JP2012052238A - 圧延銅箔 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い温度範囲の熱処理を施した後でも優れた屈曲疲労寿命特性を発揮する圧延銅箔を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物と、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、不可避的不純物との間で化合物を形成し、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物と、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、不可避的不純物との間で化合物を形成し、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧延銅箔に関する。特に、本発明は、フレキシブルプリント配線板等に用いられる圧延銅箔に関する。
フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)は、厚さが薄く可撓性に優れることから、電子機器等への実装形態における自由度が高い。そのため、折り畳み式携帯電話の折り曲げ部、デジタルカメラ、プリンターヘッド等の可動部、及び、Hard Disk Drive(HDD)、Digital Versatile Disc(DVD)、CompactDisk(CD)等、ディスク関連機器の可動部の配線等にFPCが用いられている。
従来、100〜500mass ppmの酸素を含有し、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Osの内の1種以上を、次式で定義したTが100〜400になる範囲で含有し、T=[Ag]+0.6[Au]+0.6[Pd]+0.4[Pt]+0.4[Rh]+0.3[Ir]+0.3[Ru]+0.3[Os](ただし、[M]は元素Mのmass ppm濃度)、S、As、Sb、Bi、Se及びTeの合計量が30mass ppm以下であり、厚さが5〜50μmであり,200度で30分間の焼鈍後の圧延面のX線回折で求めた200面の強度(I)が微粉末銅のX線回折で求めた200面の強度(I0)に対しI/I0>20であり、120〜150℃の半軟化温度を有し、室温において継続して300N/mm2以上の引張り強さを保持しているフレキシブルプリント回路基板用圧延銅箔が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のフレキシブルプリント回路基板用圧延銅箔は、上記構成を備えるので、優れた屈曲疲労寿命特性を発揮する。
また、Nb、Ti、Ni、Zr、V、Mn及びTaからなる群から選択される1種又は複数の元素を10ppmから50ppm含み、酸素等の不可避的不純物の含有量を50ppm以下にした無酸素銅を90%以上の加工度の最終冷間加工により厚さ100μm以下に形成すると共に、所定部材を接着する表面に2μm以下の粗化面を有する耐屈曲用無酸素銅圧延箔が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の耐屈曲用無酸素銅圧延箔は、上記構成を備えるので、優れた屈曲疲労寿命特性を発揮する。
しかし、特許文献1に記載のフレキシブルプリント回路基板用圧延銅箔は、様々な温度条件のうち、高温の条件においては、銅箔中で再結晶が過剰に進行することにより屈曲疲労寿命特性が低下する場合がある。また、特許文献1に記載のフレキシブルプリント回路基板用圧延銅箔は、当該銅箔に含有されている酸素から酸化物が生成されると、当該酸化物が疲労破壊の起点になる場合があり、屈曲疲労寿命特性の向上には限界がある。
また、特許文献2に記載の耐屈曲用無酸素銅圧延は、母材に無酸素銅を用い、軟化温度を低下させる元素を含有していることから低温の条件における屈曲疲労寿命特性は向上するものの、高温の条件においては、銅箔中で再結晶が過剰に進行することがあり、斯かる場合には銅箔の屈曲疲労寿命特性が低下する場合がある。したがって、特許文献1に記載の銅箔、及び特許文献2に記載の銅箔のいずれにおいても、低い温度条件から高い温度条件までの広い温度条件の熱処理を施した後に、優れた屈曲疲労寿命特性を発揮することは困難である。
したがって、本発明の目的は、広い温度範囲の熱処理を施した後でも優れた屈曲疲労寿命特性を発揮する圧延銅箔を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、銅(Cu)及び不可避的不純物と、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、不可避的不純物との間で化合物を形成し、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含む圧延銅箔が提供される。
また、上記圧延銅箔は、0.002重量%以下の酸素を更に含んでもよい。
また、上記圧延銅箔は、第1の添加元素は、0.005重量%以上0.05重量%以下の銀(Ag)であることが好ましい。
また、上記圧延銅箔は、第2の添加元素は、0.001重量%以上0.09重量%以下のホウ素(B)であることが好ましい。
また、上記圧延銅箔は、第2の添加元素は、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)から1つ選択される元素であり、0.001重量%以上0.09重量%以下含まれてもよい。
また、上記圧延銅箔は、第2の添加元素は、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)から選択される複数の元素であり、総量で0.001重量%以上0.09重量%以下含まれてもよい。
また、上記圧延銅箔は、圧延面を基準にしたX線回折を用いた極点図測定により得られる結果において、極点図測定のα=90°におけるβ走査による銅結晶の{022}Cu面回折ピークの平均強度[a]とα=30°におけるβ走査による{022}Cu面回折ピークの平均強度[b]との比[a]/[b]が、[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有することもできる。
また、上記圧延銅箔は、20μm以下の厚さを有することが好ましい。
本発明に係る圧延銅箔によれば、広い温度範囲の熱処理を施した後でも優れた屈曲疲労寿命特性を発揮する圧延銅箔を提供できる。
(実施の形態の要約)
本実施の形態に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物を含有する圧延銅箔において、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、不可避的不純物との間で化合物を形成し、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含む。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物を含有する圧延銅箔において、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、不可避的不純物との間で化合物を形成し、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含む。
(圧延銅箔の概要)
本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)等の可撓性配線部材に用いられる圧延銅箔である。具体的に、本実施の形態に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物と、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含んで構成される。ここで、第2の添加元素は、不可避的不純物との間で化合物を形成する元素である。そして、一例として、本実施の形態に係る圧延銅箔は、後述する圧延銅箔の製造工程の最終冷間圧延工程を経た後であって再結晶焼鈍を経る前に得られる圧延銅箔であり、例えば、FPC用の圧延銅箔に用いることを目的として、50μm以下、好ましくは20μm以下の厚さを有して形成される。
本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)等の可撓性配線部材に用いられる圧延銅箔である。具体的に、本実施の形態に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物と、銅に固溶する第1の添加元素と、銅に含まれ、第1の添加元素とは異なる第2の添加元素とを含んで構成される。ここで、第2の添加元素は、不可避的不純物との間で化合物を形成する元素である。そして、一例として、本実施の形態に係る圧延銅箔は、後述する圧延銅箔の製造工程の最終冷間圧延工程を経た後であって再結晶焼鈍を経る前に得られる圧延銅箔であり、例えば、FPC用の圧延銅箔に用いることを目的として、50μm以下、好ましくは20μm以下の厚さを有して形成される。
(銅)
本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅材を母材にして形成される。ここで、本実施の形態に係る「無酸素銅」は、例えば、JIS C1020で規定される無酸素銅や、酸化銅(I)[Cu2O]、及び/又は残留脱酸剤を含まない銅99.96%以上の純度の銅である。なお、酸素含有量は完全にゼロであるわけではなく、数ppm(0.000数%)程度の酸素が本実施の形態に係る無酸素銅に含まれることは排除されない。したがって、本実施の形態に係る圧延銅箔は、一例として、0.002重量%以下(すなわち、20ppm以下)の酸素を含んで形成される。なお、圧延銅箔中において酸化物が生成することを抑制すべく、酸素含有量を更に低減させることが好ましい。なお、無酸素銅に不可避的不純物、例えば、硫黄(S)、リン(P)等が固溶することにより無酸素銅の軟化温度は上昇する傾向がある。一方、不可避的不純物(例えば、S、P等)が所定の添加元素と反応して生成した化合物が無酸素銅中に存在すると、当該無酸素銅の軟化温度は低下する。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅材を母材にして形成される。ここで、本実施の形態に係る「無酸素銅」は、例えば、JIS C1020で規定される無酸素銅や、酸化銅(I)[Cu2O]、及び/又は残留脱酸剤を含まない銅99.96%以上の純度の銅である。なお、酸素含有量は完全にゼロであるわけではなく、数ppm(0.000数%)程度の酸素が本実施の形態に係る無酸素銅に含まれることは排除されない。したがって、本実施の形態に係る圧延銅箔は、一例として、0.002重量%以下(すなわち、20ppm以下)の酸素を含んで形成される。なお、圧延銅箔中において酸化物が生成することを抑制すべく、酸素含有量を更に低減させることが好ましい。なお、無酸素銅に不可避的不純物、例えば、硫黄(S)、リン(P)等が固溶することにより無酸素銅の軟化温度は上昇する傾向がある。一方、不可避的不純物(例えば、S、P等)が所定の添加元素と反応して生成した化合物が無酸素銅中に存在すると、当該無酸素銅の軟化温度は低下する。
(第1の添加元素)
本実施の形態に係る第1の添加元素としては、第1の添加元素が銅に固溶することにより銅の結晶格子を歪ませて、製造される圧延銅箔の軟化温度を固溶前の銅の軟化温度より上昇させる元素を用いる。例えば、第1の添加元素としては、銀(Ag)を用いることができる。そして、圧延銅箔中には、銀が固溶していない圧延銅箔の軟化温度より、製造される圧延銅箔の軟化温度が上昇する量の銀が含まれる。例えば、圧延銅箔中に含まれる銀の量は、高い温度条件による熱処理(例えば、350℃×60分間の熱処理)によって製造される圧延銅箔の屈曲疲労寿命特性の低下の抑制を目的として、0.005重量%以上が好ましい。また、圧延銅箔中に含まれる銀の量は、低い温度条件による熱処理(例えば、150℃×60分間の熱処理)によって軟化、すなわち、再結晶が起こらないことにより製造される圧延銅箔の屈曲疲労寿命特性が向上しないことのないように、0.05重量%以下(すなわち、50ppm以上500ppm以下)であることが好ましい。
本実施の形態に係る第1の添加元素としては、第1の添加元素が銅に固溶することにより銅の結晶格子を歪ませて、製造される圧延銅箔の軟化温度を固溶前の銅の軟化温度より上昇させる元素を用いる。例えば、第1の添加元素としては、銀(Ag)を用いることができる。そして、圧延銅箔中には、銀が固溶していない圧延銅箔の軟化温度より、製造される圧延銅箔の軟化温度が上昇する量の銀が含まれる。例えば、圧延銅箔中に含まれる銀の量は、高い温度条件による熱処理(例えば、350℃×60分間の熱処理)によって製造される圧延銅箔の屈曲疲労寿命特性の低下の抑制を目的として、0.005重量%以上が好ましい。また、圧延銅箔中に含まれる銀の量は、低い温度条件による熱処理(例えば、150℃×60分間の熱処理)によって軟化、すなわち、再結晶が起こらないことにより製造される圧延銅箔の屈曲疲労寿命特性が向上しないことのないように、0.05重量%以下(すなわち、50ppm以上500ppm以下)であることが好ましい。
また、第1の添加元素として、銀の代わりに、スズ(Sn)、鉄(Fe)、カドミウム(Cd)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、及びインジウム(In)からなる群から選択される元素を用いることもできる。
(第2の添加元素)
本実施の形態に係る第2の添加元素は、不可避的不純物と反応して化合物を生成することにより、製造される圧延銅箔の軟化温度を低下させる元素を用いる。例えば、第2の添加元素は、ホウ素(B)を用いる。本実施の形態においては、圧延銅箔中に、0.001重量%以上0.09重量%以下(すなわち、10ppm以上900ppm以下)の量のホウ素が含まれることが好ましい。
本実施の形態に係る第2の添加元素は、不可避的不純物と反応して化合物を生成することにより、製造される圧延銅箔の軟化温度を低下させる元素を用いる。例えば、第2の添加元素は、ホウ素(B)を用いる。本実施の形態においては、圧延銅箔中に、0.001重量%以上0.09重量%以下(すなわち、10ppm以上900ppm以下)の量のホウ素が含まれることが好ましい。
なお、ホウ素の添加量の上限を0.09重量%に設定した理由は、本実施の形態に係る圧延銅箔の製造設備において、母材としての銅へのホウ素の固溶量の最大が0.09重量%であることによる。また、ホウ素の添加量の加減を0.001重量%に設定した理由は、実用上の観点から製造される圧延銅箔の軟化温度を適切な温度まで低下させることを目的にするためである。
また、第2の添加元素としては、ホウ素単独の代わりに、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つの元素を用いることができる。この場合、導電率に与える影響を考慮して、圧延銅箔中に、0.001重量%以上0.09重量%以下(すなわち、10ppm以上900ppm以下)、好ましくは0.001重量%以上0.07重量%以下(すなわち、10ppm以上700ppm以下)、より好ましくは0.001重量%以上0.05重量%以下(すなわち、10ppm以上500ppm以下)の量の当該1つの元素が含まれることが好ましい。
更に、第2の添加元素としては、ホウ素単独の代わりに、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される複数の元素又は合金を用いることができる。この場合、圧延銅箔中に、総量で0.001重量%以上0.09重量%以下(すなわち、10ppm以上900ppm以下)の量の当該複数の元素又は合金が含まれることが好ましい。
(第1の添加元素、及び第2の添加元素について発明者が得た知見について)
本実施の形態に係る圧延銅箔は、無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅を母材として形成される。したがって、第1の添加元素(例えば、銀)は、当該母材に固溶することにより、母材の軟化温度を上昇させる機能を有する。一方、第2の添加元素(例えば、ホウ素)は、不可避的不純物、例えば、硫黄(S)、リン(P)等との間で化合物を生成する。ここで、S、P等が母材に固溶すると、母材の軟化温度を上昇させるが、S、P等と第2の添加元素とが化合物を生成することで、S、P等の母材への固溶を抑制できる。これにより、母材の軟化温度が上昇することを抑制できる。すなわち、通常の無酸素銅の軟化温度が高い理由は、不可避的不純物であるS、P等が母材に固溶しているからである。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅を母材として形成される。したがって、第1の添加元素(例えば、銀)は、当該母材に固溶することにより、母材の軟化温度を上昇させる機能を有する。一方、第2の添加元素(例えば、ホウ素)は、不可避的不純物、例えば、硫黄(S)、リン(P)等との間で化合物を生成する。ここで、S、P等が母材に固溶すると、母材の軟化温度を上昇させるが、S、P等と第2の添加元素とが化合物を生成することで、S、P等の母材への固溶を抑制できる。これにより、母材の軟化温度が上昇することを抑制できる。すなわち、通常の無酸素銅の軟化温度が高い理由は、不可避的不純物であるS、P等が母材に固溶しているからである。
本実施の形態に係る圧延銅箔においては、無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅の母材に、軟化温度を上昇させる機能を有する第1の添加元素と、第1の添加元素の機能とは反対の機能、すなわち、軟化温度を低下させる機能を有する第2の添加元素との双方を含有する。第1の添加元素と第2の添加元素との双方を含有すると、一見、第1の添加元素の機能と第2の添加元素の機能とが相殺されるように思われるが、本発明者は、実際には双方の機能が相殺されることなく、相乗的に発揮されることを見出した。
具体的に、第2の添加元素を母材に含ませることにより圧延銅箔の軟化温度を低下させたとしても、第1の添加元素の存在により圧延銅箔の軟化温度が上昇して、結果として軟化温度が低下しないか、又は、第1の添加元素の添加量によっては軟化温度が上昇してしまうと、一見、考えられる。しかしながら、本発明者が得た知見によると、所定の範囲内の量の第1の添加元素と、所定の範囲内の量の第2の添加元素とを共存させると、以下の表1に示すように、第1の添加元素が存在せず、第2の添加元素のみを含有する圧延銅箔(表1の例2)と略同程度の軟化温度特性(すなわち、軟化温度が低下する度合いが略同等であるという特性)を有する圧延銅箔が得られるという知見を得た。なお、表1においては、母材として無酸素銅を、第1の添加元素として銀を、第2の添加元素としてホウ素を用いた場合を示す。
更に、第1の添加元素が存在せず、第2の添加元素のみを含有する圧延銅箔の場合(表1の例2)、当該圧延銅箔を高い温度(例えば、350℃程度の温度)で軟化させると、当該圧延銅箔の屈曲疲労寿命は、当該圧延銅箔を低い温度(例えば、150℃程度)で軟化させた場合に比べて半減する。しかしながら、第1の添加元素と第2の添加元素との双方を含む本実施の形態に係る圧延銅箔の場合、低い温度で軟化するだけではなく、高い温度で軟化させた後における当該圧延銅箔の屈曲疲労寿命は、圧延銅箔を低い温度条件で軟化させた場合に比べて短くなることはなく、良好な屈曲疲労寿命を発揮することを見出した。すなわち、第1の添加元素と第2の添加元素との双方を含む圧延銅箔は、低い温度から高い温度までの広い温度範囲において優れた屈曲疲労寿命を示すという知見を本発明者は得たのである。なお、機能が相反する第1の添加元素と第2の添加元素との双方を含む本実施の形態に係る圧延銅箔がこのような特性を示す理由については明らかではないが、第1の添加元素が母材に固溶する際の生成エネルギーと、第2の添加元素が不可避的不純物との間で化合物を生成する際の生成エネルギーとのバランスが、本実施の形態における添加量の範囲内で最適になっているのではないかと考えている。
以上をまとめると、第2の添加元素を添加せず、第1の添加元素として、例えば、銀のみを銅に添加した場合(一例として、100pm程度の銀を銅に添加した場合)、銀が添加された銅の軟化温度は200℃から210℃程度である。そして、銀が添加された銅に200℃程度の熱処理を施した後の当該銅の屈曲疲労寿命を基準にすると、銀が添加された銅に300℃以上の熱処理を施した後の当該銅の屈曲疲労寿命は悪化する。
また、第1の添加元素を添加せず、第2の添加元素として、例えば、ホウ素のみを銅に添加した場合(一例として、350ppm程度のホウ素を銅に添加した場合)、ホウ素が添加された銅の軟化温度は150℃から160℃程度である。そして、ホウ素が添加された銅に200℃程度の熱処理を施した後の当該銅の屈曲疲労寿命を基準にすると、ホウ素が添加された銅に200℃以上の熱処理を施した後の当該銅の屈曲疲労寿命は悪化する。
しかしながら、本発明者は、第1の添加元素として銀(一例として、150ppm)を、第2の添加元素としてホウ素(一例として、350ppm)を含む本実施の形態に係る圧延銅箔は、軟化温度が150℃から160℃程度であると共に、当該圧延銅箔に150℃程度の熱処理を施した後の当該銅の屈曲疲労寿命を基準にすると、当該圧延銅箔に200℃以上、300℃以上、及び350℃以上の熱処理を施した後の当該銅の屈曲疲労寿命は悪化しないという知見を得た。
なお、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される1つ、又は複数の元素を総量で0.001重量%以上0.09重量%以下(すなわち、10ppm以上900ppm以下)含有すると共に、0.005重量%以上0.05重量%以下(すなわち、50ppm以上500ppm以下)の銀を含有する圧延銅箔についても、同様の相乗効果が確認された。
(X線回折の極点図測定について)
図1は、本発明の実施の形態に係るX線回折の極点図の測定方法の概要を示す。
図1は、本発明の実施の形態に係るX線回折の極点図の測定方法の概要を示す。
具体的に、図1には、X線回折(以下、「XRD」という場合がある)を用いて圧延銅箔の試料1を測定する場合における、入射X線、検出器100、試料1、走査軸(例えばα軸、β軸、θ軸)の関係の概略を示す。図1に示すような測定方法を用いて、圧延銅箔の結晶粒の配向状態に関して評価することができる。なお、図1における3つの走査軸は、θ軸が「試料軸」、α軸が「あおり軸」、β軸が「面内回転軸」と呼ばれる。また、本実施の形態におけるX線回折は、すべてCu Kα線を用いる。
(X線回折の極点図測定方法)
X線回折の極点図測定方法について説明する。極点図測定方法においては、試料1にX線を入射させて(例えば、図1の入射X線を参照)、試料1において回折したX線(例えば、図1の回折X線を参照)を検出器100で検出する。更に、試料1は、α軸、β軸、及びθ軸を中心に回転可能に設置される。
X線回折の極点図測定方法について説明する。極点図測定方法においては、試料1にX線を入射させて(例えば、図1の入射X線を参照)、試料1において回折したX線(例えば、図1の回折X線を参照)を検出器100で検出する。更に、試料1は、α軸、β軸、及びθ軸を中心に回転可能に設置される。
具体的には、まず、所定の試料1(例えば、銅からなる試料)の所定の回折面{hkl}Cuに着目する(ただし、h、k、lはミラー指数)。そして、着目した{hkl}Cu面の2θ値に対して(つまり、検出器100の走査角2θを固定して)、α軸走査をステップで実施しつつ、各α値に対して試料をβ軸走査(すなわち、0°〜360°まで面内回転、つまり、自転させる走査)させる。このような測定方法を、極点図測定という。
極点図測定により、着目した{hkl}Cu面が圧延面の垂直方向から傾いている程度を3次元的に評価することができる。なお、本実施の形態に係るXRD極点図測定においては、試料面1aに垂直な方向をα=90°と定義して、測定の基準にする。また、極点図測定には、反射法(α=15°〜90°)と透過法(α=0°〜15°)とがあるが、本実施の形態における極点図測定は、反射法(α=15°〜90°)による測定である。
極点図測定により、着目した{hkl}Cu面が圧延面の垂直方向から傾いている程度を3次元的に評価することができる。なお、本実施の形態に係るXRD極点図測定においては、試料面1aに垂直な方向をα=90°と定義して、測定の基準にする。また、極点図測定には、反射法(α=15°〜90°)と透過法(α=0°〜15°)とがあるが、本実施の形態における極点図測定は、反射法(α=15°〜90°)による測定である。
図2は、X線回折の極点図測定法で得られるα軸の走査角と各α値に対して試料をβ軸走査して得られる平均回折強度との関係の一例を示す。
本実施の形態において、圧延銅箔の圧延面を基準にした銅結晶の{022}Cu面のXRD極点図測定におけるα=90°のβ平均強度[a]とα=30°のβ平均強度[b]との比は、最終冷間圧延工程後の再結晶焼鈍前の圧延銅箔の圧延面における{022}Cu面の3次元的な配向状態を示す指標になる。また、α=90°でのβ平均強度[a]は、後述の2θ/θ測定と同様の原理で回折が得られる。
一方、α=30°でのβ平均強度[b]は、α=90°の場合に対して試料1を60°傾けている状態で生じた回折ピークの強度である。α=30°の状態で回折が生じるということは、α=90°の場合の{022}Cu面に対して幾何学的に60°の位置に{022}Cu面が存在する、すなわち、当該{022}Cu面を圧延面に有するCu結晶は、3次元的に配向していることを示す。したがって、図2に示すようにβ平均強度[a]とβ平均強度[b]とを測定して算出できる[a]/[b]の値が大きいほど、当該結晶の{022}Cu面の3次元的な配向性が強いことになる。
このように{022}Cu面の配向性をX線回折の極点図測定法で得られる情報で制御することは、X線回折の2θ/θ測定法で得られる情報で制御する場合と比して大きく相違する。すなわち、本実施の形態に係る{022}Cu面の規定範囲は、X線回折の2θ/θ測定法で得られる情報で規定した場合と全く異なる。以下、詳細に説明する。
(2θ/θ測定法)
まず、X線回折の2θ/θ測定法の原理について説明する。入射X線に対して、試料1と検出器100とをθ軸で走査して、試料1の走査角をθ、検出器100の走査角を2θで走査する測定方法を2θ/θ測定という。なお、試料1を固定して、入射X線と検出器100とをθ軸で走査する場合もある(これは、装置の構成による)。2θ/θ測定により、多結晶体である圧延銅箔の試料面1a(すなわち、本実施の形態では圧延面)において、いずれの結晶面が主として存在しているのか(以下、「結晶面の優勢さ」という場合がある)を評価できる。しかし、結晶面の優勢さの指標は回折ピークの強度比であることから、{022}Cu面が圧延面に主として存在しているか否かを判断できるものの、圧延面における{022}Cu面の占有率(すなわち、占有率の絶対値)に関する情報は得られない。更に、X線回折の2θ/θ測定では、1軸的な配向性の情報は得られるものの、3次元的な配向性についての情報は得られない(すなわち、面内配向性の情報は得られない)。つまり、2θ/θ測定では{022}Cu面の定性的な情報のみ得られる。2θ/θ測定法により得られる定性的な情報に基づいて{022}Cu面を規定したとしても、少なくとも3次元的な配向性については制御できず、圧延銅箔の屈曲疲労寿命の向上に資するものでは必ずしもない。
まず、X線回折の2θ/θ測定法の原理について説明する。入射X線に対して、試料1と検出器100とをθ軸で走査して、試料1の走査角をθ、検出器100の走査角を2θで走査する測定方法を2θ/θ測定という。なお、試料1を固定して、入射X線と検出器100とをθ軸で走査する場合もある(これは、装置の構成による)。2θ/θ測定により、多結晶体である圧延銅箔の試料面1a(すなわち、本実施の形態では圧延面)において、いずれの結晶面が主として存在しているのか(以下、「結晶面の優勢さ」という場合がある)を評価できる。しかし、結晶面の優勢さの指標は回折ピークの強度比であることから、{022}Cu面が圧延面に主として存在しているか否かを判断できるものの、圧延面における{022}Cu面の占有率(すなわち、占有率の絶対値)に関する情報は得られない。更に、X線回折の2θ/θ測定では、1軸的な配向性の情報は得られるものの、3次元的な配向性についての情報は得られない(すなわち、面内配向性の情報は得られない)。つまり、2θ/θ測定では{022}Cu面の定性的な情報のみ得られる。2θ/θ測定法により得られる定性的な情報に基づいて{022}Cu面を規定したとしても、少なくとも3次元的な配向性については制御できず、圧延銅箔の屈曲疲労寿命の向上に資するものでは必ずしもない。
(極点図測定法)
一方、X線回折の極点図測定法で得られる情報に基づくと、本実施の形態においては{022}Cu面について、3次元的な配向性について定量的に制御でき、圧延銅箔の屈曲疲労寿命の向上に資することができる。具体的に本実施の形態に係る圧延銅箔は、圧延面を基準にしたX線回折を用いた極点図測定により得られる結果において、極点図測定のα=90°におけるβ走査による銅結晶の{022}Cu面回折ピークの平均強度[a]とα=30°におけるβ走査による{022}Cu面回折ピークの平均強度[b]との比[a]/[b]が、[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有して形成される。すなわち、本実施の形態においては、圧延銅箔の軟化前における結晶方位の状態を、極点図測定のα=90°におけるβ走査による銅結晶の{022}Cu面回折ピークの平均強度[a]とα=30°におけるβ走査による{022}Cu面回折ピークの平均強度[b]との比[a]/[b]が3以上を満たす状態にすることにより、3次元的な配向性の強い圧延銅箔を得ることができる。
一方、X線回折の極点図測定法で得られる情報に基づくと、本実施の形態においては{022}Cu面について、3次元的な配向性について定量的に制御でき、圧延銅箔の屈曲疲労寿命の向上に資することができる。具体的に本実施の形態に係る圧延銅箔は、圧延面を基準にしたX線回折を用いた極点図測定により得られる結果において、極点図測定のα=90°におけるβ走査による銅結晶の{022}Cu面回折ピークの平均強度[a]とα=30°におけるβ走査による{022}Cu面回折ピークの平均強度[b]との比[a]/[b]が、[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有して形成される。すなわち、本実施の形態においては、圧延銅箔の軟化前における結晶方位の状態を、極点図測定のα=90°におけるβ走査による銅結晶の{022}Cu面回折ピークの平均強度[a]とα=30°におけるβ走査による{022}Cu面回折ピークの平均強度[b]との比[a]/[b]が3以上を満たす状態にすることにより、3次元的な配向性の強い圧延銅箔を得ることができる。
(圧延銅箔の製造方法)
図3は、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔の製造の流れの一例を示す。
図3は、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔の製造の流れの一例を示す。
まず、原材料として、銅合金材の鋳塊を準備する(鋳塊準備工程:ステップ10、以下、ステップを「S」とする)。例えば、酸素含有量が2ppm以下の無酸素銅(例えば、JIS H3100、JIS C1020等)を母材として、所定量の第1の添加元素と、所定量の第2の添加元素とを含む銅合金材のインゴット(すなわち、鋳塊)を準備する。
次に、インゴットに熱間圧延を施して板材を製造する(熱間圧延工程:S20)。熱間圧延工程に続き、板材に冷間圧延を施す工程(冷間圧延工程:S32)と、冷間圧延された板材に焼鈍処理を施す工程(中間焼鈍工程:S34)とを所定回数、繰り返し実施する(S30)。なお、中間焼鈍工程は、冷間圧延が施された板材の加工硬化を緩和する工程である。これにより、「生地」と称される銅条(以下、「最終冷間圧延工程前の銅条」という場合がある)が製造される。
続いて、当該銅条に所定の焼鈍処理を施す(生地焼鈍工程:S40)。生地焼鈍工程は、生地焼鈍工程を経る前の各工程に起因する加工歪を十分に緩和することのできる熱処理、例えば、略完全焼鈍処理を実施することが好ましい。続いて、焼鈍処理を施した「生地」(以下、「焼鈍生地」と称する)に対して冷間圧延を施す(最終冷間圧延工程(仕上げ圧延工程という場合もある):S50)。これにより、本実施の形態に係る所定の厚さを有する圧延銅箔が製造される。
なお、続いて、本実施の形態に係る圧延銅箔を、FPCの製造工程に投入することができる。この場合、まず、最終冷間圧延工程を経た圧延銅箔に対して、表面処理等を施す(表面処理等工程:S60)。次に、表面処理等が施された圧延銅箔は、FPCの製造工程に供給される(FPC製造工程:S70)。FPC製造工程を経ることにより、本実施の形態に係る圧延銅箔に表面処理等が施された圧延銅箔を備えるFPCを製造することができる。
FPC製造工程について概略を説明する。FPC製造工程は、例えば、FPC用の銅箔と、ポリイミド等の樹脂からなるベースフィルム(基材)とを貼り合わせてCopper Claded Laminate(CCL)を形成する工程(CCL工程)と、CCLにエッチング等の手法により回路配線を形成する工程(配線形成工程)と、回路配線上に配線を保護することを目的として、表面処理を施す工程(表面処理工程)とを含む。CCL工程は、接着剤を介して銅箔と基材とを積層した後、熱処理により接着剤を硬化して密着させて積層構造体(3層CCL)を形成する方法と、接着剤を介さずに表面処理が施された銅箔を基材に直接張り合わせた後、加熱・加圧により一体化して積層構造体(2層CCL)を形成する方法との2種類の方法を用いることができる。
ここで、FPC製造工程においては、製造の容易性の観点から冷間圧延加工が施された銅箔(すなわち、加工硬化した硬質な状態の銅箔)を用いることがある。これは、焼鈍されることにより軟化した銅箔は、当該銅箔を裁断した場合、又は基材に積層させた場合に変形(例えば、伸び、しわ、折れ等の変形)しやすく、製品不良が発生する場合があるからである。
一方、銅箔の屈曲疲労寿命特性は、銅箔に再結晶焼鈍を施すと、銅箔に圧延加工を施した場合よりも著しく向上する。そこで、上述のCCL工程における基材と銅箔とを密着・一体化させる熱処理においては、銅箔の再結晶焼鈍を兼ねる製造方法を採用することが好ましい。なお、再結晶焼鈍の熱処理条件は、CCL工程の内容に応じて変化させることができるものの、一例として、150℃以上350℃以下の温度で、1分間以上120分間以下の時間の熱処理を実施する。また、再結晶焼鈍は、CCL工程において実施される熱処理ではなく、別工程にて実施することもできる。斯かる温度条件の範囲内の熱処理により、再結晶組織を有する銅箔を製造できる。ここで、FPCにおいては、ポリイミド等の樹脂からなるベースフィルムの屈曲疲労寿命が銅箔の屈曲疲労寿命に比較して著しく長い。したがって、FPC全体の屈曲疲労寿命は、銅箔の屈曲疲労寿命に大きく依存することになる。
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、銅への第1の添加元素の固溶により圧延銅箔の軟化温度が向上すると共に、第2の添加元素と不可避的不純物との反応により生成する化合物が圧延銅箔の軟化温度を低下させるので、例えば、150℃程度(すなわち、タフピッチ銅の軟化温度と同程度の温度)の低温から350℃程度の高温(例えば、第1の添加元素のみを添加して軟化温度を上昇させた「第1の添加元素含有の無酸素銅」の軟化温度と同程度の温度)までの広い温度範囲において優れた屈曲疲労寿命特性を発揮することができる。これにより、本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、CCL工程における様々な条件の熱処理に対応することができる。
本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、銅への第1の添加元素の固溶により圧延銅箔の軟化温度が向上すると共に、第2の添加元素と不可避的不純物との反応により生成する化合物が圧延銅箔の軟化温度を低下させるので、例えば、150℃程度(すなわち、タフピッチ銅の軟化温度と同程度の温度)の低温から350℃程度の高温(例えば、第1の添加元素のみを添加して軟化温度を上昇させた「第1の添加元素含有の無酸素銅」の軟化温度と同程度の温度)までの広い温度範囲において優れた屈曲疲労寿命特性を発揮することができる。これにより、本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、CCL工程における様々な条件の熱処理に対応することができる。
また、本実施の形態に係る圧延銅箔は、上記のとおり優れた屈曲疲労寿命特性を発揮することができるので、当該圧延銅箔を用いてフレキシブルプリント配線板、その他の導電部材の可撓性配線に適用することができる。更に、本実施の形態に係る圧延銅箔は、無荷重における耐振動性や、固定されていない状態における耐振動性等と屈曲疲労寿命特性との間である程度の相関性があると考えられている特性が要求される導電部材に適用することもできる。
実施の形態に基づいて製造した実施例1〜6に係る圧延銅箔と、比較例1〜6に係る圧延銅箔とについて説明する
実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔はそれぞれ、無酸素銅中の酸素濃度、
添加したAgの量、及び添加したBの量がそれぞれ異なる点を除き、すべて同様の工程を経て製造した。表2には、各圧延銅箔の組成を示す。なお、表2において、実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔のAg、B、Oの量は分析値である。なお、実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔において、Bは、母材としてのCuに対する固溶量が最大で0.09重量%(すなわち、900ppm)であった。
添加したAgの量、及び添加したBの量がそれぞれ異なる点を除き、すべて同様の工程を経て製造した。表2には、各圧延銅箔の組成を示す。なお、表2において、実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔のAg、B、Oの量は分析値である。なお、実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔において、Bは、母材としてのCuに対する固溶量が最大で0.09重量%(すなわち、900ppm)であった。
(圧延銅箔の製造)
以下、実施例1に係る圧延銅箔の製造方法を代表例として説明する。まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、所定量のAg(すなわち、実施例1において490ppmの量のAg)及びB(すなわち、実施例1において900ppmの量のB)をそれぞれ添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊を製造した(鋳塊準備工程)。次に、実施の形態に係る圧延銅箔の製造方法にしたがって、鋳塊に熱間圧延を施して10mmの板材を製造した(熱間圧延工程)。続いて、板材に冷間圧延(冷間圧延工程)及び焼鈍処理(中間焼鈍工程)を繰り返して「生地」を製造した。そして、「生地」に焼鈍処理を施した(生地焼鈍工程)。なお、生地焼鈍工程における焼鈍処理は、実施例1〜6、及び比較例1〜6のいずれも、約650℃の温度で約1分間保持することにより実施した。
以下、実施例1に係る圧延銅箔の製造方法を代表例として説明する。まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、所定量のAg(すなわち、実施例1において490ppmの量のAg)及びB(すなわち、実施例1において900ppmの量のB)をそれぞれ添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊を製造した(鋳塊準備工程)。次に、実施の形態に係る圧延銅箔の製造方法にしたがって、鋳塊に熱間圧延を施して10mmの板材を製造した(熱間圧延工程)。続いて、板材に冷間圧延(冷間圧延工程)及び焼鈍処理(中間焼鈍工程)を繰り返して「生地」を製造した。そして、「生地」に焼鈍処理を施した(生地焼鈍工程)。なお、生地焼鈍工程における焼鈍処理は、実施例1〜6、及び比較例1〜6のいずれも、約650℃の温度で約1分間保持することにより実施した。
次に、生地焼鈍工程を経た焼鈍生地に冷間圧延を施した(最終冷間圧延工程)。これにより、厚さが0.012mmの実施例1に係る圧延銅箔を作製した。実施例2〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔の製造方法も実施例1と同様である。
なお、最終冷間圧延工程後の{022}Cu面の状態を[a]/[b]≧3にするためには、最終冷間圧延工程において、各圧延パス(すなわち、1パス毎の圧延)において、前方張力、圧延速度(すなわち、圧延ロールの回転速度)、圧延ロール径等の条件の組合せを調整して制御した。具体的には、まず、[張力の成分+圧縮の力成分=2×せん断降伏応力](本式の詳細は、塑性加工技術シリーズ7「板圧延」日本塑性加工学会編、コロナ社、p.27、式(3.3)を参照)の関係において「張力成分」を「圧縮成分」より大きくした。更に、圧延速度とロール径との条件のバランス、すなわち、圧延時のロールと材料とが接触する接触面における中立点の位置を、接触面の圧延方向において接触面の2分の1の位置より前方方向(すなわち、進行方向)に位置するように、1パス毎に制御しながら圧延した。なお、中立点についての詳細は、塑性加工技術シリーズ7「板圧延」日本塑性加工学会編、コロナ社、p.14、p.28を参照した。これにより、最終冷間圧延工程後の{022}Cu面の状態を[a]/[b]≧3にした。
(XRD測定によるX線極点図の測定)
最終冷間圧延工程後であって再結晶焼鈍前における圧延銅箔のXRD評価は、株式会社リガク製のX線回折装置(型式:Ultima−IV)を用いて次のように実施した。なお、対陰極(ターゲット)にはCuを用い、管電圧、及び管電流はそれぞれ40kV、40mAに設定した。また、XRD測定に用いる試料の大きさは、約30mm×約30mmにした。
最終冷間圧延工程後であって再結晶焼鈍前における圧延銅箔のXRD評価は、株式会社リガク製のX線回折装置(型式:Ultima−IV)を用いて次のように実施した。なお、対陰極(ターゲット)にはCuを用い、管電圧、及び管電流はそれぞれ40kV、40mAに設定した。また、XRD測定に用いる試料の大きさは、約30mm×約30mmにした。
極点図測定の条件は、シュルツ反射法を用い、α=16°〜90°(なお、圧延面に垂直方向がα=90°である)の範囲でβ角度を0°〜360°まで走査(自転)しながら、{022}Cu面の回折強度を測定した(なお、2θの値は略74.15°であり、2θ値は試料毎に予備測定した結果を用いた)。
図4Aから図4Fは、実施例1〜6に係る最終冷間圧延工程後の圧延銅箔それぞれの{022}Cu面のX線回折の極点図測定の結果を示す。具体的に、図4Aは実施例1、図4Bは実施例2、図4Cは実施例3、図4Dは実施例4、図4Eは実施例5、図4Fは実施例6に係る圧延銅箔の極点図測定の結果から得られるα軸の走査角と各α値に対して試料をβ軸走査して得られる平均回折強度との関係を示す。
後述する表3にも示すが、実施例1に係る圧延銅箔から実施例6に係る圧延銅箔のいずれにおいても、[a]/[b]の値は3以上であった。
図5Aから図5Fは、比較例1〜6に係る最終冷間圧延工程後の圧延銅箔それぞれの{022}Cu面のX線回折の極点図測定の結果を示す。具体的に、図5Aは比較例1、図5Bは比較例2、図5Cは比較例3、図5Dは比較例4、図5Eは比較例5、図5Fは比較例6に係る圧延銅箔の極点図測定の結果から得られるα軸の走査角と各α値に対して試料をβ軸走査して得られる平均回折強度との関係を示す。
後述する表3にも示すが、比較例1に係る圧延銅箔から比較例4に係る圧延銅箔の[a]/[b]の値は3以上であった。一方、比較例5に係る圧延銅箔及び比較例6に係る圧延銅箔の[a]/[b]の値は3未満であった。
(屈曲疲労寿命試験)
図6は、屈曲疲労寿命試験(摺動屈曲試験)の試験方法の概要を示す図である。
図6は、屈曲疲労寿命試験(摺動屈曲試験)の試験方法の概要を示す図である。
屈曲疲労寿命試験は、信越エンジニアリング株式会社製の摺動屈曲試験装置(型式:SEK−31B2S)を用い、IPC規格に準拠して実施した。摺動屈曲試験装置2は、圧延銅箔10を保持する試料固定板20と、圧延銅箔10を試料固定板20に固定するネジ20aと、圧延銅箔10に接触して圧延銅箔10に振動を伝達する振動伝達部30と、振動伝達部30を上下方向に振動させる発振駆動体40とを備える。
具体的に、実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔(なお、厚さ0.012mm、すなわち12μm)のそれぞれから、幅12.7mm、長さ220mmの試験片を作製した後、当該試験片に150℃、60分間の再結晶焼鈍を施した。その後、屈曲疲労寿命試験を実施した。また、実施例1〜6、及び比較例1〜6に係る圧延銅箔(なお、厚さ0.012mm、すなわち12μm)のそれぞれから、幅12.7mm、長さ220mmの試験片を作製した後、当該試験片に350℃、60分間の再結晶焼鈍を施した。その後、同様にして、屈曲疲労寿命試験を実施した。
屈曲疲労寿命試験の試験条件は、圧延銅箔の曲率Rが1.5mm、振動伝達部30の振幅ストロークが10mm、発振駆動体40の周波数が25Hz(すなわち、振幅速度が1500回/分)である。また、試験片の長さ220mmの方向、すなわち、圧延銅箔10の長手方向は圧延方向になるようにした。測定は各試料について5回ずつ実施して、5回の実施結果の平均値を比較した。その結果を表3に示す。
表3を参照すると、実施例1〜6ではいずれも、低い温度条件の150℃×60分と高い温度条件350℃×60分との双方の条件において、1.8×106回〜2.2×106回の優れた屈曲疲労寿命回数が得られ、低い温度条件から高い温度条件までの広い範囲に対応している圧延銅箔であることが示された。
一方、比較例1に係る圧延銅箔では、Bの量は900ppmであり、Oの量は8ppmであるが、Agは0.05重量%(すなわち、500ppm)を超える700ppmであり、Cuに対してAgが過剰に含有されている。したがって、比較例1に係る圧延銅箔においては、低い温度条件(すなわち、150℃×60分)では軟化せず、軟化による(すなわち、再結晶による)屈曲疲労寿命回数の向上が観察されなかった。すなわち、比較例1に係る圧延銅箔の屈曲疲労寿命回数は0.2×106回と低い性能であった。ただし、比較例1に係る圧延銅箔は、高い温度(すなわち、350℃×60分)では軟化が発生した(すなわち、適正な再結晶が発生した)。その結果、高い温度での処理を施した比較例1に係る圧延銅箔においては、屈曲疲労寿命開数が2.1×106回という結果であった。
また、比較例2に係る圧延銅箔では、Bの量は900ppmであり、Oの量は17ppmであった。そして、比較例2に係る圧延銅箔は、Bを添加した効果により、軟化温度が下がり150℃×60分で軟化が発生して良好な屈曲疲労寿命特性が得られた。しかしながら、Agは0.005重量%(すなわち、50ppm)未満の30ppmであり、Cuに対してAgの量が過小である。これにより、比較例2に係る圧延銅箔においては、高い温度条件350℃×60分ではAgの効果が小さく、屈曲疲労寿命回数が150℃×60分の場合に比較して半減した。
次に、比較例3に係る圧延銅箔では、Oの量は3ppmであるが、Bの量は6ppmであり、Agの量は710ppmである。比較例3に係る圧延銅箔に150℃×60分の熱処理を施すと、Bの量が実施例に係る圧延銅箔のいずれよりも少なく、かつ、Agの量が実施例に係る圧延銅箔のいずれよりも多いので、軟化温度を低下させるBの効果が発揮されておらず、軟化温度を上昇させるAgの効果だけが過剰に発生した。その結果、圧延銅箔の軟化(すなわち、再結晶化)が発生せず、比較例3に係る圧延銅箔の屈曲疲労寿命特性は良好ではなかった。ただし、高い温度条件350℃×60分の熱処理を施した比較例3に係る圧延銅箔においては、Agの効果により適正な軟化(すなわち、再結晶化)が発生したことにより、良好な屈曲疲労寿命特性が得られた。
次に、比較例4に係る圧延銅箔では、Oの量は5ppmであるが、Bの量が7ppmであり、Agの量が30ppmと過少である。比較例4に係る圧延銅箔に150℃×60分の熱処理を施すと、軟化温度を上昇させる機能を有するAgの量が少ないので、比較例3に係る圧延銅箔よりは軟化を発生させる点では有利である。しかしながら、比較例4に係る圧延銅箔のBの量が過少であることから、比較例4においては、無酸素銅の軟化特性に近い軟化特性が現れたと考えられる。つまり、低い温度条件150℃×60分では、軟化現象が発生せず、高い温度条件350℃×60分では、Agの量が少ないことに起因して、実施例1〜6に係る圧延銅箔と比較して屈曲疲労寿命特性が低下した。なお、350℃では完全な軟化(すなわち、再結晶化)は発生するものの、適正温度より高く、適切ではない。すなわち、150℃より高く、350℃より低い温度範囲内では、比較例4に係る圧延銅箔においても適正値が存在しており、良好な屈曲疲労寿命特性を発揮するものの、150℃及び350℃における屈曲疲労寿命特性は、適正範囲の最小値以下、最大値以上になっていた。
次に、比較例5に係る圧延銅箔では、Bの量は370ppmであり、Oの量は2ppmであり、Agの量は190ppmであった。ここで、比較例5に係る圧延銅箔においては、低い温度条件(150℃×60分の条件)での熱処理を施した後の屈曲疲労寿命特性に対して、高い温度条件(350℃×60分の条件)での熱処理を施した後の屈曲疲労寿命特性は低下しなかった。一方、最終圧延工程後におけるX線回折の極点図測定から算出される[a]/[b]の値が2.6であり3より小さかった。したがって、屈曲疲労寿命特性(すなわち、屈曲疲労寿命回数の絶対値)は、実施例1〜6の60%〜70%程度であった。
次に、比較例6に係る圧延銅箔では、Bの量は250ppmであり、Oの量は8ppmであり、Agの量は300ppmであった。ここで、比較例6に係る圧延銅箔においては、低い温度条件(150℃×60分の条件)での熱処理を施した後の屈曲疲労寿命特性に対して、高い温度条件(350℃×60分の条件)での熱処理を施した後の屈曲疲労寿命特性は低下しなかった。一方、最終圧延工程後におけるX線回折の極点図測定から算出される[a]/[b]の値が2.2であり3より小さかった。比較例6における[a]/[b]の値は比較例5のおける[a]/[b]の値よりも更に小さいことが示された。したがって、屈曲疲労寿命特性(すなわち、屈曲疲労寿命回数の絶対値)は、比較例5より更に小さく、実施例1〜6の40%前後(具体的には、36%〜44%程度)であった。
(実施例の変形例1)
実施例1〜6の変形例1に係る圧延銅箔はそれぞれ、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、又はカルシウム(Ca)をBの代わりに無酸素銅に添加して製造した。添加量は、0.001重量%以上0.09重量%以下である。例えば、実施例の変形例1に係るある圧延銅箔は、Bの代わりにTiを0.003重量%添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
実施例1〜6の変形例1に係る圧延銅箔はそれぞれ、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、又はカルシウム(Ca)をBの代わりに無酸素銅に添加して製造した。添加量は、0.001重量%以上0.09重量%以下である。例えば、実施例の変形例1に係るある圧延銅箔は、Bの代わりにTiを0.003重量%添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
(実施例の変形例2)
実施例1〜6の変形例2に係る圧延銅箔はそれぞれ、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される複数の元素をBの代わりに無酸素銅に添加して製造した。添加量は、0.001重量%以上0.09重量%以下である。例えば、実施例の変形例2に係るある圧延銅箔は、Bの代わりに0.01重量%のNiと、0.002重量%のTiとを添加した。また、実施例の変形例2に係る他のある圧延銅箔は、Bの代わりに0.005重量%のBと、0.005重量%のMnを添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
実施例1〜6の変形例2に係る圧延銅箔はそれぞれ、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される複数の元素をBの代わりに無酸素銅に添加して製造した。添加量は、0.001重量%以上0.09重量%以下である。例えば、実施例の変形例2に係るある圧延銅箔は、Bの代わりに0.01重量%のNiと、0.002重量%のTiとを添加した。また、実施例の変形例2に係る他のある圧延銅箔は、Bの代わりに0.005重量%のBと、0.005重量%のMnを添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 試料
1a 試料面
2 摺動屈曲試験装置
10 圧延銅箔
20 試料固定版
20a ねじ
30 振動伝達部
40 発振駆動体
100 検出器
1a 試料面
2 摺動屈曲試験装置
10 圧延銅箔
20 試料固定版
20a ねじ
30 振動伝達部
40 発振駆動体
100 検出器
Claims (7)
- 銅に固溶する第1の添加元素である銀(Ag)と、
前記第1の添加元素とは異なる第2の添加元素と、
残部が銅(Cu)及び不可避的不純物とからなる圧延銅箔であって、
前記銀を0.005重量%以上0.05重量%以下含み、かつ、
前記第2の添加元素は、前記不可避的不純物との間で化合物を形成する元素であることを特徴とする圧延銅箔。 - 0.002重量%以下の酸素を更に含む請求項1に記載の圧延銅箔。
- 前記第2の添加元素は、0.001重量%以上0.09重量%以下のホウ素(B)である請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
- 前記第2の添加元素は、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)から1つ選択される元素であり、0.001重量%以上0.09重量%以下含まれる請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
- 前記第2の添加元素は、ホウ素(B)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びカルシウム(Ca)から選択される複数の元素であり、総量で0.001重量%以上0.09重量%以下含まれる請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
- 圧延面を基準にしたX線回折を用いた極点図測定により得られる結果において、前記極点図測定のα=90°におけるβ走査による銅結晶の{022}Cu 面回折ピークの平均強度[a]とα=30°におけるβ走査による前記{022}Cu 面回折ピークの平均強度[b]との比[a]/[b]が、[a]/[b]≧3である結晶粒配向状態を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧延銅箔。
- 20μm以下の厚さを有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧延銅箔。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011226604A JP2012052238A (ja) | 2011-10-14 | 2011-10-14 | 圧延銅箔 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001152267A (ja) * | 1999-11-18 | 2001-06-05 | Kobe Steel Ltd | 銅合金圧延箔 |
-
2011
- 2011-10-14 JP JP2011226604A patent/JP2012052238A/ja active Pending
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