JP2012027407A - 帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置 - Google Patents

帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで、像担持体に対して安定した帯電を行う。
【解決手段】像担持体1を帯電させる、円筒状の帯電部材20を含む帯電装置2において、帯電部材の円周面のうち、像担持体を帯電させる帯電面に絶縁性のギャップ部材21が設けられており、ギャップ部材により、像担持体の表面と、帯電部材の円周面とが、所定間隔離れている帯電装置2、帯電装置を含むプロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを含む画像形成装置を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置に関する。
一般的に、電子写真方式を用いた画像形成装置では、帯電装置内の帯電部材が、像担持体を帯電させた後、もしくは、像担持体を帯電させると同時に、該像担持体にレーザ光を書込むことで露光し、画像のパターンに応じた潜像パターンを該像担持体に形成する。
帯電装置は、帯電部材を含む。そして、該帯電部材と像担持体との間の、微小領域における放電を利用して、像担持体を帯電させる。そして、像担持体と、帯電装置との間に振動電圧が印加され、両者の隙間を5um以上300um以下にすることが提案されている(特許文献1参照)。
また、導電性部材と像担持体との間に、電位調整部材を設け、電位調整部材と導電性部材は、近接配置させる。そして、電位調整部材と導電性部材の間で、放電を行い、像担持体を帯電させることが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、特許文献1記載の技術では、帯電部材の両端に間隙形成部材(像担持体と帯電装置との間に間隙を形成する部材)が設けられている。従って、帯電部材の歪みや撓みにより、像担持体と帯電部材との間の距離が一定にならない。よって、該距離が短い場合には、該距離の変動割合が大きくなり、像担持体上に大きな帯電電位のムラが生じる場合があるという問題がある。
また、特許文献2記載の技術では、電位調整部材など、精度の高い構成部品が数多く必要であり、帯電装置のコストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、上記のような問題を鑑みて、低コストで、像担持体に対して安定した帯電を行うことができる帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、像担持体を帯電させる、円筒状の帯電部材を含む帯電装置において、前記帯電部材の円周面のうち、前記像担持体を帯電させる帯電面に絶縁性のギャップ部材が設けられており、前記ギャップ部材により、前記像担持体の表面と、前記帯電部材の円周面とが、所定間隔離れている帯電装置を提供する。
本発明の帯電装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置によれば、低コストで、像担持体に対して安定した帯電を行うことができる。
画像形成装置の全体図を示した図。 像担持体の周辺を示した図。 帯電装置を示した図。 帯電部材を示した図。 帯電部材を横から見た図。 帯電部材と像担持体の拡大図。 ギャップ部材の固定手法を示した図。 ギャップ部材の別の固定手法を示した図。 ギャップ部材の別の実施形態を示した図。 ギャップ部材と巻き数の関係を示した図。 シミュレーション結果を示した図。
[用語の説明]
実施例の説明の前に、用語の説明を行う。
画像形成装置とは例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などである。
また、記録媒体は、例えば、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどの媒体である。以下では、記録媒体を用紙として説明する。
画像形成とは、文字や図形、パターンなどの画像を記録媒体に付与すること、着色または非着色の粉体(例えば、トナー)により静電潜像を可視像化し、これを記録媒体に転写して定着することを意味する。
また、着色または非着色の粉体とは、単一の樹脂粉末、複合粉末、単一または複数の色材、樹脂と色材の複合物やこれにワックス成分や無機材料を加えた粉末、これらを高次に形態制御した機能粉末を始めとするトナーなど、画像形成を行うことができる全ての粉体の総称として用い、例えば、光沢抑制粉体、光沢付与粉体、焼付け粉体、発泡性粉体なども含まれる。以下では、粉体をトナーとして説明する。
[全体の構成図]
図1に本実施例の画像形成装置100の構成例を示す。画像形成装置100の画像形成部10は、像担持体1Y、1M、1C、1Kを含む。該像担持体1Y、1M、1C、1Kは、中間転写ベルト50の搬送方向に沿って設けられている。像担持体とは、例えば、感光体ドラムである。以下では、像担持体1Y、1M、1C、1Kをまとめていう場合は、像担持体1という。像担持体1Y、1M、1C、1Kとは、各色のトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による画像を担持可能なものであり、有機光導電層を有する。該画像は、書き込み装置3により像担持体1に対して、書き込まれる。
中間転写ベルト50は、ローラ30、31、32で支持されている。中間転写ベルト50の内側には各像担持体1に対応して1次転写手段としての1次転写ローラ33Y、33M、33C、33Kが配置されている。また、ローラ32に対向する位置には、中間転写ベルト50上の重ね合わせ画像を記録媒体上に一括転写するための2次転写手段としての2次転写ローラ34が配置されている。
各色の像担持体1Y、1M、1C、1K上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ33Y、33M、33C、33Kにより中間転写ベルト50上に順次重ねて転写される。転写されたトナー像は、給紙装置200から給送された用紙上に2次転写ローラ34により一括転写される。
重ね合わせ画像を一括転写された用紙は、定着装置7に送られる。定着装置7は、熱と圧力により、用紙にのせられたトナー像を定着させる。該定着処理を終えた用紙は排紙トレイ8に排出・スタックされる。
図2に像担持体1などを示す。図2を用いて、像担持体1に担持された画像が、中間転写ベルト50に転写されるまでのプロセスを説明する。画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行なう。図2に示すように、像担持体1の周囲には、帯電装置2、現像装置4、及びクリーニング装置6などが配置されている。
像担持体1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電装置2で、均一に例えばマイナスに帯電される。帯電された像担持体1は、レーザー光学系等の書き込み装置3(図1参照)によって照射されるレーザー光で潜像形成が行なわれる。なお、露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる。レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴンミラー)等により像担持体1の表面を、像担持体1の回転方向に走査する。
現像装置4は、現像スリーブ4aと、現像ケーシング内の現像剤を攪拌・搬送して循環させる現像剤攪拌搬送部材4b、4cを含む。現像剤攪拌搬送部材4cの上部にはトナー補給部4dが設けられている。トナー補給部4dから、トナー粒子、又はトナー粒子及びキャリア粒子の混合物(以下、「トナー粒子など」という。)が、現像スリーブ4a上に供給される。そして、像担持体1上に形成された潜像が、トナー粒子などからなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。潜像の現像時には、電圧印加手段(後述する)現像スリーブ4aに、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
中間転写ベルト50への1次転写後、像担持体1上に残存するトナー粒子は、クリーニング装置6により除去・回収される。クリーニング装置6は、保護層形成部材61と、保護剤塗布ブラシ62と、像担持体用保護剤収容部64と、クリーニングローラ65と、ブレード66と、回収部材67等を含む。
保護層形成部材61は、像担持体1の表面に当接している。保護剤塗布ブラシ62は、保護層形成部材61の上流側に設けられ、像担持体1の表面に接触する。像担持体用保護剤収容部64は、保護剤塗布ブラシ62に像担持体用保護剤(以下、「単に、保護剤」という。)を供給する。保護層形成部材61と、保護剤塗布ブラシ62と、像担持体用保護剤収容部64については、後述する。
クリーニングローラ65は保護剤塗布ブラシ62の上流側に設けられる。図2では、クリーニングローラ65は、像担持体回転方向に対して、逆方向に摺擦するように当接している。そして、クリーニングローラ65は、像担持体1の表面の残留トナーや劣化した像担持体用保護剤が取り除く。ブレード66はクリーニングローラ65の表面に当接する。ブレード66は、クリーニングローラ65に付着したトナー像を取り除く。取り除かれたトナー像は、回収部材67により、除去されたトナーを回収・搬送する。
[帯電装置]
次に、本実施例の帯電装置について詳細に説明する。図3に、本実施形態1の帯電装置2の拡大図を示す。図3に示すように、帯電装置2は、帯電部材20を含むものである。帯電部材20は像担持体1の近傍に配置される。帯電部材20は、円筒状であり、帯電部材20の長手方向は、図3の紙面の奥行き方向となる。また、帯電部材20には、電圧印加手段25により電圧が印加される。
また、帯電部材20の中央には、長手方向に沿った回転軸121が貫通されている。回転軸121は、帯電部材20の両側面に取り付けるようにしても良い(図5参照)。帯電部材20は、回転軸121を中心に回転する。図3の例では、帯電部材20は、時計と反対方向に回転する。ギャップ部材21については、後述する。
図4に帯電部材20の拡大図を示す。帯電部材20は、基体20aと被覆層20bを含む。基体20aは円筒形状である。基体20aの円周面のうち、像担持体1を帯電させる面を帯電面という。基体20aの円周面の全てを帯電面としてもよいし、基体20aの円周面の一部を帯電面としてもよい。被覆層20bは、少なくとも、基体20aの帯電面を被覆するものである。被覆層20bは、帯電面だけではなく、円周面全てを被覆しても良い。被覆層20bを設けることにより、基体20aの表面の汚れや傷などをつきにくくする。以下の説明では、被覆層20bの表面を帯電部材20の円周面という。
図5に、帯電部材20を横から見た図を示す。図5に示すように、帯電部材20の帯電面に絶縁性のギャップ部材21が設けられている。図5の例では、帯電面は、帯電部材20の円周面20c全てであるものとするが、帯電面を円周面20cの一部である構成としてもよい。以下の説明では、帯電面の参照符号を20cとして説明する。
図5の例では、ギャップ部材21は、紐状である。そして、ギャップ部材21は、帯電部材20の帯電面20c上に、帯電部材20の長手方向に、らせん状に巻かれている。ギャップ部材21は、帯電部材20の両端20d、20eで固定されている。また、らせん状の巻き方は、時計回り、反時計回りのどちらでもよく、帯電部材20近辺の部材や条件などにより、適宜選択できる。
図6に、帯電部材20と、像担持体1の拡大図を示す。図6に示すように、ギャップ部材21を有することにより、常に、像担持体の表面1aと、帯電部材20の帯電面20cとが、所定間隔R、離れるようにすることができる。この所定間隔Rとは、図6に示すように、大略して、紐状のギャップ部材21の太さである。また、所定間隔Rとは、像担持体の表面1aと、帯電部材20の帯電面20cとの距離うち、最も近い距離をいう。
[ギャップ部材の固定手法]
次に、ギャップ部材を固定するために固定手法について説明する。図5に示すように、ギャップ部材21をらせん状に巻き、帯電部材20の両端20dと20eとを接着剤などの固定剤で固定するようにしてもよい。以下に、その他の固定手法を2つ説明する。
<第1の固定手法>
図7に第1固定手法について示す。図7に示すように、第1の固定手法では、回転軸121を断面略D字形状にする。つまり、円柱状の回転軸121を切り欠くことで、切り欠き部121aを形成する。また、ギャップ部材21が巻かれている、円筒状の取付部材22を用いる。取付部材22の中央には、長手方向に沿っており、かつ、回転軸断面略D字形状が係合される貫通孔22aを有する。つまり、取付部材22の内周には、平面部22bを有する。
そして、貫通孔22aに回転軸121を挿入しつつ、取付部材22を取り付け方向αに押し込む。取付部材22の一端22cが、帯電部材20の側面20fに当接するまで、貫通孔22aに回転軸121を貫通させる。その後、取付部材22に巻かれているギャップ部材21を帯電面20c上にらせん状に巻く。そして、帯電部材20の他端部20e(図5参照)では、ギャップ部材21は、接着剤などの固定剤で固定させる。取付部材22は、回転軸121に取り付けたまま、用いる。
このように、切り欠き部121aが設けられた回転軸121に、貫通孔22aを貫通させ、該切り欠き部121aと平面部22bとが当接されることで、帯電部材20の一端部20dでは、ギャップ部材21は固定される。ギャップ部材21が、らせん状に巻かれた後に、帯電部材20の他端部20eでは、ギャップ部材21の一端は、接着剤などで固定される。従って、帯電部材20が回転したとしても、ギャップ部材21は、ずれることはない。
<第2の固定手法>
次に、第2の固定手法について説明する。第2の固定手法を図8に示す。第2の固定手法では、回転軸121は円柱状であり、回転軸121の途中部分に、取付孔121bが設けられる。また、ギャップ部材21が巻かれている、円筒状の取付部材23を用いる。取付部材23の中央には、長手方向に沿っており、かつ、回転軸121が係合する貫通孔23aを有する。また、取付部材23の円周面には、取付孔121bと対応した、取付孔23bが設けられている。取付孔23bは、取付部材23の円周面を貫通して設けられている。
そして、取付部材23を取り付け方向αに押し込み、取付部材23の一端23cが、帯電部材20の側面20fに当接するまで、貫通孔22aに回転軸121を貫通させる。そうすると、取付孔23b、取付孔121bとが重畳されて、1つの取付孔が形成される。取付部材22に巻かれているギャップ部材21を帯電面20c上にらせん状に巻く。そして、取付ピン24を、取付孔23bおよび取付孔121bにより重畳されて形成された取付孔に取り付けることで、取付部材23を固定させる。ギャップ部材21が、帯電部材20にらせん状に巻かれた後、帯電部材20の他端部20e(図5参照)では、ギャップ部材21の一端を、接着剤などの固定剤で固定させる。従って、帯電部材20が回転したとしても、ギャップ部材21は、ずれることはない。なお、取付部材23は、回転軸121に取り付けたまま、用いる。
このように、帯電部材の円周面20c(帯電面20c)に、ギャップ部材21を設けることで、図6に示すように、像担持体1の表面1aと、帯電部材20の帯電面20cとを、常に所定間隔R離して、帯電部材20を設けることができる。従って、該所定間隔Rが短い場合であっても、該距離の変動割合を小さくすることができ、像担持体上に帯電電位のムラを生じさせることなく、像担持体に対して、安定した帯電を行うことができる。
また、電位調整部材などの精度の高い構成部品を用いる必要はなく、帯電装置の製造コストを低くすることができる。
また、図5などでは、1本のギャップ部材21を円周面20c上にらせん状に巻く例を説明した。その他のギャップ部材の例を図9に示す。図9(A)に示すように、ギャップ部材212をリング状の絶縁性の部材とする。図9(B)に示すように、ギャップ部材212と、該誘電部材20とが同軸となるように、誘電部材20にギャップ部材212を嵌合させる。また、隣接する各ギャップ部材212間は所定距離a、空ける。この場合には、ギャップ部材21の延伸方向Xが、帯電部材20の円周面の円周方向γ(図7参照)に対して、斜めであることが好ましい。もし、ギャップ部材21の延伸方向Xと、帯電部材20の円周面の円周方向γとが同じ向きである場合には、帯電部材20が、像担持体1を帯電する際に、像担持体1の表面1aのうち、ギャップ部材21と対向する箇所、もしくは、当接する箇所が、常に帯電され難くなり、帯電部材20に対して、安定した帯電を行うことができないからである。
つまり、ギャップ部材21が紐状である場合には、ギャップ部材21の延伸方向は、帯電部材220の円周面の円周方向に対して、斜めであることが好ましい。なお、図5に示すように、ギャップ部材21が、らせん状に設けられている場合には、ギャップ部材21の延伸方向は、帯電部材20の円周面の円周方向に対して、斜めに設けられている。
また、上記では、ギャップ部材21が紐状であるとして説明したが、像担持体1の表面1aと帯電部材20の帯電面20cとの間が、所定間隔R離れるようにすることができれば、ギャップ部材21は他の形状でもよい。
また、ギャップ部材21は帯電部材20から着脱可能にすることが好ましい。何故なら、長期間使用後に、ギャップ部材21の破損した場合でも、該ギャップ部材21のみを交換すればよいからである。従って、ギャップ部材21が破損した場合の修理コストを削減できる。
[ギャップ部材21の材質]
次に、ギャップ部材21の好ましい材質について説明する。ギャップ部材21に使用可能な材料としては、電気的に絶縁性で線材に加工できる材料であればよい。有機材料としては高密度のポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルエーテル、ポリフッ化ビニリデン等に代表されるフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等がある。無機材料としては強化ガラス繊維等があるが、これらに限定されるものではない。
特に、絶縁性の高さと環境安定性の面からフッ素樹脂が好ましく、中でも加工性に優れ引張強度が高いポリフッ化ビニリデンが好ましい。
[帯電部材20の材質]
次に、帯電部材20の材質について説明する。帯電部材20および回転軸121の材質としては、体積抵抗1.0×1010Ω・cm以下の導電性素材であればよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、円筒状のプラスチック、強化ガラス等に被覆したものを用いればよい。その他には、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、マグネシウム合金、チタニウム合金、ステンレスなどを、切削加工し円柱状にした物や、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、仕上げ、研摩などの表面処理をして円筒状にした物などを用いればよい。
中でも、軽量で、高い剛性を持ち、振動し難いマグネシウム合金を円筒状に加工したものが安定性の面で好ましい。
次に被覆層20bの材質について説明する。被覆層20bは、単層の被覆層であっても、複数の被覆層の積層であっても良い。複数の被覆層にする場合には、最表面被覆層(最も上に被覆されている層)の体積抵抗が他の被覆層と比較して高く構成されている事が好ましい。
被覆層20bに使用できる樹脂は、一般的に公知の材料から1種乃至2種以上を選択して使用することができる。具体的には、樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂又はその変性品;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);エポキシ樹脂などが挙げられる。また、硬質のゴム材料を使用することもできる。ゴム材料を使用する際には配合剤として一般に用いられている架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、補強剤、充填剤、粘着付与剤、分散剤、離型剤、増量剤等を添加することができる。
帯電部材の被覆層20bに使用できる電気伝導性物質としては、鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;酸化ビスマス、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化スズ等の酸化物;ヨウ化銀、βアルミナ等のイオン導電体、これらを粒子表面に被覆して導電化した粒子などの電気伝導性粒子や、LiClO4、LiBF4、KBF4、KSCN、NaSCN、LiCF3SO3等のイオン性電解質や、第四級アンモニウム塩に代表される導電性高分子等が挙げられる。
この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックやアセチレンブラックを用いると、少量の低抵抗微粉末の添加で効果的に電気伝導性の調整が可能である。
電気伝導性物質として、粒子を用いる場合には、抵抗のバラツキを抑制するために、粒子径を被覆層の厚みより十分小さくする必要があるが、およそ個数平均径で0.01〜1μm程度のものが好ましい。
これらの電気伝導性物質は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、強度の維持や製造し易さの観点から、その量を適宜調整することができるが、被覆層樹脂またはゴムの100重量部に対して2〜30重量部程度の量を添加することが好ましく用いられ、30重量部を越えるような場合には被覆層に亀裂や永久歪等を引き起こすことが有り、2重量%を下回る場合には十分な電気伝導性物質の選択によっては効果が発現しないことや、その発現にバラツキが生じることがある。
次に、帯電部材20の体積抵抗について説明する。被覆層20bを含む帯電部材20の体積抵抗は1×10Ω・cm乃至1×1012Ω・cmであることが好ましい。何故なら、帯電部材20に印加した印加電圧がロスなく被覆層20bの近傍まで伝えられる。また、像担持体1の表面1aにピンホールなどの欠陥が存在していた場合にも電荷のリークを抑制することができ、十分に低い電圧印加で、像担持体1の帯電を行うことができるため、帯電処理で電力を低減できる。
[接触する箇所の個数]
図6記載のように、ギャップ部材21が帯電部材20の円周面に設けられていることから、ギャップ部材21が、像担持体1の表面1aと接触する場合がある(またはギャップ部材21と像担持体1の表面1aとが常に接触する場合もある)。以下では、この接触する箇所の個数を接触個数Aという。
もし、接触個数Aが2点以下の場合には、帯電部材20の重心付近の接触点が支点として作用し、帯電部材20の重量バランスや、押圧力のバランスによっては、帯電部材20が像担持体1に対して傾く場合がある。この場合には、所定間隔Rが変動してしまい、帯電部材20は像担持体1に対して、安定した帯電を行うことができなくなる。
従って、接触個数Aは3点以上であることが好ましい。接触個数Aが3点以上である場合には、帯電部材20が傾く場合はなく、所定間隔Rが変動することはない。従って、接触個数Aは3点以上であることが好ましい。なお、ギャップ部材21が、帯電部材20にらせん状に巻かれている場合に、接触個数Aが3点以上であるということは、ギャップ部材21は、3回以上巻かれているということである。
[ギャップ部材の巻き数]
次に、ギャップ部材21が紐状であり、らせん状に巻く場合の好ましい巻き数について説明する。ギャップ部材21の主成分がナイロン系樹脂(ポリアミド)であり、帯電部材20の半径が略6mmであり、帯電部材20の長さ(長手方向の長さ)が略330mmであり、ギャップ部材21間が略同間隔である場合には、ギャップ素材21の巻き数は10周以下であることが好ましい。何故なら、この場合には、温度や湿度の変化によりギャップ部材21が大きく伸縮することが実験的に判明したからである。また、この場合の、紐状のギャップ部材の直径は、25um〜100umであるとした。ギャップ部材21が大きく伸縮すると、像担持体1や、帯電部材20にダメージを与える場合がある。ここで、機械的なダメージについて説明する。ギャップ部材21が伸びた場合には、ギャップ部材21の張力が弱くなり、帯電部材20の回転に伴い、ギャップ部材のズレが生じる。そうすると、ギャップ部材21や帯電部材20がダメージを受ける。また、ギャップ部材21が縮んだ場合には、ギャップ部材21の張力が強くなるので、ギャップ部材21や帯電部材20がダメージを受ける。
また、「ギャップ部材21間が略同間隔」とは、図5に示すように、帯電部材20の円周面20c上において、物理的に離れているギャップ部材のうち、隣接するギャップ部材間の距離pが全て略同一であるという意味である。図5のように、ギャップ部材21間が略同間隔になるように、ギャップ部材21をらせん状に巻くと、ギャップ部材21を最短の長さにすることができる。従って、ギャップ部材21の製造コストを削減でき、帯電処理中に、ギャップ部材21の緩みが生じないという効果を奏する。
図10に、ギャップ部材の長さと巻き数との関係を示す。図10に示すように、巻き数が10回の場合には、ギャップ部材の長さは、略501mmとなる。また、ギャップ部材の長さをL(mm)とし、帯電部材20の長手方向の長さをA(mm)とし、帯電部材20の直径D(mm)とし、巻き数をn(回)とすると、以下の式が成り立つ。
L={A+(n×π×D)1/2
[所定間隔Rについて]
次に、像担持体1の表面1aと、帯電装置20の帯電面20cとの所定間隔Rの好ましい例について説明する。該所定間隔Rは、短いことが好ましい。換言すると、紐状のギャップ部材21の太さは細いことが望ましい。何故なら、所定間隔Rが短い場合には、帯電部材20への印加電圧を小さくすることができ、電力コストを削減できるからである。しかし、所定間隔Rが、25um未満であり、ギャップ部材21の素材がナイロン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂の場合には、ギャップ部材21の太さが細くなることから、強度不足になり、破断する可能性があることが実験的に判明した。従って、ギャップ部材21の素材がナイロン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂の場合には、所定間隔R(つまり、ギャップ部材21の太さ)を25um以上にすることが好ましい。
また、所定間隔Rは、100um以下であることが好ましい。所定間隔Rが、100umを超える場合には、電圧印加手段25(図3参照)は多大な電圧を印加しなければならないため、電力コストが高くなるからである。また、所定間隔Rは、100um以下が好ましい場合の帯電部材20の材料について説明する。放電開始電圧を下げることができることから、表層の電気抵抗を下げることが好ましい。従って、帯電部材20の材料としては、粒子分散系であれば、カーボンなどの導電性微粒子を多く含有させることが好ましい。
[プロセスカートリッジ]
次に、プロセスカートリッジについて説明する。図2に示すように、プロセスカートリッジとは、帯電装置2、現像装置4又はクリーニング装置6と像担持体1などを一体的にカートリッジ化したものである。更に、プロセスカートリッジとは、画像形成装置100に対して、着脱可能にすることが好ましい。着脱可能にすることにより、プロセスカートリッジを構成するモジュールが破損した場合であっても、プロセスカートリッジを脱着して、プロセスカートリッジのみの修理、または交換を行うことができる。
[画像形成装置]
次に、プロセスカートリッジを装着させた画像形成装置100について説明する。画像形成装置100は、電圧印加手段25(図3参照)を有する。上述のように、電圧印加手段25は、印家電圧Vで、像担持体1を帯電する。この印加電圧Vを直流電圧にするか、または、直流電圧に交流電圧を重畳したものにすることが好ましい。何故なら、像担持体1の帯電電位を均等にすることができ、結果として、中間転写ベルト50に品質のよい画像を転写できるからである。
また、保護剤塗布手段を有することが好ましい。保護剤塗布手段などを、図2を用いて説明する。また、以下では、保護剤塗布手段を保護剤塗布ブラシ62(図2参照)であるとして説明するが、保護剤を像担持体1に塗布する手段であれば、他の手段を用いてもよい。
保護剤塗布ブラシ62は、像担持体1の表面1aに、該表面1aを保護するための保護剤を塗布する。そして、保護層形成部材61が、塗布された保護剤の厚さが均等になるように、保護剤を伸ばす。伸ばされた保護剤により形勢された層を保護層という。該保護層で被覆することで、帯電部材20の近接帯電による像担持体1への負荷は低減することができる。従って、像担持体1を長期間にわたり、安定して使用することができる。以下の説明では、保護剤により形勢された層を保護層という。
保護剤塗布手段(保護剤塗布ブラシ62)を有することによって、クリーニングによる像担持体1の表面1aのクリーニングを行うばかりでなく、帯電時の電気的ストレスによる像担持体1の表面1aの劣化を保護層により抑制することができる。
なお、保護剤による保護層は、像担持体1に被覆層20bが設けられる場合には、被覆層20b上に配される。また、像担持体用保護剤収容部64は、保護剤塗布ブラシ62と兼用して用いても良く、別途独立して保護剤塗布ブラシ62の直前に配設しても良い。
次に、保護剤の素材について説明する。保護剤は例えば、脂肪酸金属塩、飽和炭化水素ワックス等を用いればよい。
<脂肪酸金属塩>
脂肪酸金属塩の例としては、ラウリン酸塩、ミリスチン酸、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ベヘン酸塩、リグノセリン酸塩、セロチン酸塩、モンタン酸塩、メリシン酸塩等の長鎖アルキルカルボン酸塩等の、疎水性部位の末端に陰イオン(アニオン)を有し、これと、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、アルミニウム、亜鉛等の金属イオン等が結合した化合物がある。
具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウムなどがある。また、これらの脂肪酸金属塩は複数種類を併用してもよい。
<飽和炭化水素ワックス>
飽和炭化水素ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜130℃の範囲にシャープな融解熱のピークを持ち、融解後の融液粘度が低いものが好ましい。飽和炭化水素ワックスの例としては、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素、カルナウバロウ、米ぬかロウ、キャンデリラロウ等の植物性天然ワックス類、蜜ロウ、雪ロウ等の動物性天然ワックス類が例として挙げられる。
特に、分子内の結合が、反応性が低く安定した飽和結合のみからなる、脂肪族飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素が好ましい。中でもノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンといった炭化水素ワックスが、付加反応が生じ難く化学的に安定である。従って、実使用の大気中で酸化反応を生じにくいため、経時安定性の面で好ましい。
特に、比較的硬質な前記飽和炭化水素ワックスとして、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックスの少なくとも1種を含む炭化水素ワックスを用いることが好ましい。何故なら、保護層自体の耐久性を高めることができるからである。従って、像担持体1の表面1aに形成する保護層の厚みを過剰にすることなく、像担持体1の保護できる。
<その他の配合物>
この他に、保護剤と像担持体1の表面1aとの親和性を高め、保護層形成の補助をする配合物として、界面活性剤のような両親媒性の有機化合物を、添加物として併用してもよい。両親媒性の有機化合物は、主材料の持つ表面特性を大きく変化させることがあるため、その添加量としては、前記像担持体用保護剤の総質量に対して、0.01質量%〜3質量%程度であることが好ましく、0.05質量%〜2質量%程度であることがより好ましい。
[シミュレーション結果]
次に、シミュレーション結果について説明する。図11に、シミュレーション結果を示す。まず、図11の記載について説明する。巻き付け回数は、ギャップ部材21を帯電部材20にらせん状に巻いた場合の、巻きつけ回数をいう(図5参照)。所定間隔Rは図6で説明したとおりである。ギャップ部材材料は、ギャップ部材21の材料をいう。帯電部材抵抗は、帯電部材20の体積抵抗をいう。印加電圧は、電圧印加手段25により印加された、重畳された直流電圧および交流電圧の値をいう。帯電電位は、未露光部分の像担持体1の帯電電位をいう。
初期画像品質とは、大略、1〜4枚目の用紙に形成された画像の品質をいう。10000枚後画像品質は、10000枚目の用紙に形成された画像の品質をいう。また、画像の品質については、ドットの均一性を、目視または25倍のルーペで観察して、評価したものである。また、A4版テキストチャートを用紙に形成された初期画像の品質をいう。また、10000枚後画像品質は、画素密度5%のA4版テキストチャートを10000枚通紙後に、再度行い、安定性を確認した画像の品質である。
目視2by2とは、600dpi、画素密度25%の、2by2全面トーンのA4版の用紙に、形成された画像を目視したものである。ここで、画素密度25%の、2by2全面トーンとは、4×4画素で形成される方形領域において、2×2画素分の方形の画像領域、該方形の画像領域以外を非画像領域として、これを全面に亘り画像形成することで、4/16=25%の画素密度の画像を形成することである。
目視ベタとは、画素密度100%の、全面ベタに形成された画像を目視したものである。全面ベタ画像とは、画素密度100%で、全面に形成された画像をいう。
目視白紙とは、画素密度0%の、画像が形成されていない白紙を目視したものである。
拡大2by2とは、画素密度25%の、2by2全面トーンのA4版の用紙に、形成された画像を25倍のルーペで拡大して目視したものである。
また、表9中の◎等について説明する。
≪目視2by2画像≫
◎:極めて優れている(全面にわたってムラが感知できないレベル)
○:実用上問題ないレベル(◎と並べて見るとわずかに周期ムラが感知できるレベル)
△:実用上許容できるレベル(◎と並べて見ると周期ムラが感知できるレベル)
×:使用不可(単独で明らかに周期ムラが感知できる)
≪目視ベタ≫
◎:極めて優れている(全面にわたってムラが感知できないレベル)
○:実用上問題ないレベル(◎と並べて見るとわずかにムラが感知できるレベル)
△:実用上許容できるレベル(◎と並べて見るとムラが感知できるレベル)
×:使用不可(単独で明らかにムラが感知できる)
≪目視白紙≫
◎:極めて優れている(全面にわたって異常な細線が感知できないレベル)
○:実用上問題ないレベル(◎と並べるとわずかに斜め線汚れが感知できるレベル)
△:実用上許容できるレベル(◎と並べて見ると斜め線汚れが感知できるレベル)
×:使用不可(単独で明らかに斜め線汚れが感知できる)
≪拡大2by2≫
◎:極めて優れている(ドットが非常にそろっている;Rrが0.9以上)
○:実用上問題ないレベル(視野毎のドットの大きさに差異がある場所が少数ある;Rrが0.8以上0.9未満)
△:実用上許容できるレベル(視野毎のドットの大きさに差異がある場所がある;Rrが0.6以上0.8未満)
×:使用不可(複数領域のドットの大きさが明らかに異なる;Rrが0.6未満)
次に、実験例1〜実験例23の前提条件について説明する。なお、以下の説明中の「部」は、質量部を表わす。
<像担持体1の作成>
導電性円筒状支持体として、外径40mm、肉厚0.8mmのアルミニウムシリンダーを用いた。このアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、浸漬塗布、乾燥を繰り返すことにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、約30μmの電荷輸送層を形成して、感光層を有する像担持体1を作成した。
〔下引き層用塗工液〕
下記組成の下引き層用塗工液を前記アルミニウムシリンダー上に浸漬塗布した後、120℃で25分間加熱乾燥して、3.5μmの下引き層を形成した。
〔下引き層用塗工液組成〕
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業社製)
酸化チタン(CR−EL、石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
下記組成の電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に浸漬塗布した後、120℃で20分間加熱乾燥して、0.2μmの電荷発生層を形成した。
〔電荷発生層用塗工液組成〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール 0.2部
(エスレックBM−S、積水化学工業(株)製)
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
下記組成の電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に浸漬塗布した後、135℃で20分間加熱乾燥して、電荷輸送層を形成した。浸漬塗布工程では、引き上げ速度及び周辺雰囲気調整し、塗工液の付着量が均等になるようにした。
〔電荷輸送層用塗工液組成〕
下記構造式で表される電荷輸送物質(D−1) 10部
Figure 2012027407
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050:帝人化成社製)
シリコーンオイル 0.002部
(KF−50、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン 100部
得られた像担持体1の感光層の厚み(下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層の合計)を、渦電流式の膜厚測定器(万能型膜厚計 LZ−200 (株)ケット科学研究所製、LHP−20(NFe)型プローブ)を用いて、像担持体回転軸方向に沿って10箇所測定して平均したところ、感光層の厚みは全域で30.0±0.2μmの範囲であった。この像担持体1の両端にフランジを設けた。
<帯電部材の作成>
導電性円筒状支持体として、外径12mm、肉厚1mmのマグネシウム合金シリンダーを用いた。このマグネシウム合金シリンダー上に、下記組成の表面層をスプレー塗布し乾燥することにより、100μmの表面層を形成して、帯電部材を得た。
〔表面層用塗工液〕
下記組成の表面層用塗工液を前記マグネシウム合金シリンダー上にスプレー塗布した後、120℃で25分間加熱乾燥して、100μmの表面層を形成した。
〔表面層用塗工液組成〕
パーフルオロアルキルアクリレート 95部
ケッチェンブラック 5部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 900部
得られた帯電部材の電気抵抗の測定はローラー状帯電部材を円柱状のアルミニウム製ドラムに押圧して接触させ、帯電部材およびアルミニウム製ドラムを等速で回転させながら、ローラー基材とアルミニウム製ドラムの間に直流10Vの電圧を印加し、アルミニウム製ドラムと直列に接続した抵抗体にかかる電圧を測定することによって求めた。更に、帯電部材とアルミニウム製ドラムの接触部分の、ニップ幅および長さより求めた接触面積並びに、被覆層の肉厚より、作製した帯電部材の体積抵抗率を算出した。
帯電部材(R1)の体積抵抗率は1.5×1010Ω・cmであった。
なお、各抵抗測定は、常温常湿の環境下(23℃/50%RH)で行なった。
<ギャップ形成部材の取り付け>
帯電部材20の両端に回転軸121(図5参照)を取り付ける。そして、ギャップ素材21は、紐状の直径50μmのポリフッ化ビニリデン性の線材を用いた。該ギャップ部材21を帯電部材20の表面に緩みなく5周巻き付け、ギャップ部材21の両端を回転軸121に固定した。
そして、リコー製、imagio MP C4500用作像ユニットに像担持体1及びギャップ部材21を取り付けた帯電部材20を組み込んで、作像ユニットを作成した。なお、作像ユニットは、Cyanユニットを用いた。
次に、図11のシミュレーション結果の各実験例について説明する。
(実験例2〜6)
実験例2〜6では、ギャップ部材21の太さをそれぞれ、10、20、25、100、150μmとした。また、実験例2〜6では、実験例1の像担持体1の未露光部表面電位と同レベルとなるように、直流電圧、交流電圧を調整した。それ以外の条件は実験例1と同様である。
(実験例7〜11)
実験例7〜11では、ギャップ部材21の巻き付け回数を、2、3、8、10、20回とした。それ以外の条件は、実験例1の条件と同様である。
(実験例12)
実験例12では、ギャップ部材21の材質をナイロン製の線材とした。それ以外の条件は、実験例1の条件と同様である。
(実験例13〜17)
実験例13〜17では、帯電部材20の体積抵抗を、5.0×10、1.0×103、1.0×107、1.0×1012、5.0×1012Ω・cmとした。また、実験例13〜17では、実験例1の像担持体1の未露光部表面電位と同レベルとなるように、直流電圧、交流電圧を調整した。それ以外の条件は、実験例1の条件と同様である。
(実験例18〜20)
実験例18〜20では、それぞれ所定間隔Rを、50μm(実験例1と同様)、25μm(実験例4と同様)、100μm(実験例5と同様)とした。また、実験例18〜20では、帯電部材20へ印加させる電圧を直流電圧のみとした(つまり、交流電圧=0とし)。そして、実験例1の像担持体1の未露光部表面電位と同レベルとなるように、直流電圧を調整した。それ以外の条件は、実験例1の条件と同様である。
(実験例21〜23)
実験例21〜23では、像担持体の非画像領域に接するように、帯電部材20両端にギャップテープを1周分巻いた。ギャップテープは、ポリエチレンテレフタレート製であり、ギャップテープの厚さは、実験例21では厚さ25umとし、実験例22では厚さ50umとし、実験例21では厚さ100umとした。また、帯電部材20への印加電圧は、像担持体の未露光部表面電位が実施例1と同レベルとなるように、直流電圧、交流電圧を調整した。それ以外の条件は実験例1と同様である。
実験例21では、実験中に、像担持体1が放電破壊したので、「−」で示したように評価を中止した。
次に、実験結果1と、実験結果2〜20の比較結果について示す。
<実験例1、4、5と実験例2、3、6の比較>
所定間隔Rが良好な範囲(25um〜100um)である実験例1、4、5と、所定間隔Rがこの範囲外となる実験例2、3、6との比較結果について説明する。図11では、所定間隔Rが該良好な範囲の場合、画像品質の評価が良くなることが示されている。特に、所定間隔Rが大きくなると、一定の帯電電位を得るために必要な印加電圧が大きくなりがちであり、僅かに画像欠陥の痕跡が現れる場合があった。
従って、所定間隔Rが25um〜100umであることが好ましいことが証明された。
<実験例1、8、9、10と実験例7、11の比較>
帯電部材20へのギャップ部材21の巻き付け回数が良好な範囲(3回〜10回)である実験例1、8、9、10と、この範囲外である実験例7、11との比較結果について説明する。なお、この実験では、ギャップ部材21を10回、らせん巻きすることと、ギャップ部材21の長さが330mmであることは同義である。図11では、巻き付け回数が良好な範囲の場合、画像品質の評価が良くなることが示されている。特に、巻き付け回数が3回を下回ると、所定間隔Rの変動により、画像濃度の左右差が僅かに発生する傾向が認められた。
従って、当接箇所Aは3箇所であること(ギャップ部材21を3回、らせん巻きすること)が好ましいことが証明された。また、ギャップ部材21の長さを330mmにすることが好ましいことが証明された。
<実験例1と実験例12の比較>
実験例1と実験例12との比較結果について説明する。実験例12では、ギャップ部材21としてフッ素樹脂を用いていないことから、ギャップ部材の変質・劣化に伴うと考えられる画像欠陥の痕跡が、経時的に現れる場合があった。従って、ギャップ部材21の主成分として、フッ素樹脂とすることが好ましい。
<実験例1、14〜16と実験例13、17の比較>
帯電部材20の体積抵抗が良好な範囲内(1×10Ω・cm乃至1×1012Ω・cm)である実験例1、14〜16と、帯電部材20の体積抵抗がこの範囲外である実験例13、17との比較結果について説明する。図11では、帯電部材20の体積抵抗が良好な範囲の場合、画像品質の評価が良くなることが示されている。特に、帯電部材20の体積抵抗が小さくなるとギャップ部材21近傍で過帯電が発生し、極僅かに、黒ベタ画像やハーフトーン画像に白スジ状画像欠陥の痕跡が現れる場合があった。一方、帯電部材20の体積抵抗が大きくなると一定の帯電電位を得るために必要な印加電圧が大きくなりがちであり、極僅かに、白紙画像上に黒スジ上の画像欠陥の痕跡が現れる場合があった。
従って、帯電部材20の体積抵抗は、1×10Ω・cm乃至1×1012Ω・cmであることが好ましいことが証明された。
<実験例1、4、5と実験例18〜20の比較>
直流電圧に交流電圧を重畳して印加した実験例1、4、5と、直流電圧のみを印加した実験例18〜20との比較結果について説明する。図11では、像担持体1に対して直流電圧に交流電圧を重畳して印加することにより、像担持体1の帯電電位の調整が容易であり、より均一な帯電を得ることができるため、より高品質の画像を得ることができることが示されている。従って、帯電装置2が印加する印加電圧を直流電圧と交流電圧とを重畳したものとすることが好ましい。
また、実験例1の画像形成装置を、A4版5%チャート10,000枚通紙試験を行った後、同様のトーン画像を出力して、同じ評価を行ったところ、初期同様の、極めて均一性に優れたトーン画像を形成できることが確認された。
<実験例1と実験例21〜23の比較>
実験例1と実験例21〜23と比較結果について説明する。実験例21〜23のように、帯電部材20の両端にギャップテープを設けることで、帯電部材20と像担持体1の所定間隔Rを形成した場合には、帯電部材20のたわみや像担持体1の振れにより発生する、帯電電位のムラに起因する画像のムラ、欠陥が発生し、十分な画像品質を得ることは困難であることが確認された。
これらの結果より、ギャップ部材21を有する画像形成装置の画像品質の優位性が示された。
1 像担持体
2 帯電装置
4 現像装置
4a 現像スリーブ
4b 現像剤攪拌搬送部材
4c 現像剤攪拌搬送部材
6 クリーニング装置
20 帯電部材
20a 基体
20b 被覆層
21 ギャップ部材
22 取付部材
23 取付部材
特開平3−240076号公報 特開2003−233240号公報

Claims (15)

  1. 像担持体を帯電させる、円筒状の帯電部材を含む帯電装置において、
    前記帯電部材の円周面のうち前記像担持体を帯電させる帯電面に、絶縁性のギャップ部材が設けられており、
    前記ギャップ部材により、前記像担持体の表面と前記帯電部材の前記帯電面とが、所定間隔離れている帯電装置。
  2. 前記ギャップ部材は紐状であり、該ギャップ部材の延伸方向が前記帯電部材の円周面の円周方向に対して斜めに巻かれていることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
  3. 前記ギャップ部材は、前記帯電部材の長手方向にらせん状に巻かれていることを特徴とする請求項2記載の帯電装置。
  4. 前記帯電面に被覆層が設けられ、該被覆層は電気伝導性物質を含有し、前記帯電部材の体積抵抗は、1×10Ω・cm乃至1×1012Ω・cmであることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の帯電装置。
  5. 前記ギャップ部材と前記像担持体の表面と接触する箇所の数は、3点以上であることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の帯電装置。
  6. 前記ギャップ部材の主成分がナイロン系樹脂であり、前記帯電部材の半径が略6mmであり、前記帯電部材の長さが略330mmであり、前記ギャップ部材間は略等間隔である場合には、前記ギャップ部材の巻き数は10周以下であることを特徴とする請求項3〜5何れか1項に記載の帯電装置。
  7. 前記ギャップ部材の主成分がナイロン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂の場合には、前記所定間隔は、25um以上であることを特徴とする請求項1〜6何れか1項に記載の帯電装置。
  8. 前記所定間隔は、100um以下であることを特徴とする請求項1〜7何れか1項に記載の帯電装置。
  9. 前記ギャップ部材は、フッ素樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の帯電装置。
  10. 前記ギャップ部材は、前記帯電部材から着脱可能であることを特徴とする請求項1〜9何れか1項に記載の帯電装置。
  11. 前記像担持体と、請求項1〜10何れか1項に記載の帯電装置を含むプロセスカートリッジ。
  12. 請求項11記載のプロセスカートリッジを含む画像形成装置。
  13. 前記帯電装置に対して、直流電圧、または、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する電圧印加手段を有する請求項12記載の画像形成装置。
  14. 前記像担持体の表面に、該表面を保護するための保護剤を塗布する保護剤塗布手段を有することを特徴とする請求項12または13記載の画像形成装置。
  15. 前記プロセスカートリッジは、着脱可能であることを特徴とする請求項12〜14何れか1項に記載の画像形成装置。
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