JP2012043704A - 非水電解液電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 渦巻き電極体から導出させた一方電極集電タブと、一方電極の外部出力端子を兼ねる筒状電池缶底との溶接を確実に行うことのできる手段を提供する。
【解決手段】 巻回中心に巻芯空洞部が形成された渦巻き電極体と、渦巻き電極体を収容する有底筒状の電池缶と、前記電極体の巻芯空洞部と重なる貫通穴を有し電池缶の缶底側に配置される絶縁板と、を備えた非水電解液電池であって、電極体が、巻芯空洞部を缶軸方向に向け前記一方電極板の集電タブを缶底方向に位置させた状態で電池缶に収容され、電池缶底側に突出するセパレータの裾部分であって、電極体から導出する一方電極板集電タブよりも巻芯空洞部側に位置するセパレータの裾部分が取り除かれており、一方電極板集電タブが、絶縁板貫通穴を経由後、巻芯空洞部を跨ぐ方向に折り曲げられ、当該折り曲げ部が電池缶の缶底に溶接されている。
【選択図】 図7
【解決手段】 巻回中心に巻芯空洞部が形成された渦巻き電極体と、渦巻き電極体を収容する有底筒状の電池缶と、前記電極体の巻芯空洞部と重なる貫通穴を有し電池缶の缶底側に配置される絶縁板と、を備えた非水電解液電池であって、電極体が、巻芯空洞部を缶軸方向に向け前記一方電極板の集電タブを缶底方向に位置させた状態で電池缶に収容され、電池缶底側に突出するセパレータの裾部分であって、電極体から導出する一方電極板集電タブよりも巻芯空洞部側に位置するセパレータの裾部分が取り除かれており、一方電極板集電タブが、絶縁板貫通穴を経由後、巻芯空洞部を跨ぐ方向に折り曲げられ、当該折り曲げ部が電池缶の缶底に溶接されている。
【選択図】 図7
Description
本発明は、非水電解液電池に関し、詳しくは外部出力端子を兼ねる有底筒状電池缶の缶底中央付近に集電タブを溶接してなる非水電解液電池に関する。
非水電解液電池の代表例はリチウムイオン電池であるが、汎用タイプのリチウムイオン電池は、帯状の正極板と負極板とをセパレータを挟んで巻き取った渦巻き電極体を有底筒状の電池缶に収容し、電池缶の開口を封口体で封口した構造である。この電池の正負電極板にはそれぞれ集電タブが取り付けられており、正負集電タブの一方が一方極の外部出力端子を兼ねる電池缶の底面に溶接され、他方が他方極の外部出力端子を兼ねる封口体の底部に接続されている。
この構造のリチウムイオン電池は、体積エネルギー密度が高く、高容量であるので、電動工具や電気自動車など高容量が要請される分野で広く利用されている。電動工具や電気自動車などの用途においては、大トルクを必要とする駆動開始時などにおいて瞬間的に大電流が流れるが、近年、大パワーを必要とする用途で使用されることが多くなったため、従前に増して大電流を流す必要性が高まっている。
然るに、集電タブは細くて薄い帯状の金属製箔からなるものである。このため、大電流が流れると発熱し溶融切断されるおそれが高まる。また、従来型電池は一つの集電タブで集電する方式であったので、大電流を効率よく集電することができない。このため、近年では、一枚の帯状電極板に複数枚の集電タブを取り付けた集電構造を採用した円筒形非水電解液電池が増えつつある。
正負電極板を巻き取った渦巻き電極体を用いた電池として、例えば特許文献1〜3に記載の電池を挙げられる。特許文献1はセパレータ幅に着目した技術であり、セパレータの熱収縮に起因する事故を防止する技術に関する。特許文献2は、電池缶底側のセパレータを両電極を覆うように折り曲げることにより、内部短絡を防止技術に関する。特許文献3は、集電効率を向上させ、高効率放電特性を高める技術に関する。
筒状電池缶の缶底を一方極の外部出力端子とする場合においては、電池の構造上、電極板に取り付けられる複数枚の集電タブの1つは電極板の巻回始端近傍に取り付けられる。電極板の巻回始端近傍に取り付けられた集電タブは、渦巻き電極体の巻芯近傍に位置することになるので、電池缶底の中央付近に導かれて溶接されるが、従来技術にかかる電池においては、缶底への溶接の際に溶接不良が発生することがあった。このため、集電タブを増やしたにもかかわらず、必ずしも十分に集電効率が向上しない、集電効率にバラつきが生じるなどの問題があった。
本発明者はこの原因について検討した。その結果、従来技術にかかる渦巻き電極体においては、缶底と集電タブとの溶接作業の際に、セパレータの裾部分が溶接を邪魔することがあることを知った。本発明はこの知見に基づいて完成された。
本発明は、渦巻き電極体の巻芯近傍から導出させた一方電極の集電タブを筒状電池缶の缶底に確実に溶接することのできる渦巻き電極体構造を案出し、もって集電効率に優れた高出力対応の非水電解液電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は次のように構成されている。少なくとも巻回始端側に集電タブを有する一方電極板とこれとは極性の異なる他方電極板とが、両電極板よりも幅広のセパレータを介在させた状態で巻回されて巻回中心に巻芯空洞部が形成された電極体と、前記電極体を収容する有底筒状の電池缶と、前記電極体の巻芯空洞部と重なる貫通穴を有し前記電池缶の缶底側に配置される絶縁板と、を備えた非水電解液電池であって、前記電極体が、前記巻芯空洞部を缶軸方向に向け前記一方電極板の集電タブを缶底方向に位置させた状態で前記電池缶に収容され、前記電池缶底側に突出するセパレータの裾部分であって、前記電極体から導出する一方電極板集電タブよりも前記巻芯空洞部側に位置するセパレータの裾部分が取り除かれており、前記一方電極板集電タブが、前記絶縁板貫通穴を経由後、前記巻芯空洞部を跨ぐ方向に折り曲げられ、当該折り曲げ部が前記電池缶の缶底に溶接されている、ことを特徴とする非水電解液電池。
この構成では、電極体から導出する一方電極板集電タブよりも巻芯空洞部側に位置するセパレータの裾部分が取り除かれているので、一方電極板集電タブが巻芯空洞部を跨ぐ方向に折り曲げられた際、一方電極板集電タブの上面(封口体側の面)がセパレータの裾部分で覆われることがない。つまり、この構造であると、缶底と集電タブ折り曲げ部とを溶接する際にセパレータ裾部分が溶接を邪魔しないので、良質の溶接を行うことができる。この結果として集電性能に優れた大電流放電対応の非水電解液電池を実現することができる。
また、一方電極板集電タブよりも巻芯空洞部側に位置するセパレータの裾部分を取り除くこの構成によると、電極体の発電本体と電池缶底との距離を縮めることができ、このことは、電極体の発電本体部分を大きくすることができることでもある。よって、発電本体部分を大きくすることにより、従来構造にかかる電池よりも電池容量を増加させることができる。なお、発電本体とは正負電極板部分をいう。
上記構成においては、前記電極体から導出する一方電極板集電タブよりも前記巻芯空洞部側に、極性の異なる他方電極板が存在しない構成とすることができる。
また、上記構成においては、前記非水電解液電池が、リチウムイオン電池であり、前記一方電極板が、負極板である構成とすることができる。
リチウムイオン電池は、高容量で高密度な電池であるので、一層顕著に本発明効果が発揮される。
本発明によれば、新たな部材を使用することのない簡単な構造でもって、集電の確実性を高めることができる。また、本発明によれば、渦巻き電極体の発電本体と缶底との隙間を小さくしても良好な溶接を行えるので、同一サイズの筒状電池缶に、より大きな電極体を収容できる。それゆえ、本発明によると、大電流放電対応型の非水電解液電池の信頼性を高めつつ、容量エネルギー密度を高めることができるという効果が得られる。
図1〜7を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる円筒形リチウムイオン電池の断面解体斜視図である。図1に示すように、この電池は、開口を有する有底円筒形電池缶1と、円筒形電池缶1内に収容された渦巻き電極体2と、円筒形電池缶1内に収容された非水電解液と、渦巻き電極体2の上方と下方にそれぞれ配置された、貫通穴を有する絶縁板7a・7bと、円筒形電池缶1の開口を封口する封口体6とからなる。
渦巻き電極体2は、長尺状の金属製芯体の表裏面に活物質層が塗着されてなる正負電極板3・4がセパレータ5を介して巻回さてれてなるものである。上記正負電極板3・4には、活物質の塗着されていない芯体露出部が形成されており、芯体露出部に帯状の正負集電タブが接続されている。
図2に示すように、実施例1の負極板4においては、負極芯体の両面に活物質層4bが形成され、巻回始端近傍と巻回終端近傍の2か所に活物質が塗着されていない芯体露出部4a・4aが形成され、この部分に負極集電タブ40・41が超音波溶接されている。正極板も概ね同様な構造であり、巻回始端部に正極集電タブが溶接されている。
渦巻き電極体2は、上記負極集電タブ40・41が缶底側に位置する向きで、円筒形電池缶1内に収容されている。
正極板3に取り付けられた正極集電タブ30は、絶縁板7bの貫通穴を介して封口体6側に導かれ、正極外部出力端子を兼ねる封口体6の底面に溶接されている。負極集電タブ40・41の缶底側への取り付け方法については後記する。
次に本発明の特徴部分である一方電極板から導出した集電タブの缶底への取り付け構造について、図3〜図7を参照しながら説明する。
図3(a)は、負極板4に溶接された負極集電タブ40の側面が表れるように渦巻き電極体2を切断した断面模式図である。図3(b)は、負極集電タブ40の正面が表れるように渦巻き電極体2を切断した断面模式図である。セパレータ5は、渦巻き状に巻回された状態において正負電極板の上下端を完全に覆うことができるように、正負電極板の幅よりも幅広のものが使用されている。よって、図3に示すように、缶底側においてもセパレータの裾部分が電極板の下端からはみ出ている。
図4(a)、(b)は、電極体2の下側面(電池缶1缶底側の面)に絶縁板7aを配置し、絶縁板7aの貫通穴に負極集電タブ40を通した後に、絶縁板7aを電極体2側に押圧し貼り付けた状態を示す断面模式図である。ここで、絶縁板を電極体2側に押圧するのは、可能な限り無用な空間を少なくして電池の体積エネルギー密度を高めるためである。この押圧により負極集電タブ40よりも巻芯側のセパレータ裾部分が絶縁板7aよりも外方に突出した状態になり、貫通穴以外の領域では、絶縁板による押圧力を受けて、セパレータの裾が電極体端面に平行な方向に屈曲した状態となる。
図4、5では巻回状態におけるセパレータ裾部分の実際の形状が描かれていないが、巻芯空洞部8より外周側のセパレータ裾部分は絶縁板面で折り曲げられた状態になっているので、図4では巻芯側のセパレータ長よりも外周側(絶縁板7aに当接している部分)のセパレータ長の方が短く描かれているが、実際上の寸法は同一である。
図5(a)(b)は、負極集電タブ40よりも巻芯側に位置するセパレータの裾部分を除去した後の状態を示す断面模式図である。セパレータ裾部分は、セパレータ5の裾が絶縁板7aの下面よりも下方に突出しないようにすればよいので、セパレータ裾が電極板の下方端よりも下側に突き出て、かつ絶縁板7aの下面から突き出ないように、その長さを調整する。
セパレータ裾部分の除去方法としては、カット刃による切断法や加熱溶融除去法が挙げられる。例えば熱コテなどの発熱体をセパレータ裾部分に当てて加熱することにより、当該部分を容易に溶融除去することができる。
このようにして、負極集電タブ(一方集電タブ)よりも巻芯側に位置するセパレータの裾部分が除去された渦巻き電極体が、本発明にかかる渦巻き電極体となる。
図6(a)(b)は、絶縁板7aの貫通穴から導出した負極集電タブ40の先端側を巻芯空洞部8を跨ぐ方向にL字状に折り曲げた状態を示す断面模式図である。図6(a)は負極集電タブ40の側面方向からの断面模式図であり、図6(b)は、負極集電タブ40の平面方向からの断面模式図である。
負極集電タブ40の先端側をL字状に折り曲げる方法としては、例えば巻芯空洞部を塞ぐ方向から絶縁板7aの下面に沿って平板を挿入し、集電タブ40の側面に平板の端面を宛がい、平板端面を折り曲げ支持体として集電タブ40をL字状に折り曲げる。
図7は、負極集電タブ40の先端側の折り曲げ部40’を電池缶の缶底に溶接する様子を示す断面模式図である。図7に示すように、電池缶1の外側底面に電気抵抗溶接用の電極棒51(受け電極)を宛がい、もう一方の電極棒50を渦巻き電極体2の巻芯空洞部8から挿入して、両電極棒50・51で、電池缶底と負極集電タブ40の折り曲げ部40’とを挟み、この状態で通電し、両部材を電気抵抗溶接する。
図7で明らかなように、本発明にかかるこの渦巻き電極体2は、巻芯空洞部8近傍のセパレータの裾部分が除去されている。よって、セパレータ裾部分によって、電極棒50の缶底への接触が邪魔することがないので、電極棒50の先端全面が確実に缶底に接触する。それゆえ、好適な電気抵抗溶接を行うことができる。
なお図7では、巻回始端側の負極集電タブ40の溶接状態をわかりやすくするために、巻回終端側の負極集電タブ41の図示を省略している。巻回終端側の負極集電タブ41は、巻回始端側の負極集電タブ40と缶底との間に重ねて巻回始端側の負極集電タブ40と同時に溶接した。また、封口体6を電池缶1の開口に嵌合するなどして、本発明にかかる非水電解液電池としてのリチウムイオン電池を完成させた。
実施例および比較例に基づいて本発明の内容を更に具体的に説明する。
(実施例1)
(実施例1)
〈負極板の作製〉
負極活物質としての天然黒鉛粉末98質量部と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム1質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース1質量部と、水と、を混合して負極活物質スラリーを調製した。このスラリーをドクターブレード法により、厚み 0.012mmの銅箔からなる負極芯体の両面に塗布し、負極活物質層を形成した。この際、負極芯体の巻回始端と終端に活物質を塗布しない芯体露出部が形成されるようにした。
負極活物質としての天然黒鉛粉末98質量部と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム1質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース1質量部と、水と、を混合して負極活物質スラリーを調製した。このスラリーをドクターブレード法により、厚み 0.012mmの銅箔からなる負極芯体の両面に塗布し、負極活物質層を形成した。この際、負極芯体の巻回始端と終端に活物質を塗布しない芯体露出部が形成されるようにした。
この後、活物質層を乾燥し圧縮ローラーで圧縮した後、幅58mm、長さ1000mmに裁断した。次いで巻回始端側の芯体露出部であって始端から5mm内側の位置と、巻回終端近傍にそれぞれ負極集電タブ40・41を溶接し、集電タブ付きの負極板を作製した。
負極集電タブとしては、NiCu積層材料からなる厚み0.15mm、幅3mm、長さ60mmの金属箔を用いた。また溶接は、積層材料からなる金属箔のCu層側を負極芯体表面に当接させ、金属箔のCu層と負極芯体とを超音波溶接した。
〈正極板の作製〉
正極活物質としてのコバルト酸リチウム94質量部と、導電剤としてのアセチレンブラック3質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン3質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合して正極活物質スラリーを調製した。このスラリーをドクターブレード法により、厚み0.020mmのアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に塗布し、正極活物質層を形成した。この際、正極芯体の適当な位置に活物質を塗布しない領域(芯体露出部)が形成されるようにした。
正極活物質としてのコバルト酸リチウム94質量部と、導電剤としてのアセチレンブラック3質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン3質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、を混合して正極活物質スラリーを調製した。このスラリーをドクターブレード法により、厚み0.020mmのアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に塗布し、正極活物質層を形成した。この際、正極芯体の適当な位置に活物質を塗布しない領域(芯体露出部)が形成されるようにした。
この後、塗布層を乾燥し圧縮ローラーで圧縮した後、幅56mm、長さ940mmに裁断した。次いで上記芯体露出部にアルミニウム箔からなる正極集電タブを超音波溶接し、集電タブ付きの正極板を作製した。
〈非水電解液の調製〉
エチレンカーボネ―トとジメチルカーボネ―トとを、を体積比30:70(25℃、1気圧)で混合した混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶かした。この溶液を非水電解液とした。
エチレンカーボネ―トとジメチルカーボネ―トとを、を体積比30:70(25℃、1気圧)で混合した混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶かした。この溶液を非水電解液とした。
〈渦巻き電極体の作製〉
直径5mmの巻芯棒を用いて、厚み0.022mm、幅60mm、長さ1050mmのポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介在させた状態で、上記集電タブ付き正極板と集電タブ付き負極板とを巻き取った。この際、巻芯棒の最初の2周(2回転)についてはセパレータのみが巻き取られるように、正負電極板の巻き込み位置をずらした。
直径5mmの巻芯棒を用いて、厚み0.022mm、幅60mm、長さ1050mmのポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介在させた状態で、上記集電タブ付き正極板と集電タブ付き負極板とを巻き取った。この際、巻芯棒の最初の2周(2回転)についてはセパレータのみが巻き取られるように、正負電極板の巻き込み位置をずらした。
この巻取体は、セパレータが負極板の最上下端からそれぞれ1mm程度上下に突出しており、本明細書ではこの突出部分をセパレータ裾部分と称している。
次に、上記巻取体の負極集電タブが導出する側(缶底側)の面に、貫通穴を有するポリプロピレン製の絶縁板を巻取体側に押圧しつつ貼付けた。その後、負極集電タブ40よりも巻芯空洞部8側のセパレータ裾部分を熱溶融法で取り除いた。
その後、絶縁板貫通穴から導出した負極集電タブの先端側を巻芯空洞部8側にL字状に折り曲げ、折り曲げ部40’を形成した(図5、6参照)。この折り曲げに際して、絶縁板7aの下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hが0.3mmとなるようにした。折り曲げ方法は、上記実施の形態で記載した方法を用いた。このようにして一方の面に絶縁板が配置された渦巻き電極体を作製した。
〈電池の組立て〉
上記絶縁板が配置された渦巻き電極体2を負極集電タブ側が缶底側になるようにして、有底筒状電池缶1に挿入、電池缶の缶底と負極集電タブの折り曲げ部40’と負極集電タブ41(図1参照)とを電気抵抗溶接した(図7)。この後、上記非水電解液を注液し、封口体と正極集電タブとを溶接し、さらに電池缶開口を封口体に封口した。このようにして、直径18mm、高さ65mm、電池容量1.25Ahの実施例1にかかるリチウムイオン電池を作製した。
上記絶縁板が配置された渦巻き電極体2を負極集電タブ側が缶底側になるようにして、有底筒状電池缶1に挿入、電池缶の缶底と負極集電タブの折り曲げ部40’と負極集電タブ41(図1参照)とを電気抵抗溶接した(図7)。この後、上記非水電解液を注液し、封口体と正極集電タブとを溶接し、さらに電池缶開口を封口体に封口した。このようにして、直径18mm、高さ65mm、電池容量1.25Ahの実施例1にかかるリチウムイオン電池を作製した。
(実施例2)
絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のリチウムイオン電池を作製した。
絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のリチウムイオン電池を作製した。
(実施例3)
絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.8mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のリチウムイオン電池を作製した。
絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.8mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のリチウムイオン電池を作製した。
(比較例1)
実施例1で記載した巻取体を電極体としてそのまま用い、負極集電タブよりも巻芯空洞部側のセパレータ裾部分を取り除かなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして比較例1にかかるリチウムイオン電池を作製した。
実施例1で記載した巻取体を電極体としてそのまま用い、負極集電タブよりも巻芯空洞部側のセパレータ裾部分を取り除かなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして比較例1にかかるリチウムイオン電池を作製した。
(比較例2)
実施例1で記載した巻取体を電極体としてそのまま用い、負極集電タブよりも巻芯空洞部側のセパレータ裾部分を取り除かなかったこと、及び絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のリチウムイオン電池を作製した。
実施例1で記載した巻取体を電極体としてそのまま用い、負極集電タブよりも巻芯空洞部側のセパレータ裾部分を取り除かなかったこと、及び絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のリチウムイオン電池を作製した。
(比較例3)
実施例1で記載した巻取体を電極体としてそのまま用い、負極集電タブよりも巻芯空洞部側のセパレータ裾部分を取り除かなかったこと、及び絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.8mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のリチウムイオン電池を作製した。
実施例1で記載した巻取体を電極体としてそのまま用い、負極集電タブよりも巻芯空洞部側のセパレータ裾部分を取り除かなかったこと、及び絶縁板の下面と折り曲げ部40’上面との間隔Hを、0.8mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のリチウムイオン電池を作製した。
〈溶接不良率の測定〉
実施例1〜3、比較例1〜3の電池をそれぞれ100個づつ作製し、この作製時に溶接不良数を調べた。溶接不良か否かは、巻取体の巻芯部に溶接棒を挿入して負極タブと缶底とを溶接する際に電流が流れるか否かで判定し、溶接不良率を算出した。
実施例1〜3、比較例1〜3の電池をそれぞれ100個づつ作製し、この作製時に溶接不良数を調べた。溶接不良か否かは、巻取体の巻芯部に溶接棒を挿入して負極タブと缶底とを溶接する際に電流が流れるか否かで判定し、溶接不良率を算出した。
溶接不良率結果を表1に示した。
表1から、比較例1〜3においては、絶縁板下面と折り曲げ部上面との間隔〔H〕が0.5mm以下になると溶接不良が発生することが認められた。これに対し実施例電池では何れも溶接不良の発生が認められなかった。
図8を参照しつつ、比較例において絶縁板下面と折り曲げ部上面との間隔〔H〕が0.5mm以下になると溶接不良が発生する理由を考察する。図8(a)は、比較例1〜3で用いた巻取体(電極体2)であるが、この巻取体では巻芯周囲のセパレータの裾部分が、絶縁板7aの下面よりも下方よりも突き出ている。このため負極集電タブ先端側を絶縁板下面よりも0.5mmのところで折り曲げたとき、絶縁板7aの下面よりも下方よりも突き出ているセパレータ裾部分が図8(b)に示すように折れ曲がって集電タブ折り曲げ部40’の上面の一部を覆う。これにより溶接棒50の先端と集電タブ折り曲げ部40’との全面的な接触が邪魔され、その結果として溶接不良が発生したものと考えられる。これに対し、巻芯周囲のセパレータ裾部分が取り除かれている実施例1〜3ではこのようなことがない(図7参照)。
表1に示した結果から、負極集電タブ40よりも巻芯空洞部8側のセパレータ裾部分を取り除くことにより、絶縁板下面と折り曲げ部上面との間隔〔H〕を小さくしても溶接不良が生じないことが明らかになったが、このことは、同一サイズの電池缶を用いる場合においては、渦巻き電極体の発電要素の幅(正負電極板幅)をもう少し大きくすることができることを意味する。
具体的には、直径18mm、高さ65mmの円筒形電池においては、上記間隔〔H〕を0.8mmから0.3mmとすることができるので、渦巻き電極体の幅を0.5mm大きくすることができる。直径18mm、高さ65mmの円筒形電池の渦巻き電極体の幅を0.5mm大きくすることは、電極体体積を約1%大きくすることに相当する。よって、この電池の容量を約1%高めることができることになる。
(付加事項)
上記実施例1〜3では、セパレータ裾部分を熱溶融させて取り除いたが、カット刃で切断する方法で取り除くこともできる。また、上記実施例1〜3では、巻取体に絶縁板7aを配置した後に、セパレータ裾部分を取り除いたが、絶縁板7aを配置する前に該当部分のセパレータ裾部分を取り除いてもよい。更に、巻き取る前の段階でセパレータの巻回始端側の該当部分の裾部分を取り除いてもよい。
上記実施例1〜3では、セパレータ裾部分を熱溶融させて取り除いたが、カット刃で切断する方法で取り除くこともできる。また、上記実施例1〜3では、巻取体に絶縁板7aを配置した後に、セパレータ裾部分を取り除いたが、絶縁板7aを配置する前に該当部分のセパレータ裾部分を取り除いてもよい。更に、巻き取る前の段階でセパレータの巻回始端側の該当部分の裾部分を取り除いてもよい。
上記実施例1〜3では、負極集電タブ7aより巻芯側に正極板が存在しない渦巻き電極体を用いたが、負極集電タブ7aより巻芯側に正極板が存在する場合であっても本発明は効果を奏する。ただし、負極集電タブ7aより巻芯側に正極板が存在する場合においては、正負電極板の短絡を防止するためセパレータ裾部分を切り詰め過ぎないようにする。
本発明はいわゆる円筒形の非水電解液電池を対象としているが、ここでいう円筒形は楕円形や多角形などを含む概念であり、概ね円筒形であればよい。
本発明によれば、新たな部材を使用することのない簡単な構造でもって、集電の確実性を高めることができると共に、集電タブの接続に必要な空間をより小さくすることができるので同一サイズの筒状電池缶に、より大きな電極体を収容できる。これにより、大電流放電対応型の非水電解液電池の信頼性を高めつつ、電池容量を高めることができる。よって本発明の産業上の利用可能性は大きい。
1 円筒形電池缶
2 電極体
3 正極板
4 負極板
4a 芯体露出部
4b 負極活物質層
5 セパレータ
6 封口体
7a 缶底側絶縁板
7b 封口体側絶縁板
8 巻芯空洞部
9 折り曲げ部
30 正極集電タブ
40 巻回始端側負極集電タブ
40’ 負極集電タブ折曲げ部
41 巻回終端側負極集電タブ
50・51 一対の電極棒
2 電極体
3 正極板
4 負極板
4a 芯体露出部
4b 負極活物質層
5 セパレータ
6 封口体
7a 缶底側絶縁板
7b 封口体側絶縁板
8 巻芯空洞部
9 折り曲げ部
30 正極集電タブ
40 巻回始端側負極集電タブ
40’ 負極集電タブ折曲げ部
41 巻回終端側負極集電タブ
50・51 一対の電極棒
Claims (3)
- 少なくとも巻回始端側に集電タブを有する一方電極板とこれとは極性の異なる他方電極板とが、両電極板よりも幅広のセパレータを介在させた状態で巻回されて巻回中心に巻芯空洞部が形成された電極体と、
前記電極体を収容する有底筒状の電池缶と、
前記電極体の巻芯空洞部と重なる貫通穴を有し、前記電池缶の缶底側に配置される絶縁板と、
を備えた非水電解液電池であって、
前記電極体が、前記巻芯空洞部を缶軸方向に向け前記一方電極板の集電タブを缶底方向に位置させた状態で前記電池缶に収容され、
前記電池缶底側に突出するセパレータの裾部分であって、前記電極体から導出する一方電極板集電タブよりも前記巻芯空洞部側に位置するセパレータの裾部分が取り除かれており、
前記一方電極板集電タブが、前記絶縁板貫通穴を経由後、前記巻芯空洞部を跨ぐ方向に折り曲げられ、当該折り曲げ部が前記電池缶の缶底に溶接されている、
ことを特徴とする非水電解液電池。 - 請求項1に記載の非水電解液電池において、
前記電極体から導出する一方電極板集電タブよりも前記巻芯空洞部側には、極性の異なる他方電極板が存在しない、
ことを特徴とする非水電解液電池。 - 請求項1または2に記載の非水電解液電池において、
前記非水電解液電池が、リチウムイオン電池であり、
前記一方電極板が、負極板である、
ことを特徴とする非水電解液電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010185350A JP2012043704A (ja) | 2010-08-20 | 2010-08-20 | 非水電解液電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010185350A JP2012043704A (ja) | 2010-08-20 | 2010-08-20 | 非水電解液電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012043704A true JP2012043704A (ja) | 2012-03-01 |
Family
ID=45899768
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010185350A Pending JP2012043704A (ja) | 2010-08-20 | 2010-08-20 | 非水電解液電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012043704A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102945980A (zh) * | 2012-10-17 | 2013-02-27 | 蔡明军 | 一种圆柱电池的制作工艺 |
CN110931627A (zh) * | 2019-11-27 | 2020-03-27 | 南京中电熊猫平板显示科技有限公司 | 一种微型发光二极管显示背板及其制造方法 |
WO2024007115A1 (zh) * | 2022-07-04 | 2024-01-11 | 宁德时代新能源科技股份有限公司 | 电池单体、电池以及用电装置 |
-
2010
- 2010-08-20 JP JP2010185350A patent/JP2012043704A/ja active Pending
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