JP2012042886A - 光学補償積層フィルム、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償積層フィルム、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光領域の全域において理想の位相差(λ/4(nm))を実現できる充分な逆分散性を有し、更に高温下での光学補償性能の劣化を抑制できる光学補償積層フィルムを提供する。
【解決手段】本発明に係る光学補償積層フィルム1は、基材フィルム2と、基材フィルム2の少なくとも一方の表面に積層された光学異方層3とを備える。基材フィルム2は、正の屈折率異方性を有する高分子成分により形成されており、かつ少なくとも一方向に延伸されている。光学異方層3は、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学補償性能を有する光学補償積層フィルムであって、例えば、表示画像を高品位にするために、液晶表示装置などに用いられる光学補償積層フィルムに関する。
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、液晶分子が封入されており、かつ電極が組み込まれている液晶セルに、光学フィルム及び偏光板が貼り合わされて構成されている。上記光学フィルムには、透明性及び光学補償性に優れているだけでなく、用途に応じて種々の光学特性に優れていることも要求されている。
液晶が本来有する、複屈折性に起因する光学的な歪み並びに視覚方向により表示が着色するなどの視野角依存性を解消するために、上記光学フィルムとして、光学異方性を応用した位相差補償フィルムが広く用いられている。
上記位相差補償フィルムは、一般的に熱可塑性樹脂を、流延(溶液キャスト)製膜法、カレンダー製膜法又は溶融押出製膜法等により製膜したフィルムを延伸することにより作製されている。上記熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリサルホン系樹脂及びノルボルネン系樹脂等が用いられている。
反射型液晶表示装置又は反射型偏光板に用いられる位相差補償フィルムには、可視光領域(400〜700nm)において直線偏光を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換する作用(位相差がλ/4(nm))を有することが求められている。すなわち、反射型液晶表示装置又は反射型偏光板に用いられる位相差補償フィルムには、逆分散性が求められる。しかしながら、ポリカーボネート系樹脂等を用いた従来の位相差補償フィルムの複屈折は、短波長ほど大きくなり、長波長ほど小さくなる。このため、従来の位相差補償フィルムでは、特に短波長側において逆分散性を満たすことは困難である。
上記位相差補償フィルムの一例として、下記の特許文献1には、正の屈折率異方性を有する高分子となるモノマーと、負の屈折率異方性を有する高分子となるモノマーとを共重合させた樹脂により形成されたフィルムを用いて、該フィルムを加熱延伸することにより得られた位相差補償フィルムが開示されている。
下記の特許文献2には、ウレタンアクリレートモノマーと溶媒とを含む塗工液を透明基板上に塗工した後、ウレタンアクリレートモノマーを重合処理することにより得られた位相差補償フィルムが開示されている。この位相差補償フィルムは、ウレタン系樹脂を含む。
下記の特許文献3には、正の屈折率異方性を有する層と負の屈折率異方性を有する層とを共押出法により積層して原反フィルムを製膜し、該原反フィルムをフィルムの長手方向に対して垂直に一軸延伸することにより得られた積層光学フィルムが開示されている。この積層光学フィルムは、逆分散性を有する。
WO00/26705 特開2007−328053号公報 特開2010−60618号公報
特許文献1に記載の位相差補償フィルムは、逆分散性を充分に有さないことがある。さらに、上記位相差補償フィルムの耐溶剤性が低いことがある。このため、位相差補償フィルムとともに使用可能な溶剤が限定されたり、位相差補償フィルム自体の使用が制限されたりすることがある。
特許文献2に記載の位相差補償フィルムでは、上記モノマーの重合に用いられる重合触媒の種別又はフィルムの延伸条件などにより、十分に硬化したフィルムが得られないことがある。さらに、この位相差補償フィルムは、液晶表示装置内で高温下に晒されると光学補償性能が劣化しやすい。このため、位相差が経時変化し、液晶表示装置の稼働に伴って、画像品位が低下することがある。
特許文献3に記載の積層光学フィルムでは、特に溶融粘度の異なる複数の原料樹脂を共押出成形する場合、溶融押出時の層界面で荒れなどが発生するため、光学フィルムに必要な各層の厚み及び層比を精度よく維持することが困難である。さらに、得られた光学フィルムを用いた液晶表示装置の画像品位が低下することがある。また、複数の溶融押出機又は特殊な成形ダイなどが必要である共押出法では、装置費用が高く、メンテナンスも複雑になるという問題がある。
本発明の目的は、可視光領域の全域において理想の位相差(λ/4(nm))を実現できる充分な逆分散性を有し、更に高温下での光学補償性能の劣化を抑制できる光学補償積層フィルム、並びに複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明の広い局面によれば、基材フィルムと、該基材フィルムの少なくとも一方の表面に積層された光学異方層とを備え、上記基材フィルムが、正の屈折率異方性を有する高分子成分により形成されており、かつ少なくとも一方向に延伸されており、上記光学異方層が、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されている、光学補償積層フィルムが提供される。
本発明に係る光学補償積層フィルムのある特定の局面では、上記水溶性樹脂は、スルホン酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂である。
本発明に係る光学補償積層フィルムの他の特定の局面では、下記式(1)で定義される正面レターデーションR0の、測定波長450nmにおける値をR0(450)、測定波長550nmにおける値をR0(550)としたときに、R0(450)のR0(550)に対する比(R0(450)/R0(550))が1未満であり、かつR0(550)が50nm以上である。
R0(nm)=|nx−ny|×d ・・・式(1)
nx:光学補償積層フィルムの面内の最大屈折率
ny:光学補償積層フィルムの面内のnx方向と直交する方向の屈折率
d:光学補償積層フィルムの平均厚み(nm)
本発明に係る光学補償積層フィルムのさらに他の特定の局面では、80℃の熱風で1000時間処理した後の上記R0(550)の変化率が、熱風処理前の初期値に対して−5〜+5%の範囲内である。
本発明に係る複合偏光板は、本発明に従って構成された光学補償積層フィルムと、該光学補償積層フィルムの一方の表面に積層された偏光板とを備える。
本発明に係る偏光板は、本発明に従って構成された光学補償積層フィルムと、該光学補償積層フィルムの一方の表面に積層された接着剤層と、該接着剤層の上記光学補償積層フィルムが積層された表面とは反対側の表面に積層された偏光子とを備える。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層されており、本発明に従って構成された複合偏光板又は偏光板とを備える。
本発明に係る光学補償積層フィルムでは、上記基材フィルムが、正の屈折率異方性を有する高分子成分により形成されており、かつ少なくとも一方向に延伸されており、上記光学異方層が、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されているので、可視光領域の全域において理想の位相差(λ/4(nm))を実現できる逆分散性を充分に有する。さらに、本発明に係る光学補償積層フィルムは、高温下に晒されても光学補償性能が劣化し難い。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学補償積層フィルムを示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
図1に、本発明の一実施形態に係る光学補償積層フィルムを断面図で示す。
図1に示す光学補償積層フィルム1は、基材フィルム2と、基材フィルム2の第1の表面2aに積層された光学異方層3とを備える。基材フィルム2の第1の表面2aとは反対側の第2の表面2bには、光学異方層3は積層されていない。基材フィルム2の少なくとも片面に光学異方層が積層されていればよく、第2の表面2bにも光学異方層3が積層されていてもよい。光学補償積層フィルム1は、基材フィルム2と光学異方層3とが積層された光学補償積層フィルムである。
本実施形態では、基材フィルム2は、正の屈折率異方性を有する高分子成分により形成されている。また、基材フィルム2は、少なくとも一方向に延伸されている。すなわち、基材フィルム2は、延伸フィルムである。
光学異方層3は、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されている。
光学異方層3は、例えば、基材フィルム2の第1の表面2aに、上記水溶液又は水分散液を塗工することにより形成されている。具体的には、例えば、基材フィルム2の第1の表面2aに、上記水溶液又は水分散液を塗工した後、溶媒を除去するために乾燥して、光学異方層3が形成されている。
本発明の主な特徴は、上記基材フィルムが、正の屈折率異方性を有する高分子成分により形成されており、かつ少なくとも一方向に延伸されており、上記光学異方層が、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されていることである。これにより、本発明者は、光学補償積層フィルムの位相差及び逆分散性を含む光学補償性能を高くすることができることを見出した。上記構成の採用により、本発明に係る光学補償積層フィルムは、可視光領域の全域において理想の位相差(λ/4(nm))を実現できる逆分散性を充分に有するようになる。さらに、本発明者は、本発明に係る光学補償積層フィルムを液晶表示装置に用いると、液晶表示装置の表示画像を高品位にすることができることも見出した。
また、本発明に係る光学補償積層フィルムは、適切かつ十分なレターデーションを有する。さらに、本発明に係る光学補償積層フィルムは、液晶表示装置内で高温下に晒されても光学補償性能が劣化し難く、耐久性が高い。従って、本発明に係る光学補償積層フィルムの使用により、液晶表示装置の表示画像を長期間にわたって高品位に保つことができる。
以下、光学補償積層フィルムにおける基材フィルム、光学異方層を形成するための水溶性樹脂、並光学異方層及び該光学異方層の製造方法の詳細などを具体的に説明する。
(基材フィルム)
上記基材フィルムは、正の屈折率異方性を有する高分子成分(原料樹脂)により形成されている。上記基材フィルムは、光学的に透明であることが好ましい。上記正の屈折率異方性を有する高分子成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記基材フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリサルホン及びポリアリレート等が挙げられる。光学異方性の発現性能及び波長分散特性を考慮すると、シクロオレフィンが特に好ましい。
本発明では、少なくとも一方向に延伸されており、所定の光学異方性が付与された基材フィルムが用いられる。延伸前の基材フィルムは、配向前の基材フィルムである。
配向前の基材フィルムとしては、特定の方向に分子配向していない無配向フィルム、並びに長手方向又は幅方向の内の一方向に配向した一軸配向フィルムが挙げられる。
無配向フィルムなどの延伸前の基材フィルムの製造方法としては特に限定されず、従来公知の任意の成形法を用いることができる。延伸前の基材フィルムの製造方法として、例えば、上記原料樹脂を押出機に供給して溶融し、混練し、押出機の先端に取り付けられた金型からフィルム状に押出した後、静電印荷キャスト法、タッチロール法又はエアーナイフキャスト法により、冷却した回転ドラム上で冷却固化し、長尺状のフィルムに成膜する溶融押出法、並びに上記原料樹脂を溶媒に溶解させた溶液を、ドラム又は無端ベルト等の上に流延した後、溶媒を蒸発させ、長尺状のフィルムに成膜する溶液流延法等が挙げられる。厚み80μm以上の延伸前の基材フィルムを得る場合には、溶液流延法では溶媒を充分に蒸発、除去することが困難であるので、溶融押出法が好ましい。
なお、上述の製造方法により得られる延伸前の基材フィルムは、一般的には、実質的に無配向の樹脂フィルムである。延伸前の基材フィルムにおけるフィルム面内方向及びフィルム厚み方向におけるレターデーション値はゼロに近いことが好ましい。より具体的には、延伸前の基材フィルムにおけるフィルム面内方向のレターデーション値は、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下である。
延伸前の基材フィルムを、少なくとも一方向に延伸することにより、所定の光学異方性が付与された基材フィルムが得られる。得られた基材フィルムでは、例えば、フィルムの構成分子が長手方向又は幅方向に配向している。
フィルム構成分子の所定の方向に配向させる方法としては、フィルムを延伸する方法、並びにフィルムに磁力又は光刺激等を付与する方法等が挙げられる。簡便にフィルムの構成分子を精度よく所定の方向に配向させることができるので、本発明では、基材フィルムを少なくとも一方向に延伸する。延伸フィルムの使用により、正面レターデーションR0又は厚みレターデーションRthなどの位相差補償性能を良好にすることができ、特定の光学補償性能が付与された光学補償積層フィルムを得ることが可能になる。
上記基材フィルム(延伸フィルム)を製造する具体的な方法としては、フィルムを加熱延伸温度まで加熱する予熱工程と、上記フィルムを加熱しながら延伸する加熱延伸工程と、延伸されたフィルムを熱処理し配向を固定する熱処理工程と、熱処理されたフィルムを常温(23℃)まで冷却する冷却工程とを備えることが好ましい。
上記基材フィルムを得る手法としては、フィルムを構成する材料に応じて様々な手法が適用可能であり、例えば、ロール間延伸及びクリップテンターによる一軸延伸法等が挙げられる。
各工程における上記フィルムの加熱法としては、熱ロール接触加熱法、及びエアーフローティング加熱方式を利用した空気対流加熱法等が挙げられる。これらの加熱法を併用してもよい。フィルムの加熱法は、延伸形態に応じて適宣選択される。
上記予熱工程は、フィルムを延伸可能なフィルム温度まで加熱する工程である。上記予熱工程は、特にテンタークリップ方式の延伸形態において発生する、分子配向の湾曲パターン(いわゆるボーイング)を低減し、配向を揃えるための機能を担う。上記予熱工程では、上記フィルムを延伸可能な温度付近まで加熱する。例えば、次工程の加熱延伸工程における加熱延伸温度付近まで加熱する。予熱工程における上記フィルムの温度は、加熱延伸工程でのフィルム温度と等しい温度以上であることが好ましい。さらに、予熱工程における予熱温度は、上記原料樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、(Tg)〜(Tg+40)℃の範囲内であることが好ましい。予熱温度が低すぎると、加熱延伸工程において延伸応力が大きくなりすぎて、フィルムが破断しやすくなる。予熱温度が高すぎると、延伸応力が不足し、延伸効果を十分に得ることができないことがある。
なお、上記フィルムは加熱により膨張変形し、フィルム幅が広がることがある。このため、予熱工程におけるフィルムの通過中に、自重によりフィルムがたわみ、熱風ノズル等の炉内部材へ接触することがある。ロール間延伸法による縦一軸延伸法の場合には、予熱工程入口のフィルム張力と同工程出口のフィルム張力を独立に調整できる機構が備えられることにより、このような走行トラブルを回避できる。テンタークリップ方式の横一軸延伸法及び同時二軸延伸法の場合には、予熱工程におけるフィルムの通過中に、自重によりフィルムがたわみ、熱風ノズル等の炉内部材へ接触することがある。シート幅に対し、クリップレール幅を広げることにより、このような走行トラブルを回避できる。
上記加熱延伸工程では、例えば、上記フィルムを加熱しながら、フィルムの長手方向及び幅方向の内の少なくとも一方向に延伸する。延伸により、例えば、実質的に無配向であったフィルム構成分子を特定方向に配向させる。これにより、複屈折などの光学異方性を付与し、位相差補償フィルムとしての機能を発現させ、更には延伸による分子配向によってフィルムとしての機械特性及び耐久性を高めることができる。
上記フィルムは、長手方向及び幅方向の内の一方向のみに一軸延伸してもよく、長手方向及び幅方向に二軸延伸してもよい。
二軸延伸法としては、長手方向又は幅方向に延伸した後、前段の延伸方向と直交する方向に延伸する逐次二軸延伸法、並びに長手方向及び幅方向に同時に延伸する同時二軸延伸法が挙げられる。二軸延伸法は、光学補償性能又は生産性を考慮して、適宣選択できる。設備費を低くし、かつ操作性及び光学補償性能を高める観点からは、逐次二軸延伸法が好ましい。
長手方向への縦一軸延伸方法として、従来公知の方法を採用できる。縦一軸延伸方法としては、ロール間延伸法及びクリップテンター法等が挙げられる。操作性を高め、設備費を低くする観点からは、ロール間延伸法がより好ましい。ロール間延伸法は、上流側設置ロールを低速度、下流側設置ロールを高速度として、異なる回転速度で回転される複数のロールが長手方向に任意の間隔で配置されており、ロールの間隙を介して加熱下でフィルムを搬送することで、ロール速度差に応じてフィルムを延伸する手法である。ロールの配置距離により事実上定義される延伸距離がフィルム幅よりも短いと、長手方向への分子配向は不十分となる。上記延伸距離が長すぎると、フィルムの折れ、フィルムのしわ、加熱炉パーツ等への接触傷等が発生しやすくなる。上記延伸距離は、フィルムの走行性に応じて適宣設定できる。ロールに対するフィルムの保持力を高め、グリップを良くし、さらに加熱延伸工程における応力の影響を前後の工程に波及させないことを目的として、上記ロールは、ニップ機構を備えることが好ましい。
幅方向への横一軸延伸方法、及び長手方向と幅方向への同時二軸延伸方法として、従来公知の任意のテンター延伸法を採用できる。横一軸延伸方法及び同時二軸延伸方法としては、例えば、無配向フィルムの幅方向の両端部をテンタークリップで把持し、テンタークリップの幅方向の間隔を次第に離間させ、フィルムを幅方向に拡幅し、延伸する方法が挙げられる。さらに、上記幅方向延伸手法に加え、パンタグラフ構造又はリニアモータ方式によるリンク機構を利用して、長手方向に互いに隣接するクリップを次第に離間させ、フィルムを長手方向に延伸する方法が挙げられる。
上記加熱延伸工程は、上記フィルムを加熱しながら、フィルムの長手方向及び幅方向の内の少なくとも一方向に延伸することにより、実質的に無配向であったフィルム構成分子を特定方向に配向させる。これにより、複屈折をはじめとする光学異方性を付与し、位相差補償フィルムとしての機能を発現させ、更には延伸による分子配向によってフィルムとしての機械特性及び耐久性を高めることができる。
上記フィルムは、長手方向及び幅方向の内の一方向のみに一軸延伸してもよく、長手方向及び幅方向に二軸延伸してもよい。
二軸延伸法としては、長手方向又は幅方向に延伸した後、前段の延伸方向と直交する方向に延伸する逐次二軸延伸法、並びに長手方向及び幅方向に同時に延伸する同時二軸延伸法が挙げられる。二軸延伸法は、光学補償性能や生産性を考慮して、適宣選択できる。設備費を低くし、かつ操作性及び光学補償性能を高める観点からは、逐次二軸延伸法が好ましい。
上記原料樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、上記加熱延伸工程におけるフィルムの加熱温度は、(Tg−20)〜(Tg+40)℃の範囲内であることが好ましい。上記フィルム加熱温度は、より好ましくは(Tg−10)℃以上、好ましくは(Tg+20)℃以下である。上記フィルムの加熱温度が低すぎると、過大な延伸応力により延伸中にフィルムが切断したり、テンタークリップがはずれたりするなど、加熱延伸工程におけるフィルム走行安定性をも損なうことがある。上記フィルム加熱温度が高すぎると、延伸応力が不足し、延伸効果を十分に得ることができず、配向緩和が優先して所望のレターデーション値を得ることが困難なことがある。
上記加熱延伸工程における加熱延伸開始から終了までの延伸時間は、10〜100秒の範囲内であることが好ましい。上記延伸時間は、より好ましくは20秒以上、より好ましくは60秒以下である。上記延伸時間が長すぎると、熱緩和によりレターデーションが著しく低下しやすくなり、延伸による分子配向効果を得ることが困難なことがある。上記延伸時間が短すぎると、顕著なボーイング現象により、遅相軸のフィルム幅方向への不均一分布を補正できず、さらに過大な延伸応力により延伸時にフィルムが切断し、テンタークリップがはずれたりするなど、延伸工程におけるフィルム走行安定性を損なうことがある。
上記加熱延伸工程における延伸倍率は、位相差補償フィルムの補償位相差量によって適宜決定できる。延伸倍率が低すぎると、配向方向が均一に揃わないことがある。延伸倍率が高すぎると、フィルムの中央部がたわみ、レターデーション値、遅相軸又は厚みの幅方向分布が不均一になる。従って、上記延伸倍率は、1.10〜6.00倍の範囲内であることが好ましい。上記延伸倍率は、より好ましくは1.50倍以上、より好ましくは5.00倍以下である。
上記加熱延伸工程における延伸歪み速度は、好ましくは50%/分以上、より好ましくは100%/分以上、より好ましくは2000%/分以下である。上記歪み速度が遅すぎると、レターデーションの発現性が低下することがある。上記歪み速度が速すぎると、フィルムが切断したり、テンタークリップがはずれたりすることがある。また、高い歪み速度で延伸することにより、特にテンタークリップ方式による延伸では、クリップレール開き角度を大きく取り、延伸ゾーンの炉長を極力短くすることができる。
上記熱処理工程は、延伸後のフィルムの残留歪みを除去又は低減し、アニール処理することで樹脂分子配向を揃え、固定するための工程である。上記熱処理工程により、分子配向を制御し、幅方向の光学特性及び厚みを揃えることができる。また、上記熱処理工程により、延伸フィルムのボーイングを低減し、配向を揃えることができる。上記熱処理工程における加熱温度が高すぎると、レターデーション値が低下する傾向がある。上記原料樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、上記熱処理工程における加熱温度は、(Tg−30)〜(Tg+10)℃の範囲内であることが好ましい。上記加熱温度をこの範囲内とすることにより、ボーイングを制御し、フィルム幅方向への分子配向精度を高めることができる。
上記熱処理工程における加熱時間は、主に連続生産性に基づいて決定されるフィルム走行速度と、熱処理工程の工程長さとに応じて適宣設定できる。上記加熱時間は、5〜60秒の範囲内であることが好ましい。上記加熱時間は、より好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以下である。加熱延伸の後の熱処理工程における加熱時間が上記下限以上及び上記上限以下であると、ボーイング現象を抑制し、優れた光軸精度を得ることができる。上記加熱時間が短すぎると、十分なアニール効果が得られず、結果としてフィルム流れの下流側に配向がせり出し、逆ボーイングを助長することがある。上記加熱時間が長すぎると、フィルム流れの上流側に配向がせり出し、正ボーイングを助長することがある。このため、液晶パネルの画像表示品位が低下し、位相差補償フィルムとしての商品価値が低下することがある。
上記冷却工程は、フィルムを急冷することにより、フィルムに形成された分子配向を、フィルムに固定するための工程である。上記原料樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、上記冷却工程における冷却温度は、(Tg−50)〜(Tg−5)℃の範囲内であることが好ましい。
上記原料樹脂のガラス転移温度は、光学特性又は耐久性に影響を与える重要な要素である。液晶表示装置に用いられた光学補償積層フィルムが晒される熱環境を考慮すると、上記原料樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(TA Instruments社製、商品名「DSC2920 Modulated DSC」)を用いて、以下の温度プログラム条件において測定される、最終昇温時のガラス転移温度を示す。
温度プログラム条件:
室温(23℃)から50℃まで10℃/分で昇温し、100℃で5分間保持する。次に、50℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。次に、200℃から−50℃まで10℃/分で降温し、−50℃で5分間保持する。次に、−50℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。
上記基材フィルムの平均厚みは特に限定されない。所定の光学補償性能が損なわれないように、かつ一定の機械的強度を有するように、更に液晶表示装置へ積層される際に重視される部材の軽量化等を考慮して、上記基材フィルムの厚みは適宜設定される。上記基材フィルムの平均厚みは、20〜200μmであることが好ましい。上記基材フィルムの平均厚みは、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは60μm以下である。
上記基材フィルムは、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃助剤及び可塑剤等の従来公知の添加剤を含んでいてもよい。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)及びトリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト)等が挙げられる。上記紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン及び2−(2’−ジヒドロキシ−4’−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。上記滑剤としては、パラフィンフェノス及び硬化油等が挙げられる。上記帯電防止剤としては、ステアロアジトプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート等が挙げられる。
(水溶性樹脂)
上記光学異方層は、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されている。上記水溶性樹脂は水溶性であり、水に溶ける性質を有する。上記水溶性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記水溶性樹脂は、水に溶解又は分散された状態で、基材フィルム上に塗工できる。また、水を用いた場合には、有機溶剤を用いた場合と比較して、コストが安くなり、労働衛生面及び作業面でも特に優れている。また、上記水溶性樹脂の使用により、水溶液又は水分散液の調合が容易になり、水溶液又は水分散液の基材フィルム上への塗工性が高くなり、光学補償積層フィルムの生産性が高くなり、特に衛生面及びメンテナンスの面が特に著しく向上する。上記水溶液又は水分散液は、有機溶剤を含まないことが好ましい。ただし、上記水溶液又は水分散液は、有機溶剤を含んでいてもよい。例えば、原料に含まれている少量の有機溶剤を含んでいてもよい。主溶媒として有機溶剤ではなく水を用いることにより、水溶液又は水分散液を塗工した後に水を揮発させた塗膜において、有機溶剤の残留量を低減でき、得られる光学補償積層フィルムの商品価値を高くすることができる。
上記水溶性樹脂は、負の屈折率異方性を有する。上記水溶性樹脂が負の屈折率異方性を有することにより、正の屈折率異方性を有する基材フィルム上に、負の屈折率異方性を有する光学異方層を形成することができる。この結果、基材フィルムと光学異方層とを備える光学補償積層フィルムは、広い波長領域において、円偏光を直線偏光に変換でき、直線偏光を円偏光に変換できる性質を有する。すなわち、得られる光学補償積層フィルムは、逆分散性を有する。このような光学補償積層フィルムを、偏光板一枚型又はゲストホスト型の反射型液晶表示装置、並びに片方の円偏光だけを反射するような反射型偏光素子に応用することにより、画像品位に優れる液晶表示装置又は高性能の反射型偏光素子を提供できる。
上記水溶性樹脂は、リオトロピック液晶性を有する。上記水溶性樹脂がリオトロピック液晶性を有することにより、基材フィルム上への上記水溶液又は水分散液の塗工時の剪断により、液晶分子を配向させることができる。
一般に、基材フィルム上に液晶材料を塗工し、液晶分子を配向させるためには、通常、配向膜を有する基材フィルムが用いられる。この配向膜を有する基材フィルムを用いて、配向膜によって液晶分子を特定の方向に配列させることで、配向方向によって決定される光軸が制御されている。しかし、この場合には、配向膜を形成する必要があり、経済的ではない。
さらに、配向膜を形成する際には、ポリイミド又はポリビニルアルコールにより形成された下塗り層を基材フィルムの表面上に形成し、その下塗り層に繊維束を放射状に取付けたラビング処理ロールを接触させて、研磨するラビング処理が行われることがある。これによって、特定方向に微細な傷を賦形する。この微細な傷は、液晶分子の配向起点になる。なお、配向膜を形成するために、基材フィルムの表面を直接ラビング処理することもある。
しかしながら、このようなラビング処理を施すと、ラビング処理後に基材フィルムに砕片が生じることが多い。生じた砕片は異物として光学補償積層フィルムに残存し、得られる光学補償積層フィルムにおいて光学的欠点となる。このため、ラビング処理を施すと、光学補償積層フィルムの製品価値が低下する。
従って、基材フィルムは配向膜を有さないことが好ましい。さらに、基材フィルムはラビング処理されていないことが好ましい。特定の水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液の使用により、配向膜を有さない基材フィルムを用いたとしても、更にラビング処理されていない基材フィルムを用いたとしても、得られる光学補償積層フィルムの光学補償性能を高めることができる。
上記水溶性樹脂は、主鎖に液晶性を示す構造を有する高分子(主鎖型高分子液晶化合物)又は側鎖に液晶性を示す構造を有する高分子(側鎖型高分子液晶化合物)であることが好ましい。上記水溶性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記主鎖型高分子液晶化合物としては、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系及びポリエステルイミド系等の高分子液晶化合物、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
上記側鎖型高分子液晶化合物としては、例えば、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系及びポリエステル系等の直鎖状又は環状構造の骨格に、側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶化合物、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
上記水溶性樹脂は、芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましくい。芳香族ポリアミド樹脂は、芳香環基を有するポリアミド樹脂である。該芳香族ポリアミド樹脂は、下記式(11)で示される構造単位を有する芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。
Figure 2012042886
上記式(11)中、R1は芳香環基を表し、R2は脂肪族基、脂環基、芳香環基又は複素環基を表し、nは自然数を示す。
上記芳香族ポリアミド樹脂は、特に上記式(11)で示される芳香族環基を有するポリアミド樹脂は、汎用樹脂と比較して、融点及びガラス転移温度が高く、耐熱性に優れているという大きな特徴を有する。上記芳香族ポリアミド樹脂は、芳香環及びアミド結合を有するので、剛直性、強靭性及び耐薬品性に優れており、かつ高い接着性を発現する。これらの樹脂特性は、光学補償積層フィルムにおいて特に有利に作用する。上記芳香族ポリアミド樹脂を用いた光学補償積層フィルムを液晶表示装置に組み込むと、安定した光学補償性能を発揮し、表示画像を高品位に維持できる。特にパネル内でのバックライト光などにより高温下に暴露されても、位相差値が変化し難くなる。また、光学異方層が剛直かつ強靭になるために、基材フィルムから光学異方層が剥離し難くなり、かつ光学異方層に欠けが生じ難くなる。このため、光学補償積層フィルムの価値を高めることができる。
上記芳香族ポリアミド樹脂は、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、芳香族、脂環族又は脂肪族ジアミン化合物とを重縮合させることにより得ることができる。
上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体は、特に限定されない。上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、オルトフタル酸ジクロライド、ナフタリンジカルボン酸ジクロライド及びパラフェニレンジカルボン酸ジクロライドなどの芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、並びにこれらの変性物等が挙げられる。上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
水溶性に優れているので、上記芳香族ポリアミド樹脂は、スルホン酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体は、下記式(12)で表されるスルホン酸基を少なくとも一つ有することが好ましい。下記式(12)で表されるスルホン酸基により、上記芳香族ポリアミド樹脂の水溶性をより一層高めることができる。
Figure 2012042886
上記式(12)中、Mは水素イオン、金属イオン、アンモニウムイオン又はその誘導体を表す。
上記式(12)で表されるスルホン酸基を少なくとも一つ有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、上述した芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体の分子内にスルホン酸基を導入して得られるスルホン化誘導体が挙げられる。スルホン酸基は、芳香核内に導入されていることが好ましく、芳香族基がスルホン酸基を有することが好ましい。
上記ジアミン化合物は特に限定されない。上記ジアミン化合物としては、例えば、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、ベンジジン、トリジン、ビフェニルジアミン、フルオレンジアミン、メチレンビスアニリン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びウンデカメチレンジアミン及びこれらの誘導体等が挙げられる。上記ジアミン化合物は、芳香族ジアミン化合物であってもよく、脂肪族ジアミン化合物であってもよい。上記ジアミン化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジアミン化合物は、上記式(12)で表されるスルホン酸基を少なくとも一つ有することが好ましい。上記式(12)で表されるスルホン酸基により、上記芳香族ポリアミド樹脂の水溶性をより一層高めることができる。
上記水溶液又は水分散液における固形分濃度は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記固形分濃度が上記下限以上であると、塗工剪断力により均一な塗膜が得られ、より一層望ましい光学異方性を有する光学補償積層フィルムを得ることができる。上記固形分濃度が上記上限以下であると、塗工後の流動性が高くなり、基材フィルムに対する上記水溶液又は水分散液の濡れ性がより一層高くなる。
上記水溶液又は水分散液には、本発明の効果を低下させない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、無機滑剤、有機滑剤、乳化剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、消泡剤、顔染料及び結晶核剤などの各種の添加剤が配合されていてもよい。
(光学異方層及び光学異方層の形成方法)
基材フィルム上に、上記水溶液又は水分散液を塗工する方法は、特に限定されない。塗工方法として、光学的に透明で均質な膜を形成し得る各種の塗工方法が適宜用いられる。上記塗工方法としては、例えば、ダイコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、浸漬法、スプレーコート法及びスピンコート法等の塗工方法、並びにフレキソ印刷等の凸版印刷、ダイレクトグラビア印刷、オフセットグラビア印刷等の凹版印刷、オフセット印刷等の平版印刷及びスクリーン印刷等の孔版印刷などの印刷方法が挙げられる。これらの塗工方法のうち1つの方法を用いてもよく、2つ以上の方法を用いてもよい。塗工時に塗膜に十分な剪断力を付与して、塗工剪断力によって効果的に分子配向するためには、ダイコート法、バーコート法又はスプレーコート法が好ましい。
上記基材フィルム上に、上記水溶液又は水分散液を塗工する際の塗工速度は、100mm/秒以上であることが好ましい。本発明に係る光学補償積層フィルムを得るために、上記基材フィルムの少なくとも片面に、上記水溶液又は水分散液を塗工速度100mm/秒以上で塗工して、光学異方層を形成することが好ましい。リオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂は、塗工剪断力によって分子配向することから、塗工速度をできるだけ速くすることで、液晶樹脂分子の配向を緻密に制御できる。
上記塗工速度は、塗工時の基材フィルムの走行速度により制御、定義することが可能である。塗工速度が100mm/秒以上であると、リオトロピック液晶性を有する樹脂分子が十分に配向し、この結果高い光学異方性が得られ、更に正面レターデーションR0及び逆分散性などの光学補償性能をより一層高めることができる。更に、光軸精度を十分に発現させることができ、この結果表示むらが発生し難くなり、液晶表示装置の表示品位を高めることができる。なお、上記光軸精度は、液晶表示装置の視野角特性及びコントラストに大きな影響を与える光学性能の一つである。
上記基材フィルム上に、上記水溶液又は水分散液を塗工した後、塗膜中の水を乾燥して除去することにより、光学異方層を形成できる。乾燥温度は、上記基材フィルムのガラス転移温度以下であり、かつ溶媒である水の沸点以下であることが好ましい。塗工後の液晶樹脂分子の配向を崩さないように乾燥することが好ましい。乾燥温度は、10〜100℃であることが好ましい。乾燥温度は、より好ましくは20℃以上、より好ましくは60℃以下である。
塗膜に熱風などの風をあてて乾燥する場合には、風圧は、未乾燥状態の塗膜が力学的負荷により乱されることがなく、かつ上記基材フィルム及び塗膜における熱的負荷が大きくなりすぎないように、適宜設定される。風圧は、0.1〜1.0MPaであることが好ましい。風圧は、好ましくは0.3MPa以上、好ましくは0.8MPa以下である。
上記乾燥時間は5秒〜1時間であることが好ましい。上記乾燥温度は、より好ましくは10秒以上、更に好ましくは20秒以上、より好ましくは30分以下、更に好ましくは10分以下である。乾燥時間が短すぎると、溶媒の揮発が不十分となるので、塗膜は脆弱になる。乾燥時間が長すぎると、光学異方層を構成する液晶樹脂分子の配向が緩和され、光学補償性能が低下する傾向がある。
上記光学異方層の厚みは特に限定されない。光学補償積層フィルムに対して要求される光学補償性能及び厚さに応じて決定される。上記光学異方層の平均厚みは、0.2〜10μmであることが好ましい。上記光学異方層の平均厚みは、より好ましくは0.5μm以上、より好ましくは5μm以下である。
(光学補償積層フィルム)
光学補償積層フィルムの下記式(1)により定義される正面レターデーションR0の、測定波長450nmにおける値をR0(450)、測定波長550nmにおける値をR0(550)としたときに、R0(450)のR0(550)に対する比(R0(450)/R0(550))(波長分散比)が1未満であり、かつR0(550)が50nm以上であることが好ましい。
R0(nm)=|nx−ny|×d・・・式(1)
nx:光学補償積層フィルムの面内の最大屈折率
ny:光学補償積層フィルムの面内のnx方向と直交する方向の屈折率
d:光学補償積層フィルムの平均厚み(nm)
すなわち、光学補償積層フィルムは、下記式(2)及び下記式(3)を満たすことが好ましい。
R0(450)/R0(550)<1 ・・・式(2)
R0(550)>50nm ・・・式(3)
上記波長分散比が1未満である光学補償積層フィルムは、広い波長領域において円偏光を直線偏光に、直線偏光を円偏光に変換できる。このような光学補償積層フィルムを、偏光板一枚型又はゲストホスト型の反射型液晶表示装置、片方の円偏光だけ反射するような反射型偏光素子に応用することにより、画像品位に優れる液晶表示装置又は高性能の反射型偏光素子を提供できる。
画像品位により一層優れる液晶表示装置又は高性能の反射型偏光素子を得る観点からは、上記R0(550)は、より好ましくは80nm以上、より好ましくは300nm以下である。
上記R0(550)が上記下限以上及び上限以下である光学補償積層フィルムを液晶パネルに積層すると、安定した高品位の表示画像を得ることができる。上記R0(550)が上記下限以上及び上限以下であることにより、液晶を通過する際の複屈折を充分に補償でき、光学補償積層フィルムとしての商品価値をより一層高めることができる。
光学補償積層フィルムを80℃の熱風で1000時間処理した後の、上記R0(550)(nm)の変化率は、熱風処理前の初期値に対して−5〜+5%の範囲内であることが好ましい。なお上記R0の変化率はそれぞれ、下記式(4)で定義される。
η0(%)=(R0(550)[1000]―R0(550)[0])/R0(550)[0]×100・・・式(4)
η0:正面レターデーション値R0(550)の変化率
R0(550)[0]:熱風処理前のフィルムのR0(550)(nm)
R0(550)[1000]:80℃の熱風で1000時間熱風処理した後のR0(550)(nm)
上記正面レターデーションR0(550)の変化率が上記範囲内にある光学補償積層フィルムを用いた液晶表示装置では、液晶表示装置が本来有する広視野角及び高コントラストなどの高品位の表示画像を、安定して長期間にわたって保持できる。なお、耐久性評価の熱風の温度を80℃としたのは、液晶表示装置に光学補償積層フィルムを組み込むと、パネル装備のバックライト光に光学補償積層フィルムが常時露光され、このとき光学補償積層フィルムが80℃程度に加熱昇温されるためである。
光学補償積層フィルムの幅方向に対する分子主鎖配向角(°)は、−0.5〜+0.5°の範囲内であることが好ましい。上記分子主鎖配向角を上記範囲内とすることにより、分子主鎖が均一に配向し、光軸が安定するので、液晶パネルに積層すると表示むらを抑制し、表示画像を安定させることができる。
光学補償積層フィルムの平均厚みは特に制限されない。光学補償積層フィルムの平均厚みは20〜200μmの範囲内であることが好ましい。光学補償積層フィルムの平均厚みは、より好ましくは40μm以上、より好ましくは100μm以下である。光学補償積層フィルムの平均厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、所定の複屈折発現性を損わず、かつ一定の機械的強度を有し、さらに液晶表示装置へ積層される際に重視される部材の軽量化を進めることができる。また、光学補償積層フィルムを光学補償フィルムとして好適に使用できる。
光学補償積層フィルムのヘイズ値は、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。上記ヘイズ値が高すぎると、偏光板保護フィルム等の用途に用いた場合に、光洩れ等が生じやすくなる。
光学補償積層フィルムの表面には、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射、各種薬品処理等の表面活性処理を施してもよい。さらに、光学補償積層フィルムの表面に、塗布加工又は蒸着による各種の機能コーティング、ラミネート等を行うことにより諸性能を付加し、利用価値を更に向上させることもできる。
(複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置)
本発明に係る複合偏光板は、光学補償積層フィルムと、該光学補償積層フィルムの一方の表面に積層された偏光板とを備える。上記光学補償積層フィルムと上記偏光板とは一体化されていることが好ましい。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された上記複合偏光板とを備える。
本発明に係る偏光板は、上記光学補償積層フィルムと、該光学補償積層フィルムの一方の表面に積層された接着剤層と、該接着剤層の上記光学補償積層フィルムが積層された表面とは反対側の面に積層された偏光子とを備える。上記光学補償積層フィルムと上記偏光子とは、上記接着剤層を介して一体化されていることが好ましい。
また、本発明に係る他の液晶常時装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された上記偏光板とを備える。
上記光学補償積層フィルムは、液晶表示装置の部品として好適に用いられる。上記光学補償積層フィルムは、単独で用いられてもよく、偏光板と積層されて複合偏光板として用いられてもよい。さらに、光学補償積層フィルムは、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりとして、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いられてもよい。液晶表示装置の薄型化及び製造効率を高めることができるので、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりに、光学補償積層フィルムは、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いられることが好ましい。
上記光学補償積層フィルムを単独で用いた液晶表示装置を製造する方法としては、液晶セルを構成している一対の基板のそれぞれの外表面に偏光板を配設し、上記液晶セルの基板のうちの少なくとも一方の基板と該基板に対向する偏光板との間に上記光学補償積層フィルムを配置し、更に、液晶セルにおける液晶表示面とは反対側の基板側に配設した偏光板上に、バックライト型又はサイドライト型の公知の照明システムを配設し、駆動回路を組み込む方法等が挙げられる。上記光学補償積層フィルムは、液晶表示面側の基板の外表面に配置されることが好ましい。
上記液晶表示装置において、光学補償積層フィルムは、予め偏光板の一面に接着剤又は粘着剤を介して積層されて複合偏光板として用いられてもよい。上記接着剤又は粘着剤としては、光学特性を阻害しなければ特に限定されない。アクリル系の接着剤又は透明な粘着剤等が好適に用いられる。
また、上記偏光板としては、従来汎用されている偏光板が用いられる。上記偏光板は、例えば、偏光子の両面に保護フィルムが積層一体化されている。この偏光子としては、ポリビニルアルコール−ヨウ素偏光膜、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性染料を吸着配向させた染料系偏光膜、ポリビニルアルコール系フィルムより脱水反応を誘起させることにより、又はポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸反応により、ポリエンを形成させたポリエン系偏光膜、分子内にカチオン基を有する変性ポリビニルアルコールにより形成されたポリビニルアルコール系フィルムの表面及び内部の内の一方に二色性染料を有する偏光膜等が挙げられる。
上記偏光子に積層一体化される保護フィルムは特に限定されず、偏光子の光学特性を阻害しない保護フィルムが適宜選択されて用いられる。上記保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース又はアルカリ処理したトリアセチルセルロース等により形成されたフィルムが挙げられる。
また、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりに、光学補償積層フィルムを、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いる方法としては、偏光子と光学補償積層フィルムとの対向面の内の何れか一方の面に、接着剤を全面的に略均一に塗布した後、偏光子と光学補償積層フィルムとを接着剤を介した状態で重ね合わせて積層一体化する方法等が挙げられる。上記接着剤は、光学補償積層フィルム面に塗布することが好ましい。上記接着剤は特に限定されず、偏光子及び光学補償積層フィルムの光学特性を阻害しない接着剤が適宜選択されて用いられる。上記接着剤は、水性ウレタン系接着剤であることが好ましい。
偏光子の光学補償積層フィルムが積層されている面とは反対側の面には、通常の光等方性の保護フィルムが、接着剤を介して積層一体化されていることが好ましい。
上記光学補償積層フィルムを保護フィルムとして用いた、偏光板を使用した液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板それぞれの外表面に配設される偏光板の内、少なくとも液晶表示面側の偏光板として、偏光板を、光学補償積層フィルム面が液晶セル側となるように配置することにより得られる。
上記液晶セルとして、従来公知の液晶セルを使用できる。大型画面としての表示性能に優れるVAモード及びIPSモードに本発明に係る光学補償積層フィルムを適用すると優れた効果が得られる。本発明では、パネル平行面内又は厚み方向の屈折率が制御された光学補償積層フィルムを提供できる。これによって、液晶セルの屈折率を効果的に補償して、液晶表示装置の正コントラスト又は見込み角度によるコントラストの変化又は視野角依存性を大幅に改善できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例に限定されない。
(無配向フィルムの作製例1)
ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア1420」、ガラス転移温度Tg=142℃、以下COPと記載することがある)を用意した。このノルボルネン系樹脂を一軸溶融押出成形装置に供給して、溶融温度250℃で溶融混練し、押出装置先端に取付けたTダイからフィルム状に溶融押出しした。溶融押出しされたフィルムを、エッジピニング方式により表面温度20℃及び速度20m/分の回転ドラムに密着させて急冷したのちロール状に巻取り、幅650mm及び平均厚み80μmの無配向フィルムを作製した。
(基材フィルムの作製例2)
作製例1で得られた無配向フィルムを連続的に巻出し、予熱ゾーン、加熱延伸ゾーン、熱処理ゾーン及び冷却ゾーンを有する縦一軸テンター延伸機に、予熱ゾーン入口においてフィルム搬送速度10m/分で供給した。
作製例1で得られた無配向フィルムを、予熱ゾーンにおいて熱風温度130℃で加温した。その後、加熱延伸ゾーンにおいて、該ゾーン前後に配置されたフィルム流れ方向の上流側ニップロールと下流側ニップロールに回転速度比を付け、下流側ロール速度の上流側ロール速度に対する回転速度比を2.0として延伸倍率とし、歪み速度100%/分で、延伸倍率2.0倍及び歪み速度100%/分で、加熱延伸温度145℃で無配向フィルムを長手方向に加熱延伸した。次に、熱処理ゾーンにおいて熱風温度110℃で、延伸フィルムをアニール処理した。更に冷却ゾーンで、延伸フィルムを80℃に冷却して配向固定した。フィルム端部の一部をフィルム中心から左右対称に設置したシェア刃でスリットして除去したのち、得られた延伸フィルム表面に、ブロッキング防止の挟合紙として、厚み25μmの二軸延伸PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製)を貼り合わせながら、巻取速度20m/分及び巻取張力100N/mで塩化ビニル樹脂製コアにロール状に巻取り、基材フィルム(A)を得た。得られた基材フィルム(A)の幅は、両端部を除いて400mmであり、平均厚みは54μmであった。
(基材フィルムの作製例3)
作製例1で得られた無配向フィルムを連続的に巻出し、予熱ゾーン、加熱延伸ゾーン、熱処理ゾーン及び冷却ゾーンを有する横一軸テンター延伸機に、予熱ゾーン入口においてフィルム搬送速度10m/分で供給した。
作製例1で得られた無配向フィルムを、端部をテンタークリップで把持し、予熱ゾーンにおいて熱風温度150℃で加温した。その後、加熱延伸ゾーンにおいて、延伸倍率2.0倍および歪み速度100%/分で、加熱延伸温度145℃で無配向フィルムを幅方向に加熱延伸した。次に、熱処理ゾーンにおいて熱風温度130℃で、延伸フィルムをアニール処理した。更に、冷却ゾーンで、延伸フィルムを100℃に冷却して配向固定した。延伸機出口において、フィルム端部をクリップ把持より解放した。その後、スリット工程でクリップ掴み痕の残存するフィルム端部を、フィルム中心から左右対称に設置したシェア刃でスリットして除去し、巻取速度10m/分及び巻取張力100N/mで塩化ビニル樹脂製コアにロール状に巻取り、基材フィルム(B)を得た。
得られた基材フィルム(B)の幅は、両端部を除いて1000mmであり、平均厚みは38μmであった。
(基材フィルムの作製例4)
予熱ゾーン入口におけるフィルム搬送速度を12m/分とし、かつ巻取速度を18m/分とし、さらに延伸倍率を1.5倍としたこと以外は、基材フィルムの作製例1と同様にして、基材フィルム(C)を得た。
得られた基材フィルム(C)の幅は、両端部を除いて470mmであり、平均厚みは63μmであった。
(樹脂溶液の調製例1)
リオトロピック液晶性を有する芳香族ポリアミド樹脂(テレフタレート成分50モル%と、ジスルホニルベンジジン成分50モル%との重縮合物)をイオン交換水に加え、芳香族ポリアミド樹脂を10重量%で含む水溶液を得た。超音波攪拌装置を用いて、溶液を50℃に保温しながら、30分間攪拌し、水溶液である樹脂溶液(1)を得た。
(樹脂溶液の調製例2)
芳香族ポリアミド樹脂を、脂肪族ポリアミド樹脂であるポリ−ε−カプラミドのスルホン化物(リオトロピック液晶性を有さない)に変更したこと以外は、調製例1と同様にして水溶液である樹脂溶液(2)を得た。
(樹脂溶液の調製例3)
芳香族ポリアミド樹脂を、脂肪族ポリアミド樹脂であるポリヘキサメチレンアジパミドのスルホン化物(リオトロピック液晶性を有さない)に変更したこと以外は、調製例1と同様にして水溶液である樹脂溶液(3)を得た。
(樹脂溶液の調製例4)
芳香族ポリアミド樹脂を、芳香族ポリエステル樹脂であるポリブチレンイソフタレートのスルホン化物(リオトロピック液晶性を有さない)に変更したこと以外は、調製例1と同様にして水溶液である樹脂溶液(4)を得た。
(実施例1)
作製例2で得られた基材フィルム(A)を、連続的に20m/分の一定速度でロール搬送により巻出しながら、2kW/mの出力でコロナ処理した。その後、吐出量150g/分に流量調整したスロットダイコーターを用いて、基材フィルムの表面上に、上記樹脂溶液(1)を20℃で塗工し、塗膜を形成した。その後、塗膜が形成された基材フィルムを直ちに、加熱炉へ導入して、温度50℃及び風圧0.5Mpaの圧搾熱風で20秒間、塗膜の表面を乾燥処理した。室温まで冷却した後、巻取張力100N/mで巻取用コアにロール状に巻取り、光学補償積層フィルムを得た。
(実施例2〜3)
基材フィルムの種類を、下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学補償積層フィルムを得た。
(比較例1〜3)
基材フィルム上に塗工した樹脂溶液の種類を、下記の表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学補償積層フィルムを得た。
(比較例4)
基材フィルム(A)を作製例1で得られた無配向フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして光学補償積層フィルムを得た。
(評価)
光学補償積層フィルムの正面レターデーション値R0の測定方法、光学補償積層フィルムの熱風処理方法及び加熱経時変化率の評価方法は以下の通りである。
[光学補償積層フィルムの正面レターデーション値R0の測定方法]
フィルム幅方向を基準軸とし、その基準軸に対して長手方向50mm、幅方向は全幅で帯状フィルム片を採取した。光学測定装置(大塚電子社製、RETS−1200RF)を用いて、波長550nmにおける位相差をフィルム片の幅方向に25mm間隔で測定しR0(550)を測定した。更にR0(550)測定値の総平均を算出し、フィルムの正面レターデーション値R0とした。測定は回転検光子法による方法で行った。
[光学補償積層フィルムの波長分散比R0(450)/R0(550)の評価方法]
測定波長を450nmに変更したこと以外は、上記R0(550)の測定方法と同様にして、R0(450)を測定した。得られた結果から、上記比(R0(450)/R0(550))を波長分散比として算出した。
[光学補償積層フィルムの熱風処理方法及び加熱経時変化率評価方法]
光学補償積層フィルムを40mm×40mmの正方形に切り出し、上記の手順で上記R0(550)を測定し、測定値をR0(550)[0]とした。
次に、フィルム片を無塵紙で、実質的に無負荷で軽く挟み、80℃に保温した乾燥熱風式オーブン内に1000時間放置し、フィルムを加熱処理した。加熱処理後に上記と同様にしてフィルム片の正面レターデーション値を測定し、測定値をR0(550)[1000]とした。正面レターデーションR0(550)の変化率を、上述した式(4)により算出した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2012042886
1…光学補償積層フィルム
2…基材フィルム
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…光学異方層

Claims (8)

  1. 基材フィルムと、
    前記基材フィルムの少なくとも一方の表面に積層された光学異方層とを備え、
    前記基材フィルムが、正の屈折率異方性を有する高分子成分により形成されており、かつ少なくとも一方向に延伸されており、
    前記光学異方層が、負の屈折率異方性を有し、かつリオトロピック液晶性を有する水溶性樹脂を含む水溶液又は水分散液により形成されている、光学補償積層フィルム。
  2. 前記水溶性樹脂が、スルホン酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂である、請求項1に記載の光学補償積層フィルム。
  3. 下記式(1)で定義される正面レターデーションR0の、測定波長450nmにおける値をR0(450)、測定波長550nmにおける値をR0(550)としたときに、R0(450)のR0(550)に対する比(R0(450)/R0(550))が1未満であり、かつR0(550)が50nm以上である、請求項1又は2に記載の光学補償積層フィルム。
    R0(nm)=|nx−ny|×d ・・・式(1)
    nx:光学補償積層フィルムの面内の最大屈折率
    ny:光学補償積層フィルムの面内のnx方向と直交する方向の屈折率
    d:光学補償積層フィルムの平均厚み(nm)
  4. 80℃の熱風で1000時間処理した後の前記R0(550)の変化率が、熱風処理前の初期値に対して−5〜+5%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償積層フィルムと、
    前記光学補償積層フィルムの一方の表面に積層された偏光板とを備える、複合偏光板。
  6. 液晶セルを構成している一対の基板と、
    前記一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された請求項5に記載の複合偏光板とを備える、液晶表示装置。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償積層フィルムと、
    前記光学補償積層フィルムの一方の表面に積層された接着剤層と、
    前記接着剤層の前記光学補償積層フィルムが積層された表面とは反対側の表面に積層された偏光子とを備える、偏光板。
  8. 液晶セルを構成している一対の基板と、
    前記一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された請求項7に記載の偏光板とを備える、液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015129706A1 (ja) * 2014-02-26 2015-09-03 富士フイルム株式会社 偏光板および画像表示装置
KR20180057586A (ko) * 2018-05-11 2018-05-30 동우 화인켐 주식회사 편광판 및 이를 포함하는 화상 표시 장치
WO2020121641A1 (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 Jsr株式会社 組成物及びその利用

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