JP2012046812A - 切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品 - Google Patents

切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2012046812A
JP2012046812A JP2010192781A JP2010192781A JP2012046812A JP 2012046812 A JP2012046812 A JP 2012046812A JP 2010192781 A JP2010192781 A JP 2010192781A JP 2010192781 A JP2010192781 A JP 2010192781A JP 2012046812 A JP2012046812 A JP 2012046812A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper alloy
mass
ingot
cutting
das
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010192781A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5607460B2 (ja
Inventor
Chizuna Kamata
千綱 鎌田
Yoshihiro Yamamoto
義弘 山本
Isao Takahashi
高橋  功
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2010192781A priority Critical patent/JP5607460B2/ja
Publication of JP2012046812A publication Critical patent/JP2012046812A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5607460B2 publication Critical patent/JP5607460B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【課題】高強度または高導電性を必要とする用途に最適な被削性に優れた銅合金材料とこれに用いる銅合金鋳塊を、環境負荷物質を利用することなく提供する。
【解決手段】Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.04〜1.0%を含有し、さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、およびZnの群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
鋳塊中のDASが37〜108μm、鋳塊中に分散している硫化物の平均粒径が5〜10μm、個数密度が100〜1000個/mmである銅合金鋳塊、及び、この銅合金鋳塊を熱間加工、冷間加工、並びに熱処理を施して得られ、引張強さが500MPa以上、導電率が25%IACS以上である銅合金材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器、精密機械、自動車等に使用される金属部品、特に切削加工により製造される銅合金部品に関し、さらにこの銅合金部品に適する銅合金材料およびそれに用いる銅合金鋳塊に関するものである。
金属部品を製造する方法として旋削、穿孔などの切削加工がある。切削加工は、特に複雑な形状を持つ部品や高い寸法精度を要する部品の製造には有効な加工方法である。切削加工を行う場合、切削性が良好であることが求められる。切削性には、切削屑処理、工具寿命、切削抵抗、切削面粗さなどの項目があり、これらが向上するように材料に改良が施されている。
銅合金は、強度が高い、導電性・熱伝導性に優れる、耐食性に優れる、展伸性が良い、色調に優れるなどの理由から多くの金属部品に使用されている。銅合金材料の切削性向上のために、鉛や硫黄などを添加することが知られている。これらの添加物は、単体または化合物として、切削屑分断の起点として作用する。
例えば、特許文献1は、りん青銅に鉛を添加した快削りん青銅を開示している。また、特許文献2は、青銅において硫黄を添加して硫化物を形成させて切削屑分断の起点として作用させることを開示している。また、特許文献3は、硫化物を切削屑分断の起点として作用させるものとして、銅−ジルコニウム系、銅−チタン系の時効析出型合金に関して開示している。
また、晶出物など銅合金中の第2相のサイズを制御した技術も提案されている。
例えば、鋳造する際の溶銅温度、保持時間および凝固に至るまでの温度での冷却速度を規定し、所望のサイズ、数比率の晶出物を得ることによってプレス加工性を改善するものである(特許文献4)。あるいは、鋳造時のシール、凝固位置制御によってMg系化合物(酸化物)のサイズを規定することによって曲げ加工性を向上させるものもある(特許文献5)。
その他、特許文献6〜8では、鋳造後の圧延、熱処理条件によって晶出物のサイズを制御するとしている。
特開昭50−066423号公報 特開2006−152373号公報 特開2001−240923号公報 特開平10−219374号公報 特開2006−233314号公報 特開2004−156115号公報 特開2005−089843号公報 特開2005−298920号公報
特許文献1〜3に記載された技術は、以下の問題点を有する。特許文献1は、環境負荷物質である鉛を含むため、使用が制限されつつあり、他の材料で代替される傾向にある。特許文献2は鋳物に関する技術であり、棒材や板材などの展伸材は製造できない。特許文献3の技術で得られる材料は強度が低く、同軸コネクタのピン材などの高強度を必要とする用途には不十分である。
晶出物など銅合金中の第2相のサイズを制御している特許文献4〜8に記載された技術は、以下の問題点を有する。特許文献4で示されている凝固前の冷却速度制御では、鋳塊中の晶出物である硫化物はマトリックスの固相線温度以下において生成されるもので、晶出物サイズは制御できない。特許文献5は不純物となる酸化物の銅合金中への混入回避についての技術であり、銅合金中に分布させる硫化物を任意のサイズに制御できない。特許文献6〜8では熱処理で一旦固溶し、生成される析出物サイズは制御できるが、鋳造によって得られる鋳片(スラブ)中の硫化物は、その後の熱処理では固溶しないためサイズは制御できない。
高強度または高導電性を必要とする用途では、銅にニッケルとケイ素を添加する合金系(Cu−Ni−Si系:いわゆるコルソン合金)などを用いることも考えられるが、この合金系において被削性を高める検討は十分になされておらず、被削性に優れた材料とするためにはさらなる検討が必要である。
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、特に高強度または高導電性を必要とする用途に最適な被削性に優れた銅合金材料とこれに用いる銅合金鋳塊を、環境負荷物質を利用することなく提供することを目的とする。
さらに本発明は、寸法精度などに優れ、電子機器、精密機械、自動車等に使用することができ、上記銅合金材料を用いて切削加工により製造できる銅合金部品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の組成を有する時効析出型銅合金の鋳塊を得る際に、デンドライト2次アームスペーシング(デンドライト組織の隣接する2次アーム間の中心間距離:以下DASとする)の値を特定の範囲とすることによって、鋳塊に含まれる硫化物のサイズ、個数密度が所望の範囲となり、熱間、冷間加工性および被削性に優れ、さらに強度および導電性に優れる銅合金が得られることを見出した。また、硫黄添加方法の規定によって、硫黄と銅中または大気中の酸素、水蒸気との反応によってSO、HSなどのガスの発生を回避することによって鋳塊中における硫化物の形成が達成できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきなされたものである。
すなわち、上記課題は、以下の手段によって解決された。
<1>Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.04〜1.0%を含有し、さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、およびZnの群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
鋳塊中のDASが37〜108μm、鋳塊中に分散している硫化物の平均粒径が5〜10μm、個数密度が100〜1000個/mmであることを特徴とする銅合金鋳塊。
<2>Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.04〜1.0%を含有し、さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、およびZnの群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
硫黄の含有量[S(mass%)]とDAS[d(μm)]が下記(a)、(b)、または(c)の関係を満たすことを特徴とする銅合金鋳塊。
(a)[S(mass%)]が0.04以上0.1未満の場合
5 < 0.5×d(μ)0.64 < 31.7×[S(mass%)]0.5
(b)[S(mass%)]が0.1以上0.25未満の場合
5 < 0.5×d(μ)0.64 < 10
(c)[S(mass%)]が0.25以上1.0以下の場合
10×[S(mass%)]0.5 < 0.5×d(μ)0.64 < 10
<3><1>または<2>に記載の銅合金鋳塊に熱間加工、冷間加工、および熱処理から選ばれる少なくともひとつの処理を施して得られ、引張強さが500MPa以上、導電率が25%IACS以上であることを特徴とする銅合金材料。
<4><1>または<2>に記載の銅合金鋳塊または<3>に記載の銅合金材料を切削加工して形成した銅合金部品。
なお、本発明においてDAS(単位:μm)の値は以下の測定方法によって得られたものとする。
鋳塊製出(鋳造)中において、主要な脱熱方向と平行にデンドライトの幹1(主軸)が成長し、これと直角な方向に2次アームが成長する。測定面を脱熱方向を含む面とし、その面内にある、エッチング処理後に光学顕微鏡で観察し、2次アームを横切る直線を引くことによって、直線長さと直線を横切ったアーム数からデンドライト2次アームスペーシング(DAS)を見積もることができる。
硫化物のサイズと面積率は、鋳塊視野の任意の3か所の横断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれぞれ3視野について組織観察を行うことにより求めた。サイズ(平均径)は、1視野当たり20個の化合物のサイズを測定し、その平均をとった。面積率は、1視野に見られる硫化物の数をカウントし、硫化物を円と仮定して平均径より求めた面積を乗じることで硫化物の1視野当たりの総面積を求め、1視野の面積で除することで求めた。
本発明は鋳塊への硫黄の添加方法により、銅中または大気中の酸素、水蒸気と硫黄との反応を回避することによって鋳塊中に良好に硫化物を形成させることができる。この鋳塊を加工することによって得られる銅合金材料は、強度および導電性に優れ、さらに鉛やベリリウムなどの環境負荷物質を利用することなく被削性に優れたものとなる。また、本発明の銅合金鋳塊、銅合金材料は、切削加工により製造される電子機器等の部品用材料として好適である。
さらに、DASの制御によって切削性に寄与する硫化物を良好に形成できるほか、径または厚みが200mmを超えるビレットやケークを熱間加工する前の再熱時において、鋳塊中の残留歪による再熱割れを回避できる。
実施例における本発明例と比較例の合金材料について、硫黄濃度に対してDASをプロットしたグラフである。
本発明の銅合金鋳塊および銅合金材料について、詳細に説明する。なお、本発明における「鋳塊」は、鋳造を経た銅合金の塊であればいかなる形状でもよく、連続鋳造による板状のものなども含む。
まず、各合金元素の作用効果とその含有量の範囲について説明する。
本発明の銅合金鋳塊および銅合金材料におけるニッケル(Ni)とケイ素(Si)は、NiとSiの含有比を制御することにより金属生地(マトリクス)中にNi−Si析出物(NiSi)を形成させて析出強化を行い、銅合金の強度および導電性を向上させるために添加する。このNi−Si析出物(NiSi:析出強化のための析出物)は、被削性の向上にはあまり寄与しない。
本発明の銅合金鋳塊および銅合金材料においては、硫黄(S)の添加によりマトリクス中に硫化物を形成させる。この硫化物が、切削加工を行った時の切削屑分断の起点として作用することで切削屑が細かく分断されやすくなり、被削性が向上する。また、鋳塊中のDASを制御することで硫化物のサイズが、硫黄濃度を規定することで硫化物の個数密度が制御されて切削屑分断性が向上し、さらに熱間および冷間における加工性を損なわなくなることにより、押出、圧延、引抜きなどの展伸加工が可能となる。
Niの含有量は1.5〜7.0mass%(質量%)であり、1.7〜6.5mass%であることが好ましい。Ni量が少なすぎると、Ni−Si析出物による析出硬化量が小さく強度が不足する。Ni量が多すぎると、過剰であるため強度向上に寄与するNi−Si析出物量が増加しないだけでなく、溶解鋳造時にNi−Si晶出物が多く形成して熱間および冷間加工性を悪化させるため好ましくない。
Siの含有量は、Ni−Si析出物(NiSi)の形成においては、質量%で計算するとNi含有量の約1/5〜1/3の量が必要となる。このことから、本発明において、Siの含有量は0.3〜2.3質量%であり、0.34〜2.2質量%であることが好ましい。
さらに、本発明の銅合金鋳塊および銅合金材料は、錫(Sn)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、りん(P)、および亜鉛(Zn)からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する。これらの元素は、固溶し、または析出物を形成することでCu−Ni−Si合金の強度を向上させ、あるいは硫化物を形成して被削性を向上させる。含有量は合計で0.05〜2.0mass%とする。少なすぎる場合は、強度向上や被削性改善の効果が小さい。また、多すぎる場合は、強度および被削性向上の効果が飽和するだけでなく、導電率が低下するため得策ではない。
本発明の銅合金鋳塊の第一の実施形態においては、硫化物について、平均粒径が0.5〜10μm、個数密度が100〜500個/mmとなる必要がある。そのためには、DASを37〜108μm(好ましくは40〜100μm)、硫黄(S)の含有量は0.02〜1.0mass%(好ましくは0.03〜0.8mass%)とする必要がある。DASが小さすぎると硫化物のサイズが小さくなって、硫化物の切削加工時に発生する切削屑を細かく分断する作用が得られない。DASが大きすぎると硫化物のサイズが過大となって熱間加工や冷間加工を施した時に割れを生じさせ、展伸材として使用できなくなる。硫黄の含有量が少なすぎると硫化物の面積率が小さく、十分な切削屑分断性が得られない。硫黄の含有量が多すぎると熱間加工性および冷間加工性が悪化する。
本発明においては晶出物サイズを規定することによって所望の強度を得ることを目的としており、従来の銅合金における硫化物のサイズ制御とは目的が異なっている。
本発明の銅合金鋳塊の第二の実施形態においては、硫黄の含有量(S(mass%))とDAS(d(μm))が以下の(a)〜(c)のいずれかの関係を満たす。
(a)[S(mass%)]が0.04以上0.1未満の場合
5 < 0.5×d(μ)0.64 < 31.7×[S(mass%)]0.5
(b)[S(mass%)]が0.1以上0.25未満の場合
5 < 0.5×d(μ)0.64 < 10
(c)[S(mass%)]が0.25以上1.0以下の場合
10×[S(mass%)]0.5 < 0.5×d(μ)0.64 < 10
このような関係を満たすようにDASを制御することで、鋳塊中の硫化物はデンドライトのアーム間隙で形成されるため、硫化物が所望の粒径(37〜108μm)となる。また粒径、硫黄の含有量が決まれば数密度が一義的にきまり、数密度も所望の値(100〜1000個/mm)となり、切削加工の際に生じる切削屑が細かくなり、切削性向上の効果を奏する。
次いで、本発明の銅合金材料の機械的特性について述べる。
本発明の銅合金材料は、鉛を含有するりん青銅やベリリウム銅の代替、すなわち環境負荷物質を含有する銅合金材料の代替を目指すものであり、これらと同等の強度を要する。そのため、実用上要求される強度および導電性として、引張強さ500MPa以上、導電率25%IACS以上が必要である。
本発明の銅合金材料は時効析出型であり、前述のようにNi2Siを形成させることで強度、導電性を向上させており、そのために前述の量のNiとSiを含有させる。また、鋳塊製出後の製造工程における溶体化熱処理温度は750〜1000℃の範囲が好ましく、時効熱処理温度は350〜600℃×2時間の範囲が好ましい。
本発明において、銅合金材料の製造方法に特に制限はなく、上記本発明の銅合金鋳塊に熱間加工、冷間加工、および熱処理から選ばれる少なくともひとつの処理を施して得られる。本発明の銅合金材料は、時効析出型銅合金であるため、少なくとも銅合金原料の溶解鋳造工程の後に時効熱処理工程は必須となるが、熱間加工工程、冷間加工工程、焼鈍工程、溶体化熱処理工程は必要に応じて行うこととなる。例えば、熱間加工工程に関しては、ビレットの熱間押出、鋳塊の熱間鍛造、あるいは連続鋳造などの製造方法のいずれでも本発明の銅合金材料を製造することが可能である。
また、製品の形状は特に制限はなく、後工程である切削工程により最終形態である銅合金部品を得やすい形状としておくことが好ましい。すなわち、銅合金部品の用途により線、棒、条、板、管などの所定の形状の銅合金材料として製造し、使い分ければ良い。例えば、最終形態の銅合金部品がねじである場合は、銅合金材料の形状は丸棒状であることが好ましい。
本発明の銅合金部品は、上記本発明の銅合金鋳塊または銅合金材料を切削加工して得られたものであれば、その形状、用途等に特に制限はない。切削加工は複雑な形状を持つ部品や寸法精度の高い部品を製造するのに適しているため、このような部品が好ましい。本発明の銅合金部品としては電子機器、精密機械、自動車等に用いる部品(電子機器部品、構造部品、要素部品など)があり、具体的には以下のものが挙げられる。
電子機器部品としては電子部品用コネクタ(例えば同軸コネクタのオスピン、メスピン)や、ICソケットやバッテリ端子コネクタに使用されるプローブのバレルおよびプランジャー材、オーディオケーブルのコネクタ端子などが挙げられる。構造部品としては、ねじ、アンテナのヒンジ、ファスナー、ベアリング、ガイドレール、抵抗溶接機、時計などが挙げられる。要素部品としては、歯車、軸受け、金型のイジェクトピンなどが挙げられる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表1の合金成分で示される組成の銅合金を高周波溶解炉にて溶解し、各ビレットを鋳造した。ここで鋳型の内寸は25mmφ〜150mmφ×750mmとし、ヒーター加熱および空冷、または水冷が可能な鋳型を用いて、種々のDASが得られるように制御した。
具体的には、前記ビレットを950℃で熱間押出して、直ちに水中焼入れを行い、丸棒を得た。次いで前記丸棒を冷間にて引抜きを行い、直径10mmの丸棒を製造し、さらに450℃で2時間時効熱処理を行った。
このようにして得られた各々の丸棒について、[1]引張強度、[2]導電率、[3]被削性を下記方法により調べた。各評価項目の測定方法は以下の通りである。
[1]引張強度
JIS Z 2241に準じて3本測定しその平均値(MPa)を示した。
[2]導電率
四端子法を用いて、20℃(±1℃)に管理された恒温槽中で、各試料について2本ずつ測定し、その平均値(%IACS)を示した。
[3]被削性
汎用旋盤を用いて切削実験を行い、切削屑の形態を観察した。切削屑が長さ5mm以下に分断されるものは良、切削屑が分断されるがその長さが5mmを超えて10mm以下のものは可、切削屑が分断されるがその長さが10mmを超えるもの(切削屑が分断されないものを含む)は不可とした。実用上問題が生じないのは良および可である。なお切削条件は、切削速度を30m/分、送り速度を1回転あたり0.1mm、切り込み代を0.2mm、とした。バイトは超硬製のものを用い、切削油は不使用とした。
また、硫化物のサイズと面積率は、直径10mmの丸棒の任意の3か所の横断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれぞれ3視野について組織観察を行うことにより求めた。サイズ(平均粒径)は、1視野当たり20個の化合物のサイズを測定し、その平均をとった。個数密度は、1視野に見られる硫化物の数をカウントし、1視野の面積で除することで求めた。
また、DASは以下の方法により測定した。
鋳塊製出(鋳造)中において、鋳型と鋳塊が接する面の鉛直方向が主要な脱熱方向となるこれと平行にデンドライトの幹1(主軸)が成長し、これと直角な方向に2次アームが成長する。脱熱方向を含む面内にあるデンドライト組織を、エッチング処理後に光学顕微鏡で100倍の倍率にて観察し、2次アームを横切る直線を引くことによって、直線長さと直線を横切ったアーム数からデンドライト2次アームスペーシング(DAS)を見積もった。
表1に結果を示す(表1中、上記平均粒径を粒径として示した(単位μm)。DASの単位はμm、数密度の単位は個/mmである。)。図1は、本発明例と比較例の各銅合金材料の硫黄濃度に対するDASをプロットしたグラフであり、発明範囲閾値として囲んだ範囲内は上記(a)〜(c)で示した関係を満たしている。
比較例1〜9は、合金成分が本発明で規定する要件を満たしていない例である。比較例1および3はNi濃度およびSi濃度が低く、引張強さが劣っている。比較例2はNi濃度およびSi濃度が高く、導電率が劣っている。比較例4はNi濃度およびSi濃度が高く、冷間加工時に割れが生じた。比較例5はS濃度が低く硫化物の面積率が小さくなり被削性が劣った。比較例6および7はS濃度が高く硫化物の面積率が増加し、熱間加工時に割れが発生した。比較例8および9は、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、Znの総量が2.0mass%を越え、導電率が劣った。
また、比較例10〜12はDASが発明範囲閾値をはずれ、硫化物の粒径が所望の値(5〜10μm)とならずに、切削性が悪くなった。
これに対し、本発明例1〜25は、何れも引張強さ500MPa以上、導電率25%IACS以上を満足している。また、硫化物の平均粒径は5〜10μmを、硫化物の個数密度は100〜1000個/mmを満足しており、材料加工中の割れはなく、被削性も満足している。いずれも電子機器、精密機械、自動車等の部品に切削加工するのに好適な材料であることがわかる。
Figure 2012046812

Claims (4)

  1. Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.04〜1.0%を含有し、さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、およびZnの群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
    鋳塊中のDASが37〜108μm、鋳塊中に分散している硫化物の平均粒径が5〜10μm、個数密度が100〜1000個/mmであることを特徴とする銅合金鋳塊。
  2. Niを1.5〜7.0mass%、Siを0.3〜2.3mass%、Sを0.04〜1.0%を含有し、さらに、Sn、Mn、Co、Zr、Ti、Fe、Cr、Al、P、およびZnの群から選ばれる少なくとも1種を総量で0.05〜2.0mass%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、
    硫黄の含有量(S(mass%))とDAS(d(μm))が下記(a)、(b)、または(c)の関係を満たすことを特徴とする銅合金鋳塊。
    (a)[S(mass%)]が0.04以上0.1未満の場合
    5 < 0.5×d(μ)0.64 < 31.7×[S(mass%)]0.5
    (b)[S(mass%)]が0.1以上0.25未満の場合
    5 < 0.5×d(μ)0.64 < 10
    (c)[S(mass%)]が0.25以上1.0以下の場合
    10×[S(mass%)]0.5 < 0.5×d(μ)0.64 < 10
  3. 請求項1または2に記載の銅合金鋳塊に熱間加工、冷間加工、および熱処理から選ばれる少なくともひとつの処理を施して得られ、引張強さが500MPa以上、導電率が25%IACS以上であることを特徴とする銅合金材料。
  4. 請求項1または2に記載の銅合金鋳塊または請求項3に記載の銅合金材料を切削加工して形成した銅合金部品。
JP2010192781A 2010-08-30 2010-08-30 切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品 Expired - Fee Related JP5607460B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010192781A JP5607460B2 (ja) 2010-08-30 2010-08-30 切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010192781A JP5607460B2 (ja) 2010-08-30 2010-08-30 切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012046812A true JP2012046812A (ja) 2012-03-08
JP5607460B2 JP5607460B2 (ja) 2014-10-15

Family

ID=45901987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010192781A Expired - Fee Related JP5607460B2 (ja) 2010-08-30 2010-08-30 切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5607460B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015032044A1 (zh) * 2013-09-04 2015-03-12 湖南特力新材料有限公司 一种无铅易切削高硫含锰铜合金及其制造方法
JP2015086450A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 株式会社栗本鐵工所 摺動部材用銅合金及びそれを用いた摺動部材
WO2022124280A1 (ja) * 2020-12-11 2022-06-16 国立大学法人豊橋技術科学大学 棒状または管状の高強度銅合金およびその製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005297052A (ja) * 2004-04-15 2005-10-27 Sanyo Special Steel Co Ltd クラッド性および耐摩耗性に優れた肉盛用銅合金粉末およびそれを用いたバルブシート
JP2006104539A (ja) * 2004-10-06 2006-04-20 Furukawa Electric Co Ltd:The 切削性に優れた同軸コネクタ用銅合金およびその製造方法
JP2006152373A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Shiga Valve Cooperative 耐圧性に優れた鋳物用無鉛銅合金
JP2011017073A (ja) * 2009-07-10 2011-01-27 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金材
JP2011231394A (ja) * 2010-04-07 2011-11-17 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005297052A (ja) * 2004-04-15 2005-10-27 Sanyo Special Steel Co Ltd クラッド性および耐摩耗性に優れた肉盛用銅合金粉末およびそれを用いたバルブシート
JP2006104539A (ja) * 2004-10-06 2006-04-20 Furukawa Electric Co Ltd:The 切削性に優れた同軸コネクタ用銅合金およびその製造方法
JP2006152373A (ja) * 2004-11-29 2006-06-15 Shiga Valve Cooperative 耐圧性に優れた鋳物用無鉛銅合金
JP2011017073A (ja) * 2009-07-10 2011-01-27 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金材
JP2011231394A (ja) * 2010-04-07 2011-11-17 Furukawa Electric Co Ltd:The 銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015032044A1 (zh) * 2013-09-04 2015-03-12 湖南特力新材料有限公司 一种无铅易切削高硫含锰铜合金及其制造方法
CN105518163A (zh) * 2013-09-04 2016-04-20 湖南特力新材料有限公司 一种无铅易切削高硫含锰铜合金及其制造方法
US10519528B2 (en) 2013-09-04 2019-12-31 Hunan Terry New Materials Company Ltd. Lead-free, high-sulphur and easy-cutting copper-manganese alloy and preparation method thereof
JP2015086450A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 株式会社栗本鐵工所 摺動部材用銅合金及びそれを用いた摺動部材
WO2022124280A1 (ja) * 2020-12-11 2022-06-16 国立大学法人豊橋技術科学大学 棒状または管状の高強度銅合金およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5607460B2 (ja) 2014-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI547571B (zh) 銅合金以及銅合金塑性加工材
KR102196590B1 (ko) 구리 합금 판재 및 이의 제조 방법 및 통전 부품
WO2011105584A1 (ja) アルミニウム合金導体
JP4986252B2 (ja) アルミニウム合金導体
JP5417366B2 (ja) 曲げ加工性に優れたCu−Ni−Si系合金
WO2017043551A1 (ja) 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、及び、バスバー
EP3511432A1 (en) Softening resistant copper alloy, preparation method, and application thereof
JP5910790B1 (ja) 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、及び、バスバー
JP5189708B1 (ja) 耐金型磨耗性及びせん断加工性が良好なCu−Ni−Si系銅合金板及びその製造方法
JP2005113259A (ja) Cu合金およびその製造方法
JP2010106363A (ja) 時効析出型銅合金、銅合金材料、銅合金部品および銅合金材料の製造方法
WO2011125264A1 (ja) 銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法
JP5539932B2 (ja) 曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系合金
JP2012046774A (ja) 電子材料用Cu−Co−Si系合金
JP4630387B1 (ja) 銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法
JP5607460B2 (ja) 切削加工性に優れた銅合金鋳塊と銅合金材料、およびこれを用いた銅合金部品
JP2009203510A (ja) 高強度および高導電率を兼備した銅合金
JP4459067B2 (ja) 高強度高導電性銅合金
WO2011105586A1 (ja) アルミニウム合金導体
JP2012246530A (ja) 銅合金展伸材
KR20130103405A (ko) 전기 전자 기기용 Cu-Zn-Sn-Ca 합금
CN113215439A (zh) 一种高强度铜合金板材及其生产工艺
JP2011017073A (ja) 銅合金材
JP4824124B1 (ja) 銅合金展伸材、銅合金部品および銅合金展伸材の製造方法
TWI411693B (zh) Cu-Ni-Si alloy for electronic materials

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140805

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140828

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5607460

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees