本発明にかかる実施例1のパチンコ遊技機1を添付図面に従って説明する。
本実施例のパチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備に固定される木製の外枠2と、該外枠2の前面開口部分を覆うように取り付けられた遊技機本体3とから構成されている。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤8(図2参照)が取り付けられた本体枠(図示省略)と、該本体枠の前面側に開閉可能に配設された前枠扉6とを備え、本体枠と前枠扉6とが、外枠2にヒンジ部材4を介して枢着されている。前枠扉6には、遊技盤8の遊技領域12(図2参照)を臨む前面ガラス14が配設されている。尚、遊技機本体3が、パチンコ遊技機1の機台である。
前枠扉6の前面下部には、図示しない発射装置に供給する遊技球を貯留する発射球貯留皿10が設けられている。発射球貯留皿10は、その左側内部に、賞球や貸球を流出する球払出口(図示せず)が開口し、右側内部に、遊技球を整列する整列部(図示せず)が形成され、該整列部の右端に遊技球を発射装置へ供給するための球流入口(図示せず)が開口している。
上記した遊技機本体3の前面下部には、樹脂材からなる下部パネル18が設けられており、この下部パネル18の前面下部中央に余剰の遊技球を貯留する余剰球貯留皿11が配設されている。余剰球貯留皿11の内部には、球放出口(図示せず)が開口しており、該球放出口から余剰球貯留皿11内に遊技球が放出される。さらに、余剰球貯留皿11の右方には発射ハンドル26が突設されている。
また、上記した遊技盤8の前面には、図2のように、ガイドレール13が取り付けられており、該ガイドレール13によって略円形の遊技領域12と、上記発射装置(図示省略)により発射された遊技球を遊技領域12に案内する案内通路20とが区画される。この案内通路20の下部には、発射装置から発射された遊技球が遊技領域12へ流下せずに戻ってきた場合に、当該遊技球を余剰球貯留皿11へ放出する放出路(図示せず)が設けられている。このように余剰球貯留皿11へ放出される遊技球は、所謂ファール球である。さらに、遊技盤8の遊技領域12の中央には、各種の遊技部材が組み付けられたセンターケース41が配設されている。このセンターケース41には、液晶表示器からなる図柄表示装置42が組み付けられており、該図柄表示装置42の表示画面43では、三つの特別図柄A,B,Cと二つの普通図柄(図示せず)とが変動表示されると共に、様々な演出画像が表示される。
ここで、特別図柄A,B,Cは、後述する可変入賞装置51の始動口54に遊技球が流入することにより変動開始し、その後停止した各特別図柄の組合せからなる停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。また、普通図柄(図示せず)は、後述する普通図柄始動ゲート(普通図柄始動領域)49を遊技球が通過することにより変動開始し、その後停止した普通図柄の組合せにより当り又はハズレを確定する。そして、普通図柄が当りの場合には、後述する可変入賞装置51の開閉翼片(図示せず)を開閉駆動する。
センターケース41の下部には、4個の発光ダイオードからなる特別図柄始動記憶数表示装置46が配設されている。この特別図柄始動記憶数表示装置46は、上記した可変入賞装置51の始動口54に遊技球が連続して流入した場合に、特別図柄A,B,Cの変動を保留している特別図柄始動記憶数を、発光ダイオードの点灯数によって表示する。また、センターケース41の左下部には、4個の発光ダイオードからなる普通図柄始動記憶数表示装置47が配設されており、同様に、普通図柄(図示せず)の変動を保留している普通図柄始動記憶数を、発光ダイオードの点灯数によって表示する。尚、特別図柄始動記憶数と普通図柄始動記憶数は、それぞれ保留できる上限数を四個(以下、上限始動数という)に設定している。
上記センターケース41の左右側方には、普通図柄始動ゲート49,49が配設されており、遊技球の通過により、各普通図柄始動ゲート49に設けられた普通図柄始動スイッチS2 (図3参照)から遊技球検出信号が発生すると、前記表示画面43で普通図柄(図示せず)が変動し、所定時間経過後に停止して種々の組み合わせの図柄態様が表示される。
また、センターケース41の下方には、遊技球を流入可能とする始動口54と、左右一対の開閉翼片(図示省略)とを備えた可変入賞装置51が配設されている。この始動口54の内部は、当該始動口54に流入した遊技球が流下する流路(図示せず)が設けられており、この内部の流路に遊技球を検知する特別図柄始動スイッチS1(図3参照)が配設されている。そして、特別図柄始動スイッチS1による遊技球検知に従って、上述したように、図柄表示装置42の画面で特別図柄A,B,Cを変動開始する。左右一対の開閉翼片は、上下方向に起立して一個の遊技球が上方から入賞可能な間隔となる起立位置と、該起立位置から左右両側に逆ハ字形に拡開して遊技球の入賞を容易とする傾動位置とに変換駆動されるようになっている。そして、前記普通図柄(図示せず)が所定の当り図柄態様で確定した場合に、普通電動役物ソレノイド(図示せず)を駆動源として開閉翼片が所定時間(約 0.2秒間)傾動位置に拡開されて、始動口54に遊技球が入り易い状態となる。
さらに、可変入賞装置51の下方には、大入賞口61を有する大入賞口装置60が配設されている。この大入賞口装置60は横長矩形状の開閉扉62を具備し、内蔵された大入賞口ソレノイド(図示せず)により開閉扉62を駆動制御することによって大入賞口61が開放状態又は閉鎖状態に変換される。この大入賞口装置60は、上記した特別図柄A,B,Cが所定の当り停止図柄態様で確定表示された場合(大当りの場合)に、大入賞口61を開閉することにより、特別遊技作動を実行するものである。特別遊技作動では、開閉扉62が前方に傾倒して開き、その開放状態で開閉扉62の上面の案内作用を介して、大入賞口61内へ遊技球を案内する。そして、所定開放制限時間(例えば30秒)の満了、またはその所定開放制限時間中における所定個数(例えば9個)の遊技球の入賞により開閉扉62が起立して、大入賞口61が閉鎖される。このような開閉ラウンドを、所定制限回数(本実施例にあっては15回)行うことにより、大入賞口61に多量の遊技球が入賞し、遊技者に所定の利益が供与される。この大入賞口装置60の内部には、大入賞口61から流入した遊技球が流下する流路(図示せず)が設けられており、該流路に遊技球を検知するカウントスイッチS3(図3参照)が設けられている。
その他、遊技領域12には、複数の一般入賞口58が配設されており、その内部に設けられた一般入賞スイッチS4(図3参照)による遊技球の入賞検知に伴って所定数の賞球が払い出される。さらに、遊技領域12の下端部には、アウト口59が配設されている。遊技領域12を転動流下する遊技球が、上記した始動口54、一般入賞口58、大入賞口61へ流入できない場合に、アウト口59へ流入する。尚、上記した普通図柄始動ゲート49,49は、遊技球が通過するため、該通過した後に、始動口54、一般入賞口58、大入賞口61、アウト口59のいずれかへ流入する。
次に、上述のパチンコ遊技機1の制御回路について、図3に示すブロック図に従って説明する。
制御回路には、主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、電源基板83、発射制御基板84が配設されている。主制御基板80は、マイクロコンピュータにより構成されており、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。そして、この主制御基板80には、上述した遊技盤8に配設された始動口54、普通図柄始動ゲート49、大入賞口61、一般入賞口58へ流入した遊技球を検知するための各スイッチやセンサ(図示省略)等が盤面中継端子板(図示省略)を介して接続されている。
主制御基板80には、各種スイッチやセンサなどからの入力信号に従って演算処理を実行して所定の制御指令信号を出力する中央制御装置CPU、演算処理に用いる制御プログラムを格納する記憶装置ROM、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)とを介して接続され、主制御基板80の基板回路を構成している。前記記憶装置ROMには、制御プログラム、大当り特別乱数テーブルや大当り図柄乱数テーブル等の各種乱数テーブルが格納されている。そして、後述するように始動口54に遊技球が流入して特別図柄始動スイッチS1がON作動すると、中央制御装置CPUによって各乱数テーブルの乱数値の抽選が行われ、大当り特別乱数値、大当り図柄乱数値等の各種乱数値等が選出される。また、記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1 ,普通図柄始動スイッチS2 のON作動数等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。
さらに、主制御基板80の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、中央制御装置CPUに接続されている。そして中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーTMも接続されている。
また、上記主制御基板80の基板回路には、中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、該出力ポートを介して主制御基板80からの制御指令信号が、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84の各入力ポートに向けて発信されるようになっている。また、主制御基板80の入力ポートには、盤面中継端子板を介して、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2 ,カウントスイッチS3 ,一般入賞スイッチS4 が接続されている。そして、主制御基板80は、所定時間毎(例えば2ms毎)に各スイッチS1 〜S4 の遊技球検出状態を調べ、信号入力があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板80の出力ポートには、盤面中継端子板90を介して大入賞口ソレノイド,普通電動役物ソレノイドが接続されており、中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
また、上記した払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84にあっても、主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えた基板回路が設けられている。
上記した主制御基板80の中央制御装置CPU及び上記した各制御基板81〜84に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。尚、前記演算ユニットの連成数によって、各中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御基板80の中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御指令信号を各制御基板81〜84に夫々送信し、各制御基板81〜84の中央制御装置CPUがこの制御指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
一方、上記した演出制御基板82は、上述した図柄表示装置42で演出する図柄制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプおよびLEDを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板82には、図柄表示装置42を構成する液晶表示器(図示省略)と、各種LEDをLED中継端子板を介して発光制御するランプ制御基板(図示省略)と、スピーカが接続された演出中継端子板(図示省略)とが夫々に接続されている。また、演出制御基板82にも、上述した主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板82は、主制御基板80から受信した演出制御指令信号に従って、図柄表示装置42による演出画像の表示、各LEDの発光、スピーカの発音を制御実行する。
また、払出制御基板81は、賞球や貸球を払い出す払出装置73(図3参照)を駆動制御するものである。この払出制御基板81は、主制御基板80から受信した払出制御指令信号に従って上記した払出装置73を駆動して、所定の賞球を払い出す制御を実行する。
また、発射制御基板84は、上記した発射ハンドル26(図1参照)の操作に従って、図示しない発射装置を駆動制御することにより、遊技球を発射制御するものである。尚、発射制御基板84も、上記した主制御基板80と接続されており、主制御基板80から所定の制御指令信号を入力すると、それに従って駆動制御するようにもなっている。
また、上述した電源基板83は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84に送電するものである。電源基板83には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようする過負荷保護回路、リセット回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。
この電源基板83からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84は、夫々が駆動制御するモータ、ソレノイド、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
次に、図3に示した制御回路による制御態様をパチンコ遊技機の作動に従って説明する。
上記した発射ハンドル26が遊技者によって操作されることにより、遊技球を遊技領域12に発射する。この遊技球が普通図柄始動ゲート49を通過し、普通図柄始動スイッチS2 がON作動すると、主制御基板80は普通図柄の始動処理を行う。これにより、主制御基板80は、普通図柄に関する所定の乱数テーブルから乱数値を抽出し、図柄表示装置42で普通図柄(図示せず)を開始して、前記乱数値に従って停止する。ここで、普通図柄が当り図柄態様で確定停止した場合には、普通電動役物処理(図示せず)により、可変入賞装置51の開閉翼片(図示省略)を傾動位置に拡開する制御を行う。尚、遊技球が普通図柄始動ゲート49を連続して通過した場合には、それぞれについて乱数値を選出して記憶装置RAMに一旦格納し、その始動記憶数(普通始動記憶数)に従って普通図柄始動記憶数表示装置47の発光ダイオードを点灯する。
遊技領域12を転動流下した遊技球が可変入賞装置51の始動口54に流入すると、図4のように、特別図柄始動スイッチS1がON作動し、主制御基板80は、演出制御基板82を介して特別図柄始動記憶数表示装置46の発光ダイオードを一つ点灯する(始動記憶数表示処理)と共に、特別図柄に関する各乱数テーブルから夫々に乱数値を抽出して特別図柄始動記憶を発生する入賞検知処理を行う。ここで、主制御基板80の中央制御装置CPUは、記憶装置ROMに記憶されている大当り特別乱数テーブル等の各乱数テーブルから抽選によって、大当り特別乱数値等の乱数値を夫々に抽出し、これら各乱数値を一セットとして、記憶装置RAMに一旦格納する処理を行う。このように、始動口54に遊技球一個が流入することによって抽出した各乱数値を纏めた一セットのデータ集合体を生ずることにより、特別図柄始動記憶が一個生成される。そして、前記のデータ集合体の各乱数値に従って特別図柄A,B,Cを変動開始することにより、特別図柄始動記憶が消化されることとなる(図5参照)。
尚、遊技球が連続的に始動口54に流入した場合には、特別図柄始動スイッチS1がON作動する毎に、各乱数値を選出して一セットのデータ集合体を順次発生し、その発生順に記憶装置RAMに記憶する。そして、このように記憶され且つ特別図柄A,B,Cの変動に未使用であるデータ集合体の個数に応じて、特別図柄始動記憶数表示装置46の発光ダイオードを順次点灯する(始動記憶数表示処理)。ここで、特別図柄A,B,Cの変動に未使用であるデータ集合体が記憶されていることによって、消化保留されている特別図柄始動記憶が有ることを意味し、消化保留されている特別図柄始動記憶の個数(所謂、記憶数)が、特別図柄A,B,Cの変動開始を保留している個数である。そのため、特別図柄始動記憶数表示装置46の点灯数が、特別図柄始動記憶の記憶数を表す。一方、特別図柄始動記憶数表示装置46は、最大四個まで点灯するようになっており、これが、特別図柄始動記憶の上限として設定している。すなわち、特別図柄始動記憶の記憶数は、最大四個(以下、上限記憶数)である。そして、特別図柄始動記憶の記憶数が四個の場合には、新たに始動口54へ遊技球が流入しても、特別図柄始動記憶処理は実行されず特別図柄始動記憶(前記データ集合体)も発生しない。
消化保留している特別図柄始動記憶がある場合には、その発生順に特別図柄始動記憶を消化して特別図柄を変動停止制御する特別図柄処理(図5参照)を行う。すなわち、入賞検知処理により生成して記憶しているデータ集合体を読み込み、その大当り乱数値を判定すると共に、演出制御基板82に指令信号を発信して、該演出制御基板82により特別図柄始動記憶数表示装置46の発光ダイオードを1個消灯し、特別図柄A,B,Cの図柄変動を開始する。ここで、大当り乱数値を当り判定した場合には、特別図柄変動停止態様選択処理により、その他の乱数値に従って図柄表示装置42で表示される当り図柄変動パターンと当り停止図柄態様とを選定する。さらに、特別図柄変動停止態様選択処理では、特別図柄A,B,Cの変動中に表示する演出図柄パターンも選定する。そして、変動時間を計測するためのタイマをセットし、特別図柄変動停止態様選択処理で選定した当り図柄変動パターンおよび演出図柄パターンをセットする。このように、記憶装置RAMに記憶している(未使用の)データ集合体を読み込んで、その各乱数値に従って変動パターンなどを選定する処理が、所謂、消化保留している(未消化の)特別図柄始動記憶を消化する処理である。これにより、図柄表示装置42で、特別図柄A,B,Cを当り停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程が表示される。一方、大当り乱数値をハズレ判定した場合には、ハズレ図柄変動パターン、演出図柄パターン、ハズレ停止図柄態様を選定し、図柄表示装置42で、特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程が表示される。
本実施例1にあって、上記の特別図柄A,B,Cとしては、それぞれ「0」〜「9」の各数字からなり、A=B=Cで確定停止した場合に当りとし、これ以外をハズレとする。すなわち、特別図柄A=B=Cが本発明にかかる当り停止図柄態様であり、これ以外がハズレ停止図柄態様である。
また、特別図柄始動記憶にあっては、上述したように、最大四個まで記憶されて、その発生順に上記消化処理が行われることから、この消化処理を保留している特別図柄始動記憶の個数が、記憶数であり、上限記憶数が前記四個である。
また、上記した始動口54、大入賞口61、一般入賞口58へ遊技球が入賞すると、入賞検出処理(図4参照)により、予め設定された賞球数を払い出す払出処理を行う。この払出処理は、各スイッチS1,S3,S4の球検出に従って、夫々の賞球数を払い出すように、上記した払出制御基板81により制御処理される。
尚、上述した以外の制御処理(例えば、メイン処理など)については、従来の構成と同様に実行できるため、その詳細を適宜省略している。また、本実施例にあって、内部に特別図柄始動スイッチS1を備えた始動口54、普通図柄始動ゲート49、内部にカウントスイッチS3を備えた大入賞口61、内部に一般入賞スイッチS4を備えた一般入賞口58、アウト口59が、本発明の球流入路を夫々構成するものである。そして、始動口54が、本発明にかかる特定の球流入路を構成するものである。また、上記した特別図柄始動記憶が、本発明にかかる始動記憶である。また、主制御基板80および演出制御基板82により、本発明にかかる遊技制御手段が構成されている。
次に本発明の要部について説明する。
上記したアウト口59の内部には、該アウト口59へ流入した遊技球が流下する流路(図示せず)が設けられており、当該流路に遊技球を検知するアウトスイッチS5(図3参照)が配設されている。このアウトスイッチS5は、上記した盤面中継端子板90を介して主制御基板80に接続されている。そして、アウトスイッチS5が遊技球を検知すると、その検知信号を発信し、当該検知信号が主制御基板80を介して演出制御基板82へ送られる。
上記した遊技機本体3の右上部には、図1のように、稼動報知装置71が配設されている。この稼動報知装置71は、液晶表示器により構成されており、図7のように、レベルゲージFとそのレベル演出画像Gとを表示する。この稼動報知装置71は、上記の演出制御基板82に接続されており、該演出制御基板82の指令信号に従って駆動する(図3参照)。ここで、稼動報知装置71で表示するレベルゲージFは、上記した特別図柄始動記憶の記憶数が上限記憶数(四個)である場合に、アウト口59へ流入した遊技球の個数を累積し、その累積個数(流入累積個数)の多寡レベルを表示するものである。具体的には、流入累積個数が無い場合にレベルゲージFが左端であり(図7(A)参照)、該流入累積個数が増加するに伴って、レベルゲージFが右方へ延びるように表示する(図7(B)、(C)参照)。一方、レベル演出画像Gは、前記流入累積個数を表現する補助的な画像である。このレベル演出画像Gは、当該パチンコ遊技機1の魅力を遊技者に訴える画像として表示されるものである。
この稼動報知装置71は、上述したように演出制御基板82により駆動制御され、図6の稼動報知処理により表示実行される。この稼動報知処理では、入賞検知処理により特別図柄始動記憶の記憶数が四個(上限記憶数)となって上限記憶フラグ=1であり、且つ大入賞口61を開閉する特別遊技作動を実行していない場合(特別遊技フラグ=0)に、有効として処理実行する。尚、上記した特別図柄処理により特別図柄始動記憶を消化すると、前記の上限記憶フラグ=0となる。このように、特別図柄始動記憶の記憶数が四個未満の場合には上限記憶フラグ=0であるため、前記した稼動報知処理がスキップされる。
稼動報知処理は、上限記憶フラグ=1かつ特別遊技フラグ=0の場合に、上記したアウトスイッチS5から入力する検知信号を有効として、検知信号の信号数を累積する。この検知信号は、アウト口59に遊技球が流入する毎に発信されることから、累積することにより、アウト口59へ流入した遊技球の個数を求めることができる。すなわち、検知信号を累積することによって、特別図柄始動記憶の記憶数が四個の場合にアウト口59へ流入した遊技球の個数を、流入累積個数として求めることができる。
そして、流入累積個数が、所定の個数に達する毎に、上記した稼動報知装置71へ指令信号を発信する。ここで、稼動報知装置71へ発信する指令信号が、本発明にかかる累積出力信号であり、該累積出力信号を生成する所定の個数が、本発明にかかる信号生成個数である。本実施例にあっては、信号生成個数を、100個、200個、300個・・・のように、100個単位の個数として設定している。すなわち、流入累積個数が100個増加する毎に、信号生成出力処理により累積出力信号を生成して、稼動報知装置71へ出力する。
ここで、信号生成出力処理としては、流入累積個数が達した信号生成個数に基づいて累積出力信号を順次生成する処理を行う。詳述すると、流入累積個数が達した信号生成個数に従って、予め設定されているデータにより稼動報知装置71で表示するレベルゲージFの表示態様パターンとレベル演出画像Gの表示態様パターンとを選定する。そして、これら表示態様パターンを表示実行するための信号として、累積出力信号を生成する。尚、累積出力信号は、各信号生成個数毎に異なり、信号生成個数の増加に伴って夫々の増加したレベルに応じたレベルゲージFとレベル演出画像Gとの各表示態様パターンを選定する。そして、レベルゲージFとレベル演出画像Gとの各表示態様パターンは、流入累積個数の増加(信号生成個数の増加)に従って、高いレベルであることを表現できるように、等級化されて設定されている。
稼動報知装置71が、上記の累積出力信号を入力すると、その累積出力信号に従ってレベルゲージFとレベル演出画像Gとを表示実行する。具体的には、図7(A)のように流入累積個数をリセットした状態でレベルゲージFが「0」であり、その後、流入累積個数が増加して信号生成個数100個に達する毎に、これに伴って生成した累積出力信号が稼動報知装置71に入力して、図7(B)のようにレベルゲージFが上昇する。さらに、流入累積個数が増加すると、それに伴う累積出力信号によって、図7(C)のようにレベルゲージFがさらに上昇する。ここで、図7(A)〜(C)のように、流入累積個数の増加に伴って、レベル演出画像Gの表示も変化する。このように、流入累積個数が増加して、100個単位に設定した信号生成個数に達する毎に、レベルゲージFを順次上昇し且つこれに伴うレベル演出画像Gを表示する。
尚、稼動報知処理は、上限記憶フラグ=0又は特別遊技フラグ=1となると中断する。この中断によっても、流入累積個数をリセットせずに保持記憶する。そして、次に上限記憶フラグ=1かつ特別遊技フラグ=0となった場合に、新たに入力したアウトスイッチS5から入力した検知信号を有効として、記憶保持している流入累積個数を累積していく。そして、上記と同様に次の信号生成個数に達する毎に累積出力信号を生成して出力する。一方、稼動報知装置71では、前記のように稼動報知処理を中断している状態で、該中断の際に表示しているレベルゲージFとレベル演出画像Gとを維持し、その後に新たな累積出力信号を入力すると、該累積出力信号に従って次レベルのレベルゲージFとレベル演出画像Gとを表示実行する。
このように特別図柄始動記憶の記憶数が上限記憶数(四個)未満の場合であっても、稼動報知装置71でレベルゲージFとレベル演出画像Gとを表示維持することから、例えば、遊技者が当該パチンコ遊技機1での遊技を止めて、誰も遊技をしていない状態でも、稼動報知装置71でレベルゲージFとレベル演出画像Gとが表示される。そのため、遊技場で遊技機を選択中の遊技者が、稼動報知装置71で表示しているレベルゲージFとレベル演出画像Gとを確認することができ、これらを機台選択に用いることができる。これは、前記レベルゲージFとレベル演出画像Gとが、特別図柄始動記憶の記憶数が上限記憶数である場合に遊技領域12へ発射された遊技球の累計数を表すことから、これにより、遊技者にとって魅力ある遊技を提供するものであるか否かを容易に推測できるからである。
さらに、本実施例にあって、上記の稼動報知処理では、流入累積個数が順次増加するに従って達成する信号生成個数毎に、信号生成出力処理により該信号生成個数(流入累積個数)を示す情報信号を遊技場のホールコンピュータ(図示せず)へ出力する。ホールコンピュータでは、この情報信号を入力することにより、各パチンコ遊技機1毎の流入累積個数を統括的に管理する。尚、ホールコンピュータに出力する情報信号も、本発明にかかる累積出力信号である。
このようにホールコンピュータで各パチンコ遊技機1毎の流入累積個数を管理することによって、遊技場が、遊技者にとって魅力ある遊技機を容易かつ適正に判断することができる。同様に、流入累積個数によって、遊技場が適正な利益を得られる機台を容易に判断できる。以上のことから、機台の入れ替えを行う際に、遊技者にとって魅力あり且つ適正な利益を確保できる遊技機を正確かつ容易に選択可能であるため、これら選択した遊技機を取り替えずに残すことができる。尚、遊技場の店員は、上記した稼動報知装置71により、遊技者にとって魅力ある機台を容易に判断することもできる。そのため、稼動報知装置71の表示に従って、前記のように入れ替えの際の要件とすることもできる。
また、本実施例にあって、上述した稼動報知処理は、流入累積個数を記憶保持する所定の有効記憶期間を設定している。この有効記憶期間は、適宜設定することができ、例えば、一日、一週間などに設定できる。すなわち、この有効記憶期間では、流入累積個数を記憶保持して、該流入累積個数の増加に伴って稼動報知装置71でレベルゲージFとレベル演出画像Gとを順次表示する。そして、有効記憶期間が経過すると、流入累積個数をリセットする。これにより、有効記憶期間中での魅力性が分かる。また、ホールコンピュータでは、有効記憶期間毎の流入累積個数をデータベース化することにより、機台の魅力性の推移をみることができる。これに基づいて、上記した機台入れ替えの際の判断材料とすることができる。
このように本実施例の構成によれば、特別図柄始動記憶の記憶数が満杯(上限記憶数の四個)の場合に、遊技領域12へ発射された遊技球の個数をアウト口59への流入数によって計測し、その累計した流入累積個数が信号生成個数に達する毎に、累積出力信号を出力して、稼動報知装置71で報知するようにしたものである。稼動報知装置71で表示されるレベルゲージFやレベル演出画像Gによって、遊技者や遊技場の店員が、遊技者にとって魅力ある遊技機を容易かつ適正に判別することができる。そのため、遊技者は、機台の選択の際の判断材料とすることができる。また、ホールコンピュータに累積出力信号を出力するようにしていることから、遊技場で機台の入れ替えを行う際に、その判断材料とすることもできる。
さらに、本実施例にあっては、特別図柄始動記憶の記憶数が満杯の場合に遊技領域12へ発射された遊技球数を、アウト口59への流入数によって定点観測している。そのため、上限記憶フラグ=1となった時点(特別図柄始動記憶の記憶数が満杯となった時点)で遊技領域12を流下している遊技球を、流入累積個数に加え、一方、上限記憶フラグ=0又は特別遊技フラグ=1となった時点で遊技領域12を流下している遊技球を、流入累積個数に加えない。これにより、流入累積個数に加える前者の遊技球数と流入累積個数に加えない後者の遊技球数とを相殺することができる。これは、遊技領域12を流下する遊技球の流れがほぼ同様であることによる。したがって、前記のように定点観測することによって、特別図柄始動記憶の記憶数が満杯の場合に遊技領域12へ発射された遊技球数を、正確かつ簡便に検知することができる。
また、本実施例にあって、特別図柄始動記憶の記憶数が満杯の場合に遊技球を継続発射することにより、特定の利得を供与するようにしても良い。すなわち、上限記憶フラグ=1(かつ特別遊技フラグ=0)である間に、アウト口59で検知した遊技球の個数が所定個数となると、特定の利得を供与する。これにより、特別図柄始動記憶の記憶数が満杯の場合にあっても、遊技者に遊技球発射を促すことができるため、遊技者にとって魅力ある遊技機と言える。尚、特定の利得としては、賞球数の増加や特典画像などを設定することができる。
尚、本実施例にあって、稼動報知処理を実行する演出制御基板82により、本発明にかかる稼動率生成手段が構成されている。また、稼動報知装置71で表示するレベルゲージFとレベル演出画像Gとにより、本発明にかかる稼動報知態様が構成されている。
一方、上述した本実施例の構成にあっては、稼動率生成信号を生成する信号生成個数を、100個単位で順次設定した構成であるが、その他の構成として、10個単位、50個単位、200個単位等のように適当な個数単位を順次設定することができる。又は、100個、300個、600個、1000個・・・等のように等差数列のように順次設定することも可能であり、同様に等比級数のように順次設定することもできる。すなわち、等級状に複数の信号生成個数を設定可能である。
また、上述した実施例にあっては、アウト口に遊技球が流入することによって流入累積個数を累積するようにした構成であるが、その他の構成として、アウト口以外の始動口、普通図柄始動ゲート、一般入賞口に遊技球が流入することによって流入累積個数を求めるようにしても良い。そして、これらの全て、又はこれらの一部を、流入累積個数を求めるためのものとして設定することもできる。
また、上述した実施例にあっては、液晶表示器からなる稼動報知装置を備えた構成であるが、その他の構成として、CRT表示器、ドットマトリックスや7セグメント表示器からなる稼動報知装置、又はLEDやランプを所定態様に発光することにより稼動報知態様を表示する稼動報知装置等を用いることもできる。
また、上述した実施例にあっては、累積出力信号を稼動報知装置とホールコンピュータへ出力するようにした構成であるが、いずれか一方のみへ出力する構成としても良い。例えば、稼動報知装置を備えない遊技機の場合にはホールコンピュータへ累積出力信号を出力する。また、稼動報知装置が、遊技機毎に設けられておらず、複数の遊技機をまとめて報知するために遊技場に配設されている場合には、該稼動報知装置へ累積出力信号を出力することによって、各遊技機での稼動率を遊技者が容易に比較することができる。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。