JP2012022772A - ヘッド、ヘッドサスペンションアッセンブリ、およびこれを備えたディスク駆動装置 - Google Patents

ヘッド、ヘッドサスペンションアッセンブリ、およびこれを備えたディスク駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スライダの浮上量変動を抑制し、信頼性および安定性の向上したヘッド、このヘッドを備えたヘッドサスペンションアッセンブリ、およびディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】ヘッド40のスライダ42は、対向面43に形成された負圧キャビティ54と、負圧キャビティの上流側に位置したリーディングステップ部50と、負圧キャビティに対し空気流の流出側に設けられ、ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッド60と、前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッド64と、正圧発生パッドの空気流出側に設けられた一対のセンタースカート66と、を備えている。
【選択図】図3

Description

この発明は、磁気ディスク装置等のディスク駆動装置に用いるヘッド、このヘッドを備えたヘッドサスペンションアッセンブリ、およびヘッドサスペンションアッセンブリを備えたディスク駆動装置に関する。
ディスク駆動装置として、例えば、磁気ディスク装置は、ケース内に配設された磁気ディスクと、磁気ディスクを支持および回転駆動するスピンドルモータと、磁気ディスクに対して情報のリード/ライトを行う磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、を備えている。キャリッジアッセンブリは、回動自在に支持されたアームと、アームから延出したサスペンションとを備え、このサスペンションに延出端に磁気ヘッドが支持されている。磁気ヘッドは、サスペンションに取り付けられたスライダ、およびスライダに設けられたヘッド部を有し、ヘッド部は、リード用の再生素子、ライト用の記録素子を含んで構成されている。
スライダは、磁気ディスクの記録面と対向したディスク対向面(エアベアリングサーフェース:ABS)を有している。スライダは、サスペンションにより、磁気ディスクの磁気記録層に向う方向に所定のヘッド荷重が印加されている。磁気ディスク装置の動作時、回転する磁気ディスクとスライダとの間に空気流が発生し、スライダのディスク対向面には、空気流体潤滑の原理により、スライダを磁気ディスク記録面から浮上させる力(正圧)が作用する。この浮上力とヘッド荷重とを釣り合わせることにより、スライダは磁気ディスク記録面と隙間を保って浮上する。スライダの浮上量の変動を防止するため、スライダの対向面中央付近に負圧キャビティや動圧発生溝を形成したディスク駆動装置が知られている(例えば、特許文献1)。
すなわち、このスライダは、ABSの中央部に形成された負圧キャビティと、スライダの空気流入端側に設けられたフロントパッド部と、スライダの空気流出端側に設けられたリアパッドと、を備えている。リアパッドは、流出側ステップ部と、流出側ステップ部に続いて形成された流出側レール面と、流出側レールより深い溝、さらに、流出側レール面と同一高さにある流出側パッド部とで構成されている。流出側パッド部は、その前方及び両側を流出側レール面に囲まれている。そして、流出側パッド部に、ヘッド部を構成する磁気トランスジューサが設けられている。
ディスク表面とスライダのABSとの間を流れる空気流により、フロントパッド部、リアパッド部、および流出側パッド部で正圧が発生し、スライダは、流出側パッド部が最もディスク面に接近した状態で浮上姿勢を保つ。
一方、近年、磁気ディスクとして、ディスク面に凹凸を形成し、つまり、隣合うトラック間に溝を形成し、隣接するトラック間の相互干渉を低減することにより記録密度を向上したディスクリート・トラック・レコーティング(DTR)ディスクが提供されている。
特開2007−73165号公報
上記のような磁気ヘッドを用いて、DTRディスクの凹凸を伴う記録面に対して情報の書き込みあるいは読み出しを行う場合、記録面の凹凸変化やメディア加工時に発生する微少ダストにより、スライダの各パッド部で発生している正圧が変化し、スライダの浮上量が大きく変動してしまう。特に、記録面に最も接近して位置する流出側パッド部で発生する正圧が変動し易い。このように、スライダの浮上量が変動すると、ディスクに対して安定した情報の記録、再生を行うことが困難となる。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、スライダの浮上量変動を抑制し、信頼性および安定性の向上したヘッド、このヘッドを備えたヘッドサスペンションアッセンブリ、およびディスク駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るヘッドは、記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を備え、
前記スライダは、前記対向面に形成された負圧キャビティと、前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられた一対のセンタースカートと、を備えている。
この発明の他の態様に係るディスク駆動装置は、ディスク状の記録媒体を支持し回転する駆動部と、前記記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を具備したヘッドと、前記ヘッドを移動自在に支持するように構成されたヘッドサスペンションと、を備え、
前記スライダは、前記対向面に形成された負圧キャビティと、前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられた一対のセンタースカートと、を備えている。
この発明の態様によれば、スライダの浮上量変動を抑制し、信頼性および安定性の向上したヘッド、このヘッドを備えたヘッドサスペンションアッセンブリ、およびディスク駆動装置を提供することができる。
図1は、この発明の第1の実施形態に係るHDDを示す平面図。 図2は、上記HDDにおける磁気ヘッドおよび磁気ディスク部分を拡大して示す側面図。 図3は、上記磁気ヘッドのスライダのディスク対向面側を示す斜視図。 図4は、上記スライダのディスク対向面側を示す平面図。 図5は、図4の線A−Aに沿った断面図。 図6は、比較例1に係るスライダ、比較例2に係るスライダ、および本実施形態に係るスライダをそれぞれ示す平面図。 図7は、前記比較例1に係るスライダ、比較例2に係るスライダ、および本実施形態に係るスライダの圧力分布をそれぞれ示す図。 図8は、前記比較例2に係るスライダおよび本実施形態に係るスライダの浮上量変動をシュミレーションした結果を示す図。 図9は、この発明の第2の実施形態に係る磁気ヘッドのスライダを示す平面図。 図10は、この発明の第3の実施形態に係る磁気ヘッドのスライダを示す平面図。
以下図面を参照しながら、この発明に係るディスク駆動装置をハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)に適用した第1の実施形態について詳細に説明する。
図1は、ケースのトップカバーを取外して、HDDの内部構造を示している。図1に示すように、HDDは、上面の開口した矩形箱状のベース12と、複数のねじによりケースにねじ止めされケースの上端開口を閉塞する図示しないトップカバーと、を有している。
ベース12内には、記録媒体としての磁気ディスク16、磁気ディスクを支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ18、磁気ディスクに対して情報の書き込み、読み出しを行なう複数の磁気ヘッド40、これらの磁気ヘッドを磁気ディスク16に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリ22、キャリッジアッセンブリを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)24、磁気ヘッドが磁気ディスクの最外周に移動した際、磁気ヘッドを磁気ディスクから離間した退避位置に保持するランプロード機構25、およびヘッドIC等を有する基板ユニット21等が配設されている。
ベース12の底壁外面には、図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。このプリント回路基板は、基板ユニット21を介して、スピンドルモータ18、VCM24、および磁気ヘッド40の動作を制御する。
磁気ディスク16は、上面および下面に磁気記録層を有している。また、磁気ディスク16として、ディスク面に凹凸を形成し、つまり、隣合うトラック間に溝を形成し、隣接するトラック間の相互干渉を低減することにより記録密度を向上したディスクリート・トラック・レコーティング(DTR)ディスクを用いている。磁気ディスク16は、スピンドルモータ18の図示しないハブの外周に嵌合されているとともに、クランプばね17によってハブ上に固定されている。スピンドルモータ18を駆動することにより、磁気ディスク16は所定の速度で矢印B方向に回転される。
キャリッジアッセンブリ22は、ベース12の底壁上に固定された軸受部26と、軸受部から延出した複数のアーム32と、を備えている。これらのアーム32は、磁気ディスク16の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部26から同一の方向へ延出している。キャリッジアッセンブリ22は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション38を備えている。サスペンション38は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム32の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション38の先端部に磁気ヘッド40が支持されている。各サスペンション38は対応するアーム32と一体に形成されていてもよい。アーム32およびサスペンション38によりヘッドサスペンションを構成し、このヘッドサスペンションと磁気ヘッド40とによりヘッドサスペンショ ンアッセンブリを構成している。
図2に示すように、各磁気ヘッド40は、ほぼ直方体形状のスライダ42とこのスライダに設けられた記録再生用のヘッド部44とを有し、サスペンション38の先端部に設けられたジンバルばね41に固定されている。各磁気ヘッド40は、サスペンション38の弾性により、磁気ディスク16の表面に向かうヘッド荷重Lが印加されている。
図1に示すように、キャリッジアッセンブリ22は、軸受部26からアーム32と反対の方向へ延出した支持枠45を有し、この支持枠により、VCM24の一部を構成するボイスコイル47が支持されている。支持枠45は、合成樹脂によりボイスコイル47の外周に一体的に成形されている。ボイスコイル47は、ベース12に固定された一対のヨーク49間に位置し、これらのヨーク、および一方のヨークに固定された図示しない磁石とともにVCM24を構成している。ボイスコイル47に通電することにより、軸受部26の回りでキャリッジアッセンブリ22が回動し、磁気ヘッド40は磁気ディスク16の所望のトラック上に移動および位置決めされる。
ランプロード機構25は、ベース12の底壁に設けられているとともに磁気ディスク16の外側に配置されたランプ51と、各サスペンション38の先端から延出したタブ53と、を備えている。キャリッジアッセンブリ22が、磁気ディスク16の外側の退避位置まで回動する際、各タブ53は、ランプ51に形成されたランプ面と係合し、その後、ランプ面の傾斜によって引き上げられ、磁気ヘッド40のアンロード動作を行う。
次に、磁気ヘッド40の構成について詳細に説明する。図3は磁気ヘッドのディスク対向面側を示す斜視図、図4はスライダの平面図、図5はスライダの断面図である。
図3ないし図5に示すように、磁気ヘッド40はほぼ直方体状に形成されたスライダ42を有し、このスライダは磁気ディスク16の表面に対向する矩形状のディスク対向面(ABS)43、ディスク対向面と直交して延びた流入側端面44a、ディスク対向面と直交して延びた流出側端面44b、およびそれぞれディスク対向面と直交して流入側端面44aと流出側端面44bとの間を延びた一対の側面44cを有している。
ディスク対向面43の長手方向を第1方向X、これと直交する幅方向を第2方向Yとする。スライダ42は、第1方向Xの長さL1が1.25mm以下、例えば、0.85mm、第2方向Yに沿った幅Wが1.00mm以下、例えば、0.70mmに形成され、いわゆるフェムトスライダとして構成されている。
磁気ヘッド40は浮上型のヘッドとして構成され、スライダ42は、磁気ディスク16の回転によってディスク表面とディスク対向面43との間に生じる空気流C(図2参照)により浮上する。HDDの動作時、スライダ42のディスク対向面43はディスク表面に対し常に隙間を保って対向している。ここで、空気流Cの方向は、磁気ディスク16の回転方向Bと一致している。スライダ42は、磁気ディスク16表面に対し、ディスク対向面43の第1方向Xが空気流Cの方向とほぼ一致するように配置されている。
図3ないし図5に示すように、ディスク対向面43のほぼ中央部から流出端側に渡って、凹所からなる負圧キャビティ54が形成されている。負圧キャビティ54は、流出側端面44bに向かって開放している。スライダ42の厚さは、例えば0.23mmに形成され、負圧キャビティ54の深さは600〜1500nm、例えば1500nmに形成されている。負圧キャビティ54を設けることにより、HDDで実現される全てのヨー角において、ディスク対向面43中心部で負圧を発生させることができる。
ディスク対向面43において、流入側端部には、ほぼ矩形状のリーディングステップ部50が形成されている。リーディングステップ部50はディスク対向面43より一段低く、負圧キャビティ54の底面に対して突出して設けられている。リーディングステップ部50は、空気流Cに対して負圧キャビティ54の流入側に位置し、かつ、スライダ42の第2方向Yのほぼ全長に亘って延びている。
ディスク対向面43には、ディスク対向面43の各側縁に沿って延びているとともに第2方向Yに間隔を置いて対向した一対のサイド部46が形成されている。これらのサイド部46は負圧キャビティ54の底面に対して突出して設けられている。サイド部46は、リーディングステップ部50からスライダ42の下流端側に延出している。リーディングステップ部50および一対のサイド部46は、スライダ42の中心軸線に対して対象に設けられ、全体として、上流側が閉塞され、下流側に向かって開放したほぼU字形状に形成されている。そして、リーディングステップ部50および一対のサイド部46により負圧キャビティ54が規定されている。
磁気ヘッド40のピッチ角を維持するため、リーディングステップ部50上には、空気膜によってスライダ42を支えるリーディングパッド52が突設されている。リーディングパッド52は、第2方向Yに沿ってリーディングステップ部50の幅方向全域に渡り連続的に延びているとともに、スライダ42の流入側端面44aから流出端側にずれた位置に形成されている。
各サイド部46上には、サイドパッド48が形成され、リーディングパッド52に繋がっている。リーディングパッド52およびサイドパッド48はほぼ平坦に形成され、ディスク対向面43を形成している。
各サイドパッド48には第1凹所56aおよび第2凹所56bが連続して形成されている。第1および第2凹所56a、56bは、磁気ディスク表面に向かって開口しているとともに、ディスク対向面43の流入側端に向かって開口している。第1凹所56aおよび第2凹所56bの各々は矩形状に形成され、第1方向Xとほぼ平行に延びた一対の側縁、およびこれら側縁の延出端同士を繋いでいるとともに第2方向Yとほぼ平行に延びた底縁によって規定されている。第2凹所56bは、第1凹所56aよりも一段深く形成されている。
スライダ42のディスク対向面43には、それぞれ第1方向Xに沿ってサイド部46からスライダの流出側端に向かって直線的に延出した一対のサイドスカート57が形成されている。各サイドスカート57は、サイド部46よりも深く形成され、負圧キャビティ54の底面に対して突出している。各サイドスカート57は、ディスク対向面43に対して、例えば、深さ100〜200nmに形成されている。
スライダ42は、ディスク対向面43の流出側の端部に設けられたヘッド配置用パッド60と、リーディングパッド52とヘッド配置用パッド60との間、すなわち、スライダの流出側端から流入側へ距離L2だけ離れた位置でディスク対向面43に設けられた正圧発生パッド部64と、正圧発生パッドに対して流出端側に設けられた一対のセンタースカート66と、を有している。
ヘッド配置用パッド60は、十分に小さな矩形状に形成され、スライダ42の中心軸線上に位置しているとともに、負圧キャビティ54に対して突出している。ヘッド配置用パッド60は、ディスク対向面43の一部を形成している。磁気ヘッド40のヘッド部44は、磁気ディスク16に対して情報の記録再生を行う記録素子および再生素子を有している。これら再生素子および記録素子は、ヘッド配置用パッド60内に埋め込まれている。再生素子および記録素子は、ヘッド配置用パッド60に形成された図示しないリード/ライトギャップを有している。
正圧発生パッド64は、例えば、矩形状に形成され、スライダ42の中心軸線上に位置しているとともに、負圧キャビティ54に対して突出している。正圧発生パッド64の上面は、リーディングパッド52およびサイドパッド48と同一高さに位置し、ディスク対向面43の一部を形成している。正圧発生パッド64は、第2方向に沿った幅を有し、この幅は、ヘッド配置用パッド60の幅よりも大きく形成されている。
正圧発生パッド64からスライダ42の流出側端までの長さL2は、スライダ42の流入端と流出端との間の長さL1の7%〜30%(サイド部の位置)、望ましくは、15%以上で、かつ、サイド部46とスライダの流出側端との距離も短く設定されている。
正圧発生パッド64には、第1凹所65aおよび第2凹所65bが連続して形成されている。第1および第2凹所65a、65bは、磁気ディスク表面に向かって開口しているとともに、ディスク対向面43の流入側端に向かって開口している。第1凹所65aおよび第2凹所65bの各々は矩形状に形成され、第1方向Xとほぼ平行に延びた一対の側縁、およびこれら側縁の延出端同士を繋いでいるとともに第2方向Yとほぼ平行に延びた底縁によって規定されている。第2凹所65bは、第1凹所65aよりも一段深く形成されている。
一対のセンタースカート66は、正圧発生パッド64の流出側端からディスク対向面43の流出側端まで第1方向Xに沿って延びている。一対のセンタースカート66は、正圧発生パッド64の幅とほぼ等しい間隔だけ、第2方向Yに沿って互いに離間して対向している。一対のセンタースカート66は、負圧キャビティ54よりも浅く、正圧発生パッド64よりも深く形成されている。そして、正圧発生パッド64および一対のセンタースタート部66により負圧発生領域70が規定されている。ヘッド配置用パッド60は、センタースカート66の間に位置している。
以上のように構成されたHDDおよびヘッドサスペンションアッセンブリによれば、磁気ヘッド40は、磁気ディスク16の回転によってディスク表面とディスク対向面43との間に生じる空気流Cにより浮上する。これにより、HDDの動作時、スライダ42のディスク対向面43はディスク表面に対し常に隙間を保って対向している。図2に示すように、磁気ヘッド40は、ヘッド部44のリード/ライトギャップが最もディスク表面に接近した傾斜姿勢をとって浮上する。
磁気ヘッド40は、スライダ42のディスク対向面43に負圧キャビティ54を設けることにより、HDDで実現される全てのヨー角において、ディスク対向面43中心部で負圧を発生させることができる。スライダ42の流出側端部、つまり、トレーリング部には、リードライト素子を搭載するために必要最小限のヘッド配置用パッド60が配置され、流出端側の正圧発生パッド64は、スライダ42の流出側端から流入側端にずれ、磁気ディスク表面の凹凸のを受け難い位置に設けられている。また、正圧発生パッドからスライダの流出端側に延びるセンタースカートを設け、トレーリング側の負圧発生量を増大させている。これにより、磁気ディスク表面の凹凸や、ディスク加工時に発生する微少ダストによる影響に伴うヘッドの浮上量変動を抑制することが可能となる。
本発明者は、図6に示すように、比較例1、比較例2に係るスライダと、本実施形態に係るスライダとを用意し、これらのスライダの発生圧力分布、および磁気ディスクの凹凸表面に対する浮上量変動について比較解析を行った。
図6(a)に示すように、比較例1に係るスライダは、トレーリング側のパッドが、流出側端に設けられたヘッド配置用パッドと、これよりも流入端側に設けられた正圧発生パッドとに分けられているが、センタースカートは備えていない。図6(b)に示すように、比較例2に係るスライダは、ディスク対向面の流出側端部にヘッド配置用パッドおよび正圧発生パッドが纏めて設けられている。比較例1、2において、スライダの他の構成は、本実施形態に係るスライダと同一である。図6(c)は、本実施形態に係るスライダを示している。
図7(a)、図7(b)、図7(c)は、比較例1、比較例2、本実施形態に係るスライダの圧力分布をそれぞれ示している。本実施形態に係るスライダにおいて、正圧発生パッド64からスライダ42の流出側端までの長さL2は、スライダ42の流入端と流出端との間の長さL1の19%に形成されているものとする。
比較例1に係るスライダでは、ヘッド配置用パッドおよび正圧発生パッドの周囲にあまり大きな正圧および負圧が発生していない。比較例2に係るスライダでは、スライダの流出端で大きな正圧が発生している。図7(c)に示すように、本実施形態に係るスライダによれば、正圧発生パッド64により、スライダ42の流出側端から流入端側へ離れた位置で正圧が発生しているとともに、正圧発生パッドの流出端側の負圧発生領域70に負圧が増加していることが分かる。
図8は、比較例2に係るスライダ、本実施形態に係るスライダ、および実施形態2に係るスライダについて、磁気ディスク表面の凹凸に起因する浮上量変動をシュミレーションした結果を示している。図8から分かるように、比較例2に比較して、本実施形態に係るスライダ42の浮上量変動が少ない。例えば、浮上量最下点を比較した場合、本実施形態に係るスライダは比較例2に係るスライダと高さHだけ異なり、比較例2に対して、浮上量変動が約20%低減していることが分かる。
実施形態2に係るスライダでは、正圧発生パッド64からスライダ42の流出側端までの長さL2は、スライダ42の長さL1の7%に形成されている。このような実施形態2に係るスライダにおいても、比較例2に対して、スライダの浮上量変動が低減していることが分かる。
本実施形態に係るヘッドは、1)トレーリング部の正圧発生位置をリーディング側へずらし、磁気ディスク表面から正圧発生位置までの距離を伸ばすことにより、磁気ディスク表面の凹凸の影響が減少する、2)センタースカートを設置し、単純に正圧発生位置をリーディング側へ移動した場合に比べ、ロスした負圧量をリカバーする、ことで浮上量変動を抑制することが可能になったものと考えられる。
すなわち、DTRディスクなどの凹凸を伴う磁気ディスク上では、ディスク表面の凹凸変化やメディア加工時に発生する微少ダストに伴い、スライダ42の各パッド部で発生している正圧が変化する。そのため、比較例2のような流出端側正圧発生タイプのスライダでは、正圧発生位置がディスク表面に最も接近しているため、ディスク表面の凹凸の影響を受け易く、浮上量が大きく変動してしまう。
凹凸の影響を抑えるためには、ディスク表面からスライダの正圧発生面、特にトレーリングパッド部の正圧発生面までの距離を長く確保する必要がある。ところが、比較例1のように、正圧発生パッドを単にリーディング側へ移動するだけでは、正圧の発生効率が下がるため、パッドを大型化しなければならない。その結果、負圧発生面積をロスしてしまう。
そこで、本実施形態のように、1)スライダ42のトレーリング部には、リードライト素子を搭載するために必要最小限の大きさのヘッド配置用パッド60が配置する(トレーリングの2部構成)、2)ディスク表面の凹凸の影響を受け難いリーディング側の領域でトレーリング部用の正圧を発生させる、3)センタースカートの採用でトレーリング側の負圧発生量を増加する、ことで、磁気ディスク表面の凹凸や、ディスク加工時に発生する微少ダストによる影響に伴うヘッドの浮上量変動を抑制し、信頼性および安定性を向上することができる。
以上のことから、スライダの浮上量変動を抑制し、信頼性および安定性の向上したヘッド、このヘッドを備えたヘッドサスペンションアッセンブリ、およびディスク駆動装置が得られる。
次に、この発明の他の実施形態に係るヘッドについて説明する。図9は、第2の実施形態に係るディスク装置の磁気ヘッド40を概略的に示している。第2の実施形態に係るディスク装置の磁気ヘッド40によれば、スライダ42の正圧発生パッド64から流出端側に延びる一対のセンタースカート66は、正圧発生パッドからヘッド配置用パッド60の両側まで延びている。すなわち、一対のセンタースカート66は、スライダ42の流出側端よりも僅かに手前まで伸びている。
図10は、第3の実施形態に係るディスク装置の磁気ヘッド40を示している。本実施形態によれば、スライダ42の正圧発生パッド64から流出端側に延びる一対のセンタースカート66は、第2方向Yに沿って、互いに正圧発生パッド64の幅よりも大きな間隔だけ離間して対向している。
第2および第3の実施形態において、スライダ42の他の構成は、前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。第2および第3の実施形態においても、スライダの浮上量変動を抑制し、信頼性および安定性の向上したヘッド、このヘッドを備えたヘッドサスペンションアッセンブリ、およびディスク駆動装置が得られる。
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
スライダにおけるリーディングステップ部、サイド部、正圧発生パッド、ヘッド配置用パッドの形状および寸法等は上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて変更可能である。この発明は、フェムトスライダに限らず、ピコスライダ、ペムトスライダ、あるいは、より寸法の大きなスライダにも適用可能である。ディスク駆動装置において、磁気ディスクの枚数は1枚に限らず、増加可能である。
以上、本発明をその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本発明の容易な理解のために、本発明の具体的な形態を以下に付記する。
(付記1)
回転自在な記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体の回転によって上記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、
前記スライダに設けられ上記記録媒体に対し情報の記録再生を行うヘッド部と、を備え、
前記スライダは、
前記対向面に形成された凹所により規定され負圧を発生させる負圧キャビティと、
前記対向面において、前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、
前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側で前記対向面に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、
前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に所定距離離間して前記対向面に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、
前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられたセンタースカートと、を備えているヘッド。
(付記2)
前記センタースカートは、前記正圧発生パッドの空気流出側に一対設けられ、それぞれ前記正圧発生パッドから前記対向面の流出側端まで延び、前記ヘッド配置用パッドは、前記一対のセンタースカートの間に位置している付記1に記載のヘッド。
12…ベース、16…磁気ディスク、18…スピンドルモータ
22…キャリッジアッセンブリ、26…軸受部、32…アーム、
38…サスペンション、40…磁気ヘッド、42…スライダ、43…ディスク対向面、
44…ヘッド部、46…サイド部、48…サイドパッド、
50…リーディングステップ部、52…リーディングパッド、54…負圧キャビティ、
57…サイドスカート、60…ヘッド配置用パッド、64…正圧発生パッド、
66…センタースカート

Claims (11)

  1. 記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、
    前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を備え、
    前記スライダは、
    前記対向面に形成された負圧キャビティと、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、
    前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、
    前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられた一対のセンタースカートと、を備えているヘッド。
  2. 前記スライダは、前記リーディングステップ部からスライダの流出端側に延出しているとともに間隔をおいて互いに対向する一対のサイド部を備え、
    前記正圧発生パッドと前記スライダの流出端との間の距離は、前記スライダの流入端と流出端との間の長さのほぼ7%以上で、かつ、前記正圧発生パッドは、前記サイド部よりも対向面の流出端側に設けられている請求項1に記載のヘッド。
  3. 前記一対のセンタースカートは、それぞれ前記正圧発生パッドから前記対向面の流出側端まで延び、前記ヘッド配置用パッドは、前記一対のセンタースカートの間に位置している請求項1又は2に記載のヘッド。
  4. 前記一対のセンタースカートは、前記正圧発生パッドから前記ヘッド配置用パッドの両側まで延びている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のヘッド。
  5. 前記スライダの対向面は前記空気流の方向に延びる第1方向、およびこの第1方向と直交する第2方向を有し、
    前記正圧発生パッドは、前記第2方向に沿った幅を有し、前記一対のセンタースカートは、前記第2方向に沿って、互いに前記正圧発生パッドの幅とほぼ等しい間隔だけ離間して対向している請求項1ないし5のいずれか1項に記載のヘッド。
  6. 前記スライダの対向面は前記空気流の方向に延びる第1方向、およびこの第1方向と直交する第2方向を有し、
    前記正圧発生パッドは、前記第2方向に沿った幅を有し、前記一対のセンタースカートは、前記第2方向に沿って、互いに前記正圧発生パッドの幅よりも大きな間隔だけ離間して対向している請求項1ないし5のいずれか1項に記載のヘッド。
  7. 前記スライダは、前記リーディングステップ部からスライダの流出端側に延出しているとともに間隔をおいて互いに対向する一対のサイド部と、
    前記対向面に設けられ、前記サイド部からスライダの流出端側に延出しているとともに、前記サイド部よりも深い一対のサイドスカートと、を備えている請求項1に記載のヘッド。
  8. ディスク装置に用いるヘッドサスペンションアッセンブリであって、
    記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を具備するヘッドと、
    前記記録媒体に対して前記ヘッドを移動自在に支持するように構成されたヘッドサスペンションと、を備え、
    前記スライダは、
    前記対向面に形成された負圧キャビティと、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、
    前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、
    前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられた一対のセンタースカートと、を備えているヘッドサスペンションアッセンブリ。
  9. ディスク状の記録媒体を支持し回転する駆動部と、
    前記記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を具備するヘッドと、
    前記ヘッドを移動自在に支持するように構成されたヘッドサスペンションと、を備え、
    前記スライダは、
    前記対向面に形成された負圧キャビティと、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、
    前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、
    前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられた一対のセンタースカートと、を備えているディスク駆動装置。
  10. 記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、
    前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を備え、
    前記スライダは、
    前記対向面に形成された負圧キャビティと、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、
    前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に所定距離離間して設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、
    前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられ、前記負圧キャビティよりも浅い一対のセンタースカートと、を備えているヘッド。
  11. ディスク状の記録媒体と、
    前記記録媒体を支持しているとともに回転する駆動部と、
    前記記録媒体の表面に対向する対向面を有し、前記記録媒体の回転によって上記記録媒体表面と対向面との間に生じる空気流により浮上するスライダと、前記スライダに設けられ記録再生を行うヘッド部と、を具備したヘッドと、
    前記記録媒体に対して前記ヘッドを移動自在に支持するように構成されたヘッドサスペンションと、を備え、
    前記スライダは、
    前記対向面に形成された負圧キャビティと、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の上流側に位置したリーディングステップ部と、
    前記負圧キャビティに対し前記空気流の流出側に設けられ、前記ヘッド部が設けられたヘッド配置用パッドと、
    前記ヘッド配置用パッドに対して空気流の流入側に所定距離離間して設けられ、正圧を発生する正圧発生パッドと、
    前記正圧発生パッドの空気流出側に設けられ、前記負圧キャビティよりも浅い一対のセンタースカートと、を備えているディスク駆動装置。
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