JP2012051866A - フェナシルブロマイド誘導体の製造方法 - Google Patents

フェナシルブロマイド誘導体の製造方法 Download PDF

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Shigeya Yamazaki
茂弥 山▲崎▼
Masafumi Maruo
政文 丸尾
Takeshi Hosoya
健 細谷
Taichi Yoshikawa
太一 吉川
Toshihiko Akiyama
敏彦 秋山
Akio Kayano
明生 栢野
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Abstract

【課題】本発明は、優れたトロンビン受容体拮抗剤である2−イソインドール誘導体の合成中間体として有用なフェナシルブロマイド誘導体(II)の工業的製造方法を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物を、トリブロミド化合物と反応させて、式(II)で表される化合物を得る工程を含む、式(II)で表される化合物の製造方法。
Figure 2012051866

【選択図】なし

Description

本発明は、フェナシルブロマイド誘導体の製造方法に関する。より詳細には、優れたトロンビン受容体拮抗剤である2−イソインドール誘導体の合成中間体として有用なフェナシルブロマイド誘導体の工業的製造方法に関する。
最近、トロンビン受容体に拮抗作用を有する化合物が、トロンビンが関与する疾患の治療や予防において優れた作用効果を発揮するものと期待されており、例えば血栓症、血管再狭窄、深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞、心疾患、播種性血管内血液凝固症候群、高血圧、炎症性疾患、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗鬆症、神経疾患、悪性腫瘍、等の治療や予防に有効であると期待することができる。そのため、薬理活性、トロンビン受容体に対する受容体特異性、安全性、投与量、経口有用性、等の点を満足させるトロンビン受容体拮抗剤の提供が待望されている。
このような状況下において、特許文献1には、優れたトロンビン受容体阻害活性を有するトロンビン受容体拮抗剤として2−イミノピロリジン誘導体およびその塩が開示されている。2−イミノピロリジン誘導体およびその塩のうち、式(A−1)で表される1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノ−フェニル)−2−(5,6−ジエトキシ−7−フルオロ−1−イミノ−1,3−ジヒドロ−2−イソインドール−2−イル)−エタノンまたはその塩の製造方法として、式(A−2)で表される化合物と、式(II)で表される化合物とを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒中でカップリングさせる方法が記載されている。
Figure 2012051866
さらに、特許文献1には、式(II)で表される化合物の製造方法として、2−tert−ブチルフェノールから、式(I)で表される化合物を経由して合成する方法が開示されている(実施例7)。しかし、この方法には、反応工程中でニトロ化合物を使用するため安全性確保のための操作が必要になる、2−ブロモエチルエーテルなどの高価な試薬を必要とする、化合物(I)をブロモ化し化合物(II)を得る工程の収率が35%と低く、通し収率が低い等の課題があった。
Figure 2012051866
一方、特許文献2には、式(II)で表される化合物またはその塩の製造方法として、式(A−3)を経由する製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、製造工程中に、毒性があるヨウ化メチルなどを使用し、また、合成ルート中の複数の中間体として、不安定なジメチルケタール体化合物を含むなど、工業的な生産上の課題があった。
Figure 2012051866
国際公開第02/085855号パンフレット 国際公開第04/078721号パンフレット
優れたトロンビン受容体阻害剤として有用である式(A−1)で表される化合物を、工業的に安価に提供するためには、その合成中間体として有用である式(II)で表される化合物を、より工業的に優れた方法で安価に製造することが必要である。かかる事情に鑑み、本発明の目的は、優れたトロンビン受容体拮抗剤である2−イソインドール誘導体の工業的製造のため、その合成中間体であるフェナシルブロマイド誘導体(II)をより優れた製造方法で提供することにある。
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、式(I)で表される化合物をトリブロミド化合物を用いて臭素化することにより、効率的にフェナシルブロマイド誘導体を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
Figure 2012051866
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]を提供する。
[1] 式(I)
Figure 2012051866
で表される化合物を、トリブロミド化合物と反応させて、式(II)
Figure 2012051866
で表される化合物を得る工程(A−1)を含む、式(II)で表される化合物の製造方法;
[2] 工程(A−1)のトリブロミド化合物がフェニルトリメチルアンモニウム トリブロミドである、[1]に記載の製造方法;
[3] 式(III)
Figure 2012051866
で表される化合物を、ジメチルケタール化試薬と反応させて、式(IV)
Figure 2012051866
で表される化合物を得る工程(B−1)、
式(IV)で表される化合物を、モルホリンと反応させて、式(V)
Figure 2012051866
で表される化合物を得る工程(B−2)、および
式(V)で表される化合物を、酸と反応させて、式(I)
Figure 2012051866
で表される化合物を得る工程(B−3)
をさらに含む、[1]または[2]に記載の製造方法;
[4] 工程(B−1)のジメチルケタール化試薬がオルトぎ酸メチルである、[3]に記載の製造方法
[5] 工程(B−2)の反応をパラジウム触媒存在下で行う、[3]または[4]に記載の製造方法;
[6] 工程(B−3)の酸が臭化水素酸である、[3]〜[5]のいずれか一項に記載の製造方法;
[7] 式(VI)
Figure 2012051866
で表される化合物を、臭素化試薬と反応させて、式(VII)
Figure 2012051866
で表される化合物を得る工程(C−1)、および
式(VII)で表される化合物を、メチル化試薬と反応させて、式(III)
Figure 2012051866
で表される化合物を得る工程(C−2)
をさらに含む、[3]〜[6]いずれか一項に記載の製造方法;
[8] 工程(C−1)の臭素化試薬が1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインである、[7]に記載の製造方法;および
[9] 工程(C−2)のメチル化試薬がジメチル硫酸である、[7]または[8]に記載の製造方法。
本発明の方法によれば、フェナシルブロマイド誘導体(II)の製造工程中、毒性があるヨウ化メチルの使用も回避できる。また、式(I)で表される化合物をトリブロミド化合物で臭素化することにより、臭素化反応を高収率で行なうことができる。また、製造工程中で単離精製する不安定な中間体の数を減らしたフェナシルブロマイド誘導体(II)の製造が可能になる。これにより、従来法よりも工業的規模において効率的で安価なフェナシルブロマイド誘導体(II)の製造方法が提供でき、また同時に、優れたトロンビン受容体拮抗剤である2−イソインドール誘導体(A−1)の有用な工業的製造方法を提供できる。
実施例5で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 比較例1で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。 製造例2で得られた結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
以下に、本明細書において記載する記号、用語等の定義、本発明の実施の形態等を示して、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書中においては、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがあるが、本発明には化合物の構造上生じ得るすべての幾何異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体等の異性体および異性体混合物を含み、便宜上の式の記載に限定されるものではなく、いずれか一方の異性体でも混合物でもよい。また、結晶多形が存在することもあるが同様に限定されず、いずれかの単一の結晶形であっても二以上の結晶形からなる混合物であってもよい。そして、本発明に係る化合物には、化合物の塩、無水物、水和物、溶媒和物等も包含される。
本明細書において使用する「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
本明細書において使用する「塩」とは、一価のカウンターイオンまたは二価のカウンターイオンを形成できる化合物または原子との塩を意味する。具体的には、以下のものに限定されないが、無機酸(たとえば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等)との塩、有機酸(たとえば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、またはトリフルオロ酢酸等)との塩、または、無機塩基との塩(たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩等)、有機塩基との塩(たとえば、メチルアミン塩、エチルアミン塩、t−ブチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン塩、リジン塩、ピペリジンまたはモルホリン等との塩)を意味する。モノ−およびビス−塩は用語「塩」に含まれる。そして、本発明に係る化合物の塩にはその塩の無水物と水和物等のその塩の溶媒和物とが包含される。
[工程A]
Figure 2012051866
本発明に係る式(II)で表される化合物の製造方法は、式(I)で表される化合物を、トリブロミド化合物と反応させる工程A−1を含む。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、エタノール、メタノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、テトラメチレンスルホランまたはこれらの混合溶媒などを用いることができる。好ましくは、エーテル系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒であり、より好ましくは、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶媒である。
トリブロミド化合物としては、ピリジニウム トリブロミド、テトラメチルアンモニウム トリブロミド、テトラブチルアンモニウム トリブロミド、フェニルトリメチルアンモニウム トリブロミドなどが挙げられ、好ましくは、フェニルトリメチルアンモニウム トリブロミドである。トリブロミド化合物は式(I)で表される化合物に対して0.9当量から2当量用いることができる。好ましくは、フェニルトリメチルアンモニウム トリブロミドを0.95当量から1.05当量用いることができ、より好ましくは1.03当量である。
フェニルトリメチルアンモニウム トリブロミドの添加・反応温度は−20℃から50℃であり、好ましくは、5℃から15℃であり、より好ましくは10℃である。添加・反応時間は3時間から12時間であり、好ましくは、6時間から9時間である。
[工程B]
Figure 2012051866
式(I)で表される化合物は、式(III)で表される化合物を、ジメチルケタール化試薬と反応させて、式(IV)で表される化合物を得る工程(B−1);式(IV)で表される化合物を、モルホリンと反応させて、式(V)で表される化合物を得る工程(B−2);および式(V)で表される化合物を、酸と反応させて、式(I)で表される化合物を得る工程(B−3)を含む方法により製造することができる。各工程は、目的物を単離精製せずに次の工程を行なうこともできる。
工程B−1は、式(III)で表される化合物をジメチチルケタール化試薬と反応させて、式(IV)で表される化合物を得る工程である。本工程は、酸の存在下で行うことができる。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのようなエーテル系溶媒;メタノールのようなアルコール系溶媒もしくはアセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル系溶媒またはこれらの混合溶媒などを用いることができる。好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒とメタノールの混合溶媒であり、より好ましくは、トルエンとメタノールの混合溶媒である。
ジメチルケタール化試薬としては、メタノール、2−メトキシプロペン、2,2−ジメトキシプロパン、オルト酢酸メチル、オルトぎ酸メチルなどが挙げられ、好ましくは、オルトぎ酸メチルである。ジメチルケタール化試薬は、式(III)で表される化合物に対して0.5当量から5当量用いることができ、好ましくは、オルトぎ酸メチルを1当量から2当量用いることができ、より好ましくは、1.2当量用いる。
酸としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の鉱酸類、ぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類などを挙げることができ、酸を式(III)で表される化合物に対して0.001当量から1当量用いることができる。好ましくは、硫酸を0.005当量から0.1当量用いることができ、より好ましくは0.02当量用いる。
オルトぎ酸メチルの滴下・反応温度は0℃から50℃であり、好ましくは、15℃から25℃である。滴下・反応時間は1時間から10時間であり、好ましくは、5時間から7時間である。
工程B−2は、式(IV)で表される化合物を、モルホリンと反応させて、式(V)で表される化合物を得る工程である。本工程は、パラジウム触媒の存在下で行うことができ、塩基の存在下で行うこともできる。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンのようなアミド系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのようなエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール系溶媒;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホランのようなスルホキシド系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチル等のエステル系溶媒もしくは水またはこれらの混合溶媒などを用いることができる。好ましくは、炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒の混合溶媒であり、より好ましくは、トルエンとジグリムの混合溶媒である。
モルホリンは、式(IV)で表される化合物に対して1当量から5当量用いることができ、好ましくは、1.2当量から1.6当量用いることができ、より好ましくは、1.4当量用いる。
パラジウム触媒としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム、パラジウム黒等であるかまたは、下記に示すパラジウム(0)前駆体となる各種パラジウム錯体および下記に示す各種配位子との組み合わせにより反応系中で生成するパラジウム(0)触媒である。即ち、パラジウム(0)前駆体となる各種パラジウム錯体としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、具体的には、酢酸パラジウム、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリスシクロヘキシルホスフィン)パラジウム等があり、配位子としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、具体的には、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)、トリ−t−ブチルホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−2−フリルホスフィン、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリシクロヘキシルホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルフォスフィン)、ジ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン等を挙げることができる。これらのパラジウム触媒を式(IV)で表される化合物に対して0.0002当量から0.02当量用いることができ、好ましくは、0.0005当量から0.01当量用いることができ、より好ましくは、酢酸パラジウムを0.002当量用いる。また、上記配位子を、式(IV)で表される化合物に対して0.0004当量から0.04当量用いることができ、好ましくは、0.001当量から0.02当量用いることができ、より好ましくは、BINAPを0.004当量用いる。
塩基としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、具体的には、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムのような無機塩基類、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、のような金属アルコキシド類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムのようなアルカリ金属類の酢酸塩またはトリエチルアミンのような有機塩基類等を挙げることができる。塩基を式(IV)で表される化合物に対して1当量から5当量用いることができ、好ましくは、1.2当量から1.6当量用いることができ、より好ましくは、ナトリウム−t−ブトキシドを1.4当量用いる。
反応温度は80℃から溶媒の沸点であり、好ましくは、90℃から110℃である。反応時間は1時間から10時間であり、好ましくは、5時間から7時間である。
工程B−3は、式(V)で表される化合物を、酸と反応させて、式(I)で表される化合物を得る工程である。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのようなエーテル系溶媒;メタノールのようなアルコール系溶媒またはアセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル系溶媒もしくは水またはこれらの混合溶媒などを用いることができる。反応は、溶媒を用いても、用いなくてもよく、反応に用いる酸を溶媒として用いることもでき、好ましくは、トルエンと水の混合溶媒を用いる。
酸としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の鉱酸類、ぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類などを挙げることができる。酸を式(V)で表される化合物に対して0.1当量から10当量用いることができ、好ましくは、0.5当量から3当量用いることができ、より好ましくは、臭化水素酸を1当量用いる。
反応温度は0℃から100℃であり、好ましくは、35℃から45℃である。反応時間は0.5時間から12時間であり、好ましくは、1時間から3時間である。
[工程C]
Figure 2012051866
式(III)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物を、臭素化試薬と反応させて、式(VII)で表される化合物を得る工程(C−1);および式(VII)で表される化合物を、メチル化試薬と反応させて、式(III)で表される化合物を得る工程(C−2)を含む方法により製造することができる。各工程は、目的物を単離精製せずに次の工程を行なうこともできる。
工程C−1は、式(VI)で表される化合物を、臭素化試薬と反応させて、式(VII)で表される化合物を得る工程である。本工程は、触媒の存在下で行うことができる。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンのようなアミド系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのようなエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール系溶媒;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチル等のエステル系溶媒もしくは水またはこれらの混合溶媒などを用いることができる。好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒であり、より好ましくは、トルエンとメタノールの混合溶媒である。
臭素化試薬としては、臭素、5,5−ジブロモ−2,2−ジメチル−4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサン、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインなどが挙げられ、好ましくは、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインである。臭素化試薬は、式(VI)で表される化合物に対して0.9当量(0.45倍モル)から1.2当量(0.6倍モル)用いることができ、好ましくは、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを0.96当量(0.48倍モル)から1.2当量(0.6倍モル)用いることができ、より好ましくは、0.96当量(0.48倍モル)用いる。
触媒としては、臭化水素酸などを式(VI)で表される化合物に対して0.001当量から1当量用いることができ、好ましくは、臭化水素酸を0.005当量から0.1当量用いることができ、より好ましくは、0.01当量用いる。
1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインの添加・反応温度は−40℃から−10℃であり、好ましくは、−30℃から−20℃である。添加・反応時間は3時間から12時間であり、好ましくは、5時間から8時間である。
工程C−2は、式(VII)で表される化合物を、メチル化試薬と反応させて、式(III)で表される化合物を得る工程である。本工程は、塩基の存在下で行うことができる。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンのような芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムのようなエーテル系溶媒;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル系溶媒もしくは水またはこれらの混合溶媒などを用いることができる。好ましくは、エーテル系溶媒と水の混合溶媒であり、より好ましくは、メチル t−ブチルエーテルと水の混合溶媒である。
メチル化試薬としては、ヨウ化メチル、トリメチルホスホニウムヨウ素、ジメチル硫酸などが挙げられ、好ましくは、ジメチル硫酸である。メチル化試薬は、式(VII)で表される化合物に対して2当量(1倍モル)から10当量(5倍モル)用いることができ、好ましくは、ジメチル硫酸を4当量(2倍モル)から6当量(3倍モル)用いることができ、より好ましくは、5当量(2.5倍モル)用いる。
塩基としては、目的の化合物を得ることができ、かつ、分離不可能な副生成物を生成しないものであれば特に限定はないが、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基類、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、のような金属アルコキシド類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムのようなアルカリ金属類の酢酸塩またはトリエチルアミンのような有機塩基類等を挙げることがでる。塩基を式(VII)で表される化合物に対して2当量から10当量用いることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムを2.1当量から3.1当量用いることができ、より好ましくは、2.7当量用いる。
ジメチル硫酸の滴下・反応温度は0℃から40℃であり、好ましくは、15℃から25℃である。滴下・反応時間は3時間から12時間であり、好ましくは、5時間から7時間である。
本発明に係る化合物は、例えば以下の実施例および製造例等に記載した方法により製造することができる。ただし、これらは例示的なものであって、本発明に係る化合物は如何なる場合も以下の具体例に限定されるものではない。
HPLC純度とは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析において、所望の化合物のピーク面積をすべてのピークの面積の合計で除した数値を意味する。
推定収率とは、所望の化合物を単離精製せずに溶液として得た場合において、HPLCの分析結果から算出される当該溶液に含まれる所望の化合物の含有量に基づいて推定される収率を意味する。
[製造例1]1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノン
Figure 2012051866
窒素雰囲気下、トルエン3625mL(25.0倍容量)に無水塩化アルミニウム128.71g(0.965mol、1.0倍モル)を加え、−31℃まで冷却した。−37〜−31℃で、2−tert−ブチルフェノール 145.00g(0.965mol、1.0倍モル)を1時間30分で滴下し、次いで−38〜−38℃で、塩化アセチル75.77g(0.965mol、1.0倍モル)を2時間30分で滴下し、6時間反応させた。この反応液を5〜7℃で水1015mL(7.0倍容量)中へ1時間で滴下し、トルエン145mL(1.0倍容量)で洗い込んだ。2〜5℃で30分間保温した後、濾過し、湿結晶をトルエン290mL(2.0倍容量)、水435mL(3.0倍容量)の順で洗浄し、バス温50℃以下で減圧乾燥させ、1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノンを149.19g(0.776mol、収率80.4%、HPLC純度99.0%)得た。
[実施例1]1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノンの製造方法:工程C−1
Figure 2012051866
窒素雰囲気下、トルエン240mL(6.0倍容量)、メタノール20mL(0.5倍容量)に1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノン 40.00g(0.208mol、1.0倍モル)及び48%臭化水素酸0.35g(0.002mol、0.01倍モル)を加え、−26℃まで冷却した。−25〜−28℃で、ジブロマンチン(1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン)29.15g(0.102mol、0.49倍モル)を4.5時間で分割添加し、1時間反応させた。この反応液を18〜25℃にて水120mL(3.0倍容量)に亜硫酸ナトリウム1.31g(0.010mol、0.05倍モル)を加えた水溶液中へ58分で滴下し、トルエン20mL(0.5倍容量)とメタノール1,6mL(0.04倍容量)の混合液で洗い込み、酸化剤の消失をヨウ化カリウム澱粉紙(陰性)で確認した。次いで48%臭化水素酸7.01g(0.042mol、0.2倍モル)を加え、44℃に昇温して分液した。有機層に水120mL(3.0倍容量)を加え、40〜45℃で洗浄し、分液した。この操作をもう一度繰り返し、1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノンのトルエン溶液282.46g(推定収率95%、HPLC純度98.5%)を得た。
[実施例2]1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)エタノンの製造方法:工程C−2
Figure 2012051866
窒素雰囲気下、実施例1で得られた1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノンのトルエン溶液282.46g(0.198mol相当)にトルエン16mL(0.3倍容量)、水80.4mL(1.5倍容量)及び20%水酸化ナトリウム水溶液43.49g(0.217mol、1.1倍モル)を加え、28〜29℃で2分間攪拌し、分液して、1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタノンのナトリウム塩の水溶液177.22gを得た。メチルtert−ブチルエーテル107mL(2.0倍容量)を加え、21℃に冷却し、18〜23℃でジメチル硫酸62.33g(0.494mol、2.5倍モル)を3時間5分かけて滴下し、ジメチル硫酸を約1/5滴下した時点から20%水酸化ナトリウム水溶液63.26g(0.316mol、1.6倍モル)を4g/時間くらいのペースでゆっくり滴下して行った。ジメチル硫酸の滴下終了の1時間後にHPLCで反応の終了を確認し、水酸化ナトリウム水溶液の滴下速度を上げて、6時間52分で滴下を終えた。次いで、水16mL(0.3倍容量)及びトリエチルアミン4.00g(0.040mol、0.2倍モル)を加え、昇温して42〜46℃で4時間10分保温し、分液した。有機層に水107mL(2.0倍容量)を加え、40〜45℃で洗浄し、分液した。有機層にメタノール295mL(5.5倍容量)を加え、バス温70℃以下で減圧濃縮し、メタノール129mL(2.4倍容量)を加え、濃縮で析出した結晶を40〜42℃で保温溶解させた。次に25℃まで冷却し、接種した後、25℃で30分間保温し、25〜26℃で水43mL(0.8倍容量)を1時間で滴下し、25℃で30分間保温した。次いで5℃まで冷却し、0〜5℃で1時間15分保温した後、濾過し、湿結晶をメタノール48mL(0.9倍容量)、水16mL(0.3倍容量)の混合液で洗浄し、バス温50℃以下で減圧乾燥させ、1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)エタノンを54.63g(0.192mol、収率96.9%、HPLC純度100.0%)得た。
[実施例3]2−ブロモ−6−tert−ブチル−4−(1,1−ジメトキシエチル)アニソールの製造方法:工程B−1
Figure 2012051866
窒素雰囲気下、トルエン300mL(3.0倍容量)、メタノール22.47g(2.0倍モル)に1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)エタノン 100.00g(0.351mol、1.0倍モル)及び濃硫酸0.34g(0.004mol、0.01倍モル)を加え、19〜20℃にてオルトぎ酸メチル44.65g(0.421mol、1.2倍モル)を2時間5分で滴下し、20℃で2時間37分反応させた。次いで、モルホリン0.92g(0.011mol、0.03倍モル)を加えた後、21〜29℃にて水245mL(2.45倍容量)に20%水酸化ナトリウム水溶液91.17g(0.456mol、1.3倍モル)を加えた水溶液中へ42分で滴下し、トルエン15mL(0.15倍容量)で洗い込み、23〜27℃で1時間15分保温後、分液した。有機層を濾過(セライト2.5gプレコート)し、トルエン45mL(0.45倍容量)で洗浄し、水300mL(3.0倍容量)を加え、22〜24℃で洗浄し、分液した。得られた有機層をバス温70℃以下で減圧濃縮し、1−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)エタノンに対して溶媒が約1.5倍容量となるようトルエンを加え、2−ブロモ−6−tert−ブチル−4−(1,1−ジメトキシエチル)アニソールのトルエン溶液245.62g(推定収率100%、HPLC純度99.2%)を得た。
[実施例4]1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノンの製造方法:工程B−2およびB−3
Figure 2012051866
窒素雰囲気下、実施例3で得られた2−ブロモ−6−tert−ブチル−4−(1,1−ジメトキシエチル)アニソールのトルエン溶液105.73gに2−ブロモ−6−tert−ブチル−4−(1,1−ジメトキシエチル)アニソールに対して溶媒が約2.0倍容量となるようトルエンを35.5mL加えた。次いでジグリム50mL(1.0倍容量)、モルホリン18.41g(0.211mol、1.4倍モル)、ナトリウム−t−ブトキシド20.31g(0.211mol、1.4倍モル)を加え、十分に窒素置換を行った後、酢酸パラジウム68mg(0.0003mol、0.002倍モル)及びBINAP376mg(0.0006mol、0.004倍モル)を加え、更に窒素置換を行った。次いで90℃まで昇温し、90〜97℃で5時間15分反応させた。この反応液を20℃まで冷却し、水50mL(1.0倍容量)を加え、26℃で15分間攪拌し、分液した。有機層に活性炭1.25g(0.025倍重量)を加え、26℃で20分間攪拌し、濾過(セライト2gプレコート)し、トルエン30mL(0.6倍容量)で洗浄し、水100mL(2.0倍容量)を加え、29〜30℃で洗浄し、分液した。
次いで有機層に水30mL(0.6倍容量)及び48%臭化水素酸25.44g(0.151mol、1.0倍モル)を加え、昇温して37〜45℃で1時間30分保温し、分液した。43℃にて有機層に水100mL(2.0倍容量)及び20%水酸化ナトリウム水溶液1.51g(0.008mol、0.05倍モル)を加え、分液した。有機層をバス温70℃以下で減圧濃縮し、2−プロパノール175mL(3.5倍容量)を加え、更に減圧濃縮した。この操作をもう一度繰り返した。1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノンに対して溶媒が約2.25倍容量となるよう2−プロパノールを加え、1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノンの2−プロパノール溶液 132.0gとし、N−メチル−2−ピロリドン50mL(1.0倍容量)及び水87.5mL(1.75倍容量)を加え、濃縮で析出した結晶を40℃で保温溶解させた。次に24℃まで冷却し、接種した後、24℃で30分間保温し、水100mL(2.0倍容量)を1時間40分で滴下し、25℃で30分間保温した。次いで4℃まで冷却し、1〜4℃で1時間20分保温した後、濾過し、湿結晶をメタノール125mL(2.5倍容量)、水50mL(1.0倍容量)の混合液で洗浄し、バス温50℃以下で減圧乾燥させ、1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノンを38.89g(0.133mol、収率88.4%、HPLC純度99.7%)得た。
[実施例5]2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形I)の製造方法:工程A−1
Figure 2012051866
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)66mL(4.0倍容量)、メタノール24.8mL(1.5倍容量)に1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン 16.50g(0.0566mol、1.0倍モル)を加え、10℃にてフェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド21.93g(0.058mol、1.03倍モル)を5時間で分割添加し、3時間30分反応させた。反応液を別の容器に移し、THF8.3mL(0.5倍容量)で洗い込み、6℃まで冷却し、別途調製しておいた水6.6mL(0.4倍容量)と亜硫酸ナトリウム0.36g(0.003mol、0.05倍モル)からなる水溶液を5〜6℃にて30分で滴下し、酸化剤の消失をヨウ化カリウム澱粉紙(陰性)で確認した。次いで5〜6℃で水76mL(4.6倍容量)を2時間で滴下し、5〜6℃で15時間30分保温し、濾過し、湿結晶をメタノール26.4mL(1.6倍容量)と水6.6mL(0.4倍容量)の混合液、水82.5mL(5.0倍容量)の順で洗浄し、バス温80℃以下で減圧乾燥させ、粗2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形I)を19.73g(0.053mol、収率94.1%、HPLC純度98.3%)得た。
[参考例1]2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(II型結晶)の製造方法:WO2004/078721の実施例20
Figure 2012051866
4−[5−(1,1−ジメトキシエチル)−3−tert−ブチル−2−メトキシフェニル]モルホリン(600g,1.78mol)をテトラヒドロフラン(2.67L)およびメタノール(0.89L)の混合溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、7℃にてフェニルトリメチルアンモニウム トリブロミド(716g,1.87mol)を投入した。1時間撹拌後、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(660mL)を反応液に加えた。さらに水(4.68L)を投入し、1時間撹拌後、結晶をろ取し、標記化合物の粗結晶を黄肌色結晶として得た。
標記化合物の粗結晶をn−ヘプタン(1980mL)および2−プロパノール(660mL)の混合溶媒で7℃にて懸濁撹拌した。13時間撹拌後、結晶を濾取し、10% 2−プロパノール/n−ヘプタン溶液(660mL)およびn−ヘプタン(660mL)で洗浄後、減圧乾燥(50℃)し標記化合物を淡黄白色結晶(II型結晶)として566.2g得た(収率86.0%,HPLC純度99.0%)。
[製造例2]2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)
窒素雰囲気下、アセトン130mL(6.5倍容量)に2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形I)20.00gを加え、38℃に昇温して溶解させた。30℃まで冷却して結晶形IIを接種した。更に25℃に冷却し、2時間14分保温したが、結晶が析出しないため、再度結晶形IIを0.20gと多めに接種し、25℃で20時間保温した後、濾過し、アセトン20mL(1.0倍容量)で洗浄し、バス温40℃以下で減圧乾燥させ、2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)を7.91g(接種量を差し引き後7.71g、収率38.5%)得た。
[製造例3]2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)
窒素雰囲気下、アセトン150mL(6.0倍容量)、THF12.5mL(0.5倍容量)に2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形I) 25.00gを加え、37〜41℃に昇温して溶解させ、異物濾過し、アセトン25mL(1.0倍容量)で洗浄した。29℃まで冷却し、結晶形IIIを接種し、25℃で水25mL(1.0倍容量)を1時間で滴下し、25℃で1時間保温した。次いで5℃まで冷却し、0〜5℃で水25mL(1.0倍容量)を1時間で滴下し、0℃で1時間保温した後、濾過し、アセトン19.5mL(0.78倍容量)と水5.5mL(0.22倍容量)の混合液で洗浄し、バス温40℃以下で減圧乾燥させ、2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)を22.77g(収率91.1%、HPLC純度99.7%)得た。
[製造例4]2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)
窒素雰囲気下、アセトン67.5mL(4.5倍容量)、THF15mL(1.0倍容量)に2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形I)15.00gを加え、35〜37℃に昇温して溶解させ、異物濾過し、アセトン7.5mL(0.5倍容量)で洗浄した。30℃まで冷却し、結晶形IIIを接種し、25〜30℃で30分保温した。次いで水15mL(1.0倍容量)を1時間で滴下し、25℃で1時間保温した。更に4℃まで冷却し、3〜4℃で水30mL(2.0倍容量)を1時間5分で滴下し、2〜3℃で1時間12分保温した後、濾過し、アセトン9.4mL(0.625倍容量)と水5.6mL(0.375倍容量)の混合液で洗浄し、バス温40℃以下で減圧乾燥させ、2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)を14.38g(収率95.9%、HPLC純度99.7%)得た。
[製造例5]2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)
窒素雰囲気下、アセトン45mL(4.5倍容量)、THF10mL(1.0倍容量)に2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形II)10.00gを加え、35℃に昇温して溶解させ、異物濾過し、アセトン5mL(0.5倍容量)で洗浄した。25℃まで冷却し、水10mL(1.0倍容量)を1時間で滴下し(途中結晶形IIIを接種)、24〜25℃で1時間保温した。更に0℃まで冷却し、0〜1℃で水20mL(2.0倍容量)を1時間で滴下し、1℃で1時間保温した後、濾過し、アセトン6.3mL(0.625倍容量)と水3.8mL(0.375倍容量)の混合液で洗浄し、バス温40℃以下で減圧乾燥させ、2−ブロモ−1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリノフェニル)エタノン(結晶形III)を9.52g(収率95.2%、HPLC純度99.7%)得た。
実施例5、比較例1および製造例2〜5で得られた結晶の粉末X線回折パターンを以下の条件で測定した。
X線測定条件
装置: X線回折装置 Rigaku MiniFlexII
走査範囲: 2〜40°
電圧: 30kV
電流: 15mA
発散スリット: 1.25°
散乱スリット: 1.25°
受光スリット: 0.3mm
スキャンスピード: 2°/min
実施例5、比較例1および製造例2で得られた結晶の粉末X線回折パターンをそれぞれ図1〜3に示す。また、代表的な回折角(2θ)を表1にまとめた。なお、製造例3〜5で得られた結晶の粉末X線回折パターンは、製造例2で得られた結晶の粉末X線回折パターンと一致したことから、製造例2〜5で得られた結晶は同一であることを確認した。
Figure 2012051866

Claims (9)

  1. 式(I)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を、トリブロミド化合物と反応させて、式(II)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を得る工程(A−1)を含む、式(II)で表される化合物の製造方法。
  2. 工程(A−1)のトリブロミド化合物がフェニルトリメチルアンモニウム トリブロミドである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 式(III)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を、ジメチルケタール化試薬と反応させて、式(IV)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を得る工程(B−1);
    式(IV)で表される化合物を、モルホリンと反応させて、式(V)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を得る工程(B−2);および
    式(V)で表される化合物を、酸と反応させて、式(I)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を得る工程(B−3)
    をさらに含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 工程(B−1)のジメチルケタール化試薬がオルトぎ酸メチルである、請求項3に記載の製造方法。
  5. 工程(B−2)の反応をパラジウム触媒存在下で行う、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 工程(B−3)の酸が臭化水素酸である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 式(VI)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を、臭素化試薬と反応させて、式(VII)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を得る工程(C−1);および
    式(VII)で表される化合物を、メチル化試薬と反応させて、式(III)
    Figure 2012051866
    で表される化合物を得る工程(C−2)
    をさらに含む、請求項3〜6いずれか一項に記載の製造方法。
  8. 工程(C−1)の臭素化試薬が1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインである、請求項7に記載の製造方法。
  9. 工程(C−2)のメチル化試薬がジメチル硫酸である、請求項7または8に記載の製造方法。
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