JP2012049439A - 光電変換モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】出力特性を確保しつつ耐久性を向上させた光電変換モジュールを提供する。
【解決手段】受光面を有する光電変換セル10と、前記受光面上に設けられた保護膜4と、該保護膜4上に設けられた複数の突起部6とを有しており、保護膜4は、金属酸化物および金属窒化物のうちの少なくとも一方を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換モジュールに関する。
複数の光電変換セルで構成される、太陽電池などに用いられる光電変換モジュールは、光電変換セルが具備する光電変換部の受光面に光の反射を低減するための反射防止部材が設けられている。このような反射防止部材としては、例えば、酸化チタン等の膜で構成されている。
また、上記した反射防止部材は、より反射防止効果を高めるために、針状結晶で構成する場合がある。このような針状結晶は、半導体で構成されている光吸収層の受光面において、無電解めっき等で結晶を成長させて形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−130841号公報
しかしながら、無電解めっきに使用されるめっき液は、水酸化ナトリウムを含むような強アルカリの水溶液などであるため、光電変換部の一部が溶ける可能性があった。このような場合、光電変換部に孔等が形成されて劣化が生じ、変換効率が低下する場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光電変換部をめっき液から保護し、出力特性を維持できる信頼性の高い光電変換モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る光電変換モジュールは、受光面を有する光電変換セルと、前記受光面上に設けられた保護膜と、該保護膜上に設けられた複数の突起部とを有している。そして、前記保護膜は、金属酸化物および金属窒化物のうちの少なくとも一方を含む。
本発明の第1の態様に係る光電変換モジュールによれば、金属酸化物および金属窒化物のうちの少なくとも一方を含む保護膜を受光面に設けることにより、めっき法により突起部を設けても、光電変換セルの劣化を低減できるため、出力特性を維持することができる。
光電変換モジュールの構成を示す断面図である。 光電変換装置の構成を示す上面図である。 光電変換装置の構成を示す断面図である。 保護層の構成を説明するための図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 光電変換装置の製造途中の様子を示す断面図である。 保護層の具体的な形成態様を例示する図である。 光電変換モジュールの他の構成を示す断面図である。 光電変換セルの他の構成を示す断面図である。 光電変換セルの他の構成における受光面からの平面図である。 光電変換セルの他の構成における非受光面からの平面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<(1)光電変換モジュールの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換モジュール20の概略的な構成を示す断面図である。
光電変換モジュール20は、太陽光などの光を受光して電力を発生させる光電変換装置21の上に、封止膜7、および保護基板8が順次に積層された構成を有する。
封止膜7は、光電変換装置21を封止する膜である。封止部としての封止膜7は、透明性の確保などの観点から、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエステル結合を含む樹脂によって構成されている部分を含む。そして、封止膜7の厚さとしては、応力の負荷に対する割れの発生を防止する観点から言えば、1mm以下であることが好ましく、例えば、0.5mmや1mmなどが好適に採用される。
保護基板8は、封止膜7の上に設けられ、外部から光電変換モジュール20の内部に水分や異物などが侵入しないように保護するものである。保護基板8は、例えば、平板状のガラス基板などによって構成される。
<(2)光電変換装置の構成>
図2は、光電変換装置21の構成を示す上面図である。図3は、図2の切断面線III−IIIにおける光電変換装置21の断面図、つまり図2で一点鎖線にて示した位置における光電変換装置21のxz断面図である。なお、図1から図10には、光電変換セル10の配列方向(図2の図面視左右方向)をx軸方向とする右手系のxyz座標系が付されている。
光電変換装置21は、基板1の上に複数の光電変換セル10を並設した構成を有する。図2においては、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置21においては、図面の左右方向、あるいはさらにこれに垂直な図面の上下方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配設されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2と、光電変換層3と、上部電極層としての機能を有する保護膜4と、グリッド電極5と、接続部45とを主に備える。光電変換装置21においては、保護膜4およびグリッド電極5が設けられた側の主面が受光面側となっている。また、光電変換装置21には、第1溝部P1、第2溝部P2、および第3溝部P3という、3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、ガラス、セラミックス、樹脂、および金属などが挙げられる。ここでは、基板1として、厚さ1mm〜3mm程度の青板ガラス(ソーダライムガラス)が用いられ
ているものとする。
下部電極層2は、基板1の一主面上に設けられた、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、またはAu(金)などの金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる導体層である。下部電極層2は、スパッタ法または蒸着法などの公知の薄膜形成方法を用いて、0.2μm〜1μm程度の厚みに形成される。
光電変換層3は、光吸収層31とバッファ層32とが積層された構成を有する。
光吸収層31は、下部電極層2の上に設けられた、カルコパイライト系(CIS系とも言う)のI-III-VI族化合物からなる、p型の導電型を有する半導体層である。光吸収層31は、1μm〜3μm程度の厚みを有している。
ここで、I-III-VI族化合物とは、I-B族元素(11族元素とも言う)とIII-B族元素(13族元素とも言う)とVI-B族元素(16族元素とも言う)との化合物である。I-III-VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISとも言う)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSとも言う)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSとも言う)が挙げられる。なお、光吸収層31は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウムなどの多元化合物半導体の薄膜によって構成されていても良い。
また、光吸収層31は、II-VI族化合物からなる半導体層であっても良い。II-VI族化合物とは、II-B族(12族元素とも言う)とVI-B族元素との化合物半導体である。ただし、層厚みを小さくして少ない材料で安価に光電変換効率を高めるという観点から言えば、カルコパイライト系化合物半導体であるI-III-VI化合物半導体が用いられることが好ましい。
光吸収層31については、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、光吸収層31の構成元素の錯体溶液を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行う、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。ただし、光電変換装置21の製造コストを抑制する観点から言えば、後者のプロセスが用いられる方が好ましい。
バッファ層32は、光吸収層31の上に設けられた、該光吸収層31の導電型とは異なるn型の導電型を有する半導体層である。バッファ層32は、光吸収層31がI-III-VI族化合物半導体によって構成される場合に、光吸収層31とヘテロ接合する態様で設けられる。光電変換セル10では、このヘテロ接合を構成する光吸収層31とバッファ層32とにおいて光電変換が生じることから、光吸収層31とバッファ層32とが光電変換部として機能する光電変換層3となっている。なお、光電変換層3の構成はこれに限定されず、異なる導電型の半導体層がホモ接合されたものであっても良い。ここで、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体のことである。
バッファ層32は、例えば、CdS(硫化カドミウム)、In23(硫化インジウム)、ZnS(硫化亜鉛)、ZnO(酸化亜鉛)、In2Se3(セレン化インジウム)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)Oなどの化合物半導体によって構成される。そして、リーク電流の低減という観点から言えば、バッファ層32は1Ω・cm以上の抵抗率を有することが好ましい。
また、バッファ層32は、10nm〜200nmの厚みに、好ましくは100nm〜2
00nmの厚みに形成されることが好ましい。これにより、高温高湿の条件下における光電変換効率の低下が特に効果的に抑制される。バッファ層32は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法などで形成される。
保護膜4は、バッファ層32の上に設けられており、光電変換層3を保護する機能を有する。具体的に、保護層4は、後述する突起部6を形成する際に用いるめっき液から光電変換層3を保護する役割を担う。
また、保護膜4は、光電変換層3において生じた電荷の取出電極としての機能も有している。保護膜4には、いわゆる窓層と呼ばれるものも含まれ、窓層に加えてさらに透明導電膜が設けられる場合には、これらを併せて保護膜4とみなすことができる。
保護膜4には、強アルカリ性を有するめっき液に対する耐性が強く、禁制帯幅が広く透明な低抵抗の金属酸化物が用いられる。このような物質として、例えば、錫を含んだ酸化インジウム(ITO)が好適である。
保護膜4は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法などによって、0.05μm〜3.0μmの厚みに形成される。そして、光電変換層3から電荷を良好に取り出すという観点からは、保護膜4は、抵抗率が1Ω・cm未満であり、シート抵抗が50Ω/□以下であることが好ましい。
バッファ層32と保護膜4とは、光吸収層31が吸収する光の波長領域に対して光透過性を有する物質によって構成されているのが好ましい。これにより、バッファ層32と保護膜4とが設けられることによる、光吸収層31における光の吸収効率の低下が抑制される。
光透過性を高めると同時に、光反射のロスを防止する効果および光散乱効果を高め、さらに光電変換によって生じた電流を良好に伝送するという観点から言えば、保護膜4は0.05〜0.5μmの厚さであることが好ましい。また、保護層4は、前述した厚さを確保すれば、突起部6を形成する際に用いるめっき液から光電変換層3を保護できる。また、保護膜4とバッファ層32との界面での光反射のロスを防止する観点から言えば、保護膜4とバッファ層32の屈折率は等しいことが好ましい。
グリッド電極5は、y軸方向に離間して設けられ、それぞれがx軸方向に延在する複数の集電部5aと、それぞれの集電部5aが接続されてなるとともにy軸方向に延在する連結部5bとを備える、導電性を有する電極である。グリッド電極5は、例えば、Agなどの金属からなる。
集電部5aは、光電変換層3において発生して保護膜4において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電部5aが設けられることで、保護膜4の薄層化が可能となる。保護膜4については、光吸収層31の上方に設けられるので、光透過性を高めるためには出来るだけ薄く形成される方が望ましいが、薄くなればなるほど抵抗が大きくなるので、電荷の取り出し効率が低下する。そこで、集電部5aが設けられることによって、電荷の取り出し効率が確保され、保護膜4の光透過性の向上が可能となる。
グリッド電極5および保護膜4によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続部45を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続部45は、保護膜4の延在部分4aと、その上に形成された連結部5bからの垂下部分5cとによって構成される。これにより、光電変換装置21においては、隣り合う光電変換セル10の一方の下部電極層2と、他方の保護膜4およびグリッド電極5とが、第2溝部P2に設けられた接続部
45が接続導体とされて、電気的に直列接続されている。
グリッド電極5は、良好な導電性を確保しつつ、光吸収層31への光の入射量を左右する受光面積の低下を最小限にとどめるという観点から言えば、50μm〜400μmの幅を有することが好ましい。
なお、グリッド電極5のうちの少なくとも連結部5bの表面は、光吸収層31が吸収する波長領域の光を反射する材質によって形成されることが好ましい。このような構成は、例えば、透光性の樹脂に光反射率の高い銀等の金属粒子を添加したり、あるいは、アルミニウムなどの光反射率の高い金属を連結部5bの表面に蒸着することなどによって形成可能である。この場合、光電変換装置21がモジュール化された際、連結部5bにおいて反射した光を、光電変換モジュール20内で再び反射させて光吸収層31に再度入射させることが出来るので、光吸収層31に対する光の入射量が増大し、ひいては光電変換装置21における光電変換効率が向上する。
好ましくは、グリッド電極5のうちの少なくとも集電部5aは、半田を含むことが好ましい。これにより、グリッド電極5について、曲げ応力に対する耐性が高められるとともに、電気抵抗をより低下させることができる。
より好ましくは、グリッド電極5は、融点の異なる金属を2種以上含み、少なくとも1種の金属を溶融させない温度で加熱して、他の少なくとも1種の金属を溶融させた後に冷却によって硬化させることで、形成されることが好ましい。この場合、形成過程において低い融点の金属が溶融するので、グリッド電極5は緻密化され、低抵抗化される。その際、溶融していない高融点の金属によって、溶融した金属の広がりが抑制される。
<(3)突起部の構成>
図4は、突起部6の構成を示す模式図であり、突起部6の一部分およびその周辺に着目した図である。
突起部6は、保護膜4、すなわち光電変換セル10の表面上に、複数の針状結晶61が設けられて構成されている。つまり、突起部6は、複数の針状結晶61が配列されてなる配列体である。図4では、保護膜4の表面上に針状結晶61が設けられている様子が示されているが、図1でも示されるように、グリッド電極5の表面上にも、複数の針状結晶61が設けられている。このような突起部6は、光電変換セル10の受光面側に設けられるため、反射防止膜の機能を果たす。
針状結晶61は、例えば、金属酸化物によって構成される。また、針状結晶61は、封止膜7がエステル結合を有するような樹脂、例えば、EVAで構成されている場合、受酸機能を有する金属酸化物で構成されるほうが好ましい。上述したEVAは、徐々にではあるが、高温時の湿気および/または水の透過によって経時的に加水分解して酢酸(酸)を生じる。そのため、受酸機能を有する金属酸化物で突起部6(針状結晶61)であれば、発生した酸を該突起部6で補足できるため、光電変換装置21の腐食の発生を低減できる。このような金属酸化物としては、ZnO(酸化亜鉛)、MgO(酸化マグネシウム)、および酸化亜鉛と酸化マグネシウムとが混合されたものなどが挙げられる。すなわち、針状結晶61は、ZnO、およびMgOのうちの少なくとも一方の金属酸化物を含む金属酸化物の結晶によって構成されても良いし、ZnOとMgOの混晶(ZnxMg(1-x)O[0≦x≦1])を含んで構成されても良い。
なお、ZnOとMgOとを比較すると、ZnOよりもMgOの方が、塩基性が強く、受酸の能力が高い。また、紫外線の透過率についても、MgOの方が高い。ただし、MgO
の方が水を吸収しやすい。このため、針状結晶61の耐水性の確保および突起部6の剥離などを防いでZnOとMgOの双方の特性が活かされる観点から言えば、針状結晶61が、ZnOの結晶とMgOの結晶とが混在する形態、またはZnOとMgOの混晶によって構成されることが好ましい。また、突起部6の特性の均一化を図る観点から言えば、針状結晶61が、ZnOとMgOの混晶によって構成されることが好ましい。
針状結晶61は、それぞれが同じ方向に延びていてもよく、それぞれがランダムな方向に延びていてもよい。光電変換セルに入射される光の反射をより低減しつつ、封止膜7から光電変換セル10への酸の侵入をより有効に抑制するという観点からは、針状結晶61はそれぞれがランダムな方向に延びて実質的に光電変換セル10の表面を覆っているのがよい。また、針状結晶61は光電変換セル10側が高密度になっていることが好ましい。これにより、突起部6の厚み方向で屈折率を変化させて反射による光損失を抑制することができ、封止膜7から突起部6を経て光電変換セル10へ低損失で光を進行させることができる。よって、光電変換効率を高めることができる。
このように光電変換セル10側が高密度となった針状結晶61は、例えば、光電変換セル10の受光面側の表面に対して垂直に延びる第1針状結晶61Aと、光電変換セル10の受光面側の表面から該表面の法線方向に対して傾いた方向に延びる第2針状結晶61Bとによって構成されている。
具体的には、第1針状結晶61Aは、光電変換セル10(具体的には、保護膜4およびグリッド電極5)の受光面側の表面上に互いに離間して位置している複数の起点6pの各々から、光電変換セル10の受光面側の表面に対してほぼ90°の角度をなして、光電変換セル10の受光面側の表面に対して垂直に延びている。第2針状結晶61Bは、複数の起点6pの各々から、光電変換セル10(具体的には、保護膜4およびグリッド電極5)の受光面側の表面に垂直な方向を含むより広い角度範囲(例えば、受光面側の表面とのなす角度が0°〜90°)内の方向に延びている。そして、第2針状結晶61Bの長さは、第1針状結晶61Aの長さよりも短い。また、第1および第2針状結晶61A,61Bにおいては、長手方向とc軸とが一致しており、各第1針状結晶61Aは、ほぼ同じ長さを有している。
1つの起点6pからは、単数または複数の第1針状結晶61A、および単数または複数の第2針状結晶61Bが延びている。隣接する2つの第1針状結晶61Aの間には、間隙がある。任意の起点6pから延びる第2針状結晶61Bの先端(起点6pとは反対側)は、その起点6pに隣接する他の起点6pから延びる針状結晶61(第1針状結晶61Aまたは第2針状結晶61B)の側面に当接もしくは近接している。
また、突起部6は、光電変換セル10側の部分を構成する下部領域6aと、光電変換セル10とは反対側の部分を構成する上部領域6bとを有する。第2針状結晶61Bは、光電変換セル10の受光面に垂直な方向に関して、下部領域6aには存在するが、上部領域6bには存在していない。このため、光電変換セル10の受光面に平行な面を占める針状結晶61の断面(面積)の割合は、上部領域6bよりも下部領域6aで高くなっている。すなわち、突起部6は、光電変換セル10の受光面(受光側の表面)と平行な断面における面積が光電変換セル10側よりも、光電変換セル10と反対側(上部領域6b)に位置する先端部の方が小さくなっている。換言すれば、下部領域6aにおいて配設されている針状結晶61(具体的には、第1および第2針状結晶61A,61B)の密度(配設密度)が、上部領域6bにおける針状結晶61(具体的には、第1針状結晶61A)の配設密度よりも高くなっている。
針状結晶61の配向性は、上部領域6bに比べて下部領域6aの方が低い。針状結晶6
1は、全体として(少なくとも上部領域6bでは)c軸配向している(c軸が特定の方向(光電変換セル10の受光面に垂直な方向)に沿って延びるものの頻度が高い)。
そして、光電変換セル10の表面のうちの第1針状結晶61Aで覆われていない露出部は、第2針状結晶61Bによって実質的に(完全に)覆われている。すなわち、光電変換セル10の受光側の表面は、針状結晶61(具体的には、第1および第2針状結晶61A,61B)によって、ほぼ完全に覆われている。換言すれば、光電変換セル10の表面の全面が、針状結晶61によって覆われている。したがって、突起部6の存在によって、封止膜7と光電変換セル10とが分離され、封止膜7と光電変換セル10の表面とが接触していない。
なお、図4では、図示の関係上で、第1針状結晶61Aの長さが、第2針状結晶61Bの長さの3倍程度であるように示されているが、突起部6によって封止膜7と光電変換セル10とを分離する観点から言えば、隣り合う第1針状結晶61Aの離間距離は、例えば0.1μm以下と短い方が好ましい。このとき、例えば、第1針状結晶61Aの長さが、第2針状結晶61Bの長さの10倍以上とされるとともに、突起部6の厚みが0.5μm〜2μmとされ且つ下部領域6aの厚みが50nm以下とされる。
針状結晶61は、例えば、ZnOによって構成された、n型半導体の結晶である。光電変換セル10と針状結晶61との間(主として、起点6p付近)には、酸化亜鉛の結晶からなる複数の微小領域9が存在している。各微小領域9の結晶方位は、ランダムであり、針状結晶61の結晶方位とは必ずしも一致していない。
上述した針状結晶61の配列体からなる突起部6は、封止膜7と接触する表面積が大きいため、受酸機能を有する突起部6であれば、封止膜7で発生し得るより多くの酸の捕捉が可能である。また、下部領域6aにおける針状結晶61の配設密度が高いため、封止膜7から光電変換セル10への酸の侵入がより確実に抑制される。
<(4)光電変換モジュールの製造方法>
次に、上記構成を有する光電変換モジュール20の製造方法について説明する。具体的には、光電変換装置21の形成方法について説明した後に、突起部6の形成方法について説明する。
<(4-1)光電変換装置の製造方法>
以降においては、I-III-VI族化合物半導体からなる光吸収層31が塗布法あるいは印刷法を用いて形成され、さらにバッファ層32が形成される場合を例として説明する。
図5から図10は、光電変換装置21の製造途中の様子を示す断面図である。なお、図5から図10で示される断面図は、図3で示される断面に対応する部分の製造途中の様子を示す。
まず、図5で示されるように、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法などが用いられて、Moなどからなる下部電極層2が成膜される。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1が形成される。第1溝部P1には、YAGレーザーその他のレーザー光が走査されつつ形成対象位置に照射されることで溝加工が行われる、スクライブ加工によって形成されることが、好適である。図6は、第1溝部P1が形成された後の状態を示す図である。
第1溝部P1が形成された後、下部電極層2の上に、光吸収層31とバッファ層32と
が順次に形成される。図7は、光吸収層31およびバッファ層32が形成された後の状態を示す図である。
光吸収層31については、光吸収層31を形成するための溶液が下部電極層2の表面に塗布され、乾燥によって皮膜が形成された後、該皮膜が熱処理されることで、形成される。光吸収層31を形成するための溶液は、カルコゲン元素含有有機化合物と塩基性有機溶剤とを含む溶媒(単に混合溶媒とも言う)に、I-B族金属およびIII-B族金属を直接溶
解することで作製され、I-B族金属およびIII-B族金属の合計濃度が10wt%以上の
溶液とされる。なお、この溶液の塗布には、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、ダイコータなどの種々の方法の適用が可能である。
カルコゲン元素含有有機化合物とは、カルコゲン元素を含む有機化合物である。カルコゲン元素とは、VI-B族元素のうちのS、Se、Teをいう。カルコゲン元素含有有機化
合物としては、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニド、ジセレニド等が挙げられる。
例えば、ベンゼンセレノールを、ピリジンに対し100mol%となるように溶解させた混合溶媒に、地金の銅、地金のインジウム、地金のガリウム、および地金のセレンを直接溶解させることによって作製された溶液が、ブレード法によって塗布され、乾燥されて皮膜が形成された後、水素ガスの雰囲気下で熱処理が実施される工程が好適である。
金属を混合溶媒に直接溶解させるというのは、単体金属または合金の地金を、直接、混合溶媒に混入し、溶解させることをいう。乾燥は、還元雰囲気下で行われることが望ましい。乾燥温度は、例えば、50℃〜300℃である。熱処理は、酸化を防止して良好なI-III-VI化合物半導体が得られるように、還元雰囲気で行われることが好ましい。還元雰囲気は、窒素雰囲気、フォーミングガス雰囲気、および水素雰囲気のうちの何れかであることが望ましい。熱処理温度は、例えば、400℃〜600℃とされる。
バッファ層32は、溶液成長法(CBD法)によって形成される。例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とをアンモニアに溶解させ、これに光吸収層31の形成までが行われた基板1が浸漬されることで、光吸収層31にCdSからなるバッファ層32が形成される工程が好適な一例である。
光吸収層31およびバッファ層32が形成された後、バッファ層32の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2が形成される。第2溝部P2は、例えば、40μm〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針を用いたスクライビングを、ピッチをずらしながら連続して数回にわたり行うことによって形成される。また、スクライブ針の先端形状を第2溝部P2の幅に近い程度にまで広げたうえでスクライブすることによって第2溝部P2が形成されても良い。あるいは、2本以上のスクライブ針が相互に当接又は近接した状態で固定され、1回〜数回のスクライブを行うことによって形成されても良い。図8は、第2溝部P2が形成された後の状態を示す図である。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向にずれた位置に形成される。
第2溝部P2が形成された後、バッファ層32の上に、例えば、錫を含んだ酸化インジウム(ITO)などを主成分とする透明の保護膜4が形成される。保護膜4は、スパッタ法、蒸着法、またはCVD法などで形成される。図9は、保護膜4が形成された後の状態を示す図である。
保護膜4が形成された後、グリッド電極5が形成される。グリッド電極5については、
例えば、Agなどの金属粉を樹脂バインダーなどに分散させた導電ペーストをパターン状に印刷し、これを乾燥し、固化することで形成される。なお、固化というのは、導電ペーストに用いるバインダーが熱可塑性樹脂である場合の熔融後の固化状態を含み、バインダーが熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの硬化性樹脂である場合の硬化後の状態をも含む。図10は、グリッド電極5が形成された後の状態を示す図である。
グリッド電極5が形成された後、保護膜4の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3が形成される。第3溝部P3の幅は、例えば、40μm〜1000μm程度であることが好適である。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビングによって形成されることが好適である。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図2および図3で示された光電変換装置21が形成されたことになる。
<(4-2)突起部の形成方法>
次に、突起部6の形成方法について説明する。突起部6の形成については、本願出願人が提案する技術(国際公開第2006/129650号参照)に係る下記形成方法の利用が可能である。
突起部6は、所定のめっき液を用いた無電解めっき法によって、光電変換装置21の受光面側の表面(保護層4およびグリッド電極5の表面)に、針状結晶61を成長させることで形成される。所定のめっき液は、X1OH(式中、X1は、Na、KおよびCsのいずれかを表す)、X2 2CO3(式中、X2は、Na、KおよびCsのいずれかを表す)、およびNH3からなる群の中から選ばれる少なくとも1種のアルカリを含み、かつpH13以上のめっき液である。また、めっき液は、ヘキサメチレンテトラミンなどのアミンを含む溶液であってもよい。この無電解めっき法では、針状結晶61は、表面に水酸基を有する物質を触媒として成長する。このように、めっき法では、比較的、アルカリ性が強いめっき液を使用するため、光電変換セル10、特に、光電変換層3の一部が溶ける場合がある。これに対し、本実施形態では、光電変換セル10上に設けた保護膜4により上記めっき液によって生じる光電変換セルの劣化を抑制することができる。
針状結晶61が成長する領域の下地は、複数の結晶粒であって、結晶方位がランダムである結晶粒からなること、および表面が親水性で且つ非晶質であることのいずれかの要件を満たすものである。なお、上記下地が複数の結晶粒によって構成される場合、結晶粒と結晶粒との間には、非晶質のマトリクスが存在していてもよい。これらのいずれかの要件を、めっきの対象となる光電変換装置21の受光面側の表面(以下、めっき対象表面とも言う)の部分自体が満たしている場合は、めっき対象表面の部分を下地として針状結晶61を成長させることができる。
また、無電解めっきを行う前に、めっき対象表面に、上記いずれかの要件を満たす下地としての粒子を配置するようにしてもよい。この粒子は、例えば、微小領域9と同じ材料からなる。この場合、無電解めっきを行う工程において、下地として配置された粒子を核(シード)として、針状結晶61が成長する。この場合、配置される粒子の密度によって、成長する針状結晶61の配設密度が制御される。
このような粒子をめっき対象表面に配置せずに無電解めっきを行う場合は、光電変換装置21の受光面側の表面を構成する素材自体が、表面に水酸基を有する物質(構造式中にOH基を含有する物質であるか、水などに接触した際に表面にOH基を形成する物質であるかを問わない)である必要がある。一方、下地としての粒子がめっき対象表面に配置されてから、無電解めっきが行われる場合は、該粒子が表面に水酸基を有する物質で構成されればよく、めっき対象表面を構成する素材自体は、表面に水酸基を有する物質でなくて
もよい。
また、無電解めっきによる針状結晶61の形成温度は、60℃〜100℃、好ましくは70℃〜90℃であり、CVD法やパルスレーザー堆積法が採用される場合のように、めっき対象表面が高温で保持される必要がない。
この無電解めっき法によれば、複雑な表面形状を有するめっき対象表面にも均一な針状結晶61の配列体が形成可能であるとともに、めっき対象表面に導電性が無くても針状結晶61の配列体の形成が可能である。
さらに、上記形成方法によれば、針状結晶61は、めっき対象表面上の起点(この形成方法がめっき対象表面に下地としての粒子を配置する工程を含む場合は、この粒子が起点となる)から、様々な方向に針状結晶61が成長する。
針状結晶61が成長する方向は、針状結晶61が成長する起点となる部分の結晶方位または結晶性にも依存する。例えば、めっき対象表面が水酸基を有する場合は、めっき対象表面が針状結晶61の成長の起点となり得るが、めっき対象表面に係る結晶方位が揃っている場合は、針状結晶61の成長時の結晶方位が揃ってしまうことがある。
このため、針状結晶61が成長する起点となる部分は、結晶性を示し、かつランダムな結晶方位を有するか、または結晶性を示さないことが好ましい。例えば、微小領域9と同じ材料からなる粒子(表面水酸基を有する物質)が、結晶性を示し、かつランダムな結晶方位を有するもの、または結晶性を示さないものである場合、核となる粒子から成長する針状結晶61の結晶方位がランダムとなる。ただし、核となる粒子が結晶性を有していても、ある粒子の結晶方位と、該粒子から成長する針状結晶61の結晶方位とは、必ずしも一致しない。
針状結晶61が、ランダムな方向に成長する場合、隣接し合う針状結晶61が相互に立体障害となって結合し合い、その結果、下部領域6aによって、めっき対象表面が実質的に覆われる。
ここで、めっき対象表面に粒子を配置する際、例えば、針状結晶61の成長の起点となる粒子(微粒子)が分散したコロイド溶液を、めっき対象表面にディップコート、スプレーコート、スピンコート、または滴下すると、通常、該粒子の結晶方位が揃わない。その結果、めっき対象表面上に、結晶方位がランダムな粒子が配置される。
また、任意の起点から、めっき対象表面に垂直な方向から大きく異なる方向に成長する第2針状結晶61Bは、隣接する他の起点から成長する針状結晶61に阻まれて、長くは成長することができない。その一方で、めっき対象表面にほぼ垂直な方向に成長する第1針状結晶61Aは、他の針状結晶61に阻まれることなく長く成長することが可能である。このようにして、突起部6の全体としては、針状結晶61の長手方向の向きが揃う。したがって、例えば、針状結晶61の長手方向とc軸とが一致している場合は、針状結晶61の配列体は、c軸配向することになる。
また、めっき対象表面を針状結晶61からなる突起部6で実質的に覆うには、成長の起点がある程度密に存在することが必要である。以下では、成長の起点が粒子(微粒子)であるものとして、成長の起点をある程度密に存在させる方法について説明する。
ZnOからなる針状結晶61の配列体が形成される場合、成長起点となる粒子(ZnOからなる微粒子)は、例えば、酢酸亜鉛2水和物(ZnOの前駆体)を溶解したエタノー
ル溶液をめっき対象表面にスピンコートして、該めっき対象表面を加熱(焼成)し、酢酸亜鉛を熱分解することによって形成される。ここでは、加熱温度によって、非晶質のZnOからなる微粒子、および/または、結晶質で且つ結晶方位がランダムであるZnOからなる微粒子が得られる。また、結晶質で且つ結晶方位がランダムであるZnOからなる微粒子の間に、ZnOからなる非晶質のマトリクスが存在する状態も生じ得る。
この場合、エタノール溶液中の酢酸亜鉛2水和物の濃度を、約0.001モル/リットル〜約0.1モル/リットルとすることにより、成長すべき針状結晶61がめっき対象表面を実質的に覆う程度に、ZnOからなる微粒子を密に存在(例えば、薄膜を構成するように存在)させることができる。エタノール溶液中の酢酸亜鉛2水和物の濃度が低すぎる場合、めっき対象表面に形成される微粒子の密度が低くなりすぎ、針状結晶61がめっき対象表面を実質的に覆わない。ただし、スピンコートおよび熱分解の実施回数を増やすことで、上記濃度が0.001モル/リットル以下であっても、針状結晶61がめっき対象表面を密に覆う程度に、針状結晶61の成長起点となる微粒子を密に存在させることが可能となる。
しかし、この場合、微粒子が部分的に凝集し、凝集した微粒子の上に針状結晶61が形成され、めっき対象表面と針状結晶61(すなわち突起部6)との密着強度が高まらない。このため、針状結晶61の剥がれなどによって、めっき対象表面が露出する場合がある。したがって、スピンコートの回数を、1回〜5回とすることが好ましい。
ここで、ZnOからなる針状結晶61が成長する際、ZnOからなる微粒子は、該針状結晶61に取り込まれる。このため、針状結晶61の成長開始時において針状結晶とめっき対象表面とが直接接触していない場合であっても、針状結晶61の成長が完了するまでには、針状結晶61とめっき対象表面とが直接接触し得る。そして、針状結晶61の成長が完了した時点では、針状結晶61とめっき対象表面とが直接接触している面積がある程度大きければ、めっき対象表面と針状結晶61との密着強度が高まる。
しかしながら、エタノール溶液中の酢酸亜鉛2水和物の濃度が0.1モル/リットル程度よりも高い場合、凝集した微粒子上に針状結晶61が形成されてしまう。この場合、針状結晶61の成長が完了した時点において、めっき対象表面と針状結晶61の配列体との接触面積が小さくなるか、めっき対象表面と針状結晶61の配列体とが接触しない。このため、めっき対象表面と針状結晶61との密着強度が低下し、針状結晶61の剥がれが発生する。その結果、めっき対象表面が露出してしまい、針状結晶61の配列体によってめっき対象表面を実質的に覆うことができない。
酢酸亜鉛2水和物が溶解しているエタノール溶液をめっき対象表面にスピンコートした後の加熱の温度が、180℃〜500℃であれば、めっき対象表面上においてZnOからなる微粒子が得られる。この温度範囲のうちでも、低い温度で加熱する場合は、ZnOからなる微粒子を得るために要する加熱時間が長くなる。なお、用いた塩(前駆体)が分解して、目的の材料からなる粒子が得られるのであれば、熱分解(マイクロ波加熱によるものを含む)の代わりに、加水分解、脱水縮合、プラズマ照射などが行われてもよい。
また、この形成方法が、めっき対象表面に上記粒子を配置する工程を含む場合は、針状結晶61の成長完了後、上記粒子の一部が、微小領域9として残ることがある。この場合、微小領域9により、針状結晶61とめっき対象表面との密着性を向上させることができる。そして、無電解めっきに先立ってめっき対象表面上に配置される上記粒子の密度により、めっき対象表面と針状結晶61の配列体との密着強度を制御することができる。
さらに、この形成方法では、例えば、無電解めっきを行う時間を制御することにより、
針状結晶61の長さや密度を制御することができる。また、針状結晶61は、複数回の無電解めっきにより、繰り返し成長させてもよい。
上述した形成方法により、高い密度で針状結晶61が形成された突起部6が形成される。図11は、上記形成方法によって形成された多数の針状結晶61からなる針状結晶61の配列体の具体例を示す図である。図11では、針状結晶61の配列体を側方から走査電子顕微鏡によって撮影することで得られた写真(SEM写真とも言う)が示されている。ここでは、針状結晶61の配列体の厚みが、1.2μm〜1.3μm程度であり、且つ下部領域6aに相当する配列体の厚みが、50nm以下となっている。なお、第1針状結晶61Aの先端側から撮影したSEM写真によって測定した上部領域6bにおける第1針状結晶61Aの密度は、例えば、1μm×1μmの投影面積あたり1000本以上となる。
なお、このようにして形成される突起部6の上に、例えば、EVAおよび架橋剤を含むEVA組成物を加熱圧延して成膜することによって封止膜7が形成される。その後、封止膜7の上に保護基板8が積層されて、例えば、135℃〜180℃程度の温度で加熱加圧してEVAを架橋によって硬化させ、封止膜7と保護基板8とが接着一体化される。これにより、光電変換装置21、突起部6、封止膜7、および保護基板8が積層されて一体化された光電変換モジュール20が得られる。
<(5)一実施形態のまとめ>
以上のように、一実施形態に係る光電変換モジュール20では、光電変換装置21の表面に、受酸機能を有する針状結晶61からなる突起部6が設けられる。この突起部6は、エステル結合を有する樹脂を含む封止膜7が加水分解して生じる酸を捕捉する。このため、酸が光電変換装置21を腐食する不具合の発生が防止される。また、針状結晶61は、結晶質であるために光透過性も良好であるとともに、針状結晶61の配列体からなる突起部6では、封止膜7側の表面積も大きいため、より多くの酸の捕捉が可能である。したがって、透明性を確保しつつ、受酸による劣化防止の機能が高められる。これにより、光電変換モジュール20における出力特性の確保と耐久性の向上との両立が図られる。
また、封止膜7から光電変換セル10への酸の浸入をより確実に防止する観点から言えば、突起部6は、光電変換セル10側において針状結晶61の配設密度が高い下部領域6aを有することが好ましい。そして、この下部領域6aが光電変換セル10の表面を実質的に覆っていることがより好ましく、封止膜7が突起部6の存在によって光電変換セル10の表面と接触していないことが更に好ましい。
<(6)変形例>
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
上記一実施形態では、主として、光電変換を担う層が、カルコパイライト系のI-III-VI族化合物にて構成された場合を対象に説明しているが、これに限られない。例えば、光電変換セルと封止膜との間に受酸機能を有する針状結晶からなる突起部を設けることによる、光電変換モジュールにおける出力特性の確保と耐久性の向上との両立は、Si多結晶基板や単結晶基板その他の光電変換材料を用いた光電変換モジュールにおいても、同様に実現可能である。また、例えば、陽極と負極とをともに非受光面側に設けたバックコンタクト型の光電変換装置などにおいても、本発明は適用可能である。
次に、Si多結晶基板を光電変換セルとして用いた光電変換モジュールについて説明する。
光電変換モジュール200は、図12に示すように、複数の光電変換セル100と、隣り合う光電変換セル100同士を電気的に接続するインナーリード110と、を備えている。さらに、光電変換モジュール200は、光電変換モジュールを封止する封止材120と、光電変換セル100の受光側に位置する保護基板130と、光電変換セル100の非受光側に位置する保護シート140と、を備えている。
光電変換セル100は、図13および図14に示すように、Si多結晶基板101の受光面に上部電極に相当するバスバー電極102およびフィンガー電極103が設けられている。また、光電変換セル100は、図13および図15に示すように、Si多結晶基板101の非受光面に下部電極に相当する集電電極104およびバスバー電極102が設けられている。そして、Si多結晶基板101の受光面には、保護膜105が設けられており、該保護膜105上に突起部106が設けられている。
Si多結晶基板101は、例えば、p型のシリコン基板の表面にリン等を拡散させることにより、表層部にn層が形成されている。それゆえ、Si多結晶基板101には、pn接合が形成されており、光電変換部として機能する。
Si多結晶基板101の受光面側におけるバスバー電極102は、フィンガー電極103で収集したキャリアを外部に取り出す機能を有している。一方で、Si多結晶基板101の受光面側におけるバスバー電極102は、集電電極104で収集したキャリアを外部に取り出す機能を有している。バスバー電極102およびフィンガー電極103は、例えば、銀ペースト等をスクリーン印刷して形成できる。また、Si多結晶基板101の非受光面における集電電極104は、例えば、アルミニウムペースト等をスクリーン印刷して形成できる。そのため、非受光面側のバスバー電極102は、集電電極104を形成した後、銀ペースト等をスクリーン印刷して形成すればよい。
保護膜105は、金属窒化物および金属酸化物のうち少なくとも一方を含んで構成されている。金属窒化物としては、例えば、窒化珪素(Si)等が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。このような保護膜105は、例えば、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)法、蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成できる。
このような保護膜105は、突起部6をめっき法で形成する際に、めっき液から光電変換部(Si多結晶基板101)を保護することができるとともに、受光面における光の反射を抑制することができる。
インナーリード110は、一方の光電変換セル100の受光面におけるバスバー電極102と、他方の光電変換セル100の非受光面におけるバスバー電極102と、を半田等を介して電気的に接続する機能を有する。インナーリード110は、例えば、半田がコーティングされた銅箔などによって構成される。
封止材120は、上述した実施形態と同様に、EVAなどによって構成される。また、保護基板130は、上述した実施形態と同様に、ガラス基板などによって構成される。保護シート140は、光電変換モジュール200の裏面側からの水分の侵入を抑制するものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂シートによって構成される。
なお、上述したいずれの実施形態においても光電変換セルの非受光面側において、光電変換セルと封止膜(封止材)との間に受酸機能を有する針状結晶からなる突起部が設けられれば、非受光面側における光電変換セルの腐食を抑制できる。
1:基板
2:下部電極層
3:光電変換層
4、105:保護膜(上部電極層)
5:グリッド電極
6、106:突起部
6a:下部領域
6b:上部領域
7:封止膜
8、130:保護基板
10、100:光電変換セル
20、200:光電変換モジュール
21:光電変換装置
31:光吸収層
32:バッファ層
45:接続部
61:針状結晶
61A:第1針状結晶
61B:第2針状結晶
101:Si多結晶基板
102:バスバー電極
103:フィンガー電極
104:集電電極
110:インナーリード
120:封止材
140:保護シート

Claims (6)

  1. 受光面を有する光電変換セルと、
    前記受光面上に設けられた保護膜と、
    該保護膜上に設けられた複数の突起部とを有しており、
    前記保護膜は、金属酸化物および金属窒化物のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする光電変換モジュール。
  2. 前記保護膜は前記金属窒化物を含み、該金属窒化物は、窒化珪素を含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換モジュール。
  3. 前記保護膜は前記金属酸化物を含み、該金属酸化物は、酸化インジウムスズを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光電変換モジュール。
  4. 前記突起部は、前記受光面と平行な断面における面積が前記光電変換セル側よりも、前記光電変換セルと反対側に位置する先端部の方が小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光電変換モジュール。
  5. 前記突起部は、針状結晶から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光電変換モジュール。
  6. 前記突起部は、材質に酸化亜鉛および酸化マグネシウムのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光電変換モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016127179A (ja) * 2015-01-06 2016-07-11 三菱電機株式会社 薄膜太陽電池およびその製造方法

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