以下、本発明の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.現像装置
1−1.全体構成
1−2.帯電ローラの構成
1−3.帯電ローラの物性
1−4.動作
1−5.作用および効果
2.画像形成装置(第1実施形態)
2−1.全体構成
2−2.ブロック構成
2−3.トナーの構成
2−4.動作
2−5.作用および効果
3.画像形成装置(第2実施形態)
3−1.構成
3−2.動作
3−3.作用および効果
4.変形例
<1.現像装置>
本発明の一実施形態の現像装置に関して説明する。
<1−1.全体構成>
まず、本発明の一実施形態の現像装置の構成に関して説明する。
ここで説明する現像装置は、例えば、電子写真方式の画像形成装置などに用いられる。この現像装置は、主に、潜像(静電潜像)にトナーを付着させる現像処理を行う。
図1は、本発明の一実施形態の現像装置である現像装置100の平面構成を表している。ただし、図1では、例えば、現像装置100にトナーカートリッジ200および光源300が装着された状態を示している。
現像装置100は、例えば、図1に示したように、筐体101の内部に、感光体ドラム102と、帯電ローラ103と、クリーニングローラ104と、現像ローラ105と、供給ローラ106と、現像ブレード107と、クリーニングブレード108と、除電光基板109とを備えている。
(筐体)
筐体101は、主に、感光体ドラム102および帯電ローラ103などを収納する器である。この筐体101は、例えば、金属材料および高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
(感光体ドラム)
感光体ドラム102は、本発明の一実施形態の「潜像担持部材」である。感光体ドラムの表面は帯電されると共に、その感光体ドラム102の表面に静電潜像が形成される。この感光体ドラム102は、例えば、Y軸方向に延在しており、そのY軸を中心として回転可能である。感光体ドラム102の一部は、筐体101に設けられた開口部110から露出している。
また、感光体ドラム102は、例えば、円筒状の導電性支持体と、その導電性支持体の外周面を被覆する光導電層とを含んでいる。導電性支持体は、例えば、アルミニウムなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。光導電層は、例えば、電荷発生層および電荷輸送層などを含む積層体である。
(帯電ローラ)
帯電ローラ103は、本発明の一実施形態の「帯電部材」であり、主に、感光体ドラム102の表面を帯電させる。この帯電ローラ103は、所定の方向(Y軸方向)に延在しており、そのY軸を中心として回転可能である。なお、帯電ローラ103は、感光体ドラム102の表面を帯電させるために、その感光体ドラム102に圧接されている。
以降において登場する一連の構成要素のうち、「ローラ」という文言を名称中に含む構成要素は、帯電ローラ103と同様に、Y軸方向に延在していると共に、そのY軸を中心として回転可能である。
帯電ローラ103の詳細な構成に関しては、後述する(図2参照)。
(クリーニングローラ)
クリーニングローラ104は、主に、帯電ローラ103の表面に付着された異物を除去する。この異物は、例えば、転写不良などに起因して、画像形成に用いられずに感光体ドラム102の表面に残留したトナーなどである。また、異物は、例えば、トナーに含まれている微粒子であり、より具体的には、後述する外添剤などである。ここで説明した異物の定義は、以降においても同様である。
このクリーニングローラ104は、例えば、円筒状の芯金と、その芯金の外周面を被覆する発泡弾性層とを含んでいる。芯金は、例えば、アルミニウムなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。発泡弾性層は、例えば、ウレタンなどの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、クリーニングローラ104は、帯電ローラ103の表面に付着された異物を除去するために、その帯電ローラ103に圧接されている。
(現像ローラ)
現像ローラ105は、本発明の一実施形態の「現像部材」であり、主に、供給ローラ106から供給されるトナーを保持すると共に、感光体ドラム102の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。
この現像ローラ105は、例えば、円筒状の芯金と、その芯金の外周面を被覆する半導電性層とを含んでいる。芯金は、例えば、アルミニウムなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。半導電性層は、例えば、ウレタンゴムなどの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
(供給ローラ)
供給ローラ106は、主に、トナーカートリッジ200から供給されるトナーを保持すると共に、現像ローラ105の表面にトナーを供給する。この供給ローラ106は、例えば、円筒状の芯金と、その芯金の外周面を被覆する半導電性発泡シリコンスポンジ層とを含んでおり、いわゆるスポンジローラである。なお、供給ローラ106は、現像ローラ105の表面にトナーを供給するために、その現像ローラ105に摺接されている。
(現像ブレード)
現像ブレード107は、主に、現像ローラ105の表面に供給されたトナーの厚さを規制する。この現像ブレード107は、例えば、現像ローラ105から所定の距離を隔てた位置に配置されており、その現像ローラ105と現像ブレード107との間の距離(間隔)に基づいてトナーの厚さが制御される。また、現像ブレード107は、例えば、ステンレスなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、現像ブレード107は、現像ローラ105の表面に供給されたトナーの厚さを規制するために、その現像ローラ105に圧接されている。
(クリーニングブレード)
クリーニングブレード108は、主に、感光体ドラム102の表面に付着された異物を掻き取る板状の弾性部材である。このクリーニングブレード108は、例えば、感光体ドラム102の延在方向と略平行な方向に延在しており、その感光体ドラム102に圧接されている。
また、クリーニングブレード108は、例えば、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂およびフッ素ゴムなどの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。中でも、ポリウレタンが好ましい。優れた機械的強度および弾性圧接性などが得られるからである。
なお、クリーニングブレード108は、例えば、上記した高分子材料と共に、導電剤などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。導電剤の種類は、特に限定されないが、例えば、電子導電剤およびイオン導電剤などであり、その電子導電剤は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、金属酸化物および金属材料などである。カーボンブラックは、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックおよびファーネスブラックなどである。金属酸化物は、例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズおよびチタン酸カルシウムなどである。金属材料は、例えば、ニッケルおよび銅などの粉末である。イオン導電剤の種類は、特に限定されないが、例えば、構造電荷特異性陰イオンおよび界面活性剤などであり、その構造電荷特異性陰イオンは、例えば、四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸リチウムおよび過塩素酸カリウムなどである。
クリーニングブレード108には、例えば、現像処理時において、電圧が印加されてもよいし、電圧が印加されなくてもよい。これに伴い、クリーニングブレード108は、例えば、導電性を有していてもよいし、導電性を有していなくもよい。導電性を有しているクリーニングブレード108は、例えば、上記した高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上と共に、上記した導電剤のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。導電性を有していないクリーニングブレード108は、例えば、上記した高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
中でも、クリーニングブレード108が導電性を有していると共に、現像処理時においてクリーニングブレード108に電圧が印加されることが好ましい。具体的には、例えば、トナーが所定の帯電極性を有している場合において、そのトナーの帯電極性と同極性の電圧(直流電圧)がクリーニングブレード108に印加されることが好ましい。感光体ドラム102の表面に付着された異物がクリーニングブレード108の表面に静電的に吸着するため、その異物がクリーニングブレード108により掻き取られやすくなるからである。トナーの帯電極性と同極性の電圧が印加される導電性のクリーニングブレード108は、本発明の一実施形態の「掻取部材」である。
詳細には、例えば、後述するように、トナーが負帯電のトナーであるため、そのトナーが負の帯電極性を有している場合には、そのクリーニングブレード108に負の直流電圧が印加されることが好ましい。トナーから外添剤などの微粒子が脱落しても、その微粒子が正の帯電極性を有していれば、その微粒子がクリーニングブレード108の表面に静電的に吸着しやすくなるため、そのクリーニングブレード108が微粒子を実質的に掻き取りやすくなるからである。すなわち、感光体ドラム102とクリーニングブレード108との間の隙間を微粒子が通り抜けようとしても、静電力を利用して微粒子がクリーニングブレード108により捕獲されやすくなる。これにより、感光体ドラム102の表面に付着されている異物が微小な粒径を有していても、その異物がクリーニングブレード108により十分に掻き取られる。
クリーニングブレード108に負の直流電圧が印加される場合には、その負の直流電圧の値は、特に限定されないが、できるだけ大きいことが好ましい。クリーニングブレード108の表面に異物がより吸着されやすくなるため、そのクリーニングブレード108が異物をより掻き取りやすくなるからである。ただし、ここで説明する「負の直流電圧の値が大きい」とは、負の値が大きいことを表している。すなわち、一例を挙げると、−100Vよりも−200Vが好ましいと共に、−200Vよりも−300Vが好ましいことを意味している。
なお、トナーから微粒子(外添剤)が脱落する傾向は、例えば、そのトナーの流動性などを向上させるために外添剤の含有量を大きくするほど顕著になる。また、クリーニングブレード108が外添剤を掻き取りにくくなる傾向は、その外添剤の粒径が小さくなるほど顕著になる。
ここで、クリーニングブレード108が外添剤などの異物を掻き取りにくくなると、その異物が意図せずに感光体ドラム102の表面に滞留するだけでなく、その異物が意図せずに帯電ローラ103の表面および現像ローラ105の表面に付着する可能性がある。帯電ローラ103の表面および現像ローラ105の表面に異物が付着すると、静電潜像の形成不良、感光体ドラム102の表面の帯電不良および静電潜像に対するトナーの付着不良などが発生しやすくなる。よって、現像装置100が搭載された画像形成装置を用いて媒体の表面に画像を形成すると、その画像の形成領域以外の領域に意図せずに残像が発生しやすくなる。この「残像」とは、本来の画像の形成領域以外の領域に形成される不要な画像であり、その本来の画像に類似する画像である。
これに対して、上記したように、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧がクリーニングブレード108に印加されていると、そのクリーニングブレード108が異物を物理的に掻き取るだけでなく、そのクリーニングブレード108が異物を静電的に掻き取る。これにより、トナーの帯電極性と異なる極性を有する異物は、静電気力を利用してクリーニングブレード108により十分に掻き取られやすくなる。すなわち、トナーが負の帯電極性を有している場合には、正の帯電極性を有する外添剤などがクリーニングブレード108により回収されやすくなる。よって、帯電ローラ103の表面および現像ローラ105の表面に異物が付着しにくくなるため、現像装置100が搭載された画像形成装置を用いて媒体の表面に画像を形成しても残像が発生しにくくなる。
なお、クリーニングブレード108は、例えば、板状の弾性部材であるブレード部と、ブレード部を保持する保持部とを含んでいてもよい。このブレード部の材質は、例えば、上記したクリーニングブレード108の材質と同様である。すなわち、導電性を有しているブレード部は、例えば、高分子材料と共に導電剤を含んでいる。導電性を有していないブレード部は、例えば、高分子材料を含んでいる。保持部は、例えば、剛性を有する鋼板などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
(除電光基板)
除電光基板109は、主に、感光体ドラム102の表面に形成された静電潜像を消去する。この除電光基板109は、例えば、消去用の光を発生させる発光ダイオード(LED)チップなどを含んでいる。
(トナーカートリッジ)
なお、トナーカートリッジ200は、主に、トナーを収納している。このトナーカートリッジ200は、現像装置100に対して着脱可能であり、必要に応じて現像装置100(供給ローラ106)に向けてトナーを供給可能である。なお、トナーの種類(色)および構成などに関しては、後述する。
(光源)
光源300は、主に、筐体101に設けられた開口部111を通じて感光体ドラム102の表面を露光することにより、その感光体ドラム102の表面に静電潜像を形成する露光装置である。この光源300は、例えば、LEDヘッドなどである。LEDヘッドは、例えば、LED素子およびレンズアレイなどを含んでいると共に、LED素子およびレンズアレイなどは、そのLED素子から出力された光(照射光)が感光体ドラム102の表面において結像されるように配置されている。
ここでは、例えば、トナーカートリッジ200および光源300のそれぞれが現像装置100の構成要素でないため、トナーカートリッジ200および光源300のそれぞれが現像装置100に外付けされている。しかしながら、現像装置100は、トナーカートリッジ200を構成要素として備えていてもよいし、光源300を構成要素として備えていてもよい。
<1−2.帯電ローラの構成>
次に、帯電ローラ103の構成に関して説明する。
図2は、図1に示した帯電ローラ103の断面構成を表している。ただし、図2では、XZ面に沿った帯電ローラ103の断面を示している。
帯電ローラ103は、例えば、図2に示したように、導電性の芯金103Aと、その芯金103Aの外周面を被覆する弾性層103Bと、その弾性層103Bの外周面を被覆する表面層103Cとを含んでいる。
芯金103Aは、例えば、円筒状の金属シャフトであり、アルミニウムなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
弾性層130Bは、例えば、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴムおよびシリコーンゴムなどの高分子材料(ゴム)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。中でも、半導電性を有するエピクロロヒドリンゴムなどが好ましい。
エピクロロヒドリンゴムの種類は、特に限定されないが、例えば、エピクロロヒドリン単独重合体(CO)、エピクロロヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合体(ECO)、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルとの共重合体(GCO)、エピクロロヒドリンとプロピレンオキサイドとの共重合体、エピクロロヒドリンと液連オキサイドとアリルグリシジルエーテルとの共重合体(GECO)およびエピクロロヒドリンとプロピレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルとの共重合体などである。中でも、エチレンオキサイドを重合成分として含むエピクロロヒドリンゴムが好ましく、より具体的には、ECOおよびGECOなどが好ましい。
なお、弾性層103Bは、例えば、上記した高分子材料と共に、導電剤などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。導電剤の種類は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックなどである。このカーボンブラックは、例えば、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。
弾性層103Bのゴム硬度は、特に限定されない。具体的には、弾性層103BのアスカーC硬度は、例えば、60度〜80度である。
表面層103Cは、例えば、高分子材料と共に、その高分子材料中に分散された複数の粒子を含んでいる。凹凸を有するように帯電ローラ103(表面層103C)の表面が粗面化されるため、後述するように、その帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)が適正となるように制御されやすいからである。
高分子材料の種類は、特に限定されないが、例えば、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルおよびナイロンなどである。
複数の粒子の種類は、特に限定されないが、例えば、高分子粒子および無機粒子などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。高分子粒子は、例えば、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂およびフェノール樹脂などの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。無機粒子は、例えば、シリカ、アルミナおよび炭酸カルシウムなどの無機材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
表面層103Cの厚さは、特に限定されないが、例えば、3μm〜30μmである。複数の粒子の平均粒径(例えば、メジアン径D50)は、特に限定されないが、例えば、5μm〜30μmである。複数の粒子の平均粒径が上記した範囲内であるのは、その複数の粒子を利用して帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)が適正に制御されやすいからである。複数の粒子の形状は、特に限定されないが、略球形であることが好ましく、真球であることがより好ましい。
表面層103Cの表面には、例えば、表面処理、コーティング処理および紫外線照射処理などの一連の処理のうちのいずれか1種類または2種類以上が施されていてもよい。感光体ドラム102の表面汚染が防止されると共に、弾性層103Bの電気抵抗が調整されるからである。
上記した一連の処理に用いられる材料の種類は、特に限定されないが、例えば、イソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、アミド樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂およびそれらの変性物などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
表面層103Cの表面に紫外線照射処理が施される場合には、例えば、その紫外線により表面層103Cが酸化されることにより、その表面層103Cの表面に酸化膜が形成されていてもよい。この酸化膜により表面層103の表面が保護されるからである。
なお、表面層103Cは、例えば、上記した高分子材料および複数の粒子と共に、導電剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、補強剤、滑剤、離型剤および難燃剤などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。表面層103Cに含まれる導電剤の種類は、例えば、弾性層103Bに含まれる導電剤の種類と同様である。
<1−3.帯電ローラの物性>
次に、帯電ローラ103の物性に関して説明する。
感光体ドラム102の表面に異物が付着したのち、その異物が帯電ローラ103の表面に付着すると、その異物が付着した箇所において帯電ローラ103の帯電状態が変化する。これにより、帯電ローラ103により感光体ドラム102の表面が帯電された際に、その感光体ドラム102の表面の帯電状態が不均一になる可能性がある。感光体ドラム102の表面の帯電状態が不均一になると、静電潜像に対するトナーの付着状態が不均一になるため、現像装置100が搭載された画像形成装置を用いて画像を形成すると、その画像がまばらになる現象、いわゆる画像のざらつきが発生してしまう。
特に、異物の中でも、微小な粒径を有する外添剤などは、感光体ドラム102とクリーニングブレード108との間の隙間を通り抜けやすい溜め、その外添剤などが帯電ローラ103の表面に付着すると、画像のざらつきが発生しやすくなる。
この画像のざらつきが発生することを抑制するためには、帯電ローラ103の表面に異物が付着することを抑制する必要がある。そこで、帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)は、以下で説明するように適正化されている。
具体的には、帯電ローラ103の表面の負荷長さ率tp(%)は、下記の式(1)および式(2)のそれぞれで表される2つの条件を同時に満たしている。
負荷長さ率tp(40%)=13%〜25% ・・・(1)
負荷長さ率tp(60%)=35%〜60% ・・・(2)
ここで、帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)を規定するために用いられている「負荷長さ率tp」とは、帯電ローラ103の表面の粗さ曲線から、基準長さLに相当する部分(基準粗さ曲線)を抜き取ったのち、その基準長さLに対する切断長さの和Dzの比を百分率で表した値である。すなわち、負荷長さ率tpは、負荷長さ率tp=(切断長さの和Dz/基準長さL)×100で表される。
切断長さの和Dzは、山頂線に平行な切断レベルC(%)に基づいて基準粗さ曲線を切断した際に得られる複数の切断長さD1〜Dnの和であり、Dz=D1+D2+D3+・・・+Dn−1+Dnで表される。
切断レベルCは、最大距離Dmaxに対する切断距離Dcの比を百分率で表した値であり、C=(Dc/Dmax)×100で表される。最大距離Dmaxは、基準粗さ曲線のうちの山頂(最も高い山部の頂点)から谷底(最も低い谷部の底点)までの距離である。切断距離Dcは、上記した山頂からの距離である。
上記したように、「負荷長さ率tp(40%)」とは、切断レベルC(%)が40%である場合の負荷長さ率tpであると共に、「負荷長さ率tp(60%)」とは、切断レベルCが60%である場合の負荷長さ率tpである。
ただし、負荷長さ率tpを算出するための基準長さL(mm)は、帯電ローラ103の延在方向(Y軸方向)と交差する方向の長さであるため、その負荷長さ率tpは、帯電ローラ103の延在方向(Y軸方向)と交差する方向において測定される値である。すなわち、例えば、図2に示したように、帯電ローラ103がY軸方向に延在する円筒状の形状を有している場合には、負荷長さ率tpは、帯電ローラ103の外周方向Rにおいて測定される値である。
帯電ローラ103の表面の負荷長さ率tpに関して、式(1)および式(2)のそれぞれに示した2つの条件が同時に満たされているのは、上記したように、帯電ローラ103の表面に異物が付着することを抑制する観点において、その帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)が適正化されるからである。これにより、画像のざらつきが発生しにくくなる。
また、負荷長さ率tpに基づいて帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)を規定するに際して、2つの切断レベルC=40%,60%に着目しているのは、十点平均粗さRzに基づいて帯電ローラ103の表面状態を規定する場合と比較して、その帯電ローラ103の表面状態と画像のざらつきの発生状況との相関関係を厳密に把握しやすくなるからである。これにより、帯電ローラ103の表面状態に関して、画像のざらつきを実質的かつ効果的に抑制することができる有効な条件を見出すことができる。
詳細には、帯電ローラ103の表面状態を規定するためのパラメータとしては、負荷長さ率tpの他、上記した十点平均粗さRzが考えられる。しかしながら、十点平均粗さRzは、主に、粗さ曲線のうちの山部の最大高さおよび谷部の最大深さを加味しながら算出される。このため、十点平均粗さRzを用いて帯電ローラ103の表面状態を適正化する場合には、その十点平均粗さRzを負荷長さ率tpに置き換えると、山頂付近に関する負荷長さ率tp(10%)および谷底付近に関する負荷長さ率tp(90%)などを用いることになる。
この場合には、帯電ローラ103の表面に発生した微細な傷および破損などに起因して、粗さ曲線中に極端に高い山部および極端に低い谷部などが存在していると、その極端に高い山部および極端に低い谷部などを加味することにより十点平均粗さRzが算出されるため、その十点平均粗さRzに含まれる誤差が大きくなる。これにより、十点平均粗さRzを用いて帯電ローラ103の表面状態を規定すると、その十点平均粗さRzにより規定される帯電ローラ103の表面状態と画像のざらつきの発生状況との間に大きな誤差が含まれやすくなる。よって、帯電ローラ103の表面状態を規定するために十点平均粗さRzを用いると、画像のざらつきを実質的かつ効果的に抑制することが可能な十点平均粗さRzの適正範囲を見出すことが困難である。
これに対して、2つの切断レベルC=40%,60%における負荷長さ率tp、すなわち負荷長さ率tp(40%),tp(60%)を用いて帯電ローラ103の表面状態を規定する場合には、粗さ曲線のうちの山部の最大高さおよび谷部の最大深さの影響を大きく受けずに負荷長さ率tpの適正範囲が見出される。具体的には、帯電ローラ103の表面に発生した微細な傷および破損などに起因して、極端に高い山部および極端に低い谷部などが粗さ曲線中に存在していても、その極端に高い山部および極端に低い谷部などをほとんど加味せずに負荷長さ率tpが算出される。これにより、負荷長さ率tp(40%),tp(60%)を用いて帯電ローラ103の表面状態を規定すると、その負荷長さ率tp(40%),tp(60%)により規定される帯電ローラ103の表面状態と画像のざらつきの発生状況との間に大きな誤差が含まれにくくなる。よって、帯電ローラ103の表面状態を規定するために負荷長さ率tp(40%),tp(60%)を用いると、画像のざらつきを実質的かつ効果的に抑制することが可能な負荷長さ率tp(40%),tp(60%)の適正範囲を見出すことができる。よって、上記したように、画像のざらつきの発生状況との関係において負荷長さ率tp(40%),tp(60%)の適正範囲を規定することにより、その画像のざらつきを実質的かつ効果的に抑制することができる。
なお、負荷長さ率tp(40%),tp(60%)は、例えば、以下の手順により測定される。最初に、表面粗さ測定装置を用いて、帯電ローラ103の表面のうちの任意の場所において負荷長さ率tp(40%),tp(60%)を測定する。この場合には、例えば、表面粗さ測定装置として、小坂研究所製の表面形状・粗さ測定機サーフコーダSEF3500などを用いる。また、測定条件として、基準長さL=10mm、触針半径=2μm、触針圧=0.7mN、触針の送り速度=0.5mm/秒およびカットオフ値=0.8mmとする。続いて、上記した測定場所以外の互いに異なる2箇所において、同様に負荷長さ率tp(40%),tp(60%)を測定する。これにより、3つの負荷長さ率tp(40%)が測定されると共に、3つの負荷長さ率tp(60%)が測定される。最後に、3つの負荷長さ率tp(40%)の平均値を算出すると共に、3つの負荷長さ率tp(60%)の平均値を算出する。
負荷長さ率tpが上記した2つの条件を満たしていれば、帯電ローラ103の表面状態に影響を及ぼす他の物性は、特に限定されない。中でも、帯電ローラ103の表面の十点平均粗さRzは、13μm〜17μmであることが好ましいと共に、その帯電ローラ103の表面の凹凸の平均間隔Smは、0.14mm〜0.20mmであることが好ましい。帯電ローラ103の表面状態がより適正化されるからである。これにより、帯電ローラ103の表面に異物がより付着しにくくなるため、画像のざらつきがより発生しにくくなる。
なお、十点平均粗さRzの測定手順は、例えば、表面粗さ測定装置を用いて負荷長さ率tpに代えて十点平均粗さRzを測定することを除いて、上記した負荷長さ率tpの測定手順と同様である。すなわち、上記した十点平均粗さRzは、3つの十点平均粗さRzの平均値である。
また、平均間隔Smの測定手順は、例えば、表面粗さ測定装置を用いて負荷長さ率tpに代えて平均間隔Smを測定することを除いて、上記した負荷長さ率tpの測定手順と同様である。すなわち、上記した平均間隔Smは、3つの平均間隔Smの平均値である。
ここで説明する負荷長さ率tp、十点平均粗さRzおよび平均間隔Smのそれぞれの測定方法は、例えば、JIS B0601−1994に準拠する。
<1−4.動作>
次に、現像装置100の動作に関して説明する。
現像装置100が現像処理を行う場合には、最初に、感光体ドラム102が回転すると、帯電ローラ103が回転しながら感光体ドラム102の表面に直流電圧を印加する。これにより、感光体ドラム102の表面が均一に帯電する。この場合には、帯電ローラ103の回転に応じてクリーニングローラ104が回転するため、その帯電ローラ103の表面に付着された異物が除去される。
続いて、外部から現像装置100に供給される画像データに基づいて、光源300が感光体ドラム102の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム102の表面では、光の照射部分において表面電位が減衰(光減衰)するため、その感光体ドラム102の表面に静電潜像が形成される。
一方、トナーカートリッジ200に収納されているトナーは、現像装置100(供給ローラ106)に向けて放出される。
続いて、供給ローラ106に電圧が印加されたのち、その供給ローラ106が回転する。これにより、供給ローラ106の表面にトナーが供給される。
続いて、現像ローラ105に電圧が印加されたのち、その現像ローラ105が供給ローラ106に圧接されながら回転する。これにより、供給ローラ106の表面に供給されたトナーが現像ローラ105の表面に吸着すると共に、そのトナーが現像ローラ105の回転を利用して搬送される。この場合には、現像ローラ105の表面に吸着されたトナーの一部が現像ブレード107により除去されるため、その現像ローラ105の表面に吸着されたトナーの厚さが均一化される。
最後に、現像ローラ105に圧接されながら感光体ドラム102が回転したのち、その現像ローラ105の表面に吸着されていたトナーが感光体ドラム102の表面に移行する。これにより、クーロン力を利用して感光体ドラム102の表面(静電潜像)にトナーが付着するため、現像処理が完了する。
<1−5.作用および効果>
この現像装置100では、帯電ローラ103の表面状態(表面粗さ)が負荷長さ率tpにより規定されていると共に、その負荷長さ率tp(40%),tp(60%)が上記した2つの条件を同時に満たしている。この場合には、上記したように、帯電ローラ103の表面状態が十点平均粗さRzにより規定される場合と比較して、帯電ローラ103の表面に異物が付着することを抑制する観点において、その帯電ローラ103の表面状態が実質的に適正化される。これにより、帯電ローラ103の表面に異物が付着しにくくなるため、現像装置100が搭載された画像形成装置を用いて画像を形成した際に、その画像のざらつきが発生しにくくなる。よって、高品質な画像を得ることができる。
特に、帯電ローラ103の表面に関して、十点平均粗さRzが13μm〜17μmであると共に、凹凸の平均間隔Smが0.14mm〜0.20mmであれば、帯電ローラ103の表面状態がより適正化されるため、より高い効果を得ることができる。
また、クリーニングブレード108が導電性を有していると共に、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧がクリーニングブレード108に印加されれば、感光体ドラム102の表面に付着されている異物がクリーニングブレード108に静電的に吸着されやすくなる。よって、クリーニングブレード108が異物をより掻き取りやすくなるため、より高い効果を得ることができる。この場合には、トナーが負帯電のトナーであると共に、クリーニングブレード108に負の直流電圧が印加されれば、微小な粒径を有する正帯電の外添剤などがクリーニングブレード108に静電的に吸着されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
<2.画像形成装置(第1実施形態)>
次に、上記した現像装置を用いた本発明の第1実施形態の画像形成装置に関して説明する。
ここで説明する画像形成装置は、例えば、トナーを用いて後述する媒体M(図3参照)の表面に画像を形成する装置であり、いわゆる電子写真方式のフルカラープリンタである。媒体Mの材質は、特に限定されないが、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
この画像形成装置は、上記した現像装置100に対応する現像部30を備えている。以下の説明では、現像部30の構成を説明する際に、随時、現像装置100の構成要素を引用する。
<2−1.全体構成>
まず、画像形成装置の構成に関して説明する。
図3は、画像形成装置の平面構成を表している。この画像形成装置では、媒体Mが搬送経路R1〜R5に沿って搬送される。図3では、搬送経路R1〜R5のそれぞれを破線で示している。
画像形成装置は、例えば、図3に示したように、筐体1の内部に、トレイ10と、送り出しローラ20と、現像部30と、転写部40と、定着部50と、搬送ローラ61〜68と、搬送路切り替えガイド69,70とを備えている。
[筐体]
筐体1は、例えば、金属材料および高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。筐体1には、画像が形成された媒体Mを排出するためのスタッカ部2が設けられており、その画像が形成された媒体Mは、筐体1に設けられた排出口1Hから排出される。
[トレイおよび送り出しローラ]
トレイ10は、例えば、筐体1に対して着脱可能に装着されており、媒体Mを収納している。送り出しローラ20は、例えば、Y軸方向に延在しており、そのY軸を中心として回転可能である。以降において説明する一連の構成要素のうち、名称中に「ローラ」という文言を含む構成要素は、送り出しローラ20と同様に、Y軸方向に延在していると共に、そのY軸を中心として回転可能である。
トレイ10には、例えば、複数の媒体Mが積層された状態で収納されている。このトレイ10に収納されている複数の媒体Mは、例えば、送り出しローラ20によりトレイ10から1つずつ取り出される。
トレイ10の数および送り出しローラ20の数のそれぞれは、特に限定されないため、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。図3では、例えば、トレイ10の数が1個であると共に送り出しローラ20の数が1個である場合を示している。
[現像部]
現像部30は、上記した現像装置100と同様の構成を有しており、トナーを用いて現像処理を行う。
感光体ドラム102は、例えば、後述するドラムモータ87(図4参照)を介して回転可能であると共に、帯電ローラ103などの一連のローラは、例えば、後述するローラモータ85(図4参照)を介して回転可能である。また、現像部30は、例えば、後述する移動モータ89を介して上下に移動可能である。より具体的には、現像部30は、例えば、感光体ドラム102が後述する中間転写ベルト41に接触する位置と、その感光体ドラム102が中間転写ベルト41から離間される位置との間を移動可能である。
この画像形成装置では、例えば、画像の形成時(現像処理時)において、クリーニングブレード108に電圧が印加されないようになっている。これに伴い、クリーニングブレード108は、例えば、導電性を有していてもよいし、導電性を有していなくてもよい。
現像部30の数は、特に限定されないため、例えば、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。ここでは、画像形成装置は、例えば、4個の現像部30(30K,30C,30M,30Y)を備えている。
現像部30K,30C,30M,30Yのそれぞれは、例えば、筐体1に対して着脱可能に装着されていると共に、中間転写ベルト41の移動経路に沿って配列されている。ここでは、現像部30K,30C,30M,30Yは、例えば、中間転写ベルト41の移動方向(矢印F5)において、上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
現像部30K,30C,30M,30Yのそれぞれは、例えば、トナーカートリッジに収納されているトナーの種類(色)が異なることを除いて、互いに同様の構成を有している。現像部30Kのトナーカートリッジには、例えば、ブラックトナーが収納されている。現像部30Cのトナーカートリッジには、例えば、シアントナーが収納されている。現像部30Mのトナーカートリッジには、例えば、マゼンタトナーが収納されている。現像部30Yのトナーカートリッジには、例えば、イエロートナーが収納されている。
[転写部]
転写部40は、現像部30により現像処理されたトナーを用いて転写処理を行う。具体的には、転写部40は、主に、現像部30により静電潜像に付着されたトナーを媒体Mに転写させる。
この転写部40は、例えば、中間転写ベルト41と、駆動ローラ42と、従動ローラ(アイドルローラ)43と、バックアップローラ44と、1次転写ローラ45と、2次転写ローラ46と、クリーニングブレード47とを含んでいる。
中間転写ベルト41は、媒体Mにトナーが転写される前に、そのトナーが一時的に転写される媒体(中間転写媒体)であり、例えば、無端の弾性ベルトなどである。この中間転写ベルト41は、例えば、ポリイミドなどの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、中間転写ベルト41は、駆動ローラ42、従動ローラ43およびバックアップローラ44のそれぞれにより張架された状態において、その駆動ローラ42の回転に応じて移動可能である。
駆動ローラ42は、例えば、後述するベルトモータ91を介して回転可能である。従動ローラ43およびバックアップローラ44のそれぞれは、例えば、駆動ローラ42の回転に応じて回転可能である。
1次転写ローラ45は、静電潜像に付着されたトナーを中間転写ベルト41に転写(1次転写)させる。この1次転写ローラ45は、中間転写ベルト41を介して現像部30(感光体ドラム)に圧接されている。なお、1次転写ローラ45は、中間転写ベルト41の移動に応じて回転可能である。
1次転写ローラ45の数は、特に限定されないため、例えば、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。ここでは、転写部40は、例えば、上記した4個の現像部30(30K,30C,30M,30Y)に対応して、4個の1次転写ローラ45(45K,45C,45M,45Y)を含んでいる。また、転写部40は、1個のバックアップローラ44に対応して、1個の2次転写ローラ46を含んでいる。
2次転写ローラ46は、中間転写ベルト41に転写されたトナーを媒体Mに転写(2次転写)させる。この2次転写ローラ46は、バックアップローラ44に圧接されており、例えば、金属製の芯材と、その芯材の外周面を被覆する発泡ゴム層などの弾性層とを含んでいる。なお、2次転写ローラ46は、中間転写ベルト41の移動に応じて回転可能である。
クリーニングブレード47は、中間転写ベルト41に圧接されており、その中間転写ベルト41の表面に残留した不要なトナーなどの異物を掻き取る。
[定着部]
定着部50は、転写部40により媒体Mに転写されたトナーを用いて定着処理を行う。具体的には、定着部50は、主に、転写部40により媒体Mに転写されたトナーを加熱しながら加圧することにより、そのトナーを媒体Mに定着させる。
この定着部50は、例えば、加熱ローラ51と、加圧ローラ52とを含んでいる。
加熱ローラ51は、トナーを加熱する。この加熱ローラ51は、例えば、中空円筒状の金属芯と、その金属芯の表面を被覆する樹脂コートとを含んでいる。金属芯は、例えば、アルミニウムなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。樹脂コートは、例えば、例えば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
この加熱ローラ51は、例えば、後述する定着モータ95を介して回転可能である。加熱ローラ51(金属芯)の内部には、例えば、後述するヒータ93(図4参照)が設置されており、そのヒータは、例えば、ハロゲンランプなどである。加熱ローラ51の近傍には、例えば、その加熱ローラ51から離間されるように、後述するサーミスタ94(図4参照)が配置されている。このサーミスタは、例えば、加熱ローラ51の表面温度を測定する。
加圧ローラ52は、加熱ローラ51に圧接されており、トナーを加圧する。この加圧ローラ52は、例えば、金属棒などであり、加熱ローラ51の回転に応じて回転可能である。金属棒は、例えば、アルミニウムなどの金属材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
[搬送ローラ]
搬送ローラ61〜68のそれぞれは、媒体Mの搬送経路R1〜R5を介して互いに対向するように配置された一対のローラを含んでおり、送り出しローラ20により取り出された媒体Mを搬送させる。
媒体Mの片面だけに画像が形成される場合には、その媒体Mは、例えば、搬送ローラ61〜64により搬送経路R1,R2に沿って搬送される。また、媒体Mの両面に画像が形成される場合には、その媒体Mは、例えば、搬送ローラ61〜68により搬送経路R1〜R5に沿って搬送される。
[搬送路切り替えガイド]
搬送路切り替えガイド69,70は、媒体Mに形成される画像の様式(媒体Mの片面だけに画像が形成されるか、または媒体Mの両面に画像が形成されるか)などの条件に応じて、その媒体Mの搬送方向を切り替える。
<2−2.ブロック構成>
次に、画像形成装置のブロック構成に関して説明する。
図4は、画像形成装置のブロック構成を表している。ただし、図4では、既に説明した画像形成装置の構成要素の一部も併せて示している。
画像形成装置は、例えば、図4に示したように、制御部71と、インターフェース(I/F)制御部72と、受信メモリ73と、編集メモリ74と、パネル部75と、操作部76と、各種センサ77と、光源制御部78と、帯電電圧制御部79と、現像電圧制御部80と、供給電圧制御部81と、転写電圧制御部82と、除電光制御部83と、ローラ駆動制御部84と、ドラム駆動制御部86と、移動制御部88と、ベルト駆動制御部90と、定着制御部92とを備えている。
制御部71は、主に、画像形成装置全体の動作を制御する。この制御部71は、例えば、制御回路、メモリ、入出力ポートおよびタイマなどを含んでいる。制御回路は、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。メモリは、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)などの記憶素子のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
I/F制御部72は、主に、外部装置から画像形成装置に送信されたデータなどの情報を受信する。この外部装置は、例えば、画像形成装置のユーザが使用可能であるパーソナルコンピュータなどであり、その外部装置から画像形成装置に送信される情報は、例えば、画像データなどである。
受信メモリ73は、主に、画像形成装置において受信されたデータなどの情報を格納する。編集メモリ74は、主に、受信メモリ73に格納された画像データが編集処理されたデータなどを格納する。
パネル部75は、例えば、ユーザが画像形成装置を操作するために必要な情報を表示する表示パネルなどを含んでいる。この表示パネルの種類は、特に限定されないが、例えば、液晶パネルなどである。操作部76は、例えば、画像形成装置の操作時においてユーザにより操作されるボタンなどを含んでいる。
各種センサ77は、例えば、温度センサ、湿度センサ、画像濃度センサ、媒体位置検出センサ、トナー残量検知センサおよび人感センサなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
光源制御部78は、主に、光源300の露光動作などを制御する。帯電電圧制御部79は、主に、帯電ローラ103に印加される電圧などを制御する。現像電圧制御部80は、主に、現像ローラ105に印加される電圧などを制御する。供給電圧制御部81は、主に、供給ローラ106に印加される電圧などを制御する。転写電圧制御部82は、主に、1次転写ローラ45および2次転写ローラ46のそれぞれに印加される電圧などを制御する。除電光制御部83は、主に、除電光基板109の稼働状態(点灯および消灯)などを制御する。これらの一連の電圧は、例えば、制御部71の指示に応じて設定可能であると共に、その制御部71の指示に応じて任意に変更可能である。
なお、図4では図示内容を簡略化しているが、画像形成装置は、例えば、4個の現像部30(30K,30C,30M,30Y)に対応する4個の光源制御部78を含んでいる。具体的には、例えば、現像部30Kに搭載されている光源300を制御する光源制御部78と、現像部30Cに搭載されている光源300を制御する光源制御部78と、現像部30Mに搭載されている光源300を制御する光源制御部78と、現像部30Yに搭載されている光源300を制御する光源制御部78とである。
ここで光源制御部78に関して説明したことは、例えば、帯電電圧制御部79、現像電圧制御部80、供給電圧制御部81、転写電圧制御部82および除電光制御部83のそれぞれに関しても同様である。すなわち、画像形成装置は、例えば、4個の現像部30に対応して、4個の帯電電圧制御部79と、4個の現像電圧制御部80と、4個の供給電圧制御部81と、4個の転写電圧制御部82と、4個の除電光制御部83とを含んでいる。
ローラ駆動制御部84は、主に、ローラモータ85を介して帯電ローラ103、現像ローラ105および供給ローラ106などの一連のローラの回転動作などを制御する。ドラム駆動制御部86は、主に、ドラムモータ87を介して感光体ドラム102の回転動作などを制御する。移動制御部88は、主に、移動モータ89を介して現像部30の移動動作などを制御する。ベルト駆動制御部90は、主に、ベルトモータ91を介して中間転写ベルト41の移動動作などを制御する。定着制御部92は、主に、サーミスタ94により測定された温度に基づいてヒータ93の温度を制御すると共に、定着モータ95を介して加熱ローラ51の回転動作などを制御する。
光源制御部78に関して上記したことは、例えば、ローラ駆動制御部84、ドラム駆動制御部86および移動制御部88のそれぞれに関しても同様である。すなわち、画像形成装置は、例えば、4個の現像部30に対応して、4個のローラ駆動制御部84と、4個のドラム駆動制御部86と、4個の移動制御部88とを含んでいる。
<2−3.トナーの構成>
イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーのそれぞれは、例えば、一成分現像方式の負帯電トナーである、すなわち、ここで説明する一連のトナーは、例えば、負の帯電極性を有している。
一成分現像方式とは、トナーに電荷を付与するためのキャリア(磁性粒子)を用いずに、そのトナー自身に適切な帯電量を付与する方式である。これに対して、二成分現像方式とは、上記したキャリアとトナーとを混合することにより、そのキャリアとトナーとの摩擦を利用してトナーに適切な帯電量を付与する方式である。
トナーの製造方法は、特に限定されない。具体的には、トナーの製造方法は、例えば、粉砕法でもよいし、重合法でもよいし、それら以外の方法でもよい。もちろん、上記した製造方法のうちの2種類以上を併用してもよい。重合法は、例えば、溶解懸濁法などである。
イエロートナーは、例えば、イエロー着色剤、結着剤、外添剤、離型剤および帯電制御剤などを含んでいる。イエロー着色剤は、例えば、イエロー顔料およびイエロー染料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。イエロー顔料は、例えば、ピグメントイエロー74などである。イエロー染料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー74およびカドミウムイエローなどである。
マゼンタトナーは、例えば、イエロー着色剤に代えてマゼンタ着色剤を含んでいることを除いて、イエロートナーと同様の構成を有している。マゼンタ着色剤は、例えば、マゼンタ顔料およびマゼンタ染料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。マゼンタ顔料は、例えば、キナクリドンなどである。マゼンタ染料は、例えば、C.I.ピグメントレッド238などである。
シアントナーは、例えば、イエロー着色剤に代えてシアン着色剤を含んでいることを除いて、イエロートナーと同様の構成を有している。シアン着色剤は、例えば、シアン顔料およびシアン染料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。シアン顔料は、例えば、フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15:3)などである。シアン染料は、例えば、ピグメントブルー15:3などである。
ブラックトナーは、例えば、イエロー着色剤に代えてブラック着色剤を含んでいることを除いて、イエロートナーと同様の構成を有している。ブラック着色剤は、例えば、ブラック顔料およびブラック染料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ブラック顔料は、例えば、カーボンなどである。ブラック染料は、例えば、カーボンブラックなどであり、そのカーボンブラックは、例えば、ファーネスブラックおよびチャンネルブラックなどである。
結着剤は、主に、着色剤などを結着させる。この結着剤は、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびスチレン−ブタジエン系樹脂などの高分子材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
中でも、結着剤は、ポリエステル系樹脂を含んでいることが好ましい。ポリエステル系樹脂は、紙などの媒体Mに対して高い親和性を有するため、結着剤としてポリエステル系樹脂を含むトナーは、その媒体Mに定着しやすくなるからである。また、ポリエステル系樹脂は、比較的分子量が小さい場合においても高い物理的強度を有するため、結着剤としてポリエステル系樹脂を含むトナーは、優れた耐久性を有するからである。
ポリエステル系樹脂の結晶状態は、特に限定されない。このため、ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステルでもよいし、非晶質ポリエステルでもよいし、双方でもよい。中でも、結晶性ポリエステルが好ましい。トナーが媒体により定着しやすくなると共に、そのトナーの耐久性がより向上するからである。
このポリエステル系樹脂は、例えば、1または2以上のアルコールと1または2以上のカルボン酸との反応物(縮重合体)である。
アルコールの種類は、特に限定されないが、中でも、2価以上のアルコールおよびその誘導体などであることが好ましい。この2価以上のアルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ソルビトールおよびグリセリンなどである。
カルボン酸の種類は、特に限定されないが、中でも、2価以上のカルボン酸およびその誘導体などであることが好ましい。この2価以上のカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンジカルボン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸およびドデセニル無水コハク酸などである。
外添剤は、主に、トナー同士の凝集などを抑制することにより、そのトナーの流動性を向上させる。この外添剤は、例えば、無機材料および有機材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。無機材料は、例えば、疎水性シリカなどである。有機材料は、例えば、メラミン樹脂などである。
離型剤は、主に、トナーの定着性および耐オフセット性などを向上させる。この離型剤は、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸エステル系ワックスの脱酸化物などのワックスのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この他、離型剤は、例えば、上記した一連のワックスのブロック共重合物などでもよい。
脂肪族炭化水素系ワックスは、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスおよびフィッシャートロプシュワックスなどである。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物は、例えば、酸化ポリエチレンワックスなどである。脂肪酸エステル系ワックスは、例えば、カルナバワックスおよびモンタン酸エステルワックスなどである。脂肪酸エステル系ワックスの脱酸化物は、その脂肪酸エステル系ワックスのうちの一部または全部が脱酸化されたワックスであり、例えば、脱酸カルナバワックスなどである。
帯電制御剤は、主に、トナーの摩擦帯電性などを制御する。負帯電のトナーに用いられる帯電制御剤は、例えば、アゾ系錯体、サリチル酸系錯体およびカリックスアレン系錯体などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
<2−4.動作>
次に、画像形成装置の動作に関して説明する。
図5は、画像形成装置のうちの主要な構成要素の位置関係を表している。この主要な構成要素は、例えば、感光体ドラム102、帯電ローラ103、現像ローラ105、クリーニングブレード108および1次転写ローラ45である。
図6は、画像形成時における画像形成装置の動作タイミングを表している。ただし、図6では、クリーニングブレード108に電圧が印加されない場合を示している。
図5に示したように、帯電ローラ103、現像ローラ105、クリーニングブレード108および1次転写ローラ45のそれぞれは、互いに異なる位置において感光体ドラム102に接している。具体的には、帯電ローラ103は、接点103Tにおいて感光体ドラム102に接している。現像ローラ105は、接点105Tにおいて感光体ドラム102に接している。クリーニングブレード108は、接点108Tにおいて感光体ドラム102に接している。1次転写ローラ45は、接点45Tにおいて感光体ドラム102に接している。なお、感光体ドラム102は、画像の形成時において、矢印Wの方向に回転する。
図5に示した線L1〜L4は、いずれも仮想線である。具体的には、線L1は、感光体ドラム102の中心102Pと帯電ローラ103の接点103Tとを通る直線である。線L2は、感光体ドラム102の中心102Pと現像ローラ105の接点105Tとを通る直線である。線L3は、感光体ドラム102の中心102Pと1次転写ローラ45の接点45Tとを通る直線である。線L4は、感光体ドラム102の中心102Pとクリーニングブレード108の接点108Tとを通る直線である。
ここで、図5に示したように、感光体ドラム102の表面が接点103Tから接点105Tまで移動するために要する時間をT1、感光体ドラム102の表面が接点105Tから接点45Tまで移動するために要する時間をT2、感光体ドラム102の表面が接点45Tから接点108Tまで移動するために要する時間をT3、感光体ドラム102の表面が接点108Tから103Tまで移動するために要する時間をT4とする。時間T1〜T4の間には、例えば、T2>T1>T3>T4の関係が成立している。
媒体Mの表面に画像を形成する場合には、画像形成装置は、例えば、以下で説明するように、現像処理、1次転写処理、2次転写処理および定着処理をこの順に行うと共に、必要に応じてクリーニング処理を行う。
(現像処理)
最初に、トレイ10に収納された媒体Mは、送り出しローラ20により取り出される。この送り出しローラ20により取り出された媒体Mは、搬送ローラ61,62により搬送経路R1に沿って矢印F1の方向に搬送される。
続いて、現像部30Kは、上記した画像形成装置100と同様の現像処理を行う。これにより、感光体ドラム102の表面に静電潜像が形成されると共に、その静電潜像にブラックトナーが付着される。
この場合には、画像の形成動作(現像処理)が開始されると、感光体ドラム102、帯電ローラ103、現像ローラ105および除電光基板109のそれぞれが作動する。
具体的には、ローラ駆動制御部84は、ローラモータ85を駆動させることにより、そのローラモータ85を介して帯電ローラ103などの一連のローラを回転させる。ドラム駆動制御部86は、ドラムモータ87を駆動させることにより、そのドラムモータ87を介して感光体ドラム102を回転させる。帯電電圧制御部79は、帯電ローラ103に負の電圧(例えば、−1000V)を印加することにより、その帯電ローラ130を介して感光体ドラム102の表面を帯電させる。現像電圧制御部80は、現像ローラ105に正の電圧(例えば、+100V)を印加する。除電光制御部83は、除電光基板109を点灯させる。
現像電圧制御部80は、画像の形成動作の開始時から時間T1が経過するまで現像ローラ105に正の電圧を印加したのち、その現像ローラ105に負の電圧(例えば、−200V)を印加する。画像の形成動作の開始時において現像ローラ105に正の電圧が印加されるのは、意図せずに現像ローラ105の表面から感光体ドラム102の表面にトナーが移行することを防止するためである。
感光体ドラム102の表面電位は、時間が経過するにしたがって減少する。そこで、供給電圧制御部81は、画像の形成動作の開始時から時間T1が経過するまで供給ローラ106に電圧を印加せず、その時間T1が経過してから供給ローラ106に負の電圧(例えば、−300V)を印加する。時間T1が経過するまで供給ローラ106に電圧が印加されないのは、意図せずに供給ローラ106の表面から現像ローラ105の表面にトナーが移行することを防止するためである。一方、時間T1が経過してから供給ローラ106に負の電圧が印加されるのは、その供給ローラ106の表面から現像ローラ105の表面にトナーを移行させるためである。
(1次転写処理)
続いて、転写部40において、駆動ローラ42が回転すると、その駆動ローラ42の回転に応じて従動ローラ43およびバックアップローラ44のそれぞれが回転する。これにより、中間転写ベルト41が矢印F5の方向に移動する。
1次転写処理では、転写電圧制御部82は、画像の形成動作の開始時から時間(T2+T1)が経過するまで1次転写ローラ45に電圧を印加せずに、その時間(T2+T1)が経過してから1次転写ローラ45に正の電圧(例えば、+2000V)を印加する。これにより、1次転写ローラ45Kは、中間転写ベルト41を介して感光体ドラム102に圧接されているため、上記した現像処理において感光体ドラム102の表面(静電潜像)に付着されたブラックトナーは、中間転写ベルト41の表面に転写される。
こののち、ブラックトナーが転写された中間転写ベルト41は、引き続き矢印F5の方向に移動する。これにより、現像部30C,30M,30Yおよび1次転写ローラ45C,45M,45Yにおいて、上記した現像部30Kおよび1次転写ローラ45Kと同様の手順により現像処理および1次転写処理が行われる。よって、中間転写ベルト41の表面にシアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーが転写される。
具体的には、現像部30Cおよび1次転写ローラ45Cにより、中間転写ベルト41の表面にシアントナーが転写される。続いて、現像部30Mおよび1次転写ローラ45Mにより、中間転写ベルト41の表面にマゼンタトナーが転写される。続いて、現像部30Yおよび1次転写ローラ45Yにより、中間転写ベルト41の表面にイエロートナーが転写される。
もちろん、実際に現像部30K,30C,30M,30Yおよび1次転写ローラ45K,45C,45M,45Yにより現像処理および1次転写処理が行われるかどうかは、画像を形成するために必要な色(色の組み合わせ)に応じて決定される。
(2次転写処理)
続いて、搬送経路R1に沿って搬送される媒体Mは、バックアップローラ44と2次転写ローラ46との間を通過する。
2次転写処理では、2次転写ローラ46に電圧が印加されている。この2次転写ローラ46は、媒体Mを介してバックアップローラ44に圧接されるため、上記した1次転写処理において中間転写ベルト41に転写されたトナーは、媒体Mに転写される。ここで説明する「トナー」とは、上記したブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナーおよびイエロートナーの総称であり、その「トナー」の意味は、以降においても同様である。
(定着処理)
続いて、2次転写処理において媒体Mにトナーが転写されたのち、その媒体Mは、引き続き搬送経路R1に沿って矢印F1の方向に搬送されるため、定着部50に投入される。
定着処理では、加熱ローラ51の表面温度が所定の温度となるように制御されている。加熱ローラ51に対して圧接されながら加圧ローラ52が回転すると、その加熱ローラ51と加圧ローラ52との間を通過するように媒体Mが搬送される。
これにより、媒体Mの表面に転写されたトナーが加熱されるため、そのトナーが溶融する。しかも、溶融状態であるトナーが媒体Mに対して圧接されるため、そのトナーが媒体Mに対して強固に付着する。
よって、外部から画像形成装置に供給された画像データに基づいて、媒体Mの表面のうちの特定の領域にトナーが定着するため、その媒体Mの表面に画像が形成される。
画像が形成された媒体Mは、搬送経路R2に沿って搬送ローラ63,64により矢印F2の方向に搬送される。これにより、媒体Mは、排出口1Hからスタッカ部2に排出される。
画像の形成動作が終了すると、ドラム駆動制御部86は、ドラムモータ87を停止させることにより、感光体ドラム102の回転を停止させると共に、除電光制御部83は、除電光基板109を消灯させる。帯電電圧制御部79、現像電圧制御部80、供給電圧制御部81および転写電圧制御部82のそれぞれは、電圧の印加を停止する。これにより、画像の形成動作が完了する。
なお、媒体Mの搬送手順は、その媒体Mの表面に形成される画像の様式に応じて変更される。
例えば、媒体Mの両面に画像が形成される場合には、定着部50を通過した媒体Mは、搬送経路R3〜R5に沿って搬送ローラ65〜68により矢印F3,F4の方向に搬送されたのち、搬送経路R1に沿って搬送ローラ61,62により再び矢印F1の方向に搬送される。この場合において、媒体Mが搬送される方向は、搬送路切り替えガイド69,70により制御される。これにより、媒体Mの裏面(未だ画像が形成されていない面)において、現像処理、1次転写処理、2次転写処理および定着処理が行われる。
(感光体ドラムのクリーニング処理)
現像部30K,30C,30M,30Yのそれぞれでは、感光体ドラム102の表面に不要なトナーが残留する場合がある。この不要なトナーは、例えば、1次転写処理において用いられたトナーの一部であり、中間転写ベルト41に転写されずに感光体ドラム102の表面に残留したトナーなどである。
そこで、クリーニングブレード108に圧接されている状態において感光体ドラム102が回転するため、その感光体ドラム102の表面に残留しているトナーがクリーニングブレード108により掻き取られる。よって、感光体ドラム102の表面から不要なトナーが除去されるため、その感光体ドラム102の表面がクリーニングされる。
(中間転写ベルトのクリーニング処理)
また、転写部40では、1次転写処理において中間転写ベルト41の表面に移行したトナーの一部が2次転写処理において媒体Mの表面に移行されずに、その中間転写ベルト41の表面に残留する場合がある。
そこで、中間転写ベルト41が矢印F5の方向に移動する際に、その中間転写ベルト41の表面に残留したトナーがクリーニングブレード47により掻き取られる。よって、中間転写ベルト41の表面から不要なトナーが除去されるため、その中間転写ベルト41の表面がクリーニングされる。
<2−5.作用および効果>
この画像形成装置では、上記した現像装置100と同様の構成を有する現像部30(30K,30C,30M,30Y)を備えている。この場合には、現像装置100に関して説明した場合と同様の理由により、帯電ローラ103の表面に異物が付着しにくくなるため、画像のざらつきが発生しにくくなる。よって、高品質な画像を得ることができる。
第1実施形態の画像形成装置に関する他の作用および効果は、現像装置100に関する作用および効果と同様である。
<3.画像形成装置(第2実施形態)>
次に、上記した現像装置を用いた本発明の第2実施形態の画像形成装置に関して説明する。
<3−1.構成>
第2実施形態の画像形成装置は、現像部30の構成および画像形成装置のブロック構成が異なることを除いて、第1実施形態の画像形成装置と同様の構成を有している。
ここで説明する現像部30は、クリーニングブレード108が導電性を有していることを除いて、第1実施形態の現像部30と同様の構成を有している。クリーニングブレード108の構成は、例えば、導電性を有していることを除いて、第1実施形態のクリーニングブレード108の構成と同様である。
図7は、画像形成装置のブロック構成を表しており、図4に対応している。ここで説明する画像形成装置は、クリーニング電圧制御部96を備えていることを除いて、第1実施形態の画像形成装置と同様のブロック構成を有している。
クリーニング電圧制御部96は、主に、クリーニングブレード108に印加される電圧などを制御する。この電圧は、例えば、制御部71の指示に応じて設定可能であると共に、その制御部71の指示に応じて任意に変更可能である。なお、図7では図示内容を簡略化しているが、画像形成装置は、例えば、4個の現像部30(30K,30C,30M,30Y)に対応する4個のクリーニング電圧制御部96を含んでいる。
具体的には、クリーニング電圧制御部96は、画像の形成時および後述する帯電ローラ103のクリーニング時などにおいて、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧をクリーニングブレード108に印加する。すなわち、クリーニング電圧制御部96は、例えば、トナーが負帯電のトナーである場合、クリーニングブレード108に負の直流電圧を印加する。
<3−2.動作>
第2実施形態の画像形成装置は、画像の形成時においてクリーニング電圧制御部96がクリーニングブレード108に電圧を印加すると共に、画像の形成後において帯電ローラ103のクリーニング工程を行うことを除いて、第1実施形態の画像形成装置と同様に動作する。
図8は、画像の形成時における画像形成装置の動作タイミングを表しており、図6に対応している。ただし、図8では、クリーニングブレード108に電圧が印加される場合を示している。
図9は、帯電ローラ103のクリーニング時における画像形成装置の動作タイミングを表しており、図8に対応している。
(画像の形成動作)
画像の形成動作時における画像形成装置の動作は、クリーニング電圧制御部96がクリーニングブレード108にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加することを除いて、第1実施形態の画像形成装置の動作(図6)と同様である。
具体的には、画像形成装置では、画像の形成時(現像処理、1次転写処理、2次転写処理および定着処理)において、例えば、図8に示したように、クリーニング電圧制御部96がクリーニングブレード108にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する。
このクリーニング電圧制御部96は、画像の形成動作の開始後、時間T3が経過するまでクリーニングブレード108に正の電圧(例えば、+100V)を印加したのち、そのクリーニングブレード108に負の電圧(例えば、−300V)を印加する。時間T3が経過するまでクリーニングブレード108に正の電圧が印加されるのは、クリーニングブレード108の表面に吸着されている異物の吸着量が過剰に増加することを防止するために、そのクリーニングブレード108の表面に吸着されている異物を意図的に感光体ドラム102に向けて静電的に放出するためである。一方、時間T3が経過してからクリーニングブレード108に負の電圧が印加されるのは、感光体ドラム102の表面に付着されている異物をクリーニングブレード108の表面に静電的に吸着させるためである。
これにより、上記したように、微小な粒径を有する外添剤などの異物がクリーニングブレード108により十分に掻き取られやすくなるため、画像中に残像が発生しにくくなる。
(帯電ローラのクリーニング動作)
また、画像形成装置では、画像の形成動作の終了後、必要に応じて、帯電ローラ103のクリーニング処理が行われる。以下で説明する時間T5は、例えば、帯電ローラ103が2回転するために要する時間である。
具体的には、例えば、図9に示したように、帯電ローラ103のクリーニング動作の開始後、ドラム駆動制御部86は、引き続き、ドラムモータ87を介して感光体ドラム102を回転させる。帯電電圧制御部79は、引き続き、帯電ローラ103に負の電圧(例えば、−1000V)を印加する。現像電圧制御部80は、引き続き、現像ローラ105に負の電圧(例えば、−200V)を印加する。供給電圧制御部81は、引き続き、供給ローラ106に負の電圧(例えば、−300V)を印加する。クリーニング電圧制御部96は、引き続き、クリーニングブレード108に負の電圧(例えば、−300V)を印加する。
これに対して、帯電ローラ103のクリーニング動作の開始後、転写電圧制御部82は、1次転写ローラ45に対する電圧の印加を停止すると共に、除電光制御部83は、除電光基板109を消灯させる。
クリーニング電圧制御部96は、帯電ローラ103のクリーニング動作の開始時から時間T3が経過すると、クリーニングブレード108に正の電圧(例えば、+100V)を印加したのち、時間T5が経過すると、再びクリーニングブレード108に負の電圧(例えば、−300V)を印加する。クリーニングブレード108に正の電圧が印加されるのは、そのクリーニングブレード108の表面に吸着されている異物が意図的に感光体ドラム102に向けて放出されるからである。
帯電電圧制御部79は、帯電ローラ103のクリーニング動作の開始時から時間(T3+T4)が経過すると、帯電ローラ103に対する電圧の印加を停止したのち、時間T5が経過すると、再び帯電ローラ103に負の電圧(例えば、−1000V)を印加する。帯電ローラ103に対する電圧の印加が停止されるのは、表面電位が−500V弱の状態となるように維持されたままで感光体ドラム102が回転するため、帯電ローラ103の表面に付着されている異物が意図的に感光体ドラム102の表面に向けて放出されるからである。この場合には、クリーニングブレード108の表面から感光体ドラム102の表面に向けて異物が放出されても、その異物は帯電ローラ103の表面に付着されない。
現像電圧制御部80は、帯電ローラ103のクリーニング動作の開始時から時間(T3+T4+T1)が経過すると、現像ローラ105に正の電圧(例えば、+100V)を印加したのち、時間T5が経過すると、再び現像ローラ105に負の電圧(例えば、−200V)を印加する。現像ローラ105に正の電圧が印加されるのは、その現像ローラ105の表面に付着されているトナーが意図せずに感光体ドラム102の表面に移行することを防止するためである。
供給電圧制御部81は、帯電ローラ103のクリーニング動作の開始時から時間(T3+T4+T1)が経過すると、供給ローラ106に対する電圧を停止したのち、時間T5が経過すると、再び供給ローラ106に負の電圧(例えば、−300V)を印加する。
これにより、帯電ローラ103の表面から感光体ドラム102に向けて異物が放出されるため、その帯電ローラ103の表面がクリーニングされる。しかも、帯電ローラ103の表面から放出された異物は、現像ローラ105により回収されないため、その現像ローラ105の表面に付着されない。
なお、帯電ローラ103の表面から放出された異物のうちの一部は、例えば、中間転写ベルト41に付着されるため、その中間転写ベルト41により搬送される。この中間転写ベルト41に付着された異物は、例えば、クリーニングブレード47により掻き取られる。
一方、帯電ローラ103の表面から放出された異物のうちの残りは、例えば、感光体ドラム102の回転に応じて移動するため、クリーニングブレード108に到達する。この残りの異物のサイズは、クリーニングブレード108に到達する過程において凝集に起因して大きくなるため、その残りの異物は、クリーニングブレード108により十分に掻き取られる。
帯電ローラ103のクリーニング動作が終了すると、ドラム駆動制御部86は、ローラモータ85を停止させることにより、感光体ドラム102の回転を停止させる。また、帯電電圧制御部79、現像電圧制御部80、供給電圧制御部81およびクリーニング電圧制御部96のそれぞれは、電圧の印加を停止する。これにより、帯電ローラ103のクリーニング動作が完了する。
<3−3.作用および効果>
この画像形成装置では、トナーの帯電極性と同極性の直流電圧がクリーニングブレード108に印加されながら、上記した現像装置100の構成と同様の構成を有する現像部30により現像処理が行われる。この場合には、現像装置100に関して説明した場合と同様の理由により、帯電ローラ103の表面に異物が付着しにくくなるため、画像のざらつきが発生しにくくなる。しかも、感光体ドラム102の表面に付着された異物がクリーニングブレード108に静電的に吸着されやすくなるため、帯電ローラ103に対する異物の付着に起因した残像が画像中に発生しにくくなる。よって、より高品質な画像を得ることができる。
第2実施形態の画像形成装置に関する他の作用および効果は、現像装置100に関する作用および効果と同様である。
<4.変形例>
上記した現像装置および画像形成装置のそれぞれの構成および動作などは、適宜、変更可能である。具体的には、画像形成装置の動作に関して説明された一連の電圧値は、あくまで一例にすぎないため、任意に変更可能である。
本発明の実施例に関して、詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.画像のざらつきに関する評価
2.画像中の残像に関する評価
<1.画像のざらつきに関する評価>
以下の手順により、帯電ローラが搭載された画像形成装置を用いて画像を形成したのち、その画像の画質(ざらつき)を調べた。
(実験例1〜6)
最初に、画像形成装置を準備した。画像形成装置としては、株式会社沖データ製のカラープリンタMC863を用いた。
この場合には、芯金(アルミニウム)の外周面に弾性層(エピクロロヒドリンゴム)および表面層(ナイロンおよびナイロン粒子)が形成された帯電ローラを用いた。また、表面層に含まれる複数の粒子(ナイロン粒子)の平均粒径(メジアン径D50)および含有量などを変更することにより、その帯電ローラの表面状態(表面粗さ)を変化させた。帯電ローラの表面粗さを規定するパラメータは、負荷長さ率tp(%)、十点平均粗さRz(%)および平均間隔Sm(mm)である。負荷長さ率tp、十点平均粗さRzおよび平均間隔Smのそれぞれの測定方法は、上記した通りである。負荷長さ率tpを変化させる場合には、10%〜90%の範囲内において10%刻みとなるように切断レベルC(%)を9段階に変化させた。
負荷長さ率tp、十点平均粗さRzおよび平均間隔Smのそれぞれの測定結果は、表1に示した通りである。また、帯電ローラの表面に関する切断レベルC(%)と負荷長さ率tp(%)との相関は、図10に示した通りである。
確認までに説明しておくと、図10では、切断レベルCが40%である場合の負荷長さ率tpが負荷長さ率tp(40%)であると共に、切断レベルCが60%である場合の負荷長さ率tpが負荷長さ率tp(60%)である。
続いて、画像形成装置を用いて、媒体の表面に連続印刷画像を連続形成したのち、その媒体の表面に画質評価用の画像を形成した。この場合には、導電性を有するクリーニングブレードを用いたが、画質評価用の画像の形成時においてクリーニングブレードに電圧を印加しなかった。このクリーニングブレードは、ポリウレタンを含んでいる。
媒体としては、株式会社沖データ製のカラープリンタ用紙 エクセレントホワイトA4を用いた。トナーとしては、一成分方式の負帯電トナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナー)を用いた。
連続印刷画像を連続形成する場合には、常温常湿の環境中(温度=20℃,相対湿度=50%)において1日当たり3000枚の媒体の表面に連続印刷画像を連続的に形成する処理を10日間行うことにより、その媒体の使用枚数の合計が30000枚に到達するまで連続印刷画像の形成処理を繰り返した。この場合には、媒体の進行方向=長手方向、媒体の進行速度=40ppm相当、連続印刷画像の画像パターン=白紙、1ジョブ当たりにおける連続印刷画像の形成枚数=3枚とした。連続印刷画像の画像パターンを白紙としたのは、媒体の表面における未露光領域の面積をできるだけ大きくすることにより、連続印刷画像の形成処理の条件として、トナーから脱落した正帯電の外添剤が感光体ドラムの表面に付着しやすい条件を設定したからである。
画質評価用の画像を形成する場合には、連続印刷画像の連続形成が完了したのち、図11に示した画像を媒体の表面に形成した。画質評価用の画像の形成時におけるこれ以外の条件は、連続印刷画像の形成処理時の条件と同様にした。
画質評価用の画像は、図11に示したように、媒体Mの進行方向(媒体Mの長手方向)における前方側にボールド文字401が配置されていると共に、そのボールド文字401よりも後方に黒色のハーフトーンパターン402が配置されている。ボールド文字401は、ABCABCという6個の文字からなる画像であり、その6個の文字は、媒体Mの短手方向に配列されている。ハーフトーンパターン402は、媒体Mの短手方向に延在する長方形のパターンであり、その媒体Mの短手方向における画像形成可能領域の全域に形成されている。なお、ハーフトーンパターン402の形成範囲は、媒体Mの表面における全画像形成可能領域のうちの30%に相当する範囲である。すなわち、ハーフトーンパターン402を形成するドットの面積比率は、30%である。
最後に、ハーフトーンパターン402を目視で確認することにより、画像のざらつきの発生状況を評価したところ、表1に示した結果が得られた。
この場合には、ハーフトーンパターン402中において複数のドットの大きさがばらついていないと共に、その複数のドットのうちの一部が抜けていないため、画像がざらついていない場合を「A」と判定した。一方、ハーフトーンパターン402中において複数のドットの大きさがばらついていると共に、その複数のドットのうちの一部が抜けているため、画像がざらついている場合を「C」と判定した。
表1に示した負荷長さ率tpと画質(ざらつき)との相関に基づいて、負荷長さ率tp(40%),tp(60%)が画質に及ぼす影響を調べた。この結果、負荷長さ率tp(40%)が13%〜25%であると共に負荷長さ率tp(60%)が35%〜60%であるという2つの条件を同時に満たしていると(実験例1〜3)、画像のざらつきが発生しなかった。これに対して、負荷長さ率tp(40%),tp(60%)が上記した2つの条件を同時に満たしていない場合(実験例4〜6)には、画像のざらつきが発生した。
特に、負荷長さ率tp(40%),tp(60%)が上記した2つの条件を満たしている場合には、十点平均粗さRzが13μm〜17μmであると共に、平均間隔Smが0.14mm〜0.20mmであると、画像のざらつきが十分に抑えられた。
<2.画像中の残像に関する評価>
次に、上記した実験例1〜6の帯電ローラが搭載された画像形成装置を用いて、同様の手順により画質評価用の画像を形成したのち、その画像の画質(残像)を調べた。
(実験例7〜12)
画像形成装置を用いて画質評価用の画像を形成する場合には、画像形成時においてクリーニングブレードに負の直流電圧(=−300V)を印加したことを除いて、実験例1〜6と同様の手順を経た。
図12は、残像の発生状況を説明するために、その残像が発生した場合の画像を表しており、図11に対応している。
帯電ローラの表面に外添剤などの異物が付着すると、感光体ドラムの表面の帯電状態が不均一化するため、図12に示したように、ボールド文字401の下端から所定の距離Dだけ離れた位置付近(ハーフトーンパターン402の内部)に、ボールド文字401の残像403が発生しやすくなる。この場合には、特に、残像403が発生する一方で、外添剤などの異物が帯電ローラの表面だけでなく感光体ドラムの表面および現像ローラの表面などに付着することに起因してハーフトーンパターン402の画像濃度が低下するため、その残像403が顕在化しやすくなる。なお、図11に示した距離Dは、感光体ドラムの外周1周分に相当する距離である。
画質評価用の画像(ハーフトーン402)を目視で確認することにより、残像403の発生状況を評価したところ、表2に示した結果が得られた。なお、比較のために、クリーニングブレードに電圧が印加されていない場合(実験例1〜6)に関しても同様に残像403の発生状況を評価したところ、表1に示した結果が得られた。
残存403の発生状況を調べる場合には、ハーフトーンパターン402の内部において、残像403の内部位置403Xにおける画像濃度(内部濃度)を測定すると共に、その残像403の外部位置403Yにおける画像濃度(外部濃度)を測定したのち、その内部濃度と外部濃度との差異(濃度差=内部濃度−外部濃度)を算出した。画像濃度の測定装置としては、エックスライト社製の濃度計X−Rite528を用いた。
この結果、濃度差が0.007以下であるため、目視では残像403をほとんど視認できない場合を「A」と判定した。一方、濃度差が0.007よりも大きいため、残像403が発生しており、その残像403を目視で視認できる場合を「C」と判定した。
表1および表2に示したように、クリーニングブレードに電圧を印加した場合(実験例7〜12)においても、クリーニングブレードの電圧を印加しなかった場合(実験例1〜6)と同様の結果が得られた。すなわち、負荷長さ率tp(40%),tp(60%)が上記した2つの条件を満たしていると(実験例7〜9)、その2つの条件を同時に満たしていない場合(実験例10〜12)とは異なり、画像のざらつきが発生しなかった。
しかも、クリーニングブレードに電圧を印加すると(実験例7〜9)、クリーニングブレードに電圧を印加しなかった場合(実験例1〜3)と比較して、残像403がほとんど発生しなかった。
なお、確認までに、クリーニングブレードに印加される電圧と画像濃度との相関を調べたところ、図13に示した結果が得られる。図13では、横軸が電圧(V)を示していると共に、縦軸が画像濃度(内部濃度および外部濃度)を示している。
図13から明らかなように、内部濃度は、電圧に依存せずにほぼ一定であったが、外部濃度は、電圧が増加するにしたがって次第に増加した。電圧の増加にしたがって外部濃度が次第に増加するのは、クリーニングブレードに印加される電圧が増加すると、そのクリーニングブレードに静電的に吸着される正帯電の外添剤の量が増加するためであると考えられる。
この場合には、電圧が−300V以上になると、濃度差が0.07以下になったため、目視では残像403をほとんど視認できなくなった。
これらのことから、帯電ローラの表面の負荷長さ率tp(40%),tp(60%)が式(1)および式(2)のそれぞれに示した2つの条件を同時に満たしていると、画像のざらつきの発生が抑えられた。よって、高品質な画像を得ることができた。
以上、一実施形態を挙げながら本発明を説明したが、本発明は上記した一実施形態において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
具体的には、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置の画像形成方式は、中間転写ベルトを用いた中間転写方式に限られず、他の画像形成方式でもよい。他の画像形成方式は、例えば、中間転写ベルトを用いない画像形成方式などである。中間転写ベルトを用いない画像形成方式では、潜像に付着されたトナーが媒体に対して中間転写ベルトを介して間接的に転写されず、その潜像に付着されたトナーが媒体に対して直接的に転写される。
また、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置は、プリンタに限られず、複写機、ファクシミリおよび複合機などでもよい。