JP2012037590A - 赤色着色膜およびカラーフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】微細化されたジケトピロロピロール系赤色顔料が、180℃以上の温度下での成膜工程(ポストベーク工程)において結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、高明度でかつ正面のコントラスト比を向上させた赤色着色膜、および該赤色着色膜の形成に好適に用いられる赤色着色組成物、また、前記赤色着色膜を用いたカラーフィルタの提供。
【解決手段】平均一次粒子径が5nm〜70nmのジケトピロロピロール系赤色顔料と、熱可塑性樹脂とを含む赤色着色組成物から、180℃以上の温度下で成膜されてなる赤色着色膜であって、
その表面の塩素元素の含有量が、炭素元素量を100とした場合に、0.1〜14.0であることを特徴とする赤色着色膜である。また、該赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとして具備する多色化されたカラーフィルタである。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細化されたジケトピロロピロール系赤色顔料が、180℃以上の温度下での成膜工程(ポストベーク工程)において結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、高明度かつ正面のコントラスト比が高く、耐熱性にも優れた赤色着色膜に関する。また本発明は、前記赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとして具備するカラーフィルタに関する。
近年、テレビモニタ用途、パソコンモニタ用途、モバイル用途などに、液晶表示装置が応用されている。液晶表示装置に用いられるカラーフィルタに対しては、コントラスト比、明度、色純度、さらには各色フィルタセグメントを形成する際の塗布均一性、感度、現像性、パターン形状など、各種特性に対する要求レベルが高まってきている。さらに、液晶表示装置は長期間使用されることから、カラーフィルタに対しては、耐熱性や耐光性などの品質面に対する要求も強い。中でも、液晶表示装置の普及に伴って、カラーフィルタのコントラスト比の向上については、表示の明暗をはっきりさせて、より綺麗に見たいという観点から特に要望が強い。
従来、カラーフィルタを構成する赤色着色画素には、アントラキノン系赤色顔料であるC.I.Pigment Red 177が用いられてきた。この顔料は、機械的な処理によって容易に微細化することができ、さらに微細化された顔料は比較的容易に溶媒や樹脂溶液に分散し、赤色着色画素を組成する他の材料と親和性が高く相溶性があるため着色画素化しても特段の問題がなく、コントラストを高めるためには有用である(特許文献1参照)。しかしながら、分光特性上、600nm付近に吸収があるため、明度向上には限界があるという問題がある。
前述のアントラキノン系赤色顔料に代わる着色剤として、ジケトピロロピロール系赤色顔料であるC.I.Pigment Red 254が多く用いられている。この顔料の600nm付近の透過スペクトルはC.I.Pigment Red 177の透過スペクトルよりも短波長側に寄っているために、バックライトの赤色輝線の吸収がより少なく、明度を向上させることができる(特許文献2参照)。しかしながら、その反面、バックライトの赤色輝線の吸収がより少ない故に、顔料粒子で散乱された光も顔料に吸収されず、散乱光として出射される度合いも大きくなってしまう。すなわち、コントラストが低下し易い傾向がある。加えて、ジケトピロロピロール系赤色顔料は凝集力が強く、微細化度合いが進むと溶媒や樹脂溶液に難溶となり、赤色着色画素を組成する他の材料との親和性及び相溶性も低下する結果、難分散となる。すなわち、顔料粒子での散乱光の影響が大きくなり易い。従って、ジケトピロロピロール系赤色顔料のコントラストの向上は容易ではない。
そこで最近では、ジケトピロロピロール系赤色顔料に、アントラキノン系赤色顔料、及びアゾ系黄色顔料を併用して使用することで使用量を抑え、難溶性、相溶性の問題をある程度回避し、しかも各顔料の平均一次粒子径をできるかぎり小さくすることで、高透過率且つ高コントラストの赤色着色組成物を作製することが試みられている(特許文献3参照)。しかし上述の通り、ジケトピロロピロール系赤色顔料は微細化度合いが進むと難分散になり、含有量が少量である場合でも、該赤色着色組成物を硬化して赤色着色膜を形成する際のポストベーク工程において、ジケトピロロピロール系赤色顔料が着色膜表面および/またはガラス基板上に析出するという問題があった。析出した結晶は、液晶中で光を散乱させ消偏することでコントラスト低下を招き、更には液晶中に溶出し液晶汚染などの信頼性の低下を引き起こす原因にもなる。つまり、微細な一次粒子による高コントラスト化とジケトピロロピロール系赤色顔料の結晶析出抑制はトレードオフの関係にあり、したがって、ジケトピロロピロール系赤色顔料の微細化によるコントラストの向上には限界があり、加えて耐熱性も課題となっていた。
特開平10-148712号公報 特開平11-231516号公報 特開2007-133131号公報
発明が解決しようとする課題は、微細化されたジケトピロロピロール系赤色顔料が、ポストベーク工程において結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、高明度かつ高コントラストであって、耐熱性にも優れた赤色着色膜を提供することにあり、該赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとして具備するカラーフィルタを提供することにある。
本発明者らは、赤色着色膜を形成する工程において、180℃以上の温度下での成膜工程(ポストベーク工程)後における塗膜表面の塩素元素量と炭素元素量の比率を特定の範囲に制御することで、微細化されたジケトピロロピロール系赤色顔料の結晶析出抑制が可能であることをつきとめ本発明に至った。すなわち、180℃以上の温度下で成膜した赤色着色膜表面の、X線光電子分光法により測定した塩素元素の含有量が、炭素元素量を100とした場合に、0.1〜14.0である赤色着色膜であって、該赤色着色膜が上記、平均一次粒子径が5nm〜70nmのジケトピロロピロール系赤色顔料と、熱可塑性樹脂とを含む赤色着色組成物から形成されてなることで、結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、高明度かつ高コントラストの赤色着色組成物を得ることができることを見出したものである。
また、本発明は、ジケトピロロピロール系赤色顔料が、それぞれ異なる式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物を含んでいることを特徴とする前記赤色着色膜に関する。
Figure 2012037590
[式中、Xは、下記式(4)もしくは式(5)であって、R1とR2は互いに独立的に水素原子、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜19のアルキルカルバモイル基、炭素数1〜18のアルキルメルカプト基、炭素数1〜18のアルキルアミノ基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、トルフルオロメチル基のいずれかである。]
Figure 2012037590
また、本発明は、赤色着色組成物が、さらに熱硬化性化合物を含み、該熱硬化性化合物の含有量が、ジケトピロロピロール系赤色顔料100重量部に対して、2〜100重量部であることを特徴とする前記赤色着色膜に関する。
また、本発明は、熱硬化性化合物が、式(12)で表されるメラミン化合物またはその縮合物であることを特徴とする前記赤色着色膜に関する。
式(12)
Figure 2012037590
[式中、R3〜R8は、互いに独立的に水素原子又は−CH2OR(Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、R3〜R8は同一であっても異なっていても良い。−CH2OR基のRは上記式(12)の中で同一であっても異なっていても良い。]
また、本発明は、赤色着色組成物が、さらに式(7)または式(8)で表されるチアジン系色素誘導体を含むことを特徴とする前記赤色着色膜に関する。
Figure 2012037590
[式中、R9は、独立に、−(E)p 基以外の置換基を有していてもよい芳香族又は脂肪族炭素環又は複素環を形成するために必要な基を表す。R10は、独立に、−(E)p 基以外の置換基を有していてもよい芳香族又は脂肪族炭素環又は複素環を形成するために必要な基を表す。Eは、独立に、前記R9を含む環および/またはR10を含む環上に置換した塩基性基であって、式(9)または式(10)で示される。pは、1〜6の整数を表す。]
式(9)
Figure 2012037590
式(10)
Figure 2012037590
[式(9)および式(10)において、記号および添え字は以下の意味を有する。Yは、−S−、−O−、−SO2−、−CO−、−SO2NR'−、−NR'SO2−、−CONR'−、−CH2NR'COCH2NR'−、−(CH2)mNH− を表す(ただし、mは、1〜10の整数を表す。R'は、独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数が2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)。aは、0または1を表す。Zは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリーレン基または窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す(これらの基は、二つ以上組み合わせてよく、−NR'−、−O−、−SO2− または−CO− から選ばれる2価の連結基で互いに結合していてもよい。ここでRは上記定義のとおりである。)。bは、0または1を表す。R11及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基を表し、R11及びR12は窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を形成していてもよい。Wは、−CH2NR"COCH2NR"−、−CH2NR"COCH2NR"−G−、−NR"−、−NR"−G−CO−、−NR"−G−CONR"−、−NR"−G−SO2−、−NR"−G−SO2NR"−、−O−G−CO−、−O−G−CONR"−、−SO2−、−O−G−SO2−、または−O−G−SO2NR"− を表す(Gは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20 のアリーレン基を表し、R"は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)。cは、0または1を表す。R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。R17は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表す。]
また、本発明は、前記赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとして具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
本発明の赤色着色膜は、顔料の平均一次粒径が5nmから70nmのジケトピロロピロール系赤色顔料を用いており、かつ180℃以上の温度下で成膜した赤色着色膜表面の塩素元素の含有量が、炭素元素量を100とした場合に、0.1〜14.0に調整されているので、着色画素表面および/またはガラス基板上に結晶が析出することがなく、高明度、高コントラストかつ耐熱性に優れたカラーフィルタを得ることができる。
まず、本発明の赤色着色膜について説明する。
<赤色着色膜>
本発明の赤色着色膜は、赤色を呈するためのジケトピロロピロール系赤色顔料と、少なくとも該赤色顔料を担持し、かつ塗膜を形成するための着色剤担体で構成される。光の散乱を最小限にするため、該赤色顔料の平均一次粒子径は5nmから70nmの範囲で制御されている。また、180℃以上の温度下で成膜した赤色着色膜の表面が、塩素元素の含有量をX線光電子分光法で分析して定量化し、炭素元素量を100とした場合に、塩素元素が0.1以上14.0以下となる比率で塩素元素を含んでいる。
このような該赤色着色膜表面の塩素元素の含有量の測定は、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)を用いて行われる。光電子X線分光法は、該赤色着色膜の最表面から深さ数nmの数十原子分の元素の定量が可能であり、本発明者らは、この元素量が、180℃以上の温度下での成膜工程(ポストベーク工程)において結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、高明度でかつ正面のコントラスト比を向上させた赤色着色膜の形成と関係があることを見出した。
本発明者らは、赤色着色組成物を用いて赤色着色膜を形成する工程において、ポストベーク工程前の塩素元素量の炭素元素量に対する比率は、ジケトピロロピロール系赤色顔料を使用したどのような赤色着色組成物であっても、塩素元素がほとんど検出されないか、0.1以上10.0以下の範囲にあるのに対し、ポストベーク工程の前後で、赤色着色膜表面の塩素元素の含有量が変化する現象を見出し、この塩素元素量と炭素元素量の比率と、結晶析出に相関があることをつきとめ本発明に至った。すなわち、X線光電子分光法により測定したポストベーク後の着色膜表面の塩素元素が0.1以上14.0以下となる比率で塩素元素が該赤色着色膜表面に含まれている場合に、結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、高明度かつ高コントラストであり、さらに耐熱性にも優れた赤色着色膜を得ることができることを見出したものである。
塩素元素量の炭素元素量に対する比率は0.1以上12.0以下が好ましく、さらに好ましくは0.1以上10.0以下である。塩素元素が0.1より小さい場合には、結晶析出の問題はないがC.I.Pigment254顔料の含有率が少ないか微細化度が進んでおらず該顔料特有の高明度・高コントラストの特徴が発揮できず、14.0より大きい場合には赤色着色膜表面に存在するジケトピロロピロール系赤色顔料の割合が大きいために結晶化が進み易く、結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出する不具合を生じてしまう。
赤色着色膜の形成は、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、透明基板または反射基板上に形成することにより製造することができる。
着色膜の厚みは、乾燥膜厚が、好ましくは、0.1〜5.0μm、より好ましくは0.5〜3.0μmである。
印刷法による着色膜の形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、着色膜の製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
フォトリソグラフィー法により赤色着色膜を形成する場合は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.1〜5.0μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去しその後ポストベークすることにより所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。ポストベーク工程における温度は、180℃以上260℃以下が好ましい。さらいは、200℃以上240℃以下、より好ましくは220℃以上240℃以下である。180℃より低い温度で焼成した場合には、溶剤や水分が残留したり、架橋成分が未反応のまま残ることがあり、膜の強度が十分でなく、後工程のアルカリ現像やさらなる加熱の工程で色変化や膜厚変化などの不具合を生じ易くなる。また260℃より高い温度で成膜した場合は、樹脂の解重合による分解や熱劣化による着色、さらには顔料の熱劣化による変色の不具合を生じることがある。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
また、さらに赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとしてカラーフィルタを形成する場合には、以下の理由により一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温下に対する耐熱性が要求される。すなわち、該カラーフィルタ上には、一般に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成される場合が多く、これらの透明電極および配向膜の性能を十分に得るには、一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で焼成する必要がある。従って該赤色着色膜には少なくとも同温度以上の高温下に対する耐熱性が要求される。
<赤色着色組成物>
本発明の赤色着色膜は、平均一次粒子径が5nm〜70nmのジケトピロロピロール系赤色顔料と、熱可塑性樹脂とを含む赤色着色組成物から形成されてなる。
[ジケトピロロピロール系赤色顔料]
本発明の赤色着色組成物は、着色剤として、平均一次粒子径が5nm〜70nmのジケトピロロピロール系赤色顔料を含む。ジケトピロロピロール系赤色顔料がこの平均一次粒子径の範囲を満たすことで、顔料担体中への分散が良好であり、かつ光の散乱を最小限にすることが可能となり、高明度、高コントラスト比を達成することができる。
また、コントラスト比が高い着色膜を形成できることから、特に好ましい平均一次粒子径の範囲は、20〜40nmである。
なお、平均一次粒子径は、顔料の粉末にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、分散剤としてDisperbyk−161を少量添加し、超音波で1分間処理し測定用試料を調整した。透過型(TEM)電子顕微鏡により、100個以上の顔料の一次粒子が確認出来る写真を3枚(3視野分)作成し、それぞれ左上から順番に100個の一次粒子の大きさを測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径をnm単位で計測し、その平均をその顔料粒子の一次粒子径とし、合計300個の分布を5nm刻みで作成し、5nm刻みの中央値(例えば6nm以上10nm以下の場合は8nm)をそれらの粒子の粒子径として近似し、それぞれの粒子径とその数を基に計算することで個数平均粒子径を算出した。
ジケトピロロピロール系赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Orange 71、C.I.Pigment Red 254、255、264などが挙げられる。中でも、C.I.Pigment Red 254は、優れた耐光性・耐熱性や透明性、着色力のため、特に好適に用いられる。
なかでも、ジケトピロロピロール系赤色顔料が、それぞれ異なる式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物である、三成分1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール化合物であることが好ましい。
Figure 2012037590
[式中、Xは、下記式(4)もしくは式(5)であって、R1とR2は互いに独立的に水素原子、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜19のアルキルカルバモイル基、炭素数1〜18のアルキルメルカプト基、炭素数1〜18のアルキルアミノ基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、トルフルオロメチル基のいずれかである。]
Figure 2012037590
さらに好ましくは、XにおけるR1とR2が水素原子である式(5)を有する式(2)及び式(3)で表される化合物を含む三成分1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール化合物、またはXにおけるR1とR2が水素原子である式(4)を有する式(2)及び式(3)で表される化合物を含む三成分1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール化合物である。 中でもXにおけるR1とR2が水素原子である式(5)を有する式(2)及び式(3)で表される化合物を含んでいるジケトピロロピロール系赤色顔料を用いることで、C.I.Pigment254顔料の優れた色調を失うことがないまま、非常に高いコントラスト比と、ポストベーク工程において結晶として着色画素表面および/またはガラス基板上に析出することのない、耐熱性に優れた赤色着色膜を得ることが可能となる。
三成分1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール化合物は、例えば、微細で均一な一次粒子のジケトピロロピロール系赤色顔料の粗結晶を合成する工程(第一工程と称する)と、ジケトピロロピロール系赤色顔料の粗結晶の成長を抑制しながら結晶型を制御する工程(第二工程と称する)の2工程により製造することができる。具体的には、第一工程において、微細で均一な一次粒子のジケトピロロピロール系赤色顔料の粗結晶は以下に示す方法で得られる。すなわち、tert−アミルアルコールとナトリウムの混合物を100℃程度に加熱して得られる、強アルカリ存在下で、4−クロロベンゾニトリル、1置換ベンゾニトリルおよびコハク酸ジエステルを80℃程度の高温下で反応させてジケトピロロピロール系赤色顔料のアルカリ金属塩を生成し、その後、この反応混合物を室温に冷却し、プロトン化媒体であるメタノール、水、および濃硫酸の混合物へ添加し、攪拌する。さらに濾過、洗浄後、乾燥して、三成分1,4−ジケト−3,6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール系赤色顔料を調製できる。また、第二工程において、ジケトピロロピロール系赤色顔料の粗結晶を、アルコール80−100重量%および水20−0重量%を含有する媒体中で、低温で混合攪拌処理することにより行うことができる。その他、本発明の式(1)、式(2)および式(3)で表されるジケトピロロピロール系赤色顔料が得られる方法であればその他公知の方法を用いて製造してもよく、これに限定されるものではない。
式(1)と式(2)および式(3)との比率は、ジケトピロロピロール系赤色顔料の全量を基準(100重量%)として、式(1)が40〜95重量%であることが着色力・色純度の点で好ましく、さらに好ましくは60〜90重量%である。式(1)の化合物が40重量%より小さいと着色力が小さくなり多量の顔料を必要としてしまいコストアップとなることや、色純度が低下してカラーフィルタとしての性能を悪くしてしまう。また式(1)の化合物が95重量%より多い場合は、顔料粒子間の親和性が良くなり結晶成長抑制効果が低下してしまう。
ジケトピロロピロール系赤色顔料は、感光性着色組成物の固形分100重量%中に1〜80重量%の範囲で含まれることが好ましく、より好ましくは2〜70重量%の範囲で含まれる。顔料の含有量が1重量%未満であるとカラーフィルタの膜厚が過剰に厚くなる為好ましくなく、80重量%を超えると、良好な分散状態が得られず好ましくない。
[着色剤の微細化]
ジケトピロロピロール系赤色顔料の平均一次粒子径を5nm〜70nmの範囲にする方法としては、顔料を機械的に粉砕して平均一次粒子径を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解した顔料を貧溶媒に投入して所望の平均一次粒子径の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の平均一次粒子径の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、適当な方法を選択して、顔料平均一次粒子径を制御することができる。
なかでもソルトミリング処理といわれる磨砕法を用いることで、平均一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができるために好ましいものである。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との少なくとも3つの成分からなる混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とし、次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細かつ、分布の幅がせまいシャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全重量100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。無機塩の量が50重量部よりも少ないと、所望の大きさの微細化顔料が得られない。また、2000重量部よりも多いと、後の工程における水溶性無機塩および水溶性溶剤の洗浄処理が多大であり、顔料の実質的な微細化処理量が少なくなる。
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全重量100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全重量100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
[その他の着色剤]
さらに本発明の赤色着色組成物は、色度を調製するために他の着色剤を含んでもよい。例えばC.I.ピグメント レッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、169、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、又は287等の赤色顔料が使用できる。また赤色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を併用することもできる。
また赤色着色組成物には、C.I.ピグメント オレンジ 43、又は73等の橙色顔料及び/またはC.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、又は221等の黄色顔料を併用することができる。また橙色及び/または黄色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を使用することもできる。
またこれらの併用して用いることができる着色剤も前記述べたように、ソルトミリング処理等の方法により微細化し用いることが好ましい。
[分散助剤]
着色剤を顔料担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
(色素誘導体)
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物であり、その構造は、下記一般式(6)で示される。
P−Ln 一般式(6)
(ただし、
P:有機顔料残基、アントラキノン残基、アクリドン残基またはトリアジン残基
L:塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基
n:1〜4の整数である)
Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料等が挙げられる。
色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを併用でき、これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
本発明においては、中でも顔料誘導体が好ましく、さらにその構造は、式(7)または式(8)で示される化合物が好ましい。
赤色着色組成物が、さらに式(7)または式(8)で表されるチアジン系色素誘導体を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の赤色着色膜。
Figure 2012037590
[式中、R9は、独立に、−(E)p 基以外の置換基を有していてもよい芳香族又は脂肪族炭素環又は複素環を形成するために必要な基を表す。R10は、独立に、−(E)p 基以外の置換基を有していてもよい芳香族又は脂肪族炭素環又は複素環を形成するために必要な基を表す。Eは、独立に、前記R9を含む環および/またはR10を含む環上に置換した塩基性基であって、式(9)または式(10)で示される。pは、1〜6の整数を表す。]
式(9)
Figure 2012037590
式(10)
Figure 2012037590
[式(9)および式(10)において、記号および添え字は以下の意味を有する。Yは、−S−、−O−、−SO2−、−CO−、−SO2NR'−、−NR'SO2−、−CONR'−、−CH2NR'COCH2NR'−、−(CH2)mNH− を表す(ただし、mは、1〜10の整数を表す。R'は、独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数が2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)。aは、0または1を表す。Zは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリーレン基または窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す(これらの基は、二つ以上組み合わせてよく、−NR'−、−O−、−SO2− または−CO− から選ばれる2価の連結基で互いに結合していてもよい。ここでRは上記定義のとおりである。)。bは、0または1を表す。R11及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基を表し、R11及びR12は窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を形成していてもよい。Wは、−CH2NR"COCH2NR"−、−CH2NR"COCH2NR"−G−、−NR"−、−NR"−G−CO−、−NR"−G−CONR"−、−NR"−G−SO2−、−NR"−G−SO2NR"−、−O−G−CO−、−O−G−CONR"−、−SO2−、−O−G−SO2−、または−O−G−SO2NR"− を表す(Gは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20 のアリーレン基を表し、R"は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)。cは、0または1を表す。R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。R17は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表す。]
本発明の赤色着色膜形成用赤色着色組成物に用いられる、前記一般式(7)または一般式(8)で示されるチアジン系色素誘導体の具体例としては、下記色素誘導体11〜24のようなものが挙げられるが、これに限定されない。
Figure 2012037590
Figure 2012037590
Figure 2012037590
その他のチアジン系色素誘導体としては、例えば、特開2007−314785号公報等に記載されているものを使用できるが、これらに限定されない。また、これらの色素誘導体を単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
チアジン系色素誘導体を用いることで、塩素元素の含有量をX線光電子分光法で分析して定量化し、炭素元素量を100とした場合に、塩素元素量が0.1以上14.0以下となる比率で塩素元素を含む表面状態とすることが容易になるために好ましい。
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果を持つ、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤の選定が重要である。本発明者らは、前記色素誘導体が特にジケトピロロピロール系赤色顔料に対して高い分散能を示し、ポストベーク後においても十分に顔料を被覆できる、すなわち、ジケトピロロピロール系赤色顔料の表面に吸着した該色素誘導体がポストベーク工程によっても脱離せず、顔料同士の結晶化や顔料の膜表面への移動を妨げる効果が働くために、該赤色着色膜表面の塩素の含有量を0.1以上14.0以下の比率により制御しやすくなることを見出した。言い換えれば、前記色素誘導体を分散助剤として用いることで、近時要求される高度なレベルで分散できるだけでなく、該赤色着色膜の形成工程であるポストベーク工程での耐熱性にも優れた赤色着色膜を得ることができる。従って、着色画素表面および/またはガラス基板上に結晶として析出することのない、高明度かつ高コントラストの赤色着色膜を得ることができる。
色素誘導体の配合量は、分散性向上の点から、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、最も好ましくは3重量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤100重量部に対し、好ましくは40重量部以下、最も好ましくは35重量部以下である。
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、着色剤に吸着して着色剤の着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、チバ・ジャパン社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸モノエタノールアミン、ドデシル硫酸トリエタノールアミン、ドデシル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合には、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、配合量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
[熱可塑性樹脂]
本発明の着色組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透明樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂には、活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、本発明の着色組成物においては、アクリル樹脂が好適に用いられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。中でも、式(11)で表される化合物(e)と他のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(f)とを共重合してなる樹脂を含有することが好ましい。該樹脂は、殆ど全ての顔料に優れた分散効果を発揮するため、着色組成物中において顔料の凝集を防ぎ、顔料が微細に分散した状態を維持する働きをする。そのため、上記樹脂を含む顔料担体に顔料を分散してなる本発明の着色組成物を用いてフィルタセグメントを形成した場合には、顔料凝集物の少ないフィルタセグメントを形成することができ、高透過率で明度が高いカラーフィルタを製造することができる。
式(11)
Figure 2012037590
式(11)において、R18は、水素原子またはベンゼン環などの置換基を含んでも良い炭素数1〜20のアルキル基を表す。R19はアルキレン基を表す。R20は、水素原子またはメチル基を表す。mは1〜15の整数を表す。
上記樹脂の構成成分である式(11)で表される化合物(e)は、ベンゼン環のπ電子の効果により顔料表面への吸着/配向性が良好となる。特に式(11)がパラクミルフェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートである場合には、その立体的な効果も加わり顔料に対しより良好な吸着/配向面を形成できるのでより効果が高い。また、R18のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、好ましくは1〜10である。炭素数が1〜10のときはアルキル基が障害となり樹脂同士の接近を抑制し顔料への吸着/配向を促進するが、炭素数が10を越えるとアルキル基の立体障害効果が高くなりベンゼン環の顔料表面への吸着/配向までをも妨げる。これは鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を越えるとベンゼン環の吸着/配向が極端に低下する。
化合物(e)としては、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
化合物(f)としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)ペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、3クロロ2アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
上記樹脂を構成する化合物中の化合物(e)の割合は、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは10〜35重量%である。化合物(e)の割合が0.1重量%より少ないと充分な顔料の分散効果を得ることができず、50重量%より多いと着色組成物中の他の構成成分との相溶性が低下し、モノマーや光重合開始剤の析出が起こることがある。
上記樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
上記樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、顔料分散性、現像性、及び耐熱性の観点から、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
上記樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤100重量部に対し、30重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500重量部以下の量で用いることが好ましい。
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
エチレン性不飽和活性二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(g)や(h)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
<方法(g)>
方法(g)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
方法(g)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
<方法(h)>
方法(h)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
[熱硬化性化合物]
本発明においては、さらに熱硬化性化合物を含むことで、着色膜の硬化度が向上し、炭素元素量を100とした場合の赤色着色膜表面の塩素元素の含有量を0.1以上14.0以下の比率にすることが容易になり、それにより同時にジケトピロロピロール系赤色顔料の結晶析出を著しく抑制できるようになるために好ましい。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、これら熱硬化性樹脂の加熱重合前のモノマー及びオリゴマーが挙げられる。
また、熱硬化性化合物に対しても、さらに光感度を向上させるために、不飽和エチレン性二重結合を導入し活性エネルギー硬化性を持たせて使用することが好まれる。不飽和エチレン性二重結合を導入する方法としては、熱可塑性樹脂で用いた(g)や(h)の方法を用いてもよいし、その他公知の方法を使用してもよい。
熱硬化性化合物の中でも、エポキシ化合物およびメラミン化合物は、特に透明性に優れ、さらに現像速度及び感光性に及ぼす影響が少なく、光照射及び/または焼成によって硬化した後の塗膜が、耐熱性に優れているために好ましい。メラミン化合物のなかでも、メチロールイミノ基(−NHCH2OH)を有するメラミン化合物は、熱硬化方向が立体的であり、該化合物を含む着色組成物から形成される塗膜は熱硬化スピードと熱硬化が始まる起点が早いため、熱硬化後の顔料結晶成長に対する硬牢度が高くなるために好ましいものである。
熱硬化性化合物の含有量は、着色組成物中のジケトピロロピロール系赤色顔料の重量100重量部に対し、2〜100重量部が好ましい。2重量部未満の添加量では、膜の硬化密度が低く、結晶成長抑制効果が小さく、100重量部を超えた場合は、光重合性単量体や光重合開始剤等の添加量が制限され十分な現像性が確保できない他、経時安定性が問題となることがある。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物とは、エポキシ基を有する化合物を指し、カラーフィルタ作製工程である焼成時に、エポキシ基が熱硬化反応を起こし、塗膜表面・内部が架橋されて、顔料粒子の凝集による顔料結晶成長を抑制することができる点で好適に用いられる。エポキシ化合物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、代表例としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、エポキシ化油等のエポキシ樹脂;前記エポキシ樹脂の臭素化誘導体や、トリス(グリシジルフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。中でも、ビスフェニルA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環式脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、トリス(グリシジルフェニル)メタンが、膜の硬化密度が高く、かつ着色組成物の現像性に対する悪影響が少ない点で好ましい。
本発明に使用可能な好ましい市販のエポキシ化合物の例としては、ナガセケムテックス社製EX111、EX201、EX411、EX901、EX212L、DA−111、DA−141、日本化薬社製EPPN501H、ジャパンエポキシレジン社製JER152等が挙げられる。
また、エポキシ化合物の硬化を促進させるため、エポキシ硬化剤を併用してもよい。代表的なエポキシ硬化剤としては、酸無水物系硬化剤とアミン系硬化剤の2種が挙げられるが、アミン系硬化剤は、反応速度が速く、一液系で安定させる事が難しいという欠点を有す点、及び液晶相に抽出されると電圧保持率悪化が懸念される点、亜鉛フタロシアニン顔料との相性が悪く分散安定性の確保が難しい点から、本発明では酸無水物系エポキシ硬化剤が望ましい。酸無水物系エポキシ硬化剤としては、マレイン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸の酸無水物等を例示することができる。このうち、緻密な架橋構造の構築が可能となるといった観点から、好ましくは1 分子中に2 以上の無水物基を有するものであるのがよく、短波長の透過が良好であるなどの光学特性や液晶の電圧保持率を高く保持することができるといった観点から、更に好ましくはシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の飽和炭化水素系の多官能酸無水物であるのがよい。
(メラミン化合物)
本発明の着色組成物は、式(12)で表されるメラミン化合物またはその縮合物が好ましく用いられる。
式(12)
Figure 2012037590
[式中、R3〜R8は、互いに独立的に水素原子又は−CH2OR(Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、R3〜R8は同一であっても異なっていても良い。−CH2OR基のRは上記式(12)の中で同一であっても異なっていても良い。]
式(12)で表されるメラミン化合物は、保存安定性があまり良くないため、その縮合物を用いることが好ましく、縮合物の重量平均重合度は、1.5〜6.0であることが好ましい。
メラミン化合物の中でも、メチロールイミノ基(−NHCH2OH)を有するメラミン化合物は、熱硬化方向が立体的であり、該化合物を含む着色組成物から形成される塗膜は熱硬化スピードと熱硬化が始まる起点が早いため、熱硬化後の顔料結晶成長に対する硬牢度が高くなる。その理由としては、大きく2つある。
1つめは、メチロールイミノ基を有するメラミン化合物を用いることにより、反応起点の数を増やすことができるためである。メチロールイミノ基を有するメラミン化合物は、分子のサイズが小さく、一定重量中に反応起点が多く存在する。そのため、熱硬化のスピードが早く、熱硬化が網羅的に行われる。
2つめは、メチロールイミノ基を有するメラミン化合物は、熱エネルギーを受けたときに熱エネルギーの増幅効果を発揮するためである。メチロールイミノ基を有するメラミン化合物の熱硬化は、熱エネルギーを受けることによって始まり、温度が低い場合には熱エネルギー量は少なく、温度が高い場合には熱エネルギー量は多くなるという比例関係にある。メチロールイミノ基を有するメラミン化合物は、熱エネルギーを受けると、化合物中に存在する非共有電子対の影響により電子移動に起因するエネルギーが生じ、熱エネルギーが増幅されるため、低温でも熱硬化が進み、硬化スピードが早くなる。
メチロールイミノ基を有するメラミン化合物は、化合物中に遊離ホルムアルデヒドを0.5〜4.0重量%の量で含むことが好ましい。メチロールイミノ基を有するメラミン化合物中の遊離ホルムアルデヒドが熱硬化の触媒となり、熱硬化反応を促進するためである。遊離ホルムアルデヒド量が1.5重量%より少ない場合には、十分に熱硬化反応が促進されず、3.0重量%より多い場合は、メチロールイミノ基を有するメラミン化合物自体の保存性が不安定となり、経時によって発揮される硬化パフォーマンスが変わってしまう。
メチロールイミノ基を有するメラミン化合物中の遊離ホルムアルデヒド量は、日本工業標準調査会の定める規格番号 JIS L1041記載の方法によって測定することができる。
上記式(12)で表されるメラミン化合物の縮合物の市販品としては、日本カーバイド工業株式会社の「ニカラック MS−001」、「ニカラック MX−002」、「ニカラック MX−750」、「ニカラック MX−706」、「ニカラック MX−042」、「ニカラック MX−035」を挙げることができる。
メチロールイミノ基を有するメラミン化合物の含有量は、着色組成物中のジケトピロロピロール系赤色顔料の重量100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。前記範囲は、相反する傾向にある有機顔料の結晶成長による硬化塗膜のコントラスト比の低下と、顔料粒子の凝集による硬化塗膜のコントラスト比の低下のバランスがとれ、顔料粒子の凝集による硬化塗膜のコントラスト比の低下が起こらず、かつ硬化塗膜のコントラスト比の低下も抑えられる最適量である。
30重量部を超えてメチロールイミノ基を有するメラミン化合物が含まれる場合、着色組成物中の顔料粒子の凝集が起きてしまう。逆に、2重量部以上とすることで、メチロールイミノ基を有するメラミン化合物が含まれる場合、熱による顔料結晶成長抑制によりコントラスト比をより高くすることができる。
[溶剤]
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。
溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
中でも、本発明の着色組成物の保存安定性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。また溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタセグメントを形成できることから、着色剤100重量部に対し、800〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
本発明の赤色着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合性単量体、光重合開始剤等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調整することができる。
[光重合性単量体]
光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。光重合性単量体の配合量は、着色剤の全重量100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
[光重合開始剤]
本発明の赤色着色組成物は、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えてアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製して用いることができる。
光重合開始剤を使用する際の配合量は、着色剤の全量100重量部に対し、5〜200重量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜150重量部であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、 ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
上記の光重合開始剤の中で好ましい例としては、アセトフェノン系有機化合物、アシルフォスフィンオキサイド系有機化合物、オキシムエステル系有機化合物が挙げられる。
[増感剤]
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物の他、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
増感剤は、必要に応じて任意の比率で二種以上用いてもかまわない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
[紫外線吸収剤]
本発明のカラーフィルタ形成用着色組成物には紫外線吸収剤を含有させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物があげられる。
トリアジン系有機化合物としては、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、85%2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン・・・、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン等が挙げられる。
ベンゾフェノン系有機化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等
が挙げられる。
また、ベンゾトリアゾール系有機化合物としては5%2−メトキシ−1−メチルエチルアセテート95%ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステル、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、光重合開始剤100重量部に対し、5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量部である。
紫外線吸収剤が光重合開始剤100重量部に対して、5重量部未満であると解像性において効果が薄く、50重量部を超えると密着性が弱まりパターンがはがれやすくなるので好ましくない。
[アミン系化合物]
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
[レベリング剤]
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
[硬化剤、硬化促進剤]
また本発明の着色組成物には、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性化合物と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性化合物100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
[その他の添加剤成分]
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100重量%)として、0.1〜10重量%の量で用いることができる。
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物に含まれる着色剤100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
[赤色着色組成物の製造]
本発明の赤色着色膜形成用赤色着色組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物は、一般的には、熱可塑性樹脂と、光重合性単量体と、光重合開始剤と、溶剤とを含有する組成物中に顔料を分散させたものである。
本発明の赤色着色膜形成用感光性着色組成物は、着色剤であるジケトピロロピロール系赤色顔料と、熱可塑性樹脂と、必要に応じて、分散助剤、溶剤、及び添加剤等を混合して、三本ロールミル、二本ロールミル、ニーダー、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等で分散することにより、顔料を樹脂溶液に分散せしめてなる顔料分散体を調製し、次いで、前記顔料分散体と、光重合性単量体と、光重合開始剤と、必要に応じて溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。
また、2種以上の着色剤を含む着色組成物は、顔料を予め混合し、得られた顔料混合物を着色剤担体中に微細に分散して製造することもできるし、各々の顔料を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
光重合開始剤は、感光性着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した感光性着色組成物に後から加えてもよい。
[粗大粒子の除去]
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
<カラーフィルタ>
つぎに、本発明のカラーフィルタについて説明する。
カラーフィルタは、基板上に印刷法またはフォトリソグラフィー法により形成した、赤色、緑色、青色、シアン色、イエロー色およびマゼンタ色から選ばれる2〜6色のフィルタセグメントを具備するものであり、例えば、ブラックマトリックスと、赤色、緑色、青色、シアン色、イエロー色およびマゼンタ色から選ばれる2〜6色のフィルタセグメントとを備えるものである。本発明のカラーフィルタは、本発明の赤色着色膜形成用赤色着色組成物を用いて上述した方法で形成した赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとして具備するものである。
本発明により製造される赤色フィルタセグメント以外の各色のフィルタセグメントは、従来用いられる緑色着色組成物、青色着色組成物等を用いて形成することができる。
本発明における赤色着色組成物以外の各色着色組成物としては、各色顔料、前記樹脂、前記光重合開始剤、前記光重合性組成物等を含有する通常の各感光性着色組成物を用いて形成することができる。
緑色フィルタセグメントは、緑色顔料と顔料担体を含む通常の緑色着色組成物を用いて形成することができる。
用いることの出来る着色剤としては、例えばC.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58等が挙げられる。
また緑色着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。併用可能な黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、又は221等の黄色顔料を挙げることができる。また黄色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を併用することもできる。
青色フィルタセグメントは、青色顔料と顔料担体を含む通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。
用いることの出来る着色剤としては、例えばC.I. ピグメント ブルー 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、又は64等を用いることができる。青色着色組成物には、C.I. ピグメント バイオレット 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、又は50等の紫色顔料を併用することができる。また紫色を呈する塩基性染料、酸性染料やそれら染料の造塩化合物を併用することもできる。
透明基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。反射基板としては、シリコンや、前記の透明基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜などを形成したものが用いられる。
透明基板または反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板または反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などが形成される。カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)などのカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
まず、実施例および比較例で用いたジケトピロロピロール系赤色顔料、その他の赤色顔料、アクリル樹脂溶液、メラミン化合物溶液、色素誘導体、着色剤分散体、および赤色着色組成物の製造方法について説明する。
(樹脂の重量平均分子量)
アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(遊離ホルムアルデヒド量)
メラミン化合物中の遊離ホルムアルデヒド量は、JIS L1041記載の方法によって測定した。
(顔料の平均一次粒子径)
次のような方法により、顔料の平均一次粒子径を測定(算出)した。
顔料の粉末にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え、分散剤としてDisperbyk−161を少量添加し、超音波で1分間処理し測定用試料を調整した。透過型(TEM)電子顕微鏡により、100個以上の顔料の一次粒子が確認出来る写真を3枚(3視野分)作成し、それぞれ左上から順番に100個の一次粒子の大きさを測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径をnm単位で計測し、その平均をその顔料粒子の一次粒子径とし、合計300個の分布を5nm刻みで作成し、5nm刻みの中央値(例えば6nm以上10nm以下の場合は8nm)をそれらの粒子の粒子径として近似し、それぞれの粒子径とその数を基に計算することで個数平均粒子径を算出した。
(塗膜表面塩素元素量の測定)
塗膜表面塩素元素比率をX線光電子分光分析装置ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)AXIS−HS(島津製作所/Kratos社製)により測定した。
(塗膜のコントラスト比の測定法)
塗膜のコントラスト比の測定法について説明する。
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜を通過し、偏光板に到達する。偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
従って、塗膜中の顔料により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
<ジケトピロロピロール系赤色顔料の製造>
(赤色顔料2(R−2)の調製)
赤色顔料1(C.I. Pigment Red 254、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGAPHOR RED B−CF」;R−1)136部、表2に示す分散剤A−1 24部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、156部のソルトミリング処理赤色顔料2(R−2)を得た。
(赤色顔料3(R−3)の調製)
赤色顔料1(C.I. Pigment Red 254、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGAPHOR RED B−CF」;R−1)136部、表2に示す分散剤A−1 24部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で18時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、156部のソルトミリング処理赤色顔料3(R−3)を得た。
(赤色顔料4(R−4)の調製)
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填する。ナトリウム11.04部を添加し、そしてこの混合物を92〜102℃に加熱する。溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持する。
得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの44.2部、4−シアノビフェニルの5.0部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を80℃において、tert−アミルアルコールの50部中に溶解した溶液を、80〜98℃において2時間かけて導入する。導入後、この反応混合物を80℃においてさらに3時間撹拌し、そして同時にジイソプロピルスクシナートの4.88部を滴下添加する。この反応混合物を室温に冷却し、メタノールの270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物へ添加し、20℃において攪拌を6時間続ける。この赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料4(R−4)を得た。このとき、式(1)の化合物が90重量%、式(2)および(3)の化合物が10重量%の混合物であった。
(赤色顔料5(R−5)の調製)
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填する。ナトリウム11.04部を添加し、そしてこの混合物を92〜102℃に加熱する。溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持する。
得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの24.8部、4−シアノビフェニルの24.4部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を80℃において、tert−アミルアルコールの50部中に溶解した溶液を、80〜98℃において2時間かけて導入する。導入後、この反応混合物を80℃においてさらに3時間撹拌し、そして同時にジイソプロピルスクシナートの4.88部を滴下添加する。この反応混合物を室温に冷却し、メタノールの270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物へ添加し、20℃において攪拌を6時間続ける。この赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の微細化ジケトピロロピロール系赤色顔料5(R−5)を得た。このとき、式(1)の化合物が50重量%、式(2)および(3)の化合物が50重量%の混合物であった。
それぞれの顔料の平均一次粒子径を表1に示した。
Figure 2012037590
<その他の赤色顔料の製造>
(アントラキノン系赤色顔料1(PR177−1)の調製)
アントラキノン系赤色顔料(C.I. Pigment Red 177):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で8時間混練し、赤色ドウを得た。得られた赤色ドウを10リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、水洗、濾過を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、430部の微細化アントラキノン系赤色顔料1(PR177−1)を得た。アントラキノン系赤色顔料1の平均一次粒子径は38.9nmであった。
<アクリル樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、この測定結果に基づき、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるように減圧乾燥、またはシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
<メラミン化合物溶液の製造方法>
(メラミン化合物溶液1の調製)
温度計、 還流冷却器および攪拌棒を備えた四つ口フラスコに、 メタノール132部を仕込み、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12.0に調整した。そこへパラホルムアルデヒド(92%CH2O)135部を仕込み、60℃で30分間保温して、パラホルムアルデヒドをメタノールに溶解させた。次に、メラミン130部を仕込み、水酸化ナトリウム水溶液でpHを14.0に調整した。還流温度で、メタノールを系外に留去しながら1時間反応させ、さらに常圧で内温が110℃になるまで濃縮した。反応中間生成物にメタノールを495部添加し、塩酸でpHを5.0に調整し、50℃で5.0時間反応させたあと、 水酸化ナトリウム水溶液でpHを10.0に調整した。次に、生成した中和塩を濾過し、濾液を常圧で内温が110℃になるまで濃縮して、メラミン化合物溶液を得た。得られたメラミン化合物溶液にシクロヘキサノンを添加し、固形分20重量%になるよう調整し、メラミン化合物溶液1を得た。JIS L1041記載の方法によって遊離ホルムアルデヒド量を測定したところ、3.0重量%であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算からの重量平均分子量によって、メチロールイミノ基を有するメラミン化合物の重合度を測定したところ、重量平均重合度は、5.5であった。
<色素誘導体の製造方法>
(色素誘導体12(A−3)の調製)
スルホン化フラスコにクロロスルホン酸300部、トランス型チアジンインジゴ顔料30部を室温で仕込み、7時間攪拌した後、1500部の氷水に15分かけて滴下した。沈殿したスルホニルクロリドをろ過し、3000部の氷水で洗浄し、スルホニルクロリドチアジンプレスケーキを得た。3Lビーカーに、500部の氷と500部の水、47.8部のジエチルアミノプロピルアミンを投入し、90分攪拌した。生成物をろ過、水で洗浄し、80℃で乾燥させた。これにより色素誘導体12(A−3)を得た。色素誘導体12(A−3)に対応する分子量710.38をマススペクトルにて確認し、81%のLC純度であった。
<着色剤分散体の製造方法>
(着色剤分散体1(RP−1)の調製)
下記に示す配合組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、ピコミルで10時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、着色剤分散体(RP−1)を作製した。
アントラキノン系赤色顔料1(PR177−1) 10.0部
色素誘導体(A−1) 2.0部
顔料分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 8.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 80.0部
(着色剤分散体2〜9(RP−2〜9)の調製)
赤色顔料および色素誘導体を表2、3に記載の顔料、誘導体に変更した以外は着色剤分散体1(RP−1)と同様にして着色剤分散体2〜9(RP−2〜9)を作製した。
Figure 2012037590
Figure 2012037590
<赤色着色組成物の製造方法>
(赤色着色組成物1(RR−1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過し、赤色着色組成物1(RR−1)を作製した。
着色剤分散体1(RP−1) 16.7部
着色剤分散体2(RP−6) 16.7部
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製「イルガキュア907」) 2.0部
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.4部
ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート 3.4部
(東亞合成社製「アロニックスM400」)
アクリル樹脂溶液 37.0部
メラミン化合物溶液1 0.0部
3−エトキシプロピオン酸エチル 23.9部
(赤色着色組成物2〜13(RR−2〜13)の調製)
着色剤分散体2およびアクリル樹脂溶液を表4に記載の着色剤分散体、メラミン化合物およびエポキシ化合物に変更した以外は赤色着色組成物1(RR−1)と同様にして赤色着色組成物2〜13(RR−2〜13)を作製した。
Figure 2012037590
表4中の略語を下記に示す。
メラミン化合物;メラミン化合物溶液1
エポキシ化合物;ナガセケムテックス社製EX111
モノマー;ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックスM400」)
光重合開始剤;チバ・ジャパン社製「イルガキュア907」
増感剤;保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」
有機溶剤;3−エトキシプロピオン酸エチル
[実施例1〜7、比較例1〜6]
(赤色着色膜の作成)
着色組成物(RR−1〜13)を用いて、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、C光源でのx値が0.645となるように膜厚を調整して塗膜を作製し230℃で60分間加熱して赤色着色膜を得た。
赤色着色膜の塗膜表面塩素元素比率、コントラスト比を表5に示す。
なお、コントラスト比は、下記基準に従って判定した。

○ ・・・8000以上
△ ・・・2000以上8000未満
× ・・・2000未満
結果を表5に示す。
(塗膜表面の結晶析出評価)
得られた着色組成物を用いて、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、C光源でのx値が0.645となるように膜厚を調整して塗膜を作製し230℃で60分間加熱処理した後、さらに240℃60分間の加熱処理を2回繰り返した。加熱処理後の基板の塗膜表面を光学顕微鏡にて観察し、結晶析出有無を下記基準に従って判定した。結果を表5に示す。

◎ ・・・230℃60分間加熱処理後、さらなる240℃60分間加熱処理後、
およびさらなる240℃60分間加熱処理でも結晶析出なし
○ ・・・230℃60分間加熱処理後、およびさらなる240℃60分間加熱処理でも
結晶析出なし(2回目の240℃60分間加熱処理で軽微な結晶析出あり)
△ ・・・230℃60分間加熱処理後では結晶析出ないが、さらなる240℃60分間加熱処理
で少し結晶析出あり
× ・・・230℃60分間加熱処理後で結晶析出あり
××・・・230℃60分間加熱処理後で多数の結晶析出あり
Figure 2012037590
表5の結果より、180℃以上の加熱により成膜した赤色着色膜表面の塩素の含有量が、炭素を100とした場合に、0.1以上14.0以下である実施例1〜7において、結晶析出が抑制され高コントラストな赤色着色膜が得られた。
特に実施例3では色素誘導体として式(7)で表される構造を有する色素誘導体とメラミン化合物を併用することで結晶析出が抑制され、かつ、高コントラストで耐熱性にも優れた赤色着色膜を得ることができている。
これに対して比較例1は、結晶析出は見られないが、顔料の平均一次粒子径が大きくてコントラストが低く、比較例2〜4、6は、赤色着色膜表面の塩素元素の比率が加熱処理前ではいずれも14.0以下で実施例と変わらないが、180℃以上の加熱により成膜した赤色着色膜表面の塩素の含有量が、いずれも14より大きく結晶析出が見られ低コントラストであった。また比較例5では現像工程でのパターン剥がれが発生したため、良好な赤色着色膜を得ることが出来ていない。以上の結果より、本発明の効果が実証された。

Claims (6)

  1. 平均一次粒子径が5nm〜70nmのジケトピロロピロール系赤色顔料と、熱可塑性樹脂とを含む赤色着色組成物から、180℃以上の温度下で成膜されてなる赤色着色膜であって、
    その表面の塩素元素の含有量が、炭素元素量を100とした場合に、0.1〜14.0であることを特徴とする赤色着色膜。
  2. ジケトピロロピロール系赤色顔料が、それぞれ異なる式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の赤色着色膜。
    Figure 2012037590
    [式中、Xは、下記式(4)もしくは式(5)であって、R1とR2は互いに独立的に水素原子、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜19のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜19のアルキルカルバモイル基、炭素数1〜18のアルキルメルカプト基、炭素数1〜18のアルキルアミノ基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、トルフルオロメチル基のいずれかである。]
    Figure 2012037590
  3. 赤色着色組成物が、さらに熱硬化性化合物を含み、該熱硬化性化合物の含有量が、ジケトピロロピロール系赤色顔料100重量部に対して、2〜100重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤色着色膜。
  4. 熱硬化性化合物が、式(12)で表されるメラミン化合物またはその縮合物であることを特徴とする請求項3に記載の赤色着色膜。
    式(12)
    Figure 2012037590
    [式中、R3〜R8は、互いに独立的に水素原子又は−CH2OR(Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す)を表し、R3〜R8は同一であっても異なっていても良い。−CH2OR基のRは上記式(12)の中で同一であっても異なっていても良い。]
  5. 赤色着色組成物が、さらに式(7)または式(8)で表されるチアジン系色素誘導体を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の赤色着色膜。
    Figure 2012037590
    [式中、R9は、独立に、−(E)p 基以外の置換基を有していてもよい芳香族又は脂肪族炭素環又は複素環を形成するために必要な基を表す。R10は、独立に、−(E)p 基以外の置換基を有していてもよい芳香族又は脂肪族炭素環又は複素環を形成するために必要な基を表す。Eは、独立に、前記R9を含む環および/またはR10を含む環上に置換した塩基性基であって、式(9)または式(10)で示される。pは、1〜6の整数を表す。]
    式(9)
    Figure 2012037590
    式(10)
    Figure 2012037590
    [式(9)および式(10)において、記号および添え字は以下の意味を有する。Yは、−S−、−O−、−SO2−、−CO−、−SO2NR'−、−NR'SO2−、−CONR'−、−CH2NR'COCH2NR'−、−(CH2)mNH− を表す(ただし、mは、1〜10の整数を表す。R'は、独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数が1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数が2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)。aは、0または1を表す。Zは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリーレン基または窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す(これらの基は、二つ以上組み合わせてよく、−NR'−、−O−、−SO2− または−CO− から選ばれる2価の連結基で互いに結合していてもよい。ここでR'は上記定義のとおりである。)。bは、0または1を表す。R11及びR12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基を表し、R11及びR12は窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を形成していてもよい。Wは、−CH2NR"COCH2NR"−、−CH2NR"COCH2NR"−G−、−NR"−、−NR"−G−CO−、−NR"−G−CONR"−、−NR"−G−SO2−、−NR"−G−SO2NR"−、−O−G−CO−、−O−G−CONR"−、−SO2−、−O−G−SO2−、または−O−G−SO2NR"− を表す(Gは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニレン基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20 のアリーレン基を表し、R"は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)。cは、0または1を表す。R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルケニル基または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。R17は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表す。]
  6. 請求項1乃至5いずれか1項に記載の赤色着色膜を赤色フィルタセグメントとして具備することを特徴とするカラーフィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013195941A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd カラーフィルタ用赤色着色組成物及びカラーフィルタ
JP2014214244A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド 顔料組成物及び顔料樹脂混合物
JP2015113366A (ja) * 2013-12-10 2015-06-22 大日精化工業株式会社 ジケトピロロピロール顔料組成物およびそれを用いた顔料着色剤

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