JP2012045891A - インクジェット記録装置およびインク攪拌方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】顔料インクを用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、顔料インクの攪拌動作のために必要以上に時間を消費することなく、濃度むらや発色ずれのない画像を出力する。
【解決手段】最後の攪拌動作からの経過時間とインク消費量の両方に基づいて、現時点で攪拌動作を行うか否かを判断する。これにより、顔料インクの攪拌動作を小規模で効率的に適切なタイミングで実行することが可能となる。
【選択図】図4
【解決手段】最後の攪拌動作からの経過時間とインク消費量の両方に基づいて、現時点で攪拌動作を行うか否かを判断する。これにより、顔料インクの攪拌動作を小規模で効率的に適切なタイミングで実行することが可能となる。
【選択図】図4
Description
本発明は、顔料インクを用いて画像を記録するインクジェット記録装置及び顔料インクにおける顔料粒子の効率的な攪拌方法に関する。
インクジェット記録装置(以下、記録装置とも称する)では、印刷物の発色の安定性や耐候性を重視するために、色材として顔料インクを使用するものがある。顔料インクは、顔料粒子が溶媒中に分散(浮遊)して構成されるので、時間の経過とともに顔料粒子が重力によって沈降する傾向がある。この様な沈降が生じると、顔料粒子の分布に偏りが生じ、インクの粘度や比重の様な物性もインクタンク内の各領域で異なる値を示すようになる。記録ヘッドからインクを吐出する際の吐出量や吐出速度はインクの物性に影響を受けるので、顔料粒子が一様に分散していないインクタンクを用いて記録を行うと、記録中に画像の発色が変異したり濃度むらが招致されたりする。
この様な課題に対応するため、顔料インクを使用するインクジェット記録装置では、インクタンク内の顔料粒子の濃度分布を均一化するための攪拌構成を備えていることが多い。例えば、インクタンクがキャリッジに搭載されるオンキャリッジタイプのインクジェット記録装置では、キャリッジが往復移動する際の加速度を利用してインクを攪拌する方法が有用されている。また、据え置き型のインクタンクを搭載したオフキャリッジタイプのインクジェット記録装置では、インクタンク内に攪拌部材を備え、この攪拌部材を揺動することによってインクタンク内のインクを攪拌する方法が採用されている。
この際、顔料沈降の程度は前回の攪拌動作を行ってからの経過時間に依存するため、インクタンクの攪拌動作は一定の間隔で行われることが望ましい。特許文献1には、前回の攪拌動作からの経過時間を計測し、経過時間が所定の閾値を超えた場合に、自動的に攪拌動作を実施する制御方法が開示されている。また、同文献には、上記閾値を複数持ち、前回の攪拌動作からの経過時間に応じて、攪拌動作に関わる時間を異ならせる構成が開示されている。このようにすれば、前回の攪拌動作からの経過時間が比較的短く、顔料粒子の沈降も然程進んでいない状況のインクタンクに対し、必要以上に攪拌動作を施すことがなくなるので、ユーザの待機時間を短縮することが出来る。
ところで、一般に、顔料粒子は重力方向に対し上位から下位に移動するので、顔料粒子の沈降が進行すると、インクタンクの上位部分は顔料濃度が低くなりやすく低位部分は高くなりやすい。これに対し、中位部分は比較的顔料濃度が安定しており、顔料粒子の沈降が進行しても、同じ姿勢で長時間放置されなければ顔料濃度は然程変化しない。つまり、中位部分の安定したインクが記録ヘッドへ供給される状態であれば、顔料粒子の沈降がある程度進んでも画像には影響が現れ難く、インクタンク内全域を頻繁且つ十分に攪拌する必要はない。特に、印刷物の大型化に伴いインクタンクの大容量化が進んだり、記録装置の小型化に伴い簡素な攪拌部材を用いたりする場合には、インク内を十分に均一にするために、多大な攪拌時間が費やされる。このような状況において、攪拌動作の頻度や程度はなるべく少なく抑えることが望まれる。
一方、インクタンク内の顔料濃度の分布は、インクタンク内に残存しているインク量にも依存する。例えば、ある程度沈降が進行した状態のインクタンクを用いて、インクタンクの中央に位置するインク供給口から一定の速度でインクを消費する場合を考える。当初、インクタンク内のインク量が十分である段階では安定した顔料濃度のインクがインク供給口から流出されるが、徐々に消費量が増加すると、固定されたインク供給口に対しインクの水面すなわち顔料濃度の低い上位部分が接近する。その結果、インク供給口から流出されるインクの顔料濃度も徐々に低くなる。更にインクが消費されると、インクの水面がインク供給口を通り越し、今度は顔料濃度の高い低位部分に沈殿したインクが供給され、インク供給口から流出されるインクの顔料濃度は急激に高まる。このように、インク供給口から供給されるインクの顔料濃度は、インクタンク内に残存するインクの量にも影響を受ける。
しかしながら、特許文献1のような従来技術においては、前回の攪拌動作を行ってからの経過時間のみに基づいて、攪拌動作の有無或いはその程度を制御している。つまり、タンク内のインク量やインク供給口から供給されるインクの顔料濃度に関わらず、インクタンク内の全領域において顔料濃度が一様になるに十分な攪拌動作が行われていた。その結果、実際には必要以上の攪拌動作が行われ、ユーザに余計な待機時間を与えていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。よって、その目的とするところは、顔料インクを用いて画像を記録するインクジェット記録装置において、顔料インクの攪拌動作のために必要以上に時間を消費することなく、濃度むらや発色ずれのない画像を出力することである。
上記課題を解決するための本発明は、記録ヘッドから顔料インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドに供給する顔料インクを収容するためのインクタンクと、該インクタンク内のインクを攪拌するための攪拌手段と、該攪拌手段による前回の攪拌動作からの経過時間を計測するための計測手段と、前記攪拌手段による前回の攪拌動作からのインク消費量を取得するための取得手段と、前記攪拌手段に攪拌動作を実行させるか判断する判断手段と、を備え、前記判断手段は、前記計測手段により計測された経過時間および前記取得手段により取得されたインク消費量に基づいて、前記攪拌手段に攪拌動作を実行させるか判断することを特徴とする。
本発明によれば、顔料インクを使用するインクジェット記録装置において、顔料インクの攪拌動作を小規模で効率的に適切なタイミングで実行することが可能となる。その結果、顔料インクの攪拌動作のために必要以上に時間やコストをかけることなく、濃度むらや発色ずれのない画像を出力することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、記録装置とも称する)の概略構成を説明するための斜視図である。本実施形態のインクジェット記録装置では4色の顔料インクを用い、それぞれの顔料インクが充填された4個のインクタンク1が、インクタンクホルダ2に装着される。インクタンク1内のインクは、インク供給チューブ6を経由してサブタンク7に供給され、さらに不図示の記録ヘッドから記録信号に従って吐出される。記録ヘッドおよびサブタンク7は、ガイド軸3に沿って主走査方向に往復移動するキャリッジ8に搭載されている。キャリッジ8の移動に伴いながら記録ヘッドから記録媒体11に向けてインクを吐出する記録走査と、搬送ローラ9の回転によって記録媒体を副走査方向に移動する搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に段階的に画像を形成する。
図1は本実施形態におけるインクジェット記録装置(以下、記録装置とも称する)の概略構成を説明するための斜視図である。本実施形態のインクジェット記録装置では4色の顔料インクを用い、それぞれの顔料インクが充填された4個のインクタンク1が、インクタンクホルダ2に装着される。インクタンク1内のインクは、インク供給チューブ6を経由してサブタンク7に供給され、さらに不図示の記録ヘッドから記録信号に従って吐出される。記録ヘッドおよびサブタンク7は、ガイド軸3に沿って主走査方向に往復移動するキャリッジ8に搭載されている。キャリッジ8の移動に伴いながら記録ヘッドから記録媒体11に向けてインクを吐出する記録走査と、搬送ローラ9の回転によって記録媒体を副走査方向に移動する搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に段階的に画像を形成する。
記録ヘッドのメンテナンス処理を実行する際、キャリッジ8は記録ヘッドを回復ユニット10の位置に移動させる。回復ユニットには、記録ヘッドの吐出口面をキャッピングするためのキャップや、減圧ポンプ等が配備されている。キャップを記録ヘッドの吐出口面に押し当てた状態で減圧ポンプを作動させることにより、複数の吐出口からインクが強制的に排出され、記録ヘッド内にある不要な泡や増粘したインク、異物などが除去される。
図2は1色分のインクタンク1の構造図である。インクタンク1には満タン時において35gのインクが充填された袋状容器203が内包されている。インクタンク1がインクタンクホルダ2に装着されると、インクタンクホルダ2に設けられた不図示のジョイントが袋状容器203からインクタンク内部に突出したインク供給口204に挿入される。この結合により、袋状容器203内部と記録ヘッドとが連通する。
図1には示していないが、記録装置のインクタンクホルダ2の近傍には、加圧ポンプが配備されている。そして、この加圧ポンプが、インクタンク1がインクタンクホルダ2に装着された状態で作動することにより、インクタンク1の内壁と袋状容器203の間の空間に空気が送り込まれる。その結果、袋状容器203の外圧が高まり、袋状容器203に収容されているインクが記録装置のインク供給路に流出する(供給される)。
袋状容器203の内部には揺動可能な攪拌部材205が取り付けられ、インクタンク1の外壁に配備された駆動部205aによって動作される。攪拌部材205が袋状容器内を揺動することにより、沈降した顔料分子が袋状容器203内で拡散する。なお、本実施形態における攪拌部材205は、揺動時のインクタンクが不安定にならないようにするため、インクタンク1をインクタンクホルダ2に装着した姿勢において、インクタンク1の重心よりも低い位置に設置されている。
図3は、本実施形態の記録装置における制御系の概略ブロック構成図である。CPU80は、ROM81に格納された制御プログラムに従って記録装置全体の動作を制御したりデータ処理を行ったりする。ROM81には、上記制御プログラムのほか、データ処理を実行する際に使用する各種パラメータも格納されており、更には本実施形態の特徴的な攪拌制御を行う際に利用する書き換え可能なEEPROMも含んでいる。RAM82は、CPU80が各種処理を実行する際のワークエリアなどとして用いられる。
モータドライバ90はCPU80の管理の下、各種モータを駆動する。キャリッジモータはキャリッジ8を主走査方向に往復移動させるためのモータであり、搬送モータ84は記録媒体を搬送するために搬送ローラ9を回転させるモータである。加圧モータは、インクを記録ヘッドに供給する際に上述した加圧ポンプを作動させるためのモータであり、攪拌モータ85はインクタンク1の駆動部205aを駆動させるためのモータである。また、回復モータ87は上述したキャップや吸引ポンプを含む回復ユニットを動作させるためのモータである。更にCPU80は、ヘッドドライバ10Aを駆動して記録ヘッド10からインクの吐出を行わせる。
以下、本実施形態の特徴的な攪拌動作の制御について説明する。本実施形態のインクジェット記録装置は、インクタンク1の交換時、記録ヘッドをキャッピングした時、記録装置のソフトパワーON時、および記録コマンドを受信した時、の4つのタイミングにおいて、攪拌動作判定シーケンスを実行する。
図4は、攪拌動作判定シーケンスの際にCPU80が実行する各工程を説明するためのフローチャートである。本処理が開始されると、CPU80は、まずステップS1にて、前回の攪拌動作が行われた最終攪拌時刻をEEPROMより読み出し、装置内のタイマーから得られる現時刻との差、すなわち前回の攪拌動作が行われてからの経過時間Tを算出する。
ステップS2では、ステップS1で得られた経過時間Tを、予めROM81に格納されている閾値T1(第1の閾値)と比較する。T≧T1ならば攪拌動作が必要と判断し、ステップS5へジャンプする。一方、T<T1の場合はステップS3へ進む。なお、経過時間Tの取得方法は、上述に限るものではない。例えば、攪拌動作を行うたびにタイマーをリセットおよび作動しても良いし、経過時間に相関する数値をカウントすることによって取得しても良い。
ステップS3では、前回の攪拌動作が実行された時点から現時点までのインク消費量Ciをインク色ごとに取得する。ここで、インク消費量Ci(i=C、M、YあるいはK)は、例えば、各色の吐出回数や、記録ヘッドの吸引回復動作の回数等から算出することが出来る。具体的には、インクの吐出量にカウントした吐出回数を乗算した値と、一回の吸引動作で消費されるインク量に吸引動作の回数を乗算した値とを加算してインク消費量Ciとすることが出来る。また、インク消費量に相関のある何かしらの数値をカウントし、これを用いてインク消費量Ciを推測する方法であっても良い。更に、記録ヘッドから吐出および排出されるインク量を直接計測して消費量Ciを求めてもよいし、インクタンク内のインク残量を検出あるいは推定して求めてもよい。
ステップS4では、ステップS3で求めたインク消費量Ciを、予めインク色ごとに定められている閾値C1(第2の閾値)と比較する。そして、いずれか1色のインクにおいてCi≧C1であれば、そのインクについてインク供給口204から供給されるインクの顔料濃度は許容範囲外のおそれがあると判断し、ステップS5へ進み、所定の攪拌動作を実行する。一方、全てのインク色でCi<C1ならば、現時点では安定した顔料濃度のインクを供給することが出来ると判断し、攪拌動作を行わず本処理(攪拌動作判定シーケンス)を終了する。
ステップS5において、CPU80は駆動部205aを所定時間駆動して攪拌部材205を揺動し、袋状容器203内の残存インクを攪拌する。なお、インクタンク交換時など、前回の攪拌動作からの経過時間Tやインク消費量Ciが不明である場合には、そのままステップS5へジャンプし、攪拌動作を実行するのが好ましい。
続くステップS6において、CPU80は現時刻を最終攪拌時刻としてEEPROMに上書きする。更にステップS7において、インク消費量Ciを0にリセットする。以上で、本処理(攪拌動作判定シーケンス)を終了する。
以下、ステップS4でインク消費量Ciと比較する閾値C1の適切な設定値について説明する。図5は、攪拌動作を実行してから1週間放置した後、加圧ポンプによりインク供給口204から所定の速度でインクを流出させた場合の、インクタンク1内のインク残量と供給口204から流出されるインクの顔料濃度の関係を示す図である。ここでは、容量35gの満タンインクタンクを装着し、放置前に攪拌部材205による30秒の揺動を行った場合(実線)と、60秒の揺動を行った場合(破線)とを比較して示している。
どちらの攪拌動作を行った場合でも、インクが充分に残っている段階では、供給されるインクの顔料濃度は許容範囲に収まっている。しかし、インクの消費と共に顔料濃度は徐々に下がり、インク残量が10g程度で最低濃度を示した後は、高まる方向に転化する。この際、放置前の攪拌動作を60秒行った場合では、顔料濃度の変化はインク残量が0になるまで許容範囲に収まっている。これに対し、放置前の攪拌動作が30秒であった場合では、顔料濃度は最低になった場合もその後上昇した場合も、許容範囲から外れてしまっている。
ここで、本例においては、放置前の攪拌動作が30秒であっても、インクを最後まで消費する過程において、インク供給口204から流出されるインクの顔料濃度を許容範囲に抑えることを目標とする。そのためには、インク消費量Ciと比較する閾値C1は、20g(残量15g)とするのが好ましい。なぜなら、顔料濃度が許容範囲を超える直前のタイミングで攪拌動作を行えば、攪拌動作にかかわる時間や頻度を最も低く抑えながら顔料濃度を許容範囲内に収めることが出来るからである。
以下、図5のような傾向を示すインクタンクに対し、本実施形態の方法を採用した場合の効果を、特許文献1に記載の方法と比較しながら説明する。
図6(a)および(b)は、図5のような傾向を示すインクタンクに対し、特許文献1の方法を採用した場合の、インク消費に伴う顔料濃度の変化を示す図である。ここでは、前回の攪拌動作から経過した時間Tと比較するための閾値T1を168時間(1週間)としている。そして、35gのインクを収容した満タンのインクタンクを装着した後に30秒の攪拌動作を行い、その後1日あたり6gずつの消費速度で画像を記録する状況において、インク残量と供給口から流出する顔料濃度の関係を示している。図6(a)および(b)共に横軸はインクタンク内のインク残量を示している。一方縦軸は、図6(a)については前回の攪拌動作からの経過時間Tを示し、同図(b)については供給口から流出されるインクの顔料濃度を示している。
この場合、装着時の攪拌動作終了後、4日目の段階でタンク内のインク残量は15g以下となるが経過時間Tはまだ閾値T1=168を越えない。よって、供給口から流出するインクの顔料濃度は許容範囲を下回り、標準よりも濃度の低い画像が記録されてしまう。その後5日目には一旦許容範囲内に戻るが、顔料濃度は更に上昇し6日目に再び許容範囲を超える。この段階でも、経過時間Tはまだ閾値T1=168を越えないので、供給口から流出する顔料濃度は許容範囲を超え、今度は標準よりも濃度の高い画像が記録されてしまう。
一方、図7(a)〜(c)は、図5のような傾向を示すインクタンクに対し、本実施形態の方法を採用した場合の、インク消費に伴う顔料濃度の変化を示す図である。本例において、Ciと比較するための閾値C1は20gとしている。図6と同様、横軸はインクタンク内のインク残量を示している。縦軸は、図7(a)については最終の攪拌動作からの経過時間Tを、同図(b)については最終の攪拌動作からのインク消費量Ciを、同図(c)については供給口から流出されるインクの顔料濃度を示している。
本実施形態の場合、最初の攪拌動作終了後から4日目までの間、経過時間Tおよびインク消費量Ciは徐々に増加し、インク顔料濃度は徐々に下がる。そして、再度図4のフローチャートを参照しながら説明すると、4日目の段階で経過時間Tは未だ閾値T1=168を越えないが(T<168 ステップS2)、インク使用量Ciは20gを超え(Ci≦C1 ステップS4)、インク残量は15gを切る。この段階でステップS5に進み、所定の攪拌動作を30秒間実行することにより、顔料濃度は図7(c)のように回復する。これに伴い、最終の攪拌動作からの経過時間Tは図7(a)のように0にリセットされ(ステップS6)、最終の攪拌動作からのインク消費量Ciも0に戻る。つまり、本実施形態の方法を採用すれば、攪拌動作を行った後の徐々にインクが消費されて行く過程において、顔料濃度が許容範囲に収まっている間の適切なタイミングで30秒程度の攪拌動作を実行する。これにより、濃度むらなどの影響が現れない良好な画像出力を、インクタンク内のインクが完全に消費されるまで継続して維持することが出来る。
一般に、インクタンクの大容量化や攪拌手段の簡素化によって、インクタンク内全域について顔料濃度を一様にすることは困難であり、攪拌動作には多大な時間が要される。しかし、実際に記録ヘッドに供給されるのはインク供給口近傍のインクであるので、このインク供給口近傍の顔料濃度が許容範囲に抑えられる程度の攪拌動作が行われれば、画像に大きな影響は現れない。すなわち、本実施形態によれば、インクタンク内全域の顔料濃度を均一にすることが困難な状況であっても、インクタンク内の顔料濃度の偏りに起因する濃度むらなどの画像弊害を回避することが可能となる。逆に言えば、本実施形態においては、1回の攪拌動作でインクタンク内の顔料濃度を完全に均一にする必要がないため、例えば攪拌時間や攪拌速度あるいは攪拌部材の規模のような攪拌効果を左右する条件を低く抑えることができる。そのため、記録速度を向上させたり、装置を低コストに抑えたり、インクタンクの大容量化によってランニングコストを抑えたりすることが可能となる。
以上説明したように本実施形態によれば、最後の攪拌動作からの経過時間Tとインク消費量Ciの両方に基づいて、現時点で攪拌動作を行うか否かを判断する。これにより、顔料インクの攪拌動作を小規模で効率的に適切なタイミングで実行することが可能となる。その結果、顔料インクの攪拌動作のために必要以上に時間やコストをかけることなく、濃度むらや発色ずれのない画像を出力することが出来る。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても、図1〜図3で説明したインクジェット記録装置を用いる。本実施形態では、前回の攪拌動作からのインク消費量Ciのほか、次回攪拌動作判定シーケンスが実行されるまでのインク消費予測量Cipを取得し、これらの和に応じて、現時点での攪拌動作の是非を判断する。
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても、図1〜図3で説明したインクジェット記録装置を用いる。本実施形態では、前回の攪拌動作からのインク消費量Ciのほか、次回攪拌動作判定シーケンスが実行されるまでのインク消費予測量Cipを取得し、これらの和に応じて、現時点での攪拌動作の是非を判断する。
図8は、本実施形態における攪拌動作判定シーケンスを説明するためのフローチャートである。ステップS11からステップS13までの工程は、図4で示したステップS1からステップS3までの工程と同様であるので、説明は省略する。
ステップS14において、CPU80は、現時点から次回の攪拌動作判定シーケンスが実行されるまでに消費されるインクの予測量Cipを算出する。本実施形態のインクジェット記録装置においても、攪拌動作判定シーケンスを実行するタイミングは、第1の実施形態と同様、インクタンクの交換時、記録ヘッドキャッピング時、記録装置ソフトパワーON時、および記録コマンド受信時である。よって、現時点から次回の攪拌動作判定シーケンスが実行されるまでに行われるインクの消費を伴う動作、すなわち予備吐出や吸引回復動作の回数はある程度予測することが出来、インク消費予測量Cipも算出することが出来る。
ステップS15では、ステップS13で求めたインク消費量CiとステップS14で求めたインク消費予測量Cipを加算し、予めインク色ごとに定められている閾値C2と比較する。そして、いずれか1色のインクにおいてCi+Cip≧C2であれば、そのインクについてインク供給口204から供給されるインクの顔料濃度は、次回の攪拌動作判定シーケンスが実行される前に許容範囲から外れるおそれがあると判断し、ステップS16へ進む。一方、全てのインク色でCi+Cip<C2ならば、次回の攪拌動作判定シーケンスが実行されるまでの間、安定した顔料濃度のインクを供給することが出来ると判断し、現時点では攪拌動作を行わず本処理(攪拌動作判定シーケンス)を終了する。
ステップS17において、CPU80は現時刻を最終攪拌時刻としてEEPROMに上書きする。更にステップS18において、インク消費量Ciを0にリセットする。以上で、本処理(攪拌動作判定シーケンス)を終了する。
このように本実施形態によれば、現時点におけるインク消費量に加え、次回の攪拌動作判定シーケンスが実行されるまでの間のインク消費量も加味した上で、攪拌動作の是非を判断する。これにより、現時点での消費量Ciが、顔料濃度が許容範囲から外れるおそれのある閾値C2に達する以前に、余裕を持って攪拌動作を行うことになるので、第1の実施形態よりも更に確実に、顔料濃度を許容範囲内に維持しておくことが出来る。
なお、以上説明した2つの実施形態においては、最終攪拌時刻などを記録装置本体に設置されたEEPROMで保存する形態で説明したが、これら情報は例えば各色のインクタンクに配備されたEEPROMによって管理されても良い。このようにすれば、各色のインクタンクを個別に着脱し、各インクタンクで最終攪拌時刻が異なるような状況であっても、最も顔料の沈降が進行したと懸念されるインクタンクに合わせて、適切なタイミングで攪拌動作を行うことが出来る。
また、以上では、経過時間と比較するための第1の閾値やインク消費量と比較するための第2の閾値を1つずつ用意する内容で説明したが、このような閾値を複数用意し段階に応じて攪拌時間を変えるなど、攪拌動作の程度を調整しても良い。また、インク顔料の沈降の程度や攪拌効果は、顔料の種類すなわちインク色に応じても異なるので、個々の閾値や攪拌時間はインク色に応じて別に用意しても良い。
また、上記閾値や攪拌時間は、インクタンク中のインク残量に応じて異ならせても良い。インクタンクの形状や攪拌手段の形状によっては、インクタンク内インク残量により、同じ攪拌量でも攪拌効果が異なる場合がある。それぞれのインクタンクの特性に合わせてインク残量により攪拌の頻度、程度を異ならせることは有効である。
更に、上記閾値や攪拌時間は、攪拌動作判定シーケンスを実行する4つのタイミング、すなわちインクタンクの交換時、記録ヘッドをキャッピング時、記録装置のソフトパワーON時、および記録コマンド受信時、に応じて異ならせても良い。例えば、記録コマンド受信時のインク攪拌動作は記録動作直前に行われるので、ユーザの利便性に大きく影響する。よって、記録コマンド受信時の攪拌動作判定シーケンスのみ上記閾値や攪拌時間を他より大きく設定したり、攪拌動作時間を短縮したりすることは有効である。また、記録コマンド受信時の攪拌動作判定シーケンスのみ上記閾値を多く用意し、より細かい攪拌制御で待機時間を必要最小限に抑えることも出来る。
更にまた、上記実施形態では図2を用いて、顔料濃度が然程変化しないことを理由にインクタンクの略中央にインク供給口が位置する形態で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。インク供給口がインクタンクのどの位置に配置されていても、そこから供給されるインクの顔料濃度が許容範囲を超えないような頻度で攪拌動作が行われるように、経過時間やインク消費量の閾値が適切な値に設定されていれば、本発明は有効に機能する。
1 インクタンク
2 インクタンクホルダ
10 記録ヘッド
203 袋状容器
204 インク供給口
205 攪拌部材
2 インクタンクホルダ
10 記録ヘッド
203 袋状容器
204 インク供給口
205 攪拌部材
Claims (9)
- 記録ヘッドから顔料インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドに供給する顔料インクを収容するためのインクタンクと、
該インクタンク内のインクを攪拌するための攪拌手段と、
該攪拌手段による前回の攪拌動作からの経過時間を計測するための計測手段と、
前記攪拌手段による前回の攪拌動作からのインク消費量を取得するための取得手段と、
前記攪拌手段に攪拌動作を実行させるか判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記計測手段により計測された経過時間および前記取得手段により取得されたインク消費量に基づいて、前記攪拌手段に攪拌動作を実行させるか判断することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記判断手段は、前記経過時間が第1の閾値を超える場合、または前記インク消費量が第2の閾値を超える場合に、前記攪拌手段に前記インクタンク内のインクの攪拌動作を実行させることを判断することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクタンクは種類の異なる顔料インクを収容するために複数用意され、前記第1の閾値または前記第2の閾値は、前記複数のインクタンクごとに異なっていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記第1の閾値または前記第2の閾値は複数用意され、前記判断手段は前記経過時間と前記複数の第1の閾値の関係、および前記インク消費量と前記複数の第2の閾値の関係に応じて、前記攪拌手段に前記インクタンク内のインクの攪拌動作を実行させる時間を判断することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記取得手段は、前記攪拌手段による前回の攪拌動作から現時点までに実行された前記記録ヘッドの吐出回数および吸引回復動作の回数から、前記インク消費量を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記取得手段は、前記攪拌手段による前回の攪拌動作から現時点までに実行された前記記録ヘッドの吐出回数および吸引回復動作の回数と、現時点から前記判断手段の次回の判断までに実行されると予測される前記記録ヘッドの吐出回数および吸引回復動作の回数から、前記インク消費量を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記攪拌手段は、前記インクタンクの内部に取り付けられた攪拌部材を揺動することによって、前記インクタンク内に収容された顔料インクを攪拌することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 前記攪拌部材は、前記インクタンクを前記記録装置に装着した姿勢において、前記インクタンクの重心よりも低い位置に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
- 記録ヘッドから顔料インクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置におけるインク攪拌方法であって、
前記記録ヘッドに供給する顔料インクを収容するためのインクタンクにおいて、顔料インクを攪拌する攪拌工程と、
該攪拌工程における前回の攪拌動作からの経過時間を計測するための計測工程と、
前記攪拌工程における前回の攪拌動作からのインク消費量を取得するための取得工程と、
前記攪拌工程における攪拌動作を実行するか判断する判断工程と、
を有し、
前記判断工程では、前記計測工程において計測された経過時間および前記取得工程において取得されたインク消費量に基づいて、前記攪拌工程において攪拌動作を実行するか判断することを特徴とするインク攪拌方法。
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