装置は、使用者の誤使用による異常加熱への対策を施し安全を確保している。例えば、高周波加熱を行った時に食品から発生する蒸気を検知した時の食品の初期からの重量変化を算出し、蒸気を検知するまでの時間から算出される異常加熱判定重量との比較で加熱を終了させるようにし、食品の異常加熱を防止するようにしたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、食品の重量ではなく、加熱室内の雰囲気温度の上昇時間により、食品の大きさを推測し、高周波発生手段の出力レベルを落とす閾値を少量負荷用と大量付加用とに分けて設定して、少量負荷の加熱時でも異常加熱を防止したものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1に記載の高周波加熱装置は、食品重量を測定する必要が有り、その食品重量は食品載せる載置台を通じて重量を測定している。この場合、前記載置台が円形であれば、載置台を支える軸の下に重量測定手段を設けることができるが、4角形の加熱室庫内に対し、円形載置台の外側に食品が置けない空間が生じるので、一度に料理できる食品の量は載置台の面積分となり、加熱室底面の面積を有効に活用できない。よって、近年のオーブンレンジ等の高周波加熱装置は、清掃性を向上させる意味もあって、その加熱室底面をフラット形状に構成したものが主流を占めてきているが、このような形態の高周波加熱装置では前記加熱室底面が加熱室に固定されていて、重量測定手段を設けることが困難であり、構成できたとしても、部品点数の増加を伴い、価格の高い商品となってしまう。
このため、最近の高周波加熱装置では、重量測定に変わって、食品の表面温度を検出する赤外線センサーを搭載した装置が多く発売されてきている。そして、この装置では赤外線センサーが検出する食品の表面温度が所定温度に達すれば異常と判断して加熱を停止させるようになっている。この赤外線センサーは食品の表面温度を検出するところから、この赤外線センサー出力に基づいて食品を加熱して適温に達すれば加熱を自動的に停止させる自動加熱を行うことができる。
ところが、使用者が任意の時間を設定して動作させる手動加熱の場合においては、適温に加熱することは、使用者が選ぶ加熱パワーと設定時間に依存することになる。つまり、使用者の経験や取扱説明書に記載された情報等を参考に、食品の大きさ、種類に応じて加熱パワーと加熱時間を設定し動作させることになる。したがって、加熱装置としては選ばれた加熱パワーと加熱時間が適正がどうかに関係なく動作し、選ばれた加熱条件が適切でない場合は食品が異常加熱される場合が生じることが懸念される。
そこで、この手動加熱時にも前記赤外線センサーを活用し、赤外線センサーが異常高温を検出した場合、加熱パワーを落とすように構成し、安全面を向上させたものがある。ところが、近年、市販されている冷凍食品の中には、高周波で加熱される発熱シートを用いて焦げ目をつけることを特徴とする電子レンジ用の食材が発売されており、単に高温を検出して加熱パワーを落とすと、赤外線センサーが発熱シート部の高温を検出してしまい、冷凍食品が十分に加熱されず、冷たいままで動作が停止するという不具合がある。
特許文献2に記載された高周波加熱装置は、使用者が少量の食品の加熱をする際、誤って加熱パワーを大きく、加熱時間も長く設定して加熱開始した場合にでも、加熱室内の雰囲気温度の上昇を検出、かつ、加熱室内の食品温度が高温になったと判断したら、それ以上加熱が進まないよう、加熱パワーを低減させるので、食品の異常加熱を防止することができるとともに、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合、発熱シートは加熱開始後から高温になるが、加熱室内の雰囲気温度の上昇を検出するまでは、加熱パワーの低減をしないので、早切れして冷凍のまま加熱が終了するということがなくなる。
しかしながら、特許文献2に記載された高周波加熱装置では、温度上昇し易い少量の食品の場合、食品が異常加熱され急激に温度上昇してしまう、という課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、異常加熱になった場合でも、加熱室内の温度と蒸気量とを検知することで安全に動作させ、また、発熱シートを利用した市販の冷凍食品に対しても、早切れが防止される高周波加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、食品を収納する加熱室と、前記加熱室内の食品を誘電加熱するための高周波を発生する高周波発生手段と、前記加熱室の壁面外側に配置され前記加熱室内の食品の温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、前記加熱室内の雰囲気温度を検出する庫内温度検出手段と、前記加熱室内の蒸気量を検出する庫内蒸気検出手段と、前記表面温度検出手段、庫内温度検出手段、及び前記庫内蒸気検出手段からの出力に基づき前記高周波発生手段の出力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であるか大量であるか判定し、食品が少量か大量かで閾値を変更して食品の異常加熱を検出して前記高周波発生手段の出力レベルを低下させるとともに、食品が少量であった場合、前記加熱室内の蒸気量が所定値以下であれば前記高周波発生手段を停止する構成としてある。
上記構成により、使用者が少量の食品の加熱をする際、誤って加熱パワーを大きく、加熱時間も長く設定して加熱開始した場合にでも、加熱室内の雰囲気温度の上昇を検出、かつ、加熱室内の食品温度が高温になったと判断したら、それ以上加熱が進まないよう、加熱パワーを低減させるので、食品の異常加熱を防止することができる。また、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合、発熱シートは加熱開始後から高温になるが、加熱室内の雰囲気温度の上昇を検出するまでは、加熱パワーの低減をしないので、早切れして冷凍のまま加熱が終了するということがなくなる。
本発明によれば、少量の食品を手動加熱する場合の異常加熱を防止できるとともに、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合の早切れを防止でき、安全で信頼性の高い高周波加熱装置を提供できる。
第1の発明は、食品を収納する加熱室と、前記加熱室内の食品を誘電加熱するための高周波を発生する高周波発生手段と、前記加熱室の壁面外側に配置され前記加熱室内の食品の温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、前記加熱室内の雰囲気温度を検出する庫内温度検出手段と、前記加熱室内の蒸気量を検出する庫内蒸気検出手段と、前記表面温度検出手段、庫内温度検出手段、及び前記庫内蒸気検出手段からの出力に基づき前記高周波発生手段の出力を制御する制御部とを備え、前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であるか大量であるか判定し、食品が少量か大量かで閾値を変更して食品の異常加熱を検出して前記高周波発生手段の出力レベルを低下させるとともに、食品が少量であった場合、前記加熱室内の蒸気量が所定値以下であれば前記高周波発生手段を停止することにより、少量の食品を手動加熱する場合の異常加熱を防止できるとともに、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合の早切れを防止できる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であった場合、前記加熱室内の蒸気量が所定値以下である状態が所定時間継続すると前記高周波発生手段を停止することにより、少量の食品を手動加熱する場合の異常加熱を防止できるとともに、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合の早切れを防止できる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であった場合、前記加熱室内の雰囲気温度が所定値以上で、かつ前記加熱室内の蒸気量が所定値以下である状態が所定時間継続すると前記高周波発生手段を停止することにより、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合の早切れを防止できる。
第4の発明は、特に、第1から3のいずれか1つの発明において、前記加熱室内の雰囲気温度の検出と前記加熱室内の蒸気量の検出とを1つのサーミスタで行うことにより、部品点数を減らし構成を簡素化できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における高周波加熱装置のシステム概略図、図2は同高周波加熱装置の開閉扉を開けた状態を示す正面図、図3は右側面からみた機械室の構成図、図4は電気的構成を示すブロック図、図5、図6はその動作を説明するフローチャートである。
図1は本発明の実施の形態1における高周波加熱装置のシステム概略図、図2は同高周波加熱装置の開閉扉を開けた状態を示す正面図、図3は右側面からみた機械室の構成図、図4は電気的構成を示すブロック図、図5、図6はその動作を説明するフローチャートである。
加熱室1の底面には加熱室底面となる結晶化ガラスを加熱室内寸法で切ったサラウケダイ2が挿入されており、サラウケダイ2の上に食品3を載せる。加熱室右側面上方には温度検出用の穴4が開けられており、加熱室の壁面外側に配置された表面温度検出手段5(以下赤外線センサー5と称す)が対向配置してあって、加熱室1内の食品3の表面温度を
非接触で検出するようになっている。赤外線センサー5は、加熱室1内の底面部の定められた範囲の温度が検出できるよう、駆動モータ6によって矢印で示す方向に反復動作する。
非接触で検出するようになっている。赤外線センサー5は、加熱室1内の底面部の定められた範囲の温度が検出できるよう、駆動モータ6によって矢印で示す方向に反復動作する。
加熱室天面右側奥には、加熱室内の雰囲気温度を測定する庫内温度検出手段(以下加熱室用サーミスタ7と称す)が設けてある。8はマイクロコンピューターを主体に構成した制御部で、駆動モーター6の動作を制御したり、表面温度検出手段5から得られる信号電圧や加熱室用サーミスタ7から得られる信号電圧をA/D変換し、そのA/D変換された食品3の温度データと所定の食品3の仕上がり温度の判定値を比較し、食品3の加熱時間を決定したり、後述する高周波発生手段の出力を制御するものである。加熱室1の奥には、ノズル9から給水された水を沸騰させて蒸気を発生させる為の水溜部10が配置されている。
加熱室1の前面にはドア11が開閉可能に設けてあり、さらには使用者が加熱メニューの選択や加熱開始の指示などを行う各種操作キー11a〜11dや必要な表示を行う表示部12を有する操作パネル13が設けてある。操作パネル14の裏側には、制御基板(図示せず)が配設されていて、この制御基板に前記制御部8、高周波発生手段を動作させるための駆動回路14等が設けられている。操作パネル後方には機械室が設けられている。
機械室には、加熱室1の右側壁に位置させて、高周波発生手段となるマグネトロン15が配設されている。マグネトロン15の右側にはウライタ16に取り付けられた冷却ファン17、エアガイドA18を配置し、マグネトロン15を冷却する。マグネトロン15の左側にはエアガイドC19を設置し、加熱室1内へ風を送り込んでいる。エアガイドC19には、マグネトロン15の温度を検出する排気サーミスタ20を設けている。マグネトロン15から発振した高周波は、導波管(図示せず)を介して、本体底面に備えた給電口(図示せず)から加熱室1内にマイクロ波を供給するようになっている。マグネトロン15の上部には、マグネトロン15の出力を可変するインバータ21を配置してある。インバータ21と、加熱室1内を照らすランプ22等の間に前記赤外線センサー5が配置してある。
図4は電気的構成を示したものである。この図4において、上記制御部8には、スタートスイッチを含む各種の操作キー11a〜11d、赤外線センサー5、マグネトロン15の温度を検出する排気サーミスタ20、加熱室1内の温度を検出する加熱室用サーミスタ7からの信号が入力されるようになっている。制御部8はこれらの信号に基づき予め記憶されたプログラムに従って表示器12に加熱時間や付属品の情報を表示するとともに、駆動回路15を介して、マグネトロン15、上ヒーター22、下ヒーター23、冷却ファン16、スチームヒーター24、駆動モータ6を制御している。マグネトロン15はインバータ21を経由して制御されるので、出力をコントロールすることができ、例えば、スチームヒーター24と高周波出力300Wを同時に使用するということが可能になる。
以上のように構成された高周波加熱装置の動作について、図5、図6のフローチャートを用いながら説明する。
図5、図6には、制御部8による制御内容のうち、本発明の要旨に関係した部分が示されており、以下これについて関連した作用と共に説明をする。
使用者が食品の加熱をする場合、操作キー11bの「レンジ出力切り替え」キーをタップ操作することで、高周波加熱の出力パワーを選択する(ステップS1)。本実施の形態の高周波加熱装置は初めに押した時は800W出力が選択され、以降タップの度に、600W→500W→150Wと切り替わるように設定されている。ここでは、800W出力
が選ばれたとする。次に使用者は、動作させたい時間を操作キー11cのダイヤルを回すことで設定する(ステップS2)。使用者が高周波加熱の出力パワーを800Wを選択した時は最大加熱時間を10分。600W、500Wを選択している場合は、最大加熱時間を30分、150Wを選択してる時は5時間まで選択可能なように設定されている。次に使用者は、加熱開始を指示するための「スタート」キーを押して、加熱加熱がスタートする(ステップS3)。加熱スタートと同時に、制御部8は、駆動回路14を介して、駆動モータ6を動作させる。
が選ばれたとする。次に使用者は、動作させたい時間を操作キー11cのダイヤルを回すことで設定する(ステップS2)。使用者が高周波加熱の出力パワーを800Wを選択した時は最大加熱時間を10分。600W、500Wを選択している場合は、最大加熱時間を30分、150Wを選択してる時は5時間まで選択可能なように設定されている。次に使用者は、加熱開始を指示するための「スタート」キーを押して、加熱加熱がスタートする(ステップS3)。加熱スタートと同時に、制御部8は、駆動回路14を介して、駆動モータ6を動作させる。
加熱中、制御部8は、加熱を停止するかどうかの判断として、まず、ドア11が開けられたかどうかを監視してる(ステップS4)。ドア11が閉じられた状態のままの時は、操作キー11dの「取消」キーが押されたかどうかを監視してる(ステップS5)。使用者が設定した加熱動作時間に達していなくても、ドア11を開けると(ステップS4)、もしくは、「取消」キーを押すことで(ステップS5)、任意の時間で加熱を停止させることが可能となっている(ステップS12)。
ステップS6では、加熱室1内の温度が上昇しT℃に達したかどうかの判定を行う。これは、加熱開始後、加熱室1内の温度は、しばらくは開始時の温度を維持している。そして、加熱が進むにつれて、食品から蒸気が発生し始め、加熱室1内の温度も上昇する。なお、食品が十分に加熱されているかどうかの判定値T℃は、実験により80℃とした。ステップS6で80℃を越えていない時は、異常加熱になっていないと判断し、ステップS11へと進む。
次に、食品の量が大量か少量かによって、食品温度の所定値を区別して設定する(ステップS7)。ステップ6で加熱室1内の温度が80℃以上になった場合、加熱開始から加熱室1の温度が80℃以上になるまでの時間を計測し、あらかじめ設定してあるX時間と比較、判定を行う。
食品が少量の場合は、2つの判定を並行して行う。まず1つ目の判定は、赤外線センサー5による検出温度(IR検出温度という)を少量負荷用の閾値温度(本実施の形態では、92℃に設定)と比較する(ステップS8)。比較の結果、IR検出温度が閾値温度以上の場合は、高周波発生手段であるマグネトロン15の出力を低下させて、加熱を緩和させる(ステップS9)。
また、IR検出温度が閾値温度以下の場合は、加熱時間が設定した調理時間になったかどうか判定する(ステップS11)。
そして、マグネトロン15の出力を低下させ所定時間経過後、再度赤外線センサー5による検出温度を、第1の異常加熱温度(98℃)と比較する(ステップS10)。IR検出温度が第1の異常加熱温度より高い場合は、さらに所定時間後、第2の異常加熱温度(92℃)と比較し、IR検出温度が第2の以上加熱温度より高温の場合はマグネトロン15を停止し、IR検出温度が第2の以上加熱温度より低温の場合は低下させた出力状態で、調理時間終了まで、加熱を行う(ステップS11)。
食品が少量の場合の2つ目の判定は、食品が十分加熱されているかどうか、庫内温度を閾値と比較するものである(ステップS12)。本実施の形態では、この閾値を80℃とした。庫内温度が80℃以上になると、加熱室1内の蒸気量を検出する(ステップS14)。
加熱室1内の蒸気量が所定量より少ない場合は、食品から蒸気が出きってしまったと判断して、食品を異常加熱しないよう、マグネトロン15の運転を停止する(ステップS1
2)。なお、この蒸気量の検出には、加熱室1の庫内温度の検出手段である、加熱室用サーミスタ7を蒸気センサーとして兼用した。
2)。なお、この蒸気量の検出には、加熱室1の庫内温度の検出手段である、加熱室用サーミスタ7を蒸気センサーとして兼用した。
また、食品が大量の場合は、ステップS15において、食品が少量の場合と同様に、赤外線センサー5による検出温度を大量負荷用の閾値温度(本実施の形態では、98℃に設定)と比較する(ステップS15)。比較の結果、IR検出温度が閾値温度以上の場合は、高周波発生手段であるマグネトロン15の出力を低下させて、加熱を緩和させる(ステップS16)。
また、IR検出温度が閾値温度以下の場合は、加熱時間が設定した調理時間になったかどうか判定する(ステップS17)。
そして、マグネトロン15の出力を低下させ所定時間経過後、再度赤外線センサー5による検出温度を、第1の異常加熱温度(110℃)と比較する(ステップS18)。IR検出温度が第1の異常加熱温度より高い場合は、さらに所定時間後、第2の異常加熱温度(105℃)と比較し、IR検出温度が第2の以上加熱温度より高温の場合はマグネトロン15を停止し、IR検出温度が第2の以上加熱温度より低温の場合は低下させた出力状態で、調理時間終了まで、加熱を行う(ステップS19)。
図7は本実施の形態の赤外線センサー5の読み取り範囲である。赤外線センサー5は8素子を有しており、加熱室内全体を検出するように駆動モーター6によって往復動作するので、図に示すような検出エリアとなる。じゃがいものような大きさのもの3aを加熱室中央に置いた場合は検出エリアよりも食品の方が大きいので、食品自身の温度を検出することができる。残った食材、例えば、さつまいもの端切れ50gのような大きさの物3bを加熱室内左側に置いた場合には、図に示すように検出エリアに対し部分的に食品が入るので、周囲の食品以外の部分と合わせて平均温度を取得し、完全たる食品の温度を取得せず、食品温度よりも低い温度を検出することになる。
具体的にじゃがいも1ヶを加熱する場合で説明する。通常であれば600Wで4分加熱すれば適切に加熱できるが、使用者が800W、10分設定したとする。加熱開始後、加熱室の雰囲気温度が10℃上昇するのに2分30秒要した。この時点での食品の検出温度は95℃であった。閾値2の115℃に達していないので800Wの加熱パワーで継続する。その後、加熱が続くので食品温度は上昇し、6分50秒で115℃に達した。この時点で加熱パワーを300Wに下げて、継続して加熱する。加熱パワーを落とすので、食品の温度上昇も抑えられ、設定した10分が経過した時点では、119℃に達していたが、じゃがいもの異常加熱はなかった。
次に冷凍ピザを加熱する場合を説明する。市販の冷凍ピザの中には、食品の底面に高周波で発熱するシートを敷き、底面に焦げをつけるタイプのものがある。直径15cm程度の冷凍ピザなら、600Wで2分〜2分30秒で加熱と包装袋に記載されている。高周波加熱装置の電波分布によっては、食品メーカーの推奨の時間では加熱が足りない場合も多く、検討段階での実験では3分30秒に設定し、様子をみることにした。加熱開始すると、開始20秒の時点で食品の検出温度は120℃となり、加熱パワーが300Wに落ちて、加熱停止した時点では、冷たい部分が残っていた。冷凍ピザは円形であるが、発熱シートは4角形であるため、発熱シートの4角が見えており、赤外線センサー5はその温度を取得した。検討段階では、高温検出でパワーを下げるようにしていたが、発熱シート付のような食品では不具合が生じるが、本発明では庫内温度の上昇を判断に追加してあるからこの不具合を解消できる。すなわち、本発明品で再度冷凍ピザを加熱すると、3分30秒の時点では、庫内温度の上昇は7℃で、ステップ9以降の食品温度の判定ステップには移行せず、加熱パワーの低減も起こらなかったので、冷凍ピザは問題なく加熱できた。
本実施の形態では、ステップS6の判断は加熱開始時点では20秒毎に行い、加熱室1内の温度が10℃以上上昇してステップS9に移行する時点で連続的に取得するようにした。食品の温度を検知して加熱停止させる自動加熱メニューの場合は、都度食品の温度を常に監視してるいが、使用者が加熱時間を設定して動作させている手動加熱の場合は、温度検出は異常な状態になったのかを判断できればいいので、自動加熱メユー時の場合と比較して、温度検出の頻度を1/5に落とし、駆動装置の耐久性にも考慮した。食品の加熱時に赤外線センサーを駆動させると、加熱された食品がはじけることによって生じる食品の飛び散りによる赤外線センサーのレンズ面の汚れが心配されるが、駆動回数を減らしたことにより、汚れへの影響も配慮した。
また本実施の形態では、使用者の加熱時間設定が3分より長く設定された場合にはじめて食品の温度検出のための往復動作を行うように設定した。通常、短い時間での加熱で食品が異常加熱に至ることはない。飲み物のあたためや食品の再加熱のような場合、3分以下で十分に加熱されることから一般的な使用の範囲においては、異常検出のための往復動作を行う必要はなく、駆動装置の耐久性により配慮した構成をとっている。
以上のように、使用者が誤って加熱パワー、加熱時間を設定して、加熱開始したような場合にでも、加熱室1内の温度上昇と通常の食品が加熱された場合より高い温度を検出することによって、誤動作を防止しつつ高周波出力の出力パワーを落とすことで、食品の異常加熱を防止することができ、安全に使用することが可能となる。
以上のように、本発明にかかる高周波加熱装置によれば、使用者が少量の食品に対し加熱パワーを大きく、加熱時間も長く設定して加熱開始した場合にでも、異常加熱を防止できるとともに、発熱シートを利用した冷凍食品を加熱するような場合の早切れをも防止でき、安全で信頼性の高い高周波加熱装置を提供できる。
1 加熱室
5 赤外線センサー(表面温度検出手段)
6 駆動モータ
7 加熱室サーミスタ(庫内温度検出手段)
8 制御部
15 マグネトロン(高周波発生手段)
5 赤外線センサー(表面温度検出手段)
6 駆動モータ
7 加熱室サーミスタ(庫内温度検出手段)
8 制御部
15 マグネトロン(高周波発生手段)
Claims (4)
- 食品を収納する加熱室と、前記加熱室内の食品を誘電加熱するための高周波を発生する高周波発生手段と、前記加熱室の壁面外側に配置され前記加熱室内の食品の温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、前記加熱室内の雰囲気温度を検出する庫内温度検出手段と、前記加熱室内の蒸気量を検出する庫内蒸気検出手段と、前記表面温度検出手段、庫内温度検出手段、及び前記庫内蒸気検出手段からの出力に基づき前記高周波発生手段の出力を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であるか大量であるか判定し、食品が少量か大量かで閾値を変更して食品の異常加熱を検出して前記高周波発生手段の出力レベルを低下させるとともに、食品が少量であった場合、前記加熱室内の蒸気量が所定値以下であれば前記高周波発生手段を停止することを特徴とする高周波加熱装置。 - 前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であった場合、前記加熱室内の蒸気量が所定値以下である状態が所定時間継続すると前記高周波発生手段を停止することとした請求項1に記載の高周波加熱装置。
- 前記制御部は、使用者が任意の時間を設定して加熱開始操作を入力すると、食品が少量であった場合、前記加熱室内の雰囲気温度が所定値以上で、かつ前記加熱室内の蒸気量が所定値以下である状態が所定時間継続すると前記高周波発生手段を停止することとした請求項1または2に記載の高周波加熱装置。
- 前記加熱室内の雰囲気温度の検出と前記加熱室内の蒸気量の検出とを1つのサーミスタで行う請求項1から3のいずれか一項に記載の高周波加熱装置。
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