JP2012031481A - ワークの熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】搬送および熱処理に際しカップ部をワーク下部としステム軸部又は筒軸部をワーク上部とし、カップ部内面およびステム軸部又は筒軸部の熱処理を行う装置であり、テーブル式搬送機構10の一のテーブル上のワークWを、仮位相決め機構30で仮位相決めを行い、他のテーブル上に移載し本位相決め機構40で本位相決めを行う。次に搬送ラインから離れた位置に搬送してワーク下部熱処理部50でカップ部内面に対して熱処理を行い、ガントリ式搬送機構20で搬送し、搬送ラインから離れた位置に搬送してワーク上部熱処理部60でステム軸部の外面又は筒軸部の内面の熱処理を行う。
【選択図】図1
Description
スプライン孔部W22の熱処理は、マルチターン型の加熱コイルをスプライン孔に収容しアウタレースW2を回転させ、外面に冷却液を噴射して冷却しながら内面のスプライン孔部W22を誘導加熱し、その後、スプライン孔内面に冷却液を噴射して冷却する。
スプライン孔部W42の熱処理は、マルチターン型の加熱コイルをスプライン孔に収容しアウタレースW4を回転させてスプライン孔部W42を誘導加熱し、その後、スプライン孔内面に冷却液を噴射して冷却する。
この構成によれば、ワークを一つの焼入テーブルに搬送し、焼入テーブルにおける搬送ラインの下側でワークの溝部を加熱して冷却し、溝部の冷却完了後に、焼入テーブルにおける搬送ラインの上側でワークのステム軸部を加熱して冷却し、ステム軸部の冷却完了後に、ワークを次のテーブルに搬送する。
図1(c),(d)に示すアウタレースW2については、第1の焼入ステーションを通過し、割り出しステーションでワークの割り出しを行い、第2の焼入ステーションでワークのカップ部内面の焼入れを行い、第3の焼入ステーションで筒軸部の内面の焼入れを行う。
図1(e),(f)に示すアウタレースW3については、第1の焼入ステーションでステム軸部の外周面の焼入れを行い、割り出しステーションでワークの割り出しを行い、第2の焼入ステーションでワークのカップ部内面の焼入れを行い、第3の焼入ステーションを通過する。
特許文献4に記載された高周波焼入装置によれば、複数種のワークについて高周波焼入れすることができるとしているが、この汎用性は適合する加熱コイルに交換することが前提である。
すなわち、図1に示すアウタレースW1,W2は、カップ部の内部形状が同一である場合にのみ、カップ部を加熱する加熱コイルを共用できる。ステム軸部の熱処理とスプライン孔の熱処理とは各別のテーブルで処理するので、アウタレースW1とW2、W3とW4であれば同一時間帯に処理することはできる。また、電源装置の関係から同一時間帯に処理することはできない。アウタレースW1とW3、W1とW4、W2とW3は、加熱コイル等を交換しないと処理することはできない。また、アウタレースの大きさが異なる場合も加熱コイルの交換が必要である。
また、アウタレースのカップ部の熱処理についての開示がないので、カップ部の熱処理とステム軸部の熱処理を各別のテーブルで熱処理を行う場合に、短いタクトで行えるシステムを構成するための技術資料にはならない。
しかし、ワークの1個あたりの製作時間は、(1)搬送手段によるワーク待機位置から焼入装置へのワーク搬送、(2)ワークのカップ部が下部加熱コイルに被さる位置への下降、(3)下部加熱コイルによるカップ部の誘導加熱および誘導加熱の間に冷却手段の下降、(4)カップ部の冷却、(5)冷却手段の上昇、および上部加熱コイルに被さる位置へのワークの上昇、(6)上部加熱コイルによるステム軸部の誘導加熱、(7)ステム軸部の冷却を行いながらのワークおよび冷却手段の下降、(8)冷却手段の上昇、(9)搬送手段による焼入装置から次の処理テーブルへのワーク搬送、という一連の動作に要する時間と等しい。
これは、単純にカップ部の加熱冷却とステム軸部の加熱冷却とを各別のテーブルで行う場合に比べて単純に2倍の処理時間が掛かる。
(1)ワーク下部熱処理部のマルチ処理化とワーク上部熱処理部のマルチ処理化とを整合性を持たせて実現させ、これによって、ワークの1個あたりの製作時間が均衡するように実現させることを目標とした。すなわち、ワーク下部(カップ部)の加熱と冷却に要する時間と、ワーク上部(ステム軸部)の加熱と冷却に要する時間とを同等に短縮することができ、これによって、ワークの1個あたりの製作時間を短縮できることを目標とした。具体的には、ワーク下部の熱処理とワーク上部の熱処理とを分け、さらにワーク上部の加熱と冷却とを分けることで、タクトが短いワークの熱処理装置を提供することを目標とした。
(2)装置のワーク搬送方向の大きさ(装置長さ)、ワークの搬送方向に対し直交する方向の大きさ(装置幅)および高さをそれぞれ小さくすること、並びに装置のコンパクト化を図ることを目標とした。
具体的には、装置の搬送方向の縮小化については、ステム軸部の熱処理とスプライン孔部の熱処理とを別々のテーブルで行うのではなく、同一のテーブルで行える構造の実現を目標とした。また、ライン方向に沿ったライン近傍の一側を、加熱コイルを交換するための操作側として、ライン方向の全長に渡り扉を開放できることとし、しかも加熱コイルを交換する作業者が、奧側の交換位置まで必要十分に手が届く距離となることのコンパクトな構造の実現を目標とした。ワークの搬送方向に対し直交する方向の縮小化を目標としたことは、加熱コイルを交換するメンテナンス性を高めるために必要である。
(3)汎用性を備えた熱処理装置の開発を目標とした。そして、加熱コイルの交換作業の容易性、交換作業の時間短縮に繋がることを目標とした。なお、汎用性とは、同一時間帯の熱処理に関し、図1に示す4種類の等速ジョイントのアウタレースについて、1種類のみを熱処理することができて、加熱コイルを交換することにより、4種類のアウタレースを熱処理することができる汎用性を意味するものである。
すなわち、本発明によれば、ワーク下部がカップ部であり、ワーク上部がステム軸部又は筒軸部であるワークであって、カップ部について、回転させて熱処理する必要があるものと回転させないで熱処理する必要があるものとの複数種類有り、ステム軸部又は筒軸部についてはいずれも回転させて熱処理する必要があって、しかもステム軸部については外面、筒軸部については内面を、それぞれ熱処理する必要がある複数種類のワークの熱処理について、装置容積が小さいワークの熱処理装置により、ワーク1個あたりの処理時間を大幅に短縮して熱処理することができる。
〔第1実施形態〕
図2は、中段プレート100より上側の四つの引き戸と、下側の四つの倹飩式戸を取り除いて、この実施形態に係るワークの熱処理装置1の内部を視た図である。図3は、図2の動作状態と異なる動作状態を示すワークの熱処理装置1の正面図である。
図2、図3、図5、図6に示すように、ワークの熱処理装置1は、左側手前部分にテーブル式搬送機構10、右側手前部分にガントリ式搬送機構20があり、ワークWを左から右へ搬送する。ワークの熱処理装置1は、仮位相決めを行う仮位相決め機構30と、本位相決めを行う本位相決め機構40と、ワークWのカップ部(ワーク下部ともいう。)の加熱と冷却を同一位置で行うワーク下部熱処理部50と、ワークWのステム軸部の外面又は筒軸部の外面についての加熱と冷却とを分離して別位置で行うワーク上部熱処理部60と、ワーク全体のアフタークールを行うアフタークール部70と、を有してなる。搬送手段を除くこれらの処理手段は、図2において左から右へ処理工程順に並べられている。図5、図6に示すように、ワーク下部熱処理部50とワーク上部熱処理部60とアフタークール部70は、搬送ラインの奧側に設置されている。
仮位相決め機構30による仮位相決め及び本位相決め機構40による本位相決めについては、以下の意義がある。カップ部の熱処理は、ワークWがトリポード型のアウタレースであるときに、カップ部の深いレース溝内にワーク下部用加熱コイルを相対的に移動して近接状態に収容し、高周波誘導加熱を行うものである。したがって、かかる近接状態が保てるように、事前にカップ部の溝の向きを正確に合わせて、本位相決めピンをカップ部内面に当接させてワーク下部の周方向に移動を拘束することが本位相決めであり、仮位相決めは、本本位相決めピンにワーク下部(カップ部)を被せる本位相決めが行えるように、ワークWを回動させてワーク下部(カップ部)の向きを合わせるために行う。ワークWがバーフォード型のアウタレースであるときにはこの意義はない。
図4、図5に示すように、装置正面の外装部は、上面の高さ寸法が例えば700mm〜900mmの範囲で設定されている中段プレート100より上側が四つの引き戸101〜104で閉じられ、中段プレート100より下側が四つの倹飩式戸105〜108で閉じられている。引き戸101〜104は、把手と耐熱ガラス窓とを有する。四つの引き戸101〜104は、2列状のレールに二つずつ案内されていて、メンテナンス時には、いずれかの二つの引き戸が他の二つの引き戸に重なることで、装置内部が二つの引き戸分の間口だけ開放される。引き戸101と102は、インターロック機構109でロックされ、引き戸103と104は、インターロック機構110でロックされる。装置正面部の右側に備える操作パネル111の起動スイッチ111aは、インターロック機構109,110がロックされていることが条件で「オン」になる。
図2、図3、図6に示すように、ワークの熱処理装置1は、テーブル式搬送機構10とガントリ式搬送機構20とでワークWを搬送する手段が構成される。テーブル式搬送機構10は、往復移動自在な複数のテーブルで搬送ラインを分担して上記ワークの順送り搬送を行う。すなわち、第1〜第3テーブル11〜13により第1〜第4ステーションA〜Dまでの直線的な搬送ラインをテーブル搬送する。ガントリ式搬送機構20は、テーブル式搬送機構10により搬送されたワークWを、第1および第2ガントリ21,22により第4〜第6ステーションD〜Fまでの直線的な搬送ラインを順送りに吊上搬送を行う。
図2に示すように、第1テーブル11が第1ステーションAに位置する状態で、人手又は搬入ロボットによりワークWを装置左側面パネルの搬入口を通して第1テーブル11上に載置する。ここで、ワークWが図1(a)および(b)に示すトリポード型のアウタレースW1、W2であるときは、第1テーブル11上でワークWの仮位相決めを行う。
〔テーブル式搬送機構10の構成〕
図6〜図8に示すように、テーブル式搬送機構10は、中段プレート100上に、第1ステーションAから第4ステーションDまで延びた長いレール15aと、第1ステーションAから第3ステーションCまで延びた短いレール15bと、第3ステーションCから第4ステーションDまで延びた補助レール15cと、を備えている。
中段プレート100の左端と共通ベースプレート14の右端とが複動式の第1のエアシリンダ16により連結されていると共に、共通ベースプレート14の中程と第3テーブル13とが複動式の第2のエアシリンダ17により連結されている。図7に示すように、共通ベースプレート14は、第1のエアシリンダ16が伸張することにより移動される。
図2、図3に示すように、ガントリ式搬送機構20は、第1および第2ガントリ21,22で第4〜第6ステーションD〜Fまでの搬送ラインを分担してワークWの吊上搬送を行う。第1ガントリ21は、第4ステーションDと第5ステーションEとの間を往復動して、テーブル式搬送機構10の第4ステーションDに位置されるワークWをチャックし吊り上げ第5ステーションEに搬送することを反復する。第2ガントリ22は、第5ステーションEと第6ステーションFとの間を往復動して、第5ステーションEに位置されるワークWをチャックし吊り上げ第6ステーションFに搬送することを反復する。
第3のエアシリンダ25はガントリ移動用であり、第4のエアシリンダ26はガントリ間隔変更用である。第4のエアシリンダ26は、メンテナンス時以外は、ピストンを伸張した状態にロックされていることにより、第1ガントリ21と第2ガントリ22との距離を第4ステーションDと第5ステーションEとの距離に等しく保って連結している。
第1ガントリ21は、ガントリ本体(垂下フレーム)21aと、第1のサーボモータ21bと、第1のサーボモータ21bの回転を入力して直動運動に変換する第1の運動変換機構21cと、第1の運動変換機構21cの直動スライダに固定された第1のチャック機構21dと、を有してなる。
第2ガントリ22は、ガントリ本体(垂下フレーム)22aと、第2のサーボモータ22bと、第2の運動変換機構22cと、第2の運動変換機構22cの直動スライダに固定された第2のチャック機構22dと、を有してなる。
図10に示すように、ワークの熱処理装置1は、第1テーブル11上に仮位相決め機構30を備えている。仮位相決め機構30は、第1テーブル11上に備えられ、モータ31aを駆動源とし減速伝達機構を介して微小角度回転が可能なロータリーテーブル31を有する。さらに仮位相決め機構30は、第1テーブル11上に支持される近接センサ32を有し、ロータリーテーブル31上に交換可能に備えられた第1のワーク受承皿33を有する。
仮位相決め機構30は、ロータリーテーブル31を回転しワークWの外周面の角部を近接センサ32で検出したらロータリーテーブル31の回転を停止する。これにより、仮位相決め機構30は、ワーク下部(カップ部)の向きを合わせる仮位相決めを行う。
なお、ワークWの第1テーブル11上への載置は、例えば第1テーブル11が第1ステーションAに位置されると、ブザーが鳴るとともに、装置左側面パネル外面に付設された図示しない青ランプが点灯し、そのときに装置左側面パネルの搬入口を通して行うことができる。
図2に示すように、本位相決め機構40は、第2ステーションBに関連して備えられ、図11、図12に示すように、中段プレート100に立設された架台41と、架台41に備えられた第3のサーボモータ42と、第3の運動変換機構43と、第3のチャック機構44と、第2テーブル12に交換可能に備えられた第2のワーク受承皿45と、ワーク検知手段46と、を有してなる。
第3の運動変換機構43は、架台41に備えられ、第3のサーボモータ42の回転を入力して上下方向の一軸状に移動するように運動変換する。第3のチャック機構44は、第3の運動変換機構43の直動スライダに固定され、上下方向に直動運動し得る。さらに、本位相決め機構40は、第2ステーションBに搬送された第1テーブル11上のワークWをチャックする前に、ワークWの大きさを検知するワーク検知手段46を備えている。
すると、本位相決め機構40は、図11、図12に示すように、ワークWを第2テーブル12上に備えられた本位相決めピン45cに被せるように下ろしてワークWの本位相決めを行う。次いで、第2テーブル12は、本位相決めピン45cに被せて本位相決めしたワークWを第3ステーションCに移動する。
本位相決め機構40は、第1テーブル11が第2ステーションBに位置されると、第3のチャック機構44を下降し、一対のフィンガー44aで第1テーブル11上のワークWのワーク上部(ステム軸部又は筒軸部)をチャックし、第3のチャック機構44を上昇する。続いて、本位相決め機構40は、第1テーブル11に交替して第2テーブル12が第2ステーションBに位置されると、第3のチャック機構44を下降し、ワーク下部(カップ部)が本位相決めピン45cに被さる状態に、該ワークWを受け皿本体45aに受承させる。第3のチャック機構44は、一対のフィンガー44aを開動してチャック解除し、次いで上昇される。本位相決めピン45cは、ワーク下部(カップ部)の内面のレース溝に当接して位相を決める。その後、第2テーブル12は第3ステーションCに移動され、ワークWを本位相決め状態にして第3ステーションCに配置される。
図2に示すようにワーク下部熱処理部50は、ハンドリング手段51とワーク下部用熱処理ヘッド56とを有している。
図6、図13、図14、図15に示すように、ハンドリング手段51は、二つの回転チャック機構52,52と、二つの回転チャック機構52,52を第3ステーションCとワーク下部熱処理位置Gとに交互に交替させて対応させる往復回動手段53と、二つの回転チャック機構52,52を昇降させる昇降手段54と、ワーク確認手段55を備えてなる。
以下、ハンドリング手段51について詳述する。
なお、回転軸53aの上端に、回転軸53aと一体に回転する籠53fを備えていて、籠53fには各機器に繋がるケーブル類が収容されている。
昇降機構は、回動板53bに備えられた平行一対の縦レール54bと、昇降ブラケット54aに備えられるスライダ54cと、各回動板53bの上端に備えられる第5のサーボモータ54dと、一対の縦レール54b間に位置され回動板53bに取り付けられたボールねじ軸54eと、昇降ブラケット54aに固定されるボールナットランナ54fと、を有してなる。
ロッド55aは、回転チャック機構52の筒軸52bに昇降可能に通され、且つ筒軸52b内に備えられたニードルベアリングにより精密に芯出し状態に支持されている。当接ピース55bは、ワークWの上端に当接されワークWの芯出しを行う部材である。
ワーク確認手段55は、回転チャック機構52がワークWをチャックした際には、引き続き当接ピースが回転チャック機構の中心孔内に引っ込んだ位置でワークWの上端面に当接した状態を維持し、当接状態を常に信号として取得してコントローラ113へ送信する。
コントローラ113は、ワーク確認手段55から送信された信号を受信すると、整流部へ高周波給電を遮断する信号を出力する。これにより、回転チャック機構52から離脱するワークWがワーク下部用熱処理ヘッドの加熱コイルに接触することを回避できる。
図17、図18に示すように、ワーク下部用熱処理ヘッド56は、熱処理ヘッド本体561と、外面用冷却ジャケット562と、を有して構成される。
熱処理ヘッド本体561は、熱処理ヘッド固定手段57および第1の給電クランプ58によって支持される。外面用冷却ジャケット562は、熱処理ヘッド固定手段57によって支持される。熱処理ヘッド本体561は、図1(a),(b)に示すアウタレースW1に適用するものを示している。
図17〜図19に示すように、熱処理ヘッド固定手段57は、中段プレート100上に固定されたブラケット57aと、ブラケット57aの上面部として備えられたコイルベース57bと、コイルベース57b上の両側の所要高いブロック部に備えられた一対のトグルクランプ57c,57dと、を有してなる。
図18(a)および図19に示すように、第1の給電クランプ58は、一対の給電端子58a,58bと、一対の導電板58c,58dと、熱処理ヘッド固定手段57のブラケット57aに固定され給電端子58a,58bを支持するクランプフレーム58eと、固定フランジ58fと、可動フランジ58gと、ハンドル58hを備えたねじ軸58iと、冷却水入口用接続ジョイント58jと、冷却水出口用接続ジョイント58kと、後述するその他を有してなる。
導電板58c,58dは、一端が給電端子58aまたは58bに接続され、他端が中仕切り正面壁112に伸びて中仕切り正面壁112の後方の第1の整流電源部114と電気的閉回路を構成するように接続されている。導電板58c,58dは、絶縁パネル58sを挟んで積層され、冷却管58qによって冷却される。
クランプフレーム58eの他端にねじ孔を有するボス部58mが一体に備えられ、このボス部58mのねじ孔にハンドル58hを備えたねじ軸58iが螺合されている。そして、ねじ軸58iの先端にこのねじ軸58iに対して回転可能に可動フランジ58gを備えており、可動フランジ58gが固定フランジ58fと対向している。可動フランジ58gは、ねじ軸58iの回転によって共回りすることがないようにクランプフレーム58eに係合しているものとする。
従って、プラス側の給電端子58aとマイナス側の給電端子58bとが対向しており、ハンドル58hを回してねじ軸58iを螺動すると、給電端子58aが給電端子58bに対して接近離隔自在である。これにより、一対の給電端子58a,58bによって一対の被給電端子561k1,561k2を取外し可能に挟持している。
なお、冷却水入口用接続ジョイント58jと冷却水出口用接続ジョイント58kについては後述する。
図20、図21に示す熱処理ヘッド本体561は、図1に示すトリポード形のアウタレースW1のカップ部W11に適用されるものである。従って、図17〜図21において、ワークWは、図1に示すトリポード形のアウタレースW1を示している。
図17、図19に示すように、取付用基板561aは、熱処理ヘッド固定手段57のコイルベース57bに形成された凹部57b1に嵌合して載置され精密に位置決めされる。熱処理ヘッド本体561は、コイルベース57bに備えられたトグルクランプ57c,57dによって取付用基板561aの上面を強力に押圧固定され、取付用基板561aの下面をコイルベース57bの上面に形成された凹部57b1の底面に強く密着される。この構成により、メンテナンス並びに段取り時に、トグルクランプ57c,57dの締付け、締付解除および給電端子58a,58bのクランプ、クランプ解除により容易に着脱される。
取付用基板561aに開けられた大径水路孔と小径水路孔は、前述した熱処理ヘッド固定手段57のコイルベース57bに開けられた大径給水孔57eまたは小径給水孔57fに一致して密着し連通する。なお、この実施形態では、取付用基板561aの下に、コイルベース57bに対して嵌合するアダプタ561a1を備えている。
図20(a)〜(c)に示すように、三つのワーク下部用加熱コイル561fはそれぞれ銅管等の金属製の中空パイプにより屈曲した形状に形成されている。各ワーク下部用加熱コイル561fは、端部561fa,561fbがそれぞれ縦方向に延び、両端部561fa,561fb間の中間部分が両端部561fa,561fbの上部でワーク側となる外側に突出して水平方向に配置されている。
また、これら連結コイル561n,561pは、コイル同士の干渉やコイルと大径又は小径の送水管561b,561cとの干渉を避けるように適宜の迂回形状とされ、被給電端子561k1または561k2に接続されている。
ワーク下部用加熱コイル561f及び連結コイル561n,561pは、内部に冷却水を通流させることができるように構成されているが、連結コイル561n,561pと被給電端子561k1,561k2との接続については後述する。
図21(a)に示すように、この熱処理ヘッド本体561は円周三分割形状であり、向きが120°ずつ異なる三つの内面用下部冷却ジャケット561eを有する。三つの内面用下部冷却ジャケット561eは、周面が六角面の六角リング561dの1つ置きの側面に開口された三つの横孔で嵌入固定されている(図21(a)参照)。各内面用下部冷却ジャケット561eは、下面に備えている孔に取付用基板561aから立ち上がる小径送水管561cが連通接続されている。小径送水管561cは内面用下部冷却ジャケット561eを支持している。
図21(b)に示すように、内面用上部冷却ジャケット561hは、平面視で概略三角形の扁平中空形状に形成され、三つの頂角位置にワークWのカップ部の三つの深溝の正面に冷却水を噴射する噴射口561h1を有する。この内面用上部冷却ジャケット561hは六角リング561dに固定されている。
図19〜図21に示すように、熱処理ヘッド本体561は、被給電端子561k1,561k2を有している。被給電端子561k1,561k2は、第1の給電クランプ58の給電端子58a,58bによりクランプされ誘導電流を給電される。
図19に示すように、被給電端子561k1,561k2と第1の給電クランプ58の給電端子58a,58bは、それぞれ冷却水を受け容れるための内部空間561k11,561k21または58a1,58b1を有している。
なお、ワーク下部用加熱コイル561fおよび六つの連結コイル561n,561pに限定されるものではなく、これまでに出願公開されている適合可能な種々のコイル形状のものを採用することができる。
図17、図18に示すように、外面用冷却ジャケット562は、熱処理ヘッド固定手段57の一対の柱状ブラケット57iに揺動可能に両端支持され、ワークWのカップ部の前側(扉側)或いはカップ部の全周を囲むように位置されロックされる。外面用冷却ジャケット562は、回転チャック機構52によりチャックされ、ワーク下部熱処理位置Gに対応する上方位置から下降されるワークWと干渉しない。外面用冷却ジャケット562には、図示しない耐熱性のフレキシブル給水ホースが接続され、カップ部外面を冷却する冷却液を噴射する複数のノズル562aを備えている。メンテナンス時には、外面用冷却ジャケット562は、作業者によって手動により持ち上げられた状態になり、トグルクランプ57c,57dのチャックを解除して、熱処理ヘッド本体561を前側(扉側)に取り出して交換することができる。
熱処理ヘッド本体561を装着するには、被給電端子561k1,561k2を第1の給電クランプ58の給電端子58a,58bの間に位置させ、熱処理ヘッド本体561の取付用基板561aを熱処理ヘッド固定手段57のコイルベース57bに載置し、トグルクランプ57c,57dで固定し、次いで、給電端子58a,58bで被給電端子561k1,561k2をクランプする。
例えば図3に示すように、ハンドリング手段51の回転チャック機構52がワークW(図1に示すトリポード形のアウタレースW1)をチャックし、該ワークWをワーク下部熱処理位置Gに対応する上方に位置された後、ワークWが回転チャック機構52と共に下降する。ワークWが下降すると、図18に示すように、熱処理ヘッド本体561の外周とこれを囲む外面用冷却ジャケット562との間の間隙に、ワークWのカップ部が下端側から進入し下端側から順に熱処理ヘッド本体561の周囲に被さっていく。これによりワーク下部用加熱コイル561f、内面用下部冷却ジャケット561eおよび内面用上部冷却ジャケット561hは、ワークWの三つの深溝の下端側から順に上端側へ近接状態で対向して相対移動する。
次いで、内面用上部冷却ジャケット561hが冷却水を噴射しカップ部の全内面を冷却する。次いで、外面用冷却ジャケット562および内面用上部冷却ジャケット561hによる冷却が終了する。
図2、図6、図23、図24に示すように、ワーク上部熱処理部60は、間欠回転テーブル61と、各貫通孔61aに対応して間欠回転テーブル61上に備えられた三つの環状冷却ジャケット62と、第5ステーションEに対応して位置された貫通孔61aの下方に備えられた第1のリフター63と、第5ステーションEに対応する貫通孔61aが次に間欠停止する位置の下方に備えられた第2のリフター64と、第2のリフター64が上昇停止するワーク上部加熱位置H(Hは、図6に示すように平面視した位置)に備えられたワーク上部用加熱ユニット65と、を有してなる。
図24に示すように、間欠回転テーブル61は、筒軸部が中段プレート100に開けられた貫通孔に通して落とし込まれた軸受部61bと、軸受部61bに回転可能に支持された軸部61cと、軸部61cの上端に設けられたテーブル部61dと、テーブル部61dの外周部の120°ずつ位相が異なる3位置に配設された三つの貫通孔61aと、を有してなる。
図23、図24に示すように、間欠回転テーブル61の上側に、三つの貫通孔61aに対応して三つの環状冷却ジャケット62を備えている。各環状冷却ジャケット62は、貫通孔61aを跨いで間欠回転テーブル61上に立脚された二つの筒状の支脚62cを有し、該筒状の支脚62cによって間欠回転テーブル61の上面から離間して備えられている。環状冷却ジャケット62は、環状上面板と環状下面板と外周板と冷却水噴射用内周板62aとで形成され、環状空間62bを有している。さらに、図25に示すように、環状冷却ジャケット62は、圧力均衡用内周板62dによって環状空間62bを内周側と外周側とに仕切られている。これによって、外周側のジャケット空間から圧力均衡用内周板62dに開けられた複数の小孔を通して、内周側のジャケット空間に全周において略均一に流入させることができ、さらに、冷却水噴射用内周板62aに開口されたノズルからの冷却水をワークWのワーク上部へ向けて均一に噴射させることができる。環状空間62bには、後述する冷却水供給路から二つの支脚62cを通して冷却水を受け容れる。
なお、図24(b)に示すように、間欠回転テーブル61の上面には、一の環状冷却ジャケット62から噴射し、間欠回転テーブル61上を流れる冷却水が他の貫通孔61aの方向へ流れ込まないように規制する区画板62eが立設されている。
詳述すると、軸受部61bは、内周面に上下三段に分かれて三つの内周路を有し、外周面よりいずれか一つの内周路に連通する冷却水供給口611,612,613を備えている。軸部61cは、三つの縦通路614,615,616を備え、一つの縦通路は軸受部61bに備えられた一つの内周路と連通している。図24(b)に示すように、テーブル部61dは、中心部より貫通孔61aの両側にV形に放射方向に延びる三つのV形放射通路617,618,619を備えている。各V形放射通路617,618,619はテーブル部61dの中心部で軸部61cに備えられた三つの縦通路614,615,616の中の一つと連通している。一つの環状冷却ジャケット62は、二つの支脚62cが筒状に形成され、該二つの支脚62cが貫通孔61aの下側を通っているV形放射通路617,618,619のうちの一つに連通している。
従って、環状冷却ジャケット62には、軸受部61bと軸部61cとテーブル部61dと二つの筒状の支脚62cの各内部に渡って設けられた3系統の冷却水供給路を通して、冷却水が供給される。
各冷却水供給口611,612,613に冷却水配管(符号なし)が接続され、各冷却水配管は共通の冷却水供給源に接続されている。各冷却水配管は、中途が、装置の倹飩式戸107の内側近傍に配置されていると共に、図2に示すように、流量調整弁および電磁式仕切弁を備えている。
図27に示すように、第1のリフター63は、リフトヘッド63aと、リニアガイド筒63bと、ロッド63cと、連結ブラケット63dと、第7のエアシリンダ63eと、を有してなる。
リフトヘッド63aは、ロッド63cの上端に固定され、第5ステーションEに精密に対応して備えられている(図6参照)。図27に示すように、リニアガイド筒63bは、筒部とフランジを有し、筒部が中段プレート100を貫通した孔に通され、フランジが中段プレート100の上面に当接されボルト等の締結具により固定されている。リニアガイド筒63bは、内部にオイルレスブッシュ(符号なし)を有している。ロッド63cは、リニアガイド筒63bに備えたオイルレスブッシュにより上下方向に移動可能に案内されている。第7のエアシリンダ63eは、シリンダ本体が装置フレーム(符号なし)に固定され、ピストンロッドの外端が連結ブラケット63dを介してロッド63cの下端に連結されている。第7のエアシリンダ63eには、ガイドロッド付きのエアシリンダが採用されている。第7のエアシリンダ63eは、伸張作動してロッド63cを上昇させる。
図26(a)、図26(b)に示すように、第1のリフター63は、第1ガントリ21が第4ステーションDで吊り上げたワークWを第5ステーションEに対応する上方位置に搬送し、ここからワークWを下降させる。これに対応し、第7のエアシリンダ63eは、ピストンロッドを伸張作動し、間欠回転テーブル61の下位置のリフトヘッド63aを上昇させる。リフトヘッド63aは、間欠回転テーブル61に設けられた貫通孔61aに入り、貫通孔61aに備えられた第4のワーク受承皿61hを通過し、さらに環状冷却ジャケット62を通過し、第1ガントリ21が保持するワークWの下側に近接し停止する。
第5ステーションEで第4のワーク受承皿61hに載置されたワークWは、間欠回転テーブル61が3ステップ間欠回転すると、熱処理を終えて第5ステーションEに戻る。このワークWを図26(a)、図26(b)に示すように、第5ステーションEから第6ステーションFに搬送するべく、図26(c)に示すように、第2ガントリ22が第5ステーションEに対応する上方位置から環状冷却ジャケット62の上側近傍に下降すると共に、第1のリフター63のリフトヘッド63aが上昇する。
図26(b)に示すように、第2ガントリ22は、ワークWを第6ステーションFに対応する上方位置に搬送し、次いでワークWを下降してアフタークール部70の反転テーブル71上に備えられた第5のワーク受承皿71aに載置する。
なお、第2ガントリ22のチャック機構22dが環状冷却ジャケット62内を下降することができて、第4のワーク受承皿61hに直接載置できる構成としても良く、この場合には、第1のリフター63は備えないこととする。
図28、図29は、第2のリフター64を示す。図24(b)に示すように、間欠回転テーブル61は、平面視において、時計回りに120°回動して、ワークWを第5ステーションEに対応する位置からワンステップ回動しワーク上部加熱位置Hに位置させるが、第2のリフター64は、該ワンステップ回動したWの下方に備えられている。
図30(a),(b)と図31(a),(b)は、ワーク上部用加熱ユニット65を示す。
図1(a),(b)及び(e),(f)に示すワークW1,W3におけるステム軸部(中実軸)W12,W32を熱処理する場合は、図30(a),(b)に示すようにワーク上部用加熱ユニット65を構成する。図1(c),(d)及び(g),(h)に示すワークW2,W4におけるスプライン孔部W22,W42を備えた筒軸部を熱処理する場合は、図31(a),(b)に示すようにワーク上部用加熱ユニット65Aを構成する。両者の相違は、ワーク上部用加熱ユニット65では、常設の芯出しセンタ651jを用い、且つワーク上部用加熱コイル652を取り付け、ワーク上部用加熱コイル652を用いる。これに対し、ワーク上部用加熱ユニット65Aでは、芯出しセンタ651jを使わず上昇位置に待機させ、ワーク上部用加熱コイル653と芯出しキャップ655とを取り付け、ワーク上部用加熱コイル653と芯出しキャップ655を用いる。すなわち、ワーク上部用加熱コイル652,653と、芯出しキャップ655はワークWが相違すると交換され、その他の構成については常設である。なお、ワーク上部用加熱コイル652,653は、図示の形状のものに限定されず、これまでに出願公開されている適合可能な種々のコイル形状のものを採用できる。図32(a)は、ワーク上部用加熱コイル652の詳細形状の一例を示し、図32(b)は、ワーク上部用加熱コイル653の詳細形状の一例を示す。
従って、芯出しキャップ655の取付、交換を迅速に行うことができる。図33に示すように、回転可能な内側ハウジング655bの内方張出部がワークWについて筒軸部の端面を押圧し、ワークWを芯出しする。
フランジ部652dは、下段コイルベース651eに載置され一対のトグルクランプ651gによって押え付けられる(図30(b))。コイル本体652aは、中途部が二段半巻き鞍型形状でワークWのステム軸部に対して近接する。コイル本体652aの形状は一例に過ぎない。
フランジ653dは、上段コイルベース651cに載置され一対のトグルクランプ651fによって押え付けられる(図31)。コイル本体653aは、マルチターン形状に垂下形成された中途部を有し、中途部が、第2のリフター64で突上げられるワークWの筒軸部のスプライン孔に非接触に相対的に挿入される。コイル本体653aの形状は一例に過ぎない。
図34に示す第2の給電クランプ654は、図18,図19に示す第1の給電クランプ58と近似する構造である。該第2の給電クランプ654は、一対の給電端子654a,654bと、一対の導電板654c,654dと、ブラケット651に固定され給電端子654a,654bを支持するクランプフレーム654eと、固定フランジ654fと、可動フランジ654gと、ハンドル654hを備えたねじ軸654iと、冷却水入口用接続ジョイント654jと、冷却水出口用接続ジョイント654kと、その他とを有してなる。
一対の導電板654c,654dは、中仕切り正面壁112の後方に備えられた第2の整流電源部115(図5、図6参照)から誘導電流を給電される。
第2の給電クランプ654のクランプ構造は、第1の給電クランプ58と略同様であるので説明を省略する。
これにより、コイル本体652a(図32(a)参照)又は653a(図32(b)参照)に第2の整流電源部115から出力される誘導電流が給電される。なお、コイル本体652a又は653aの形状は図示例に限定されない。一対の給電端子654a,654bによる一対の被給電端子652b,652c又は653b,653cをクランプする方向が垂直方向であっても良い。
図28、図29、図30(a),(b)を用いて、ワーク上部がステム軸部であるワークWのステム軸部を加熱する場合について説明する。
これにより、モータ64dは駆動回転し、ワークWを例えば1秒間に3回転以上の回転速度で回転させる。
また、コントローラ113は、回転ジョイント64jに対応する電磁式仕切弁が開弁するように開弁制御信号を送信する。
これにより、回転ジョイント64j内に冷却水が供給され、ワークWのカップ部内の冷却と、リフトヘッド64eの冷却とが行われる。この冷却水の供給は、第2のリフター64が下降を開始する時点で停止する。
これにより、ワーク上部用加熱コイル652が誘導電流を供給されワーク上部の加熱を開始する。
これにより、ボールねじ64fが回転停止し、ワークWの突上げが停止する。第2の整流電源部115による誘導電流の供給はさらに継続される。
これにより、加熱が終了し、リフトヘッド64eがワークWを第4のワーク受承皿61hに受け渡して下降復帰する。
以上により、ワークWのステム軸部は、ワーク上部用加熱コイル652により熱処理温度に加熱される。
コントローラ113は、第2のリフター64が下降開始する時点で、回転ジョイント64jに対応する電磁式仕切弁を開弁する開弁制御信号を送信する。
これにより、回転ジョイント64j内に冷却水が供給され、リフトヘッド64eを冷却する。この冷却水の供給は、第2のリフター64が下降開始する時点で停止する。
コントローラ113は、その他の動作制御についてステム軸部を加熱する場合と同様に行う。
これにより、ワークWのスプライン孔は、ワーク上部用加熱コイル653により熱処理温度(焼入温度あるいは焼戻温度)に加熱される。
図2に示すように、ワーク上部熱処理部60は、第1ガントリ21により第5ステーションEに次々に搬送される各ワークWに対し、以下の動作により、ワーク上部の熱処理を行う。
ワークWは、第1ガントリ21により第5ステーションEの上方位置に対応してから下降され、環状冷却ジャケット62の直ぐ上まで下降される。このワークWを、第1のリフター63を上昇して受け取る。
第1のリフター63は、復帰下降し、下降途中で、ワークWを間欠回転テーブル61の貫通孔61aに備えられた第4のワーク受承皿61hで受承させる。このワークWを、間欠回転テーブル61をワンステップ間欠回転することにより、ワーク上部用加熱コイル652又はワーク上部用加熱コイル653の下位置に搬送する。
次いで、ワークWの芯出しを行う。これは、第2のリフター64を上昇して第2のリフター64でワークWを突き上げ、ワークWを芯出しセンタ651j又は芯出しキャップ655に当接させることで実行される。
ワークWを回転させてから突き上げ、ワーク上部用加熱コイル652又はワーク上部用加熱コイル653に近接させる。ワーク上部用加熱コイル652又はワーク上部用加熱コイル653に誘導電流を供給し、ワーク上部の加熱処理を行う。この加熱処理が終了したら、第2のリフター64を復帰下降し、ワークWを第4のワーク受承皿61hに戻す。
図2、図3、図35(a),(b),(c)に示すように、アフタークール部70は、第5のワーク受承皿71aを二つ備えた反転テーブル71と、ロータリアクチュエータ72と、アフタークール位置Jの三方を囲む閉鎖ボックス73と、冷却液吹付手段74と、閉鎖ボックス73の開口にエアカーテンを形成するエア吹付手段75と、を有してなる。
なお、ロータリアクチュエータ72に替えて、サーボモータを備えても良い。
さらにワークの熱処理装置1によれば、ワーク上部熱処理部60において、間欠回転テーブル61の上面位置にワークWを受承して間欠回動し、ワークWを突き上げて回転させてワーク上部用加熱コイル652又はワーク上部用加熱コイル653によりステム軸部の外面又は筒軸部の内面を加熱し、その後突上げ前の位置に戻し、環状冷却ジャケット62から冷却液を噴射してステム軸部又は筒軸部を冷却しつつ間欠回動し第2ガントリ22に受け渡し、さらにアフタークールを行う構成である。そのため間欠回転テーブルの停止時間として、冷却時間を含まないでステム軸部又は筒軸部の加熱に要する時間とワークWの突上げ時間と下降時間の和に設定することができて、冷却時間については、必要十分な時間を確保できる。
この構成にすると、ステム軸部を加熱するワーク上部用加熱コイル652と、筒軸部のスプライン孔を加熱するワーク上部用加熱コイル653とを交換可能に簡単に装着でき、同一位置へ突き上げる加熱方法が異なる複数種類のワークWのワーク上部を加熱できる。
この構成にすると、第1ガントリ21と第2ガントリ22を備えることに加え、第1のリフター63を備えると、ハンドリング時間を短縮でき、タクトを短縮できる。
この構成にすると、加熱方法や大きさが異なる複数種類のワークの同一位置への搬送を同一に、且つ容易に行うことができて、ハンドリング時間を短縮でき、タクトを短縮できる。
この構成にすると、加熱方法や大きさが異なる複数種類のワークの熱処理位置が高さ方向に相違する各位置への搬送を、同一の突上げ方式で容易に行うことができて、ハンドリング時間を短縮でき、タクトを短縮できる。
この構成にすると、各熱処理部50,60で一対の被給電端子561k1,561k2,652b,652c,653b,653cを一対の給電端子58a,58b,654b,654cでクランプするだけで、給電のための回路の接続と給水路の接続とが同時に行える。そのため、ワーク下部熱処理部50の冷却ジャケットへの給水路及びやワーク上部熱処理部60の冷却ジャケット62への給水路を接続するために、従来のようなカプラを用いたカプラ接続を無くすことができる。
この構成にすると、ワーク確認手段を備えることで、大きさが異なる複数種類のワークWのチャックを芯出しして確実にチャックできて、且つ電気的短絡事故が起きないように、回転チャック機構の信頼性を向上させ、装置の信頼性が向上する。
上記構成によれば、ワーク上部加熱位置Hにブラケット651を備えて、ワークWのステム軸部を加熱するワーク上部用加熱コイル652と、筒軸部のスプライン孔を加熱するワーク上部用加熱コイル653のいずれも共通に取り付けられるようにしたので、別々のステーションを備えた従来例に比べてライン方向の装置長さを短くすることができ、装置のコンパクト化に繋がる。
ワークの熱処理装置1は、四つの引き戸101〜104の中、いずれかの二つの引き戸を開き、四つの倹飩式戸105〜108を取り外し、メンテナンス操作側を大きく開放して、ワーク下部用熱処理ヘッド56の交換、ワーク上部用加熱コイル652又はワーク上部用加熱コイル653の交換、第1〜第3テーブル11〜13上の第1〜第3のワーク受承皿の交換、電磁式仕切弁の調整等を行うことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
1回転中で等角度回転する毎に間欠停止する回数が3乃至6回の間欠回転テーブルとし、この間欠回転テーブルに間欠停止回数に応じた3乃至6以上の上下に貫通する貫通孔を、回転中心に関して円周方向に等分配置に設け、一つの貫通孔が上記第5ステーションEに対応して間欠停止するようにし、各貫通孔を取り巻いた上方に環状の冷却ジャケットを有する構成としても良い。
W…ワーク、
A〜G…第1〜第6ステーション、
F…ワーク下部熱処理位置、
H…ワーク上部加熱位置、
I…ワーク上部冷却位置、
J…アフタークール位置、
10…テーブル式搬送機構、
11〜13…第1〜第3テーブル、
20…ガントリ式搬送機構、
21…第1ガントリ、
22…第2ガントリ、
21d,22d…第1,第2のチャック機構、
30…仮位相決め機構、
33…ワーク受承皿、
40…本位相決め機構、
44…第3のチャック機構、
45c…本位相決めピン、
50…ワーク下部熱処理部、
51…ハンドリング手段、
52…回転チャック機構、
53…往復回動手段、
54…昇降手段、
55…ワーク確認手段、
55a…ロッド、
55b…当接ピース、
56…ワーク下部用熱処理ヘッド、
561k1,561k2…被給電端子、
561f1,561f2,561f3…ワーク下部用加熱コイル、
561e…ワーク内面用冷却液噴射手段(内面用下部冷却ジャケット)、
561h…ワーク内面用冷却液噴射手段(内面用上部冷却ジャケット)、
57…熱処理ヘッド固定手段、
58a,58b…給電端子、
59…冷却水供給路、
60…ワーク上部熱処理部、
61…間欠回転テーブル、
61a…貫通孔、
62…環状冷却ジャケット、
63…第1のリフター、
64…第2のリフター、
65…ワーク上部用加熱ユニット、
651f,651g…トグルクランプ、
651j…芯出しセンタ、
652b,652c…被給電端子、
654a,654b…給電端子、
652,653…ワーク上部用加熱コイル、
655…芯出しキャップ、
70…アフタークール部
Claims (11)
- ワークがカップ部と該カップ部の奥行端より一体に突出するステム軸部又は筒軸部とを備えてなり、上記ワークの搬送および熱処理に際し上記カップ部をワーク下部として、上記カップ部内面と上記ステム軸部の外面又は上記筒軸部の内面とについて熱処理を行うワークの熱処理装置であり、
往復移動自在な複数のテーブルで搬送ラインを分担して上記ワークの順送り搬送を行うテーブル式搬送機構と、 上記テーブル式搬送機構により搬送された上記ワークを第1および第2のガントリで受け取り該ワークを順送りに吊上げ搬送を行うガントリ式搬送機構と、
上記テーブル式搬送機構を構成する一のテーブル上に載置された上記ワークに対し仮位相決めを行う仮位相決め機構と、
上記仮位相決めが行われたワークを他のテーブルに載置しかつ該他のテーブルに備えた本位相決めピンに被せて本位相決めする本位相決め機構と、
上記本位相決めを終え上記テーブル式搬送機構で搬送されるワークについて、カップ部内面に対して熱処理を行うワーク下部熱処理部と、
上記カップ部内面の熱処理を終え上記ガントリ式搬送機構で搬送されるワークについて、ステム軸部の外面又は筒軸部の内面の熱処理を行うワーク上部熱処理部と、
を有してなる、ワークの熱処理装置。 - 前記ワーク下部熱処理部は、
前記ワークをチャック及び回転可能な二つの回転チャック機構と、該各回転チャック機構によってワーク上部をチャックし、上記搬送ラインの一のステーションとワーク下部用熱処理ヘッドの位置との二位置間で前記ワークを回動可能であり、且つ各位置にて前記ワークを昇降可能であるハンドリング手段とを有し、上記カップ部をワーク下部用熱処理ヘッドに近接状態に被せて上記カップ部内面の熱処理を行う構成であり、
前記ワーク上部熱処理部は、
上下に貫通する貫通孔を円周方向に複数有する間欠回転テーブルと、該間欠回転テーブルの上面に上記各貫通孔に対応して備えられた環状冷却ジャケットと、上記搬送ラインから一の上記環状冷却ジャケットが間欠送りされた位置の上方に備えられたワーク上部用加熱コイルと、を有し、
上記カップ部内面の熱処理を終え上記第1のガントリにより搬送された上記ワークを、上記間欠回転テーブルの上記搬送ラインに対応する一の貫通孔の位置に載置して間欠送りし、該ワークを突き上げて上記ワーク上部用加熱コイルに近接して上記ステム軸部の外面又は筒軸部の内面を加熱し、加熱後は突上げ前の位置に戻し、上記環状冷却ジャケットから冷却液を噴射して上記ワーク上部を冷却しつつ間欠送りし、上記搬送ラインに対応する位置に戻ったら上記第2のガントリに受け渡す構成とした、ワークの熱処理装置。 - 前記ワーク上部熱処理部は、前記ワークのステム軸部を加熱するためのワーク上部用加熱コイルと、前記ワークの筒軸部のスプライン孔を加熱するためのワーク上部用加熱コイルと、を異なる段にトグルクランプで固定可能なワーク上部用加熱ユニットを備えている、請求項1又は2記載のワークの熱処理装置。
- 前記ワーク上部熱処理部は、上記ガントリ式搬送機構の搬送ライン上の一のステーションに対応して間欠回転テーブルの下側に第1のリフターを備え、
上記第1のリフターは、前記環状冷却ジャケット内を上昇し前記第1ガントリから前記ワークを受け取り下降して間欠回転テーブル上に該ワークを移載し、または間欠回転テーブル上の熱処理済の上記ワークを突き上げて上記環状冷却ジャケット内を上昇し、該ワークを前記第2ガントリに受け渡すように構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のワークの熱処理装置。 - 前記ワーク上部熱処理部は、前記ガントリ式搬送機構により前記搬送ラインの一のステーションに対応して前記間欠回転テーブルの上に載置されたワークを間欠回動させた位置の下側に第2のリフターを備え、
該第2のリフターは、前記環状冷却ジャケット内を上昇し上記ワークを突き上げ、該ワークを上側に備える芯出しセンタ又は芯出しキャップと当接させることにより上記ワークを芯出ししてから回転させ、さらに上記ワークを突き上げて上記ワーク上部用加熱コイルに近接するように構成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のワークの熱処理装置。 - 前記芯出しセンタ又は芯出しキャップは、昇降駆動手段によって昇降され、
上記昇降駆動手段には、上記芯出しセンタが下降し前記第2のリフターにより突き上げられるワークに当接するまでのストロークを検出し、又は上記第2のリフターにより突き上げられるワークが芯出しキャップに当接し持ち上げるストロークを検出するストロークセンサを備え、該ストロークセンサにより上記第2のリフターのストロークを制御する、請求項5記載のワークの熱処理装置。 - 前記ワーク下部熱処理部は、前記回転チャック機構の中心孔を通して昇降するロッドの下端の当接ピースを上記回転チャック機構よりも下方へ突出させてワークの上端に当接させて芯出しを行うと共に、ワークの高さ位置を検出し、チャック後のワークの位置ずれを検出するワーク確認手段を備えている、請求項1乃至6のいずれかに記載のワークの熱処理装置。
- さらに、前記第2ガントリにより前記ガントリ式搬送機構の搬送ラインの一のステーションから他の一のステーションに搬送された前記ワークに対して冷却液を噴射し、アフタークールを行うアフタークール部を備えてなる、請求項1乃至7のいずれかに記載のワークの熱処理装置。
- 前記アフタークール部は、前記ガントリ式搬送機構の搬送ラインの他の一のステーションに位置された前記ワークをアフタークール位置に移動してアフタークールを行うと共に、次のワークのアフタークール位置への送りおよびアフタークールを終えた上記ワークの上記他の一のステーションへの戻しを行う、請求項1乃至8のいずれかに記載のワークの熱処理装置。
- 前記ワーク下部熱処理部の配置が、前記テーブル式搬送機構の搬送ラインから奥行側へ離れ、且つ上記ワーク下部熱処理部へワークを搬送する直前の上記テーブル式搬送機構の搬送ライン上の一のステーションから搬送ライン下流側に所要ずれている、請求項1乃至9のいずれかに記載のワークの熱処理装置。
- 前記ガントリ式搬送機構は、前記ワーク上部用加熱コイルの交換時に第1および第2ガントリをアフタークール部の側へ寄せられる構成である、請求項1乃至10のいずれかに記載のワークの熱処理装置。
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