本発明の一実施の形態である演出装置30、および演出装置30を備えたパチンコ機1について、図面を参照して説明する。
図1および図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上部の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCDである表示装置28が設けられている。表示装置28の表示領域では、大当たり判定の結果を遊技者に報知するための報知演出、大当たり遊技中の演出等、様々な演出の映像が表示される。特に、報知演出では複数のデモ図柄の変動および停止が行われ、同一のデモ図柄が所定ライン上に確定表示されることで、大当たり判定の結果が当たりであることが遊技者に報知される。
表示装置28の外縁を取り囲むように、各種演出を行う演出装置30(図3等参照)が設けられている。演出装置30は、表示装置28およびスピーカ48等と連動して、報知演出等の様々な演出を実行する。表示装置28の左方には、普通図柄始動ゲート12が設けられている。普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われる。表示装置28の下方には、特別図柄始動電動役物15が配設されている。特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞することを契機として、大当たり判定が行われる。特別図柄始動電動役物15の下方には、大入賞口16が設けられている。さらに、遊技盤2には、上記以外に各種の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技釘が設けられている。
特別図柄始動電動役物15には開閉部材が設けられており、この開閉部材が開放されると、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が容易となる。特別図柄始動電動役物15の開閉部材は、普通当たり判定によって当たりと判定されることで開放される。大入賞口16にも開閉部材が設けられており、この開閉部材が開放された場合のみ、遊技球が大入賞口16に入賞可能となる。大入賞口16の開閉部材は、大当たり判定によって当たりと判定されることで開放される。各開閉部材は、ソレノイドによって電気的に開放される。特別図柄始動電動役物15および大入賞口16に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。
以下、演出装置30について説明する。まず、図3および図4を参照して、演出装置30の概要について説明する。図3の紙面左斜め手前側および図4の紙面手前側を、演出装置30の正面側とする。図3の紙面右斜め奥側および図4の紙面奥側を、演出装置30の背面側とする。図3および図4の左側を演出装置30の左側とし、図3および図4の右側を演出装置30の右側とする。
演出装置30は、表示装置28(図1および図2参照)の表示領域を複数の領域に区画するための4つの区画体31〜34を備える。詳細には、演出装置30は、第一横区画体31、第二横区画体32、第一縦区画体33、および第二縦区画体34を備える。第一横区画体31および第二横区画体32(以下、これらをまとめて「横区画体31,32」という。)は、表示装置28よりも正面側に配置される棒状体であり、正面視で表示装置28の表示領域を上下方向に仕切ることができる。第一縦区画体33および第二縦区画体34(以下、これらをまとめて「縦区画体33,34」という。)は、表示装置28よりも正面側に配置される棒状体であり、正面視で表示装置28の表示領域を左右方向に仕切ることができる。
2つの横区画体31,32のそれぞれは、表示領域の中央部を中心として上下対称に縦移動することができる。横区画体31,32が可動範囲内の原点範囲にある状態(図1〜図4に示す状態)では、表示装置28の表示領域は、横区画体31,32によって略均等に3行に区画される。原点範囲にあった横区画体31,32のそれぞれが、互いに離間する方向に対称移動すると、3行に区画された領域のうちの中央の領域の面積が広がる。その後、横区画体31,32のそれぞれが可動範囲内の終点位置に到達すると、横区画体31,32は表示装置28の表示領域の上方および下方に位置し、表示領域の横方向の区画が解除される。
2つの縦区画体33,34のそれぞれは、表示領域の中央部を中心として左右対称に横移動することができる。縦区画体33,34が可動範囲内の原点範囲にある状態(図1〜図4に示す状態)では、表示装置28の表示領域は、縦区画体33,34によって略均等に3列に区画される。原点範囲にあった縦区画体33,34のそれぞれが、互いに離間する方向(外側)に対称移動すると、3列に区画された領域のうちの中央の領域の面積が広がる。その後、縦区画体33,34のそれぞれが可動範囲内の終点位置に到達すると(図13参照)、縦区画体33,34は表示装置28の表示領域の右方および左方に位置する。その結果、表示領域の縦方向の区画が解除される。
通常の報知演出中は、4つの区画体31〜34はいずれも原点範囲に位置する。その結果、表示装置28の表示領域は格子状に9個の領域に区画され、区画された9個の領域のそれぞれにデモ図柄が表示される。格子状の領域のうち、縦、横、斜めの合計8つのラインの少なくともいずれかに同一の図柄が表示されると、大当たり遊技が開始されて多数の遊技球が払い出される。少なくともいずれかのラインにおいて、1番目に停止したデモ図柄と2番目に停止したデモ図柄とが同一の図柄となれば、所謂リーチ演出が実行される。リーチ演出では、パチンコ機1は、区画体31〜34を移動させて9個の領域のそれぞれの大きさを変化させることができる。さらに、パチンコ機1は、区画体31〜34の全てを終点位置に移動させて区画を解除し、表示領域全体でリーチ演出を行うこともできる。大当たり遊技が開始されると、パチンコ機1は区画を解除し、表示領域全体で大当たり遊技中の演出を実行する。
さらに、演出装置30は、第一装飾体35および第二装飾体36(以下、これらをまとめて「装飾体35,36」という。)を備える。装飾体35,36は、正面視略矩形の縦長部材であり、装飾が施されている。装飾体35,36は、4つの区画体31〜34よりもさらに正面側に配置される。通常の報知演出中には、第一装飾体35は、矩形の表示領域のうち、右側縁部から所定範囲を遮蔽する。また、第二装飾体36は、表示領域のうち左側縁部から所定範囲を遮蔽する。縦区画体33,34が原点範囲から外側の終点位置に向かって所定距離移動すると、縦区画体33,34に設けられた接触部材120,121の爪部124,125(図10参照、詳細は後述する)が、装飾体35,36に接触する。接触部材120,121と装飾体35,36とが接触している間、装飾体35,36は縦区画体33,34と共に横移動する。よって、縦区画体33,34が終点位置に向かって移動すると、装飾体35,36は互いに離間するように移動し、表示装置28の表示領域の右方および左方に位置する。その結果、表示領域のうち遊技者が視認できる領域が広がり、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
演出装置30は、横区画体31,32を縦移動させるための縦移動ユニット40(図5参照)を備える。また、演出装置30は、縦区画体33,34および装飾体35,36を横移動させるための横移動ユニット110(図9参照)を備える。
図4から図8を参照して、横区画体31,32を縦移動させるための縦移動ユニット40について説明する。図5に示すように、縦移動ユニット40は、演出装置30(図3および図4参照)の右側に設けられた右側縦移動機構41と、左側に設けられた左側縦移動機構81とを備える。右側縦移動機構41の要部と左側縦移動機構81の要部とは同一であり、横区画体31,32との間の接続の構造のみが異なる。よって、以下では右側縦移動機構41について重点的に説明し、左側縦移動機構81の説明は簡略化する。
図6および図7に示すように、右側縦移動機構41は、合成樹脂製の支持板42を備える。支持板42は、上下方向に延びる略板状の部材であり、右側縦移動機構41の全体を支持する。図6に示すように、支持板42には、板面の略中心から上端部近傍へかけて上下方向に延びる長孔43が形成されている。第一横区画体31の右端部44に固定される第一ベルト接続部45は、図7に示すように、背面側(図6の左側)に突出する凸部46を有する。凸部46は長孔43に挿入される。凸部46が長孔43に摺動することで、第一横区画体31の縦移動がガイドされ、且つ第一横区画体31の可動範囲(つまり、後述するタイミングベルト60の回転量)が適切に規制される。
図6から図8に示すように、右側縦移動機構41は、ステップモータである右側縦移動モータ50を備える。右側縦移動モータ50は、略円板状のモータブラケット51に固定され、モータブラケット51は支持板42の上端部に固定される。右側縦移動モータ50の出力軸52は後方へ延びてモータブラケット51を貫通し、駆動プーリ53に固定される。駆動プーリ53は出力軸52の回転に伴って回転する。駆動プーリ53の外周面には凹凸状の歯部が形成されている。また、図6および図7に示すように、右側縦移動機構41は、下端部近傍に従動プーリ54を備える。従動プーリ54には回転軸55が挿入されており、この回転軸55の後端はプーリ保持部材56に保持される。プーリ保持部材56は、上方へ突出する円柱部57を備えており、この円柱部57にはコイルバネ58が巻回されている。円柱部57は、下方が開放された箱状の形状を成す円柱部保持部材59に下方から挿入されており、円柱部保持部材59は支持板42の正面側下端部に固定される。つまり、支持板42、円柱部保持部材59、プーリ保持部材56、およびコイルバネ58は、従動プーリ54を下方(駆動プーリ53から離間する方向)へ付勢した状態で回転可能に保持する。
駆動プーリ53および従動プーリ54には、無端状のタイミングベルト60が架け渡されている。タイミングベルト60の歯部は駆動プーリ53の歯部と噛み合うため、駆動プーリ53が回転するとタイミングベルト60も回転する。前述したように、従動プーリ54は下方へ付勢された状態で保持されているため、タイミングベルト60は適切なテンションが加えられた状態で駆動プーリ53および従動プーリ54に架け渡される。その結果、タイミングベルト60の歯部が駆動プーリ53の歯部から脱落して異なる歯間へ移動する現象(所謂「歯飛び」)が発生する可能性は低下する。
図5および図6に示すように、右側縦移動機構41は縦移動ガイド軸63を備える。縦移動ガイド軸63は、支持板42の左上端から左下端へ上下方向に真っ直ぐに延びる。また、第一横区画体31の右端部44は、2つの螺子64,64によって第一ベルト接続部45に固定される。第一ベルト接続部45には縦移動ガイド軸63が貫通しているため、第一ベルト接続部45に固定された第一横区画体31の縦移動は、縦移動ガイド軸63によって適切に案内される。
図5に示すように、第一ベルト接続部45の右端部は、タイミングベルト60のうち互いに対向する部分(右部61および左部62)の一方である右部61に接続される。換言すると、タイミングベルト60のうち、駆動プーリ53の右端から従動プーリ54の右端に延びる部分を右部61、駆動プーリ53の左端から従動プーリ54の左端に延びる部分を左部62とした場合に、第一ベルト接続部45は右部61に接続される。
第二横区画体32の右端部65は、2つの螺子66によって第二ベルト接続部67に固定される。第二ベルト接続部67には縦移動ガイド軸63が貫通しているため、第二ベルト接続部67に固定された第二横区画体32の縦移動は、縦移動ガイド軸63によって適切に案内される。第二ベルト接続部67の右端部は、タイミングベルト60のうちの左部62に接続される。
タイミングベルト60が左回りに回転すると、タイミングベルト60の右部61は上方へ移動し、左部62は下方へ移動する。従って、タイミングベルト60が左回りに回転すると、右部61に接続された第一横区画体31は上方へ移動し、左部62に接続された第二横区画体32は下方へ移動する。逆に、タイミングベルト60が右回りに回転すると、第一横区画体31は下方へ移動し、第二横区画体32は上方へ移動する。右部61と左部62の移動方向は反対であり、且つ移動量は同じであるため、第一横区画体31と第二横区画体32とは上下対称に移動することとなる。
図4に示すように、右側縦移動機構41の上下方向中心部には、光学センサである右原点センサ68が配置されている。横区画体31,32が可動範囲内の原点範囲にある状態(図4に示す状態)では、第一ベルト接続部45の右下の端部から正面側に突出する被検出片47(図6参照)は、右原点センサ68の検出部に位置する。従って、パチンコ機1は、右原点センサ68が被検出片47を検出しているか否かによって、第一横区画体31の右端部44および第二横区画体32の右端部65が原点範囲内にあるか否かを検出することができる。
また、図4に示すように、右原点センサ68よりもやや上方には、光学センサである右終点センサ69が配置されている。横区画体31,32が、可動範囲内の終点位置にある状態では、第一ベルト接続部45の被検出片47は、右終点センサ69の検出部に位置する。従って、パチンコ機1は、右終点センサ69が被検出片47を検出しているか否かによって、第一横区画体31の右端部44および第二横区画体32の右端部65が終点位置にあるか否かを検出することができる。
駆動プーリ53を支持する構造について説明する。図8に示すように、駆動プーリ53の正面側(図8の右側)の中心には、右側縦移動モータ50の出力軸52が固定される。さらに、駆動プーリ53の背面側(図8の左側)の中心には、支持軸70が挿入される。つまり、駆動プーリ53の軸線上に出力軸52と支持軸70とが位置する。図6および図8に示すように、支持板42の上端部近傍には、円筒状の凹部である軸受け部71が形成されており、この軸受け部71には円筒状のブッシュ72が配置される。支持軸70の後端側がブッシュ72に挿入されることで、支持軸70は支持される。このように、駆動プーリ53の背面側には支持軸70が挿入されており、駆動プーリ53は支持軸70によって支持される。従って、タイミングベルト60から駆動プーリ53に伝わる力が出力軸52のみにかかることはなく、力は支持軸70にも分散される。よって、出力軸52にかかる力を減少させて、右側縦移動モータ50に脱調等の動作不良および故障が生じる可能性を低下させることができる。また、ギアを介して右側縦移動モータ50の回転を駆動プーリ53に伝える必要はない。従って、ギアを用いる場合に比べて容易にスペースを確保することができる。
支持軸70は、駆動プーリ53に対して回転自在に配置される。さらに、支持軸70は、ブッシュ72に対して回転自在に配置される。従って、演出装置30は、駆動プーリ53の回転中に支持軸70に生じる摩擦力を低下させて、駆動プーリ53を円滑に回転させることができる。
左側縦移動機構81について説明する。左側縦移動機構81の要部の構成は、右側縦移動機構41の構成と同一である。図5に示すように、左側縦移動機構81は、左側縦移動機構81の全体を支持する支持板82を備える。支持板82の上部には、左側縦移動モータ90がモータブラケット91を介して固定されている。左側縦移動モータ90の出力軸(図示せず)には駆動プーリ93が固定されている。駆動プーリ93の背面側は、右側縦移動機構41と同様に支持軸(図示せず)によって支持されている。支持板82の下部では、従動プーリ94がコイルバネ(図示せず)によって下方へ付勢された状態で保持されており、駆動プーリ93および従動プーリ94にはタイミングベルト100が架け渡されている。
第一横区画体31の左端部84は、第一ベルト接続部85に固定される。第一ベルト接続部85には、上下方向に延びる縦移動ガイド軸103が貫通している。よって、第一横区画体31の縦移動は、縦移動ガイド軸103によって適切に案内される。タイミングベルト100のうち、駆動プーリ93の右端から従動プーリ94の右端に延びる部分を右部101、駆動プーリ93の左端から従動プーリ94の左端に延びる部分を左部102とした場合に、第一ベルト接続部85の左端部は左部102に接続される。また、第二横区画体32の左端部105は、第二ベルト接続部107に固定される。第二ベルト接続部107には縦移動ガイド軸103が貫通しているため、第二横区画体32は円滑に縦移動する。第二ベルト接続部107の左端部は、タイミングベルト100のうちの右部101に接続される。従って、タイミングベルト100が右回りに回転すると、第一横区画体31と第二横区画体32とは互いに離間する方向(終点位置へ向かう方向)に対称移動する。タイミングベルト100が左回りに回転すると、第一横区画体31と第二横区画体32とは互いに接近する方向(原点範囲に向かう方向)に対称移動する。
また、図4に示すように、左側縦移動機構81の上下方向中心部には、左原点センサ108が配置されている。左原点センサ108は、第一横区画体31の左端部84および第二横区画体32の左端部105が原点範囲内にあるか否かを検出することができる。左原点センサ108よりもやや上方には、左終点センサ109が配置されている。左終点センサ109は、第一横区画体31の左端部84および第二横区画体32の左端部105が終点位置にあるか否かを検出することができる。
以上のように、演出装置30は、2つの移動機構(右側縦移動機構41および左側縦移動機構81)によって、第一横区画体31の左右の端部を同一方向に同一速度で移動させる。また、演出装置30は、第二横区画体32の左右の端部を同一方向に同一速度で移動させる。従って、横区画体31,32のそれぞれ一方の端部をタイミングベルト60,100の一方に接続させる場合に比べて、横区画体31,32のそれぞれの荷重を分散させて負荷を低下させることができる。特に、本実施の形態のように、横区画体31,32を上下方向に移動させる場合には、演出装置30には大きな負荷がかかる。しかし、横区画体31,32のそれぞれの左右の端部を上下方向に移動させることで、横区画体31,32の荷重による負荷を分散させて円滑に演出を行うことができる。また、演出装置30では、タイミングベルト60,100を用いて横区画体31,32を移動させる。従って、螺旋状の溝またはリブを外周面に有する溝カム等を用いる場合に比べて、素早く横区画体31,32を移動させることができる。さらに、演出装置30では、横区画体31,32のそれぞれが、右側のタイミングベルト60の異なる部分に接続され、且つ左側のタイミングベルト100の異なる部分に接続される。これにより、演出装置30は、右側縦移動機構41および左側縦移動機構81に大きな負荷をかけることなく、2つの横区画体31,32に対称な動作を実行させることができる。従って、2つの横区画体31,32を対称に移動させる斬新な演出を、簡易な構成で円滑に実行することができる。
図9から図11を参照して、縦区画体33,34および装飾体35,36を横移動させるための横移動ユニット110について説明する。図9に示すように、横移動ユニット110は、上部支持体111と下部支持体112とを備える。上部支持体111は、左右方向に延びる合成樹脂製の部材であり、横移動ユニット110の各種部材を上部で支持する。下部支持体112は、上部支持体111と平行に左右に延びる合成樹脂製の部材であり、縦区画体33,34および装飾体35,36の下部を支持しつつ横移動を案内する。
横移動ユニット110は、ステップモータである横移動モータ113を備える。横移動モータ113は、上部支持体111の右端上部に固定される。横移動モータ113の出力軸(図示せず)は下方へ真っ直ぐに延び、駆動プーリ115に固定される。駆動プーリ115は、横移動モータ113の出力軸の回転に伴って回転する。駆動プーリ115の外周面には凹凸状の歯部が形成されている。また、駆動プーリ115の下側は、前述した右側縦移動機構41の駆動プーリ53と同様に、支持軸(図示せず)によって支持されている。よって、外力が出力軸に集中することがないため、駆動プーリ115にかかる負荷の影響を低下させることができる。
横移動ユニット110は、左上端部に従動プーリ116を備える。従動プーリ116は、前述した右側縦移動機構41の従動プーリ54と同様に、図示しないプーリ保持部材、コイルバネ、および円柱部保持部材によって上部支持体111に保持されている。つまり、従動プーリは、左方(駆動プーリ115から離間する方向)へ付勢された状態で回転可能に保持されている。
駆動プーリ115および従動プーリ116にはタイミングベルト117が架け渡されている。タイミングベルト117の歯部は駆動プーリ115の歯部と噛み合うため、駆動プーリ115が回転するとタイミングベルト117も回転する。前述したように、従動プーリ116は左方へ付勢された状態で保持されているため、タイミングベルト117は適切なテンションが加えられた状態で駆動プーリ115および従動プーリ116に架け渡される。その結果、歯飛びが発生する可能性が低下する。
図10に示すように、第一縦区画体33の上端部には第一接触部材120が固定されている。第一接触部材120は、タイミングベルト117のうち互いに対向する部分(前部118および後部119)の一方である後部119に接続される。換言すると、タイミングベルト117のうち、駆動プーリ115の前端から従動プーリ116の前端に延びる部分を前部118、駆動プーリ115の後端から従動プーリ116の後端に延びる部分を後部119とした場合に、第一接触部材120は後部119に接続される。第一縦区画体33は第一接触部材120に固定されているため、第一縦区画体33は第一接触部材120を介して後部119に接続することになる。また、第二縦区画体34の上端部には、第二接触部材121が固定されている。第二接触部材121は、タイミングベルト117のうちの前部118に接続される。
図11に示すように、横移動ユニット110は、第一横移動ガイド軸122および第二横移動ガイド軸123(以下、これらをまとめて「横移動ガイド軸122,123」という。)を上部に備える。第一横移動ガイド軸122および第二横移動ガイド軸123は、左右に平行に延びる。第一縦区画体33に固定された第一接触部材120には、第二横移動ガイド軸123が挿通されている。さらに、第一接触部材120には、正面側に突出する爪部124が形成されている。爪部124は、摺動可能な状態で第一横移動ガイド軸122を上下から挟み込むように配置されている。つまり、第一接触部材120の横移動は、2つの横移動ガイド軸122,123によって案内される。よって、第一接触部材120は、1つのガイド軸によって案内される場合に比べてより円滑に横移動することができる。また、第一接触部材120を1つのガイド軸によって案内する場合、第一接触部材120は、ガイド軸を中心として回転または揺動するおそれがある。本実施形態では、2つの横移動ガイド軸122,123によって第一接触部材120の横移動を案内することで、第一接触部材120が回転または揺動して不具合が生じることを防止することもできる。
なお、第二縦区画体34に固定された第二接触部材121も、第一接触部材120と同様に、2つの横移動ガイド軸122,123によって案内される。つまり、第二接触部材121にも第二横移動ガイド軸123が挿通されており、第二接触部材121から正面側に突出する爪部125(図10参照)が第一横移動ガイド軸122に嵌まり合う。
また、図9に示すように、下部支持体112の上面後部には、左右方向に延びる縦区画体ガイド溝126が形成されている。第一縦区画体33の下端部および第二縦区画体34の下端部は、縦区画体ガイド溝126に嵌まり込んで摺動する。従って、縦区画体33,34の下部の横移動は、縦区画体ガイド溝126によって適切に案内される。縦区画体ガイド溝126の左右方向の中心には、可動範囲規制ピン127が設けられている。2つの縦区画体33,34が互いに近づく方向に移動すると、第一縦区画体33の左下端部、および第二縦区画体34の右下端部が、可動範囲規制ピン127に接触する(図9に示す状態)。その結果、縦区画体33,34の可動範囲が適切に規制される。
図10に示すように、第一装飾体35の上端部には、第一横移動ガイド軸122が挿通されている。さらに、第一装飾体35の上端部には第一補助ガイド部材128が固定されている。第一補助ガイド部材128は、第一装飾体35の上端部から左方へ延びる。第一補助ガイド部材128の左端部には、第一横移動ガイド軸122が挿通されている。つまり、第一装飾体35の横移動は、自身の上端部と第一補助ガイド部材128とによって適切に案内される。同様に、第二装飾体36の上端部には第一横移動ガイド軸122が挿通されており、且つ第二補助ガイド部材129が固定されている。第二補助ガイド部材129は、第二装飾体36の上端部から右方へ伸び、第二補助ガイド部材129の右端部には第一横移動ガイド軸122が挿通されている。第二装飾体36の横移動は、自身の上端部と第二補助ガイド部材129とによって適切に案内される。なお、上部支持体111の左右方向の中心には、図示しないピンが設けられている。第一装飾体35が左方へ移動すると、第一補助ガイド部材128の左端がピンに接触するため、第一装飾体35の移動量が適切に規制される。同様に、第二装飾体36が右方へ移動すると、第二補助ガイド部材129の右端がピンに接触するため、第二装飾体36の移動量は適切に規制される。
第一横移動ガイド軸122には、右コイルバネ130および左コイルバネ131が巻回されている。右コイルバネ130は、第一横移動ガイド軸122の右端部に固定された右壁部141と、第一装飾体35の上端部との間に介在し、第一装飾体35を左方へ付勢する。左コイルバネ131は、第一横移動ガイド軸122の左端部に固定された左壁部142と、第二装飾体36の上端部との間に介在し、第二装飾体36を右方へ付勢する。
上部支持体111の上端部における左右方向の中心には、光学センサである上原点センサ132が配置されている。縦区画体33,34が可動範囲内の原点範囲にある状態(図9および図10に示す状態)では、第一接触部材120の一部が上原点センサ132の検出部に位置する。従って、パチンコ機1は、上原点センサ132が第一接触部材120を検出しているか否かによって、縦区画体33,34が原点範囲内にあるか否かを検出することができる。また、上原点センサ132よりもやや右側には、上終点センサ133が配設されている。パチンコ機1は、上終点センサ133が第一接触部材120を検出しているか否かによって、縦区画体33,34が終点位置(図13に示す位置)にあるか否かを検出することができる。
また、図9に示すように、下部支持体112には、上面右手前側に第一装飾体ガイド溝134が形成され、且つ上面左手前側に第二装飾体ガイド溝135が形成される。第一装飾体ガイド溝134および第二装飾体ガイド溝135は、共に左右方向に延びる。第一装飾体ガイド溝134には、第一装飾体35の下端部が嵌まり込んで摺動する。第二装飾体ガイド溝135には、第二装飾体36の下端部が嵌まり込んで摺動する。従って、装飾体35,36の下部の横移動は、第一装飾体ガイド溝134および第二装飾体ガイド溝135によって適切に案内される。
図10、図12、および図13を参照して、縦区画体33,34および装飾体35,36の動作について説明する。図10に示すように、タイミングベルト117が平面視で右回り(時計回り)に回転すると、タイミングベルト117の後部119は右方へ移動し、前部118は左方へ移動する。従って、タイミングベルト117が平面視右回りに回転すると、後部119に接続された第一縦区画体33は右方へ移動し、前部118に接続された第二縦区画体34は左方へ移動する。前部118と後部119の移動方向は反対であり、且つ移動量は同じであるため、第一縦区画体33と第二縦区画体34とは左右対称に移動することとなる。つまり、1組の横移動モータ113およびタイミングベルト117のみを用いる簡易な構成で、2つの縦区画体33,34に対称な動作を実行させることができる。
縦区画体33,34が原点範囲から所定距離内にある場合、装飾体35,36は、コイルバネ130,131によって内側に付勢された状態で静止している。よって、この状態では、表示装置28(図1および図2参照)の表示領域のうち左右の端部から所定範囲内は、装飾体35,36によって遮蔽された状態となっている。
縦区画体33,34が互いに離間する方向(外側)へ移動を続けると、第一接触部材120の爪部124が第一装飾体35の上端部左側に接触し、且つ第二接触部材121の爪部125が第二装飾体36の上端部右側に接触する。図12に、離間していた爪部124,125と装飾体35,36とが接触した状態を示す。縦区画体33,34がさらに外側へ移動を続けると、爪部124,125と装飾体35,36とが接触しているため、装飾体35,36は縦区画体33,34と共に外側に移動する。図13に、縦区画体33,34が終点位置に達した状態を示す。縦区画体33,34が終点位置に達すると、装飾体35,36も最も外側に達し、表示装置28(図1および図2参照)の表示領域の全体を正面側から視認できる状態となる。
逆に、縦区画体33,34が終点位置から原点位置へ向かって移動すると、爪部124,125と装飾体35,36とが接触している間は、装飾体35,36もコイルバネ130,131の付勢力によって内側へ移動する。爪部124,125と装飾体35,36とが離間すると、装飾体35,36は静止し、縦区画体33,34のみが内側へ移動を続ける。
次に、図14を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。図14に示すように、パチンコ機1の制御部240は、主基板241、サブ制御基板260、ランプドライバ基板246、演出制御基板243、払出制御基板245、および中継基板247等を備える。
主基板241は、I/Oインタフェイス254を介してサブ制御基板260、払出制御基板245、中継基板247、および始動口スイッチ268等に接続し、パチンコ機1の主制御を司る。具体的には、主基板241は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が始動口スイッチ268によって検出された場合に、大当たり判定を行う。大当たり判定の結果を示す報知演出のパターンを決定し、決定した報知演出のパターンを指定するコマンド(演出パターン指定コマンド)をサブ制御基板260に送信する。主基板241の主基板CPUユニット250には、各種演算処理を行うCPU251と、データを一時的に記憶するRAM252と、制御プログラム等を記憶したROM253とが設けられている。CPU251は、割込信号発生回路257から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。
サブ制御基板260は、CPU261、RAM262、およびROM263を備え、ランプドライバ基板246、演出制御基板243、およびスピーカ48に接続している。サブ制御基板260は、主基板241から送信される演出パターン指定コマンド等の制御コマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。具体的には、演出装置30の動作を制御するための演出パターンが、ROM263に記憶されている。サブ制御基板260は、主基板241から演出パターン指定コマンドを受信すると、指定された演出パターンと、原点センサ68,108,132および終点センサ69,109,133の検出結果とに基づいて、演出装置30等を制御するためのコマンドをランプドライバ基板246等に送信する。なお、本実施の形態のパチンコ機1は、横区画体31,32の右端部44,65(図5参照)の移動量と左端部84,105(図5参照)の移動量とが大幅にずれることを防止することができるが、この詳細は後述する。
ランプドライバ基板246は、サブ制御基板260から受信するコマンドを変換し、演出装置30の右側縦移動モータ50、左側縦移動モータ90、および横移動モータ113に振り分けて送信する。
演出制御基板243は、CPU243a等を備え、表示装置28の表示を制御する。払出制御基板245は、CPU245a等を備え、主基板241から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置249の動作を制御する。中継基板247には、開閉部材を開閉する電動役物開放ソレノイド269および大入賞口開放ソレノイド270、遊技球の入賞または通過を検出する普通図柄作動スイッチ274および大入賞口スイッチ275等が接続されている。中継基板247は、これらのスイッチ等と主基板241との間を中継する。電源基板242は、主基板241および遊技球発射装置237に接続されており、各基板および遊技球発射装置237に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置237は、一定間隔毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
次に、図15から図18を参照して、サブ制御基板260で行われる右側縦移動処理および左側縦移動処理について説明する。右側縦移動処理および左側縦移動処理は、サブ制御基板260に電源が投入されることを契機として、サブ制御基板260のCPU261によって実行される。
右側縦移動処理および左側縦移動処理は、並行して同時に行われる。右側縦移動処理では、横区画体31,32の右端部44,65を縦移動させるための右側縦移動モータ50(図15から図18では「右モータ」と記載する)の動作が制御される。左側縦移動処理では、横区画体31,32の左端部84,105を縦移動させるための左側縦移動モータ90(図15から図18では「左モータ」と記載する)の動作が制御される。
パチンコ機1は、第一横区画体31の右端部44と左端部84とを同一方向に同一速度で移動させることで、第一横区画体31を平行に保ったまま確実に縦移動させることができる。同様に、パチンコ機1は、第二横区画体32の右端部65と左端部105とを同一方向に同一速度で移動させることで、第二横区画体32を平行に保ったまま確実に縦移動させることができる。さらに、パチンコ機1は、右側縦移動処理および左側縦移動処理において、移動の起点である原点からの右端部44,65の移動量と左端部84,105の移動量とのずれを検出して補正することができる。なお、原点範囲とは、移動の起点である原点を含む一定範囲を示す。
図15および図16を参照して、右側縦移動処理について説明する。図15に示すように、サブ制御基板260に電源が投入されて右側縦移動処理が開始されると、右原点センサ68がONとなっているか否かが判断される(S11)。前述したように、パチンコ機1は、右原点センサ68がONとなっているか否かによって、横区画体31,32の右端部44,65が原点範囲内にあるか否かを判断することができる。右原点センサ68が既にONとなっており、横区画体31,32の右端部44,65が原点範囲内にあると判断された場合には(S11:YES)、処理はそのままS16の判断へ移行する。
右端部44,65が原点範囲外にあると判断された場合には(S11:NO)、右端部44,65を原点範囲内に戻すために、右側縦移動モータ50が逆回転される(S12)。右端部44,65が原点範囲内に到達し、右原点センサ68がONとなると(S13:YES)、処理はS16の判断へ移行する。右原点センサ68がOFFのままであれば(S13:NO)、右端部44,65が可動可能な最大距離分の回転を既に右側縦移動モータ50に実行させたか否かが判断される(S14)。未だ実行させていなければ(S14:NO)、S12〜S14の処理が繰り返される。一方、可動可能な最大距離分の回転を右側縦移動モータ50に実行させたにも関わらず、右原点センサ68がOFFのままであれば、何らかの不具合が生じている可能性が高い。従って、可動可能な最大距離分の回転を実行させた場合には(S14:YES)、処理は異常時処理へ移行する。異常時処理では、所定の手順に従って、2つの縦移動モータ50,90の正回転および逆回転が行われる。上記所定の手順を踏んでも異常が解消されなければ、エラー処理が行われる。
右端部44,65が原点範囲内にあった場合(S11:YES)、または原点範囲内に到達した場合には(S13:YES)、横区画体31,32の左端部84,105が原点範囲内にあるか否かが判断される(S16)。左原点センサ108がOFFとなっており、左端部84,105が原点範囲外にあると判断された場合には(S16:NO)、右側縦移動モータ50が一時停止され(S17)、S16の判断が繰り返される。この場合、左端部84,105は、後述する左側縦移動処理(図17参照)において原点範囲内に近づく方向に移動するよう制御されている。従って、右側縦移動モータ50を一時停止させることで、右端部44,65と左端部84,105とが平行に近づくことになる。左原点センサ108がONとなり、右端部44,65および左端部84,105が共に原点範囲内に位置すると(S16:YES)、右側縦移動モータ50を停止させた状態で0.5秒待機された後に(S19)、右補正処理が行われる(S20)。
図16に示すように、右補正処理では、右端部44,65を原点範囲外に移動させるために、右側縦移動モータ50が正回転される(S31)。右原点センサ68がOFFとなったか否かによって、右端部44,65が原点範囲外に到達したか否かが判断される(S32)。到達していなければ(S32:NO)、右端部44,65が原点範囲内で可動可能な最大距離分の回転を既に右側縦移動モータ50に実行させたか否かが判断される(S33)。未だ実行させていなければ(S33:NO)、S31〜S33の処理が繰り返される。原点範囲内で可動可能な最大距離分の回転を右側縦移動モータ50に実行させたにも関わらず、右原点センサ68がONのままであれば、何らかの不具合が生じている可能性が高い。従って、可動可能な最大距離分の回転を実行させた場合には(S33:YES)、処理は異常時処理へ移行する。
右原点センサ68がOFFとなり、右端部44,65が原点範囲外に到達したと判断されると(S32:YES)、右側縦移動モータ50をさらに正回転させる指示が行われる(S35)。右端部44,65が原点範囲外に到達してから所定ステップ(本実施の形態では3ステップ)の回転が実行されたか否かが判断される(S36)。所定ステップの回転が完了するまで(S36:NO)、右側縦移動モータ50は継続して回転される(S35)。なお、所定ステップの回転が完了した時点で、右端部44,65は、原点範囲内と原点範囲外との境界地点から所定ステップ分の距離だけ終点位置側へ移動した位置(以下、「判定位置」という。)に到達する。本実施の形態では、右端部44,65および左端部84,105は、モータが1ステップ回転する毎に0.2mm移動する。よって、本実施の形態における「所定ステップ分の距離」は0.6mmとなる。
所定ステップの回転が完了し、右端部44,65が判定位置に到達すると(S36:YES)、横区画体31,32の左端部84,105が原点範囲内にあるか否かが判断される(S38)。
ここで、後述する左補正処理(図18参照)では、右端部44,65と同一タイミング且つ同一速度で、左端部84,105を原点範囲外に移動させる処理が行われる(図18、S61参照)。従って、原点からの右端部44,65の移動量と左端部84,105の移動量との差が0.6mm以下であれば、右端部44,65が原点範囲外の判定位置に到達した時点で、左端部84,105も原点範囲外に到達しているはずである。逆に、右端部44,65が判定位置に到達した時点で、左端部84,105が未だ原点範囲内にあれば、右端部44,65は左端部84,105に比べて0.6mmを超える距離だけ原点から遠い位置にあることになる。この場合、移動量のずれが大きいため、ずれを補正する必要がある。
従って、右端部44,65が判定位置に到達した時点で左原点センサ108がONとなっており、左端部84,105が未だ原点範囲内にあると判断されると(S38:NO)、右側縦移動モータ50が一時停止される(S39)。その後、左原点センサ108がOFFとなり、移動量のずれが0.6mm以下に補正されると(S38:YES)、処理は右側縦移動処理へ戻る。一方、右端部44,65が判定位置に到達した時点で、左端部84,105も既に原点範囲外に到達していれば(S38:YES)、処理はそのまま右側縦移動処理へ戻る。
図15に示すように、右補正処理(S20)が終了すると、右端部44,65が終点位置へ移動されて、右終点センサ69の動作確認が行われる(S21)。次いで、右端部44,65が原点範囲内へ戻される(S22)。この時点で、演出開始前の準備が完了する。
次いで、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かが判断される(S24)。電源がOFFとされていなければ(S24:NO)、主基板241から演出の開始指示が行われたか否かが判断される(S25)。演出の開始指示が行われていなければ(S25:NO)、S24およびS25の判断が繰り返される。演出の開始指示が行われると(S25:YES)、右補正処理(S26)が行われた後に演出動作が実行され(S27)、処理はS24の判断へ戻る。演出開始前の右補正処理(S26)の内容は、電源投入時の右補正処理(S20、図16参照)と同じである。パチンコ機1の電源がOFFとされると(S24:YES)、右端部44,65が原点範囲内に移動されて(S28)、処理は終了する。
図17および図18を参照して、左側縦移動処理について説明する。左側縦移動処理と、前述した右側縦移動処理とは、制御するモータおよび使用するセンサの左右が異なるのみである。よって、共通した内容の説明は簡略化する。図17に示すように、サブ制御基板260に電源が投入されると、横区画体31,32の左端部84,105が原点範囲内にあるか否かが、左原点センサ108によって判断される(S41)。原点範囲内にあれば(S41:YES)、処理はS46の判断へ移行する。左端部84,105が原点範囲内になければ(S41:NO)、左側縦移動モータ90が逆回転されて、左端部84,105が原点範囲内に戻される(S42)。左原点センサ108がONとなると(S43:YES)、処理はS46へ移行する。左原点センサ108がONとなる前に(S43:NO)、左端部84,105が可動可能な最大距離分の回転を既に左側縦移動モータ90に実行させた場合には(S44:YES)、処理は異常時処理へ移行する。
左端部84,105が原点範囲内にあれば(S41:YES、またはS43:YES)、横区画体31,32の反対側の右端部44,65が原点範囲内にあるか否かが、右原点センサ68によって判断される(S46)。右端部44,65が原点範囲内になければ(S46:NO)、左側縦移動モータ90が一時停止され(S47)、移動中の右端部44,65が原点範囲内に到達するまで待機される(S46:NO)。到達すると(S46:YES)、0.5秒待機された後に(S49)、左補正処理が行われる(S50)。つまり、右端部44,65と左端部84,105とが共に原点範囲にあると判断された時点で、右補正処理(図16参照)と左補正処理(S50)とが同時に開始されることになる。
図18に示すように、左補正処理では、左端部84,105を原点範囲外に移動させるために、左側縦移動モータ90が正回転される(S61)。左原点センサ108がOFFとなったか否かによって、左端部84,105が原点範囲外に到達したか否かが判断される(S62)。到達していなければ(S62:NO)、左端部84,105が原点範囲内で可動可能な最大距離分の回転を既に左側縦移動モータ90に実行させたか否かが判断される(S63)。未だ実行させていなければ(S63:NO)、S61〜S63の処理が繰り返される。左端部84,105が原点範囲外に到達する前に(S62:NO)、原点範囲内で可動可能な最大距離分の回転を実行させた場合(S63:YES)、処理は異常時処理へ移行する。
左端部84,105が原点範囲外に到達すると(S62:YES)、さらに所定ステップ(本実施の形態では3ステップ)分だけ左側縦移動モータ90が回転されて(S65,S66)、左端部84,105が判定位置まで移動される。次いで、反対側の右端部44,65が原点範囲内にあるか否かが判断される(S68)。左端部84,105が判定位置に到達した際に、右端部44,65が未だ原点範囲内にあれば(S68:NO)、左端部84,105は右端部44,65に比べて0.6mmを超える距離だけ原点から遠い位置にあることになる。よって、左側縦移動モータ90が一時停止される(S69)。右端部44,65が原点範囲外にあれば(S68:YES)、処理は左側縦移動処理へ戻る。
図17に示すように、左補正処理(S50)が終了すると、左終点センサ109の動作確認が行われて(S51)、左端部84,105が原点範囲内へ戻される(S52)。次いで、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かが判断され(S54)、OFFとされていなければ(S54:NO)、演出の開始指示が行われたか否かが判断される(S55)。演出の開始指示が行われていなければ(S55:NO)、S54およびS55の判断が繰り返される。演出の開始指示が行われると(S55:YES)、左補正処理(図18参照)が行われて(S56)、演出動作が実行され(S57)、処理はS54の判断へ戻る。パチンコ機1の電源がOFFとされると(S54:YES)、左端部84,105が原点範囲内に移動されて(S58)、処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態に係るパチンコ機1は、右側縦移動機構41および左側縦移動機構81を備え、横区画体31,32のそれぞれの2つの箇所(右端部44,65および左端部84,105)を同一方向に同一速度で移動させる。従って、横区画体31,32を回転させることなく円滑に平行移動させることができる。右端部44,65および左端部84,105の一方が原点範囲外の判定位置に到達した場合に、他方が未だ原点範囲内にあれば、他方が原点範囲外に到達するまで一方を停止させる。従って、パチンコ機1は、2つの移動機構41,81を用いることで横区画体31,32の荷重による負荷を低下させつつ、原点からの移動量が右端部44,65と左端部84,105とで大幅にずれることを防止することができる。よって、横区画体31,32を円滑に移動させることができる。
判定位置は、原点範囲内と原点範囲外との境界地点から所定距離離間した位置である。従って、右端部44,65の移動量と左端部84,105の移動量との差が所定距離以下であれば、モータが一時停止してずれが補正されることはない。よって、パチンコ機1は、移動量のずれが僅かであるにも関わらずモータが一時停止してしまうことを防止し、ずれが大きい場合にのみ適切にそのずれを補正することができる。
パチンコ機1は、電源投入時に右端部44,65および左端部84,105の少なくとも一方が原点範囲内になければ、原点範囲内にない部位を原点範囲内に移動させる。右端部44,65および左端部84,105を共に原点範囲内に到達させた後、移動量のずれを検出して補正することができる。従って、パチンコ機1は、演出を開始させる場合のみならず、電源投入時にも移動量のずれを補正し、より適切に演出を実行することができる。
パチンコ機1は、横区画体31,32のうち、互いに水平方向に離間した右端部44,65および左端部84,105のそれぞれを上下方向に移動させる。従って、パチンコ機1は、横区画体31,32の荷重による負荷を適切に分散させて、円滑に横区画体31,32を移動させることができる。
パチンコ機1は、タイミングベルト60,100を用いることで、溝カム等を用いる場合に比べて素早く横区画体31,32を移動させることができる。さらに、第一横区画体31の右端部44はタイミングベルト60の右部61に接続し、第二横区画体32の右端部65はタイミングベルト60の左部62に接続する。第一横区画体31の左端部84はタイミングベルト100の左部102に接続し、第二横区画体32の左端部105はタイミングベルト100の右部101に接続する。従って、パチンコ機1は、移動機構41,81に大きな負荷をかけることなく、2つの横区画体31,32に対称な動作を実行させることができる。つまり、パチンコ機1は、2つの横区画体31,32を対称に移動させる斬新な演出を、移動量のずれを補正しつつ、簡易な構成で円滑に実行することができる。
なお、本実施の形態における横区画体31,32が本発明の「移動体」に相当する。詳細には、第一横区画体31が「第一移動体」に相当し、第二横区画体32が「第二移動体」に相当する。右側縦移動モータ50が「第一モータ」に相当し、左側縦移動モータ90が「第二モータ」に相当する。右端部44,65が「第一部位」に相当し、左端部84,105が「第二部位」に相当する。右側縦移動機構41が「第一移動機構」に相当し、左側縦移動機構81が「第二移動機構」に相当する。右原点センサ68が「第一原点検出手段」に相当し、左原点センサ108が「第二原点検出手段」に相当する。図16に示す右補正処理および図18に示す左補正処理を実行するサブ制御基板260のCPU261が「補正手段」として機能する。図16のS31,S35、および図18のS61,S65でモータを正回転させるCPU261が「第一移動制御手段」として機能する。図16のS36、および図18のS66で右端部44,65および左端部84,105のそれぞれが判定位置に到達したか否かを判断するCPU261が「到達判断手段」として機能する。図16のS38および図18のS68で反対側の端部が原点範囲内にあるか否かを判断するCPU261が「判定手段」として機能する。図16のS39およびS18のS69でモータを一時停止させるCPU261が「一時停止制御手段」として機能する。
図15のS11および図17のS41で、右端部44,65および左端部84,105のそれぞれが原点範囲内にあるか否かを判断するCPU261が「位置判断手段」として機能する。図15のS12および図17のS42で右端部44,65および左端部84,105を原点範囲内に移動させるCPU261が「第二移動制御手段」として機能する。駆動プーリ53が「第一駆動プーリ」に相当し、タイミングベルト60が「第一ベルト」に相当する。駆動プーリ93が「第二駆動プーリ」に相当し、タイミングベルト100が「第二ベルト」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、本実施の形態では、原点範囲内と原点範囲外との境界地点から0.6mm離間した位置が判定位置とされている。しかし、境界地点と判定位置との距離は、演出装置30の特性等に応じて適宜変更できることは勿論である。また、右端部44,65の移動量と左端部84,105の移動量とのずれを厳密に補正したい場合には、境界地点を判定位置とすればよい。
上記実施の形態では、右補正処理(図16参照)および左補正処理(図18参照)の一方の処理で移動量のずれが補正された場合でも、他方の処理では移動量のずれが存在するか否かが判断される(図16のS38、および図18のS68)。しかし、一方の処理で移動量のずれが既に補正された場合には、他方の処理では、すれが存在するか否かの判断を省略してもよい。
前述したように、横区画体31,32を素早く移動させるためには、タイミングベルト60,100を用いることが望ましい。しかし、溝カム等を用いて横区画体31,32を移動させる遊技機に対しても、本発明は適用できる。また、上記実施の形態では、移動体である横区画体31,32の移動方向は上下方向である。しかし、移動体の移動方向は上下方向に限られず、左右方向、または斜め方向であってもよい。
上記実施の形態では、演出を実行する毎に移動量のずれの補正が行われる。しかし、移動量の補正を行うタイミングは適宜変更できる。例えば、演出を所定回数行う毎に移動量の補正を行ってもよい。また、パチンコ機1への電源投入時にのみ移動量の補正を行ってもよい。また、演出装置30の制御、および移動量のずれの補正処理を実行できるのは、サブ制御基板260のCPU261に限られない。例えば、ランプドライバ基板246にCPUを設け、ランプドライバ基板246において上記処理を実行してもよい。
上記実施の形態では、区画体31〜34を移動させるためのモータとしてステップモータが用いられている。しかし、本発明は、ステップモータ以外のモータを用いる遊技機にも適用できる。また、上記実施の形態のパチンコ機1は、タイミングベルト60,100を用いることで、2つの横区画体31,32に対称な動作を実行させる。しかし、移動体が1つのみである遊技機にも本発明を適用できることは言うまでもない。