JP2012025902A - ディスプレイパネル用途接着部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温で薄型半導体素子または支持部材に貼付可能であり、120℃で硬化せしめることにより十分な接着力を発現可能であり、かつ上記貼付及び硬化に充分な耐熱性を有し、さらに、厚さ100μm以下の薄型半導体素子と支持部材を接着してもそり等の歪みが少ないディスプレイ用途接着部材を提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤と、(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分とを含み、半導体素子1と支持部材3との接着に使用されるディスプレイ用途接着部材2。
【選択図】図1
【解決手段】(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤と、(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分とを含み、半導体素子1と支持部材3との接着に使用されるディスプレイ用途接着部材2。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディスプレイパネルに用いられる接着部材に関する。
近年、ディスプレイの薄型化・軽量化に伴い、折り曲げ可能な電子ペーパーなどの開発が進められている。液晶用ディスプレイや電子ペーパーなどに代表される薄型ディスプレイパネルには主に単結晶ポリシリコンを成分とする薄型の半導体素子を電極として用いることが一般的である。
しかし、前記半導体素子は通常、ガラス板上に500〜1000℃で成膜する工程が避けられないため、プラスチック製のフィルムを躯体とする電子ペーパーを製造する上での課題となっている。
また、近年の半導体素子の薄型化に伴い、ディスプレイパネル用途接着部材の硬化によるそり、高温で貼付後に室温に冷却したときに、半導体素子と支持部材の熱膨張係数の差異に起因する歪みによるそり、シワ、半導体素子の割れなどの発生が問題になっていた。
本発明は、低温で半導体素子または支持部材に貼付可能でありかつ、低温で硬化せしめることにより接着力を発現でき、歪みが少ないディスプレイ用途接着部材を提供することを目的とする。
本発明は、以下の事項に関する。
1.(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤と、
(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分と
を含み、半導体素子と支持部材との接着に使用されることを特徴とするディスプレイ用途接着部材。
(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分と
を含み、半導体素子と支持部材との接着に使用されることを特徴とするディスプレイ用途接着部材。
2.前記(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分が、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体であり、かつそのエポキシ樹脂含有反復単位の量が0.5〜15.0重量%である前記1.記載のディスプレイ用途接着部材。
3.前記(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤100重量部に対し、前記(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分は10〜400重量部含有する前記1.または2.記載のディスプレイ用途接着部材。
4.加熱硬化後の貯蔵弾性率が、25℃で10〜5000MPa、および260℃で3〜50MPaである前記1.〜3.のいずれか記載のディスプレイ用途接着部材。
5. 25℃〜150℃で(I)半導体素子と支持部材とをディスプレイ用途接着部材で貼合する工程、および60℃〜120℃で(II)前記ディスプレイ用途接着部材を熱により硬化せしめる工程により薄型半導体素子と支持部材を接着するために使用する前記1.〜4.のいずれか記載のディスプレイ用途接着部材。
本発明のディスプレイ用途接着部材は、低温で薄型半導体素子または支持部材に貼付可能でありかつ、120℃程度の低温で硬化せしめることにより、十分な接着力を発現可能で、歪みが少ないため、薄型ディスプレイパネルに用いることができる。特に電子ペーパーのように、厚さ100μm以下の薄型半導体素子と支持部材を接着した場合でも、そりが少ない。また、本発明のディスプレイ用途接着部材は上記貼合及び硬化する場合に必要な耐熱性を有し、かつ作業性に優れるものであり、電子ペーパーに用いて最適である。
図1に、本発明における一実施態様の概念図を示す。半導体素子1に、ディスプレイ用途接着部材2を介して、支持部材3が積層されている。一般的な積層方法は、まず半導体素子と支持部材とをディスプレイ用途接着部材2で貼合する。次に前記ディスプレイ用途接着部材を加熱して硬化させる。
本発明において、半導体素子1(薄型半導体素子)としては、単結晶ポリシリコンの他、多結晶ポリシリコン、非結晶ポリシリコン、各種セラミック、ガリウム砒素化合物などの化合物半導体などが使用される。
支持部材3は、特に単体では取り扱いが困難な厚さ0.2〜200μmの薄型半導体素子に適用されるため、支持部材としては、各種フィルム、FRP、金属板、箔及びそれらの複合部材が使用される。好ましくは樹脂製のフィルムやFRPであり、たとえばポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリイミドなどの樹脂製のフィルム、ガラスエポキシFRP等が好ましい。
支持部材3は、特に単体では取り扱いが困難な厚さ0.2〜200μmの薄型半導体素子に適用されるため、支持部材としては、各種フィルム、FRP、金属板、箔及びそれらの複合部材が使用される。好ましくは樹脂製のフィルムやFRPであり、たとえばポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリイミドなどの樹脂製のフィルム、ガラスエポキシFRP等が好ましい。
半導体素子と支持部材とをディスプレイ用途接着部材2で貼合する工程(以下、工程(I)ともいう。)において、ディスプレイ用途接着部材1を半導体素子に貼り付ける温度、即ちラミネート温度は、25℃〜150℃の範囲で行われることが好ましく、40℃〜120℃の範囲で行われることがより好ましく、60℃〜90℃の範囲で行われることがさらに好ましい。貼付方法については、ラミネータなど、従来公知の方法により貼合することができる。
前記ディスプレイ用途接着部材を熱により硬化せしめる工程(以下、工程(II)ともいう。)においては、ロールや圧縮プレスなどにより圧力をかけないほうが、室温(0〜30℃)に戻した時の歪みが抑制できるため好ましい。具体的には、オーブン若しくはホットプレート上にラミネートした複合部材を置き、ディスプレイ用途接着部材を加熱硬化せしめる。上記加熱硬化の条件はディスプレイ用途接着部材の組成によっても異なるが、通常60〜120℃の範囲であるのが好ましい。この場合、加熱時間は5〜400分が好ましい。その後、冷却すればよい。
本発明における半導体装置の製造方法は、上記工程に限定されるものではなく、任意の工程を含み得る。例えば、上記二つの工程(I)、(II)を行う前後のいずれかの段階において、ディスプレイ用途接着部材に紫外線、赤外線若しくはマイクロ波を照射する工程、又は、ディスプレイ用途接着部材を加熱,振動若しくは冷却する工程を含んでもよい。
次に、本発明のディスプレイ用途接着部材に用いられる成分についてより詳細に説明する。
本発明の接着部材に使用する(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤のうち、上記エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
本発明の接着部材に使用する上記エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができる。例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
本発明の接着部材に使用する(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。グリジシル基を有する上記官能性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴム、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体を好ましく用いることができる。
なお、本発明において「官能性モノマー」とは官能基を有するモノマーのことを意味する。また、上記アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
また、上記グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体のエポキシ樹脂含有反復単位の量は、0.5〜15.0重量%であることが好ましく、0.5〜8.0重量%であることがより好ましく、0.8〜5.0重量%であることが特に好ましい。エポキシ樹脂含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着強度を確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。本発明において「エポキシ樹脂含有反復単位」とは(B)の高分子量成分を構成する全モノマーのうち、エポキシ基を有するモノマーの比率(重量%)を指す。
また、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体以外の上記官能性モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。
上記これらの官能性モノマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。官能性モノマーとして、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体とその他の官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体のガラス転移温度(以下、Tgと表す)を考慮して決定することが望ましい。
また、上記官能性モノマーのTgは、−10℃以上であることが好ましい。Tgが−10℃以上であるものを用いると、ディスプレイ用途接着部材のタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じない。
また、モノマーを重合させて上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を製造する場合、その重合方法は特に制限されず、例えば、懸濁重合、溶液重合等の方法を使用することができる。
本発明において、官能性モノマーを含む高分子量成分の重量平均分子量は10万以上であるが、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量が10万以上であると、部材状又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当であるため配線の回路充填性を確保できる。なお、本発明において、重量平均分子量とは、後に評価方法の欄で説明するようにゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
本発明の接着部材は、上記(A)エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤、(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を主成分として含有するが、前記(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤を100重量部としたとき、前記(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分は10〜400重量部であるのが好ましい。
さらに、本発明のディスプレイ用途接着部材には、破断強度の向上、破断伸びの抑制、ディスプレイ用途接着部材の取り扱い性の向上、熱伝導性の向上、タック性の調整、チクソトロピック性の付与などを目的としてフィラー、好ましくは無機フィラーを配合することが好ましい。
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物などが挙げられる。熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、耐湿性を向上させるためにはアルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、アンチモン酸化物が好ましい。
上記フィラーの配合量は、エポキシ樹脂及びその硬化剤の合計100重量部に対して、好ましくは0〜80重量部、より好ましくは1.0〜30重量部である。80重量部以下であれば、ディスプレイ用途接着部材の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、貼合しにくくなることによる電気特性の低下等の問題が起きにくいので好ましい。
また、上記フィラーの平均粒径は0.005μm〜0.1μmが好ましく、この範囲内であれば充分な接着性が得られる。
さらに、本発明のディスプレイ用途接着部材には、冷蔵状態または室温で長期間保管した後でも接着性が変化しない点で、潜在性を有する触媒を使用することが好ましい。なお、潜在性硬化促進剤とは、接着剤の硬化温度での反応速度を維持したまま室温における反応速度を極めて低くできる硬化促進剤のことであり、室温ではエポキシ樹脂に不溶の固体の硬化促進剤で、加熱することで可溶化し促進剤として機能するものである。
本発明のディスプレイ用途接着部材に用いられる潜在性硬化促進剤としては、従来から提案されている潜在性硬化剤を用いることができ、その代表例としてはジシアンジミド、アジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物、グアナミン酸、メラミン酸、エポキシ化合物とイミダゾールの化合物との付加化合物、エポキシ化合物とジアルキルアミン類との付加化合物、アミンと尿素、チオ尿素又はこれらの誘導体との付加化合物(アミン−ウレイドアダクト系潜在性硬化促進剤)、アミンとイソシアネートとの付加化合物(アミン−ウレタンアダクト系潜在性硬化促進剤)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
室温での活性を低減できる点でアダクト型の構造をとっているものが好ましい。アダクト型の構造とは、触媒活性を有する化合物と種々の化合物を反応させて得られる付加化合物のことであり、触媒活性を有する化合物がイミダゾール化合物や1,2,3級アミノ基を有する化合物などのアミン類であればアミンアダクト型という。さらに、アダクトしている化合物の種類によりアミン−エポキシアダクト系、アミン−ウレイドアダクト系、アミン−ウレタンアダクト系等がある。硬化時に発泡せず、かつ低弾性を有し、耐熱性、耐湿性が良好な接着剤硬化物を得られる点でアミン−エポキシアダクト系が最も好ましい。さらにエポキシ化合物が長鎖であるものが潜在性がより高く優れている。
本発明のディスプレイ用途接着部材に用いられるアミン−エポキシアダクト系潜在性硬化促進剤とは、例えば、室温ではエポキシ樹脂に不溶性の固体で、加熱することで可溶化し促進剤として機能する、アミン類とエポキシ化合物を反応させて得られる付加物であり、これらの付加物の表面をイソシアネート化合物や酸性化合物で処理したもの等も含まれる。
アミン−エポキシアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール、またはグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、あるいはp−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、あるいはフタル酸、テレフタル酸等のポリカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル、あるいは4,4´−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノールなどとエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルアミン化合物、さらにはエポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン等の多官能性エポキシ化合物や、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の単官能性エポキシ化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミン−エポキシアダクト系潜在性硬化促進剤の製造原料として用いられるアミン類は、エポキシ基と付加反応しうる活性水素を分子内に1個以上有し、かつ1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基の中から選ばれた置換基を分子内に少なくとも1個以上有するものであれば良い。このようなアミン類としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロ剥離アミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロ剥離アミン、シクロヘキシルアミン、4,4´−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、の等の脂肪族アミン類、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2−メチルアニリン等の芳香族アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン等の窒素含有複素環化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物の中でも特に3級アミノ基を有する化合物は潜在性が極めて高い硬化促進剤を与える原料であり、そのような化合物の例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン等のようなアミン化合物や、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等のような、分子内に3級アミノ基を有する1級もしくは2級アミン類などがある。アミン−ウレイドアダクト系潜在性硬化促進剤、アミン−ウレタンアダクト系潜在性硬化促進剤の原料となるアミン化合物も同様のものが使用できる。
アミン−ウレタンアダクト系潜在性硬化促進剤の原料となるイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフエニルスルホンジイソシアネート、トリフエニルメタンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシアネートエチル−3,5,5一トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシアネートエチル−3,5,5−トリエチルシクロヘキシルイソシアネート、ジフエニルプロパンジイソシアネート、フエニレンジイソシアネート、シクロヘキシリレンジイソシアネート、3,3´−ジイソシアネートジプロピルエーテル、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフエニルエーテル−4,4´−ジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、これらの二量体又は三量体、これらのポリイソシアネート化合物のトリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコールとの付加物などがある。
本発明に用いられるアダクト型硬化促進剤の代表的な例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。アミン−エポキシアダクト系としては、味の素株式会社からはアミキュアPN−23、アミキュアMY−24、アミキュアMY−D、アミキュアMY−H等、エー・シー・アール株式会社からはハードナーX−3615S、ハードナーX−3293S等、旭化成株式会社からはノバキュアHX−3748、ノバキュアHX−3088等、パシフィック アンカー ケミカルからはAncamine 2014AS、Ancamine 2014FG等がそれぞれ上記の商品名で市販されている。また、アミン−ウレイド型アダクト系としては富士化成株式会社からフジキュアFXE−1000、フジキュアFXR−1030という商品名で市販されている。
潜在性硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂及びその硬化剤の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1.0〜15重量部である。0.1重量部以上であれば短い硬化速度で良好な接着剤硬化物が得られる。また20重量部以下であれば可使期間が充分に長い。
本発明のディスプレイ用途接着部材のフィルム状に成形した際の厚みは、特に制限はないが、1〜250μmが好ましい。1μm以上であれば応力緩和効果が発揮でき、250μm以下であれば経済的である上に、半導体装置の小型化の要求に応えられる。
また、本発明のディスプレイ用途接着部材は、所望の厚さを得るために2層以上を貼合することもできる。この場合には、接着剤層同士の剥離が発生しにくい貼合条件をさらに考慮すればよい。
また、本発明のディスプレイ用途接着部材は、加熱硬化した段階で、貯蔵弾性率が25℃で10〜5000MPa、260℃で3〜50MPaであることが好ましい。また、25℃での貯蔵弾性率は、20〜1900MPaがより好ましく、50〜1800MPaが特に好ましい。また、260℃での貯蔵弾性率は、5〜50MPaがより好ましく、7〜50MPaが特に好ましい。
貯蔵弾性率が上記の範囲にあると、半導体素子と支持部材との熱膨張係数の差によって発生する熱応力を緩和させる効果が保たれ、剥離やそり、シワ、半導体素子の割れの発生を抑制できるとともに、接着剤の取り扱い性に優れる。上記加熱硬化の条件はディスプレイ用途接着部材の組成によっても異なるが、通常60〜300℃、5〜600分の範囲である。この貯蔵弾性率は、例えば、動的粘弾性測定装置(レオロジー社製、DVE−V4)を使用し、接着剤硬化物に引張荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度5〜10℃/minの条件で−70℃から300℃まで測定する、温度依存性測定モードによって測定できる。
本発明のディスプレイ用途接着部材は、例えば、ディスプレイ用途接着部材用の上述した各成分を溶剤に溶解ないし分散・混練してワニス状としたものを、前述の支持部材フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによりディスプレイ用途接着部材を支持部材フィルム上に形成することにより、作製することもできる。
上記のワニス化に用いることのできる溶剤としては、材料を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
支持部材フィルム上へのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
上記の混合、混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。
上記の混合、混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。
有機溶媒の使用量は、ディスプレイ用途接着部材調製後の残存揮発分が全重量基準で0.01〜3重量%であれば特に制限はないが、耐熱信頼性の観点からは全重量基準で0.01〜2.0重量%が好ましく、全重量基準で0.01〜1.5重量%がさらに好ましい。
本発明のディスプレイ用途接着部材は、動的粘弾性測定による弾性率が一定の温度、周波数依存性を有する場合、室温での可とう性を維持し、40〜100℃で貼付することが可能であり好ましい。本発明のディスプレイ用途接着部材は、25℃の10Hzの動的粘弾性測定による弾性率が1〜4000MPaであることが好ましく、ディスプレイ用途接着部材の取り扱い・作業性の観点から、より好ましくは10〜2000MPa、さらに好ましくは100〜1000MPaである。弾性率が1MPa以上であれば、ディスプレイ用途接着部材の伸びが小さく、取り扱いやすい。弾性率が4000MPa以下であれば、取り扱い時にディスプレイ用途接着部材にクラックが発生することが少ない。
本発明のディスプレイ用途接着部材は半導体素子のそりが小さく、また、室温の取り扱い性が良いことから、25〜150℃の間で素子にラミネートすることが好ましい。したがって、ディスプレイ用途接着部材の60℃、10Hzの動的粘弾性測定による弾性率が0.1〜20MPaであることが好ましく、より好ましくは10MPa以下、さらに好ましくは5MPa以下である。0.1MPa以上であると貼付後にディスプレイ用途接着部材が素子から剥離したり、位置ズレしたりすることが生じにくいため好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下に限定されるものではない。
(実施例1)
[ディスプレイ用途接着部材の組成と製造方法]
エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製:YDF−8170C)48重量部;エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール樹脂(大日本インキ(株)製:商品名LF−4871を使用)40重量部;フィラーとして非晶シリカフィラー(日本アエロジル(株)製:R−972)を31重量部を混合し、ビーズミルを介して分散・混練し、ミルベースをえた。これにグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート2〜6重量%を含むアクリルゴムHTR−860P−3(帝国化学産業(株)製商品名、重量平均分子量100万)200重量部、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製キュアゾール2PZ−OKを使用)1.2重量部を混合し、真空脱気してディスプレイ用途接着部材用ワニスを得た。
[ディスプレイ用途接着部材の組成と製造方法]
エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製:YDF−8170C)48重量部;エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール樹脂(大日本インキ(株)製:商品名LF−4871を使用)40重量部;フィラーとして非晶シリカフィラー(日本アエロジル(株)製:R−972)を31重量部を混合し、ビーズミルを介して分散・混練し、ミルベースをえた。これにグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート2〜6重量%を含むアクリルゴムHTR−860P−3(帝国化学産業(株)製商品名、重量平均分子量100万)200重量部、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製キュアゾール2PZ−OKを使用)1.2重量部を混合し、真空脱気してディスプレイ用途接着部材用ワニスを得た。
以下に、ディスプレイ用途接着部材の評価方法を示す。なお各評価方法で用いたサンプルは下記の工程から選択した。
(a) 上記の接着剤ワニスを、厚さ50μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、90℃10分間、120℃で5分間加熱乾燥して膜厚が10μmの塗膜とし、ディスプレイ用途接着部材を作製した。
(b) 上記(a)で作製したディスプレイ用途接着部材をホットロールラミネータ(大成ラミネータ製)を用いて、90℃でポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製ユーピレックス75s、厚さ75μm)に加圧貼合した(図1参照)。
(c) これと半導体素子A(厚さ100.0μm、50mm角)を前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しつつ、ホットロールラミネータ(大成ラミネータ製)で、60℃(0.3m/分、0.3MPa)で貼合して複合部材を得た(工程(I))。
(d) 得られた複合部材を120℃で60分加熱、硬化せしめた(工程(II))。
[ディスプレイ用途接着部材の評価方法]
(1)支持部材との接着強度
工程(c)の後、島津製作所製オートグラフを用いて、25±2℃の雰囲気中で、ポリイミドフィルムと接着部材との界面を90°の角度で、50mm/分の引張り速度で剥がしたときの剥離強度を求めた。
(1)支持部材との接着強度
工程(c)の後、島津製作所製オートグラフを用いて、25±2℃の雰囲気中で、ポリイミドフィルムと接着部材との界面を90°の角度で、50mm/分の引張り速度で剥がしたときの剥離強度を求めた。
(2)弾性率(貯蔵弾性率)
上記(a)工程のポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後の状態若しくは工程(c)の直前の段階におけるディスプレイ用途接着部材の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジー社製、DVE−V4)を用いて測定した(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚20μm、温度範囲−60〜150℃、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)。
上記(a)工程のポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後の状態若しくは工程(c)の直前の段階におけるディスプレイ用途接着部材の貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジー社製、DVE−V4)を用いて測定した(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚20μm、温度範囲−60〜150℃、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)。
上記(d)工程終了後の複合部材を用い、温度範囲を300℃までとした以外は、同じ条件でディスプレイ用途接着部材の貯蔵弾性率を測定した。
(3)タック強度
上記(a)工程のポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後の状態若しくは工程(c)の直前の段階のディスプレイ用途接着部材のタック強度を、レスカ株式会社製タッキング試験機を用いて、JIS Z0237−1991に記載の方法(プローブ直径5.1mm、引き剥がし速度10mm/秒、接触荷重100gf/cm2(約9.8kPa)、接触時間1秒)により、25℃ないし60℃のホットプレート上で測定した。
上記(a)工程のポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後の状態若しくは工程(c)の直前の段階のディスプレイ用途接着部材のタック強度を、レスカ株式会社製タッキング試験機を用いて、JIS Z0237−1991に記載の方法(プローブ直径5.1mm、引き剥がし速度10mm/秒、接触荷重100gf/cm2(約9.8kPa)、接触時間1秒)により、25℃ないし60℃のホットプレート上で測定した。
1 半導体素子
2 ディスプレイ用途接着部材
3 支持部材
2 ディスプレイ用途接着部材
3 支持部材
Claims (5)
- (A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤と、
(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分と
を含み、半導体素子と支持部材との接着に使用されることを特徴とするディスプレイ用途接着部材。 - 前記(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分が、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体であり、かつそのエポキシ樹脂含有反復単位の量が0.5〜15.0重量%である請求項1記載のディスプレイ用途接着部材。
- 前記(A)エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤を100重量部に対し、前記(B)官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分は10〜400重量部含有する請求項1または2記載のディスプレイ用途接着部材。
- 加熱硬化後の貯蔵弾性率が、25℃で10〜5000MPa、および260℃で3〜50MPaである請求項1〜3のいずれか記載のディスプレイ用途接着部材。
- 25℃〜150℃で(I)半導体素子と支持部材とをディスプレイ用途接着部材で貼合する工程、および60℃〜120℃で(II)前記ディスプレイ用途接着部材を熱により硬化せしめる工程により薄型半導体素子と支持部材を接着するために使用する請求項1〜4のいずれか記載のディスプレイ用途接着部材。
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JP2010168274A JP2012025902A (ja) | 2010-07-27 | 2010-07-27 | ディスプレイパネル用途接着部材 |
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CN111849372A (zh) * | 2020-07-22 | 2020-10-30 | 太仓展新胶粘材料股份有限公司 | 一种耐折叠的泡棉胶片及其制作方法 |
-
2010
- 2010-07-27 JP JP2010168274A patent/JP2012025902A/ja active Pending
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