JP2012050683A - 便座の着座側部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】便座の着座側部材を薄肉化し軽量化することができると共に、人体の荷重に耐える強度および剛性を有する便座の着座側部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料を成形してなる表面部と、前記表面部の下方に設けられ強化繊維により形成された繊維織物を含む補強材料を成形してなる補強部と、を備え、人が着座する部位の肉厚が0.8mm〜2.0mmであることを特徴とする便座の着座側部材が提供される。
【選択図】図2
【解決手段】熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料を成形してなる表面部と、前記表面部の下方に設けられ強化繊維により形成された繊維織物を含む補強材料を成形してなる補強部と、を備え、人が着座する部位の肉厚が0.8mm〜2.0mmであることを特徴とする便座の着座側部材が提供される。
【選択図】図2
Description
本発明の態様は、便座の着座側部材およびその製造方法に関する。
従来、便座の着座側部材の素材としては主に熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂が用いられている(特許文献1)。
ポリプロピレン樹脂が用いられた便座の着座側部材は、強度を確保するために厚肉に成形されていた。しかしながら近年、原材料の使用量の削減による環境負荷の低減、部材の軽量化による輸送コスト削減および輸送時の二酸化炭素排出量の削減が求められている。 着座側部材の軽量化を図る方法としては、例えば、着座側部材の厚みを薄肉化する方法がある。しかしながら、ポリプロピレン樹脂が用いられた着座側部材を薄肉化すると、強度や剛性が著しく低下し、着座側部材のひび割れ等を引き起こす場合がある。
ポリプロピレン樹脂が用いられた便座の着座側部材は、強度を確保するために厚肉に成形されていた。しかしながら近年、原材料の使用量の削減による環境負荷の低減、部材の軽量化による輸送コスト削減および輸送時の二酸化炭素排出量の削減が求められている。 着座側部材の軽量化を図る方法としては、例えば、着座側部材の厚みを薄肉化する方法がある。しかしながら、ポリプロピレン樹脂が用いられた着座側部材を薄肉化すると、強度や剛性が著しく低下し、着座側部材のひび割れ等を引き起こす場合がある。
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便座の着座側部材を薄肉化し軽量化することができると共に、人体の荷重に耐える強度および剛性を有する便座の着座側部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料を成形してなる表面部と、前記表面部の下方に設けられ強化繊維により形成された繊維織物を含む補強材料を成形してなる補強部と、を備え、人が着座する部位の肉厚が0.8mm〜2.0mmであることを特徴とする便座の着座側部材である。
これにより、便座の着座側部材を薄肉化し軽量化することができる。また、便座の着座側部材は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有することができる。
これにより、便座の着座側部材を薄肉化し軽量化することができる。また、便座の着座側部材は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有することができる。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記成形材料は、シートモールディングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンドであることを特徴とする便座の着座側部材である。
これにより、便座の着座側部材の薄肉化と高強度とを両立することができるとともに、便座の着座側部材の表面部の表面平滑性および光沢を向上させることができる。
これにより、便座の着座側部材の薄肉化と高強度とを両立することができるとともに、便座の着座側部材の表面部の表面平滑性および光沢を向上させることができる。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記繊維織物の形態は、クロス織物であることを特徴とする便座の着座側部材である。
これにより、便座の着座側部材の表面を平滑にすることができる。
これにより、便座の着座側部材の表面を平滑にすることができる。
また、第4の発明は、第1の発明において、前記成形材料の中に含まれる前記強化繊維の含有率は、10〜30質量パーセントであり、前記補強材料の中に含まれる前記繊維織物の含有率は、40〜90質量パーセントであることを特徴とする便座の着座側部材である。
これにより、製造過程における強化繊維のうねりや、得られる便座の着座側部材の表面に強化繊維が露出することを防止することができ、表面平滑性を有する便座の着座側部材を得ることができる。また、強化樹脂としての強度を発現させることができる。
これにより、製造過程における強化繊維のうねりや、得られる便座の着座側部材の表面に強化繊維が露出することを防止することができ、表面平滑性を有する便座の着座側部材を得ることができる。また、強化樹脂としての強度を発現させることができる。
また、第5の発明は、第1の発明において、前記成形材料は、難燃剤をさらに含むことを特徴とする便座の着座側部材である。
これにより、便座の着座側部材に難燃性を付与することができる。
これにより、便座の着座側部材に難燃性を付与することができる。
また、第6の発明は、熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料と、強化繊維により形成された繊維織物を含む補強材料と、を積層し、前記成形材料と前記補強材料とをプレス成形により一体成形することで、第1〜第3の発明のいずれか1つに記載の便座の着座側部材を製造することを特徴とする便座の着座側部材の製造方法である。
この便座の着座側部材の製造方法によれば、熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料を成形してなる表面部と、前記表面部の下方に設けられ強化繊維を編んだ繊維織物を含む補強材料を成形してなる補強部と、を備えた便座の着座側部材を製造することができる。これにより、薄肉化し軽量化した便座の着座側部材が得られる。また、人体の荷重に耐える強度および剛性を有する便座の着座側部材が得られる。
この便座の着座側部材の製造方法によれば、熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料を成形してなる表面部と、前記表面部の下方に設けられ強化繊維を編んだ繊維織物を含む補強材料を成形してなる補強部と、を備えた便座の着座側部材を製造することができる。これにより、薄肉化し軽量化した便座の着座側部材が得られる。また、人体の荷重に耐える強度および剛性を有する便座の着座側部材が得られる。
本発明の態様によれば、便座の着座側部材を薄肉化し軽量化することができると共に、人体の荷重に耐える強度および剛性を有する便座の着座側部材およびその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる着座側部材を備える便座の断面を表す断面模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる着座側部材の表面部と補強部とを分解して表した分解模式図である。
なお、図2は、図1に表した部位Aを拡大して眺めた分解模式図である。部位Aは、人が着座する部位である。
図1は、本発明の実施の形態にかかる着座側部材を備える便座の断面を表す断面模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる着座側部材の表面部と補強部とを分解して表した分解模式図である。
なお、図2は、図1に表した部位Aを拡大して眺めた分解模式図である。部位Aは、人が着座する部位である。
本実施形態にかかる便座100は、図1に表したように、人が着座する着座面を有する着座側部材200と、便座100の底面を形成する便座底板300と、を備える。着座側部材200と便座底板300とは、互いに接合されている。
着座側部材200は、成形材料により形成された表面部210と、補強材料により形成された補強部220と、が一体成形された構造を有する(図3および図4参照)。なお、図2では、成形材料により形成された表面部210と、補強材料により形成された補強部220と、が一体成形される前の状態の着座側部材200を表している。
図2に表したように、表面部210を形成する成形材料としては、熱硬化性樹脂211及び強化繊維213を含むものを使用することができる。具体的には、シートモールディングコンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)を使用することができる。表面部210を形成する成形材料としてSMCやBMCを使用すると、着座側部材200の薄肉化と高強度とを両立することができるとともに、着座側部材200の表面部210の表面平滑性および光沢を向上させることができるため好ましい。また、表面部210を形成する成形材料としては、成形材料の全体に対して熱硬化性樹脂211が約30〜50質量%(パーセント)程度含まれるものを使用することが好ましい。
熱硬化性樹脂211としては、好ましくは不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等を使用することができる。
強化繊維213としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の無機繊維や、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維を使用することができる。なかでも、得られる着座側部材200に良好な難燃性能を付与する観点から、強化繊維213としては無機繊維を使用することが好ましい。強化繊維213の形態は、チョップドストランドであることが好ましい。表面部210を形成する成形材料中の強化繊維213の含有率は、約10〜30質量%程度であり、好ましくは25質量%以下であることが好ましい。これにより、プレス成形時における強化繊維213のうねりや、得られる着座側部材200の表面に強化繊維213が露出することを防止することができ、表面平滑性を有する着座側部材200を得ることができる。
また、強化繊維213の長さは、3/8インチ〜1インチであることが好ましい。これにより、表面部210を形成する成形材料中における強化繊維213の偏りを防止することができ、表面平滑性に優れた着座側部材200を得ることができる。
強化繊維213としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の無機繊維や、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維を使用することができる。なかでも、得られる着座側部材200に良好な難燃性能を付与する観点から、強化繊維213としては無機繊維を使用することが好ましい。強化繊維213の形態は、チョップドストランドであることが好ましい。表面部210を形成する成形材料中の強化繊維213の含有率は、約10〜30質量%程度であり、好ましくは25質量%以下であることが好ましい。これにより、プレス成形時における強化繊維213のうねりや、得られる着座側部材200の表面に強化繊維213が露出することを防止することができ、表面平滑性を有する着座側部材200を得ることができる。
また、強化繊維213の長さは、3/8インチ〜1インチであることが好ましい。これにより、表面部210を形成する成形材料中における強化繊維213の偏りを防止することができ、表面平滑性に優れた着座側部材200を得ることができる。
本実施形態の表面部210を形成する成形材料は、表面部210の平滑性や光沢を向上させる観点から、充填材215を含むことが好ましい。
充填材215としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、アルミナ粉、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、セルロース等が挙げられる。あるいは、これらの1種類以上の充填材215を混合して用いることができる。充填材215は、成形材料の全体に対して約50〜60質量%程度含まれることが好ましい。
充填材215としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、アルミナ粉、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、セルロース等が挙げられる。あるいは、これらの1種類以上の充填材215を混合して用いることができる。充填材215は、成形材料の全体に対して約50〜60質量%程度含まれることが好ましい。
本実施形態にかかる着座側部材200は、難燃性能を有することが好ましい。また、着座側部材200の表面部210は、良好な難燃性能を有することが好ましい。表面部210に良好な難燃性能を付与する方法としては、例えば表面部210を形成する成形材料に、難燃剤217を組み合わせ使用する方法が挙げられる。
難燃剤217としては、例えばデカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルスルフェート、トリキシレニルフォスフェート、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等を使用することができる。なかでも、デカブロモジフェニルエーテルおよび三酸化アンチモンを組み合わせ使用することが好ましい。デカブロモジフェニルエーテルを成形材料の全体に対して約0.5〜4質量%程度使用し、かつ、三酸化アンチモンを約0.2〜2.0質量%程度使用することが好ましい。
難燃剤217は、表面部210を形成する成形材料だけでなく、補強部220を形成する補強材料において使用されてもよい。その場合の難燃剤217の使用量としては、表面部210を形成する成形材料において難燃剤217を使用する場合と同程度の量を使用することができる。
補強部220を形成する補強材料としては、強化繊維を編んだ繊維織物223を含むものを使用することができる。補強材料としては、例えば、繊維織物223を単独で使用することができる。あるいは、図2に表したように、繊維織物223に熱硬化性樹脂221を含浸させたプリプレグを使用することができる。なかでもプリプレグを使用すると、着座側部材200を製造する際の生産効率を向上できるため好ましい。
繊維織物223としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維を用いて得られた織物を使用することができる。なかでも、ガラス繊維を用いて得られた織物を使用することが好ましい。
繊維織物223としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維を用いて得られた織物を使用することができる。なかでも、ガラス繊維を用いて得られた織物を使用することが好ましい。
繊維織物223の形態は、クロス織物が好ましく、平織、綾織、朱子織、模紗織、からみ織のクロス織物を使用することが好ましい。ただし、平織クロスでは編み目が大きすぎると外観不良を起こす場合があるため、編み目を小さくするのが好ましい。また、クロス織物の質量は約80〜500g/m2(グラム/平方メートル)程度であり、厚さは、好ましくは約0.1〜1mm(ミリメートル)程度である。
クロス織物とは、布状に織られた織物である。平面方向すなわちX方向、Y方向共に繊維織物223同士が密着していることが好ましい。便座100の着座側部材200の補強部220が有する繊維織物223の平面方向すなわちX方向、Y方向共に繊維織物223同士が密着していると、着座面に高い平滑性を付与する効果がある。
補強部220を形成する補強材料としてプリプレグを使用する場合、熱硬化性樹脂221としては、好ましくは不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等を使用することができる。
プリプレグとしては、補強材料の全体に対して繊維織物223が約40〜90質量%程度含まれるものを使用することが好ましい。表面部210を形成する成形材料の強化繊維213の含有率と、補強部220を形成する補強材料の繊維織物223の含有率と、では、補強材料の繊維織物223の含有率を高くする方が好ましい。
補強部220を形成する補強材料としてプリプレグを使用する場合、熱硬化性樹脂221としては、好ましくは不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂等を使用することができる。
プリプレグとしては、補強材料の全体に対して繊維織物223が約40〜90質量%程度含まれるものを使用することが好ましい。表面部210を形成する成形材料の強化繊維213の含有率と、補強部220を形成する補強材料の繊維織物223の含有率と、では、補強材料の繊維織物223の含有率を高くする方が好ましい。
このように、本実施形態にかかる着座側部材200は、熱硬化性樹脂211及び強化繊維213を含む成形材料を成形してなる表面部210と、繊維織物223を含むプリプレグ等の補強材料を成形してなる補強部220と、を有する。これにより、着座側部材200を薄肉化し軽量化することができる。これにより、着座側部材200や、これを用いた便座100について、原材料の使用量の削減により環境負荷を低減でき、部材の軽量化により輸送コストも削減でき、輸送時の二酸化炭素排出量も削減できる。またさらに、便座100を軽量化することにより、便座100の開閉(上げ下げ)が楽になり、使用感が向上する。また、モータなどにより便座100の開閉をさせる場合にも、軽量化により、モータの負荷を軽減させ、開閉動作もより円滑且つ迅速に実行できる。
またさらに、補強部220を設けることにより、着座側部材200は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有することができる。これについては、後に詳述する。
またさらに、補強部220を設けることにより、着座側部材200は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有することができる。これについては、後に詳述する。
次に、本実施形態にかかる着座側部材200の製造方法の一例について説明する。
まず、熱硬化性樹脂211及び強化繊維213を含む成形材料と、繊維織物223を含むプリプレグ等の補強材料と、を予め用意する。続いて、例えば図示しない金型のコア型に、繊維織物223を含むプリプレグ等の補強材料を配置する。次いで、SMCもしくはBMC等の成形材料を金型内に投入する。続いて、加圧、加熱一体成形することによって着座側部材200を製造することができる。また、あらかじめ補強部220を形成する補強材料と、表面部210を形成する成形材料と、を重ね合わせたものを、補強材料側がコア型に接するように図示しない金型に投入し、プレス成形することによって着座側部材200を製造することもできる。
まず、熱硬化性樹脂211及び強化繊維213を含む成形材料と、繊維織物223を含むプリプレグ等の補強材料と、を予め用意する。続いて、例えば図示しない金型のコア型に、繊維織物223を含むプリプレグ等の補強材料を配置する。次いで、SMCもしくはBMC等の成形材料を金型内に投入する。続いて、加圧、加熱一体成形することによって着座側部材200を製造することができる。また、あらかじめ補強部220を形成する補強材料と、表面部210を形成する成形材料と、を重ね合わせたものを、補強材料側がコア型に接するように図示しない金型に投入し、プレス成形することによって着座側部材200を製造することもできる。
プレス成形を行う際に、表面部210を形成するシートモールディングコンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)などの成形材料と、補強部220を形成する補強材料と、は金型の締め切り圧力により密着する。また、表面部210を形成する成形材料および補強部220を形成する補強材料の双方に含まれる熱硬化性樹脂211、221は、成形温度によって溶融し硬化するので強固に一体化される。これにより、薄肉に成形されても人体の荷重に耐える強度および剛性を有する便座100の着座側部材200とすることができる。着座側部材200の強度等については、後に詳述する。
プレス成形は、図示しない金型を取りつけたプレス成形装置により行われる。プレス成形の条件としては、金型のキャビティ型(雌型)温度が約90〜160℃程度、より好ましくは約120〜140℃程度の範囲である。また、金型のコア型(雄型)温度が約90〜160℃程度、より好ましくは約100〜130℃程度の範囲である。加圧力は、約3〜15MPa程度、より好ましくは約5〜12MPa程度の範囲である。加圧時間については、成形品の肉厚により約1〜5分程度の範囲から適宜設定することができる。
ここで、プレス成形に用いる金型では、キャビティ型(雌型)が上型、コア型(雄型)が下型としてプレス成形装置に取り付けられている。
また、本実施形態で用いるプレス成形用金型としては、キャビティ型とコア型との勘合部に喰いきり構造を有する一般的なSMCもしくはBMC成形用金型であって、キャビティ型とコア型とが便座100の着座側部材200の形状に加工された金型を用いることができる。
また、本実施形態で用いるプレス成形用金型としては、キャビティ型とコア型との勘合部に喰いきり構造を有する一般的なSMCもしくはBMC成形用金型であって、キャビティ型とコア型とが便座100の着座側部材200の形状に加工された金型を用いることができる。
以上説明した製造方法で得られた便座100の着座側部材200の肉厚は、約0.8mm〜2.0mm程度である。この肉厚において全体肉厚に対する補強部220の比率は、約5%〜50%程度の範囲であることが好ましい。これによれば、強度等を損なうことなく、得られる着座側部材200に良好な表面平滑性や光沢を付与することができる。
図3は、本実施形態にかかる着座側部材を表す斜視模式図である。
また、図4は、本実施形態にかかる着座側部材の内部構造を表す断面模式図である。
なお、図3および図4は、図1に表した部位Aを拡大して眺めた斜視模式図および断面模式図である。
また、図4は、本実施形態にかかる着座側部材の内部構造を表す断面模式図である。
なお、図3および図4は、図1に表した部位Aを拡大して眺めた斜視模式図および断面模式図である。
本実施形態にかかる着座側部材200は、図3および図4に表したように、成形材料により形成された表面部210と、補強材料により形成された補強部220と、が一体成形された構造を有する。補強部220は、表面部210の下方に設けられ表面部210を下方から支える。表面部210を形成する成形材料に含まれる熱硬化性樹脂211(図2参照)と、補強部220を形成する補強材料に含まれる熱硬化性樹脂221(図2参照)と、は製造過程において結合部で樹脂同士が混じり合いかつ硬化により強固に一体化された樹脂201となる。換言すれば、成形後の樹脂201は、表面部210の熱硬化性樹脂211と補強部220の熱硬化性樹脂221とが化学的に結合し一体化されたものである。
次に、着座側部材200の強度および剛性について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態にかかる着座側部材に上方から荷重が加わった場合について説明するための断面模式図である。
なお、図5は、図1に表した部位Aを拡大して眺めた断面模式図である。
図5は、本実施形態にかかる着座側部材に上方から荷重が加わった場合について説明するための断面模式図である。
なお、図5は、図1に表した部位Aを拡大して眺めた断面模式図である。
着座側部材200は、例えば使用者の着座による荷重Pを受けると、図5に表した二点鎖線のように曲がる。このとき、中立軸Xよりも下側には、図5に表した矢印W1、W2のように引っ張り力が生ずる。一方、中立軸Xよりも上側には、図5に表した矢印W3、W4のように圧縮力が生ずる。
これに対して、本実施形態にかかる着座側部材200は、表面部210を下方から支える補強部220を有する。その補強部220は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などを用いて得られた繊維織物223を有する。また、その補強部220は、着座側部材200の下面を有する。そのため、中立軸Xよりも下側は、補強部220が設けられていない場合よりも伸びにくい。これにより、着座側部材200は、補強部220を有していない場合よりも曲がりにくい。このように、補強部220は、引っ張り力が生ずる側に設けられることにより、着座側部材200の曲げを抑えることができる。
これによれば、表面部210の厚さが、補強部220が設けられていない場合の厚さよりも薄くても、着座側部材200の表面部210は、強度を確保することができる。そのため、着座側部材200を薄肉化し軽量化することができる。また、着座側部材200は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有することができる。
次に、本実施形態にかかる着座側部材200の具体例および比較例について例示する。 まず、比較例について説明する。
比較例にかかる着座側部材として、補強部220を有していない便座の着座側部材を得た。得られた着座側部材は、補強部220を有するものではなく、着座側部材全体として1.5mmの肉厚を有するものであった。本比較例の着座側部材は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有さず、人体の荷重で破壊するものであった。
比較例にかかる着座側部材として、補強部220を有していない便座の着座側部材を得た。得られた着座側部材は、補強部220を有するものではなく、着座側部材全体として1.5mmの肉厚を有するものであった。本比較例の着座側部材は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有さず、人体の荷重で破壊するものであった。
これに対して、本実施形態にかかる着座側部材の具体例として、補強部220を有する便座100の着座側部材200を得た。
具体的には、着座側部材200の表面部210を形成する成形材料としては、熱硬化性樹脂211としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部と、充填材215としての水酸化アルミニウム150質量部と、難燃剤217としてのデカブロモジフェニルエーテル10質量部と、三酸化アンチモン5質量部と、強化繊維213として長さが1インチのガラス繊維47質量部と、を含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維213の含有率15質量%)を使用した。
具体的には、着座側部材200の表面部210を形成する成形材料としては、熱硬化性樹脂211としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部と、充填材215としての水酸化アルミニウム150質量部と、難燃剤217としてのデカブロモジフェニルエーテル10質量部と、三酸化アンチモン5質量部と、強化繊維213として長さが1インチのガラス繊維47質量部と、を含むシートモールディングコンパウンド(強化繊維213の含有率15質量%)を使用した。
また、着座側部材200の補強部220を形成する補強材料としては、熱硬化性樹脂221としての不飽和ポリエステル樹脂100質量部と、310g/m2の平織ガラスクロスにより形成された繊維織物150質量部と、を含むプリプレグ(繊維織物223の含有率が60質量%)を使用した。
まず、着座面側(表面部210)を形成する金型であるキャビティ型の温度を145℃に調整し、裏面側(補強部220)を形成する金型であるコア型の温度を130℃に調整した。続いて、コア型の上に、予め円形の便座形状の大きさに裁断した補強材料を配し、次いで補強材料の上に、予め円形の便座形状の大きさに裁断した成形材料を配した。
次いで、10MPaの圧力で2分間プレス成形することによって、成形材料を成形してなる表面部210と、補強材料を成形してなる補強部220と、が積層した便座100の着座側部材200を得た。
得られた着座側部材200では、表面部210の厚みが1.2mmで補強部220の厚みが0.3mmである。また、着座側部材200全体の厚みは、1.5mmであった。本具体例の着座側部材200は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有し、人体の荷重では破壊しなかった。
以上説明したように、本実施形態によれば、便座100の着座側部材200は、熱硬化性樹脂211及び強化繊維213を含む成形材料を成形してなる表面部210と、繊維織物223を含むプリプレグ等の補強材料を成形してなる補強部220と、を有する。これにより、着座側部材200を薄肉化し軽量化することができる。また、着座側部材200は、人体の荷重に耐える強度および剛性を有することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、着座側部材200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや繊維織物223の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
100 便座、 200 着座側部材、 201 樹脂、 210 表面部、 211 熱硬化性樹脂、 213 強化繊維、 215 充填材、 217 難燃剤、 220 補強部、 221 熱硬化性樹脂、 223 繊維織物、 300 便座底板
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料を成形してなる表面部と、
前記表面部の下方に設けられ強化繊維により形成された繊維織物を含む補強材料を成形してなる補強部と、
を備え、
人が着座する部位の肉厚が0.8mm〜2.0mmであることを特徴とする便座の着座側部材。 - 前記成形材料は、シートモールディングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンドであることを特徴とする請求項1記載の便座の着座側部材。
- 前記繊維織物の形態は、クロス織物であることを特徴とする請求項1または2に記載の便座の着座側部材。
- 前記成形材料の中に含まれる前記強化繊維の含有率は、10〜30質量パーセントであり、前記補強材料の中に含まれる前記繊維織物の含有率は、40〜90質量パーセントであることを特徴とする請求項1記載の便座の着座側部材。
- 前記成形材料は、難燃剤をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の便座の着座側部材。
- 熱硬化性樹脂および強化繊維を含む成形材料と、強化繊維により形成された繊維織物を含む補強材料と、を積層し、前記成形材料と前記補強材料とをプレス成形により一体成形することで、請求項1〜3のいずれか1つに記載の便座の着座側部材を製造することを特徴とする便座の着座側部材の製造方法。
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- 2010-09-01 JP JP2010195586A patent/JP2012050683A/ja active Pending
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