JP5800561B2 - テンパービード溶接補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テンパービード溶接補修方法に関し、特に原子炉容器に接合された炉内計装筒管台の接合部の損傷を補修する際に適用されるテンパービード溶接補修方法に関するものである。
原子炉容器は、一般に炭素鋼や低合金鋼からなり、その補修として溶接を行う場合、溶接熱により、材料の性質が変化してしまう。その熱影響部でも、特に高温まで加熱された領域は、組織の変態が生じ、一般に焼入れされた組織となる。
熱影響部は、焼入れにより部分的に硬化している。硬化した部分は応力腐食割れや脆性破壊などの起点になる恐れがある。そのため、通常は、硬化した部分を熱処理して焼戻しすることにより、熱影響部の機械的特性を改善している。しかしながら、既設プラントなどの補修では、熱処理が実施不可能な場合がある。そのため、溶接後の熱処理を省略可能な溶接技術の確立が望まれている。
溶接後の熱処理を不要とする溶接技術として、テンパービード溶接が知られている。テンパービード溶接では、例えば、図23に示すように母材25上に初層のビード26を溶接した後、図24に示すように初層上に複数の残層のビード27を重ねて溶接する。初層を形成する際に、母材表面には熱影響部(硬化域)28が形成されるが、この熱影響部28は、初層上に残層を重ねて溶接する際の溶接熱により焼き戻される。よって、テンパービード溶接では、肉盛溶接をすると同時に、母材中に発生した硬化域を焼戻して補修部位を強化することができる。
溶接においては、通常、ビードが垂れ落ちることを防止するため、残層は、図24に示すように、初層(下地層)のビード26の端部より内側に重ね溶接される。
下地層の内側に重ね溶接した場合、初層の形成時に生成された母材の硬化域のうち、中央部分(定常部)29を焼き戻すことはできるものの、硬化域の外縁部30には残層溶接時の溶接熱が届きにくくなるため、硬化域が残留するという問題がある。
上記問題を解決する方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、初層を縁取る形状の当て材を母材上に設置し、この当て材の内面を基準として初層に重なるように溶接して残層を形成する。そのようにすることで、母材を溶融させることなく初層の端部上に残層を溶接することができるため、確実に硬化域端部を焼き戻すことが可能となる。
特開2007−130654号公報(請求項1、段落[0010]及び[0011])
炉内計装筒管台(以下、管台と称する)は、加圧水型軽水炉の場合は原子炉容器の下部(下半球鏡)に鉛直に設けられた貫通孔に貫通した状態で原子炉容器に接合され、保持されている。管台や管台取付部付近が損傷した場合、管台を新設する、または、損傷部及びその周辺を部分的に補修する。
管台を新設する場合の1つとして、損傷した管台を貫通孔から外した後、新しい管台を貫通孔に挿入し、原子炉容器外表面側から原子炉容器と管台とを溶接により接合させる。溶接は原子炉容器及び管台の接合面を含むよう被溶接面中心に対して円軌道でビードを重ねて行われる。一般に、残層は、熱影響部を焼き戻すため、可能な限り初層の外周端に重ねるよう、初層と同軸で形成される。
しかしながら、管台は下半球鏡などに貫通しているため、被溶接面は傾斜面となる。傾斜面に溶接を行うと、重力の影響によりビードが傾斜面下方向に垂れて形成される。そのため、初層で生じた熱影響部に対して、残層にて溶接トーチを初層と同軸で走査しながら、初層のビードの端部より内側を狙って360°全周にわたり斑なく焼戻すのは困難である。
管台は原子炉容器に複数本貫通されているため、スペースの問題などにより特許文献1に記載のような当て材を用いることもできない。
損傷部及びその周辺を部分的に補修する場合、損傷部分を除去すると同時に、開先を形成し、該開先を溶接によって埋める。図25に、原子炉容器と管台との接合部に形成される開先を例示する。原子炉容器と管台との接合部に形成される開先は、管台側には鉛直方向に立設する中央から両端部に向けて先細となる壁面18と、壁面18の下辺に隣接して延在し壁面の両端部から中央に向けて漸次開先深さが深くなる形状の底部19とを備える形状となる。通常の開先は、溶接施工を考慮して傾斜を設ける。しかしながら、原子炉容器と管台との境界では、管台が鉛直方向に延在しているため、管台側の開先を傾斜させることができず、垂直に立設した壁面を有する特殊な形状の開先にせざるを得ない。
通常の溶接では、溶接方向を一方向としてビードを重ねて形成する。しかしながら、上記のような形状の開先では、壁面18にもビード31を形成するため、壁面の両端部で、図25の破線で囲うようなつまりが生じてしまう。テンパービード溶接では、初層上に残層を積層し、残層の溶接熱によって熱影響部を焼き戻すが、ビードのつまりが生じた部分では、熱影響部に溶接熱が伝達されにくくなり、焼き戻しされない部分が残留することになる。
本発明は、上記課題を解決するために、当て材を使用することなく、焼き戻し効果が得られにくい領域に対しても焼き戻しできるようなテンパービード溶接補修方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、溶接後熱処理を要する材料からなる容器の水平方向に対して傾斜した傾斜部に設けられた鉛直方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔に挿入された管状部材と、の接合部に発生した損傷を溶接によって補修する溶接補修方法であって、前記傾斜部の内表面と前記傾斜部の外表面との間で前記管状部材を切断し、切断された前記外表面側に突出している前記管状部材を取り除く管状部材切断除去工程と、前記管状部材を取り除いた後の前記貫通孔を塞ぐように形成された貫通孔栓を、前記外表面側から前記貫通孔へ挿入する貫通孔栓挿入工程と、前記容器と前記貫通孔栓とを前記外表面において肉盛溶接する肉盛溶接工程と、前記貫通孔栓、既設の管台、及び前記接合部を除去し、前記傾斜部に鉛直方向に開口する孔を加工する孔加工工程と、前記孔に新設管台を挿入し、前記孔と前記新設管台を溶接により接合する新設管台接合工程と、を備え、前記肉盛溶接工程が、溶接トーチを第1中心に対して回転させて円軌道で走査し、前記外表面上に径の異なる円形のビードを重ねて初層を形成する初層形成段階と、前記溶接トーチを第2中心に対して回転させて円軌道で走査し、前記初層上に径の異なる円形のビードを重ねて残層を形成する残層形成段階と、を含み、前記残層形成段階において、前記残層の最外周ビードの溶接狙い位置を、下地となる層の最外周ビードの内周形状に沿うよう設定するテンパービード溶接補修方法を提供する。
上記発明によれば、初層のビードは、重力の影響により第1中心の円軌道よりも傾斜面下側へと垂れた位置に形成される。それにともなって、母材に形成される熱影響部も溶接狙い位置の円軌道から傾斜面下側へとずれる。残層の最外周ビードの溶接狙い位置を、下地となる層の最外周ビードの内周形状に沿うよう定めることで、初層のビードがずれた場合であっても残層溶接時の溶接熱を初層の熱影響部の外周側に満遍なく届けることが可能となる。
上記発明の一態様において、前記溶接トーチの前記第1中心からの距離をパス毎に順次長くし、円の中心側から外周側に向けてビードを重ねて前記初層を形成し、前記溶接トーチの前記第2中心からの距離をパス毎に順次短くし、円の外周側から中心側に向けてビードを重ねて前記残層を形成することが好ましい。
第2パス以降で形成されたビードは、前のパスで形成されたビードに一部重ねられる。そのため、隣接するビードが重なった部分では、溶接熱が前のパスで形成されたビードを介して下地層へと伝達される。一方、第1パスで形成されたビードは、前のパスで形成されたビードと重なることなく母材上に置かれるため、溶接熱が直接下地へと伝達される。すなわち、第1パスの溶接熱が最も下地層へ伝達されやすい。
上記発明の一態様によれば、初層形成時の第1パスを被溶接面の中心側に形成する。これによって、貫通孔栓上に第1パスのビードを形成することができるため、容器(母材)への熱影響を抑制することができる。一方、残層形成時の第1パスは、初層の最外周ビードの内周形状に沿って溶接狙い位置が定められているため、初層の最外周に形成された熱影響部へ溶接熱が伝達されやすくなる。それによって、熱影響部端部での焼き戻し効果が大きくなる。
また、参考発明は、溶接後熱処理を要する材料からなり、内表面に溶接後熱処理が不要な材料からなるオーバーレイ層が形成された容器の傾斜部に設けられた鉛直方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔に挿入された管状部材と、の接合部に発生した損傷を溶接によって補修する溶接補修方法であって、前記損傷した部分を除去すると同時に、前記管状部材側に鉛直に立設し、中央から両端部に向けて先細となる壁面と、前記壁面の下辺に隣接して延在し前記壁面の両端部から中央に向けて漸次開先深さが深くなる形状の底部と、を備える開先を形成する開先形成工程と、溶接トーチを、前記壁面に向け、前記壁面の一端部側から他端部側へと走査して、壁面方向に連続するようビードを重ねて前記壁面に溶接する壁面溶接工程と、を備え、前記壁面溶接工程において、各ビードを形成する際の溶接狙い位置を交差させず、且つ、各ビードの終始端を前記壁面に隣接するオーバーレイ層上に逃がすテンパービード溶接補修方法を提供する。
上記参考発明によれば、壁面にビードを形成する際に、溶接狙い位置が交差しないように定められている。また、ビードの終始端は、壁面に沿った方向にあるオーバーレイ層ではなく、壁面に隣接するオーバーレイ層へと逃がす。そうすることによって、壁面の両端部においてビードのつまりを生じさせずに、壁面にビードを重ねることができる。
上記参考発明の一態様において、前記壁面溶接工程において、前記溶接トーチを前記壁面に隣接するオーバーレイ層に向け、溶接開始位置から前記壁面に交わる方向に走査して、前記ビードのうち始端から前記壁面に至るまでの部分を形成した後、前記溶接トーチを、前記壁面に向け、走査方向を前記壁面の一端部側から他端部側へと変更し、前記ビードのうち前記壁面上に置かれる部分を形成し、その後、前記溶接トーチを、前記壁面に隣接するオーバーレイ層に向け、走査方向を前記壁面に交わる方向へと変更し、前記ビードのうち前記壁面上に置かれた部分から終端までを形成することが好ましい。
上記参考発明の一態様によれば、溶接トーチの走査方向を、オーバーレイ層上に溶接するとき、壁面に溶接するときとで変更する。それによって、ビードの終始端を壁面に隣接するオーバーレイ層へと逃がすことができる。
本発明によれば、傾斜面に溶接した場合に、重力の影響によって焼き戻し効果が得られにくい領域に対する熱のかかり具合がばらつくのを抑制することができる。また、参考発明によれば、鉛直に立設する壁面を備えた開先であっても、壁面の両端部にビードのつまりを生じさせることなく、壁面に溶接を行うことができる。そうすることによって、ビードのつまりによって焼き戻し効果が得られにくかった領域であっても、当て材を使用することなく、焼き戻しできるようになる。
原子炉容器の外観を示す斜軸投影図である。 下半球鏡に管台が貫通した部分の断面図である。 図2に示された構造体に管台切断除去工程を施した後の貫通孔周辺の断面図である。 図3に示された構造体に貫通孔栓挿入工程、溶接接合工程を施した後の貫通孔周辺の断面図である。 第1実施形態における溶接座の形成手順を説明する図である。 第1実施形態における溶接座の形成手順を説明する図である。 従来の溶接座の形成手順を説明する図である。 ビードを重ねて形成したときの熱影響部が発生する様子を説明する図である。 図4に示された構造体に孔加工工程を施した後の貫通孔周辺の断面図である。 図9に示された構造体に管台挿入工程、新設管台接合工程を施した後の貫通孔周辺の断面図である。 第2実施形態における溶接座の形成手順を説明する図である。 第2実施形態における溶接座の形成手順を説明する図である。 参考実施形態における補修部分の上面図である。 図13のA−A断面図である。 図13のB−B断面図である。 図13のC−C断面図である。 ビードを形成した後の開先を例示する斜視図である。 壁面にビードを形成する際の溶接トーチと溶加材の位置関係を示す図である。 ビード始端形成時の溶接トーチと溶加材を壁面側から正面視した図である。 図19の溶接トーチと溶加材を側面視した図である。 壁面ビード形成時の溶接トーチと溶加材を壁面側から正面視した図である。 図21の溶接トーチと溶加材を側面視した図である。 母材上に初層のビードを形成した状態の断面図である。 初層上に残層のビードを複数重ねて形成した状態の断面図である。 原子炉容器と管台との接合部に形成される開先を例示する図である。
以下に、本発明に係るテンパービード溶接補修方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。本発明に係るテンパービード溶接補修方法は、原子炉容器と管台との溶接接合部に損傷が発生した場合の溶接補修に適用され得る。溶接は遠隔装置によって実施される。
図1は、原子炉容器の外観を示す斜軸投影図である。原子炉容器1は、炭素鋼や低合金鋼などの溶接後熱処理を要する材料からなる。原子炉容器1の内面は、ステンレスなどの溶接後熱処理が不要な材料からなる層で被覆されている。原子炉容器1は、略半球形状の底部(下半球鏡)3を備えている。下半球鏡3には、下半球鏡3に挿入される炉内計装の挿入時のガイド及び支持等の役割を担うために、複数本の炉内計装筒(管台)2が林立状態で垂設されている。
図2に、下半球鏡に管台が貫通した部分の断面図を示す。下半球鏡3は、鉛直方向に貫通した複数の貫通孔4が設けられている。各貫通孔4は環状の開先を有している。各貫通孔4には管台2が挿入され、上記開先を溶接することで下半球鏡3に管台2を固着させている。開先底面には、バタリング用にインコネル肉盛5が施工されている。
管台2は、ステンレス鋼やNi基合金などの材料からなる管状部材であり、環境により原子炉容器1との溶接部6にて応力腐食割れ等の損傷が生じ得る。損傷が成長して大きくなると原子炉容器内の炉水が原子炉容器外へリークする恐れがある。そこで、このリークは種々の検出器により常時監視し、また定期検査時などにも検出される。リークが検出されると、このリークの防止対策が施されることになる。
〔第1実施形態〕
本実施形態に係るテンパービード溶接補修方法は、原子炉容器1の外面側から補修する方法であり、管台切断除去工程と、貫通孔栓挿入工程と、肉盛溶接工程とを備えている。図3は、図2に示された構造体に管台切断除去工程を施した後の貫通孔周辺の断面図である。図4は、図3に示された構造体に貫通孔栓挿入工程、肉盛溶接工程を施した後の貫通孔周辺の断面図である。
管台切断除去工程では、まず、原子炉容器1の内表面8よりも外表面側、かつ原子炉容器1の外表面9よりも内表面側に位置する切断部10において管台2を切断する。そして切断後の管台2のうち、原子炉容器1の外側に突出した部分が、引き抜かれて取り除かれる。
管台切断除去工程の後、図4に示されているように、貫通孔栓挿入工程及び肉盛溶接工程が行われる。貫通孔栓挿入工程では、貫通孔4に貫通孔栓11が外側から挿入される。貫通孔栓11は、ステンレス鋼などからなり、貫通孔4の開口を塞いで、後に形成される溶接座の下地となる役目を果たす。次に、挿入した貫通孔栓11及びその周辺の原子炉容器1を含む領域(被溶接面)に溶接座12を形成する(肉盛溶接工程)。
溶接座は、初層形成段階及び残層形成段階によって形成される。図5〜図7を参照して、溶接座の形成手順を説明する。
(1)図5
初層形成段階では、溶接トーチ13を第1中心に対して回転させて走査し、下半球鏡3の外表面(被溶接面)上に径の異なる円形のビードを面方向に順次重ねて、初層を形成する。第1中心は、予定される被溶接面の中心と同軸とされる。下半球鏡3の外表面は、水平方向に対して傾斜している。このような傾斜面に溶接を施すと、図5に示すように、重力の影響により、ビードが溶接狙い位置よりも傾斜面下方向に垂れて形成される。これに伴い、熱影響部の端部も溶接狙い位置の円軌道からずれて形成される。
(2)図6及び図7
残層形成段階では、溶接トーチ13を第2中心に対して回転させて走査し、初層上に径の異なる円形のビードを重ねて残層を形成する。残層は複数の層が積層された構成とされることが好ましい。残層の最外周ビードの溶接狙い位置は、図6に示すように下地となる層の最外周ビードの内周形状に沿うように設定する。内周形状に沿うように溶接狙い位置を設定することにより、下地となる層の最外周ビードが重力の影響で溶接狙い位置の円軌道からずれた位置に形成された場合であっても、熱影響部の端部により近い位置で、熱影響の端部との距離を略一定に保ちつつ、残層の最外周ビードを形成することができる。これによって、残層形成時の溶接熱が熱影響部に届きやすくするとともに、場所による熱のかかり具合のバラツキを抑えることができる。
図7に、従来の溶接方法を示す。残層のビードを第1中心と同様の円軌道で溶接すると、残層の最外周ビードの狙い位置が、熱影響部の端部から遠くなるため、熱影響部の端部に熱が届きにくくなる。
通常の溶接において、ビードの積層方向を初層及び残層で同じ方向とされるが、本実施形態において、初層は溶接トーチの第1中心からの距離をパス毎に順次長くし、円の中心側から外周側に向けてビードを重ねて形成する。また、残層は溶接トーチの第2中心からの距離をパス毎に順次短くし、円の外周側から中心側に向けてビードを重ねて形成すると良い。
図8を参照して、ビードを重ねて形成したときの熱影響部が発生する様子を説明する。
図8に示すように、第2パス以降で形成されたビードは、前のパスで形成されたビードに一部重ねられる。そのため、隣接するビードが重なった部分では、溶接熱が前のパスで形成されたビードを介して下地層へと伝達される。これによって、母材の深さ方向への熱影響範囲は狭くなる。一方、第1パスで形成されたビードは、前のパスで形成されたビードと重なることなく母材上に置かれるため、溶接熱が直接下地へと伝達される。すなわち、第1パスの溶接熱が最も下地層へ伝達されやすい。
上記のように、初層を被溶接面の中心側から外周側へ向けてビードを重ねて形成することで、貫通孔栓上に最も大きな熱影響部を形成する第1パスのビードを形成することができる。それによって、容器(母材)への熱影響を小さく抑えることができる。貫通孔栓は溶接後に熱処理が不要な材料からなり、後の工程で除去される部材であるため、第1パスのビードが形成されても特に問題はない。また、残層を被溶接面の外周側から中心側へ向けてビードを重ねて形成することで、最も下地層に熱を届けやすい第1パスのビードを、熱影響部の端部の近くに形成することができる。それによって、熱影響部の端部での焼き戻し効果が大きくなる。
上記工程により閉塞した貫通孔4を復旧させ機能を取り戻すためには、図9に示されているように、新設管台14が挿入されて原子炉容器1に接合される。より具体的には、まず、図9に示されているように、孔加工工程が行われる。孔加工工程では、貫通孔栓11及び既設の管台2をすべて取り除くとともに、接合部6も除去され、貫通孔4よりも径の大きな孔15が鉛直方向に形成される。孔15の内面側には、下半球鏡が接液しないようスリーブ16が設けられている。スリーブ16は溶接により孔15に接合される。
続いて、図10に示されているように、管台挿入工程と新設管台接合工程とが行われる。管台挿入工程では、溶接座12に開先が形成された後、孔15に新設管台14が挿入される。新設管台接合工程では、原子炉容器1と新設管台14とが、新設管台14と溶接座11とを溶接することによって接合される。本実施形態によれば、溶接座11を設けることで、焼き戻し処理をすることなく、新設管台を接合させることができる。
〔第2実施形態〕
本実施形態に係るテンパービード溶接補修方法は、初層形成段階及び残層形成段階が異なる以外は、第1実施形態と同様の工程を備えている。
本実施形態では、初層のビードが重力の影響によって傾斜面の傾斜下方向に移動する距離を予測し、移動後のビードが第2中心に対する円軌道と重なるよう第1中心を定める。初層のビードが移動する距離は、傾斜面の傾斜角度、溶接トーチの回転半径、供給する溶加材の種類などに基づいて予測すると良い。第2中心は、予定される被溶接面の中心と同軸とする。
図11及び図12を参照して、溶接座の形成手順を説明する。本実施形態によれば、第1中心を予定される被溶接面の中心からずらす。被溶接面は傾斜しているため、結果として形成されるビードは、重力の影響により予定される被溶接面の中心に対する円軌道と重なる。第2中心は、予定される被溶接面の中心と同軸であるため、熱影響部に満遍なく熱を与えることができる。そうすることで、熱影響部の全周にわたり、場所による熱のかかり具合のバラツキを抑えることができる。
参考実施形態〕
参考実施形態に係るテンパービード溶接補修方法は、原子炉容器の内面から補修する方法であり、開先形成工程と、壁面溶接工程と、を備えている。図13〜図17を参照して、参考実施形態に係るテンパービード溶接補修方法を説明する。図13は、補修部分の上面図である。図14は、図13のA−A断面図である。図15は、図14のB−B断面図である。図16は、図13のC−C断面図である。図17は、ビードを形成した後の開先を例示する斜視図である。
開先形成工程では、損傷した部分を含む領域に開先17を掘設する。開先を形成することで、損傷した部分は除去される。参考実施形態において損傷は、下半球鏡3と管台2との接合部6に発生している。そのため、開先17は、管台側に鉛直に立設された壁面18を備えている。壁面18は、中央から両端部に向けて先細の形状とされる。また、開先17は、壁面18の下辺に隣接して延在し、壁面の両端部から中央に向けて漸次開先深さが深くなる形状の底部19を有する。壁面に向かい合う面は、傾斜している。
開先17を形成した後、該開先17にテンパービード溶接を施す。開先の底部19は、壁面18の一端部から他端部に向けて一方向で溶接トーチを走査して、ビード20を形成する。
開先の壁面18は、溶接トーチを、壁面18に向け、壁面18の一端部側から他端部側へと走査して、ビードを重ねる(壁面溶接工程)。壁面18に溶接する際には、各ビードの溶接狙い位置を交差させず、且つ、図17に示すように各ビード21の終始端を壁面に隣接するオーバーレイ層上に逃がす。ビードの終始端部と壁面上での溶接方向を変更することで、壁面18の両端部においてビードのつまりを生じさせずに、壁面にビードを重ねることができる。よって、溶接熱が熱影響部へ満遍なく届くようになる。
通常、溶接は一方向に溶接トーチを走査して行うが、参考実施形態では、溶接方向を変更するステップを含む。終始端部と壁面上でのビードの形成は、一連の動作として行う。トーチ角度や溶加材の送給方向も適宜変更しても良い。しかしながら、溶接途中でトーチ角度や溶加材送給位置を変更することが困難な場合は、図18〜図22に示すような手順で溶接すると良い。図18は、壁面にビードを形成する際の溶接トーチと溶加材の位置関係を示す図である。図19は、ビード始端形成時の溶接トーチと溶加材を壁面側から正面視した図である。図20は、図19の溶接トーチと溶加材を側面視した図である。図21は、壁面ビード形成時の溶接トーチと溶加材を壁面側から正面視した図である。図22は、図21の溶接トーチと溶加材を側面視した図である。
溶接途中でトーチ角度や溶加材送給位置を変更することが困難な場合は、底部での溶接方法を基準とすると良い。まず、溶接トーチ22を壁面18に隣接するオーバーレイ層7に向け、溶接開始位置から壁面18に交わる方向に走査して、1パスで形成されるビードのうち始端から壁面に至るまでの部分を形成する。溶接トーチ22は後退角をつけ、溶接方向側方からワイヤー状の溶加材23を送給する。
次に、トーチ角度や溶加材23の溶接トーチ22に対する位置は現状を維持した状態で、溶接トーチ22を、壁面18に向け、走査方向を壁面18の一端部側から他端部側へと変更し、1パスで形成されるビードのうち壁面上に置かれる部分を形成する。溶接方向を変更したことで、溶加材23は、溶接方向前方から送給されることになる。
その後、溶接トーチ22を、壁面18に隣接するオーバーレイ層7に向け、走査方向を壁面18に交わる方向へと変更し、1パスで形成されるビードのうち壁面上に置かれた部分から終端までを形成する。
第1実施形態、第2実施形態、および参考実施形態によれば、焼き戻し(テンパー)が効きにくい領域に対しても、焼き戻し効果を得られるようになる。
1 原子炉容器
2 管台
3 下半球鏡
4 貫通孔
5 バタリング層
6 溶接部
7 オーバーレイ層
8 内表面
9 外表面
10 切断部
11 貫通孔栓
12 溶接座
13、22 溶接トーチ
14 新設管台
15 孔
16 スリーブ
17 開先
18 壁面
19 (開先の)底部
20 (底部の)ビード
21 (壁面の)ビード
23 溶加材

Claims (2)

  1. 溶接後熱処理を要する材料からなる容器の水平方向に対して傾斜した傾斜部に設けられた鉛直方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔に挿入された管状部材と、の接合部に発生した損傷を溶接によって補修する溶接補修方法であって、
    前記傾斜部の内表面と前記傾斜部の外表面との間で前記管状部材を切断し、切断された前記外表面側に突出している前記管状部材を取り除く管状部材切断除去工程と、
    前記管状部材を取り除いた後の前記貫通孔を塞ぐように形成された貫通孔栓を、前記外表面側から前記貫通孔へ挿入する貫通孔栓挿入工程と、
    前記容器と前記貫通孔栓とを前記外表面において肉盛溶接する肉盛溶接工程と、
    前記貫通孔栓、既設の管台、及び前記接合部を除去し、前記傾斜部に鉛直方向に開口する孔を加工する孔加工工程と、
    前記孔に新設管台を挿入し、前記孔と前記新設管台を溶接により接合する新設管台接合工程と、
    を備え、
    前記肉盛溶接工程が、
    溶接トーチを第1中心に対して回転させて円軌道で走査し、前記外表面上に径の異なる円形のビードを重ねて初層を形成する初層形成段階と、
    前記溶接トーチを第2中心に対して回転させて円軌道で走査し、前記初層上に径の異なる円形のビードを重ねて残層を形成する残層形成段階と、
    を含み、
    前記残層形成段階において、前記残層の最外周ビードの溶接狙い位置を、下地となる層の最外周ビードの内周形状に沿うよう設定するテンパービード溶接補修方法。
  2. 前記溶接トーチの前記第1中心からの距離をパス毎に順次長くし、円の中心側から外周側に向けてビードを重ねて前記初層を形成し、
    前記溶接トーチの前記第2中心からの距離をパス毎に順次短くし、円の外周側から中心側に向けてビードを重ねて前記残層を形成する請求項1に記載のテンパービード溶接補修方法。
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