JP2012029134A - 弾性波装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カバーの強度を向上可能な弾性波装置を提供する。
【解決手段】SAW装置1は、基板3と、基板3の第1主面3a上に配置されたIDT電極15と、第1主面3a上に配置されたカバー5とを有する。カバー5は、IDT電極15を収容する振動空間10を有する。また、SAW装置1は、IDT電極15と電気的に接続された、カバー5を上下方向に貫通する複数個の端子7と、カバー5内に設けられ、カバー5を平面透視したときに、端子7を囲むようにして形成された金属膜39とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】SAW装置1は、基板3と、基板3の第1主面3a上に配置されたIDT電極15と、第1主面3a上に配置されたカバー5とを有する。カバー5は、IDT電極15を収容する振動空間10を有する。また、SAW装置1は、IDT電極15と電気的に接続された、カバー5を上下方向に貫通する複数個の端子7と、カバー5内に設けられ、カバー5を平面透視したときに、端子7を囲むようにして形成された金属膜39とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)装置や圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)等の弾性波装置、及び、その製造方法に関する。
基板と、基板の主面上に設けられた弾性波素子と、弾性波素子を封止するカバーと、主面に立設され、カバーを貫通する柱状の端子とを有する弾性波装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1において、基板は圧電材料により形成され、弾性波素子及び端子は金属により形成され、カバーは樹脂により形成されている。
弾性波装置のカバーにはクラックが生じることがある。例えば、弾性波装置の製造若しくは使用に際して弾性波装置に温度変化が生じると、弾性波装置内の各部材若しくは弾性波装置が取り付けられる部材の熱膨張差によりカバーに熱応力が生じ、クラックが生じることがある。
本発明の目的は、カバーの強度を向上可能な弾性波装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一実施態様の弾性波装置は、基板と、前記基板の主面上に配置された励振電極と、前記励振電極を収容する振動空間を有し、前記主面上に配置されたカバーと、前記励振電極と電気的に接続された、前記カバーを上下方向に貫通する複数個の端子と、前記カバー内に設けられ、前記カバーを平面透視したときに、前記端子を囲むようにして形成された金属膜と、を備える。
本発明の一実施態様の弾性波装置の製造方法は、基板の主面上に、励振電極及び当該励振電極に電気的に接続されたパッドを形成する工程と、前記主面上に、前記パッド上に位置する第1孔部が形成されており、且つ前記励振電極上に位置する開口が形成された若しくは形成される予定の枠部を設ける工程と、前記第1孔部の底面及び内周面、並びに前記枠部の上面の、前記第1孔部を囲む領域に、導電性の第1下地層を成膜する工程と、前記第1下地層が成膜された前記枠部の上面に、前記開口を塞ぎ、前記第1孔部上に位置する第2孔部が形成された蓋部を設ける工程と、前記第1孔部の底面及び内周面、並びに前記第2孔部の内周面に、導電性の第2下地層を成膜する工程と、前記第2下地層に通電する電気めっきによって前記第1及び第2孔部内において金属を析出し、端子を形成する工程と、を備える。
上記の構成又は手順によれば、カバー内に設けられ、カバーを平面透視したときに、端子を囲むようにして形成された金属膜を設けたことによって、カバー内のクラックが発生しやすい部分が金属膜により補強され、カバーにクラックが発生するのを抑制することができる。
以下、本発明の複数の実施形態に係るSAW装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
また、第2の実施形態以降において、既に説明された実施形態と共通又は類似する構成については、既に説明された実施形態と共通の符号を用い、また、図示や説明を省略することがある。
符号は、同一又は類似する構成のものについて、「第1端子7A〜第6端子7F」などのように、同一の数字に大文字のアルファベットの付加符号を付したものを用いることがある。また、この場合において、単に「端子7」というなど、名称の頭の番号、及び、上記の付加符号を省略することがあるものとする。
<第1の実施形態>
(SAW装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSAW装置1の外観斜視図である。ただし、後述する金属膜39などの一部の図示は省略されている。
(SAW装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSAW装置1の外観斜視図である。ただし、後述する金属膜39などの一部の図示は省略されている。
SAW装置1は、いわゆるウェハレベルパッケージ(WLP)形のSAW装置により構成されている。SAW装置1は、基板3と、基板3に固定されたカバー5と、カバー5から露出する第1端子7A〜第6端子7Fと、カバー5の上面(基板3とは反対側の面)に積層された補強層8と、基板3のカバー5とは反対側に設けられた裏面部9とを有している。
SAW装置1は、複数の端子7のいずれかを介して信号の入力がなされる。入力された信号は、SAW装置1によりフィルタリングされる。そして、SAW装置1は、フィルタリングした信号を複数の端子7のいずれかを介して出力する。SAW装置1は、例えば、カバー5側の面を不図示の回路基板等の実装面に対向させて当該実装面に載置された状態で樹脂封止されることにより、端子7を実装面上の端子に接続した状態で実装される。
基板3は、圧電基板により構成されている。具体的には、例えば、基板3は、タンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する直方体状の単結晶基板である。基板3は、第1主面3aと、その背面側の第2主面3bとを有している。基板3の平面形状は適宜に設定されてよいが、例えば、Y方向を長手方向とする矩形である。基板3の大きさは適宜に設定されてよいが、例えば、厚さは0.2mm〜0.5mm、1辺の長さは0.5mm〜2mmである。
カバー5は、第1主面3aを覆うように設けられている。カバー5の平面形状は、例えば、基板3の平面形状と同様であり、本実施形態では、Y方向を長手方向とする矩形である。カバー5は、例えば、第1主面3aと概ね同等の広さを有し、第1主面3aの概ね全面を覆っている。カバー5は、感光性の樹脂により形成されている。感光性の樹脂は、例えば、アクリル基やメタクリル基などのラジカル重合により硬化する、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系の樹脂である。
複数の端子7は、カバー5の上面から露出している。複数の端子7の数及び配置位置は、SAW装置1の内部の電子回路の構成に応じて適宜に設定される。本実施形態では、6つの端子7がカバー5の外周に沿って配列されている。
補強層8は、カバー5の強度を補強するためのものである。補強層8は、カバー5を構成する材料よりもヤング率が高い材料により構成されている。例えば、カバー5が樹脂により構成されているのに対して、補強層8は金属により構成されている。また、例えば、カバー5のヤング率が0.5〜1.0GPaであるのに対し、補強層8のヤング率は100〜250GPaである。補強層8の厚さは、例えば、1〜50μmである。補強層8は、カバー5の比較的広い範囲に亘って形成されている。例えば、カバー5は、端子7の配置位置を避けて、カバー5の概ね全面に亘って形成されている。補強層8は、端子7と接続されておらず、電気的に浮遊状態となっている。
裏面部9は、特に図示しないが、例えば、第2主面3bの概ね全面を覆う裏面電極と、裏面電極を覆う絶縁性の保護層とを有している。裏面電極により、温度変化等により基板3表面にチャージされた電荷が放電される。保護層によって、基板3の損傷が抑制される。なお、以下では、裏面部9は、図示や説明が省略されることがある。
図2は、カバー5の一部を破断して示すSAW装置1の斜視図である。
第1主面3aには、第1SAW素子11A(図3参照)及び第2SAW素子11Bが設けられている。第1SAW素子11Aは、例えば、SAW共振子であり、第2SAW素子11Bは、例えば、SAWフィルタである。なお、図2において、SAW素子11は、後述する図3よりも模式的に示されている。
カバー5は、第1主面3aの平面視においてSAW素子11を囲む枠部35と、枠部35の開口を塞ぐ蓋部37とを有している。そして、第1主面3a(厳密には後述する保護層25)、枠部35及び蓋部37によって囲まれた空間により、SAW素子11の振動を容易化する第1振動空間10A及び第2振動空間10Bが形成されている。なお、振動空間10は、適宜な数及び形状で設けられてよく、図2では、2つのSAW素子11に対応して2つの振動空間10が設けられている場合を例示している。
枠部35は、概ね一定の厚さの層に振動空間10となる開口が1以上(本実施形態では2つ)形成されることにより構成され、振動空間10に面する内壁面35bと、振動空間10に面しない外壁面35cとを有している。枠部35の厚さ(振動空間10の高さ)は、例えば、数μm〜30μmである。蓋部37は、枠部35上に積層される、概ね一定の厚さの層により構成されている。蓋部37の厚さは、例えば、数μm〜30μmである。
枠部35及び蓋部37は、同一の材料により形成されていてもよいし、互いに異なる材料により形成されていてもよい。本願では、説明の便宜上、枠部35と蓋部37との境界線を明示しているが、現実の製品においては、枠部35と蓋部37とが同一材料により形成され、一体的に形成されていてもよい。
端子7は、図2では第6端子7Fにおいてよく表れているように、第1主面3aに立てて設けられており、枠部35及び蓋部37を第1主面3aの面する方向(上下方向)へ貫通し、カバー5の上面において露出している。
第1主面3aには、SAW素子11に電気的に接続された第1パッド13A〜第6パッド13F(図2では一部のみ示す)が設けられている。端子7は、パッド13上に設けられることにより、SAW素子11と接続されている。
図3は、基板3の第1主面3aにおける配線構造を示す模式的な平面図である。なお、図3においては、振動空間10の範囲を2点鎖線で示している。
SAW素子11は、1以上のIDT(InterDigital Transducer)電極15と、IDT電極15の、SAWの伝搬方向(X方向)両側に配置された2つの反射器17とを有している。
IDT電極15は、一対の電極から構成されている。この一対の電極は、弾性表面波の伝搬方向(X方向)に延びるバスバー15aと、バスバー15aから上記伝搬方向に直交する方向(Y方向)に伸びる複数の電極指15bとを有し、電極指15bが互いに噛合うように配置されている。なお、図3は模式図であることから、電極指15bは、実際の数よりも少ない数で示されている。SAW素子11は、例えばAl−Cu合金等のAl合金によって形成されている。
第4端子7Dは、信号が入力される端子であり、入力配線27を介して第1SAW素子11Aに接続されている。第1SAW素子11Aは、3本の中間配線29により、第2SAW素子11Bと接続されている。第2SAW素子11Bは、2本の出力配線31を介して信号を出力する端子としての第3端子7C及び第6端子7Fに接続されている。
第1端子7A、第2端子7B及び第5端子7Eは、基準電位が付与される端子であり、第1グランド配線33a、第2グランド配線33b、第3グランド配線33cにより互いに接続されている。また、第2グランド配線33b及び第3グランド配線33cは、分岐することにより、第2SAW素子11Bに接続されている。
なお、3本の中間配線29と、第2グランド配線33bとは、絶縁体21を介して立体交差している。同様に、2本の出力配線31と第3グランド配線33cとは絶縁体21を介して立体交差している。
図4は、図2のIV−IV線における断面図である。図5(a)は、図4の領域Vaの拡大図である。図5(b)は、図4の領域Vbの拡大図である。
端子7は、柱状に形成された柱状部7aと、柱状部7aの側面上端から突出するフランジ7bとを有している。柱状部7aは、カバー5を貫通し、フランジ7bは、カバー5の上面に積層されている。端子7の、フランジ7bを含む上端面は、不図示の回路基板などに接続されるランド7cを構成している。
柱状部7aの、枠部35を貫通する部分及び蓋部37を貫通する部分のそれぞれは、例えば、第1主面3a側ほど第1主面3aに平行な断面積が大きくなるテーパ状に形成されている。また、柱状部7aの平面形状は、例えば、円形であり、その直径は、例えば、20μm〜120μmである。フランジ7bは、柱状部7aの全周に亘って形成されるとともに、概ね一定の幅で形成されている。
SAW装置1は、第1主面3aに設けられた導電層19と、導電層19及び第1主面3aに積層された保護層25とを有している。また、SAW装置1は、枠部35等に積層された第1下地層41と、第1下地層41等に積層された第2下地層43と、第2下地層43の表面上に形成された金属部45とを有している。第1下地層41には、枠部35に積層された金属膜39が含まれている。
導電層19は、第1主面3a上における回路素子や配線等の構成に関して基本となる層である。具体的には、導電層19は、SAW素子11、入力配線27、中間配線29、出力配線31及びパッド13を構成している。導電層19は、例えば、Al−Cu合金等のAl合金により形成されており、その厚さは、例えば、100〜300nmである。
保護層25は、SAW素子11の酸化防止等に寄与するものである。保護層25は、例えば、酸化珪素(SiO2など)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化珪素、又は、シリコンにより形成されている。保護層25の厚さは、例えば、導電層19の厚さの1/10程度(10〜30nm)である。保護層25は、例えば、パッド13の配置位置以外においては、第1主面3a全体に亘って形成されている。パッド13の位置における保護層25の開口25hの形状及び大きさは、例えば、端子7が貫通するカバー5の孔部5hの底部の形状及び大きさと同一である。なお、カバー5は、保護層25に積層されている。
第1下地層41は、金属膜39を構成するとともに、端子7の枠部35内の側面及び底面を構成している。第1下地層41は、例えば、銅若しくはチタンにより形成されている。第1下地層41の厚さは、概ね均一である。当該厚さは、適宜に設定されてよいが、例えば、第1下地層41が銅からなる場合は300nm〜1μm、第1下地層41がチタンからなる場合は10nm〜100nmである。また、当該厚さは、比較的厚く、例えば、1μm〜10μmに設定されてもよい。
第2下地層43は、端子7のカバー5内の側面及び底面(ただし、枠部35内においては第1下地層41よりも内側の層)、並びに、フランジ7bのカバー5側の面を構成している。また、第2下地層43は、補強層8のカバー5側の面を構成している。第2下地層43は、例えば、銅若しくはチタンにより形成されている。第2下地層43の厚さは、概ね均一である。当該厚さは、適宜に設定されてよいが、例えば、第2下地層43が銅からなる場合は300nm〜1μm、第2下地層43がチタンからなる場合は10nm〜100nmである。
金属部45は、柱状部7aの内部側部分及びフランジ7bの上方側(カバー5とは反対側)部分を構成している。また、金属部45は、補強層8の上方側部分を構成している。金属部45は、例えば、銅により形成されている。
金属膜39は、枠部35と蓋部37との間に配置される主部39aと、主部39aから枠部35の内壁面35bに延出された第1延出部39bと、主部39aから枠部35の外壁面35cに延出された第2延出部39cとを有する。
図6は、金属膜39の主部39aの範囲を説明する、枠部35の上面の平面図である。ただし、端子7は、断面を示す斜線によりハッチングされず、入力用、出力用又は基準電位用に応じて「IN」、「OUT」又は「GND」が付されている。また、金属膜39の主部39aはハッチングして示されている。
金属膜39の主部39aは、枠部35の上面の概ね全体を覆っている。そして、主部39aは、カバー5の平面透視において振動空間10を囲むように形成されるとともに、各端子7を囲むように形成されている。
金属膜39の主部39aは、基準電位用の第1端子7A、第2端子7B及び第5端子7Eに接続されている(図5(a)も参照)。より具体的には、金属膜39とこれらの端子7の枠部35内の表面とは、上述のように第1下地層41によって一体的に形成され、これにより、金属膜39と端子7とは接続されている。当該接続は、例えば、端子7の全周に亘ってなされている。
一方、入力用の第4端子7D、並びに、出力用の第3端子7C及び第6端子7Fに関しては、金属膜39の主部39aは、これらの端子7と導通しないように、これらの端子から離間するように形成されている(図5(b)も参照)。例えば、主部39aは、端子7と相似形(本実施形態では円形)の開口が形成されることにより、端子7と離間されている。主部39aと入力用又は出力用の端子7との距離は、例えば、10μm〜20μmである。この程度の隙間があれば、SAW装置1を形成するプロセス上の精度誤差によって主部39aと端子7とが導通してしまうおそれを排除可能である。
図6では、補強層8の範囲も点線で示している。補強層8は、平面視において振動空間10に重なっている。より具体的には、補強層8は、振動空間10の概ね全体を覆っている。また、補強層8は、振動空間10の外側にも広がっており、枠部35と重なっている。そして、補強層8と金属膜39の主部39aとは一部において重なっている。より具体的には、補強層8と主部39aとは、振動空間10の概ね全周に亘って重なっているとともに、互いに隣接する端子7間において重なっている。
図5(a)及び図5(b)に戻って、第1延出部39bは、例えば、枠部35の内壁面35bの面積の半分以上全体以下の広い範囲を覆っている。また、第1延出部39bは、内壁面35bから枠部35の枠内の第1主面3aにかけても形成されている。
図3では、第1延出部39bの第1主面3a上の縁部を点線で示している。第1延出部39bの第1主面3a上の部分は、SAW素子11におけるSAWの伝搬に影響を及ぼさないように、SAW素子11に重ならないように配置されている。また、当該部分は、例えば、SAW素子11を囲むように配置されている。ただし、当該部分は、入力配線27等の信号が伝達される配線との絶縁性を確保するなどの目的から、これらの配線に重ならないように配置されている。なお、当該部分は、信号が伝達される配線上に絶縁体を介して積層されてもよい。
図5(a)及び図5(b)に戻って、第2延出部39cは、例えば、枠部35の外壁面35cの概ね全体を覆っている。また、第2延出部39cは、外壁面35cから枠部35の外側の第1主面3aにかけて形成されている。第2延出部39cの第1主面3a上の部分は、例えば、枠部35の概ね全周に亘って形成されている。当該部分の縁部は、例えば、第1主面3aの縁部と概ね一致する。
(SAW装置の製造方法)
図7(a)〜図10(c)は、SAW装置1の製造方法を説明する、図4(図2のIV−IV線)に対応する断面図である。製造工程は、図7(a)から図10(c)へ順に進んでいく。
図7(a)〜図10(c)は、SAW装置1の製造方法を説明する、図4(図2のIV−IV線)に対応する断面図である。製造工程は、図7(a)から図10(c)へ順に進んでいく。
以下に説明する工程は、いわゆるウエハプロセスにおいて実現される。すなわち、分割されることによって基板3となる母基板を対象に、薄膜形成やフォトリソグラフィー法などが行われ、その後、ダイシングされることにより、多数個分のSAW装置1が並行して形成される。ただし、図7(a)〜図10(c)では、1つのSAW装置1に対応する部分のみを図示する。また、導電層や絶縁層は、プロセスの進行に伴って形状が変化するが、変化の前後で共通の符号を用いる。
まず、図7(a)に示すように、基板3の第1主面3aに導電層19が形成される。具体的には、まず、スパッタリング法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法により、第1主面3a上に導電層19となる金属層が形成される。次に、金属層に対して、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフィー法等によりパターニングが行われる。パターニングにより、導電層19に含まれる、SAW素子11、入力配線27、中間配線29、出力配線31及びパッド13が形成される。
導電層19が形成されると、図7(b)に示すように、保護層25となる薄膜が形成される。換言すれば、パッド13の位置において開口が形成されていない状態の保護層25が形成される。保護層25となる薄膜は、例えば、スパッタリング法若しくはCVD等の薄膜形成法により形成される。
保護層25となる薄膜が形成されると、図7(c)に示すように、枠部35が形成される。具体的には、まず、枠部35となる薄膜が形成される。薄膜は、例えば、感光性樹脂により形成されたフィルムが貼り付けられることにより、又は、保護層25と同様の薄膜形成法により形成される。枠部35となる薄膜が形成されると、フォトリソグラフィー法等により、薄膜の一部が除去され、振動空間10を構成する開口、及び、端子7が配置される予定の第1孔部35hが形成される。また、薄膜は、ダイシングライン上においても、一定の幅で除去される。このようにして枠部35が形成される。なお、枠部35を形成するための樹脂として、ネガ型の感光性樹脂を用いると、第1主面3a側ほど光が散乱して樹脂が硬化しにくいことから、第1主面3a側ほど断面積が大きくなる第1孔部35hを形成することができる。
枠部35が形成されると、図8(a)に示すように、第1レジスト層51を形成する。第1レジスト層51は、例えば、スピンコート等により感光性樹脂の薄膜が形成され、その薄膜がフォトリソグラフィーによってパターニングされることにより形成される。第1レジスト層51となる薄膜は、少なくとも第1孔部35h上において除去される。また、当該薄膜は、枠部35の上面のうち少なくとも第1孔部35hの周囲部分(本実施形態では枠部35の上面全体)において除去されてもよい。
第1レジスト層51が形成されると、図8(b)に示すように、保護層25となる薄膜のうち第1孔部35h内の部分を除去して開口25hを形成し、その後、第1レジスト層51を除去する。なお、保護層25のエッチングにおいては、第1レジスト層51だけでなく、枠部35もマスクとして機能する。
保護層25の開口25hが形成されると、図8(c)に示すように、第2レジスト層53を形成する。第2レジスト層53は、第1レジスト層51と同様に、例えば、スピンコート等により感光性樹脂の薄膜が形成され、その薄膜がフォトリソグラフィーによってパターニングされることにより形成される。第2レジスト層53となる薄膜は、第1下地層41が形成される予定の範囲が露出するように、換言すれば、金属膜39の配置予定範囲及び第1孔部35hが露出するように除去される。
第2レジスト層53が形成されると、図9(a)に示すように、第1下地層41となる金属層が形成される。当該金属層は、基板3の第1主面3a側の全面に亘って形成される。なお、金属層が形成される範囲には、第1孔部35hの底面及び内周面、並びに、枠部35の上面の、第1孔部35hを囲む領域が含まれている。金属層は、例えば、スパッタ法により形成される。
第1下地層41となる金属層が形成されると、図9(b)に示すように、第2レジスト層53と、第2レジスト層53上の金属層を除去する。これにより、第1下地層41、換言すれば、金属膜39、及び、端子7の底面及び枠部35内の側面が形成される。
第1下地層41が形成されると、図9(c)に示すように、蓋部37が形成される。具体的には、まず、蓋部37となる薄膜が形成される。薄膜は、例えば、感光性樹脂のフィルムが貼り付けられることによって形成される。そして、薄膜が形成されることにより、枠部35の開口が塞がれて、振動空間10が構成される。薄膜は、フォトリソグラフィー法等により、第1孔部35h上の部分が除去され、これにより、端子7が配置される予定の第2孔部37hが形成される。第2孔部37hは、第1孔部35hとともに端子7が配置される予定の孔部5hを構成する。また、薄膜は、ダイシングライン上においても一定の幅で除去される。このようにして、蓋部37が形成される。なお、第2孔部37hは、第1孔部35hと同様に、蓋部37を形成するための樹脂として、ネガ型の感光性樹脂が用いられることにより、第1主面3a側ほど断面積が大きくなる形状に形成される。
蓋部37が形成されると、図10(a)に示すように、第2下地層43となる金属層が形成される。当該金属層は、基板3の第1主面3a側の全面に亘って形成される。なお、金属層が形成される範囲には、第1孔部35hの底面及び内周面、並びに、第2孔部37hの内周面が含まれている。当該金属層は、例えば、スパッタ法によって形成される。
第2下地層43となる金属層が形成されると、図10(b)に示すように、第3レジスト層55が形成される。第3レジスト層55は、例えば、他のレジスト層と同様に、スピンコート等により感光性樹脂の薄膜が形成され、その薄膜がフォトリソグラフィーによりパターニングされることによって形成される。第3レジスト層55は、ランド7c及び補強層8が配置される予定の範囲において、第2下地層43となる金属層が露出するように形成される。
第3レジスト層55が形成されると、図10(c)に示すように、第2下地層43に通電する電気めっき処理により、第2下地層43となる金属層の露出部分に金属を析出させ、金属部45を形成する。次に、第2下地層43となる金属層の第3レジスト層55に被覆されていた部分及び第3レジスト層55が除去される。これにより、図4に示すように、補強層8及び端子7が形成される。
なお、絶縁体21及び絶縁体21を介して導電層19に積層される導電層(第2グランド配線33b及び第3グランド配線33c)は、適宜な時期において、適宜な薄膜形成法及びフォトリソグラフィー等の適宜なパターニング法によって形成される。例えば、絶縁体21及び第2グランド配線33b等の導電層は、図7(a)の導電層19の形成後且つ図7(b)の保護層25の形成前に形成され、保護層25に覆われる。また、例えば、絶縁体21及び第2グランド配線33b等の導電層は、図7(b)の保護層25の形成後、図7(c)の枠部形成前に形成され、保護層25に積層される。導電層19と第2グランド配線33b等の導電層との導通は保護層25の一部を適宜に除去することによって行われる。
以上の実施形態によれば、SAW装置1は、基板3と、基板3の第1主面3a上に配置されるIDT電極15と、第1主面3a上に配置されるカバー5とを有する。カバー5は、IDT電極15を収容する振動空間10を有する。また、SAW装置1は、IDT電極15と電気的に接続され、カバー5を上下方向に貫通する複数個の端子7と、カバー5内に設けられ、カバー5を平面透視したときに、端子7を囲むようにして形成される金属膜39とを備える。
従って、金属膜39によりカバー5の補強がなされ、カバー5の強度が向上する。カバー5は、端子7の周囲においてクラックが発生しやすい。これは、端子7とカバー5との熱膨張差、若しくは、端子7(孔部5h)が存在することによるカバー5における応力集中の発生等に起因するものと考えられる。そして、金属膜39は、端子を囲むようにして形成されていることから、金属膜39によってクラック発生が効果的に抑制される。また、金属膜39は、端子7を囲むように形成されることにより、端子7の周囲における端子7とカバー5との熱膨張差の緩和にも寄与し、熱膨張差の緩和の面からもクラック発生が抑制される。
SAW装置1は、カバー5の振動空間10に面しない外側の上面上に配置される金属製の補強層8をさらに備え、カバー5を平面透視したときに、補強層8と金属膜39とが重なる部分を有するように双方が配置されている。
従って、補強層8によりカバー5の強度は更に向上する。特に、補強層8と金属膜39とが重なる部分においては強度が飛躍的に向上する。また、金属膜39の補強の効果や熱膨張差の緩和の効果は、補強層8と金属膜39とが重なる部分を介して、補強層8の配置範囲(金属膜39の非配置範囲:例えば振動空間10上)まで連続的に延長される。金属膜39が補強層8の縁部と重なっている場合には、金属膜39によるカバー5の熱膨張差緩和により、補強層8のカバー5からの剥離が抑制されることも期待される。
カバー5の平面透視において金属膜39は振動空間10を囲むように形成されている。従って、金属膜39は、振動空間10に配置されたIDT電極15への不要な電磁波の入射若しくはIDT電極15からの電磁波の出射を抑制する電磁シールドとして機能し得る。
カバー5は、第1主面3a上に配置された、第1主面3aの平面視においてIDT電極15を囲み、且つ振動空間10と面する内壁面35bを有する枠部35と、枠部35上に配置された、該枠部35の開口を塞ぐ蓋部37とを含む。金属膜39は、枠部35と蓋部37との間に配置された主部39aと、枠部35の内壁面35bに延出された第1延出部39bとを有する。従って、第1延出部39bによって、水分が枠部35を透過して振動空間10内に浸入することが抑制される。その結果、IDT電極15の腐食が抑制され、SAW装置1の信頼性が向上する。また、主部39aによって振動空間10を囲み、電磁シールド効果を得るときに、第1延出部39bによって電磁シールド効果が向上することも期待される。
第1延出部39bは、枠部35の内壁面35bから枠部35の枠内の基板3の第1主面3aにかけて形成されている。従って、第1延出部39bによって枠部35と第1主面3a(保護層25)との固定が補強され、枠部35の剥がれが抑制される。また、枠部35と第1主面3a(保護層25)との間に隙間が生じたとしても、第1延出部39bが水分などの振動空間10への侵入を抑制する。このように、第1延出部39bによって振動空間10の密閉性が向上する。
なお、蓋部37が振動空間10側へ撓むようなカバー5の変形を考えた場合には、枠部35が振動空間10側へ傾き、枠部35の外壁面35cが第1主面3aから浮き上がることが考えられる。従って、第1延出部39bの、内壁面35bから第1主面3aに亘って設けられている部分は、第2延出部39cの、外壁面35cから第1主面3aに亘って設けられている部分よりも、形状が維持されやすく、振動空間10の密閉性向上に寄与しやすいと考えられる。
枠部35は、振動空間10と面しない外側の外壁面35cを有する。金属膜39は、主部39aから枠部35の外壁面35cに延出された第2延出部39cを有する。従って、第1延出部39aが設けられた内壁面35b側と同様に、水分が枠部35を透過して振動空間10内に浸入することが抑制されるとともに、電磁シールド効果の向上も期待される。
第2延出部39cは、枠部35の外壁面35cから枠部35の外側の基板3の第1主面3aにかけて形成されている。従って、第1延出部39bが設けられた内壁面35b側と同様に、枠部35の剥がれが抑制されるとともに、枠部35と第1主面3a(保護層25)との間から水分が浸入することが抑制される。また、枠部35の内側と外側とで金属膜39が設けられる場合においては、金属膜39の密着力が内側と外側とで均等に作用し、内部応力が安定することが期待される。
複数個の端子7は、基準電位用の端子7(第1端子7A、第2端子7B及び第5端子7E)を含み、金属膜39は基準電位用の端子7と接続されている。従って、金属膜39の電磁シールド効果が向上する。また、金属膜39は、端子7がカバー5から引き抜かれることを抑制することにも寄与し得る。
SAW装置1の製造方法は、以下の工程を備えている。基板3の第1主面3a上に、IDT電極15及びIDT電極15に電気的に接続されたパッド13を形成する工程(図7(a))。第1主面3a上に、IDT電極15上に位置する開口(振動空間10)及びパッド13上に位置する第1孔部35hが形成された枠部35を設ける工程(図7(c))。第1孔部35hの底面及び内周面、並びに、枠部35の上面の、第1孔部35hを囲む領域に、導電性の第1下地層41を成膜する工程(図9(a))。第1下地層41が成膜された枠部35の上面に、開口(振動空間10)を塞ぎ、第1孔部35h上に位置する第2孔部37hが形成された蓋部37を設ける工程(図9(c))。第1孔部35hの底面及び内周面、並びに、第2孔部37hの内周面に、導電性の第2下地層43を成膜する工程(図10(a))。第2下地層43に通電する電気めっきにより第1孔部35h及び第2孔部37h内において金属(金属部45)を析出し、端子7を形成する工程(図10(c))。
従って、枠部35を形成する工程と蓋部37を形成する工程との間に第1下地層41を成膜する工程を挿入するだけで、カバー5内に設けられ、端子7を囲む金属膜39を形成することができる。さらに、第1孔部35hの底面においては、第1下地層41と第2下地層43とが形成されることから、すなわち、下地層が2重に形成されることから、下地層が厚く形成される。従って、第1孔部35hの底面における下地層のカバレッジが向上し、その結果、ボイド(気泡)の発生が抑制され、端子7の信頼性(端子強度又は耐湿性)が向上する。
SAW装置1の製造方法は、更に以下の工程を備えている。IDT電極15及びパッド13が形成された後(図7(a)の後)、且つ、枠部35が設けられる前(図7(c)の前)において、IDT電極15及びパッド13を覆う保護層25を形成する工程(図7(b))。枠部を設けた後(図7(c)の後)、且つ、第1下地層41を成膜する前(図9(a)の前)において、保護層25の第1孔部35h内に位置する部分を除去する工程(図8(b)、開口25hを形成する工程)。
従って、パッド13が保護層25に覆われた状態で第1孔部35hの形成が行われることになる。その結果、枠部35を設ける前に開口25hを形成する場合に比較して、パッド13の表面状態が良好に保たれるとともに、枠部35のパターニングによって樹脂などが開口25h内に残留することが抑制される。ひいては、端子7とパッド13との密着性が向上する。また、枠部35をマスクとして機能させると、第1孔部35hと同一の形状及び大きさの開口25hが容易に形成される。
上記の2重の下地層によるカバレッジ向上効果及び/又は端子7とパッド13との密着性の向上効果などが奏されることにより、UBM(Under Bump Metal:下地金属)の必要性が低減される。UBMを設けないことにより、第1孔部35hの底面における凹凸が低減され、めっき液等が第1孔部35hの底部に残留しない、下地層のカバレッジが更に向上するなどの効果が奏される。
なお、以上の実施形態において、SAW装置1は本発明の弾性波装置の一例であり、IDT電極15は本発明の励振電極の一例である。
<第2の実施形態>
図11は、第2の実施形態のSAW装置101における金属膜139の成膜範囲を説明する図である。具体的には、図11は、第1主面3aを示す平面図(図3に対応する図)において、金属膜139の主部139aの範囲をハッチングによって示している。
図11は、第2の実施形態のSAW装置101における金属膜139の成膜範囲を説明する図である。具体的には、図11は、第1主面3aを示す平面図(図3に対応する図)において、金属膜139の主部139aの範囲をハッチングによって示している。
SAW装置101は、金属膜の主部の範囲のみが第1の実施形態のSAW装置1と相違する。具体的には、主部139aは、平面視において入力配線27及び出力配線31と重ならないように形成されている。
従って、主部139aと、入力配線27及び出力配線31との間に、不要な容量が発生することが抑制される。
<第3の実施形態>
図12(a)〜図13(b)は、第3の実施形態のSAW装置201(図13(b))の製造方法を説明する断面図(図4に対応する断面図)である。製造工程は、図12(a)から図13(b)へ順に進んでいく。
図12(a)〜図13(b)は、第3の実施形態のSAW装置201(図13(b))の製造方法を説明する断面図(図4に対応する断面図)である。製造工程は、図12(a)から図13(b)へ順に進んでいく。
第3の実施形態においても、図7(a)及び図7(b)と同様の工程が行われ、基板3の第1主面3a上には導電層19及び保護層25となる薄膜が形成される。その後、図12(a)に示すように、枠部35となる薄膜が形成され、第1孔部35hが形成される。ただし、図7(c)とは異なり、振動空間10となる開口及びダイシングライン上の空所は、この段階では形成されない。
第1孔部35hが形成されると、図12(b)に示すように、保護層25となる薄膜のうち第1孔部35hと重なる部分が除去され、開口25hが形成される。このとき、枠部35はマスクとして利用される。
開口25hが形成されると、図12(c)に示すように、第1下地層41となる金属層が形成される。当該金属層は、基板3の第1主面3a側の全面に亘って形成される。
第1下地層41となる金属層が形成されると、図13(a)に示すように、第1下地層41となる金属層のパターニングを行うとともに、枠部35となる薄膜のパターニングを行い、振動空間10となる開口及びダイシングライン上の空所を形成する。なお、金属層のパターニングをしてから振動空間10を形成してもよいし、振動空間10を形成してから金属層のパターニングをしてもよい。
その後は、第1の実施形態の図9(c)以降と同様の工程が行われる。そして、図13(b)に示すように、SAW装置201が製造される。なお、製造されたSAW装置201は、金属膜239が、第1延出部39b及び第2延出部39cを有していない点のみが第1の実施形態のSAW装置1と相違する。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
弾性波装置は、SAW装置に限定されない。例えば、弾性波装置は、圧電薄膜共振器であってもよい。
弾性波装置において、補強層(8)及び保護層(25)は省略されてよい。また、配線は、絶縁体(21)及び絶縁体上の導体層(33b等)を必要としない、すなわち、立体交差部を必要としないものとされてよい。逆に、実施形態において例示していない適宜な層などが形成されてもよい。例えば、パッド13と端子7との間に介在するUBMが設けられてもよい。
金属膜(39)のカバー内に設けられる部分(39a)は、枠部と蓋部との間に設けられるものに限定されない。例えば、蓋部を2層の樹脂層から形成し、その2層の樹脂層の間に金属膜が設けられてもよい。金属膜において、第1延出部及び第2延出部は必須の要件ではなく、これらの少なくとも一方は省略されてよい。
金属膜のカバー内に設けられる部分(39a)は、平面視において適宜な広さとされてよい。例えば、当該部分は、端子の周囲のみにリング状に設けられてもよいし、上述のように蓋部内に設けられる場合には、振動空間を覆うように設けられてもよい。
金属膜は、全ての端子を囲む必要はなく、少なくとも一つの端子を囲むように設けられていればよい。例えば、複数の端子のうち、カバーのクラックが相対的に発生しやすい位置にある端子を囲むように設けられていてもよい。
金属膜は、第1端子7Aにおいて例示したように、囲まれる端子に接続されていてもよいし、第3端子7Cにおいて例示したように、囲まれる端子から離間していてもよい。金属膜と端子との接続は端子の全周に限定されず、一部のみであってもよい。金属膜は、基準電位に接続されず、電気的に浮遊状態とされていてもよい。
金属膜は、端子を形成するための下地層により構成されるものに限定されない。例えば、端子の形成とは無関係に金属層が成膜されてもよい。換言すれば、端子の下地層は2重に形成される必要はない。また、例えば、実施形態において、第1下地層41となる金属層を形成した後(図9(a)の後)、第1下地層41に通電する電気めっきにより金属を析出し、その後、第2レジスト層53を除去することにより、比較的厚い金属膜を形成してもよい。
補強層(8)は適宜な範囲で設けられてよい。ただし、振動空間と、振動空間の両側の部分とに跨って設けられ、蓋部と同様に枠部に両端支持されるように設けられることが蓋部の撓みを抑制する観点から好ましい。また、補強層は、基準電位用の端子と接続されていてもよい。
保護層(25)のパッド上の開口(25h)の形状及び大きさは、端子が貫通するカバーの孔部(35h)の底部の形状及び大きさと異なっていてもよい。例えば、保護層の開口はカバーの孔部よりも小さくてもよい。
弾性波装置の製造方法において、金属膜の形成は、カバーを形成していく過程の適宜な時期に行うことができ、枠部のパターニング後(第1の実施形態)、若しくは、枠部の一部のパターニング後(第3の実施形態)に限定されない。例えば、枠部となる薄膜をパターニングする前(振動空間となる開口及び端子が貫通する孔部の形成前)に金属膜となる金属層を形成し、その後、枠部のパターニングとともに、若しくは、枠部のパターニング前に、金属膜のパターニングが行われてよい。
保護層のパッド上の開口(25h)を設ける工程(保護層のパターニング)は、枠部若しくは枠部となる薄膜を設けた後に限定されず、枠部となる薄膜を設ける前であってもよい。
1…SAW装置(弾性波装置)、3…基板、3a…第1主面(主面)、5…カバー、7…端子、10…振動空間、15…IDT電極(励振電極)、39…金属膜
Claims (11)
- 基板と、
前記基板の主面上に配置された励振電極と、
前記励振電極を収容する振動空間を有し、前記主面上に配置されたカバーと、
前記励振電極と電気的に接続された、前記カバーを上下方向に貫通する複数個の端子と、
前記カバー内に設けられ、前記カバーを平面透視したときに、前記端子を囲むようにして形成された金属膜と、
を備える弾性波装置。 - 前記カバーの前記振動空間に面しない外側の上面上に配置される金属製の補強層をさらに備え、
前記カバーを平面透視したときに、前記補強層と前記金属膜とが重なる部分を有するように双方が配置されている
請求項1に記載の弾性波装置。 - 前記カバーの平面透視において前記金属膜は前記振動空間を囲むように形成されている 請求項1または2に記載の弾性波装置。
- 前記カバーは、前記主面上に配置された、前記主面の平面視において前記励振電極を囲み、且つ前記振動空間と面する内壁面を有する枠部と、前記枠部上に配置された、該枠部の開口を塞ぐ蓋部とを含み、
前記金属膜は、前記枠部と前記蓋部との間に配置された主部と、当該主部から前記枠部の前記内壁面に延出された第1延出部とを有する
請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波装置。 - 前記第1延出部は、前記枠部の前記内壁面から前記枠部の枠内の前記基板の前記主面にかけて形成されている
請求項4に記載の弾性波装置。 - 前記枠部は、前記振動空間と面しない外側の外壁面を有し、
前記金属膜は、前記主部から前記枠部の前記外壁面に延出された第2延出部を有する
請求項4または5に記載の弾性波装置。 - 前記第2延出部は、前記枠部の前記外壁面から前記枠部の外側の前記基板の前記主面にかけて形成されている
請求項6に記載の弾性波装置。 - 前記複数個の端子は、基準電位用の端子を含み、
前記金属膜は前記基準電位用の端子と接続されている
請求項1乃至7のいずれかに記載の弾性波装置。 - 前記主面上に配置され、前記励振電極及び前記端子と接続された配線をさらに備え、
前記複数個の端子は、前記励振電極に信号を入力または出力するための信号用の端子を含み、
前記金属膜は、平面視において前記配線のうち前記信号用の端子と接続された配線と重ならないように形成されている
請求項1乃至8のいずれかに記載の弾性波装置。 - 基板の主面上に、励振電極及び当該励振電極に電気的に接続されたパッドを形成する工程と、
前記主面上に、前記パッド上に位置する第1孔部が形成されており、且つ前記励振電極上に位置する開口が形成された枠部を設ける工程と、
前記第1孔部の底面及び内周面、並びに前記枠部の上面の、前記第1孔部を囲む領域に、導電性の第1下地層を成膜する工程と、
前記第1下地層が成膜された前記枠部の上面に、前記開口を塞ぎ、前記第1孔部上に位置する第2孔部が形成された蓋部を設ける工程と、
前記第1孔部の底面及び内周面、並びに前記第2孔部の内周面に、導電性の第2下地層を成膜する工程と、
前記第2下地層に通電する電気めっきによって前記第1及び第2孔部内において金属を析出し、端子を形成する工程と、
を備える弾性波装置の製造方法。 - 前記励振電極及び前記パッドが形成される工程の後、且つ、前記枠部が設けられる工程の前において、前記励振電極及び前記パッドを覆う保護層を形成する工程と、
前記枠部が設けられる工程の後、且つ、前記第1下地層を成膜する工程の前において、前記保護層の前記第1孔部の底面に位置する部分を除去する工程と、
を更に備える請求項10に記載の弾性波装置の製造方法。
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