JP2012036942A - 歯車装置のスラスト荷重伝達機構 - Google Patents

歯車装置のスラスト荷重伝達機構 Download PDF

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Abstract

【課題】ラジアル荷重とスラスト荷重を伝達することができ、かつスラスト荷重を伝達する面の相対速度及びすべり摩擦を大幅に低減して焼付きを防止することができる歯車装置のスラスト荷重伝達機構を提供する。
【解決手段】ホイール歯車12は、その両側面にホイール歯車のピッチ円12aを含む第1切頭円錐面32を有する。ピニオン軸13は、ホイール歯車の両側面に位置し、軸方向内面にピニオン歯車のピッチ円13aを含む第2切頭円錐面34を有する1対のスラストカラー18を有する。第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34は、それぞれの母線の最近接位置において平行に位置する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ラジアル荷重とスラスト荷重を伝達する歯車装置のスラスト荷重伝達機構に関する。
例えば、歯車駆動ターボ圧縮機では、駆動装置の回転を歯車増速機で増速してターボ圧縮機のインペラを高速で回転駆動する。この歯車増速機は、インペラに直結されたピニオン歯車(小歯車)と駆動装置に直結されたホイール歯車とが歯合し、ホイール歯車からピニオン歯車にラジアル荷重を伝達すると共に、ピニオン歯車からホイール歯車にスラスト荷重が伝達されるようになっている。
なお、かかる歯車装置は、例えば特許文献1〜3に開示されている。
特開平05−99282号公報、「歯車装置」 特開平08−189494号公報、「歯車駆動式多軸ターボ形圧縮機及び歯車駆動式多軸ラジアル膨張機」 特開2008−231933号公報、「歯車駆動ターボ形圧縮機」
図1は、上述した従来の歯車駆動ターボ圧縮機におけるスラスト荷重伝達機構の構成図である。
この図において、1はインペラ(図示せず)に直結されたピニオン歯車(小歯車)、2は駆動装置(図示せず)に直結されたホイール歯車、3はピニオン歯車1の両側(図で上下)に設けられたスラストカラー、4はスラストカラー3の軸方向内面に設けられたピニオン側テーパ面、5はホイール歯車2の側面に設けられたホイール側テーパ面である。
このスラスト荷重伝達機構では、ピニオン歯車1とホイール歯車2とが歯合し、ホイール歯車2からピニオン歯車1にラジアル荷重を伝達すると共に、ピニオン歯車1を有するピニオン軸6に作用するスラスト荷重7を、ピニオン側テーパ面4とホイール側テーパ面5の間に潤滑油膜を形成させてホイール歯車2に伝達するようになっている。
図1において、Rはホイール歯車2の中心からホイール側テーパ面5の中心までの半径、R1はホイール歯車2のピッチ円半径である。
上述した従来のスラスト荷重伝達機構では、半径Rとピッチ円半径R1が大きく異なるため、ピニオン側テーパ面4とホイール側テーパ面5との相対速度が大きく、その間のすべり摩擦により、焼付きが生じるおそれがあった。
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ラジアル荷重とスラスト荷重を伝達することができ、かつスラスト荷重を伝達する面の相対速度及びすべり摩擦を大幅に低減して焼付きを防止することができる歯車装置のスラスト荷重伝達機構を提供することにある。
本発明によれば、ピニオン歯車を有するピニオン軸とホイール歯車を有するホイール軸とを有し、ピニオン歯車とホイール歯車とが歯合し、ホイール歯車からピニオン歯車にラジアル荷重を伝達すると共に、ピニオン歯車からホイール歯車にスラスト荷重が伝達される歯車装置のスラスト荷重伝達機構であって、
前記ホイール歯車は、その両側面にホイール歯車のピッチ円を含む第1切頭円錐面を有し、
前記ピニオン軸は、前記ホイール歯車の両側面に位置し、軸方向内面にピニオン歯車のピッチ円を含む第2切頭円錐面を有する1対のスラストカラーを有し、
前記第1切頭円錐面と第2切頭円錐面は、それぞれの母線の最近接位置において平行に位置する、ことを特徴とする歯車装置のスラスト荷重伝達機構が提供される。
本発明の実施形態によれば、前記歯車装置は、前記ホイール歯車を駆動装置で回転駆動し、この回転により前記ピニオン歯車を増速し、その両端に取り付けられた羽根車を高速回転する歯車駆動ターボ圧縮機の歯車増速機である。
上記本発明の構成によれば、ホイール歯車に設けられた第1切頭円錐面とピニオン軸に設けられた第2切頭円錐面が、それぞれの母線の最近接位置において平行に位置するので、第1切頭円錐面と第2切頭円錐面の最近接領域に潤滑油膜を形成して、その間で潤滑油膜を介してスラスト荷重を伝達することができる。
また、第1切頭円錐面はホイール歯車のピッチ円を含んでおり、第2切頭円錐面はピニオン歯車のピッチ円を含んでいるので、ピッチ円における相対速度及びすべり摩擦は0であり、スラスト荷重を伝達するスラスト支持面(第1切頭円錐面と第2切頭円錐面)の相対速度及びすべり摩擦を大幅に低減して焼付きを防止することができる。
従来の歯車駆動ターボ圧縮機におけるスラスト荷重伝達機構の構成図である。 本発明によるスラスト荷重伝達機構を備えた歯車駆動ターボ圧縮機の部分断面図である。 本発明によるスラスト荷重伝達機構の第1実施形態図である。 ホイール歯車とピニオン歯車のピッチ円を示す図である。 本発明によるスラスト荷重伝達機構の第2実施形態図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図2は、本発明によるスラスト荷重伝達機構を備えた歯車駆動ターボ圧縮機の部分断面図である。
この図において、歯車駆動ターボ圧縮機は4段圧縮機であり、4つ(図には2つのみ示す)のインペラ16(以下、「羽根車」と呼ぶ)で対象ガスを順次圧縮し高圧を得るようになっている。なおこの図において、羽根車を囲むコンプレッサハウジングとガス流路は図示を省略している。
図2において、12はホイール歯車(又は大歯車と呼ぶ)、14はピニオン歯車(又は小歯車と呼ぶ)であり、ホイール歯車12を図示しない駆動装置(電動機、エンジン、タービン等)で回転駆動し、この回転によりピニオン歯車14を増速し、その両端に取り付けられた羽根車16を高速回転する。ホイール歯車12とピニオン歯車14とからなる歯車増速機の増速比は通常10倍程度であり、各羽根車は、毎分約1万回転〜毎分数万回転で高速回転する。
図2において、18はピニオン軸13にピニオン歯車14を挟んで固定されたスラストカラーであり、20はホイール軸11のスラストを支持するスラスト軸受である。各羽根車に作用するスラスト力とホイール歯車とピニオン歯車の噛み合いによるスラスト力は、スラストカラー18及びその間で摺動可能に支持されたホイール歯車12を介してスラスト軸受20に伝達され支持される。
なおこの図において、15は歯車箱(ケーシング)、22はラジアル軸受、23はガスシール、24は油切(オイルシール)である。
図3は、本発明によるスラスト荷重伝達機構の第1実施形態図である。この図は、図2のホイール歯車12とピニオン歯車14の噛み合い部分(破線部分)を反時計まわりに90°回転させて示している。
ホイール歯車12は、その歯先部の両側面(図で左右)にホイール歯車12のピッチ円12aを含む第1切頭円錐面32を有する。第1切頭円錐面32はホイール歯車12の軸線12bを中心とする円錐面の一部である。
なおこの例において、ホイール歯車12の歯面の両側に切頭円錐形部分33が一体的に設けられ、第1切頭円錐面32はこの切頭円錐形部分33に設けられている。従って切頭円錐形部分33の第1切頭円錐面32は、凹部のない切頭円錐面である。
また、ピニオン軸13は、ホイール歯車12の両側面(図で左右)に位置する1対のスラストカラー18を有する。このスラストカラー18は、軸方向内面にピニオン歯車14のピッチ円14aを含む第2切頭円錐面34を有する。第2切頭円錐面34は、ピニオン歯車14の軸線14bを中心とする円錐面の一部である。
第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34は、それぞれの母線の最近接位置において平行に位置する。
すなわち、ピニオン歯車14の軸線14bに直交する平面と、第1切頭円錐面32の母線及び第2切頭円錐面34の母線がなす角度αは等しくなっている。この角度αは、0.1〜5°程度が好適である。
以下、第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34を単に「スラスト支持面」と呼ぶ。
図3において、Rはホイール歯車12の中心から第1切頭円錐面32の中心までの半径、R1はホイール歯車12のピッチ円半径である。
次に、本発明のスラスト荷重伝達機構の作用(動作)を説明する。
ピニオン軸13にはスラスト荷重7(空気力、はすば歯車のかみ合い力など)が作用する。このスラスト荷重7は上述した第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34を介してホイール歯車12に伝達され、ホイール軸11に設けられたスラスト軸受20(または転がり軸受)で支承される。
スラスト支持面(第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34)の間には、潤滑油により潤滑油膜(油膜)が形成されるため、両者が金属接触することはない。
上述した第1実施形態の構成によれば、切頭円錐形部分33の第1切頭円錐面32が凹部のない切頭円錐面であるので、スラスト支持面(第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34)の負荷容量は、従来例と実質的に同等である。
一方、第1切頭円錐面32の中心までの半径Rとホイール歯車12のピッチ円半径R1が同一であるので、ピッチ円上で荷重伝達することとなり、相対すべり速度が低く、実質的にゼロであり、焼付きのおそれをほとんど無くすことができる。
以下、この理由を説明する。
油膜の形成能力の支配因子の一つに両面の合成速度がある。合成速度Vは両面の周速V1とV2の和で定義され(V=V1+V2)、これが大きいほうが油膜形成能力が高い。一方,油膜が破断したときの焼付きの支配因子の一つに両テーパ面の相対速度Uがある。相対速度Uは両面の周速の差の絶対値で定義され(U=|V1−V2|)、これが大きいほうが焼きつきやすい。
図4は、ホイール歯車12とピニオン歯車14のピッチ円12a,14aを示す図である。
ホイール歯車12とピニオン歯車14のピッチ円半径をそれぞれR1,R2、回転角速度をそれぞれω1,ω2とする。増速比をα=ω2/ω1と定義すると、α=R1/R2が成り立つ。
図1に示した従来例において、ホイール側テーパ面5の中心半径Rはホイール歯車2のピッチ円半径R1よりも小さい(R<R1)。β=R/R1と定義すると、相対速度Uaは、以下の式(1)となる。
Ua=(R1+R2−R)ω2−Rω1={(α+1)−(1−α)β}R1ω1・・・(1)
一方、本発明ではスラスト支持面32、34の中心半径Rとホイール歯車12のピッチ円半径R1を一致させることができるので、上式でR=R1(β=1)とおくと、相対速度Ubは、以下の式(2)となる。
Ub=R2ω2−R2ω1=0・・・(2)
すなわち、常に、Ub<|Ua|となる。また、合成速度V(=V1+V2)は、両者において差は小さく、油膜形成能力は同等といえる。
したがって、本発明によれば油膜形成能力は同等であり、焼付きの危険を小さく(Uを小さく)することができる。
図5は、本発明によるスラスト荷重伝達機構の第2実施形態図である。
この例では、図4における切頭円錐形部分33が省略されており、ホイール歯車12の歯先部の両側面に第1切頭円錐面32が直接設けられている。
従って、この例では、第1切頭円錐面32には、歯先部の歯のない部分が凹部として周期的に存在する。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
上述した第2実施形態の構成によれば、第1切頭円錐面32に歯先部の歯のない部分が凹部として周期的に存在するので、スラスト支持面(第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34)の潤滑面積は従来よりも小さい。
しかし、スラスト支持面32、34が歯面の近くにあることにより、潤滑油がより供給されやすい状況になるため、油膜形成能力が高く、負荷容量は、従来例と実質的に同等であるといえる。
一方、第1切頭円錐面32の中心までの半径Rとホイール歯車12のピッチ円半径R1が同一であるので、ピッチ円上で荷重伝達することとなり、相対すべり速度が低く、実質的にゼロであり、焼付きのおそれをほとんど無くすことができる。
上述したように本発明の構成によれば、ホイール歯車12に設けられた第1切頭円錐面32とピニオン軸13に設けられた第2切頭円錐面34が、それぞれの母線の最近接位置において平行に位置するので、第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34の最近接領域に潤滑油膜を形成して、その間で潤滑油膜を介してスラスト荷重7を伝達することができる。
また、第1切頭円錐面32はホイール歯車12のピッチ円12aを含んでおり、第2切頭円錐面34はピニオン歯車14のピッチ円14aを含んでいるので、ピッチ円12a,14aにおける相対速度及びすべり摩擦は0であり、スラスト荷重7を伝達するスラスト支持面(第1切頭円錐面32と第2切頭円錐面34)の相対速度及びすべり摩擦を大幅に低減して焼付きを防止することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
11 ホイール軸、12 ホイール歯車(大歯車)、
12a ピッチ円、12b 軸線、
13 ピニオン軸、14 ピニオン歯車(小歯車)、
14a ピッチ円、14b 軸線、
15 歯車箱(ケーシング)、16 羽根車(インペラ)、
18 スラストカラー、
20 スラスト軸受、22 ラジアル軸受、
23 ガスシール、24 油切り(オイルシール)、
32 第1切頭円錐面(スラスト支持面)、33 切頭円錐形部分、
34 第2切頭円錐面(スラスト支持面)

Claims (2)

  1. ピニオン歯車を有するピニオン軸とホイール歯車を有するホイール軸とを有し、ピニオン歯車とホイール歯車とが歯合し、ホイール歯車からピニオン歯車にラジアル荷重を伝達すると共に、ピニオン歯車からホイール歯車にスラスト荷重が伝達される歯車装置のスラスト荷重伝達機構であって、
    前記ホイール歯車は、その両側面にホイール歯車のピッチ円を含む第1切頭円錐面を有し、
    前記ピニオン軸は、前記ホイール歯車の両側面に位置し、軸方向内面にピニオン歯車のピッチ円を含む第2切頭円錐面を有する1対のスラストカラーを有し、
    前記第1切頭円錐面と第2切頭円錐面は、それぞれの母線の最近接位置において平行に位置する、ことを特徴とする歯車装置のスラスト荷重伝達機構。
  2. 前記歯車装置は、前記ホイール歯車を駆動装置で回転駆動し、この回転により前記ピニオン歯車を増速し、その両端に取り付けられた羽根車を高速回転する歯車駆動ターボ圧縮機の歯車増速機である、ことを特徴とする請求項1に記載のスラスト荷重伝達機構。
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