JP2012028211A - リチウム二次電池用負極材、これを用いたリチウム二次電池用負極、及びリチウム二次電池。 - Google Patents

リチウム二次電池用負極材、これを用いたリチウム二次電池用負極、及びリチウム二次電池。 Download PDF

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Abstract

【課題】 放電負荷特性且つ密着特性に優れたリチウム二次電池用負極材、これを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】 本発明のリチウム二次電池用負極材は、炭素質材料及びホウ素単体又はホウ素化合物を含むものである。
【選択図】 なし

Description

本発明はリチウム二次電池負極材、リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池に関する。さらに詳しくは、ポータブル機器、電気自動車などの電力貯蔵等に用いるのに好適な、放電負荷特性且つ密着特性に優れたリチウムイオン二次電池用負極とそれを用いたリチウム二次電池に関する。
ホウ素単体及びホウ素化合物は、一般的に、リチウム二次電池用負極材として用いられる炭素質材料の黒鉛化のための触媒として利用されている。このようなホウ素単体及びホウ素化合物の利用としては、例えば、炭素質材料の原料と共にホウ素単体又はホウ素化合物を添加し、不活性あるいは還元性雰囲気下2000〜2500℃の高温で焼成・黒鉛化する製造方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
このように、ホウ素化合物を炭素質材料を作製する際に添加することで、得られた炭素質材料をリチウム二次電池用負極材として用い、充放電容量を向上させることができ、得られた炭素質材料には0.1〜2.0wt%のホウ素化合物が残存する(例えば、特許文献2参照)。
また、窒化ホウ素、炭化ホウ素、酸化ホウ素等のホウ素化合物を炭素質材料の原料と混合し、窒素ガス雰囲気下で焼成することにより、得られる炭素質材料中にBCN、BC等のホウ素置換型固溶体を生成させ、充放電容量を向上させる試みがある(例えば、特許文献3参照)。
また、炭素質材料とホウ素化合物を混合し黒鉛化することにより、ホウ素及び/又はホウ素固溶体を多く含む炭素質材料を作製し、PC適合性を改善している例がある(例えば、特許文献4参照)。
一方、リチウム二次電池用正負極において、炭素材及び炭素質導電剤の少なくともいずれかに対し0.08wt%〜3wt%の割合でホウ素を含有することにより、正極表面の電子とリチウムイオンとの反応を円滑にすることにより、抵抗が低減し、局部的な抵抗が小さく、高出力かつ寿命特性に優れたリチウム二次電池を得ている例がある(例えば、特許文献5参照)。
特開平8−31422号公報 特開平3−245458号公報 特開平5−290843号公報 特開2002−216754号公報 特開2003−45434号公報
一般的に、ノートパソコン、携帯電話等のポータブル機器に使用されるリチウム二次電池用負極材としては、高い充放電容量が要求されるために、人造黒鉛及び天然黒鉛粒子が使われている。リチウム二次電池の高容量化には、例えば、リチウム二次電池負極を高密度化することが挙げられる。しかし、リチウム二次電池用負極を高密度化すると、リチウム二次電池用負極材の粒子配向による放電負荷特性の低下、高圧プレス時にリチウム二次電池用負極材が集電体から剥離するといった問題がある。
一方、ハイブリット車(HEV)などのモータ駆動用のリチウム二次電池負極材としては、高い入出力特性が要求されるために、非晶質炭素粒子が使われている。この用途では、同時に高い放電負荷特性を満たすことが必要となり、非晶質炭素粒子を用いる場合は、負極材の粒子径を小さくする必要があり、結果、集電体との密着特性が低くなり、リチウム二次電池用負極材が集電体から剥離するといった問題がある。
このようにいずれの炭素質材料を用いたリチウム二次電池においても、放電負荷特性及び密着特性を向上させることは必要となる。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、放電負荷特性且つ密着特性に優れたリチウム二次電池用負極材、これを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、リチウム二次電池用途として種々の負極材を作製し検討を行った結果、炭素質材料にホウ素単体又はホウ素化合物を、炭素質材料に混合することによりリチウム二次電池用負極材として放電負荷特性且つ密着特性に優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、具体的には本発明は下記(1)〜(7)に記載の事項を特徴とするものである。
(1)炭素質材料及びホウ素単体又はホウ素化合物を含むリチウム二次電池用負極材。
(2)ホウ素化合物が炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸から選ばれる少なくとも1種である上記のリチウム二次電池用負極材。
(3)ホウ素単体又はホウ素化合物の含有量が炭素質材料に対して0.01wt%以上10wt%以下である上記のリチウム二次電池用負極材。
(4)ホウ素単体又はホウ素化合物の平均粒径が1μm以上50μm以下である上記のリチウム二次電池用負極材。
(5)上記のリチウム二次電池負極材を用いてなるリチウム二次電池用負極。
(6)上記のリチウム二次電池負極を用いてなるリチウム二次電池。
(7)炭素質材料、ホウ素単体又はホウ素化合物、結着剤及び増粘剤を混合しスラリーとし、前記スラリーを集電体に塗布することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
本発明によれば、放電負荷特性且つ密着特性に優れたリチウム二次電池負極材を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリチウム二次電池用負極材は、炭素質材料及びホウ素単体又はホウ素化合物を含むことを特徴とする。上記負極材とすることによって、炭素質材料にホウ素単体又はホウ素化合物を黒鉛化触媒として利用した際の、残存ホウ素、ホウ素置換型固溶体・ホウ素侵入型固溶体の形成によっては得ることができなかった放電負荷特性及び密着特性の向上効果を有するものである。
本発明におけるホウ素単体又はホウ素化合物としては、ホウ素を含んだものであれば特に限定するものではないが、たとえば、ホウ素単体、炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸、各種ホウ素塩等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して使用しても構わない。中でも、酸化ホウ素、ホウ酸は含まれる酸素がリチウムと反応し、充放電容量の低下を引き起こすの観点から、炭化ホウ素、窒化ホウ素を用いることが好ましい。
ホウ素単体又はホウ素化合物の含有量は、炭素質材料に対して0.01wt%〜10wt%であることが好ましい。ホウ素単体又はホウ素化合物の含有量がこの範囲内であると、充放電容量の低下が少なく、放電負荷特性及び密着性向上の効果が得られる傾向がある。また、前記含有量は0.01wt%〜5wt%であることがより好ましく、0.01wt%〜1wt%であることがさらに好ましい。
ホウ素単体又はホウ素化合物の平均粒径は1μm以上50μm以下であることが好ましい。ホウ素単体又はホウ素化合物の平均粒径が前記範囲内であると、リチウム二次電池用負極を成形する際に厚みを均一にしやすく、また、リチウム二次電池用負極材を含有するスラリーを塗工する際に筋引きを低減できる傾向にある。また、前記平均粒径は、1μm以上20μm以下であることがより好ましく、1μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。なお、ホウ素単体又はホウ素化合物の平均粒径は、界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製SALD−3000J)で測定することができ、平均粒子径は50%Dとして算出される。
本発明における炭素質材料としては、リチウムイオンを脱挿入可能な炭素室材料であれば特に制限は無いが、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛などの黒鉛質材料、非晶質炭素材料等が挙げられる。
以下、上記黒鉛質材料及び非晶質炭素材料を用いる場合の、それぞれの好ましい態様に関して説明する。
黒鉛質材料としては、XRD測定より求められる炭素002面の面間隔d002が3.38Å以下であることが好ましく、3.35Å〜3.37Åであることがより好ましい。面間隔d002が3.38Åを超えると放電容量が小さくなる傾向がある。d(002)の下限値に特に制限はないが、純粋な黒鉛結晶のd(002)の理論値で通常3.35Å程度とされる。なお、炭素002面の面間隔d002は、X線(CuKα線)を試料に照射し、回折線をゴニオメーターにより測定して得た回折プロファイルより回折角2θ=24〜26°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用いて算出することができる。
炭素002面の面間隔d002は、例えば、負極材への熱処理温度を高くすることで値が小さくなる傾向があり、この性質を利用して面間隔d002を上記範囲内に設定することができる。
また、黒鉛質材料の平均粒子径(50%D)は、1μm〜50μmであることが好ましい。平均粒子径が50μm以上であるとペーストにし塗工する際に塗工性が悪く、また、急速充放電特性に劣る傾向がある。また、平均粒子径が1μm以下であるとリチウムイオンと電気化学的な反応に効率よく関与できない粒子となり、容量、サイクル特性が低下する傾向がある。この観点から、5μm〜30μmであることがさらに好ましい。なお、平均粒径は、例えば、界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製SALD−3000J)で測定することができ、平均粒子径は50%Dとして算出される。本発明において、黒鉛粒子の平均粒径を上記範囲とするには、例えば、粉砕機や篩を用いて所望の大きさの粒子を得ればよい。
また、黒鉛質材料の77Kでの窒素吸着測定より求められる比表面積は、10m/g以下のものが好ましく、より好ましくは6m/g以下である。比表面積は、10m/gを超えると得られるリチウムイオン二次電池の第一サイクル目の不可逆容量が大きくなる傾向にあり、エネルギー密度が小さく、さらに負極を作製する際多くの有機系結着材が必要になる傾向にある。なお、窒素吸着での比表面積は、77Kでの窒素吸着測定より得られた吸着等温線により求めることができる。
77Kでの窒素吸着測定より求められる比表面積は、例えば、負極材の平均粒子径を大きくすること、負極材への熱処理温度を高くすること、負極材の表面を改質すること等で値が小さくなる傾向があり、この性質を利用して77Kでの窒素吸着測定より求められる比表面積を上記範囲内に設定することができる。
黒鉛質材料のかさ密度は0.3g/cm以上であることが好ましい。かさ密度が0.3g/cm未満であると負極を作製する際多くの有機系結着材が必要になり、その結果作製するリチウムイオン二次電池のエネルギー密度が小さくなる傾向にある。かさ密度の上限値に特に制限はないが、通常1.5g/cm以下とされる。
かさ密度は、容量150cmのメスシリンダーに試料粉末100cmをさじを用いて徐々に投入し、メスシリンダーに栓をした後、メスシリンダーを5cmの高さから30回落下させた後の試料粉末の質量及び容積から算出することができる30回タップ密度である。
本発明において、炭素粒子のかさ密度を上記範囲とするには、例えば、粉砕機や篩を用いて所望の大きさの粒子を得ればよい。
非晶質炭素材料としては、XRD測定より求められる炭素002面の面間隔d002が3.40Å以上であればよい。面間隔d002が3.4Å以上になると入出力特性に優れる傾向がある。なお、炭素002面の面間隔d002は、X線(CuKα線)を試料に照射し、回折線をゴニオメーターにより測定して得た回折プロファイルより回折角2θ=24〜26°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用いて算出することができる。
炭素002面の面間隔d002は、例えば、負極材への熱処理温度を調整することにより面間隔d002を上記範囲内に設定することができる。
また、非晶質炭素材料の平均粒子径は、5μm〜30μmであることが好ましい。平均粒子径が5μm以上の場合、比表面積を適正な範囲とすることができ、リチウムイオン二次電池の初回充放電効率が優れると共に、粒子同士の接触が良く入出力特性に優れる傾向がある。一方、平均粒子径が30μm以下の場合、電極面に凸凹が発生しにくく電池の短絡を抑制できると共に、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が比較的短くなるためリチウムイオン二次電池の入出力特性が向上する傾向がある。この観点から平均粒子径は、5μm〜15μmであることがより好ましい。なお、例えば、粒度分布は界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製SALD−3000J)で測定することができ、平均粒子径は50%Dとして算出される。
本発明において、非晶質粒子の平均粒径を上記範囲とするには、例えば、粉砕機や篩を用いて所望の大きさの粒子を得ればよい。
また、非晶質材料の77Kでの窒素吸着測定より求められる比表面積は、10m/g以下のものが好ましく、より好ましくは6m/g以下である。比表面積は、10m/gを超えると得られるリチウムイオン二次電池の第一サイクル目の不可逆容量が大きくなる傾向にあり、エネルギー密度が小さく、さらに負極を作製する際多くの有機系結着材が必要になる傾向にある。なお、窒素吸着での比表面積は、77Kでの窒素吸着測定より得られた吸着等温線により求めることができる。
77Kでの窒素吸着測定より求められる比表面積は、例えば、負極材の平均粒子径を大きくすること、負極材への熱処理温度を高くすること、負極材の表面を改質すること等で値が小さくなる傾向があり、この性質を利用して77Kでの窒素吸着測定より求められる比表面積を上記範囲内に設定することができる。
非晶質炭素材料のかさ密度は0.3g/cm以上であることが好ましい。かさ密度が0.3g/cm未満であると負極を作製する際多くの有機系結着材が必要になり、その結果作製するリチウムイオン二次電池のエネルギー密度が小さくなる傾向にある。かさ密度の上限値に特に制限はないが、通常1.5g/cm以下とされる。
かさ密度は、容量150cmのメスシリンダーに試料粉末100cmをさじを用いて徐々に投入し、メスシリンダーに栓をした後、メスシリンダーを5cmの高さから30回落下させた後の試料粉末の質量及び容積から算出することができる30回タップ密度である。
本発明において、炭素粒子のかさ密度を上記範囲とするには、例えば、粉砕機や篩を用いて所望の大きさの粒子を得ればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上記ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料を有機系結着剤及び溶剤又は水と混合し、集電体に塗布し溶剤又は水を乾燥し、加圧することにより負極層を成形しリチウムイオン二次電池用負極とすることができる。
有機系結着剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリアクリロニトリル等の高分子化合物等が用いられる。ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料と有機系結着剤の混合割合は、ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料100質量部に対し有機系結着剤1〜20質量部が好ましい。
ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料と有機系結着剤の混合に使用する溶剤としては特に制限が無く、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン等が用いられる。
集電体としては、例えばニッケル、銅等の箔やメッシュ等が使用できる。
本発明のリチウム二次電池用負極において、集電体上のホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料及び有機系結着剤を含有する混合物層(負極層)の密度が1.40〜1.90g/cmであることが好ましい。前記密度は、1.45〜1.80g/cmがより好ましく、1.50〜1.70g/cmがさらに好ましい。
本発明の負極における集電体上のホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料及び有機系結着剤を含有する負極層の密度を高くすることにより、この負極を用いて得られるリチウム二次電池の体積当りのエネルギー密度を大きくすることができる。前記ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料及び有機系結着剤を含有する負極層の密度が1.40g/cm未満では得られるリチウム二次電池の体積当りのエネルギー密度が小さくなる傾向がある。一方、前記ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料及び有機系結着剤を含有する負極層の密度が1.90g/cmを超えると、リチウムイオン二次電池を作製するときの電解液の注液性が悪くなる傾向があるばかりでなく、作製するリチウム二次電池の急速充放電特性及びサイクル特性が低下する傾向がある。
ここで、前記ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料及び有機系結着剤を含有する負極層の密度は、ホウ素単体又はホウ素化合物を添加した炭素質材料及び有機系結着剤を含有する負極層の質量及び体積の測定値から算出できる。
負極層の集電体への一体化後の炭素質材料及び有機系結着剤を含有する負極層の密度は、例えば、一体化成形するときの圧力やロールプレス等の装置のクリアランス等により適宜調整することができる。
得られた負極を用いて、本発明のリチウムイ二次電池とするために、例えばリチウム化合物を含む正極とセパレータを介して対向して配置し、電解液を注入する。リチウム化合物を含む正極としては、例えば、LiNiO、LiCoO、LiMn等を単独又は混合して使用することができる。正極は、負極と同様にして、集電体表面上に正極層を形成することで得ることができる。
また、電解液は、例えばLiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等のリチウム塩を、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートテトラヒドロフラン等に溶解したものが使用できる。また、電解液のかわりに固体又はゲル状のいわゆるポリマ電解質を用いることもできる。
セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等ポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルム又はそれらを組み合わせたものを用いることができる。なお、作製するリチウム二次電池の正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用しなくてもよい。
本発明のリチウム二次電池の構造は、特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレータとを、扁平状渦巻状に巻回して巻回式極板群とする、またはこれらを平板状として積層して積層式極板群とし、これら極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。
本発明のリチウム二次電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池等として使用される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることはない。
(実施例1)
炭素質材料として、下記(a)人造黒鉛粒子を作製した。
(a)人造黒鉛粒子
平均粒子径が5μmのコークス粉末100重量部、タールピッチ30重量部、平均粒子径が48μmの炭化珪素30重量部、及びコールタール20重量部を混合し、270℃で1時間混合した。得られた混合物を粉砕し、ペレット状に加圧成形、窒素中1000℃で予備焼成した後、アチソン炉を用いて3000℃で黒鉛化した。上記によって得られた黒鉛ブロックをハンマーミルもしくはジェットミルを用いて、得られる人造黒鉛の平均粒子径が所望の値となるように粉砕条件を適宜選択して粉砕を行った。次いで、粉砕した人造黒鉛を250mesh標準篩を通過させた。得られた人造黒鉛の走査型電子顕微鏡(SEM)写真によれば、この黒鉛質粒子は、複数の扁平状の粒子が配向面に非平行となるように集合又は結合した構造をしていた。表1にd(002)、平均粒径、比表面積、かさ密度を示す。
上記(a)人造黒鉛粒子に炭化ホウ素(BC)(ESK CERAMICS社製 品番Tetraborシリーズ F1200、粒径5μm)を炭素質材料に対して0.1wt%添加してリチウム二次電池用負極材を得た。
(評価セル作製方法)
上記で得たリチウム二次電池用負極材を用いてリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池を下記のように作製した。
(リチウム二次電池負極の作製)
上記リチウム二次電池用負極材98重量%、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(日本ゼオン株式会社製、商品名「BM−400B」)1重量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬株式会社製)1重量%を混合し、水に分散させて均一なスラリーとした。このスラリーを11μm厚の銅箔に塗布し、130℃及び105℃で乾燥させ、加圧成形し、さらにφ14mmの大きさに切り出してリチウム二次電池用負極を作製した。また、10mm×5mmの大きさに切り出して密着性試験用負極を作製した。
(リチウム二次電池の作製)
作用極として上記で作製した負極を用い、対極として厚さ1mmの金属リチウムを用い、これら両極をセパレーター(旭化成株式会社製、微細孔オレフィン膜)を介して対向させた。さらに1.0M LiPF/エチレンカーボネート及びメチルエチルカーボネートの混合溶液(3:7容量比)にビニレンカーボネートを0.5重量%添加した非水電解液を注入し、通常の方法によってリチウム二次電池を作製した。
(評価条件)
(放電負荷特性)
作製したリチウム二次電池(電極密度1750kg/m)を25℃の雰囲気下において、定電流定電圧方式で、定電流0.434mA、定電圧0V(Li/Li)、カット電流0.043mAの条件で充電し、次いで、定電流方式で、定電流0.434mA、カット電圧1.5V(Li/Li)になるまで放電するサイクルを2回繰り返した。3サイクル目においては同様の充電を行い、定電流方式で、定電流8.68mA、カット電圧1.0V(Li/Li)になるまで放電した。4サイクル目おいては同様の充電を行い、定電流方式で、定電流10.85mA、カット電圧1.0V(Li/Li)になるまで放電した。5サイクル目においては同様の充電を行い、定電流方式で、定電流13.021mA、カット電圧1.0V(Li/Li)になるまで放電した。
2サイクル目の放電容量(kg/Ah)(電流密度0.282mA/cm)、3サイクル目の放電容量(電流密度5.64mA/cm)、4サイクル目の放電容量(電流密度7.05mA/cm)、5サイクル目の放電容量(電流密度8.46mA/cm)を測定し、2サイクル目の放電容量を100とした場合の3サイクル、4サイクル、5サイクル目の放電容量維持率を表2に示す。
(密着特性)
作製したリチウム二次電池用負極(電極密度1750kg/m)をガラス板に負極塗布面を両面テープで固定し、垂直に折り曲げ、引っ張り試験の台座にガラス板を固定する。次いで、リチウム二次電池負極を引っ張り試験機の治具に固定し、引張り試験機(SHIMPO社製 FGC−0.2B)を用いて、引張り強度を測定した。リチウム二次電池負極の引っ張り強度を密着指数として表3に示す。
(実施例2)
炭素質材料として下記(b)天然黒鉛を使用した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
(b)天然黒鉛粒子
中国産の天然黒鉛を、ハンマーミルもしくはジェットミルを用いて、得られる天然黒鉛の平均粒子径が所望の値となるように粉砕条件を適宜選択して粉砕を行った。次いで、粉砕した天然黒鉛を250meshの標準篩を通過させた。表1にd(002)、平均粒径、比表面積、かさ密度を示す。
(実施例3)
添加するホウ素化合物を、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製 GPシリーズ、平均粒径8μm)に変えた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。得られた放電容量維持率の結果を表2、密着指数を表3に示す。
(比較例1)
炭化ホウ素を添加しない以外は、実施例1と同様にして評価を行った。得られた放電容量維持率の結果を表2、密着特性試験の結果を表3に示す。
(比較例2)
炭化ホウ素を添加しない以外は、実施例2と同様にして評価を行った。得られた放電容量維持率の結果を表2、密着特性試験の結果を表3に示す。
(比較例3)
(a)人造黒鉛粒子の作製において、炭化珪素を15重量部とし、さらに、ホウ酸を15重量部混合した以外は比較例1と同様にして評価を行った。得られた放電容量維持率の結果を表2、密着特性試験の結果を表3に示す。
Figure 2012028211
Figure 2012028211
Figure 2012028211

Claims (7)

  1. 炭素質材料及びホウ素単体又はホウ素化合物を含むリチウム二次電池用負極材。
  2. ホウ素化合物が炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のリチウム二次電池用負極材。
  3. ホウ素単体又はホウ素化合物の含有量が炭素質材料に対して0.01wt%以上10wt%以下である請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極材。
  4. ホウ素単体又はホウ素化合物の平均粒径が1μm以上50μm以下である請求項1〜3いずれかに記載のリチウム二次電池用負極材。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のリチウム二次電池負極材を用いてなるリチウム二次電池用負極。
  6. 請求項5に記載のリチウム二次電池負極を用いてなるリチウム二次電池。
  7. 炭素質材料、ホウ素単体又はホウ素化合物、結着剤及び増粘剤を混合しスラリーとし、前記スラリーを集電体に塗布することを特徴とするリチウム二次電池用負極の製造方法。
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