JP2012036479A - 成膜方法およびそれを用いた成膜装置 - Google Patents

成膜方法およびそれを用いた成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
光学薄膜の成膜において、膜厚、屈折率が設計値からずれた場合でも、最終的に得られる光学性能が目的とする光学性能に近づけることができる技術を提供する。
【解決手段】
光学的膜厚がλ/4以上の層で光量の極値が判明した時点で、それ以前に成膜した光学的膜厚がλ/4以下の薄い層の屈折率と膜厚を推定し、最適化手法を用いて成膜中の層および成膜中の層以降の層の膜厚を補正することによって目的とする光学性能を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、蒸着やスパッタリングなどによる光学薄膜の成膜の過程を制御する成膜方法および成膜装置に関するものである。
薄膜の光学性能は屈折率と膜厚によって決定されるため、成膜中に屈折率と膜厚を測定および制御することは所望の光学性能を持つ薄膜を得るために重要である。また、光学薄膜における膜厚は、物理的膜厚よりも光学的膜厚(屈折率と物理的膜厚との積)のほうが有用な情報である。そのため、精密な膜厚制御を必要とする光学薄膜の成膜においては、屈折率と光学的膜厚の情報が得られる光学式膜厚制御法が広く用いられている。光学式膜厚制御法には、単色測光法、二色測光法、多色測光法などの方法がある。
単色測光法は最も簡便な方法であり、光学的膜厚がλ/4(λは測光波長)増加するごとに繰り返し現れる反射率または透過率の極大値および極小値を利用するものである。この方法を用いた例が特公昭57−24485号広報に開示されている。
また、単色測光法では光学的膜厚がλ/4以下の場合は極値が現れないため、λ/4以下の膜厚制御を正確におこなうことができないという問題があるが、透過率または反射率の変化をモデル式に当てはめて制御をおこなうことでλ/4以下の膜厚でもより正確な膜厚制御を可能にする例が、特開2010−138463号広報に開示されている。
また、膜の屈折率は、成膜中の物質の蒸発速度、蒸発分布、成膜中の圧力、基板の温度等の諸条件の変動によって設計値と異なってしまう場合がある。単色測光法において蒸発速度を制御することによって屈折率のずれを防止する例が特開2005−2462号広報に開示されている。
多色測光法は分光光度計などを用いて成膜中の分光反射特性または分光透過特性を測定して膜厚制御する方法である。この方法を用いた例が特開平5−255850広報、特許第3754874号広報に開示されている。
特公昭57−24485号広報 特開2010−138463号広報 特開2005−2462号広報 特開平5−255850広報 特許第3754874号広報
しかしながら、成膜中の物質の蒸発速度、蒸発分布、成膜中の圧力、基板の温度等の諸条件は変動するため、単色測光法において光学的膜厚がλ/4以下の薄い層の膜厚制御をおこなう場合、たとえ特許文献2記載の方法を用いたとしてもモデル式通りに成膜が進行するとは限らず、実際の膜の屈折率とモデル式で推定した膜の屈折率に差が生じてしまい、正確な膜厚制御がおこなえない場合があるという問題を有している。
また、所望の光学的膜厚が得られたとしても屈折率が設計値と異なってしまった場合には、設計通りの光学性能を有する光学薄膜が得られないという問題を有している。
また、設計値通りの屈折率を得るために蒸発速度の制御をおこなったとしても蒸発分布、成膜中の圧力、基板温度等の条件が異なっている場合には必ずしも設計値通りの屈折率を得ることができないという問題を有している。
また、多色測光法は分光光度計など複雑な装置が必要なためにコスト面で採用が難しいという問題を有している。
そこで本発明は、光学薄膜の成膜において、膜厚、屈折率が設計値からずれた場合でも、光学薄膜の光学性能を目標に近づけることができる技術を提供することを目的とする。
本発明は、光学多層膜の各層の膜厚をモニター光を用いてモニター基板上で成膜中に計測することによって制御する膜厚制御工程と、
成膜中の層の該モニター基板上での光学的膜厚がλ/4(λは該モニター光の計測波長)以上の厚さの場合に、該膜厚制御工程で計測された光学的膜厚がλ/4の奇数倍の位置における反射率または透過率の極大値または極小値に基づいて、当該層および当該層以前の層の屈折率を推定する屈折率推定工程と、
該膜厚制御工程で得られた計測結果と、該屈折率推定工程で推定された屈折率から、当該層以前の層の膜厚を推定する膜厚推定工程と、
該屈折率推定工程と該膜厚推定工程で推定された各層の屈折率と膜厚とを用いて、当該層および当該層以降の層の目標膜厚を補正する膜厚補正工程を有することを特徴とする。
また、膜厚補正工程における膜厚補正方法は、成膜中の層および成膜中の層以降の層の膜厚をパラメーターとして、目標とする分光特性と、前記屈折率推定工程と前記膜厚推定工程で推定された屈折率と膜厚の推定値を用いて計算した分光特性との差の二乗和が最小となるようにパラメーターを最適化する方法を用いることが好ましい。
ここで、最適化方法としては、シンプレックス法、最急降下法、ニュートン法、準ニュートン法、ガウス・ニュートン法、勾配法、共役勾配法、レーベンバーグ・マーカート法等を利用した最小二乗法や、焼きなまし法(シミュレーテッド・アニーリング)、遺伝的アルゴリズム、タブーサーチ、ニューロネットワークを利用した方法があげられるが、これに限定されず、適切な最適化方法を選択すればよい。
また、膜厚制御工程における膜厚計測方法は単一波長の光量を計測するものであることが好ましい。
本発明の成膜方法は、真空蒸着法またはスパッタリング法であることが好ましい。
本発明によれば、成膜中に膜厚や屈折率に設計値からのずれが生じた場合でも、成膜中の層およびそれ以降の層の膜厚を補正することによって、目標とする光学性能を得ることができる。
光学的膜厚がλ/4未満の薄い層が含まれる光学多層膜では、屈折率が設計値からずれることによって膜厚のずれが生じ、目標とする光学性能が得られなくなるという問題が多く発生するが、本発明によればずれが生じた層以降の層の膜厚を補正することによってこのような問題を防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る成膜装置の全体構成図である。 図1のモニター基板マスク15を上から見た模式図である。 本発明の一実施形態に係る4層反射防止コートの設計値における分光反射特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係る4層反射防止コートの理想的な膜厚制御用光量変化曲線を示す図である。 本発明の一実施形態に係る4層反射防止コートの第3層の実際の膜厚制御用光量変化曲線を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る4層反射防止コートの第1層の実際の膜厚制御用光量変化曲線を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る4層反射防止コートの膜厚補正効果を説明する分光反射特性を示す図である。
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の成膜装置の一例を示す概略模式図である。真空槽11内の下部に蒸発源12が設けられ、その上方に製品基板保持用のドーム13と、ドーム13の中心部に膜厚制御モニター基板ホルダー14が、基板ホルダー14下部にモニター基板マスク15が設けられ、基板ホルダー14の内部にモニター基板16が配置されている。
膜厚制御工程は、成膜中の膜の厚さを光学的に計測しておこなうもので、基板ホルダー14、モニター基板マスク15、モニター基板16、投受光部17、演算・制御部18によって構成され、投受光部17から発したモニター光がモニター基板16に照射され、モニター基板16の上面と膜が成膜されつつあるモニター基板16の下面とで反射された反射光が投受光部17で受光される。受光された光量は演算・制御部18に取り込まれ、演算・制御部18では膜の屈折率と厚さの演算、膜厚が目標値に到達した時の成膜終了処理、および計測値の記憶がおこなわれる。
図2は、基板ホルダー14下部に設けられたモニター基板マスク15の形状を上から見た模式図である。開口部21の部分に穴が開いておりモニター基板16には開口部21の部分にだけ成膜される。層毎に基板ホルダー14を一定角度回転させることによって各層の膜厚を個別に計測することができるようになっている。前記モニター光は開口部21のエリア内に照射される。
次に、本発明を4層反射防止コートに適用する場合の成膜方法について示す。
4層反射防止コートの一設計例を表1に示す。
Figure 2012036479
この設計例では製品基板、モニター基板ともSCHOTT製BK−7を使用する。
表1において、層数は基板側からの層の順番を表わし、光学膜厚は該当層の光学的膜厚、λは設計の基準波長(ここではλ=500nm)、物質は該当層の物質名、膜厚比はいわゆるツーリングファクターと呼ばれるもので製品基板上の層の物理的膜厚とモニター基板上の層の物理的膜厚の比率(膜厚比=製品基板上の層の物理的膜厚÷モニター基板上の層の物理的膜厚)、真空中Δnは大気中での層の屈折率に対する真空中でのモニター基板上の層の屈折率の差分(真空中でのモニター基板上の層の屈折率=大気中での層の屈折率+真空中Δn)、計測波長は光学式膜厚制御で計測する光線の波長(単位nm)、開始光量は成膜開始前の膜が付いていない状態のモニター基板の反射光量値、を表わす。
膜厚比はあらかじめ層毎に成膜した製品基板とモニター基板の膜厚を測定して求めておく。
真空中Δnは、モニター基板上に光学的膜厚λ/4成膜されたときの計測光量から求めておく。
基板および膜物質の屈折率は一般的に波長毎に異なる屈折率を持つ。本実施形態では数1に示すコーシーの分散式によって波長毎の屈折率を計算する。
Figure 2012036479
上記の数式において、λは波長で単位はμmである。A、A、Aは分散式の係数であり基板、物質毎に次の表の値を用いる。
Figure 2012036479
なお、分散式や係数は使用する基板や物質あるいは成膜条件によって適宜最適なものを使用すればよい。
この設計値から計算した4層反射防止コートの分光反射特性を図3に示す。計算には周知のマトリックス法を用いた。
本実施形態の4層反射防止コートが屈折率、膜厚とも設計値通りに理想的に成膜されたときの膜厚制御工程での光量変化を図に表わしたもの(膜厚制御チャート)を図4に示す。このときの各層の光量値を表3に示す。
Figure 2012036479
ピーク光量は光学的膜厚がλ/4の地点での光量、停止光量は成膜終了時の光量、停止光量(%)は(ピーク光量−停止光量)÷(ピーク光量−開始光量)×100である。
第1層および第2層のピーク光量、停止光量(%)は、光学的膜厚がλ/4に達しないため不明である。
図3の理想的な膜厚制御チャートの曲線は次の理論式によって導き出すことができる。
Figure 2012036479
Figure 2012036479
Figure 2012036479
Figure 2012036479
Figure 2012036479
Figure 2012036479
上記の各数式において、Rはモニター基板の成膜面側の反射率、nは膜の真空中の屈折率、nはモニター基板の屈折率、λはモニター光の計測波長(単位nm)、dは膜の物理的膜厚(単位nm)、Rはモニター基板の膜が付かない面の反射率、Rmesは成膜中のモニター基板の両面合計反射率、Riniは両面に膜が付いていない状態のモニター基板の両面合計反射率、Rは得られる光量値である。nおよびnは前記分散式によって求めた値を使用し、nには真空中Δnを加算する。また、dは設計値としての製品基板上の物理的膜厚を膜厚比で割った値を使用する。
図4のような理想的な膜厚制御がおこなわれた場合は、図3に示す設計値通りの分光反射特性が得られる。
しかしながら、実際の成膜ではこのように理想的に成膜されることは少なく、膜の屈折率が成膜中の物質の蒸発速度、成膜中の圧力、基板の温度等の諸条件の変動によって設計値と異なってしまう。さらに光学的膜厚がλ/4以下の薄い層(この例では第1層と第2層)では屈折率が異なる結果として膜厚も設計値と異なってしまう。
例えば第3層ZrOの屈折率(真空中2.022(λ=450nm))が0.02高くなってしまった場合、ピーク光量は理想的な値71.06から73.06に増加する。図5は、実線51が理想的な屈折率の場合、点線52が屈折率が0.02高くなってしまった場合の第3層の膜厚制御チャートである。
一般的に、成膜中の物質の蒸発速度が一定に制御されている場合、屈折率変動の主な要因は成膜中の圧力の変動や基板温度の変動である。そして成膜中の圧力、基板の温度は一連の成膜工程の中ではばらつきは少ない。従ってこの例のように第3層ZrOの屈折率が高くなった場合は、第1層のZrOの屈折率も高くなっていると推測できる。
本発明の屈折率推定工程では、このように理想的なピーク光量と実際のピーク光量とのずれが判明した時点で次のように実際の屈折率を推定する。
第3層の実際の屈折率は、ピーク光量の値を用いて次の式によって求まる。
Figure 2012036479
上記の数式において、Rsは初期光量、Rpはピーク光量、Rは基板の反射率、R’はピークでの反射率である。
Figure 2012036479
上記の数式において、nは基板の屈折率、nは真空中の膜の屈折率である。
上式に従って計算すると、第3層の真空中の屈折率はn=2.042(λ=450nm)となる(増加分0.020)。大気中の屈折率も0.020増加すると推定する。
次に第1層ZrOの屈折率を推定する。
最初に数10の補正式を用いて第3層のピーク光量から第1層がλ/4以上の膜厚であったと仮定した場合のピーク光量を推定する。
Figure 2012036479
上記の数式において、P’は推定する層(第1層)のピーク光量、Pはピークがある層(第3層)のピーク光量、Aは各層毎に定める補正係数である。
なお、この補正式は成膜が進行するにつれて真空槽内の圧力が低下したり蒸発源からの輻射熱によって基板温度が上昇したりすることによって後の層ほど屈折率が高くなるなどの影響を考慮したもので、これに限らず適宜最適な補正式を採用すればよい。
ここでは第1層の補正係数を−0.01とする。
第1層の推定ピーク光量は、P’=73.06+73.06×−0.01=72.33となる。
数8、数9を用いて第1層の真空中の推定屈折率は2.035(λ=450nm)となる(増加分0.013)。大気中の屈折率も0.013増加すると推定する。
以上で第3層のピーク光量から、第1層および第3層の屈折率が推定できた。
次に膜厚推定工程により第1層の膜厚を推定する。
図6は第1層の膜厚制御チャートである。実線61は理想的に成膜された場合の曲線である。表3に示したように停止光量69.62で停止している。点線62は停止光量で停止せずに成膜を続けたと仮定した場合の曲線である。ピーク光量は71.06である。
実線63は屈折率が高くなってしまった場合の曲線である。停止光量は理想的に成膜された場合と同じく69.62である。なぜならピーク光量が理想的になると想定して成膜が実行されたためである。
点線65は実線63の曲線が停止光量で停止せずに成膜を続けたと仮定した場合の曲線である。ピーク光量は前記推定値72.33である。第1層が設計値通りの光学的膜厚となるためには理想的なピーク光量71.06と推定ピーク光量72.33の違いを考慮して本来であれば太い実線64の終点光量70.86で成膜を停止する必要があった。
なぜなら、理想的な光量変化幅に対する停止光量の比率は、(69.62−25.00)÷(71.06−25.00)=0.969であるので、実際の光量変化幅において停止光量が同じ比率になるには、(71.06−25.00)×0.969+25.00=70.86となる必要があるからである。
この太い実線64に相当する膜厚分だけ第1層が薄くなってしまっている。
第1層の実際に成膜されたモニター基板上の膜厚は、推定屈折率を用いて数2〜数7を逆算することにより、光学的膜厚0.2119λ(λ=450nm)=95.355nm、物理的膜厚95.355÷2.035=46.86nmと推定できる。
製品基板上の膜厚は、得られたモニター基板上の物理的膜厚に表1の膜厚比を掛けることによって得られる。
製品基板上の物理的膜厚=46.86×0.75=35.15nm、光学的膜厚=35.15×(2.050+0.013)=72.51=0.145λ(λ=500nm)。(2.050は分散式を用いて計算した波長500nmでのZrOの屈折率。)
以上で第1層の膜厚が推定できた。
次に膜厚補正工程により第3層および第4層の膜厚を補正する。
膜厚補正工程では、第1層の屈折率と膜厚は前記屈折率推定工程と膜厚推定工程で推定した屈折率と膜厚を用い、第2層の屈折率と膜厚は設計値を用い、第3層の屈折率はピーク光量から計算した屈折率を用い、第3層の膜厚は設計値を用い、第4層以降の屈折率と膜厚は設計値を用いる。これらの屈折率と膜厚を初期値として、第3層および第4層の膜厚をパラメーターとして、図3に示した分光反射特性に近づくように最適化をおこなう。
最適化方法としては、シンプレックス法、最急降下法、ニュートン法、準ニュートン法、ガウス・ニュートン法、勾配法、共役勾配法、レーベンバーグ・マーカート法等を利用した最小二乗法や、焼きなまし法(シミュレーテッド・アニーリング)、遺伝的アルゴリズム、タブーサーチ、ニューロネットワークを利用した方法があげられるが、これに限定されず、適切な最適化方法を選択すればよい。
例えばレーベンバーグ・マーカート法を利用する場合は、William H. Press他「NUMERICAL RECIPES in C」
第14章4項P.505 Levenberg-Marquardt法,
日本, 株式会社技術評論社,
平成18年5月5日初版第13刷, ISBN4-87408-560-1、に記載のコードを用いることができる。
例としてここではレーベンバーグ・マーカート法を用いて最適化をおこない、表4のように第3層および第4層の膜厚が補正され、停止光量が修正された。
Figure 2012036479
第3層と第4層の停止光量を表3の値に修正して成膜をおこなえば、修正しなかった場合と比較してより設計値に近い分光特性を持つ製品を得ることができる。
図7は製品基板の分光反射特性を示す図であり、細い実線71は設計値、太い実線72は第3層と第4層の停止光量を表3の値に補正した場合の分光反射特性、点線73は補正をおこなわずにそのまま成膜した場合の分光反射特性である。この図から補正の効果は明らかであり、補正をおこなわなかった場合と比較して補正をおこなった場合の分光反射特性はより設計値に近づいている。
また、第4層においてピークがずれた場合にも同様の方法で屈折率を求め、第2層の屈折率および膜厚を推定し、第4層の停止光量を補正すればよい。
また、本実施形態では同一物質の層について屈折率および膜厚の推定をおこなったが、ピーク光量の挙動が同じ傾向を示す物質であれば異物質であってもかまわない。
また、薄い層が無く全ての層がピーク光量を得られる膜構成であっても本発明を適用することによって屈折率のずれを膜厚の補正によって修正することができる。
また、本実施形態では設計値の分光特性に近づけるように最適化をおこなったが、例えば反射防止コートにおいてより低い反射率が望まれる場合には設計値よりも反射率が低いデーターをターゲットとして最適化をおこなっても良い。
11 真空チャンバー
12 蒸発源
13 製品基板配置用ドーム
14 モニター基板ホルダー
15 モニター基板マスク
16 モニター基板
17 投受光部
18 演算および制御部
21 モニター基板マスク開口部
本発明は、光学多層膜の各層の膜厚をモニター光を用いてモニター基板上で成膜中に計測することによって制御する膜厚制御工程と、
成膜中の層の該モニター基板上での光学的膜厚がλ/4(λは該モニター光の計測波長)以上の厚さの場合に、該膜厚制御工程で計測された光学的膜厚がλ/4の奇数倍の位置における反射率または透過率の極大値または極小値に基づいて、当該層および光学的膜厚がλ/4未満の当該層以前の層の屈折率を推定する屈折率推定工程と、
該膜厚制御工程で得られた計測結果と、該屈折率推定工程で推定された屈折率から、光学的膜厚がλ/4未満の当該層以前の層の膜厚を推定する膜厚推定工程と、
該屈折率推定工程と該膜厚推定工程で推定された各層の屈折率と膜厚とを用いて、当該層および当該層以降の層の目標膜厚を補正する膜厚補正工程を有することを特徴とする。
光学的膜厚がλ/4未満の薄い層が含まれる光学多層膜では、屈折率が設計値からずれることによって膜厚のずれが生じ、目標とする光学性能が得られなくなるという問題が多く発生するが、本発明によれば光学的膜厚がλ/4以上の層だけでなく光学的膜厚がλ/4未満の層の屈折率と膜厚も推定することができるため、ずれが生じた層以降の層の膜厚を補正することによってこのような問題を防ぐことができる。
Figure 2012036479
本実施形態では、第1層および第2層がモニター基板上での光学的膜厚がλ/4未満の層であり、第3層および第4層がモニター基板上での光学的膜厚がλ/4以上の層である。
表1において、層数は基板側からの層の順番を表わし、製品基板上の光学膜厚は該当層の製品基板上における光学的膜厚、λは設計の基準波長(ここではλ=500nm)、物質は該当層の物質名、膜厚比はいわゆるツーリングファクターと呼ばれるもので製品基板上の層の物理的膜厚とモニター基板上の層の物理的膜厚の比率(膜厚比=製品基板上の層の物理的膜厚÷モニター基板上の層の物理的膜厚)、真空中Δnは大気中での層の屈折率に対する真空中でのモニター基板上の層の屈折率の差分(真空中でのモニター基板上の層の屈折率=大気中での層の屈折率+真空中Δn)、計測波長は光学式膜厚制御で計測する光線の波長(単位nm)、開始光量は成膜開始前の膜が付いていない状態のモニター基板の反射光量値、モニター基板上の光学膜厚は該当層の真空中でのモニター基板上における光学的膜厚を表わす。
なお、分散式や係数は使用する基板や物質あるいは成膜条件によって適宜最適なものを使用すればよい。
モニター基板上の光学膜厚は、該当層の製品基板上の光学膜厚と膜物質の屈折率とから製品基板上の物理膜厚を計算し、製品基板上の物理膜厚を膜厚比で割ることによってモニター基板上の物理膜厚を計算し、モニター上の物理膜厚に計測波長における真空中でのモニター基板上の層の屈折率をかけることによって導き出すことができる。
ピーク光量はモニター基板上の光学的膜厚がλ/4の地点での光量、停止光量は成膜終了時の光量、停止光量(%)は(ピーク光量−停止光量)÷(ピーク光量−開始光量)×100である。
第1層および第2層のピーク光量、停止光量(%)は、モニター基板上の光学的膜厚がλ/4に達しないため不明である。
上記の数式において、Rsは該当層の初期光量、Rpは該当層のピーク光量、Roは基板の反射率、R’は該当層のピークでの反射率である。
すなわち第3層のピークでの反射率は、第3層の初期光量Rs、第3層のピーク光量Rp、基板の反射率Roを用いて求めることができる。
上記の数式において、P’は推定する層(第1層)のピーク光量、Pはピークがある層(第3層)のピーク光量、Aは各層毎に定める補正係数である。
例えば第1層の補正係数Aは、実験的に第1層をモニター基板上にλ/4以上の膜厚で成膜し引き続き成膜した第3層のピーク光量と比較することによって求めることができる。
Figure 2012036479
本実施形態では、第1層および第2層がモニター基板上での光学的膜厚がλ/4未満の層であり、第3層および第4層がモニター基板上での光学的膜厚がλ/4以上の層である。
なお、分散式や係数は使用する基板や物質あるいは成膜条件によって適宜最適なものを使用すればよい。
上記の数式において、P’は推定する層(第1層)のピーク光量、Pはピークがある層(第3層)のピーク光量、Aは各層毎に定める補正係数である。

Claims (5)

  1. 光学多層膜の各層の膜厚をモニター光を用いてモニター基板上で成膜中に計測することによって制御する膜厚制御工程と、
    成膜中の層の該モニター基板上での光学的膜厚がλ/4(λは該モニター光の計測波長)以上の厚さの場合に、該膜厚制御工程で計測された光学的膜厚がλ/4の奇数倍の位置における反射率または透過率の極大値または極小値に基づいて、当該層および当該層以前の層の屈折率を推定する屈折率推定工程と、
    該膜厚制御工程で得られた計測結果と、該屈折率推定工程で推定された屈折率から、当該層以前の層の膜厚を推定する膜厚推定工程と、
    該屈折率推定工程と該膜厚推定工程で推定された各層の屈折率と膜厚とを用いて、当該層および当該層以降の層の目標膜厚を補正する膜厚補正工程を有することを特徴とする成膜方法。
  2. 請求項1記載の膜厚補正工程における膜厚補正方法は、成膜中の層および成膜中の層以降の層の膜厚をパラメーターとして、目標とする分光特性と、前記屈折率推定工程と前記膜厚推定工程で推定された屈折率と膜厚の推定値を用いて計算した分光特性との差の二乗和が最小となるようにパラメーターを最適化することを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  3. 請求項1記載の膜厚制御工程における膜厚計測方法が単一波長の光量を計測するものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の成膜方法。
  4. 真空蒸着法またはスパッタリング法により多層膜を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の成膜方法を用いたことを特徴とする成膜装置。
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