JP2012045611A - 金属部品の加工成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属部材11を熱間鍛造12によって所定形状に成形する素材成形工程13と、上記素材成形工程で形成された加工前素材14を、室温環境下において、ローラー塑性成形加工によって所定の完成部品形状に加工するローラー塑性成形加工工程とを備えた構成とする。
【選択図】図1
Description
完成部品の形状に合わせ、予め上記完成部品よりも大きな寸法に加工対象素材を成形し、上記加工対象素材から余分な部位を切削加工によって削り取り、目的の完成部品の形状に加工する。
以下、完成部品が建設機器及び産業機械等の大型の軸受内輪である場合を例として説明する。
図4(a)は上記軸受内輪70の加工前素材71の径方向断面図、(b)は、建設機器及び産業機械等の大型の軸受内輪70の完成部品の径方向断面図を示している。
図4(a)に示すように、加工前素材71は、2つの上記軸受内輪形成部74、74の幅方向一端部を互いに合わせた形状の外縁部に、所定寸法分の削り代部72が配設され、全体略短円筒形に形成されている。
また、上記加工前素材71の幅方向中央部には周方向に沿って、少なくとも、切断時の切断刃(図示せず)の幅寸法以上の幅寸法を有する切り離し用余白部73が形成されている。
更に、切削終了後、上記切り離し用余白部73に沿って切断刃で切り離すことによって、図4(b)に示す軸受内輪70が2つ形成される。
従って、材料コストが高くなると共に、切削後に切り離し作業が必要であることから、加工のための作業工数も大きくなるという不具合を有していた。
また、加工前素材を切削しない加工方法として、円盤状の加工前素材を回転させ、ローラーによって金型に押し付けることによって、上記加工前素材を自己発熱によって昇温させ、上記ローラーを移動させることによって上記金型形状に加工前素材を成形する、フローフォーミング加工、もしくはスピニング加工の手法等のローラ塑性成形加工を用いる方法が提案されている(特許文献1)。
従って、ローラーを、より強い力で加工前素材に押し当てて変形させる必要があることから、完成部品にひび割れ等が発生しやすくなるという不具合を有していた。
また、加工時の発熱によって、加工前素材の表面が酸化して品質が劣化し、仕上げ加工が必要になるという不具合をも有していた。
即ち歩留まり率が高く、また加工作業が容易であり、加工コストが小さく、更に、完成部品の寸法精度を精密な状態に保持しうる金属部品の加工方法を提供することにある。
また、切削工程を経ることなく、塑性変形によって完成部品の形状に加工することから、削り屑が発生することが無い。
更に、ローラー塑性成形加工が室温環境下で行われるため、加工後の寸法に誤差が発生し難い。
従って加工前素材の性質が変化することが無い。
なお、変態点温度とは、相変態を起こす温度であり、この温度を超えると、金属の相が変化し、性質が大幅に変わる温度である。
また、ローラー塑性成形加工時において、加工前素材の加工硬度が大きくなることから、焼入れ焼き戻し等の熱処理を加工後に行う必要が無い。
また、加工表面は滑らかで光沢を有し、高い製品品質と、高寿命を確保できる。
また、加工前素材に円盤状部材を使用する場合と比較して、加工量が小さくなるため、完成部品に至るまでの加工量、加工率を算出し易くなる。
また、請求項4の発明にあっては、上記ローラー塑性成形加工工程は、上記加工前素材の変態点温度以下の環境で行われる。従って、熱による加工前素材の相変態、及びそれに伴う精度不良等の品質劣化を防止することができる。
図1に示すように、本実施例に係る金属部品の加工成形方法10にあっては、金属部材11を熱間鍛造工程12によって所定形状に成形する素材成形工程13と、上記素材成形工程13でリング形状に形成された加工前素材14を、図2に示すように、室温環境下において、ローラー15による塑性加工によって所定の完成部品16の形状に加工する、ローラー塑性成形加工工程17とを備えている。
また、図2に示すように、上記ローラー塑性成形加工工程17は、加工前素材に冷却水を吹き付けて、上記加工前素材14を変態点温度以下に保持する冷却工程(図2には図示せず)と並行して行われる。
図1は、本実施例に係る、素材成形工程13の詳細構成を示す概略図である。
図1に示すように、素材成形工程13は、棒状若しくは円柱形状の金属部材11を所定寸法に切断する切断工程18と、上記切断工程18で切断された切断金属部材11aを加熱し、熱間環境下において、据え込み加工12a、目打ち加工12b(穴あけ)、目抜き加工12c(打ち抜き)を行い、更にローリングによって形状を整えるリングローリング工程12d、リング径を調整するリング径サイジング工程12eを順次行うことによって、所定形状に成形する熱間鍛造工程12と、上記熱間鍛造工程12後に行われ、加工前素材14の加工性を向上させる焼鈍工程19と、上記焼鈍工程19後に行われ、加工前素材14の表面の研削を行うショットブラスト工程20とを備えている。
なお、本実施例においては、金属部材11には、鉄に0.2%から2%程度の炭素を含有した鋼を用いている。
更に、リング状に成形された切断金属部材11aは、リングローリング工程12d及び、リング径サイジング工程12eによって、目的とする完成部品16(図1には図示せず)に合わせて、幅寸法、径寸法等を調整する。
なお、本実施例においては、上記焼鈍工程19における焼鈍は、鋼中のセメンタイト(鉄カーバイト組織)を球状化し、焼割れ等を防止する所謂球状化焼鈍を行う。
切削加工と異なり、厚さ寸法の調整が繰り返し行えることから、非常に精密な加工が可能である。
なお、この際、ローラー15の近傍に設置したノズル(図示せず)等の装置から加工前素材14に対して、冷却水が吹き付けられ、加工中に上記加工前素材14の温度が鋼の変態点である約700℃を超えないように温度が保持される。
図3(a)に示すように、加工前素材14は短円筒形に形成され、(b)に示すように、ローラー15を外周部に押し当てながら、図中矢印Bに示すように滑らせることによって、所定の形状に整形し、幅方向中央部で切り離すことによって、(c)に示す完成部品16が2つ形成される。
この際、図3(b)に示すように、幅方向中央部に溝21が形成されているため、切断部分は極めて薄肉化されており、切断時に切断屑の発生を抑えられる。
従って、図3に示す軸受内輪に本実施例の加工方法を適用することによって、完成部品に対する歩留まり率が飛躍的向上し、90%以上を確保できる。
また、図2に示す各部品についても、90%以上の歩留まり率を確保することが可能である。
また、素材整形工程において整形される加工前素材の形状、大きさ寸法については、ローラー塑性成形加工工程時の加工量、加工率等を基に最適な値に調整する。
また、熱間鍛造工程及びローラー塑性成形加工工程時における設定温度については、本願発明の条件内であれば、適宜変更しても本実施例と同様の作用効果を得ることができる。
11 金属部材
11a切断金属部材
12 熱間鍛造工程
12a据え込み加工
12b目打ち加工
12c目抜き加工
12d リングローリング工程
12e リング径サイジング工程
13 素材整形工程
14 加工前素材
15 ローラー
16 完成部品
17 ローラー塑性成形加工工程
18 切断工程
19 焼鈍工程
20 ショットブラスト工程
21 溝
70 軸受内輪
71 加工前素材
72 削り代部
73 切り離し用余白部
A ローラー移動経路
B ローラー移動経路
Claims (4)
- 金属部材を熱間鍛造によって所定形状に成形する素材成形工程と、
上記素材成形工程で形成された加工前素材を、室温環境下において、ローラー塑性成形加工によって、所定の完成部品形状に加工するローラー塑性成形加工工程を備えることを特徴とする金属部品の加工成形方法。 - 上記加工前素材は、上記素材成形工程において、所定の径寸法及び厚さ寸法を有するリング状に成形されることを特徴とする請求項1記載の金属部品の加工成形方法。
- 上記ローラー塑性成形加工工程は、加工前素材に冷却水を吹き付ける冷却工程と並行して行われることを特徴とする請求項1または2いずれか1項に記載の金属部品の加工成形方法。
- 上記ローラー塑性成形加工工程は、上記加工前素材の変態点温度以下の環境で行われることを特徴とする請求項1記載の金属部品の加工成形方法。
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JP2010192374A JP2012045611A (ja) | 2010-08-30 | 2010-08-30 | 金属部品の加工成形方法 |
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2010
- 2010-08-30 JP JP2010192374A patent/JP2012045611A/ja active Pending
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