JP2012049343A - シリコン酸化膜のパターニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン酸化膜を、簡便で低コストに、パターニングする方法を提供する。
【解決手段】本発明は、基板上に油性インクのパターンを形成する工程と、前記油性インクのパターンが形成された基板上に有機ケイ素ポリマーを塗布する工程と、ホットプレート法により、前記基板上に形成された前記有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、前記油性インクを分解することにより油性インクのパターン上のシリコン酸化膜を剥離し、前記油性インクのパターンとは逆のパターン形状を有するシリコン酸化膜のパターンを形成する工程と、前記シリコン酸化膜のパターンが形成された基板を洗浄して、前記分解した油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去する工程と、を有することを特徴とするシリコン酸化膜のパターニング方法である。
【選択図】図2b

Description

本発明は、シリコン酸化膜のパターニング方法に関する。より詳しくは、基板上に、ホットプレート法を用いて、シリコン酸化膜(例えば、電子デバイス等に使用するゲート絶縁膜や層間絶縁膜などのシリコン系絶縁膜)を形成すると同時に、パターニングすることのできる簡便なシリコン酸化膜のパターニング方法に関するものである。
近年の急激な情報通信技術の発展に伴い、ディスプレイなどに用いられるTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)はなくてはならないものになっている。このTFTの性能は界面特性や絶縁膜の絶縁性が重要となっている。また、低コスト化のためにできるだけ低温で作製することが要求され、現在、ゲート絶縁膜(薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極と半導体層との間に形成される絶縁膜)に用いられるシリコン酸化膜は、主にTEOSを用いたCVD法やゾルゲル法によって作製されている。
また、近年、より生産効率を向上させるため、基板上に印刷法で電子デバイスを作製することが望まれている。そのためには、半導体層や絶縁層などの構成部品をすべて低温で印刷法により作製しなければならないが、絶縁層に関しては、従来のCVD法やゾルゲル法は、信頼性の高い材料で低温形成することは困難であった。
上記のような背景から、良質な絶縁膜を低温で簡便に作製する方法として、ホットプレート法という新しい方法で絶縁膜であるシリコン酸化膜を作製する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法は有機ケイ素ポリマー(シリコーンオイル)を大気中でオゾンと反応させる方法である。
ホットプレート法を用いてシリコン酸化膜を形成したのち、シリコン酸化膜をパターニングするには、従来のフォトリソグラフィ工程が行われている。フォトリソグラフィは、半導体製造分野で広く実施されているパターン加工方法であり、フォトレジストを基板や半導体材料層上に塗布し、その上にパターン加工したマスクを配置して、フォトレジストを露光し、フォトレジストにパターンを転写する。次いで、フォトレジストを現像してパターンを形成し、露出した基板や半導体材料層等の下層をエッチングにより削り出して、パターンを形成し、最後にフォトレジストを取り除く。このようにして、基板や半導体材料層を微細なパターンに加工することができる。
Low Temperature Formation of Si Oxide Thin Film for TFT by Reaction of Organosilicon polymer and Low Concentration Ozone Gas,Kensuke Nishioka,Kouichi Toriyabe and Susumu Horita,3rd Internationanal TFT Conference,Proceedings p148−151,Rome,Italy,2007/1/25−26
上記のフォトリソグラフィ技術は、微細なパターン加工が可能な反面、工程数が多く専用の設備を必要とするため、高コストであり半導体製造にかかる時間も長くなる。そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決すること、すなわち、フォトリソグラフィ技術に代替し得る、より簡便で低コストかつ微細加工可能なシリコン酸化膜のパターニング方法を提供することを目的とする。さらに、本発明の今一つの目的は、上記した新しいホットプレート法により製造したシリコン酸化膜に適用し得る、より簡便で低コストかつ微細加工可能なパターニング方法の提供である。
すなわち、本発明によれば、基板上に油性インクのパターンを形成する工程と、前記油性インクのパターンが形成された基板上に有機ケイ素ポリマーを塗布する工程と、ホットプレート法により、前記基板上に形成された前記有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、前記油性インクを分解することにより油性インクのパターン上のシリコン酸化膜を剥離し、前記油性インクのパターンとは逆のパターン形状を有するシリコン酸化膜のパターンを形成する工程と、前記シリコン酸化膜のパターンが形成された基板を洗浄して、前記分解した油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去する工程と、を有することを特徴とするシリコン酸化膜のパターニング方法が提供される。
本発明は、より簡便で低コストなパターニング方法として、オゾンが油性インクを分解することに着目し、油性インクをホットプレート法でシリコン酸化膜を形成する際にマスクの代わりに使用し、シリコン酸化膜をパターニングしつつ形成する点に特徴を有する。
本発明によれば、従来のフォトリソグラフィ技術に比較してより簡便で低コストな方法で、シリコン酸化膜形成と同時にそのシリコン酸化膜のパターニングができる。その結果、シリコン酸化膜のパターニングのためのフォトリソグラフィ工程を省くことができ、フォトリソグラフィの設備や工程にかかる大幅なコスト削減をし得る。それだけでなく、フォトリソグラフィ工程の排出する排出熱量および廃棄物が削減できるために、環境負荷も少なくし得る。
さらに、本発明のパターニング方法は、マスクの代わりに安価な油性インクを使用するので、原料コストも低減し得る。また、油性インクを使用することにより、印刷法によりパターンを塗布することが可能になる。そのため、微細なパターンを精度よく大量に形成することができる。すなわち、本発明によれば、シリコン酸化膜のパターニング工程は簡単かつ短時間になり、製品の生産効率が向上でき、かつ、微細加工が可能であって、大量生産に適している。
本発明のシリコン酸化膜の形成に用いることのできる製法の1つである、ホットプレート法に用いる装置の代表的な一実施形態を表した装置概略図である。 実施例1において、基板上に油性インクでパターンを描いた段階で、肉眼で観察したときのデジタルカメラによる撮像を示す図である。 図2aにおける基板をホットプレート法によりシリコン酸化膜を形成した段階で、肉眼で観察したときのデジタルカメラによる撮像を示す図である。 実施例1で形成したシリコン酸化膜を光学顕微鏡で観察した像を示す図である。 実施例1で形成したシリコン酸化膜を備える基板をSEMで観察した像を示す図である。 実施例1においてオゾン散布前後の基板をフーリエ変換赤外吸収分光法(FT−IR)を用いて測定したスペクトルを表した図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明のシリコン酸化膜のパターニング方法は、
基板上に油性インクのパターンを形成する工程と、
前記油性インクのパターンが形成された基板上に有機ケイ素ポリマーを塗布する工程と、
ホットプレート法により、前記基板上に形成された前記有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、前記油性インクを分解することにより油性インクのパターン上のシリコン酸化膜を剥離し、前記油性インクのパターンとは逆のパターン形状を有するシリコン酸化膜のパターンを形成する工程と、
前記シリコン酸化膜のパターンが形成された基板を洗浄して、前記分解した油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明は、まず、従来不可欠であったフォトリソグラフィ技術によらずシリコン酸化膜のパターニングができる。しかも、シリコン酸化膜形成後にパターンを刻むのではなく、シリコン酸化膜自体をパターニングしながら形成してゆく。そのため、フォトリソグラフィ技術を利用するよりも簡便で低コストなパターニング方法である。このことは、形成すべきパターンを油性インクで直接基板上に描画し、有機ケイ素ポリマーを塗布した後、ホットプレート法でシリコン酸化膜を形成することにより実現できる。その際、油性インクで描画した上にも有ケイ素ポリマーは一様に塗布される。この状態の基板にオゾンを散布すると、油性インクの塗布されていない部分の有機ケイ素ポリマーは、オゾンから生じる原子状酸素により酸化されてシリコン酸化膜を形成する。その一方で、油性インクを塗布した部分、すなわち油性インク上の有機ケイ素ポリマーは、その下の油性インクがオゾンにより分解される際、形成されつつあるシリコン酸化膜が油性インクの分解と共に剥離する。したがって、油性インクの描画パターンとは逆のパターン形状、すなわち反転したパターン形状を有するシリコン酸化膜が得られる。
また、フォトリソグラフィ工程に比較してパターニングに要するエネルギー量が少なくてすみ、これにより発生する二酸化炭素量も低減することができる。さらに、油性インクやシリコーンオイルに代表される有機ケイ素ポリマーは、通常エッチングに使用するアルカリやフッ素含有ガスに比較して、人体に悪影響のない材料である。その結果、本発明の方法は、安価な生産コストで、低環境負荷で地球環境にも優しく、かつ、作業環境も安全なものとなる。
以下、本発明につき工程ごとに説明する。
(1)基板上に油性インクのパターンを形成する工程
最初の工程では、油性インクを用いて、基板上にシリコン酸化膜に形成するパターンを形成する。以下、各要素に分けて説明する。
[油性インク]
油性インクは、基板上にパターンを形成(描画)でき、有機ケイ素ポリマーと相溶せず、オゾンによって分解し得るものであれば、いずれでも使用できる。油性インクは、典型的には、着色剤として顔料または染料、溶剤として有機溶剤および樹脂を含むものであり、さらに導電性付与剤、可塑剤、酸化防止剤などの添加剤を含みうる。
油性インクが本発明に適用し得るかどうかを判断するには、使用する基板上に油性インクを付着させ、必要なパターンが描画できることすなわち基板が撥油性でないこと、および、その上に有機ケイ素ポリマーを塗布して、油性インクが溶解または分散しないことを実際に目視で確認すればよいため、選択は容易である。工業生産する場合の効率の面から、油性インクは速乾性であることが好ましい。また、油性インクがオゾンによって分解する理由については、詳細は不明であるが、オゾンが油性インクの有機物を酸化するためと考えられる。このような観点からは、油性インクは、下層の基板をパターン形状に被覆かつ保護でき、オゾンによって分解するという機能を果たすものであれば十分であり、視認の必要がなければ着色剤を含まない形態も可能である。また、使用する油性インクがオゾンによって分解するかどうかも、当業者であれば、実験的に確認することは容易である。
油性インクに含まれる着色剤は、通常用いられる着色剤であれば特に制限はなく、例えば油溶性染料や顔料、これらの混合物を挙げることができる。色相も、基板上に描画したパターンが認識できれば特に制限はないが、シリコン基板に使用することを考慮すると、視認のしやすさから黒色が好ましい。着色剤の配合量は、基板上で視認できるのに充分な濃度を得られれば特に限定されず、通常1〜60質量%が好ましい。また、視認の必要がなければ、上述のように着色剤を含まない形態も本発明では可能である。この場合には、油性インクの組成が簡単になり、原料コストを低減でき洗浄し易くなるという利点がある。また、着色剤として有機物の染料を使用した場合には、描画パターンが視認し易いだけでなく、着色剤自体もオゾンで分解し得ると考えられるため洗浄し易く、好ましい。
油溶性染料としては、例えばアゾ染料、造塩体染料、含金属染料、アントラキノン染料、縮合型染料、フタロシアニンスルホアマイド染料等を挙げることができ、具体的な例としては、C.I.Solvent Yellow、C.I.Solvent Orange、C.I.Disperse Red、C.I.SolventViolet、C.I.Disperse Violet、C.I.Solvent Blue、C.I.Solvent Green、C.I.SolventBrown等が挙げられる。
顔料としては、有機顔料および無機顔料が挙げられる。顔料はそのまま用いてもよいし、例えば顔料の製造段階において表面処理した処理顔料、樹脂や界面活性剤等と混練処理した加工顔料、分散処理を行った分散トナー等を使用してもよい。具体的には、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染め付けレーキ顔料、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、鉄黒等が挙げられる。これらの着色剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせてもよい。
溶剤は、インクにある程度の粘度を与え、染料を溶解するまたは顔料を分散させる有機溶剤であれば特に制限はなく、従来の油性インクに使用されているものを適宜使用できる。具体的には、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコールなどのアルコール類、フェニルセロソルブなどのセロソルブ類、フェニルカルビトールなどのカルビトール類、キシレン等の芳香族類が単独または混合して使用可能である。これらは油性インク中30〜90質量%が好ましい。
樹脂は、通常油性インクに用いられる有機溶剤に対して可溶な樹脂を限定することなく適用でき、滲み抑制、定着性向上、堅牢性等を付与することが可能となる。具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート)、又はビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は一種又は二種以上を併用してもよく、油性インク中0.5〜40質量%が好ましい。
油性インクには、上記成分以外に、各種添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、導電性付与剤、可塑剤、防錆剤、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、デカグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
油性インクは、従来公知の方法によって調製することができる。すなわち、着色剤、有機溶剤、添加剤を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、又はジェットミル等で分散液を調製し、続いて樹脂を攪拌下に混合し、所望のインク特性を有するように調整し、油性インクを得ることができる。
油性インクは、上記の材料を使用して調製してもよいが、市販品を使用してもよい。市販品としては、マクソン(登録商標)プロカラーII油性ブラック(ホルベイン工業株式会社製)、コミックインク耐水性黒(ホルベイン工業株式会社製)、油性マーカー ピース(三菱鉛筆株式会社製)、Lumocolor(登録商標) permanent(STAEDTLER社製)を好ましく使用できる。
[基板]
上記基板としては、オゾンが熱分解する150℃以上の耐熱性を有しかつオゾンで分解する恐れのないものであり、さらに、油性インクによるパターンを塗布できるものであれば、特に制限されるものではなく、使用用途に応じて適当な基板を適宜選択することができる。なお、オゾンによって分解されないとは、自然酸化膜程度およびそれよりやや厚い程度(10nm程度)に僅かに酸化される場合を含む。この程度の酸化は後の半導体素子製造などに実質的に影響を与えないためである。
例えば、ポリエーテルサルホン(PES)基板、ポリカーボネート基板、環状オレフィン樹脂基板、ポリアレート(PAR)基板、ポリイミド基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板などのプラスチック基板、シロキサン系ゴム基板などのゴム基板(フレキシブル基板)などの有機系基板;単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、非晶質(アモルファス)シリコン基板、Siエピタキシャル基板などのシリコン基板、砒化ガリウム(GaAs)基板、リン化ガリウム(GaP)基板、リン化インジウム(InP)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、GaN on Si基板、シリコンカーバイド基板、シリコンゲルマニウム基板、シリコンゲルマニウムカーバイド基板、ガラス基板などの無機系基板が挙げられえる。近年、ポリイミド配向膜の焼成やシール剤の硬化など、セル組立における加熱工程に耐えるために、プラスチック基板は250℃程度の耐熱性を示すため、本発明に適用することができる。プラスチック基板は、安価で、割れにくく、薄く、軽量であり、フレキシブルである点で優れている。さらに、上述したように、基板は油性インクでパターンを形成できる素材である必要があり、撥油性でないものが好ましい。また、オゾン散布をしてシリコン酸化膜を形成するため、耐オゾン性があることが好ましい。本発明においては、その上にシリコン酸化膜を形成し易いシリコン基板が好ましい。
なお、油性インクのパターンを基板上に形成する、とは、油性インクのパターンを基板に直接接して形成する場合も、他の層を介して基板の積層方向の上方に形成する場合も含む。同様に、有機ケイ素ポリマーを基板上に塗布する、とは、有機ケイ素ポリマーを基板に直接接触させて塗布する場合も、他の層を介して基板の上方に塗布する場合も含む。他の層としては、電極層や半導体層が想定されるが、これらに限定はされない。この場合には、基板と同様、他の層が耐熱性、耐オゾン性を有していることが好ましく、油性インクが付着する素材である必要がある。また、基板上に油性インクを塗布した後、他の層を介して有機ケイ素ポリマーを塗布することも可能である。この場合には、他の層が素材や厚さを適当に選択することによってオゾンを透過するものであれば、オゾン散布によって油性インク上の他の層とシリコン酸化膜とを同時に剥離することができる。
[油性インクの塗布方法]
油性インクの基板への塗布方法としては、シリコン酸化膜のパターンが描画できれば、特に制限されず、どのような方法も使用できる。例えば、上記の油性インクを用いたインクジェット印刷法、スクリーン印刷法により基板上にパターンを塗布することができる。これらの印刷法は、描画が正確であり、大量生産に適しているため好ましい。その他、基板上にパターン形成したマスクを配置して、油性インクのスプレーコーティング、刷毛塗り等の方法も使用できる。
油性インクの塗膜厚さとしては、100nm〜10μmが好ましく、より好ましくは300nm〜5μmである。また、油性インクの塗膜厚さを厚くするためには、上記したような塗布工程を繰り返せばよく、所望の厚さに形成できる。
(2)油性インクのパターンが形成された基板上に有機ケイ素ポリマーを塗布する工程
次いで、上記のように油性インクでパターンを形成した基板上に、有機ケイ素ポリマーを塗布する。その際、有機ケイ素ポリマーは、油性インクのパターン上も一様に覆って膜を形成するが、後述するように、後の工程で油性インク上の有機ケイ素ポリマーおよびシリコン酸化膜は剥離して取り除かれる。
[有機ケイ素ポリマー]
本発明においてシリコン酸化膜の形成に用いられる有機ケイ素ポリマーは、一般に無色透明の液体で、耐熱性、耐寒性、耐水性に優れている。かかる有機ケイ素ポリマーとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイルなどが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。これらの有機ケイ素ポリマーは、合成してもよいし、既に市販されている商品を入手して用いてもよい。既に市販されている商品としては、例えば、有機ケイ素ポリマーの中で最も代表的な製品であるジメチルシリコーンオイルでは、KF−96L、KF−96A、KF−96、KF−96H、KF−965、KF−968(いずれも信越シリコーン株式会社の商品名)、メチルハイドロジェンシリコーンオイルでは、KF−99(信越シリコーン株式会社の商品名)、メチルフェニルシリコーンオイルでは、KF−50、KF−54、KF54−400、KF54−400K、HIVAC F−4、HIVAC F−5、KF−56A(いずれも信越シリコーン株式会社の商品名)、環状ジメチルシリコーンオイルでは、KF−995(信越シリコーン株式会社の商品名)、ジメチルシリコーンオイルでは、TSF451−50、SF451−100(東芝シリコーン株式会社の商品名)、KF96−10、KF96−50、KF96−100(信越シリコーン株式会社の商品名)、ジメチルポリシロキサンオイルでは、SRX310−100(東レ株式会社の商品名)などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
また、有機ケイ素ポリマーは、入手し易さやホットプレート法により確実にシリコン酸化膜が形成されることから、特にジメチルシリコーンオイル([SiO(CH[Si(CH)が好ましい。繰り返し単位数nは、スピンコート法を好ましく適用できることから、1〜100が好ましく、より好ましくは3〜70、さらに好ましくは5〜50である。但し、本発明では上記範囲に何ら制限されるものではない。
また、有機ケイ素ポリマーは、スピンコート法で素早く均一な塗膜が形成できることから、粘度は25℃で0.1〜1000mm/s、好ましくは1〜100mm/s、より好ましくは5〜100mm/s、特に好ましくは8〜15mm/sである。粘度に関する代表的な例として、例えば、後述する実施例では10mm/sのものを使用している。但し、本発明では上記範囲に何ら制限されるものではない。これらも1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
[有機ケイ素ポリマーの塗布方法]
基板上への有機ケイ素ポリマーの塗布方法としては、特に制限されるものではなく従来公知の方法を適宜利用することができる。例えば、上記したようなスピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、カーテン法、静電スプレー法、インクジェット法などが挙げられる。好ましくはスピンコート法であり、有機ケイ素ポリマーの粘性に応じて、スピンコータの回転数と回転時間を適宜調整することで、素早く均一な塗膜を所望の厚さに形成することができる点で望ましい。なお、厚膜化する場合には、所定厚さの塗膜をスピンコートにより形成し、乾燥する工程(手順)を必要な回数分、行うことで厚膜を形成してもよい。
基板上への有機ケイ素ポリマーの塗布量は、所望の厚さのシリコン酸化膜が得られるように適宜調整すれば良い。但し、スピンコート法により塗布する場合には、スピンコータの回転数と回転時間を適宜調整することで、素早く均一な塗膜を所望の厚さに形成でき、余分な有機ケイ素ポリマーは回転力により基板から外に飛び出すことで取り除かれるため、基板上への有機ケイ素ポリマーの塗布量としては、所望の厚さのシリコン酸化膜を形成するのに必要な量よりも多めにしても何ら問題ない。
また、油性インクの塗膜厚さと有機ケイ素ポリマーの塗膜厚さとの関係については、特に制限はないが、油性インクの分解し易さおよび有機ケイ素ポリマーまたはシリコン酸化膜の剥離し易さを考慮すると、有機ケイ素ポリマーの塗膜厚さが油性インクの塗膜厚さよりも薄い方が好ましい。
(3)ホットプレート法により、前記基板上に形成された前記有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、前記油性インクを分解することにより油性インクのパターン上のシリコン酸化膜を剥離し、前記油性インクのパターンとは逆のパターン形状を有するシリコン酸化膜のパターンを形成する工程
本発明では、ホットプレート法を用いて、上記のように形成した有機ケイ素ポリマーのパターンを酸化しシリコン酸化膜を形成する。それと同時に、散布されたオゾンが有機ケイ素ポリマーおよびシリコン酸化膜を貫通することで下の油性インクを分解し、形成されたまたは形成されつつあるシリコン酸化膜が剥離し、油性インクのパターン形状とは逆の、反転したパターン形状のシリコン酸化膜を形成する。言い換えれば、シリコン酸化膜はパターニングされた状態で形成されるのである。ここで、ホットプレート法は、有機ケイ素ポリマー(シリコーンオイルとも称する。)を大気中でオゾンと反応させる方法である。より詳しくは、所定温度に加熱したホットプレート上に挿入(載置)した基板上に塗膜形成された有機ケイ素ポリマーを大気中(または不活性ガス雰囲気中)でオゾンと反応させる方法である。
[装置]
図1は、本発明のシリコン酸化膜の形成に用いられるホットプレート法に用いる装置の代表的な一実施形態を表した装置概略図である。ホットプレート法によるシリコン酸化膜の形成を、図1を用いて説明する。
ホットプレート法によるシリコン酸化膜の形成では、まず、基板上に有機ケイ素ポリマーを適量垂らし、スピンコータを用いてスピンコートする。その後、図1に示すように、ホットプレート法に用いる装置1を用い、所定温度に加熱したホットプレート2上に有機ケイ素ポリマーを塗布した基板3を挿入(載置)し、オゾンガスを散布することで酸化反応させるものである。これにより、基板3上に所望の厚さのシリコン酸化膜10が形成できる。
ホットプレート法を用いることで、従来のプラズマCVD法とは異なり、真空を用いない簡便な装置で、一般的には機械の潤滑油に用いられる有機ケイ素ポリマーという安全、安価な原料からシリコン酸化膜の薄膜が形成できるという利点がある。さらに、従来に比較して低温で尚且つ簡便な方法・装置でシリコン酸化膜を形成することができる。そのため、安価で、割れにくく、薄く、軽量で、更に好ましくはフレキシブルなプラスチック基板を使用することもできる。
[シリコン酸化膜形成反応]
下記反応式1にオゾンと有機ケイ素ポリマーの反応過程を示す。下記反応式1からオゾン(O)ガスは、加熱することによって酸素分子(O)と原子状酸素(O)に分解される。この時、オゾンガスは150℃以上で多くが酸素分子と原子状酸素に分解される。この原子状酸素の酸化反応によって、有機ケイ素ポリマー中のCH基をOH基に置換することで下記反応式1に示す前駆体(シリコン酸化膜の前駆体)が形成されると同時に、副産物としてCOとHOが発生する。この生成された前駆体のOH基が熱を加えることで脱水反応を起こし、シリコン酸化膜が形成される。
[ホットプレート2の加熱温度(=基板表面温度)]
ホットプレート法によるシリコン酸化膜の形成では、上記有機ケイ素ポリマーを基板3に塗布した後、所定温度に加熱したホットプレート2上に基板3を挿入、載置する。ここで、所定温度に加熱したホットプレート2の温度(加熱温度)としては、有機ケイ素ポリマーを塗布した基板3を挿入、載置し、オゾンガスを散布(オゾン処理)することで酸化反応を促進させることができる温度であればよく、特に制限されるものではないが、100〜400℃、好ましくは120〜200℃である。例えば、オゾンが原子状酸素に分解される150℃以上であればより望ましいといえる。
[オゾンガスの散布(オゾン処理)]
オゾンの散布(オゾン処理)は、図1に示すように、酸素ガス供給部(図示せず)から配管4を通じて所定の流速のOガスと、不活性ガス供給部(図示せず)から配管5を通じて所定の流速の不活性ガス(例えば、Nガス)とを共同配管6内で混合した状態で、オゾナイザー7に供給する。供給された混合ガスを所定の圧力条件下のオゾナイザー7で発生させたオゾンガスを、基板3の上方に配置された配管8を通じて先端の噴射ノズル9(=基板3の上方)から加熱された基板3表面に散布すればよい。加熱された有機ケイ素ポリマー(シリコーンオイル)を塗布した基板3表面にオゾンガスを散布することで上記の酸化反応をさせるものである。かかる酸化反応により、基板3上に所望の厚さのシリコン酸化膜10を形成することができる。このように、オゾンガスを用いたシリコン酸化膜形成では成膜速度の増加や作製温度の低温化が可能である等の利点を有する。
本発明において、散布されたオゾンは、有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、有機ケイ素ポリマーを透過してその下の油性インクの層に到達し、それにより油性インクが分解される。オゾン散布を続けると共に、油性インクの分解と油性インク上の有機ケイ素ポリマーの酸化(シリコン酸化膜形成)とは、ほぼ同時に進行すると考えられる。したがって、油性インクの分解により、その上に形成されつつあるシリコン酸化膜または部分的に形成したシリコン酸化膜は、最終的に膜として定着せずに剥離する。このようにして、油性インクの塗布されていない領域にのみシリコン酸化膜が形成されることになり、パターン化されたシリコン酸化膜が完成する。
上記基板3表面と先端ノズル9との間隔は0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは0.5〜2mmに設定するのが望ましい。これは、オゾンを効率よく吹きかけるため、基板3表面と先端ノズル9との間隔は近いほうが良いためである(後述する実施例では、1mm程度で使用)。なお、基板3全体にオゾンガスを散布するには、ノズル9側が基板3面内の前後左右に移動するようにしてもよいし、逆に、ノズル9側は固定し、基板3(ホットプレート2)側がノズル9に対して前後左右に移動するようにしてもよいし、これら双方の動作を組み合わせてもよい。
上記配管4を通じて供給されるOガスの流速としては、装置によって異なる(例えば、装置サイズ、あるいはホットプレート2上に一度に挿入する基板3のサイズ及び枚数等によって異なる)が、基板1枚当たりに換算すると、0.1〜10L/min、好ましくは1〜2L/minの範囲である。但し、本発明では上記範囲に何ら制限されない。なお、窒素等の不活性ガスは、オゾナイザーに必要なので入れている。具体的には、窒素を微量入れると効率よくオゾンが発生するという装置の仕様から、窒素を供給しているものである。
本発明でのオゾンガスを発生させる方法(装置)で得られるオゾン濃度、即ち、オゾンの散布濃度(オゾン処理濃度)としては、基板上への散布ガス中に含まれるオゾン濃度が、通常3〜20%、好ましくは12〜18%の範囲である。これは、既存の装置で得られるオゾン濃度が5〜20%であるためである。該オゾン濃度は、高ければそれだけ反応性は増すといえるが、高いと、危険性や腐食性の関係で扱いにくく、低濃度でできる点で有利である。
また、上記したような条件でのオゾン散布の時間としては、これに限定はされないが、5〜30分、好ましくは10〜25分、さらに好ましくは12〜20分である。
[シリコン酸化膜]
上記した製法により形成されたシリコン酸化膜の厚さとしては、使用用途に応じて適当な厚さを適宜選択すればよい。例えば、電子デバイスのゲート絶縁膜に用いる場合には、通常数十〜数百nmの範囲であるが、かかる範囲に何ら制限されるものではない。またLSI等の層間絶縁膜に用いる場合には、通常数μm〜数百μmの範囲であるが、かかる範囲に何ら制限されるものではない。また、前記シリコン酸化膜は、単層であってもよいし、多層であってもよい。多層膜の場合、ホットプレート法によるシリコン酸化膜の形成過程を必要な回数、繰り返し行えばよい。
(4)シリコン酸化膜のパターンが形成された基板を洗浄して、前記分解した油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去する工程
上記のようにシリコン酸化膜のパターンを形成する際、油性インクは、後述する実施例で示すように、オゾンによって分解される。そのため、分解されて基板上に残っている油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去するために、最後にシリコン酸化膜のパターンが形成された基板を洗浄する。このようにして、パターン化されたシリコン酸化膜が完成する。基板を洗浄し、油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去する方法は特に制限はないが、典型的には、有機溶媒に基板を一定時間浸漬する方法を採用することができる。
洗浄用の有機溶媒としては、油性インクを溶解しかつ基板やシリコン酸化膜を損なうことがないものであれば、どのような有機溶媒も使用できる。具体的には、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンおよびジエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N―メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレンなどの非芳香族性塩素系溶媒が挙げられる。このうち、入手し易さや安全性の点からメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類が好ましい。特にエタノールが好適である。
洗浄のためには、上記の有機溶媒中に1〜15分、好ましくは2〜7分、シリコン酸化膜を形成した基板を浸漬する。浸漬する際の温度は特に制限はなく、常温が好ましい。
[シリコン酸化膜の用途]
前記シリコン酸化膜の使用用途としては、半導体を始めとするシリコンデバイス(例えば、LSI、薄膜トランジスタ、光電変換装置および感光体など)の電気絶縁膜、誘電体膜および保護膜として、半導体関連分野に幅広く利用することができるものである。例えば、TFT、MOS等の電子デバイスの絶縁膜、好ましくはゲート絶縁膜;LSI等の絶縁膜、好ましくは層間絶縁膜などであるが、これらになんら制限されるものではない。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1では、まず、基板として、化学洗浄したp型Si(111)を鏡面研磨したものを、2×2cmの大きさで用意した。次に、油性インク マクソン(登録商標)プロカラーII0.1mm(ホルベイン工業株式会社製)を用いて、基板上のシリコン酸化膜を形成しない部分に直接油性インクを塗布した。塗布後の基板の様子は肉眼で観察し、そのデジタルカメラによる撮像を図2(a)に示す。
次いで、油性インクを塗布した基板上に、有機ケイ素ポリマーであるジメチルシリコーンオイル([SiO(CH[Si(CH、n=15、25℃での粘度10mm/s、重量平均分子量1300)を0.3mL(数滴分)垂らし、スピンコータ(図示せず)で5000rpm、10secスピンコートした。
その後、図1に示すホットプレート法の装置1を用いて、150℃に加熱したホットプレート2上に上記有機ケイ素ポリマー(ジメチルシリコーンオイル)を塗布したシリコン基板3を挿入(載置)し、オゾンを散布し(オゾン処理する)酸化反応させた。
ここで、オゾン散布は次のように実施した。図1に示すように、酸素ガス供給部(図示せず)から配管4を通じて流速1.0L/minのOガスと、窒素ガス供給部(図示せず)から配管5を通じて流速15mL/minのNガスとを共同配管6内で混合した状態で、オゾナイザー7に供給した。次いで、オゾナイザー7内で発生させたオゾンガス(オゾン濃度16%、O圧力0.2MPa)を、基板3の上方に配置された配管8を通じて先端の噴射ノズル9(=基板3の上方)から、有機ケイ素ポリマー(ジメチルシリコーンオイル)を塗布した基板3表面に15分間、散布した。これにより、ジメチルシリコーンオイルを酸化反応させ、基板3上に厚さ200nmのシリコン酸化膜10を形成した。ここで、基板3表面と先端ノズル9との間隔は1mmに設定した。
上記のようにシリコン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜10が形成された基板をホットプレートから取り出し、常温まで放冷した。その後、この基板を、大気下で、有機溶媒として常温(25℃)のエタノールを入れた容器内に5分間浸漬し、残留または分解した油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去した。このようにして、パターニングされたシリコン酸化膜を完成させた。
[シリコン酸化膜の評価]
上記実施例1で作製したシリコン酸化膜について、表面を肉眼で観察し、その表面のデジタルカメラによる撮像を図2bに示す。図2aと図2bとを対比すると、油性インクを塗布した通りにシリコン酸化膜がパターニングされて形成されていることが分かる。
また、得られたシリコン酸化膜のパターンのうち、シリコン酸化膜と露出したシリコン基板との境界部分を光学顕微鏡を用いて7000倍で観察した像を、図3aに示す。図3aから分かるように、シリコン酸化膜とシリコン基板との間は、滑らかで明確な境界となっていることが観察される。同様に、シリコン酸化膜とシリコン基板との境界部分を、SEMを用いて40000倍で観察した像を図3bに示す。図3bからは、シリコン酸化膜が一定の厚さで均一に形成されていることが観察され、図3aと同様に、シリコン酸化膜とシリコン基板との間は、滑らかで明確な境界となっていることが観察される。したがって、本発明の方法は、パターニングにより微細加工の必要とされるシリコン酸化膜形成に好適である。
図4は、オゾン散布前後の試料のフーリエ変換赤外吸収(FT−IR)スペクトルの測定結果である。図4中、点線はオゾン散布前、実線はオゾン散布後のFT−IRスペクトルである。オゾン散布前のスペクトルは、油性インクの成分に由来するピークが多数観察されるが、オゾン散布後のスペクトルは、シリコンとほぼ同様のものである。したがって、このスペクトルの対比から、油性インクはオゾン散布によってほぼ分解し、ほとんど残っていないことが分かる。
本発明のパターニング方法は、微細加工が可能であり、TFTやMOSなどの電子デバイスのゲート絶縁膜製造に利用される。また、LSI等の層間絶縁膜製造への応用も可能である。
1 ホットプレート法の装置、
2 ホットプレート、
3 基板、
4 Oガス供給用の配管、
5 不活性ガス供給用の配管、
6 共同配管、
7 オゾナイザー、
8 オゾン供給用の配管、
9 先端噴射ノズル、
10 シリコン酸化膜。

Claims (6)

  1. 基板上に油性インクのパターンを形成する工程と、
    前記油性インクのパターンが形成された基板上に有機ケイ素ポリマーを塗布する工程と、
    ホットプレート法により、前記基板上に形成された前記有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、前記油性インクを分解することにより油性インクのパターン上のシリコン酸化膜を剥離し、前記油性インクのパターンとは逆のパターン形状を有するシリコン酸化膜のパターンを形成する工程と、
    前記シリコン酸化膜のパターンが形成された基板を洗浄して、前記分解した油性インクおよび剥離したシリコン酸化膜を除去する工程と、
    を有することを特徴とするシリコン酸化膜のパターニング方法。
  2. 前記ホットプレート法は、
    前記有機ケイ素ポリマーを塗布した基板を、プレート上で100〜400℃に加熱する工程と、
    前記加熱した基板をオゾン処理することにより、前記有機ケイ素ポリマーを酸化してシリコン酸化膜を形成すると共に、オゾンが前記有機ケイ素ポリマーを貫通し前記油性インクを分解することにより油性インクのパターン上のシリコン酸化膜を剥離する工程と、
    を有する請求項1に記載のパターニング方法。
  3. 前記油性インクは、有機溶剤、着色剤および樹脂、または、有機溶剤および樹脂を含む請求項1または2に記載のパターニング方法。
  4. 前記有機ケイ素ポリマーが、ジメチルシリコーンオイルである請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターニング方法。
  5. 前記基板が、シリコン基板、プラスチック基板およびガラス基板から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターニング方法。
  6. 前記オゾン処理は、加熱された有機ケイ素ポリマーに、酸素ガスおよび不活性ガスを混合し、濃度5〜20%のオゾンを発生させて、該オゾンを含む混合ガスを噴射する請求項2〜5のいずれか一項に記載のパターニング方法。
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