JP2012041476A - エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル - Google Patents

エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル Download PDF

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性を高めることのできるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを提供する。
【解決手段】シェルによってコア剤が内包されたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルであって、前記シェルは、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有し、前記コア剤は、疎水性イミダゾール化合物であるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性を高めることのできるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルに関する。
エポキシ樹脂は、接着剤、シール剤、コーティング剤等の様々な用途に用いられている。一般に、エポキシ樹脂には、硬化反応を進行させるための成分として硬化剤が、また、硬化性を向上させるための成分として硬化促進剤が添加される。特に、硬化剤又は硬化促進剤とエポキシ樹脂とを一液にするために、潜在性をもたせた硬化剤又は硬化促進剤が多用されている。
例えば、特許文献1に記載の異方導電性接着剤においては、平均粒径が0.1〜3μmであり、マイクロカプセル壁材膜の厚さが0.01〜0.3μmであるマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物が用いられている。
しかしながら、このようなマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物は、イミダゾール誘導体とエポキシ化合物とを途中段階まで反応させ、反応生成物を微粉砕して得られた粉体であり、イミダゾール誘導体とエポキシ化合物との接触界面が硬化しているにすぎない。そのため、このようなマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物をエポキシ樹脂用硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、時間の経過とともに硬化反応が進行しやすく、充分な貯蔵安定性が得られない。
そこで、硬化反応を途中段階まで進行させることでマイクロカプセル化するのではなく、硬化剤又は硬化促進剤と、シェルとなるポリマーとが溶解された溶液を用い、所定の方法によってポリマーを析出させることで、硬化剤又は硬化促進剤を内包するマイクロカプセルを製造する方法が検討されている。
例えば、特許文献2には、アミン化合物と、有機溶媒中に所定のポリマーからなる膜物質が溶解された疎水性溶液とを、混合して溶解し、これを乳化剤を溶解した水性媒体中に乳化分散させた後、加熱して上記有機溶媒を除去することにより、上記アミン化合物と膜物質とを相分離させて膜物質によってアミン化合物を被覆保護するマイクロカプセルの製法が記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、使用するアミン化合物及び膜物質の極性によっては、相分離が不充分となってコアシェル構造が形成されないことがある。また、特許文献2に記載の方法では、球形のマイクロカプセルを製造することが困難であり、マイクロカプセルのアスペクト比が大きくなる。アスペクト比の大きいマイクロカプセルをエポキシ樹脂用硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、例えば、貯蔵中に部分的に硬化剤又は硬化促進剤が滲み出してエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下したり、硬化が不均一となったりする等の問題が生じる。また、従来のマイクロカプセルは耐溶剤性が充分とはいえず、このような耐溶剤性の低さもエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する原因となっている。更に、従来のマイクロカプセルは、リフロー温度下ではシェルを構成するポリマーがボイドの原因となりやすく、硬化物にボイドが発生しやすいことも問題である。
特許第3981341号公報 特許第3411049号公報
本発明は、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性を高めることのできるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを提供することを目的とする。
本発明は、シェルによってコア剤が内包されたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルであって、前記シェルは、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有し、前記コア剤は、疎水性イミダゾール化合物であるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、シェルによってコア剤が内包されたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルであって、上記シェルが、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有し、上記コア剤が、疎水性イミダゾール化合物であるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性を高めることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは、シェルによってコア剤が内包されたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルであって、例えば、上記シェルを構成するポリマーと上記コア剤とを溶剤に溶解させて得られる混合溶液を、水性媒体中に乳化分散させた後、この水性媒体中で溶剤を除去し、上記シェルを構成するポリマーを析出させて、相分離によりコアシェル構造を形成することにより得られる。
ここで、本発明のエポキシ樹脂用マイクロカプセルにおいては、上記シェルが、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有し、上記コア剤が、疎水性イミダゾール化合物である。上記シェル、即ち上記シェルを構成するポリマーが、高極性の上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有する一方で、上記コア剤が疎水性であることにより、相分離によるコアシェル構造が形成されやすく、コア剤の保持性に優れたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを得ることができる。また、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は各種溶剤に可溶であり、上述のような相分離によるコアシェル構造の形成に適しているため、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を用いることにより、上述のような相分離によるコアシェル構造の形成によって、アスペクト比の小さい小粒子径のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを得ることができる。
なお、コア剤の保持性に優れ、アスペクト比が小さく、小粒子径であるマイクロカプセルをエポキシ樹脂用硬化剤又は硬化促進剤として用いることにより、貯蔵中に部分的に上記コア剤が滲み出してエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下したり、硬化が不均一となったりする等の問題を軽減することができ、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは、硬化剤又は硬化促進剤として好適に用いられる。
また、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルにおいては、上記シェルが上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有することにより、上記シェルの軟化点を後述する範囲に調整しやすい。そのため、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、室温からある程度の温度まで上記シェルは軟化せず安定であり、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する一方で、エポキシ樹脂組成物の硬化開始温度付近では、上記シェルが軟化して上記コア剤が放出され、放出されたコア剤は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応に寄与することができる。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は分解温度が高いため、上記シェルが上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有することにより、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは高温下でも分解しにくい。そのため、従来のマイクロカプセルのシェルを構成するポリマーはリフロー温度下ではボイドの原因となりやすかったのに対し、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを半導体接合用接着剤の硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、リフロー温度下でも硬化物におけるボイドの発生を抑制することができる。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は水酸基を有するため、シロキサン骨格を有するシリコーン樹脂等の後述する無機ポリマーと反応することもでき、これにより、上記シェルは無機骨格を有することができる。上記シェルが無機骨格を有することで、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは耐溶剤性が向上し、溶剤と混合する場合であっても硬化剤又は硬化促進剤として好適に用いられる。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、水酸基の含有量の好ましい下限が15モル%、好ましい上限が35モル%である。上記水酸基の含有量が15モル%未満であると、上記シェルは、後述する無機ポリマーを充分に取り込めないことがある。上記水酸基の含有量が35モル%を超えると、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の水への溶解度が高くなり、コアシェル構造を有するエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを製造することができないことがある。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、水酸基の含有量のより好ましい下限が20モル%、より好ましい上限が30モル%である。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は特に限定されないが、通常、ポリ酢酸ビニルのけん化反応により得られたポリビニルアルコールを、アルデヒドでアセタール化することにより得られる。
上記アセタール化に使用するアルデヒドとして、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。なかでも、ブチルアルデヒドが好ましい。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されないが、好ましい下限が50モル%、好ましい上限が85モル%である。上記アセタール化度が50モル%未満であると、水酸基の含有量が多くなり、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の水への溶解度が高くなって、コアシェル構造を有するエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを製造することができないことがある。上記アセタール化度が85モル%を超えると、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の極性が低下し、相分離によるコアシェル構造が形成されにくくなることがある。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度のより好ましい下限が60モル%、より好ましい上限が75モル%である。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、原料であるポリ酢酸ビニルのアセチル基に由来するアセチル基を有していてもよい。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基の含有量の好ましい上限が7モル%である。上記アセチル基の含有量が7モル%を超えると、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の親水性が高くなって、コアシェル構造を有するエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを製造することができないことがあり、また、上記シェルの軟化点が低下し、エポキシ樹脂組成物の硬化開始温度以下で上記シェルが軟化して上記コア剤が放出されるため、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下することがある。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基の含有量のより好ましい上限が5モル%である。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限が5000、好ましい上限が50万である。上記重量平均分子量が5000未満であると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの耐熱性が低下して、このようなエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、エポキシ樹脂組成物の硬化開始温度以下で硬化が始まってしまうことがある。また、上記重合平均分子量が5000未満であると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの耐溶剤性が低下して、このようなエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として溶剤と混合して用いる場合には、上記シェルが溶解してエポキシ樹脂組成物の長期の貯蔵安定性が低下することがある。上記重量平均分子量が50万を超えると、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の析出速度が速すぎて、コアシェル構造が形成されにくくなることがあり、また、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのアスペクト比が大きくなることがある。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、より好ましい下限が3万、より好ましい上限が30万である。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルにおいては、上述のような上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有量、アセタール化度、アセチル基の含有量、重量平均分子量等を調整することにより、目的に合わせて上記シェルの物性を調整することができる。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の市販品として、例えば、BL−10(積水化学工業社製)、BL−2H(積水化学工業社製)、BM−S(積水化学工業社製)、BH−3(積水化学工業社製)、♯−3000K(電気化学工業社製)、MOWITAL B60T(クラレ社製)等が挙げられる。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂のマイクロカプセルにおける組成比は特に限定さないが、上記シェル中の好ましい下限が20重量%、好ましい上限が60重量%である。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の組成比が20重量%未満であると、上記シェルの物性を調整することが困難となって、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合に、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性が低下したり、コアシェル構造を有するエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを製造することができなかったりすることがある。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の組成比が60重量%を超えると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのシェル厚みが増大し、温度によっては、加熱しても上記コア剤が放出されず、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下することがある。上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の組成比は、上記シェル中のより好ましい下限が30重量%、より好ましい上限が50重量%である。
上記シェルは、更に、無機ポリマーを含有してもよい。
上記シェルが上記無機ポリマーを含有することで、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは耐溶剤性が向上し、溶剤と混合する場合であっても硬化剤又は硬化促進剤として好適に用いられる。なお、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルにおいては、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂が上記無機ポリマーと反応することができ、これにより、上記シェルは無機骨格を有することができる。
上記無機ポリマーは特に限定されないが、分子中に2個以上の炭素数1〜6のアルコキシ基を有し、かつ、Si、Al、Zr及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する有機金属化合物の重合体が好ましい。このような有機金属化合物の重合体として、例えば、シリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂、ポリカルボシラン樹脂、ポリシラスチレン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリチタノカルボシラン樹脂等が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂が好ましい。
上記シェルの軟化点は特に限定されないが、好ましい下限が100℃、好ましい上限が150℃である。上記シェルの軟化点が100℃未満であると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合に、エポキシ樹脂組成物の硬化開始温度以下で上記シェルが軟化して上記コア剤が放出されるため、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下することがある。上記シェルの軟化点が150℃を超えると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合に、加熱しても上記コア剤が放出されず、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下することがある。
本明細書中、疎水性イミダゾール化合物とは、水に最大限溶解させたときの濃度が5重量%未満であるイミダゾール化合物を意味する。
上記疎水性イミダゾール化合物は、水に最大限溶解させたときの濃度が5重量%未満であれば特に限定されないが、炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物が好ましい。
上記炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物として、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。なかでも、2−ウンデシルイミダゾールが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルにおける上記コア剤の内包率は特に限定されないが、好ましい下限が20重量%、好ましい上限が50重量%である。上記コア剤の内包率が20重量%未満であると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのシェル厚みが増大し、温度によっては、加熱しても上記コア剤が放出されず、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下することがある。上記コア剤の内包率が50重量%を超えると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのシェル厚みが低下し、コア剤の保持性が低下することがある。本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルにおける上記コア剤の内包率のより好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は40重量%である。
なお、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルにおけるシェル厚みは特に限定されないが、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が1.0μmであり、より好ましい下限が0.1μm、より好ましい上限が0.5μmである。
更に、上記コア剤の内包率が上記範囲を外れると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを製造する際の上記シェルを構成するポリマーと上記コア剤との量の割合が大きく変化することから、コアシェル構造が形成されなかったり、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのアスペクト比が大きくなったりすることがある。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が0.5μm、好ましい上限が5.0μmである。上記平均粒子径が0.5μm未満であると、上記範囲の内包率を維持しようとすると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのシェル厚みが低下し、コア剤の保持性が低下することがある。上記平均粒子径が5.0μmを超えると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合に、加熱により上記コア剤が放出された後、大きなボイドが生じて硬化物の信頼性が低下することがある。本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの平均粒子径のより好ましい上限は3.0μmである。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのアスペクト比は特に限定されないが、好ましい上限が1.1である。アスペクト比が1.1を超えるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、貯蔵中に部分的に上記コア剤が滲み出してエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下したり、硬化が不均一となったりすることがある。本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルのアスペクト比のより好ましい上限は1.05である。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの粒子径のCV値は特に限定されないが、好ましい上限が50%である。上記粒子径のCV値が50%を超えると、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、貯蔵中に部分的に上記コア剤が滲み出してエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下したり、硬化が不均一となったりすることがある。上記粒子径のCV値のより好ましい上限は30%である。
なお、本明細書中、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの平均粒子径、アスペクト比及び粒子径のCV値は、以下のようにして求めた値を意味する。
エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個のマイクロカプセルが観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個のマイクロカプセルの最長径及び最短径を、ノギスを用いて測定する。最長径を粒子径とし、粒子径の数平均値を求め、これを平均粒子径とする。また、最短径に対する最長径の比(最長径/最短径)の数平均値を求め、これをアスペクト比とする。なお、アスペクト比は、1に近くなるほど真球状に近いことを意味する。
また、粒子径のCV値は、下記式(1)で表される。
CV値(%)=(粒子径の標準偏差σ/数平均粒子径Dn)×100 (1)
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルの製造方法として、例えば、上記シェルを構成するポリマーと上記コア剤とを、上記シェルを構成するポリマーと上記コア剤とを共に溶解することのできる溶剤に溶解させて、混合溶液を調製する工程と、上記混合溶液を水性媒体中に乳化分散させる工程と、上記水性媒体中で上記溶剤を除去する工程とを有する方法等が挙げられる。
上記混合溶液を調製する工程において、上記溶剤は、上記シェルを構成するポリマーと上記コア剤とを共に溶解することができれば特に限定されず、使用するポリマーとコア剤とに合わせて適宜選択されるが、例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンとイソプロピルアルコールとの混合溶剤、酢酸エチルとイソプロピルアルコールとの混合溶剤、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールとの混合溶剤等が挙げられる。
上記混合溶液を水性媒体中に乳化分散させる工程において、上記水性媒体は特に限定されず、例えば、水、又は、水とメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤との混合物等が挙げられる。上記水性媒体の添加量は特に限定されないが、上記混合溶液100重量部に対する好ましい下限が300重量部、好ましい上限が1000重量部である。
上記水性媒体は、必要に応じて、乳化剤を含有してもよい。
上記乳化剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
上記乳化分散させる方法は特に限定されず、例えば、上記混合溶液に上記水性媒体を滴下し、ホモジナイザーを用いて攪拌する方法、超音波照射により乳化する方法、マイクロチャネル又はSPG膜を通過させて乳化する方法、スプレーで噴霧する方法、転相乳化法等が挙げられる。
上記水性媒体中で上記溶剤を除去する工程において、上記溶剤を除去する方法は特に限定されず、例えば、加熱しながら減圧する方法、上記シェルを構成するポリマーの貧溶媒を添加する方法等が挙げられる。
上記水性媒体中で上記溶剤を除去する工程を行うことにより、上記シェルを構成するポリマーが析出して、相分離によりコアシェル構造が形成され、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液が得られる。
このとき、上述のように、上記シェル、即ち上記シェルを構成するポリマーが、高極性の上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有する一方で、上記コア剤が疎水性であることにより、相分離によるコアシェル構造が形成されやすく、コア剤の保持性に優れたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを得ることができる。また、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は各種溶剤に可溶であり、上述のような相分離によるコアシェル構造の形成に適しているため、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を用いることにより、上述のような相分離によるコアシェル構造の形成によって、アスペクト比の小さい小粒子径のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを得ることができる。
なお、得られたエポキシ樹脂用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂用マイクロカプセルは、純水を用いて繰り返して洗浄された後、真空乾燥等により乾燥されてもよい。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは、100〜200℃以上の温度に加熱されると上記シェルが溶解又は崩壊し、上記コア剤、即ち、上記疎水性イミダゾール化合物を放出することから、硬化剤又は硬化促進剤として好適に用いられる。
本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは、コア剤の保持性に優れ、アスペクト比が小さく、小粒子径であり、このようなエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として用いることで、貯蔵中に部分的に上記コア剤が滲み出してエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が低下したり、硬化が不均一となったりする等の問題を軽減することができる。また、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は分解温度が高いことから、本発明のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを半導体接合用接着剤の硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、リフロー温度下でも硬化物におけるボイドの発生を抑制することができる。
本発明によれば、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性を高めることのできるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(BL−10、積水化学工業社製)3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(実施例2)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(BH−2H、積水化学工業社製)3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(実施例3)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(BM−S、積水化学工業社製)3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(実施例4)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(BM−S、積水化学工業社製)3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ヘプタデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(実施例5)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(BH−3、積水化学工業社製)3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(実施例6)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(♯−3000K、電気化学工業社製)3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(比較例1)
熱可塑性ポリマーとしてポリスチレン3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(比較例2)
熱可塑性ポリマーとしてポリメタクリル酸メチル3重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去することにより、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液を得た。得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル分散液中のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
(比較例3)
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール(BM−S、積水化学工業社製)3重量部と、両親媒性イミダゾール化合物として2−メチルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)3重量部とを、酢酸エチルとイソプロピルアルコール(IPA)との混合溶剤(酢酸エチル:イソプロピルアルコール(IPA)=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液を250rpmの速度で攪拌しながら、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を250mL/hの速度で滴下して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で加熱しながら減圧して、溶剤を除去した。しかしながら、比較例3では凝集が生じ、目的とするエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルは得られなかった。
(評価)
実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルについて以下の評価を行った。結果を表1、2及び3に示す。
(1)シェルの軟化点の測定
高化式フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用い、荷重20kg/cm、オリフィス1mmφ×1mm、予備温度60℃、予備時間5分、チャート速度20mm/分、プランジャー1.0cm、昇温速度6±0.5℃/minの条件下で、目開き1.19mmのJIS標準篩を通過する1.0gのエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを溶融流出させ、樹脂の流出開始時におけるプランジャー降下量と、樹脂の流出停止時におけるプランジャー降下量との中間のプランジャー降下量を与えるときの温度を測定することにより、シェルの軟化点を求めた。
(2)貯蔵安定性
エポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部及び酸無水物硬化剤(YH309、jER社製)0.29重量部中に、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを0.13重量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を50μmの厚さに塗布して樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを40℃で3日間放置した後、酢酸エチル中で24時間以上浸漬、振とうさせた。浸漬後の樹脂フィルムを取り出し、酢酸エチル浸漬前後の樹脂フィルムの重量を測定することで、ゲル分率測定を行った。
なお、ゲル分率は、下記式(2)により算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W−W)/(W−W) (2)
式(2)中、Wは樹脂フィルムの基材の重量を表し、Wは酢酸エチルに浸漬する前の樹脂フィルムの重量を表し、Wは酢酸エチルに浸漬し乾燥した後の樹脂フィルムの重量を表す。
(3)硬化性
エポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部及び酸無水物硬化剤(YH309、jER社製)0.29重量部中に、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを0.13量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を100μmの厚さに塗布して樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを170℃で3分間硬化した後、酢酸エチル中で24時間以上浸漬、振とうさせた。浸漬後の樹脂フィルムを取り出し、酢酸エチル浸漬前後の樹脂フィルムの重量を測定することで、ゲル分率測定を行った。なお、ゲル分率は、上記式(2)により算出した。
(4)ボイドの発生
エポキシ樹脂(YL980、jER社製)0.58重量部及び酸無水物硬化剤(YH309、jER社製)0.29重量部中に、エポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを0.13量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を100μmの厚さに塗布して樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを170℃で15分間硬化した後、260℃の温度条件下に10秒間曝し、得られた硬化物の断面切片をマイクロトームで切り出した。得られた切片を走査型電子顕微鏡により1000倍で10視野観察し、直径20μm以下のボイドが1個以下の場合を○、2個以上の場合を×と評価した。
Figure 2012041476
Figure 2012041476
Figure 2012041476
本発明によれば、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性を高めることのできるエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルを提供することができる。

Claims (4)

  1. シェルによってコア剤が内包されたエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセルであって、
    前記シェルは、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を含有し、
    前記コア剤は、疎水性イミダゾール化合物である
    ことを特徴とするエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル。
  2. 水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、水酸基の含有量が15〜35モル%であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル。
  3. シェルの軟化点が100〜150℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル。
  4. 疎水性イミダゾール化合物は、炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のエポキシ樹脂硬化用マイクロカプセル。
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