JP2012040510A - ハードコート層形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードコート層の平滑性を向上させながら、バリの発生を抑制する。
【解決手段】 ワーク表面2Sに、光硬化性樹脂組成物からなる塗剤を塗布するステップK1と、塗膜表面4Sにフィルム5を押し付けてフィルム張合せ体6を形成するステップK2と、フィルム張合せ体6に、高酸素濃度雰囲気Y中でピーク強度の低い第1の紫外線を照射して塗膜4を半硬化させるステップK3と、フィルム張合せ体6からフィルム5を剥がして取り外すステップK4と、ピーク強度の高い第2の紫外線を照射して塗膜4を本硬化させるステップK5とを具える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック製のワークの表面に光硬化性樹脂組成物からなるハードコート層を形成するハードコート層形成方法に関する。
例えば、携帯電話機、カメラ、携帯ゲーム機器、電子辞書などにおける液晶画面の表示窓には、前記液晶画面を覆って保護するために、アクリル、ポリカーボネート等に代表される透明プラスチック製の保護パネルが取り付けられている。このようなプラスチック材料は、ガラスに比べて耐衝撃性、軽量性、加工性に優れている反面、硬度が低く耐擦傷性に劣るため、スクラッチ傷や擦り傷などが生じやすいという問題がある。従って、前記保護パネルの表面には、硬質のハードコート層が形成されている。
他方、前記ハードコート層の形成方法としては、前記保護パネルであるワークの表面に、光硬化性樹脂組成物からなる塗剤を塗布して塗膜を形成し、これに紫外線を照射して硬化させる紫外線硬化法が広く用いられている。
しかし前記塗膜を、塗布された状態のまま硬化する従来法の場合、塗布面のうねりや微細な凹凸がそのままハードコート層に現れるため平滑性が低くなり、保護パネルの品質低下を招く。又紫外線照射によって硬化するまでの間に、塗布面に異物が付着して、歩留まりを低下させるという問題もある。
このような状況に鑑み、本発明者は、塗布された塗膜表面にフィルムを押し付け、塗膜表面とフィルムとを密着させたフィルム張合せ体をいったん形成するとともに、このフィルム張合せ体に紫外線を照射して前記塗膜を硬化させてハードコート層とし、しかる後前記フィルムを剥がして取り外すことを提案した。
この提案の方法によれば、塗布面のうねりや微細な凹凸を、フィルムの押し付けによって平らに整形することができ、ハードコート層の平滑性を高めることが可能となる。しかも、前記塗膜がフィルムに被覆されるため、硬化前に異物が付着して不良品を発生させるという問題も防止することが可能となる。
しかしながら図7(A)に示すように、塗膜aの表面にフィルムbを押し付けて密着させる際、図7(B)のように、塗膜aの一部が保護パネルcの表面とフィルムbとの間から押し出されてはみ出すはみ出し部a1が必然的に形成される。このはみ出し部a1は、硬化後は、バリとなってハードコート層に残存し、外観品質の低下、製品組み立て時の怪我の発生、製品組み立て時の他部品との嵌合不良などを誘発させるという新たな問題が発生する。
なお下記の特許文献1には、光硬化性樹脂組成物を半硬化と本硬化との2段階に分けて硬化することが記載されている。
特開2009−73901号公報
本発明は、フィルム張合せ体を、高酸素濃度雰囲気中でピーク強度の低い第1の紫外線を照射して塗膜を半硬化させた後、フィルムを剥がして取り外し、しかる後ピーク強度の高い第2の紫外線を照射して塗膜を本硬化させることを基本として、フィルムを半硬化の塗膜から剥がす際、前記はみ出し部をフィルムに付着させた状態のままで一緒に取り外すことができ、ハードコート層の平滑性を向上させながら、バリの発生を抑制しうるハードコート層形成方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、プラスチック製のワークの表面に光硬化性樹脂組成物からなるハードコート層を形成するハードコート層形成方法であって、
ワークの表面に、光硬化性樹脂組成物からなる塗剤を塗布して塗膜を形成する塗膜形成ステップと、
硬化前の前記塗膜の表面にフィルムを押し付けて密着させることにより、この塗膜の表面が平滑化されたフィルム張合せ体を形成する張合せ体形成ステップと、
前記フィルム張合せ体に、少なくとも空気よりも酸素濃度が高い高酸素濃度雰囲気中で、ピーク強度の低い第1の紫外線を照射し、前記塗膜を半硬化させる第1の紫外線照射ステップと、
前記第1の紫外線を照射したフィルム張合せ体から、前記フィルムを剥がして取り外すフィルム取外しステップと、
前記フィルムが取り外された塗膜付きのワークに、前記第1の紫外線よりもピーク強度の高い第2の紫外線を照射し、前記塗膜を本硬化させてハードコート層とする第2の紫外線照射ステップとを具えることを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記第1の紫外線照射ステップは、前記第1の紫外線のピーク強度を120mW/cm以下、かつ積算光量を50〜70mJ/cmとしたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記第2の紫外線照射ステップは、前記第2の紫外線のピーク強度を160mW/cm以上、かつ積算光量を140〜800mJ/cmとしたことを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記高酸素濃度雰囲気は、酸素濃度が90%以上であることを特徴としている。
又請求項5の発明では、前記フィルムは、厚さ50μm以上であることを特徴としている。
本発明は、硬化前の塗膜の表面にフィルムを押し付け、塗膜表面とフィルムとを密着させたフィルム張合せ体を形成する張合せ体形成ステップを具える。これにより、塗布面のうねりや微細な凹凸を、前記フィルムの押し付けによって平らに整形することができ、ハードコート層の平滑性を向上しうる。又塗膜がフィルムに被覆保護されるため、硬化前に異物が塗膜に付着して不良品となるのを予防しうる。
このとき、前記フィルム張合せ体には、塗膜の一部がワーク表面とフィルムとの間からはみ出すはみ出し部が必然的に形成される。
しかし本発明では、前記フィルム張合せ体に、高酸素濃度雰囲気中で、ピーク強度の低い第1の紫外線を照射し、前記塗膜を半硬化させる第1の紫外線照射ステップを具えている。ここで、酸素には光硬化性樹脂組成物の硬化を阻害する効果がある。そのため、高酸素濃度雰囲気中で第1の紫外線を照射することで、高酸素濃度雰囲気中の酸素と接触する前記はみ出し部は、ワーク表面とフィルムとの間に留まる塗膜主部に比してその硬化が遅れ、より軟質のものとなる。そのため、第1の紫外線照射ステップ後に前記フィルムを剥がす時、軟質のはみ出し部が塗膜主部から剥がれて、フィルムに付着した状態のままで該フィルムと一緒に取り外すことができる。又この段階でフィルムを取り外しても、塗膜主部が半硬化状態をなしているため平滑性が維持されるとともに、異物の付着混入もしないため不良品の発生を予防しうる。
本発明のハードコート層形成方法を実施するために用いるハードコート層形成装置の概念図である。 ハードコート層形成方法を示すフローチャートである。 (A)〜(D)は、塗膜形成ステップ、張合せ体形成ステップ、第1の紫外線照射ステップ、フィルム取外しステップを示す概念図である。 張合せ体形成ステップを示す拡大断面図である。 (A)、(B)はフィルム取外しステップにおけるはみ出し部の除去の状態を示す断面図である。 紫外線照射の他の例を示す断面図である。 (A)、(B)は保護パネルとフィルムとを張り合わす際のはみ出し部の発生を説明する断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明のハードコート層形成方法を実施するために用いるハードコート層形成装置の概念図、又図2はハードコート層形成方法を示すフローチャートである。
図1、2に示すように、本発明のハードコート層形成方法は、塗膜形成ステップK1と、張合せ体形成ステップK2と、第1の紫外線照射ステップK3と、フィルム取外しステップK4と、第2の紫外線照射ステップK5とを具え、プラスチック製のワーク2の表面2Sに、光硬化性樹脂組成物からなるハードコート層3を形成する。
本例では、前記ワーク2は、例えば、携帯電話機、カメラ、携帯ゲーム機器、電子辞書などにおける液晶画面の表示窓に配される透明板状の保護パネルであって、例えばアクリル系、ポリカーボネート系、メタクリル系、ビニル系、ウレタン系およびアリル系に代表される透明なプラスチック材料によって形成される。しかしワーク2としては、これに限定されることなく前記保護パネル以外の種々のものが適用でき、又そのプラスチック材料もワーク2の要求特性に応じて自在に選択することができる。
前記塗膜形成ステップK1では、図3(A) に拡大するように、ワーク2の表面2S(ワーク表面2Sという場合がある。)に、光硬化性樹脂組成物からなる塗剤を塗布して塗膜4を形成する。本例では、ワーク表面2Sの全面に亘って塗膜4が形成される。塗剤の塗布方法としては、特に規制がなく、例えばシルク印刷、コータ印刷、パッド印刷等の印刷法、及びスプレー塗装、刷毛塗り塗装等の塗装法などの周知の方法が適宜採用しうる。しかし、必要な箇所に必要な厚みで塗布するために、印刷法、とりわけシルク印刷が好適に採用しうる。
前記光硬化性樹脂組成物は、周知の如く、光硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含み、紫外線を照射することにより、光重合開始剤の働きによってラジカル重合反応を起こして、硬化しうる。前記光硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、ポリエーテル、アクリレート、ウレタン系ポリエスアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの既存のラジカル重合型のものが採用しうる。又光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、メチルフェニルグリオキシエステル類等の既存のものが採用しうる。
次に、前記張合せ体形成ステップK2では、図3(B) に拡大するように、硬化前の前記塗膜4の表面4S(塗膜表面4S)にフィルム5を押し付け、前記塗膜表面4Sとフィルム5とを密着させたフィルム張合せ体6を形成する。これにより、前記塗膜形成ステップK1において生じる塗膜表面4Sのうねりや微細な凹凸を、前記フィルム5の押し付けによって平らに整形することができ、ハードコート層3の平滑性を向上させることができる。しかも、塗膜4が前記フィルム5に被覆保護されるため、硬化前に異物が塗膜4に付着して不良品となるのを予防することもできる。
前記フィルム5は、本例では、図1、4に示すように、例えばロール状体(図示しない)から巻き戻されて長さ方向に連続して搬送される長尺帯状をなし、この1本の長尺帯状のフィルム5の一面(本例では上面)に、複数のワーク2が順次張り付けられて、該フィルム5と一体に搬送される。なお図1、4の符号7は、フィルム5にワーク2を張り付ける張付け手段であって、本例では、フィルム5を搬送する下のローラ7Lと、この下のローラ7Lに対向して配されかつフィルム5にワーク2を押し付ける上のローラ7Uとを具える。そしてこのローラ7U、7L間に、本例では前記塗膜4を下向きとしてワーク2を順次投入することにより、複数のフィルム張合せ体6を互いに連ならせて形成できる。なおフィルム5は、前記下のローラ7Lに巻き付いて湾曲する湾曲部分5Aを有するため、この湾曲部分5Aによって、塗膜表面4Sとの間の空気iを搬送方向後方側に押し出しながらフィルム5を塗膜表面4Sに密着しうる。このとき、ローラ7U、7L間の間隔を一定に保つことにより、前記塗膜4の厚さを均一化することもできる。
なおフィルム5は、薄過ぎると、塗剤が硬化する際の収縮力に負けてフィルム5自体にシワが発生しやすくなり、塗膜表面4Sが平滑にならない恐れを招く。従って、前記フィルム5の厚さの下限は、50μm以上、さらには75μm以上が好ましい。逆にフィルム5が厚すぎると取り扱い性に劣り、又前記湾曲部分5Aの曲率半径を大きくせざるを得なくなり、塗膜表面4Sとの間の排気が不確実化するなどの問題も発生する。従ってフィルム5の厚さの上限は、188μm以下、さらには125μm以下が好ましい。又フィルム5の材質としては、表面が平滑なもの、例えば表面粗さが1.0μm程度以下のものであれば、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、(メタ)アクリル、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレンなどの種々のものが使用できる。しかし、本例の如く紫外線をフィルム側から照射する場合には、透明度の高いものが必要であり、特に寸法安定性と透明性とに優れるポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム5が好適に採用しうる。
又、前記張合せ体形成ステップK2では、塗膜表面4Sにフィルム5を押し付ける際、前記図4に誇張して示す如く、塗膜4の一部がワーク表面2Sとフィルム5との間から押し出されてはみ出すはみ出し部分4Aが必然的に形成される。このはみ出し部分4Aは、そのまま硬化した場合には、バリとなってハードコート層3に残存し、外観品質の低下、製品組み立て時の怪我の発生、製品組み立て時の他部品との嵌合不良などを誘発させる。
そこで本発明では、下記の第1の紫外線照射ステップK3を行い、前記はみ出し部分4Aを本硬化に先駆けて除去している。即ち、第1の紫外線照射ステップK3は、前記フィルム張合せ体6に、少なくとも空気よりも酸素濃度が高い高酸素濃度雰囲気Y中で、ピーク強度の低い第1の紫外線を照射し、前記塗膜4を半硬化させている。
図1中の符号10は、フィルム張合せ体6を、高酸素濃度雰囲気Y中に収容するケースであって、搬送方向の前後に、前記フィルム張合せ体6が通る小さな通過口10A、10Bを開口させた容器状をなし、その内部に酸素を供給している。又符号11は第1の紫外線を照射する第1の照射ランプであって、第1の紫外線を、前記フィルム5を介して前記塗膜4に略直角に照射している。具体的には、前記ケース10の下面に透明な窓板12を設け、第1の紫外線を前記窓板12とフィルム5とを順次透過させて前記ケース10の外側(本例では、下方側)から照射している。なお本例では、2本の第1の照射ランプ11を用い、この第1の照射ランプ11を塗膜表面4Sからは、30〜60mm離れた位置に設置している。
この第1の紫外線照射ステップK3では、例えばLEDランプなどの低出力の第1の照射ランプ11を用い、ピーク強度が120mW/cm以下の低出力の第1の紫外線を、積算光量50〜70mJ/cmの範囲で前記塗膜4に照射し、これによって前記塗膜4を半硬化させるのが好ましい。なお前記「半硬化」とは、JISK5600−5−4「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して、ワーク2上にて測定した塗膜4の硬度評価が、鉛筆硬度B〜HBに相当する状態を意味する。
前記第1の紫外線のピーク強度が120mW/cmを越えると、紫外線が強すぎ、塗膜4を半硬化状態にコントロールするのが難しくなる。又前記積算光量が50mJ/cmを下回ると、塗膜4の硬化が不充分となって硬度Bに達するのが難しくなる。逆に積算光量が70mJ/cmを上回ると、塗膜4が硬化し過ぎとなり硬度HBを越える傾向となる。なお前記塗膜4の硬度がBを下回る(柔らかい)と、フィルム5を剥がすとき、塗膜4の一部がフィルム5に粘着して一緒に剥がれてしまうなど塗膜4を損傷させるという問題が生じる。逆に、塗膜4の硬度がHBを上回る(硬い)と、高酸素濃度雰囲気Y中にて第1の紫外線照射ステップK3を行った場合にも、前記はみ出し部分4Aの除去が難しくなる。
ここで、ラジカル重合型の光硬化性樹脂組成物の場合、高酸素濃度雰囲気Y中においては、その酸素分子が、発生したラジカルと反応してしまい、ラジカル重合反応が抑制されるという特性を有する。従って本発明では、この特性を活かし、高酸素濃度雰囲気Y中で第1の紫外線照射ステップK3を行っている。その結果、高酸素濃度雰囲気Y中に露出している前記はみ出し部分4Aでは、高酸素濃度雰囲気Y中の酸素によってラジカル重合反応が抑制される。即ち、はみ出し部分4Aの硬化を、前記ワーク表面2Sとフィルム5との間の塗膜主部4Bの硬化に比して遅らせることができる。このような硬化の遅れをより大きく起こすために、前記高酸素濃度雰囲気Y中の酸素濃度(体積比)は、50%以上、さらには70%以上、さらには90%以上とより高濃度とするのが好ましい。
次に、前記フィルム取外しステップK4では、第1の紫外線を照射したフィルム張合せ体6から、前記フィルム5を剥がして取り外す。
このとき、前記はみ出し部分4Aの硬化の遅れによって前記塗膜主部4Bとの間に硬度差が発生しているため、図5(A)、(B)に誇張して示すように、前記フィルム5を剥がす時、軟質であるはみ出し部分4Aは、前記塗膜主部4Bから分離し、フィルム5に粘着した状態にて該フィルム5と一緒に取り外される。
次に、前記第2の紫外線照射ステップK5では、図1の如く、フィルム5が取り外された塗膜付きのワーク2に、前記第1の紫外線よりもピーク強度の高い第2の紫外線を照射し、前記塗膜主部4Bを本硬化させてハードコート層3とする。
具体的には、第2の紫外線照射ステップK5では、例えばメタルハライドランプなどの高出力の第2の照射ランプを用い、ピーク強度が160mW/cm以上の高出力の第2の紫外線を、積算光量140〜800mJ/cmの範囲で前記塗膜4に照射することで、該塗膜4を本硬化させている。なお前記「本硬化」とは、JISK5600−5−4「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して、ワーク2上で測定した塗膜4の硬度評価が、鉛筆硬度F以上であって、所望のハードコート層3の硬度の状態を意味する。
前記第2の紫外線のピーク強度が160mW/cm未満では、本硬化に時間を要し生産性の低下を招く。又積算光量が140mJ/cm未満では、塗膜4を本硬化させるのが難しく、800mJ/cmを越えると照射が過剰であって、エネルギーコストが無駄であり、又生産性の低下を招く。
なお図1中の符号20は、塗膜付きのワーク2を、その塗膜表面4Sを上向きとして搬送する搬送コンベヤであり、符号21は、搬送される塗膜付きのワーク2に、前記第2の紫外線を塗膜4と略直角に照射する第2の照射ランプである。なお本例では、第2の照射ランプ21を塗膜表面4Sから150〜200mm離れた位置に設置している。
なお本例では、第1、第2の紫外線照射ステップK3、K5において、第1、第2の紫外線を、塗膜4の正面側から照射する場合を例示している。しかし、前記ワーク2が透明プラスチックで形成される場合には、図6に例示するように、第1、第2の紫外線を、ワーク2の背後側から該ワーク2を透過するように照射しても良い。又フィルム5としても、本例では、長手方向に連続する長尺帯状のものを使用し、この1本のフィルム5に複数のワーク2を順次張り合わせることで連続したフィルム張合せ体6を形成しているが、各ワーク2にフィルム5を一枚づつ張り合わせることもできる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するため、表1の仕様に基づいて、携帯電話機の保護パネル(ワーク)の表面に光硬化性樹脂組成物からなるハードコート層を形成し、そのときのハードコート層表面の表面粗さ、及びバリの発生状況、テープ剥離性についてテストした。表1に記載以外は、実質的に同仕様である。
比較のため、従来例として、フィルムを使用しないで、塗膜を塗布した状態のまま紫外線照射によって本硬化した場合(張合せ体形成ステップ、第1の紫外線照射ステップ、及びフィルム取外しステップがない場合)、及び比較例1として、第1の紫外線照射ステップがなく、フィルム張合せ体のまま紫外線照射によって本硬化し、しかる後フィルム取外しステップを行った場合についても合わせてテストを行った。
共通使用は、以下のとうりである。
・保護パネル(ワーク)−−−ポリカーボネート樹脂製の透明な板体、
サイズ(縦100mm、横50mm、厚さ1.5mm)
・光硬化性樹脂組成物 −−−ウレタンアクリレート樹脂
・塗膜形成ステップ −−−シルク印刷(厚さ15〜20μm)
・フィルム −−−高平滑、高透明フィルム(PETフィルム)
・第1の照射ランプ −−−LEDランプ(CCS社製のLN-200UV365-FNTK)
・第2の照射ランプ −−−メタルハライドランプ(岩崎電気株式会社製のUE061-626-01CKQ:ランプM06-L61)
(1)表面粗さ:
ハードコート層表面の表面粗さを測定し、その結果を記載した。
(2)バリの発生状況:
第2の紫外線照射ステップ後、ハードコート層を検査し、高さ0.05mm以上のバリの発生率をサンプル140枚について測定した。
(3)テープ剥離性:
カッターナイフを用い、ハードコート層に、1.0mm間隔で該ハードコート層を貫通して素地(ワーク)に達する碁盤目状の切り傷をつける。そして碁盤目状の切り傷を付けたハードコート層上に、セロハン粘着テープを貼り付け、指で擦ってハードコート層にセロハン粘着テープを完全に密着させる。その後、セロハン粘着テープの一方の端を持ってハードコート層表面に対して直角に保ち、瞬間的に引き剥がす。
そして、1つのマス目の面積の1/5以上が剥がれたものを「剥がれた」とし、100個のマス目に対する、剥がれないで残ったマス目の数を測定し、テープ剥離性を下記のように定義した。
テープ剥離性=(剥がれないで残ったマス目の数)/100
テープ剥離性が100/100のものを合格、それ以外を不合格として評価した。
Figure 2012040510
表1のように、実施例は、フィルムを半硬化の塗膜から剥がす際、はみ出し部をフィルムに付着させた状態のままで一緒に取り外すことができ、ハードコート層の平滑性を向上させながら、バリの発生を抑制しうるのが確認できる。
2 ワーク
2S 表面
3 ハードコート層
4 塗膜
4S 表面
5 フィルム
6 フィルム張合せ体
K1 塗膜形成ステップ
K2 張合せ体形成ステップ
K3 第1の紫外線照射ステップ
K4 フィルム取外しステップ
K5 第2の紫外線照射ステップ
Y 高酸素濃度雰囲気

Claims (5)

  1. プラスチック製のワークの表面に光硬化性樹脂組成物からなるハードコート層を形成するハードコート層形成方法であって、
    ワークの表面に、光硬化性樹脂組成物からなる塗剤を塗布して塗膜を形成する塗膜形成ステップと、
    硬化前の前記塗膜の表面にフィルムを押し付けて密着させることにより、この塗膜の表面が平滑化されたフィルム張合せ体を形成する張合せ体形成ステップと、
    前記フィルム張合せ体に、少なくとも空気よりも酸素濃度が高い高酸素濃度雰囲気中で、ピーク強度の低い第1の紫外線を照射し、前記塗膜を半硬化させる第1の紫外線照射ステップと、
    前記第1の紫外線を照射したフィルム張合せ体から、前記フィルムを剥がして取り外すフィルム取外しステップと、
    前記フィルムが取り外された塗膜付きのワークに、前記第1の紫外線よりもピーク強度の高い第2の紫外線を照射し、前記塗膜を本硬化させてハードコート層とする第2の紫外線照射ステップとを具えることを特徴とするハードコート層形成方法。
  2. 前記第1の紫外線照射ステップは、前記第1の紫外線のピーク強度を120mW/cm以下、かつ積算光量を50〜70mJ/cmとしたことを特徴とする請求項1記載のハードコート層形成方法。
  3. 前記第2の紫外線照射ステップは、前記第2の紫外線のピーク強度を160mW/cm以上、かつ積算光量を140〜800mJ/cmとしたことを特徴とする請求項1又は2記載のハードコート層形成方法。
  4. 前記高酸素濃度雰囲気は、酸素濃度が90%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のハードコート層形成方法。
  5. 前記フィルムは、厚さ50μm以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のハードコート層形成方法。
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