JP2012032291A - 管台の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原子炉容器1を貫通し該原子炉容器1に肉盛部13およびJ溶接部14を介して固定された既設の管台2の補修方法において、肉盛部13およびJ溶接部14を複数のエリアに分割して該エリア毎に予め所定の開先形状を設定し、これら複数のエリアのうち、肉盛部13およびJ溶接部14の損傷箇所を含むエリアを特定して、該エリアを予め設定された所定の開先形状で切削除去する工程と、該切削除去された開先を肉盛補修によって埋め戻す工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
上述した肉盛溶接およびJ溶接による溶接部位13,14は、応力腐食割れ(SCC)等の経年劣化により損傷する可能性がある。そのため、肉盛溶接およびJ溶接による溶接部位に損傷が生じた場合および損傷の虞がある場合には、管台2の補修を行っている。
管台2の補修方法としては、従来、既設の管台2および溶接部位13,14を全て除去し、除去した開先を溶接により埋め直し、新規の管台を挿入して溶接により再度接合するという方法があり、例えば近年、既設管台2および溶接部位13,14を除去し、炭素鋼又は低合金鋼面に対して肉盛溶接し、継手溶接用加工を行った後に管台2を設置して継手溶接を行う方法が提案されている(例えば、引用文献1参照)。
本発明に係る管台の補修方法は、原子炉容器を貫通し該原子炉容器に肉盛部および溶接部を介して固定された既設の管台の補修方法において、前記肉盛部および前記溶接部を複数のエリアに分割して該エリア毎に予め所定の開先形状を設定し、前記複数のエリアのうち、前記肉盛部および溶接部の損傷箇所を含むエリアを特定して、該エリアを予め設定された所定の開先形状で切削除去する工程と、該切削除去された開先を肉盛補修によって埋め戻す工程と、を備えることを特徴としている。
本発明に係る管台の補修方法によれば、損傷箇所を含む肉盛部および溶接部を、エリア毎に予め設定された開先形状により、切削除去して肉盛補修により埋め戻すことで、管台補修に係る溶接や加工作業を単純化することができるため、例えば、水中環境や放射線線量の高い気中環境などの原子炉容器の内部における溶接や加工作業等に熟練が必要なくなり、自動装置を用いた遠隔補修が可能になる。さらに、予め設定された開先形状に切削して肉盛補修を行うので、狭いエリアに管台が林立するような狭隘な環境であっても、複雑な切削作業や溶接作業が必要とならないため、小型で3次元溶接が可能な高性能な自動装置を用いずに作業の自動化を図ることができる。
このように構成することで、管台の周囲の原子炉容器の壁面が傾斜している場合であっても、例えば、山側用の開先形状や、谷側の開先形状など、壁面の傾斜に対応した最適な形状で切削除去した後に、この切削除去した部分を肉盛補修により埋め戻すことができる。
このように構成することで、損傷箇所が明らかな場合に加えて、非破壊検査が困難な場合など、肉盛部および溶接部に明らかな損傷箇所が認められない場合であっても、切削除去の際に邪魔になる管台上部を切断除去し、損傷可能性がある肉盛部および溶接部の全域を、予め設定された開先形状で全て切削除去して、前記開先に肉盛補修した後、新たな管台上部を接合することで、損傷可能性のある肉盛部および溶接部の全域を切削除去することができるとともに、肉盛部および溶接部の全域を切削除去する際の溶接や加工作業を単純化して自動装置を用いた遠隔補修を行うことができる。
このように構成することで、補修前の肉盛部および補修前の溶接部と同じだけ溶接する場合と比較して、溶接量を低減することができ、例えば、肉盛補修時の溶接量を必要最小限にすることができる。
このように構成することで、肉盛補修時に、例えば、肉盛部を形成した後に溶接部を形成する場合と比較して、肉盛部を形成した後に行う溶接後熱処理を行う必要がなくなるため、作業工程が減少し、より容易に作業の自動化を図ることができる。
また、複雑な切削作業や溶接作業を必要としないことで、小型で3次元溶接が可能な高性能な自動装置を用いずに作業の自動化を図ることができるため、コスト増加を抑制しつつ作業者の負担を軽減することができる効果がある。
図1に示すように、炭素鋼や低合金鋼で形成された原子炉容器1下部の球形鏡5には、管台2が複数林立して取り付けられる。管台2は、それぞれステンレス鋼やNi基合金からなるパイプ状に形成され、球形鏡5に鉛直方向に貫通して設けられる。これら管台2は、球形鏡5の貫通孔7の容器内側(図1中、上面側)周縁に形成された開先6に溶接されて原子炉容器1に固定される。貫通孔7の容器外側周縁には、開先加工を伴わない肉盛溶接部3が形成される。なお、図1中、符号9は炉内計装筒のセーフエンド、符号10は、コンジットチューブ、符号11は、セーフエンド9をコンジットチューブ10に固定するためのステンレス溶接部である。
まず、管台2周りの既存の溶接部位(肉盛部13およびJ溶接部14)を上面視で分割した複数のエリアを設定し、これらエリアのうち損傷のあるエリアを特定する。ここで、複数のエリアは、図3に示すように、例えば、管台2周辺の球形鏡5の傾きにおける最も高い地点と最も低い地点とを結ぶ線に沿った方向を高低方向と仮定した場合に、管台2よりも低い側(図3中、0度側)のエリア、管台2よりも高い側(図3中、180度側)のエリア、管台2の左側(図3中、90度側)のエリア、および、管台2の右側(図3中、270度側)のエリアの4つが設定される。なお、以下、管台2よりも低い側を「谷側」、管台2よりも高い側を「山側」と称する。
図6(a),(b)は、予めエリア毎に設定された開先形状のうち、管台2の谷側のエリアに対応する開先形状で切削して埋め戻した場合を示しており、図7(a),(b)は、予めエリア毎に設定された開先形状のうち、管台2の山側のエリアに対応する開先形状で切削して埋め戻した場合を示している。また図8(a),(b)は、管台2の右側方のエリアに対応する開先形状で切削して埋め戻した場合を示している。図7(a),(b)の場合、山側の開先形状が、切削時に球形鏡5の山側の内面が作業の邪魔となるため、谷側よりも上面視(図参照)の面積が大きい略台形に設定されている。また、図8(a),(b)の場合、右側方の開先形状が、上面視で、山側の開先形状の略台形よりも、上辺および下辺が短い略台形をなし、その中心がやや山側にずれるように設定される。なお、左側方の開先形状は、上述した右側方の開先形状と管台2を基準とした対称形状であるため省略する。
まず、図9に示すように、溶接装置との干渉を防止するべく管台上部2aを切断すると共に、上述した第1実施形態の複数のエリアとは異なる、予め管台2周りの全体のエリアに対応して設定された所定の開先形状によって、肉盛部13およびJ溶接部14からなる全ての溶接部位を切削除去する。この切削により形成された開先21は、切削前の肉盛部13およびJ溶接部14よりも若干大きく設定される。そして、開先21は、その底壁22から上方に向かって側壁23が拡径して形成される。この開先21の底壁22と側壁23とのなす角度は、切削装置および溶接装置が有する自動切削および自動溶接可能な条件に適合すべく、例えば60度程度に設定される。
さらに、肉盛補修による溶接量を、切削除去される前の肉盛部13およびJ溶接部14よりも少ない溶接量、例えば必要最小限の溶接量に設定することで、補修前の肉盛部13および補修前のJ溶接部14と同じ溶接量とした場合と比較して、強度を確保しつつ作業時間を短縮できるため、補修作業者の更なる負担軽減を図ることが可能になる。
この第3実施形態の管台の補修方法は、上述した第1実施形態および第2実施形態の管台の補修方法で行っている肉盛補修を、テンパービード法で行う点でのみ異なっている。具体的には、上述した第1実施形態および第2実施形態の同様に肉盛部13およびJ溶接部14を切削除去する作業を行った後に、テンパービード法により肉盛補修を行っている。
例えば、上述した第3実施形態では、肉盛部13およびJ溶接部14の全てを切削除去した開先21にテンパービード法による補修溶接を行う場合を一例に説明したが、第1実施形態のように、エリア毎の開先形状で切削して管台上部2aを切断除去しない場合にも適用できる。この場合、開先形状として曲率半径20[mm]以上の曲面や平面によって構成するのが好ましい。
2 管台
2a 管台上部
6 開先(切削部)
13 肉盛部
14 J溶接部(溶接部)
15 補修肉盛部
16 補修J溶接部
21 開先(全域切削部)
Claims (5)
- 原子炉容器を貫通し該原子炉容器に肉盛部および溶接部を介して固定された既設の管台の補修方法において、
前記肉盛部および前記溶接部を複数のエリアに分割して該エリア毎に予め所定の開先形状を設定し、前記複数のエリアのうち、前記肉盛部および溶接部の損傷箇所を含むエリアを特定して、該エリアを予め設定された所定の開先形状で切削除去する工程と、
該切削除去された切削部を肉盛補修によって埋め戻す工程と、を備えることを特徴とする管台の補修方法。 - 前記複数のエリアは、前記管台の周方向に分割してなることを特徴とする請求項1に記載の管台の補修方法。
- 損傷又は損傷可能性のある箇所が、前記肉盛部および前記溶接部の全域に亘る場合に、
前記管台上部を切断除去する工程と、
予め設定された所定の開先形状で、前記肉盛部および前記溶接部の全域を切削除去する工程と、
該切削除去された全域切削部を肉盛補修によって埋め戻す工程と、
該肉盛補修により埋め戻された埋め戻し部に新たな管台上部を接合する工程とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の管台の補修方法。 - 前記全域切削部の埋め戻し量は、前記切削除去される前よりも少ない埋め戻し量であることを特徴とする請求項3に記載の管台の補修方法。
- 前記肉盛補修は、テンパービード法による溶接であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の管台の補修方法。
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