以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110を備えている。
原稿台103の下方に、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータを生成する。原稿は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置することができる。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。原稿搬送装置110にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に固定し、画像読取位置を通過する原稿の画像をイメージセンサ125で読み取る。イメージセンサ125は、受光面に入射した光像から、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する原稿の画像データを生成する。
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器(図示せず)からネットワークアダプタ161を介して受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から引き出す。引き出した用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に送り込む。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作キー203が配置されている。ディスプレイ201は、操作ボタンやメッセージ等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示面と、当該表示面上の押圧位置を検出するセンサとを備える。押圧位置の検知方法は特に限定されない。抵抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、電磁波方式等、任意の方式を採用することができる。ユーザは、自身の指やタッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
ディスプレイ201は、ボタン表示部204、メッセージ表示部205およびステータス表示部206を有する操作画面を表示する。ボタン表示部204には、複数のタブ208が用意されており、各タブにはそのタブのカテゴリーに応じた操作ボタンが配列されている。「簡単設定」タブは、基本的な設定に使用される操作ボタンを有する。図2の例では、用紙サイズ、複写倍率、濃度、印刷面、ページ集約、後処理を設定するための操作ボタンが配列されている。例えば「濃度」ボタン207を押圧する操作をユーザが行うと、濃度を選択するための「薄い」、「ふつう」、「濃い」等の選択ボタンを有するポップアップ画面がその操作ボタン上に重ねて表示され、ユーザの選択(押圧)によりその濃度が設定される。図2の例では、「簡単設定」タブの他、「原稿/用紙/仕上げ」タブ、「カラー/画質」タブ、「レイアウト/編集」タブ、「応用/その他」タブも設けられている。ユーザは、タブボタン208を選択する操作を行うことによって、これらのタブの表示に切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
メッセージ表示部205は、複写が可能か否か、複写部数などの設定をユーザに通知するメッセージを表示する。図2では、後述の認証部における認証処理が実施される前の状態を示しており、メッセージ表示部205には当該状態を示す「認証してください」のメッセージが表示されている。
ステータス表示部206には、必要に応じて装置ステータス情報が表示される。この表示には、複合機100が備える各種センサの検知結果が反映される。装置ステータス情報とは、装置は動作可能な状態にあるが、異常への対応を促す警告をユーザに通知するメッセージを意味する。例えば、用紙残量が少ない旨、原稿台103が汚れている旨、ファクシミリのメモリ受信が設定されている場合にファックス文書がメモリに格納された旨等が含まれる。また、用紙切れや搬送ジャム等が装置ステータス情報に含まれてもよい。
操作キー203は、主電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212、LogOutキー213、ヘルプキー214等を含む。例えば、主電源キー209は、複合機100の主電源のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機100は、メッセージ表示部205に、例えば、「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になればクリアキー212を操作すればよい。また、ヘルプキー214は、複写機100の機能の用途や操作方法の紹介・説明をディスプレイ201に表示するために使用される。特に限定されないが、本実施形態では、後述の認証部が予め登録された認証条件を満たすまで、操作パネル200に対する入力が禁止される構成になっている。認証部に認証されたユーザが複合機使用後にLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると、複合機100は認証処理が実施される前の状態に戻るように構成されている。
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークアダプタ161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
内部バス306には、操作パネル200や各種のセンサ307も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、ディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。また、センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。ICカードリーダ308は、ユーザが所持するICカードから、ICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、認証部が後述の認証処理を実行する。
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の複合機100は、ガイダンス提供装置400、識別情報入力部411、認証部412、操作認識部413、動作制御部414を備える。
本実施形態のガイダンス提供装置400は、操作パネル200のディスプレイ201にガイダンスを表示することにより、ユーザにガイダンスを提供する。このガイダンス提供装置400は、識別情報取得部401、ガイダンス記憶部402、履歴記憶部403、基準保持部404、抽出部405、判断部406、提供要否記憶部407、ガイダンス出力部408を備える。各部の機能については後述する。
識別情報入力部411は、複合機100への、ユーザを識別するための識別情報の入力に使用される。本実施形態では、識別情報入力部411はICカードリーダ308により構成されている。ICカードリーダ308の読取位置に可搬記憶媒体であるICカードが配置されたときに、ICカードリーダ308がICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取る。なお、識別情報は、ユーザを特定することができる情報であればよい。例えば、各ユーザに一義的に割り当てられたユーザIDを当該識別情報として用いることができる。また、ICカードに代えて、磁気カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の他の可搬記憶媒体を使用することもできる。この場合、識別情報入力部411は可搬記憶媒体に対応する構成(磁気ガードリーダ、USBインターフェイス等)になる。また、可搬記憶媒体を使用することなく、タッチパネル201に表示されるソフトウェアキーボード、あるいはテンキー210を識別情報入力部411として用いて、ユーザ識別情報を入力する構成であってもよい。この場合、操作パネル200は、少なくともユーザ識別情報の入力を許可するように構成される。
認証部412は、識別情報入力部411を通じて入力された識別情報と予め登録された認証条件とを照合する。本実施形態では、認証部412に、複合機100の使用を許可するユーザのユーザIDを記録した使用許可者リストが予め登録されており、識別情報入力部411が取得したユーザIDが使用許可者リストに含まれる場合、認証部412は、認証条件を満足すると判断する。認証部412は、認証条件を満足する場合に、そのユーザによる複合機100の使用(画像読取部120における画像データの生成、画像形成部140における画像データの印刷等)を許可し、認証条件を満足しない場合に、複合機100の使用を禁止する。なお、本実施形態では、認証条件を満足するまで、操作パネル200を通じた操作を受け付けない状態にすることで、複合機100の使用を禁止している。
操作認識部413は、操作パネル200の操作キー203の押下およびディスプレイ201の押圧を認識し、ユーザの操作内容を認識する。特に限定されないが、本実施形態では、操作認識部413に、ディスプレイ201の押圧位置を検出するセンサにより検出された押圧位置の座標が入力され、操作認識部413が、自身が保持する、操作ボタン等の画面要素の座標と、入力された押圧位置の座標とに基づいてユーザの操作内容が認識される。
動作制御部414は、操作認識部413が認識した操作パネル200を通じたユーザの指示に基づいて画像読取部120における画像データの生成、画像形成部140における画像データの印刷等を実行する。
続いて、ガイダンス提供装置400を構成する各部の機能について詳細に説明する。
識別情報取得部401は、ユーザを識別する識別情報を取得する。本実施形態では、識別情報取得部401は、識別情報取得部411から識別情報が入力される認証部411から当該識別情報を取得する構成になっている。
ガイダンス記憶部402は、ガイダンス対象機器である複合機100についてのガイダンスのデータを格納している。当該ガイダンスには、複合機100が有する機能の用途や、複合機100の操作方法の紹介・説明等を示すメッセージが含まれる。当該ガイダンスはガイダンス出力部408によって読み出され、ディスプレイ201の表示面に表示される。なお、本実施形態では、特に好ましい形態として、ディスプレイ201がガイダンスを表示する表示部として機能する構成を採用しているが、ガイダンスを表示する表示部とディスプレイ201とが異なる構成を採用してもよい。また、本実施形態では、ユーザに情報を認識可能な任意の形態を採用することができ、ガイダンス表示に限らず音声ガイダンスのみを提供する構成やこれらを併用する構成等を採用することもできる。
また、特に限定されないが、本実施形態では、各ガイダンスには、ガイダンスに対応する機能を特定するための識別子(機能ID)が付与されている。そして、後述するように、提供するガイダンスの特定は当該機能IDに基づいて実施される。すなわち、抽出部405や判断部406にガイダンスのデータそのものが入力されることはなく、判断部406からガイダンス出力部408へ入力された機能IDに基づいて、ガイダンス出力部408がガイダンス記憶部402から対応するガイダンスのデータを読み出してディスプレイ201に表示する。
履歴記憶部403は、ガイダンス対象機器である複合機100の操作履歴を、識別情報と対応づけて格納する。当該識別情報は、識別情報取得部401が履歴記憶部403に入力する。操作履歴とは、対応づけられた識別情報により特定されるユーザが実行した機能を示す情報である。本実施形態では、履歴記憶部403は、識別情報と対応づけられた履歴情報テーブルとして当該情報を保持している。特に限定されないが、ここでは、複合機100が備える各機能を示す機能IDと、その機能を使用した日時を示す情報(タイムスタンプ)とが各履歴情報テーブルに記録されている。
基準保持部404は、ガイダンス記憶部402に格納されたガイダンスの中から、提供する候補となるガイダンスを抽出する際の基準を保持する。ここでは、基準として、提供候補ガイダンスの抽出を開始するタイミングを示す抽出開始条件と、抽出する提供候補を特定するためのガイダンス抽出条件とが基準保持部404に格納されている。
抽出部405は、履歴記憶部403が保持する、識別情報取得部401が取得した識別情報と対応づけられた操作履歴と、基準保持部404が保持する基準とに基づいて、提供候補ガイダンスを抽出する。
判断部406は、提供候補ガイダンスが、予め登録された第1の推奨機能のガイダンスであるか否かを判断する。また、判断部406は、提供候補ガイダンスが、予め登録された、第1の推奨機能よりも推奨度が低い第2の推奨機能のガイダンスであるか否かも判断する。なお、第1の推奨機能および第2の推奨機能は、判断部406が読み出し可能であれば、ガイダンス提供装置400内のいずれに登録されていてもよいが、ここでは、判断部406に登録されるものとする。
提供要否記憶部407は、ガイダンス記憶部402に格納されたガイダンスについての提供の要否を示すデータを、識別情報取得部401が取得した識別情報と対応づけて記憶する。本実施形態では、ガイダンスが提供された際に、以降での当該ガイダンスの提供が不要である旨をユーザから受け付けた場合、当該ガイダンスについて提供不要であることを示すデータが当該ユーザの識別情報と対応づけて提供要否記憶部407に格納される。また、ガイダンスに対応する機能がユーザにより所定回数実施された場合にも、当該ガイダンスについて提供不要であることを示すデータが当該ユーザの識別情報と対応づけて提供要否記憶部407に格納される。特に限定されないが、本実施形態では、履歴記憶部403が機能IDを記録する際に、その機能の使用が所定回数に到達した場合に、当該機能を示す機能IDと、識別情報とを提供要否記憶部407に入力する構成になっている。なお、本実施形態では、提供要否記憶部407は、識別情報と対応づけられた提供要否情報テーブルとして当該情報を保持している。ここでは、複合機100が備える各機能を示す機能IDと、提供が不要である旨を示すフラグデータとが、各提供要否情報テーブルに記録されている。この構成では、提供要否記憶部407には、ユーザが提供不要の意思表示をした機能、もしくは、ユーザが存在を認識している機能について、ガイダンスの提供が不要であることを示すデータが記録されることになる。
ガイダンス出力部408は、判断部406が、提供候補ガイダンスが第1の推奨機能のガイダンスであると判断した場合、当該提供候補ガイダンスを提供する。また、ガイダンス出力部408は、判断部406が、提供候補ガイダンスが第1の推奨機能のガイダンスでないと判断し、かつ第2の推奨機能のガイダンスであると判断した場合、識別情報取得部401が取得した識別情報と対応づけられた提供要否記憶部407のデータにしたがって当該提供候補ガイダンスを提供する。
図5は、複合機100が備えるガイダンス提供装置400が実行するガイダンス提供手順の一例を示す図である。当該手順は、例えば、識別情報入力部411(ICカードリーダ308)により識別情報が取得されたことをトリガとして進行する(ステップS501Yes)。
このとき、認証部412は、識別情報入力部411から入力された識別情報(ユーザID)が、上述の使用許可者リストに含まれているか否かを判定する。使用許可者リストに含まれている場合は、認証部412は当該ユーザの操作パネル200を通じた操作を受け付ける状態にする。なお、使用許可者リストに含まれていない場合、認証部412は操作パネル200を通じた操作を受け付けない状態を維持する(ステップS501No)。
認証部412により認証された場合、認証部412は、取得した識別情報を識別情報取得部401に入力する。このとき、識別情報取得部401は、抽出部405へ識別情報を入力する。
抽出部405は、抽出基準を基準保持部404から読み出して保持する。そして、抽出基準に含まれる、抽出開始条件を満足するか否かを判定する(ステップS501Yes、S502)。ここでは、抽出開始条件として、「直前のガイダンス表示から予め設定された所定期間(例えば、1週間)が経過」が設定されているとする。
本実施形態では、ガイダンス表示部408がガイダンス記憶部402からガイダンスを読み出した際に、その旨が抽出部405に通知され、ガイダンスを表示した日時を特定する情報が抽出部405に記録されるようになっている。このため、抽出部405は、現在日時と、入力された識別情報に対応する直前のガイダンス表示日時とを比較することで、所定期間を経過しているか否かを容易に判定することができる。なお、抽出開始条件は、所定期間に代えて、所定印刷枚数等を使用してもよい。
また、ユーザは、操作パネルのヘルプキー214を押下することで、各種ガイダンスを確認することも可能である。このようなユーザの能動的なガイダンス表示も、上記直前のガイダンス表示に含めてもよいが、ここでは、ガイダンス提供装置400により自動的にユーザに提供されたガイダンス表示のみが直前のガイダンス表示として保持される構成であるとする。
抽出部405が、抽出開始条件を満足しないと判定した場合、そのまま手順が終了する(ステップS502No)。この場合、ガイダンス提供装置400によりガイダンスが表示されることなく、ユーザは所望の操作を実行することになる。
一方、抽出部405が、抽出開始条件を満足すると判定した場合、抽出部405は、抽出基準に含まれる、ガイダンス抽出条件にしたがって提供候補ガイダンスの抽出を開始する(ステップS502Yes、S503)。ここでは、ガイダンス抽出条件として、「所定期間内(例えば、3ヶ月)に未使用の機能」が設定されているとする。この場合、抽出部405は、履歴記憶部403に格納されている、入力された識別情報に該当する履歴情報テーブルを参照し、当該所定期間内で未使用の機能を特定する。上述のように、本実施形態では、履歴情報テーブルにタイムスタンプが記録されているため、当該所定期間内に使用された機能を容易に特定できる。抽出部406は、ガイダンス記憶部402に格納されている機能IDから、特定した機能IDを除くことで、所定期間内に未使用の機能を抽出することができる。
提供候補ガイダンスの抽出を完了した抽出部405は、抽出した機能IDを提供候補ガイダンスとして、識別情報とともに判断部406へ入力する。このとき、判断部406は、入力された機能IDが第1の推奨機能であるか否かと、第2の推奨機能であるか否かとを判断する。
ここで、第1の推奨機能および第2の推奨機能について説明する。第1の推奨機能は、第2の推奨機能よりも推奨度が高い機能であり、当該機能のガイダンスはユーザに必ず提供される。本実施形態では、第1の推奨機能として、複合機100の管理者が、ユーザによる使用を期待する機能を予め登録する。
また、第2の推奨機能は、第1の推奨機能よりも推奨度が低い機能であり、当該機能のガイダンスは、提供要否記憶部407に格納されたデータにしたがって提供される。すなわち、提供要否記憶部407に格納されたデータが表示要を示している場合には提供され、提供要否記憶部407に格納されたデータが表示不要を示している場合には提供されない。当該第2の推奨機能は、任意に設定することも可能であるが、本実施形態では、複合機100の管理者が、複合機100の用途に応じた機能を第2の推奨機能として予め登録する。
特に限定されないが、本実施形態では、第2の推奨機能として、複合機100の推奨用途に関連づけられた複数の機能をそれぞれ含む、複数の機能群の中から1の機能群を選択することにより判断部406に設定される構成になっている。ここで、推奨用途とは、複合機100が備える多種多様な機能において、いずれの機能を選択し、複合機100をどのように設定するかの方向性を意味する。
例えば、本実施形態では、推奨用途として、「用紙節約」、「画質優先」、「セキュリティ優先」等が複合機100に予め登録されている。「用紙節約」には、「集約」、「両面」、「製本綴じ」、「試し刷り後保存」等の機能が関連づけられる。「画質優先」には、「解像度」、「彩度調整」、「原稿画質」等の機能が関連づけられる。「セキュリティ優先」には、「データ送信時パスワード設定」、「ボックスパスワード変更」等の機能が関連づけられる。例えば、管理者が、複合機100の推奨用途として「用紙節約」を指定すると、当該「用紙節約」に関連づけられた上記各機能が第2の推奨機能として設定される。ここでは、説明のため、第1の推奨機能が「集約」が設定され、複合機100の用途として「用紙節約」が設定されているとする。なお、この例では第1の推奨機能が第2の推奨機能にも含まれることになるが、第2の推奨機能に含まれない第1の推奨機能を設定してよいことはもちろんである。
以上の状況において、判断部406は、まず、入力された提供候補ガイダンスから1つの提供候補ガイダンスを選択し、第1の推奨機能であるか否かを判断する(ステップS504)。そして、第1の推奨機能である場合には、その提供候補ガイダンスの提供を決定する(ステップS504Yes、S507)。提供候補ガイダンスの提供を決定した判断部406は、抽出部405から入力された他の提供候補ガイダンスの有無を確認する(ステップS508)。
一方、第1の推奨機能でない場合には、判断部406は、その提供候補ガイダンスが第2の推奨機能であるか否かを判断する(ステップS504No、S505)。そして、第2の推奨機能である場合には、判断部406は、抽出部405から入力された識別情報に該当する提供要否記憶部407の提供要否情報テーブルを参照し、当該提供候補ガイダンスの機能IDに対応するフラグデータに基づいてガイダンス提供の要否を判断する(ステップS505Yes、S506)。このとき、提供が必要である場合には、判断部406はその提供候補ガイダンスの提供を決定する(ステップS506Yes、S507)。また、判断対象の提供候補ガイダンスが第2の推奨機能でない場合、あるいは、第2の推奨機能であってもガイダンス提供が不要である場合には、その提供候補ガイダンスの提供を決定することなく、判断部406は、抽出部405から入力された他の提供候補ガイダンスの有無を確認する(ステップS505No、S508;S506No、S508)。
他の提供候補ガイダンスが存在する場合、判断部406は、以上の手順を繰り返す(ステップS508Yes、S504)。また、他の提供候補ガイダンスが存在しない場合、判断部406は、提供を決定した提供候補ガイダンスの機能IDを、ガイダンス出力部408へ入力する。当該入力を受けたガイダンス出力部408は、入力された機能IDに対応するガイダンスのデータをガイダンス記憶部402から読み出して、ディスプレイ201に表示する(ステップS508No、S509)。
図6(a)、図6(b)は、ガイダンス出力部408がディスプレイ201に表示するガイダンスの一例を示す図である。ここでは、説明のため、「集約」と「製本綴じ」の機能についてのガイダンスが提供されるものとする。
図6(a)、図6(b)に示すように、ガイダンス表示画面601は、ガイダンスを表示するガイダンス表示欄602、ガイダンス表示欄602の右端に設けられたスクロールバー603、ガイダンス表示欄602に表示されているガイダンスについて、以降の提供が不要であるときに選択される「提供不要」ボタン604、以降の不要でないときに選択される「OK」ボタン605を備える。ユーザが「提供不要」ボタン604または「OK」ボタン605を選択した場合、提供すべき次ガイダンスが存在するときはガイダンス表示欄602に当該次ガイダンスが表示される。また、提供すべき次ガイダンスが存在しないときはガイダンス表示画面601が閉じ、図2に示す操作画面がディスプレイ201に表示される。なお、スクロールバー603は、公知のように、ガイダンス表示欄602に表示されているガイダンスの表示領域を移動する際に使用される。
図6(a)に示すように、ガイダンス表示欄602に「集約」についてのガイダンスが表示されている状態で、ユーザが「提供不要」ボタン604を押圧すると、操作認識部413は、ガイダンス表示欄602に表示されているガイダンスの機能IDを、例えば、ガイダンス出力部408から取得し、提供要否記憶部407へ入力する。当該入力を受けた提供要否記憶部407は、識別情報取得部401から識別情報を取得し、当該識別情報に該当する提供要否情報テーブルに、入力された機能IDと、提供が不要である旨を示すフラグデータとを対応づけて記録する。なお、本実施形態では、提供要否情報テーブルが複合機100の全機能のレコードを有し、それぞれの機能IDに、提供が不要でない旨を示すフラグデータ「0」または提供が不要である旨を示すフラグデータ「1」が対応づけられている。しかしながら、提供要否情報テーブルに提供が不要なガイダンスの機能IDのみを記録する構成であってもよい。この場合、提供要否情報テーブル中の機能IDの有無により、ガイダンス提供の要否を判断することができる。
また、ユーザによる「提供不要」ボタン604の選択を認識した操作認識部413は、ガイダンス出力部408へ次ガイダンスの表示を指示する。当該指示を受けたガイダンス出力部408は、次ガイダンスが存在するときは当該次ガイダンスをガイダンス表示欄602に表示する。ここでは、提供すべき次ガイダンスとして「製本綴じ」についてのガイダンスが存在するため、ガイダンス出力部408は、図6(b)に示すように、当該ガイダンスをガイダンス表示欄602に表示する。
なお、ガイダンス表示欄602に「集約」についてのガイダンスが表示されている状態で、ユーザが「OK」ボタン604を押圧した場合も、操作認識部413は、ガイダンス出力部408へ次ガイダンスの表示を指示する。そのため、この場合も同様に、「製本綴じ」についてのガイダンスがガイダンス表示欄602に表示される。「製本綴じ」についてのガイダンスがガイダンス表示欄602に表示された場合の動作も、「集約」についてのガイダンスがガイダンス表示欄602に表示された場合の動作と同様である。
例えば、「集約」についてのガイダンスが表示されているガイダンス表示画面601と「製本綴じ」についてのガイダンスが表示されているガイダンス表示画面601との双方において、ユーザが「提供不要」ボタン604を押圧した場合、提供要否記憶部407の当該ユーザの識別情報と対応する提供要否情報テーブルには、「集約」および「製本綴じ」の機能IDに提供不要であることを示すデータが対応づけて記録される。
しかしながら、上述の例では、「集約」は第1の推奨機能であるため、「集約」についてのガイダンスは、当該ユーザの意思表示に関係なく、以降でも抽出部405により抽出された場合には表示される。一方、「製本綴じ」は第2の推奨機能であるため、「製本綴じ」についてのガイダンスは、抽出部405により抽出された場合であっても、当該ユーザの意思表示にしたがって以降で表示されることはない。
ところで、本実施形態では、上述のように、ガイダンスに対応する機能がユーザにより所定回数実施された場合にも、当該ガイダンスについて提供不要であることを示すデータが提供要否記憶部407に格納される構成になっている。この構成では、抽出部405により抽出された提供候補ガイダンスであっても、抽出対象の期間以前に当該機能をユーザが所定回数使用していた場合には、提供要否情報テーブルの当該機能に提供が不要である旨を示すデータが対応づけられることになる。
例えば、所定回数として「1回」が指定されている場合、ユーザが「製本綴じ」の機能を1回使用すると、提供要否記憶部407の当該ユーザの識別情報と対応する提供要否情報テーブルには、「製本綴じ」の機能IDに提供不要であることを示すデータが対応づけて記録される。この場合、当該ユーザに対して、「製本綴じ」についてのガイダンスが以降で表示されることはない。なお、所定回数は1回に限らず複数回であってもよい。
以上説明したように、この複合機100では、推奨度が高い第1の推奨機能についてはユーザの意思表示等に関わらずガイダンスが提供され、推奨度が低い第2の推奨機能についてはユーザの意思表示等に沿ったガイダンスの提供がなされる。すなわち、ユーザによる使用を管理者が期待する機能を推奨度が高い第1の推奨機能として指定することで、当該機能を確実にユーザへアナウンスすることができる。また、当該機能よりも推奨度が低いがユーザによる使用することが好ましい機能を第2の推奨機能として指定することで、当該機能については、提供要否記憶部407に格納されているデータにしたがったガイダンス提供を実現できる。したがって、管理者がユーザによる使用を期待する機能についての積極的なアナウンスと、ユーザによるアナウンス停止の要求とを、効果的に両立することができる。特に、上述の構成では、第2の推奨機能のうち、ユーザが提供不要の意思表示をしたガイダンス、もしくは、ユーザが存在を認識している機能のガイダンスの提供を停止することができる。
また、上記構成では、複合機100の用途に関連づけられた複数の機能をそれぞれ含む、複数の機能群の中から1の機能群を選択することにより、第2の推奨機能を設定できるため、ガイダンスを提供する機能の絞込みおよび指定が容易である。
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、複合機の操作パネルを通じた操作に基づいて説明をしたが、当該複合機と通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理端末を介して複合機に対する操作が行われてもよい。この場合、上述の実施形態における操作パネル200のディスプレイ201の機能は、情報処理端末が具備する、ディスプレイ等の表示手段およびキーボード等の入力手段により提供される。
また、図5に示したフローチャートは、等価な作用を奏する範囲において、各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、第1の推奨機能であるか否かの判断の後、第2の推奨機能であるか否かの判断を行ったが、第2の推奨機能であるか否かの判断の後に第1の推奨機能であるか否かの判断を行い、第1の推奨機能である場合には、先の判断結果に関わらず、提供を決定する構成であっても同様の効果を得ることが得きる。
また、抽出部405が全機能の中から未使用の機能を抽出する構成は本願に必須の構成ではない。例えば、抽出部405が第1の推奨機能および第2の推奨機能に含まれる機能の中から未使用の機能を抽出する構成を採用することもできる。また、基準保持部404が保持する抽出基準のガイダンス抽出条件は、使用頻度が少ない機能を抽出する観点では、「所定期間内に使用回数が3回以下」等の使用回数を使用することもできる。さらに、履歴記憶部403に格納されている全期間の操作履歴に基づいて、提供候補ガイダンスを抽出してもよい。なお、この場合、ガイダンスに対応する機能がユーザにより所定回数実施されたときに、当該ガイダンスについて提供不要であることを示すデータが提供要否記憶部407に格納される構成は不要になる。
また、ガイダンス出力部408が複数のガイダンスを一時に表示する構成も本願に必須ではない。例えば、ガイダンスに優先順位を予め付与しておき、当該優先順位にしたがって1つのガイダンスのみを表示する構成であってもよい。この場合、ガイダンスが表示された際に、当該ガイダンスの優先順位を、その他のガイダンスよりも低い優先度にすることで、優先順位にしたがって順にガイダンスを表示させることができる。
また、ユーザによるガイダンス提供要否の意思表示は、ガイダンスが表示された状況のみに限らず、ガイダンスが表示されていない状況下において、なされる構成であってもよい。
さらに、履歴記憶部403および提供要否記憶部407のデータについては、記録された時点から所定期間(例えば、1年)が経過したときに消去(リセット)する構成を採用すれば、機能の存在や機能を使用していたことを忘れた可能性のあるユーザに当該機能のアナウンスを実施できる。また、抽出基準や推奨機能をユーザごとに設定する構成を採用することもできる。これにより、各ユーザの操作傾向や習慣等に応じた機能のアナウンスを行うことができる。
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像形成装置をはじめとする任意の電子機器に本発明を適用することも可能である。さらには、ガイダンスを提供する任意のガイダンス提供装置に本発明を適用することも可能である。