JP2020075433A - Bステージ塗膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Bステージ塗膜の製造方法を提供すること。更なる課題は、Bステージにおいては三次元成形性、及びウェブハンドリング性に優れ、Cステージにおいては表面硬度、及び耐擦傷性に優れる塗膜、該塗膜を含む成形体を提供すること。【解決手段】Bステージ塗膜の製造方法であって、(1)フィルム基材の面の上に、活性エネルギー線硬化性樹脂と光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程;及び、(2)上記ウェット塗膜に、活性エネルギー線を照射し、Bステージ状態にする工程;を含み、ここで上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記光重合開始剤の最大吸光度の1/2以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている;上記製造方法。【選択図】 図8

Description

本発明はBステージ塗膜の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明はBステージ塗膜、積層フィルム、三次元成形体、及びこれらの製造方法に関する。
従来から、家電製品や情報電子機器の筐体等、及び自動車のインスツルメントパネル等の成形体には、表面硬度、及び耐擦傷性などの機能を付与するために、上記成形体の基体の表面の上に、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、イソシアネート系樹脂、及びウレタン系樹脂などの硬化性樹脂塗料を塗工し、硬化塗膜を形成することが、しばしば行われている。
上記硬化塗膜を形成する方法としては、先ず上記基体を成形し、得られた該基体の表面の上に、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法を使用して、上記硬化性樹脂塗料を塗布し、硬化する方法が広く採用されている。一方、上記方法には、特に上記基体が三次元形状/立体的形状(例えば、全体として湾曲する形状、表面に凹凸を有する形状など)を有している場合には、上記基体の表面の上に上記硬化性樹脂塗料を均一な厚みになるように塗布することが難しい;塗付後硬化前に上記硬化性樹脂塗料が流れ、硬化塗膜の厚みムラ/外観不良が生じ易い;及び、基体1個毎に塗料の塗布を行うため生産性が不十分;などの問題がある。
そこで、熱可塑性樹脂フィルムの表面の上に、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、及びダイコートなどのロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布してB‐ステージ塗膜を形成し、得られた積層フィルムを熱プレス成形などの方法により所定形状に賦形した後、上記B‐ステージ塗膜を完全硬化する方法;上記積層フィルムを射出成形の成形型内にインサートし、上記積層フィルムを加熱軟化させて所定形状に賦形し、所望の熱可塑性樹脂を上記成形型内に射出した後、上記B‐ステージ塗膜を完全硬化する方法;などが提案されている(例えば、特許文献1、2)。しかし、これらの技術では、B‐ステージ塗膜を工業的に安定して製造すること、特にウェット塗膜をBステージ状態に硬化させることとウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留めることとのバランスを工業的に安定して保つことが難しい。また塗膜がB‐ステージのときの三次元成形性(三次元形状を賦与したときの割れや白化などの不良現象の起こり難さ)、ウェブハンドリング性(ウェブハンドリングの際に、塗膜が移送ロールなどに接触することによる、傷や外観不良の生じ難さ)が不十分である。更に塗膜を完全硬化した後の表面硬度や耐擦傷性も十分に満足できるものではない。
特表2012‐521476号公報 特開2016‐221922号公報
本発明の課題は、Bステージ塗膜の製造方法を提供することにある。本発明の別の課題は、Bステージ塗膜を提供することにある。本発明の更なる課題は、三次元成形性(三次元形状を賦与したときの割れや白化などの不良現象の起こり難さ)、及びウェブハンドリング性(ウェブハンドリングの際に、塗膜が移送ロールなどに接触することによる、傷や外観不良の生じ難さ)に優れたBステージ塗膜、及びその製造方法を提供することにある。本発明の更なる別の課題は、Bステージにおいては三次元成形性、及びウェブハンドリング性に優れ、完全硬化後(Cステージにおいて)は表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性に優れる塗膜、該塗膜を有する積層フィルム、上記塗膜又は該積層フィルムを含む成形体、及びこれらの製造方法を提供することにある。
本発明者は鋭意研究した結果、特定の製造方法により、上記課題を達成できることを見出した。
上記課題を解決するための本発明の諸態様は、以下のとおりである
[1].
Bステージ塗膜の製造方法であって、
(1)フィルム基材の面の上に、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と(B)光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程;及び、
(2)上記ウェット塗膜に、活性エネルギー線を照射し、Bステージ状態にする工程;を含み、
ここで上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記光重合開始剤の最大吸光度の1/2以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている;上記製造方法。
[2].
上記活性エネルギー線が、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の1/10〜1/100の吸光度となる波長を含むように単色化されている;[1]に記載の製造方法。
[3].
上記フィルターが365フィルターであり;上記成分(B)光重合開始剤が、ピークトップ値が最大吸光度である吸光ピークを波長220〜280nmの範囲に有し;該吸光ピークのピークトップよりも長波長側で吸光度が最大吸光度の1/2となる波長が290nm以下であり;波長290〜400nmの範囲の何れの波長においても吸光度が最大吸光度の1/2以下である;[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4].
上記フィルターが365フィルターであり;上記成分(B)光重合開始剤が、波長300nmにおいて、最大吸光度の1/10〜1/100の吸光度を有する;[1]〜[3]の何れか1に記載の製造方法。
[5].
上記フィルターが365フィルターであり;上記成分(B)光重合開始剤が、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンからなる群から選択される1種以上である;[1]〜[4]の何れか1に記載の製造方法。
[6].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が(A1)ウレタン(メタ)アクリレートを含む;[1]〜[5]の何れか1に記載の製造方法。
[7].
上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートのゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した微分分子量分布曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000以上である;[1]〜[6]の何れか1に記載の製造方法。
[8].
上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリロイル基の数が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した微分分子量分布曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たり、2〜20個である;[1]〜[7]の何れか1に記載の製造方法。
[9].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレート;及び、(A2)多官能(メタ)アクリレート(但し、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートに該当するものを除く。)を含み、ここで上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの量が、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの量と上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートの量の和を100質量%として、20〜100質量%である;[1]〜[8]の何れか1に記載の製造方法。
[10].
上記Bステージ塗膜が下記特性(イ)、及び(ロ)を満たす[1]〜[9]の何れか1に記載の製造方法。
(イ)上記Bステージ塗膜の表面の、ISO14577−1に準拠し、表面微小硬度試験機、バーコビッチ型のダイヤモンド圧子を使用し、荷重増加速度1.0mN/20秒、最大荷重1.0mN、最大荷重における保持時間5秒、及び荷重除去速度1.0mN/20秒の条件で測定した押込み硬さ 70N/mm以上。
(ロ)上記Bステージ塗膜の温度170℃における引張伸び 4%以上。
[11].
成形体の製造方法であって、[1]〜[10]の何れか1に記載の製造方法によりBステージ塗膜を形成する工程;上記Bステージ塗膜に形状を付与する工程;及び、上記Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)する工程;を含む上記製造方法。
[12].
上記成形体の塗膜(Cステージ)表面の、JIS K 5600−5−4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で測定した鉛筆硬度がH以上である[11]に記載の製造方法。
本発明の製造方法により、Bステージ塗膜を工業的に安定して製造することができる。本発明の好ましい製造方法により、三次元成形性、及びウェブハンドリング性に優れたBステージ塗膜を工業的に安定して製造することができる。本発明のBステージ塗膜はウェブハンドリング性に優れる。本発明の好ましいBステージ塗膜は三次元成形性、及びウェブハンドリング性に優れる。本発明のより好ましいBステージ塗膜は、Bステージにおいては三次元成形性、及びウェブハンドリング性に優れ、完全硬化後(Cステージにおいて)は表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性に優れる。そのため本発明のBステージ塗膜、本発明のB‐ステージ塗膜を有する本発明の積層フィルムは、三次元形状/立体的形状を有する成形体、例えば、家電製品や情報電子機器の筐体等、及び自動車のインスツルメントパネル等の成形体の表面に表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性などの機能を付与するために好適に用いることができる。そのため本発明のBステージ塗膜、本発明のBステージ塗膜を有する本発明の積層フィルムを用いて成形された成形体は、表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性に優れ、表面外観も良好である(割れや白化などの不良現象がない)。
本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
本明細書において「Bステージ」の用語は、熱硬化性樹脂については、JIS K6800‐1985に規定された意味、即ち「熱硬化性樹脂の硬化中間状態。この状態での樹脂は加熱すると軟化し、ある種の溶剤に触れると膨潤するが、完全に溶融・溶解することはない。」の意味で使用する。活性エネルギー線硬化性樹脂については、「活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化中間状態。この状態での樹脂は加熱すると軟化し、ある種の溶剤に触れると膨潤するが、完全に溶融・溶解することはない。」の意味で使用する。
本明細書において「Cステージ」の用語は、熱硬化性樹脂、及び活性エネルギー線硬化性樹脂の何れについても、「硬化性樹脂の硬化反応の最終状態。この状態の樹脂は、不溶不融性である。完全に硬化した塗膜中の硬化性樹脂はこの状態にある。」の意味で使用する。
本明細書において数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。更に数値範囲に係る「〜」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10〜90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。
実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
1.Bステージ塗膜の製造方法:
本発明の製造方法は、(1)フィルム基材の面の上に、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と(B)光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程;及び、(2)上記ウェット塗膜に、活性エネルギー線を照射し、Bステージ状態にする工程;を含み、ここで上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記光重合開始剤の最大吸光度の通常1/2以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/4以上、更に好ましくは1/5以上、より更に好ましくは1/6以上、更に更に好ましくは1/7以上、最も好ましくは1/8以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている;Bステージ塗膜の製造方法である。
本発明の製造方法は、好ましい実施形態の1つにおいて、(1)フィルム基材の面の上に、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と(B)光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程;及び、(2)上記ウェット塗膜に、活性エネルギー線を照射し、Bステージ状態にする工程;を含み、ここで上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の通常1/2以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/4以上、更に好ましくは1/5以上、より更に好ましくは1/6以上、更に更に好ましくは1/7以上、最も好ましくは1/8以上の吸光度となる波長を含まないように;かつ、通常1/10〜1/100、好ましくは1/15〜1/70、より好ましくは1/20〜1/50の吸光度となる波長を含むように単色化されている;Bステージ塗膜の製造方法である。
上記工程(1)は、フィルム基材の面の上に、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と上記成分(B)光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程である。上記工程(1)において用いるフィルム基材は、特に制限されず、任意のフィルムをフィルム基材として用いることができる。好ましくは、後述する「3.積層フィルム」などにおいて説明するものを用いることができる。上記工程(1)において用いる上記塗料(上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と上記成分(B)光重合開始剤を含む塗料)としては、後述する「2.Bステージ塗膜」などにおいて説明するものを好ましく用いることができる。
上記工程(1)において、上記フィルム基材の面の上に、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と上記成分(B)光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する方法は、特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、例えば、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートなどの方法が好ましい。
上記工程(2)において活性エネルギー線を照射する前に、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と上記成分(B)光重合開始剤を含む塗料を用いて形成された上記ウェット塗膜を予備乾燥することは好ましい。上記予備乾燥は、例えば、ウェブを温度23〜150℃程度、好ましくは温度50〜120℃に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が0.5〜10分程度、好ましくは1〜5分となるようなライン速度でパスさせることにより行うことができる。
上記工程(2)は、上記ウェット塗膜に活性エネルギー線を照射し、Bステージ状態にする工程である。上記活性エネルギー線の照射量は、上記ウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留める観点から、非常に低くする必要がある。
理論に拘束される意図はないが、照射量を非常に低くするだけなら、活性エネルギー線の光源の出力を低くしたり、該光源と上記ウェット塗膜との距離を長くしたり、上記工程(2)のライン速度を高めたりする方法も考えられる。しかし、上記光源を安定的に動作させる観点からは、ある程度以上の出力にすべきであるし、製造装置のハンドリング性の観点からは、上記光源と上記ウェット塗膜との距離を長くしたり、上記工程(2)のライン速度を高めたりする方法には限度がある。そこで本発明の製造方法においては、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の通常1/2以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/4以上、更に好ましくは1/5以上、より更に好ましくは1/6以上、更に更に好ましくは1/7以上、最も好ましくは1/8以上の吸光度となる波長を含まないように上記活性エネルギー線を単色化して照射することにより、照射量を非常に低くして上記ウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留めることと工業的に安定した生産を行うこととを両立させたものである。また本発明の製造方法の好ましい実施形態の1つにおいては、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の通常1/10〜1/100、好ましくは1/15〜1/70、より好ましくは1/20〜1/50の吸光度となる波長を含むようにすることで、上記ウェット塗膜をBステージ状態に硬化させることを容易に行うことができるようにしたものである。
上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度は、上記成分(B)光重合開始剤の波長‐吸光度曲線の波長220〜400nmの範囲における、最大の吸光度を意味する。
上記活性エネルギー線がある波長の活性エネルギー線を含まないとは、当該波長における活性エネルギー線の比エネルギー強度が通常5%未満、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下であることを意味する。
上記活性エネルギー線がある波長の活性エネルギー線を含むとは、当該波長における活性エネルギー線の比エネルギー強度が通常5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であることを意味する。
ここで上記比エネルギー強度は、上記フィルターが最も良く透過させる波長のエネルギー強度を100%としたときの当該波長におけるエネルギー強度(単位%)である。例えば、365フィルターを使用して活性エネルギー線を単色化する場合は、単色化された上記活性エネルギー線の波長365nmのエネルギー強度を100%としたときの当該波長におけるエネルギー強度(単位:%)である。図1は、実施例で使用した高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置から発生させた紫外線を、同じく実施例で使用した365フィルターで単色化したときの波長と比エネルギー強度との関係を示すグラフである。
上記成分(B)光重合開始剤の波長‐吸光度曲線は、適切な濃度の光重合開始剤溶液を調製し、これを任意の分光光度計を使用して測定することにより得ることができる。上記成分(B)光重合開始剤の波長‐吸光度曲線は、例えば、光重合開始剤を、富士フイルム和光純薬株式会社の分光分析用アセトニトリルに溶解し、所定濃度の光重合開始剤アセトニトリル溶液を調製した後、島津製作所株式会社の分光光度計「SolidSpec−3700(商品名)」、石英ガラスセル(光路長10mm)を使用し、上記光重合開始剤アセトニトリル溶液を用い、波長200〜500nmの範囲の吸光度を測定し、波長‐吸光度曲線を作成することにより得ることができる。なお上記成分(B)光重合開始剤として、2種以上の光重合開始剤の混合物を用いる場合は、該混合物の波長‐吸光度曲線を作成し、使用する。
365フィルターを使用して活性エネルギー線を単色化する場合、比エネルギー強度は波長280nm以下においてほぼゼロ(比エネルギー強度<0.1%)になること、波長280nm超285nm以下において2%未満に、波長285nm超290nm以下において5%未満になることが図1から読み取れる。従って、365フィルターを使用して活性エネルギー線を単色化する場合、光重合開始剤の最大吸光度の通常1/2以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/4以上、更に好ましくは1/5以上、より更に好ましくは1/6以上、更に更に好ましくは1/7以上、最も好ましくは1/8以上の吸光度となる波長を含まないようにする観点、及びBステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)する際の硬化性の観点から、ピークトップ値が最大吸光度である吸光ピークを波長220〜280nmの範囲に有し;該吸光ピークのピークトップよりも長波長側で吸光度がピークトップ値(=最大吸光度)の1/nとなる波長が通常290nm以下、好ましくは285nm以下、より好ましくは280nm以下であり;波長290〜400nmの範囲の何れの波長においても吸光度が最大吸光度の1/n以下である光重合開始剤を、上記成分(B)として用いることは好ましい。ここで、nは2〜8の自然数であり、通常2、好ましく3、より好ましくは4、更に好ましくは5、より更に好ましくは6、更に更に好ましくは7、最も好ましくは8である。
上記成分(B)光重合開始剤として、上記活性エネルギー線の上記比エネルギー強度が通常5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、かつ通常100%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下となる波長範囲において、最大吸光度の通常1/10〜1/100、好ましくは1/15〜1/70、より好ましくは1/20〜1/50の弱い吸光を有するものを使用することは好ましい。上記ウェット塗膜をBステージ状態に硬化させること、及び上記ウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留めることを容易に両立させることができる。
365フィルターを使用して単色化する場合、比エネルギー強度は、例えば、波長295〜320nmにおいて10〜22%になることが図1から読み取れる。従って、365フィルターを使用して単色化する場合は、波長295〜320nmにおいて、最大吸光度の通常1/10〜1/100、好ましくは1/15〜1/70、より好ましくは1/20〜1/50の弱い吸光を有する光重合開始剤は、上記成分(B)として好ましいといえる。
365フィルターを使用して単色化する場合、比エネルギー強度は、波長300nmにおいて17%になることが図1から読み取れる。従って、365フィルターを使用して単色化する場合は、波長300nmにおいて、最大吸光度の通常1/10〜1/100、好ましくは1/15〜1/70、より好ましくは1/20〜1/50の弱い吸光を有する光重合開始剤は、上記成分(B)として好ましいといえる。
図2は、実施例で使用した光重合開始剤(B‐1)のアセトニトリル溶液(濃度0.010質量%(4.9×10−5モル%))の波長‐吸光度曲線である。上記光重合開始剤(B‐1)は波長242nmに吸光ピークを有し、該ピークのピークトップ値が最大吸光度である。そして、ピークトップよりも長波長側で吸光度がピークトップ値の1/2になるのは254nm、1/3になるのは258nm、1/4になるのは260nm、1/5になるのは262nm、1/6になるのは264nm、1/7になるのは266nm、1/8になるのは269nmであることを図2から読み取ることができる。
上記成分(B)光重合開始剤として上記光重合開始剤(B‐1)を用いる場合、上記工程(2)において、上記フィルターとして365フィルターを使用して白色活性エネルギー線を単色化すれば、波長280nm以下の活性エネルギー線はほぼ完全に遮蔽される(比エネルギー強度<0.1%)から、「上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の1/8以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている」ということができる。また上記成分(B‐1)は波長300nm近辺も僅かながら吸光度(波長300nmにおいて最大吸光度の1/34)を有しており、上述した通り365フィルターを使用して単色化するとき波長295〜320nmの比エネルギー強度は10〜22%になるので、上記ウェット塗膜をBステージ状態に硬化させること、及び上記ウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留めることを容易に両立させることができる。
図3は、実施例で使用した光重合開始剤(B‐2)のアセトニトリル溶液(濃度0.005質量%(1.5×10−5モル%))の波長‐吸光度曲線である。上記光重合開始剤(B‐2)は波長259nmに吸光ピークを有し、該ピークのピークトップ値が最大吸光度である。そして、ピークトップよりも長波長側で吸光度がピークトップ値の1/2になるのは271nm、1/3になるのは276nm、1/4になるのは279nm、1/5になるのは281nm、1/6になるのは283nm、1/7になるのは285nm、1/8になるのは286nmであることを図3から読み取ることができる。
上記成分(B)光重合開始剤として上記光重合開始剤(B‐2)を用いる場合、上記工程(2)において、365フィルターを使用して白色活性エネルギー線を単色化すれば、波長280nm以下の活性エネルギー線はほぼ完全に遮蔽され、波長280nm超285nm以下の活性エネルギー線は比エネルギー強度2%未満に、波長285nm超290nm以下の活性エネルギー線は比エネルギー強度5%未満にほぼ遮蔽されるから、「上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の1/8以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている」ということができる。また上記成分(B‐2)は300nm近辺も僅かながら吸光度(波長300nmにおいて最大吸光度の1/41)を有しており、上述した通り365フィルターを使用して単色化するとき波長295〜320nmの比エネルギー強度は10〜22%になるので、上記ウェット塗膜をBステージ状態に硬化させること、及び上記ウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留めることを容易に両立させることができる。
図4は、実施例で使用した光重合開始剤(B‐3)のアセトニトリル溶液(濃度0.005質量%(1.2×10−5モル%))の波長‐吸光度曲線である。上記光重合開始剤(B‐3)の吸光度は波長220〜400nmの範囲において略単調に減少しており、波長220nmにおいて最大吸光度になる。また波長289nmにブロードな吸光ピーク、波長233nmにショルダーの吸光ピークを有している。そして、吸光度が最大吸光度の1/2になるのは249nm、1/3になるのは305nm、1/4になるのは316nmであることを図4から読み取ることができる。
上記成分(B)光重合開始剤として上記光重合開始剤(B‐3)を用いる場合、上記工程(2)において、上記フィルターとして365フィルターを使用して白色活性エネルギー線を単色化すれば、波長280nm以下の活性エネルギー線はほぼ完全に遮蔽される(比エネルギー強度<0.1%)から、「上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の1/2以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている」ということができる。一方、上記成分(B‐3)は300nm近辺もかなりの吸光度(波長300nmにおいて最大吸光度の1/2.8)を有しており、上記工程(2)において、上記フィルターとして365フィルターを使用して白色活性エネルギー線を単色化したとしても、「上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の1/3以上の吸光度となる波長は含んでいる」といえる。
上記活性エネルギー線の光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどをあげることができる。
上記活性エネルギー線の照射量は、上記工程(2)を安定的に行う観点、上記ウェット塗膜をBステージ状態に硬化させる観点、及び上記ウェット塗膜の硬化をBステージ状態に留める観点から、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂の有する重合性官能基の数、上記成分(B)光重合開始剤の種類と配合量などを勘案して適宜選択して決定する。上記活性エネルギー線の照射量は、フィルターを使用していない場合の照射量に換算して、通常1〜1000mJ/cm、好ましくは20〜600mJ/cmより好ましくは30〜200mJ/cmであってよい。
上記工程(2)の後、エージング処理を行ってもよい。本発明のBステージ塗膜の特性を安定化することができる。
2.Bステージ塗膜:
本発明のBステージ塗膜の表面の押込み硬さ(H I T)は、ウェブハンドリング性の観点から、通常70N/mm以上、好ましくは100N/mm以上、より好ましくは125N/mm以上、更に好ましくは145N/mm以上である。押込み硬さ(H I T)は、ウェブハンドリング性の観点からは、より高い方が好ましい。一方、三次元成形性の観点から、通常800N/mm以下、好ましくは500N/mm以下であってよい。ここでBステージ塗膜の表面の押込み硬さ(H I T)は、ISO14577−1に準拠し、表面微小硬度試験機、バーコビッチ型のダイヤモンド圧子を使用し、荷重増加速度1.0mN/20秒、最大荷重1.0mN、最大荷重における保持時間5秒、及び荷重除去速度1.0mN/20秒の条件で測定した値である。
理論に拘束される意図はないが、ウェブハンドリングの際に、塗膜が移送ロールなどに接触することによる、傷や外観不良の生じ難さ(ウェブハンドリング性)は、塗膜の全体の硬さではなく、塗膜の表面近傍の硬さに強く支配されている。そのためウェブハンドリング性は、押込み硬さ(H I T)により、略一義的に決まると考察している。
本発明のBステージ塗膜又はBステージ塗膜を有する積層フィルムの温度170℃における引張伸びは、三次元成形性の観点から、通常4%以上、好ましくは6%以上、より好ましくは8%以上、更に好ましくは12%以上、最も好ましくは18%以上であってよい。温度170℃における引張伸びは、三次元成形性の観点からは、より高い方が好ましい。ここでBステージ塗膜又はBステージ塗膜を有する積層フィルムの温度170℃における引張伸びは、JIS K7127:1999に準拠し、高温引張試験を行うための恒温槽を備えた引張試験機を使用し、Bステージ塗膜又はBステージ塗膜を有する積層フィルムの幅方向と引張方向とが一致するように採取した試験片タイプ2(幅15mm、全長150mm)の試験片を用い、標線間距離50mm、チャック間の初期距離100mm、温度170℃、及び試験速度10mm/分の条件で測定した値である。
本発明のBステージ塗膜は、完全硬化後(Cステージ)において、表面の鉛筆硬度は、通常H以上、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、更に好ましくは4H以上であってよい。鉛筆硬度はより高い方が好ましい。ここで鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で測定した値である。
本発明のBステージ塗膜の厚みは、特に限定されない。本発明のBステージ塗膜の厚みは、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上であってよい。一方、三次元成形性の観点から、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、最も好ましくは15μm以下であってよい。
Bステージ塗膜形成用塗料:
本発明のBステージ塗膜の形成に用いる塗料は、特に制限されず、任意の硬化性塗料であってよい。本発明のBステージ塗膜の形成に用いる塗料は、好ましくは(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と(B)光重合開始剤を含む。以下、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と上記成分(B)光重合開始剤を含む塗料(以下、「(α)塗料」と略すことがある。)について説明する。
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂:
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、塗膜を形成する働きをする。
上記成分(A)としては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有プレポリマー又はオリゴマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、トリメチルシロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有単官能反応性モノマー;N−ビニルピロリドン、スチレン等の単官能反応性モノマー;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマーなどから選択される1種以上を、あるいは上記1種以上を構成モノマーとする樹脂をあげることができる。上記活性エネルギー線硬化性樹脂としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。なお本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
上記成分(A)として、(A1)ウレタン(メタ)アクリレートを含むものを用いることは好ましい。ウェブハンドリング性と三次元成形性のバランスを向上させることができる。上記成分(A)として、(A2)多官能(メタ)アクリレートを含むものを用いることは好ましい。完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性を向上させることができる。上記成分(A)として、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートと上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートを含むものを用いることはより好ましい。Bステージにおけるウェブハンドリング性と三次元成形性のバランス;及び、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性;の両方をバランス良く向上させることができる。なお本明細書において、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(ウレタン(メタ)アクリレートであって、多官能(メタ)アクリレートでもあるもの)は上記成分(A1)である。即ち、上記成分(A2)から、上記成分(A1)に該当するものは除かれる。
(A1)ウレタン(メタ)アクリレート:
上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン構造(−NH−CO−O−)を有する化合物、又はその誘導体であって1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。上記成分(A1)は、特に限定されないが、典型的には、1分子中に2個以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物、ポリオール化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートを用いて製造されるもの、即ちこれらの化合物に由来する構成単位を含むものであってよい。
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びメチレンビス(4‐シクロヘキシルイソシアネート)などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物をあげることができる。上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などのポリイソシアネートをあげることができる。
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールなどをあげることができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリエチレンオキサイド、及びポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体;エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合体;2価フェノール化合物とポリオキシアルキレングリコールとの共重合体;及び2価フェノールと炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、及び1,4−ブチレンオキサイドなど。)の1種以上との共重合体;などをあげることができる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、及びポリカプロラクトンなどをあげることができる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリ(ブタンジオールカーボネート)、ポリ(ヘキサンジオールカーボネート)、及びポリ(ノナンジオールカーボネート)などをあげることができる。
上記ポリオール化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6‐ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び2‐ヒドロキシ‐3‐(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコール系(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのグリセリン系(メタ)アクリレート;脂肪酸変性‐グリシジル(メタ)アクリレートなどの変性グリシジル系(メタ)アクリレート;2‐ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐原子含有(メタ)アクリレート;2‐(メタ)アクリロイロキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレートなどのエステル又はエステル誘導体の(メタ)アクリル酸付加物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びエチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのペンタエリスリトール系(メタ)アクリレート;及び、カプロラクトン変性2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどのカプロラクトン変性(メタ)アクリレート;をあげることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(A1)のゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略すことがある。)により測定した微分分子量分布曲線(以下、GPC曲線と略すことがある。)から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、三次元成形性の観点から、通常1000以上、好ましくは1600以上、より好ましくは2000以上であってよい。
上記成分(A1)の有する(メタ)アクリロイル基の数は、GPC曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たり、ウェブハンドリング性の観点から、通常2個以上、好ましくは3個以上であってよい。完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性の観点から、より好ましくは6個以上であってよい。一方、三次元成形性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは10個以下であってよい。
GPCの測定は、システムとして東ソー株式会社の高速液体クロマトグラフィーシステム「HLC−8320(商品名)」(デガッサー、送液ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン及びRI(示差屈折率)検出器を含むシステム。)を使用し;GPCカラムとしShodex社のGPCカラム「KF−806L(商品名)」を2本、「KF−802(商品名)」及び「KF−801(商品名)」を各1本の合計4本を、上流側からKF−806L、KF−806L、KF−802、及びKF−801の順に連結して使用し;和光純薬工業株式会社の高速液体クロマトグラフ用テトラヒドロフラン(安定剤不含)を移動相として;流速1.0ミリリットル/分、カラム温度40℃、試料濃度1ミリグラム/ミリリットル、及び試料注入量100マイクロリットルの条件で行うことができる。各保持容量における溶出量は、測定試料の屈折率の分子量依存性が無いと見なしてRI検出器の検出量から求めることができる。また保持容量からポリスチレン換算分子量への較正曲線は、アジレントテクノロジー(Agilent Technology)株式会社の標準ポリスチレン「EasiCal PS−1(商品名)」(Plain Aの分子量6375000、573000、117000、31500、3480;Plain Bの分子量2517000、270600、71800、10750、705)を使用して作成することができる。解析プログラムは、東ソー株式会社の「TOSOH HLC−8320GPC EcoSEC(商品名)」を使用することができる。なおGPCの理論及び測定の実際については、共立出版株式会社の「サイズ排除クロマトグラフィー 高分子の高速液体クロマトグラフィー、著者:森定雄、初版第1刷1991年12月10日」、株式会社オーム社の「合成高分子クロマトグラフィー、編者:大谷肇、寶崎達也、初版第1刷2013年7月25日」などの参考書を参照することができる。
図5に実施例で用いた下記成分(A1−1)の微分分子量分布曲線を示す。相対的に低分子量の領域に2本のシャープなピークが認められ、そのピークトップ位置のポリスチレン換算分子量は、低分子量側から順に700、及び1340である。これらの2本のピークよりも高分子量側に、重なりあいブロードになった複数のピークが認められ、最も高分子量側の成分のポリスチレン換算分子量は60万程度と認められる。そして、全体の数平均分子量(Mn)は2000、質量平均分子量(Mw)は26000、Z平均分子量(Mz)は110000である。また1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数は20個であるから、GPC曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たりの(メタ)アクリロイル基の数は10個である。
(A2)多官能(メタ)アクリレート:
上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートである。但し、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートに該当する化合物は、上記成分(A2)から除く。
上記成分(A2)としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマー;トリペンタエリスリトールアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有7官能又は8官能反応性モノマー及びこれらの1種以上を構成モノマーとする重合体(オリゴマーやプレポリマー)をあげることができる。上記成分(A2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(A2)の1分子中の(メタ)アクリロイル基数は、上記成分(A2)の使用効果を確実に得る観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更に好ましくは6個以上であってよい。一方、三次元成形性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは10個以下であってよい。
上記成分(A)として、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートを含むものを用いる場合、上記成分(A)中の上記成分(A1)の量は、ウェブハンドリング性と三次元成形性のバランス;及び、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性;を勘案して適宜決定すればよい。上記成分(A)中の上記成分(A1)の量は、全上記成分(A)の量を100質量%として、ウェブハンドリング性と三次元成形性のバランスを向上させる観点から、通常20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってよい。一方、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性の観点から、通常100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下であってよい。
上記成分(A)として、上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートを含むものを用いる場合、上記成分(A)中の上記成分(A2)の量は、Bステージにおけるウェブハンドリング性と三次元成形性のバランス;及び、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性;を勘案して適宜決定すればよい。
上記成分(A)中の上記成分(A2)の量は、全上記成分(A)の量を100質量%として、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性の観点から、通常0質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であってよい。一方、ウェブハンドリング性と三次元成形性のバランスを向上させる観点から、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってよい。
上記成分(A)として、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートと上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートを含むものを用いる場合、上記成分(A)中の上記成分(A1)の量と上記成分(A2)の量は、Bステージにおけるウェブハンドリング性と三次元成形性のバランス;及び、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性;を勘案して適宜決定すればよい。上記成分(A)中の、上記成分(A1)の量と上記成分(A2)の量の和は、全上記成分(A)の量を100質量%として、完全硬化後(Cステージにおいて)の塗膜がタック性を有するものとならないようにする観点から、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90〜100質量%であってよい。上記成分(A1)の量は、上記成分(A1)の量と上記成分(A2)の量の和を100質量%として、ウェブハンドリング性と三次元成形性のバランスを向上させる観点から、通常20質量%以上(上記成分(A2)の量は80質量%以下)、好ましくは40質量%以上(上記成分(A2)の量は60質量%以下)、より好ましくは60質量%以上(上記成分(A2)の量は40質量%以下)であってよい。一方、完全硬化後(Cステージにおいて)の表面硬度、耐擦傷性、及び耐薬品性の観点から、通常100質量%以下(上記成分(A2)の量は0質量%以上)、好ましくは95質量%以下(上記成分(A2)の量は5質量%以上)、より好ましくは90質量%以下(上記成分(A2)の量は10質量%以上)、更に好ましくは80質量%以下(上記成分(A2)の量は20質量%以上)であってよい。
(B)光重合開始剤:
上記成分(B)光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生し、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂を重合・硬化させる働きをする。
上記成分(B)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;アセトフェノンジメチルケタール等のアルキルフェノン系化合物;トリアジン系化合物;ビイミダゾール化合物;アシルフォスフィンオキサイド系化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;及び、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。
本発明のBステージ塗膜を製造する方法として、本発明の製造方法を適用する場合は、本発明の製造方法で使用するフィルターの種類に対応して、用いる上記成分(B)光重合開始剤を適宜選択すればよい。上記フィルターとして365フィルターを使用する場合、好ましい上記成分(B)としては、例えば、ピークトップ値が最大吸光度である吸光ピークを波長220〜280nmの範囲に有し;該吸光ピークのピークトップよりも長波長側で吸光度がピークトップ値(=最大吸光度)の1/nとなる波長が通常290nm以下、好ましくは285nm以下、より好ましくは280nm以下であり;波長290〜400nmの範囲の何れの波長においても吸光度が最大吸光度の1/n以下である;光重合開始剤をあげることができる。ここで、nは2〜8の自然数であり、通常2、好ましく3、より好ましくは4、更に好ましくは5、より更に好ましくは6、更に更に好ましくは7、最も好ましくは8である。上記フィルターとして365フィルターを使用する場合、好ましい上記成分(B)としては、例えば、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンなどをあげることができる。
上記成分(B)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B)の配合量は、塗膜をBステージ状態に硬化させる観点、塗膜の硬化をBステージ状態に留める観点、及び三次元成型後、確実に完全硬化(Cステージに)する観点を総合的に勘案して適宜選択すればよい。上記成分(B)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、塗膜をBステージ状態に硬化させる観点、及び三次元成型後、確実に完全硬化(Cステージに)する観点から、通常1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であってよい。一方、塗膜の硬化をBステージ状態に留める観点から、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下であってよい。
(C)撥水剤:
上記(α)塗料(上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と上記成分(B)光重合開始剤を含む塗料)は、好ましくは更に上記成分(C)撥水剤を含む。本発明のBステージ塗膜を用いて得られる成形体(塗膜はCステージ)の耐擦傷性、汚れの付着防止性、及び汚れの拭取り性を向上させることができる。
上記成分(C)撥水剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、及びアクリル・エチレン共重合体ワックス等のワックス系撥水剤;シリコンオイル、シリコン樹脂、ポリジメチルシロキサン、アルキルアルコキシシラン等のシリコン系撥水剤;フルオロポリエーテル系撥水剤、フルオロポリアルキル系撥水剤等の含弗素系撥水剤;などをあげることができる。
これらの中で、上記成分(C)としては、耐擦傷性、及び撥水性能の観点から、含弗素系撥水剤が好ましい。上記成分(C)としては、耐擦傷性、撥水性能、及び上記成分(C)を上記成分(A)と化学結合ないしは強く相互作用させ、上記成分(C)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する観点から、含弗素系撥水剤であって(メタ)アクリロイル基を含有する撥水剤(以下、「(メタ)アクリロイル基含有弗素系撥水剤」と略すことがある。)がより好ましい。ここで(メタ)アクリロイル基含有弗素系撥水剤は、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ分子内に1個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上の弗素・炭素結合(典型的には炭化水素基などの有機官能基の1個又は2個以上の水素原子が弗素原子に置換された構造)を有する化合物である。
上記(メタ)アクリロイル基含有弗素系撥水剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基含有フルオロエーテル系撥水剤、(メタ)アクリロイル基含有フルオロアルキル系撥水剤、(メタ)アクリロイル基含有フロオロアルケニル系撥水剤、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリアルキル系撥水剤、及び(メタ)アクリロイル基含有フロオロポリアルケニル系撥水剤などをあげることができる。
上記成分(C)としては、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤(分子内に(メタ)アクリロイル基とフルオロポリエーテル基とを含有する化合物)が更に好ましい。上記成分(C)としては、上記成分(C)と上記成分(A)との化学結合ないしは相互作用を適宜調節し、透明性を高く保ちつつ良好な耐擦傷性、及び撥水性発現させ、かつ上記成分(C)のブリードアウトを防止性する観点から、アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤とメタアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤との混和物が最も好ましい。
上記成分(C)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記(メタ)アクリロイル基含有弗素系撥水剤は、分子内に1個以上の弗素・炭素結合を有する点で、上記成分(A)とは明確に区別される。本明細書において、(メタ)アクリロイル基を含有し、かつ分子内に1個以上の弗素・炭素結合を有する化合物は、上記成分(C)である。
上記成分(C)の配合量は、耐擦傷性、汚れの付着防止性、及び汚れの拭取り性を良好なものにする観点から適宜決定すればよい。上記成分(C)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、上記成分(C)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する観点から、通常7質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下であってよい。一方、上記成分(C)の使用効果を得るという観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であってよい。
上記(α)塗料には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、無機粒子、無機着色剤、有機粒子、及び有機着色剤などの添加剤を1種又は2種以上含ませることができる。
上記(α)塗料は、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤は上記成分(A)、上記成分(B)、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸n‐ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記(α)塗料は、好ましくは無機粒子を含まないものであってよい。完全硬化後(Cステージにおいて)の耐擦傷性や耐折曲性を向上させることができる。一般に、無機粒子(例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、及び酸化セリウム等の金属酸化物粒子;弗化マグネシウム、及び弗化ナトリウム等の金属弗化物粒子;金属硫化物粒子;金属窒化物粒子;及び金属粒子;など。)は、特に適切な粒子径の無機粒子は、完全硬化後(C‐ステージにおいて)の表面硬度を向上させる観点からは有用である。一方、上記成分(A)などの樹脂成分との相互作用は弱く、耐傷付き性や耐折曲性を不十分なものにする原因となっていた。そこで本発明の好ましい実施形態の一つにおいては、上記(α)塗料には無機粒子を含まないようにして耐傷付き性や耐折曲性を良好に保持し、表面硬度は上記成分(A1)として(メタ)アクリロイル基を特定数含むものを用いたり、上記成分(A2)を用いたりすることにより向上させたものである。
ここで無機粒子を「含まない」とは、有意な量の無機粒子を含んではいないという意味である。塗膜形成用塗料の分野において、無機粒子の有意な量は、表面硬度を向上させる観点から、上記成分(A)100質量部に対して、通常1質量部程度以上である。従って、無機粒子を「含まない」とは、上記成分(A)100質量部に対して、無機粒子の量が通常1質量部未満、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下、最も好ましくは0.01質量部以下と言い換えることもできる。
上記(α)塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
上記(α)塗料を用い、本発明のBステージ塗膜を製造する方法は、特に制限されず、任意の製造方法であってよい。上記(α)塗料を用い、本発明のBステージ塗膜を製造する好ましい方法としては、例えば、「1.Bステージ塗膜の製造方法」で上述した方法(本発明の製造方法)をあげることができる。
3.Bステージ塗膜積層フィルム:
本発明のBステージ塗膜積層フィルムは、本発明のBステージ塗膜を有する。本発明のBステージ塗膜積層フィルムは、通常は、フィルム基材の少なくとも片面の上に本発明のBステージ塗膜を有し、該Bステージ塗膜が表面を形成する。
上記(α)塗料を用い、上記フィルム基材の少なくとも片面の上に本発明のBステージ塗膜形成し、本発明のBステージ塗膜積層フィルムを製造する方法は、特に制限されず、任意の製造方法であってよい。上記(α)塗料を用い、上記フィルム基材の少なくとも片面の上に本発明のBステージ塗膜形成し、本発明のBステージ塗膜積層フィルムを製造する好ましい方法としては、例えば、「1.Bステージ塗膜の製造方法」で上述した方法(本発明の製造方法)をあげることができる。
フィルム基材:
上記フィルム基材は、その少なくとも片面の上に本発明のBステージ塗膜を形成するための基材となるフィルムである。
上記フィルム基材としては、特に制限されず、任意のフィルムをフィルム基材として用いることができる。上記フィルムとしては、例えば、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、及びアセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、及びスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン;などの樹脂フィルムをあげることができる。これらのフィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらの1種以上を2層以上積層した積層フィルムを包含する。更にこれらのフィルムは着色されたもの又は色を有するものであってよい。
フィルム基材が成形体の構成材料の1つである場合
上記フィルム基材が、本発明の成形体(後述する「4.成形体」において説明する。)の構成材料の1つである場合には、上記フィルム基材と本発明のBステージ塗膜との密着性を高める観点から、上記フィルム基材の塗膜形成面は、コロナ放電処理やアンカーコート形成などの易接着処理が施されたものであってよい。
上記フィルム基材が本発明の成形体の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材の厚みは特に制限されない。上記フィルム基材が本発明の成形体の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材の厚みは、ハンドリング性の観点から、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であってよい。成形体の強度の観点から、通常100μm以上、好ましくは150μm以上であってよい。一方、成形体の軽量化の観点から、通常2000μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下であってよい。
上記フィルム基材が本発明の成形体の構成材料の1つである場合、上記フィルム基材として高い透明性を有し、かつ色のないものを用いることは好ましい。本発明のBステージ塗膜積層フィルムを、高い透明性及び無色性が要求される物品、例えば、車両のインストルメントパネルなどの車両用部材として好適に用いることができるようになる。このようなフィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリプロピレン、及び4−メチル−ペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などの透明樹脂フィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
上記透明樹脂フィルムは、好ましくは、アクリル系樹脂の透明樹脂フィルムである。上記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を主として(通常50モル%以上、好ましくは65モル%以上、より好ましくは70モル%以上)含む共重合体、及びこれらの変性体などをあげることができる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味である。また(共)重合体とは、重合体又は共重合体の意味である。
上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、及び(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体などをあげることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を主として含む共重合体としては、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、無水マレイン酸・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、及びN−置換マレイミド・(メタ)アクリル酸メチル共重合体などをあげることができる。
上記変性体としては、例えば、分子内環化反応によりラクトン環構造が導入された重合体;分子内環化反応によりグルタル酸無水物が導入された重合体;及び、イミド化剤(例えば、メチルアミン、シクロヘキシルアミン、及びアンモニアなどをあげることができる。)と反応させることによりイミド構造が導入された重合体;などをあげることができる。
上記アクリル系樹脂の透明樹脂フィルムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物のフィルムをあげることができる。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
上記透明樹脂フィルムとしては、N−置換マレイミド・(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステルとイミド構造を有する重合性モノマーとの共重合体;及び、アクリル系樹脂をイミド化剤と反応させることによりイミド構造が導入された重合体(以下、これらを総称して「ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂」ということがある。)の透明フィルム、上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を用いて形成された層を1層以上含む透明多層フィルムがより好ましい。該透明フィルムや該透明多層フィルムを、本発明のBステージ塗膜積層フィルムのフィルム基材として用いることにより、本発明のBステージ塗膜積層フィルムを用いて形成される成形体は、表面硬度、耐擦傷性、透明性、表面平滑性、外観、剛性、耐熱性、及び耐熱寸法安定性に優れたものになる。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂はアクリル構造とイミド構造の両方の構造を有する熱可塑性樹脂と定義することもできる。上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂は、アクリル構造を有することから、アクリル系樹脂の高透明性、高表面硬度、高剛性という特徴を有する。また上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂は、イミド構造を有することから、ポリイミドの耐熱性や寸法安定性に優れるという特徴を有する。更に、上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂は、通常、ポリイミドの淡黄色から赤褐色に着色するという欠点が改良されている。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂のガラス転移温度は、耐熱性の観点から、通常110℃以上、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上、より更に好ましくは140℃以上であってよい。一方、上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂のガラス転移温度は、三次元成形性の観点から、通常170℃以下、好ましくは165℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは155℃以下であってよい。ここでガラス転移温度は、JIS K7121−1987に従い、250℃で3分間保持し、10℃/分で20℃まで冷却し、20℃で3分間保持し、10℃/分で250℃まで昇温するプログラムで測定される最後の昇温過程の曲線から算出した中間点ガラス転移温度である。示差走査熱量計としては、例えば、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用することができる。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂の黄色度指数は、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下であってよい。黄色度指数は低いほど好ましい。黄色度指数が5以下のポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を用いることにより、車両のインストルメントパネルなどの車両用部材として好適な色調のBステージ塗膜積層フィルム、及びこれを用いた成形体を得ることができる。ここで黄色度指数はJIS K7105:1981に従い測定した値である。色度計としては、例えば、株式会社島津製作所の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を使用することができる。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂のメルトマスフローレート(ISO1133に従い、260℃、98.07Nの条件で測定。)は、フィルム製膜時の押出負荷や溶融フィルムの安定性の観点から、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.5〜10g/10分であってよい。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を100質量部としたとき、通常10質量部以下、あるいは0.01〜10質量部程度である。
上記透明樹脂フィルムは、より好ましくは第一アクリル系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第二アクリル系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された透明多層フィルムである。なお本明細書においては、上記α1層側にBステージ塗膜が形成されるものとして本発明を説明する。
アクリル系樹脂は表面硬度には優れているが、切削加工性が不十分になり易いのに対し、芳香族ポリカーボネート系樹脂は切削加工性には優れているが、表面硬度が不十分になり易い。そのため上記の層構成の透明多層フィルムを用いることにより、両者の弱点を補い合い、表面硬度、及び切削加工性の何れにも優れたBステージ塗膜積層フィルムを容易に得ることができるようになる。
上記α1層の層厚みは、特に制限されないが、Bステージ塗膜を完全硬化後(Cステージ)の表面硬度の観点から、通常20μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上、更に好ましくは80μm以上であってよい。
上記α2層の層厚みは、特に制限されないが、耐カール性の観点から、上記α1層と同じ層厚みであることが好ましい。
なおここで「同じ層厚み」とは、物理化学的に厳密な意味で同じ層厚みと解釈されるべきではない。工業的に通常行われる工程・品質管理の振れ幅の範囲内において同じ層厚みと解釈されるべきである。工業的に通常行われる工程・品質管理の振れ幅の範囲内において同じ層厚みであれば、多層フィルムの耐カール性を良好に保つことができるからである。Tダイ共押出法による無延伸多層フィルムの場合には、通常−5〜+5μm程度の幅で工程・品質管理されるものであるから、層厚み65μmと同75μmとは同一と解釈されるべきである。
上記β層の層厚みは、特に制限されないが、耐切削加工性の観点から、通常20μm以上、好ましくは80μm以上であってよい。
上記α1層及び上記α2層に用いるアクリル系樹脂については、上述した。
なお上記α1層に用いるアクリル系樹脂と、上記α2層に用いるアクリル系樹脂とは、異なる樹脂特性のもの、例えば種類、メルトマスフローレート、及びガラス転移温度などの異なるアクリル系樹脂を用いても良いが、本発明のハードコート積層フィルムの耐カール性の観点から、同じ樹脂特性のものを用いることが好ましい。例えば、同一グレードの同一ロットを用いるのは、好ましい実施態様の一つである。
上記β層に用いる芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重合法によって得られる重合体;ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られる重合体;などの芳香族ポリカーボネート系樹脂の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂に含み得る好ましい任意成分としては、コアシェルゴムをあげることができる。芳香族ポリカーボネート系樹脂とコアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、コアシェルゴムを0〜30質量部(芳香族ポリカーボネート系樹脂100〜70質量部)、好ましくは0〜10質量部(芳香族ポリカーボネート系樹脂100〜90質量部)の量で用いることにより、耐切削加工性や耐衝撃性をより高めることができる。
上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・スチレン/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、及びメタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴムをあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
また上記芳香族ポリカーボネート系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、芳香族ポリカーボネート系樹脂やコアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、芳香族ポリカーボネート系樹脂とコアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、0.01〜10質量部程度である。
上記透明樹脂フィルムの製造方法は特に制限されない。上記透明樹脂フィルムが第一ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第二ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された透明多層フィルムである場合の好ましい製造方法としては、特開2015−083370号公報に記載された方法をあげることができる。また上記Bステージ塗膜を形成するに際し、上記透明樹脂フィルムの上記Bステージ塗膜形成面又は両面に、上記Bステージ塗膜との接着強度を高めるため、事前にコロナ放電処理やアンカーコート形成などの易接着処理を施してもよい。
上記透明樹脂フィルムの全光線透過率は、通常85%以上、好ましくは88%以上、より好ましくは90%以上であってよい。全光線透過率は高いほど好ましい。全光線透過率が85%以上の透明樹脂フィルムを用いることにより、高い透明性が要求される物品、例えば、車両のインストルメントパネルなどの車両用部材として好適なBステージ塗膜積層フィルム、及びこれを用いた成形体を得ることができる。ここで全光線透過率はJIS K 7361−1:1997に従い測定した値である。濁度計としては、例えば、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を使用することができる。
上記透明樹脂フィルムの黄色度指数は、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下であってよい。黄色度指数は低いほど好ましい。黄色度指数が5以下の透明樹脂フィルムを用いることにより、高い無色性が要求される物品、例えば、車両のインストルメントパネルなどの車両部材用として好適なBステージ塗膜積層フィルム、及びこれを用いた成形体を得ることができる。ここで黄色度指数はJIS K7105:1981に従い測定した値である。色度計としては、例えば、株式会社島津製作所の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を使用することができる。
上記透明樹脂フィルムのレタデーションは、通常75nm以下、好ましくは50nm、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは30nm以下、更により好ましくは20nm以下、最も好ましくは15nm以下であってよい。レタデーションは低いほど好ましい。レタデーションが75nm以下の透明樹脂フィルムを用いることにより、クリアな透明感の要求される物品、例えば、車両のインストルメントパネルなどの車両部材用として好適なBステージ塗膜積層フィルム、及びこれを用いた成形体を得ることができる。ここでレタデーションは平行ニコル回転法により測定した値である。測定装置としては、例えば、王子計測機器株式会社の平行ニコル回転法による位相差測定装置「KOBRA−WR(商品名)」を使用することができる。
形成されたBステージ塗膜を他の基材に転写して用いる場合
上記フィルム基材の面の上に形成された本発明のBステージ塗膜を他の基材(例えば、フィルム、シート、板、及び任意の形状の射出成形体など)に転写して用いる場合(即ち、フィルム基材は成形体を構成しない場合。)には、上記フィルム基材の塗膜形成面は易剥離処理がされたものであってよい。
上記フィルム基材の面の上に形成された本発明のBステージ塗膜を他の基材に転写して用いる場合、上記フィルム基材の厚みは特に制限されない。上記フィルム基材の面の上に形成された本発明のBステージ塗膜を他の基材に転写して用いる場合、上記フィルム基材の厚みは、ハンドリング性の観点から、通常20μm以上、好ましくは30μm以上であってよい。一方、経済性の観点から、通常100μm以下、好ましくは75μm以下であってよい。
上記フィルム基材の面の上に形成された本発明のBステージ塗膜を他の基材に転写して用いる場合、上記フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂の二軸延伸フィルム、及びポリプロピレン系樹脂の二軸延伸フィルムなどが好ましい。
4.成形体:
本発明の成形体は、本発明のBステージ塗膜を完全硬化させた塗膜(Cステージ)を有する。本発明の成形体は、通常は、本発明のBステージ塗膜を完全硬化させた塗膜(Cステージ)が成形体の表面の一部又は全部を構成する。本発明の成形体は、本発明のBステージ塗膜に所望の形状を付与した後、該Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)することにより製造することができる。このような成形体としては、例えば、本発明のBステージ塗膜を完全硬化させた塗膜(Cステージ)を有するフィルム、シート、及び板;本発明のBステージ塗膜を有するフィルム、シートを用いて真空成形、圧空成形、及びプレス成形などの熱成形により所望の形状を付与した後、該Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)して得られる成形体;及び、本発明のBステージ塗膜を有するフィルム、シートを表皮材として金型内にインサートし、任意の熱可塑性樹脂を芯材として射出した後、該Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)して得られる複合成形体;などをあげることができる。
本発明のBステージ塗膜積層フィルム(塗膜はBステージ)を用い、真空成形、及び真空圧空成形などの三次元成形法を適用して三次元形状を付与した後、該Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)して本発明の成形体を製造する方法について、真空成形の場合の例を説明する。
図6は真空成形装置の一例を示す概念図である。先ず図6(a)に示されるように、Bステージ塗膜積層フィルム1を赤外線ヒーターなどの加熱装置2を使用して加熱し、軟化させる。次に、Bステージ塗膜積層フィルム1を加熱装置2から外し、速やかに成形型3を覆うように被せる(図6(b))。このとき成形型3は予熱しておいてもよい。続いて、Bステージ塗膜積層フィルム1と成形型3との間の空間4を減圧し、Bステージ塗膜積層フィルム1を成形型3に密着させて、成形型3の形状をBステージ塗膜積層フィルム1に転写し、成形体5(塗膜はBステージ)を得る(図2(c))。成形体5を成形型3から離型する前に、成形型3を冷却してもよい。続いて、成形体5のBステージ塗膜を、任意の活性エネルギー線照射装置を使用して完全硬化(Cステージに)することにより、本発明の成形体を製造することができる。
上記空間4の圧力は、Bステージ塗膜積層フィルム1と成形型3との間に空気を残留させることなく、十分密着させる観点から、好ましく10KPa以下、より好ましくは1KPa以下であってよい。なお密着力は、空間4の圧力が小さいほど大きくなるが、圧力を小さくするのは加速度的にコストがかかること、及びBステージ塗膜積層フィルム1の機械強度を考慮すれば、実用的には、空間4の圧力の下限は10−5KPa程度であってよい。
上記活性エネルギー線の照射量は、Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)するのに必要十分な照射量とする観点から適宜選択して決定する。上記活性エネルギー線の照射量は、通常10〜10000mJ/cm、好ましくは200〜2000mJ/cm、より好ましくは300〜700mJ/cmであってよい。
本発明の成形体は、実施形態の1つにおいて、本発明のBステージ塗膜を完全硬化させた塗膜(Cステージ)と任意の基体を有するものであってよい。該実施形態の成形体は、成形型3の代わりに上記基体を用い、Bステージ塗膜積層フィルム1を上記基体に密着、一体化した後、Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)することにより製造することができる。
本発明の成形体は、上述のように好ましい特性を有することから、物品(物品の部材を含む。)として好適に用いることができる。上記物品としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイなどの画像表示装置、及びこれらのディスプレイ面板、透明導電性基板、及び筐体などの部材;テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、スマートフォン、及びこれらの筐体やディスプレイ面板などの部材;更には冷蔵庫、洗濯機、食器棚、衣装棚、及びこれらを構成するパネル;建築物の窓や扉など;車両、車両の窓、風防、ルーフウインドウ、及びインストルメントパネルなど;ヘッドアップディスプレイ、電子看板、及びこれらの保護板;ショーウインドウ;太陽電池、及びその筐体や前面板などの部材;などをあげることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ)押込み硬さ(H I T)(Bステージ塗膜の表面の押込み硬さ):
ソーダライムガラス(厚み1mm)の片面の上に、積層フィルム(塗膜はBステージ)を、該積層フィルムの塗膜面とは反対側の面がソーダライムガラス側になるようにして、広げて重ね、シアノアクリレート系瞬間接着剤を用いて四隅のみをガラスと接着し、測定サンプルとした。このとき測定サンプルの中央部において、上記積層フィルムが上記ソーダライムガラスから浮き上がらないように、上記積層フィルムと上記ソーダライムガラスとがピッタリと接触するように作成すべきことに留意した。押込み硬さの測定箇所は、上記測定サンプルの中央部だからである。次に、ISO14577−1に準拠し、フィッシャーインスツルメンツ社の表面微小硬度試験機「PICODENTER HM500(商品名)」、テクダイヤモンド株式会社のバーコビッチダイヤモンド圧子(型番HB)を使用し、荷重増加速度1.0mN/20秒、最大荷重1.0mN、最大荷重における保持時間5秒、及び荷重除去速度1.0mN/20秒の条件で、上記測定サンプルのBステージ塗膜の表面の押込み硬さ(H I T)を測定した。
(ロ)引張伸び(Bステージ塗膜を有する積層フィルムの温度170℃における引張伸び):
JIS K7127:1999に準拠し、高温引張試験を行うための恒温槽を備えた引張試験機を使用し、積層フィルム(塗膜はBステージ)から、該積層フィルムの幅方向と引張方向とが一致するように採取した試験片タイプ2(幅15mm、全長150mm)の試験片を用い、標線間距離50mm、チャック間の初期距離100mm、温度170℃、及び試験速度10mm/分の条件で測定した。このとき上記試験片を上記引張試験機の恒温槽内のチャックにセットし、上記恒温槽内が170℃に達してから10分間経過した後に引張試験を開始するようにした。引張試験中、上記恒温槽の窓から上記試験片を目視観察し、上記試験片の塗膜にクラックが生じた瞬間の伸びを、上記積層フィルムの温度170℃における引張伸びとした。
(ハ)ウェブハンドリング性:
巻長さ300mの積層フィルム(塗膜はBステージ)を、ライン速度20m/分で巻き返し作業を行った後、積層フィルムの塗膜面を目視観察し、以下の基準で評価した。
A:傷、外観不良は認められなかった。
B:傷は認められなかった。しかし、間近に光を透かし見ると、僅かな曇感のある箇所が巻長さ300m中に1〜10ヵ所発生していた。
C:傷は認められなかった。しかし、間近に光を透かし見ると、僅かな曇感のある箇所が巻長さ300m中に11ヵ所以上発生していた。
D:傷が認められた。
(ニ)三次元成形性:
積層フィルム(塗膜はBステージ)を、赤外線ヒーターを使用して予熱した後、130℃に予熱した成形型(図7参照。図7(a)正面図、高さ(h)10mm、周囲の曲線部の曲率半径(R)16.25mm。図7(b)平面図、外周の直径(φ)90mm。)の上に、上記積層フィルムを、該積層フィルムの塗膜面とは反対側の面が上記成形型側となるように広げて重ね、30秒間待機した後、上記積層フィルムと上記成形型との間の空間を圧力1.0×10−3KPaに減圧し、上記成形型の形状を上記積層フィルムに転写し、成形体(塗膜はをBステージ)を得た。上記成形体のBステージ塗膜を、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置を使用し、積算光量600mJ/cmの条件で照射して、完全硬化(Cステージに)することにより、成形体(塗膜はCステージ)を得た。該成形体(塗膜はCステージ)の外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
A:ヒビ、割れ、及び外観不良は認められなかった。
B:ヒビ、及び割れは認められなかった。しかし、間近に光を透かし見ると、僅かな曇感のある箇所があった。
C:周囲の曲線部において、僅かなヒビや割れが認められた。
D:全体的にヒビ、及び割れが認められた。
(ホ)鉛筆硬度:
JIS K 5600−5−4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用い、積層フィルム(塗膜はCステージ)の塗膜面について測定した。傷跡が生じたか否かの判定は、蛍光灯下、蛍光灯から50cm離れた位置において、サンプル表面を目視観察することにより行った。
(ヘ)全光線透過率:
JIS K7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を使用して、積層フィルム(塗膜はCステージ)の全光線透過率を測定した。
(ト)耐薬品性:
ジョンソン・エンド・ジョンソン社の日焼け止め「ニュートロジーナ ウルトラシアー ドライタッチサンブロック(商品名)」20mlに対し、株式会社パイロットの赤色インキ「パイロットインキレッド(商品名)」を10滴の割合で混合し試験液とした。積層フィルム(塗膜はCステージ)から100mm×100mmの大きさの試験片を採取し、該試験片の塗膜面に30mm×40mmの大きさにカットした紙ワイパー(日本製紙クレシア株式会社の「キムワイプ(商品名)」。)を広げて置き、スポイトを使用して、上記試験液10滴を上記紙ワイパーの上に均一に滴下した。滴下後、ピンセットを使用して、上記紙ワイパーと上記試験片との間の気泡を抜き、上記紙ワイパーと上記試験片とを密着させた後、温度23℃、相対湿度50%の環境下で保管した。該保管は、保管時間24時間毎に、上記試験液10滴を滴下し、気泡を抜いて密着させる操作を繰り返しながら72時間行った。所定時間経過後、上記試験片上の上記試験液を含んだ上記紙ワイパーを除去し、上記試験片を、水を染み込ませた紙ワイパーで水拭きし、更に乾いた紙ワイパーで乾拭きし、上記試験片の表面に付着した上記試験液を取除いた。その後、上記試験片を矯正視力1.0の者が肉眼で又はルーペ(10倍)を使用して目視観察し、以下の基準で評価した。
A:ルーペを使用しても、クラックは認められなかった。上記積層フィルムの塗膜面の上記試験液に接触した箇所と接触していない箇所とで、色調に差は認められなかった。
B:ルーペを使用しても、クラックは認められなかった。しかし、上記積層フィルムの塗膜面の上記試験液に接触した箇所と接触していない箇所とで、色調に差があった(接触箇所は、非接触箇所と比較して赤みがあった。)。
C:肉眼ではクラックは認められなかった。しかし、ルーペを使用すると、クラックが認められた。
D:肉眼でもクラックが認められた。
(チ)耐擦傷性:
縦150mm、横50mmの大きさで、積層フィルム(塗膜はCステージ)のマシン方向が試験片の縦方向となるように採取した試験片を、積層フィルムの塗膜側が表面となるようにJIS L0849:2013のクロックメータ形試験機(摩擦試験機1形)に置き、該試験機の摩擦端子を4枚重ねのガーゼ(川本産業株式会社の医療用タイプ1ガーゼ)で覆い、試験片と接触するようにセットし、500g荷重を載せ、試験片の塗膜面を、摩擦端子の移動距離60mm、速度1往復/秒の条件で往復2500回擦った後、蛍光灯下、蛍光灯から50cm離れた位置において、試験片の摩擦箇所を目視観察することにより傷の有無を判定した。傷の認められないときは、更に試験片の同じ個所を往復2500回擦った後目視観察する作業を繰り返した。以下の基準で評価した。
A:往復1万回後でも傷は認められない。
B:往復7500回後では傷は認められないが、往復1万回後には傷を認めることができる。
C:往復5000回後では傷は認められないが、往復7500回後には傷を認めることができる。
D:往復2500回後では傷は認められないが、往復5000回後には傷を認めることができる。
E:往復2500回後で傷を認めることができる。
使用した原材料
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂:
(A1)ウレタン(メタ)アクリレート:
(A1‐1)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐953(商品名)」。固形分40質量%、官能基数(1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数。以下、同じ。)20、数平均分子量2000、質量平均分子量26000、Z平均分子量110000。
(A1‐2)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐952(商品名)」、固形分60質量%、官能基数10、数平均分子量2500、質量平均分子量9100、Z平均分子量23000。
(A1‐3)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐954(商品名)」、固形分60質量%、官能基数6、数平均分子量2000、質量平均分子量4800、Z平均分子量9600。
(A1‐4)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN‐909(商品名)」、固形分70質量%、官能基数9、数平均分子量1500、質量平均分子量13000、Z平均分子量60000。
(A1‐5)ダイセル・オルネクス株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「KRM8452(商品名)」。固形分100質量%、官能基数10、数平均分子量900、質量平均分子量2400、Z平均分子量4700。
(A1‐6)共栄社化学株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「UF‐C051(商品名)」。固形分100質量%、官能基数2、数平均分子量1600、質量平均分子量34000、Z平均分子量57000。
(A2)多官能(メタ)アクリレート:
(A2‐1)日本化薬株式会社のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
(A2‐2)ペンタエリトリトールトリアクリレート。
(B)光重合開始剤:
(B‐1)BASF社のアルキルフェノン系光重合開始剤(1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン)「イルガキュア184(商品名)」。
(B‐2)BASF社のアセトフェノン系光重合開始剤(2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オン)「イルガキュア127(商品名)」。
(B‐3)BASF社のビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド)「イルガキュア819(商品名)」。
(C)その他の成分:
(C‐1)信越化学工業株式会社のアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「KY‐1203(商品名)」。固形分20質量%。
(C‐2)ソルベイ(Solvay)社のメタクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「FOMBLIN MT70(商品名)」。固形分70質量%。
(C‐3)ユニマテック株式会社のアクリロイル基含有フルオロアルキル系撥水剤(2‐(パーフルオロブチル)エチルアクリレート)「CHEMINOXFAAC‐4(商品名)」。固形分100質量%。
(D‐1)メチルイソブチルケトン
(H)Bステージ塗膜形成用塗料:
(H‐1)上記(A1‐1)175質量部(固形分換算70質量部)、上記(A2‐1)30質量部、上記(B‐1)5質量部、上記(C‐1)2.5質量部(固形分換算0.5質量部)、上記(C‐2)0.071質量部(固形分換算0.05質量部、及び上記(D‐1)95質量部を混合攪拌し、塗料を得た。なお表には、溶剤(上記(D‐1)メチルイソブチルケトン)を除き、全て固形分換算の値を記載した。
(H‐2〜18)
表1〜3の何れか1に示すように配合を変更したこと以外は、上記(H‐1)と同様にして塗料を得た。なお表には、溶剤(上記(D‐1)メチルイソブチルケトン)を除き、全て固形分換算の値を記載した。
(P)透明樹脂フィルム:
(P‐1)2種3層マルチマニホールド方式の共押出Tダイ、及び第一鏡面ロール(溶融フィルムを抱いて次の移送ロールへと送り出す側のロール。)と第二鏡面ロールとで溶融フィルムを押圧する機構を備えた引巻取機を備えた装置を使用し、2種3層多層樹脂フィルムの両外層(α1層とα2層)としてエボニック社のポリ(メタ)アクリルイミド「PLEXIMID TT50(商品名)」を、中間層(β層)として住化スタイロンポリカーボネート株式会社の芳香族ポリカーボネート「カリバー301−4(商品名)」を、共押出Tダイから連続的に共押出し、α1層が第一鏡面ロール側となるように、回転する第一鏡面ロールと第二鏡面ロールとの間に供給投入し、押圧して、全厚み250μm、α1層の層厚み80μm、β層の層厚み90μm、α2層の層厚み80μmの透明樹脂フィルムを得た。このとき設定条件は、Tダイの設定温度300℃、第一鏡面ロールの設定温度130℃;第二鏡面ロールの設定温度120℃、引取速度6.5m/分であった。
例1
(1)上記(P‐1)の両面にコロナ放電処理を行った。両面とも濡れ指数は64mN/mであった。次に、上記(P‐1)のα1層側の面の上に、ダイ方式の塗工装置を使用して、上記(H‐1)を硬化後厚み10μmとなるように塗布し、ウェット塗膜を形成した後、炉内温度90℃に設定した乾燥炉を、入口から出口までパスするのに要する時間が2分間となるライン速度でパスさせて、上記ウェット塗膜を予備乾燥した。
(2)続いて、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置6と直径25.4cmの鏡面金属ロール7とが対置され、365フィルター(アイグラフィック株式会社の「365フィルター(商品名)」)8を備えた硬化装置(図8)を使用し、鏡面金属ロール7の温度60℃、ランプ出力80W/cm、365フィルター8を使用していないと仮定して算出した積算光量130mJ/cmの条件で、上記(P‐1)のα1層側の面の上に予備乾燥された上記ウェット塗膜を有する積層体(ウェブ9)を、該積層体(ウェブ9)の上記ウェット塗膜側の面が紫外線照射装置6側となるようにして処理し、Bステージ塗膜を有する積層フィルムを得た。上記試験(イ)〜(ニ)を行った。
(3)続いて、得られたBステージ塗膜を有する積層フィルムに、積算光量600mJ/cmの紫外線を照射し、Bステージ塗膜をCステージ塗膜にした(完全硬化させた)。上記試験(ホ)〜(チ)を行った。結果を表1に示す。なお表中、「積算光量」は、Bステージ塗膜形成工程における紫外線の積算光量(365フィルター8を使用していないと仮定して算出した値)を意味する。
例2
Bステージ塗膜を形成する際の紫外線照射工程において、365フィルターを使用しなかったこと、上記(H‐1)の替わりに上記(H‐2)を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。
例3〜19
上記(H‐1)に替えて、表1〜3の何れか1に示す塗料を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1〜3の何れか1に示す。
例20
上記(H‐1)の替わりに上記(H‐8)を用い、Bステージ塗膜形成工程の積算光量を130mJ/cmから600mJ/cmに変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表3に示す。
例21
上記(H‐1)の替わりに上記(H‐12)を用い、Bステージ塗膜形成工程の積算光量を130mJ/cmから600mJ/cmに変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表3に示す。
本発明の製造方法により、Bステージ塗膜を工業的に安定して製造することができた。本発明の好ましい製造方法により、三次元成形性、及びウェブハンドリング性に優れたBステージ塗膜を工業的に安定して製造することができた。また完全硬化後(Cステージにおいて)は表面硬度、透明性、耐薬品性、及び耐擦傷性に優れた塗膜になった。
本発明のBステージ塗膜の実施形態の例は、以下のように要約される。
[1].
Bステージ塗膜であって、
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と(B)光重合開始剤を含む塗料を用いて形成され、 下記特性(イ)を満たす上記Bステージ塗膜。
(イ)上記Bステージ塗膜の表面の、ISO14577−1に準拠し、表面微小硬度試験機、バーコビッチ型のダイヤモンド圧子を使用し、荷重増加速度1.0mN/20秒、最大荷重1.0mN、最大荷重における保持時間5秒、及び荷重除去速度1.0mN/20秒の条件で測定した押込み硬さ 70N/mm以上。
[2].
更に下記特性(ロ)を満たす[1]に記載のBステージ塗膜。
(ロ)上記Bステージ塗膜の温度170℃における引張伸び 4%以上。
[3].
上記成分(B)光重合開始剤が、ピークトップ値が最大吸光度である吸光ピークを波長220〜280nmの範囲に有し;該吸光ピークのピークトップよりも長波長側で吸光度が最大吸光度の1/2となる波長が290nm以下であり;波長290〜400nmの範囲の何れの波長においても吸光度が最大吸光度の1/2以下である;[1]又は[2]に記載のBステージ塗膜。
[4].
上記成分(B)光重合開始剤が、波長300nmにおいて、最大吸光度の1/10〜1/100の吸光度を有する;[1]〜[3]の何れか1に記載のBステージ塗膜。
[5].
上記成分(B)光重合開始剤が、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンからなる群から選択される1種以上である;[1]〜[4]の何れか1に記載のBステージ塗膜。
[6].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が(A1)ウレタン(メタ)アクリレートを含む;[1]〜[5]の何れか1に記載のBステージ塗膜。
[7].
上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートのゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した微分分子量分布曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000以上である;[1]〜[6]の何れか1に記載のBステージ塗膜。
[8].
上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリロイル基の数が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した微分分子量分布曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たり、2〜20個である;[1]〜[7]の何れか1に記載のBステージ塗膜。
[9].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレート;及び、(A2)多官能(メタ)アクリレート(但し、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートに該当するものを除く。)を含み、ここで上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの量が、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの量と上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートの量の和を100質量%として、20〜100質量%である;[1]〜[8]の何れか1に記載のBステージ塗膜。
[10].
積層フィルムであって、フィルム基材の少なくとも片面の上に[1]〜[9]の何れか1に記載のBステージ塗膜を有し、該Bステージ塗膜が表面を形成する上記積層フィルム。
[11].
上記フィルム基材がポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂の透明フィルム、又はポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を用いて形成された層を1層以上含む透明多層フィルムである[10]に記載の積層フィルム。
[12].
[1]〜[9]の何れか1項に記載のBステージ塗膜が完全硬化された塗膜(Cステージ)を含む成形体。
[13].
[10]又は[11]に記載の積層フィルムの有する上記Bステージ塗膜が完全硬化された塗膜(Cステージ)を含む成形体。
[14].
上記成形体の有する上記塗膜(Cステージ)表面の、JIS K 5600−5−4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で測定した鉛筆硬度がH以上である[12]又は[13]に記載の成形体。
[15].
[12]〜[14]の何れか1に記載の成形体を含む物品。
365フィルターで単色化したときの波長と比エネルギー強度との関係を示すグラフである。 実施例で使用した光重合開始剤(B‐1)のアセトニトリル溶液の波長‐吸光度曲線である。 実施例で使用した光重合開始剤(B‐2)のアセトニトリル溶液の波長‐吸光度曲線である。 実施例で使用した光重合開始剤(B‐3)のアセトニトリル溶液の波長‐吸光度曲線である。 実施例で使用したウレタン(メタ)アクリレート(A1‐1)のGPC曲線である。 真空成形を説明する概念図である。 実施例で使用した成形型の正面図(a)と平面図(b)である。 実施例で使用した紫外線照射装置の概念図である。
1:積層フィルム
2:加熱装置
3:成形型
4:積層フィルムと成形型との間の空間
5:成形体
6:紫外線照射装置
7:鏡面金属ロール
8:365フィルター
9:ウェブ

Claims (12)

  1. Bステージ塗膜の製造方法であって、
    (1)フィルム基材の面の上に、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂と(B)光重合開始剤を含む塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程;及び、
    (2)上記ウェット塗膜に、活性エネルギー線を照射し、Bステージ状態にする工程;を含み、
    ここで上記活性エネルギー線は、フィルターを使用して、上記光重合開始剤の最大吸光度の1/2以上の吸光度となる波長を含まないように単色化されている;
    上記製造方法。
  2. 上記活性エネルギー線が、フィルターを使用して、上記成分(B)光重合開始剤の最大吸光度の1/10〜1/100の吸光度となる波長を含むように単色化されている;請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記フィルターが365フィルターであり;
    上記成分(B)光重合開始剤が、
    ピークトップ値が最大吸光度である吸光ピークを波長220〜280nmの範囲に有し;
    該吸光ピークのピークトップよりも長波長側で吸光度が最大吸光度の1/2となる波長が290nm以下であり;
    波長290〜400nmの範囲の何れの波長においても吸光度が最大吸光度の1/2以下である;
    請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記フィルターが365フィルターであり;
    上記成分(B)光重合開始剤が、波長300nmにおいて、最大吸光度の1/10〜1/100の吸光度を有する;
    請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 上記フィルターが365フィルターであり;
    上記成分(B)光重合開始剤が、1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン、及び2‐ヒロドキシ‐1‐{4‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐プロピオニル)‐ベンジル]フェニル}‐2‐メチル‐プロパン‐1‐オンからなる群から選択される1種以上である;
    請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が(A1)ウレタン(メタ)アクリレートを含む;請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートのゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した微分分子量分布曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000以上である;請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの有する(メタ)アクリロイル基の数が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した微分分子量分布曲線から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)1000当たり、2〜20個である;請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が
    上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレート;及び、(A2)多官能(メタ)アクリレート(但し、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートに該当するものを除く。)を含み、
    ここで上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの量が、上記成分(A1)ウレタン(メタ)アクリレートの量と上記成分(A2)多官能(メタ)アクリレートの量の和を100質量%として、20〜100質量%である;
    請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
  10. 上記Bステージ塗膜が下記特性(イ)、及び(ロ)を満たす請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
    (イ)上記Bステージ塗膜の表面の、ISO14577−1に準拠し、表面微小硬度試験機、バーコビッチ型のダイヤモンド圧子を使用し、荷重増加速度1.0mN/20秒、最大荷重1.0mN、最大荷重における保持時間5秒、及び荷重除去速度1.0mN/20秒の条件で測定した押込み硬さ 70N/mm以上。
    (ロ)上記Bステージ塗膜の温度170℃における引張伸び 4%以上。
  11. 成形体の製造方法であって、
    請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法によりBステージ塗膜を形成する工程;
    上記Bステージ塗膜に形状を付与する工程;及び、
    上記Bステージ塗膜を完全硬化(Cステージに)する工程;
    を含む上記製造方法。
  12. 上記成形体の塗膜(Cステージ)表面の、JIS K 5600−5−4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で測定した鉛筆硬度がH以上である請求項11に記載の製造方法。
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