JP2012021072A - 可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペン - Google Patents

可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペン Download PDF

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Abstract

【課題】 着色剤として可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含むインキ組成物における耐乾燥性に優れ、永続して良好な筆跡を形成可能な実用性に富む可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペンを提供する。
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料と、水と、剪断減粘性付与剤と、N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体を少なくとも含有してなる可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物6、及びそれを用いたボールペンレフィル1、ボールペン。
【選択図】 図3

Description

本発明は可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペンに関する。更に詳細には、筆記先端部が大気中で長時間放置された場合も、ペン先の乾燥に起因するカスレや筆記不能の発生を抑制できる耐乾燥性に優れた可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペンに関する。
従来、着色剤として可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を用いた可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物が開示されているが、前記インキは耐乾燥性に乏しく、筆記先端部が大気中で長時間放置されると筆跡にかすれを生じることがある。
また、前記インキ中にはキサンタンガムやサクシノグリカン等の剪断減粘性付与剤が配合されているが、これらの剪断減粘性付与剤は、いずれもペン先で水分が蒸発した際に強固な乾燥膜を形成し易く、耐乾燥性を低下させる傾向にある(例えば、特許文献1参照)。
従って、着色剤として可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を用いてなり、剪断減粘性付与剤を添加したボールペン用水性インキ組成物においては、耐乾燥性の向上が必要となり、水溶性有機溶剤の増量等が試みられてきた。
しかしながら、グリセリン、エチレングリコール等のグリコール系溶剤に代表される水溶性有機溶剤は十分な耐乾燥性を得ることができず、多量に添加すると剪断減粘性が低下して良好な筆跡を形成できなくなるといった不具合を生じ易い。
特開平9−124993号公報
本発明は前記問題を解決するものであり、即ち、耐乾燥性に優れた可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペンを提供するものである。
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料と、水と、剪断減粘性付与剤と、N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体を少なくとも含有してなる可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物を要件とする。
更には、前記剪断減粘性付与剤が多糖類であること、前記多糖類がサクシノグリカン、キサンタンガム、ウェランガムから選ばれること、前記N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体がN−ビニルピロリドンと1−ブテンの共重合体であること、8糖以上の澱粉糖化物及び/又はその還元物を30質量%以上含有してなる糖混合物を含有してなること、前記マイクロカプセル顔料をインキ組成物全量中10〜50質量%含有してなること等を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物を、インキ収容管内に収容し、前記インキ収容管にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は接続部材を介して装着したボールペンレフィル、前記ボールペンレフィルを、出没機構を備えた軸筒内に収容してなり、出没機構の作動によってボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没するボールペンを要件とする。
本発明は、着色剤として可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含むインキ組成物における耐乾燥性に優れ、永続して良好な筆跡を形成可能な実用性に富む可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペンレフィル、ボールペンを提供することができる。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 本発明の一実施例のボールペンレフィルの説明図である。 図3のボールペンレフィルを収容した出没式のボールペンを示す説明図である。 図3のボールペンレフィルを収容した出没式のボールペンを示す説明図である。 図3のボールペンレフィルを収容した出没式のボールペンを示す説明図である。 複数のボールペンレフィルを収容した出没式のボールペンを示す説明図である。 複数のボールペンレフィルを収容した出没式のボールペンを示す説明図である。
着色剤として用いられるマイクロカプセル顔料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が用いられる。
前記マイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を適用できる(図1参照)。
また、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる(図2参照)。
前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記完全消色温度tは、摩擦部材と被筆記面との擦過によって生じる摩擦熱より消色する温度、即ち、50℃〜90℃、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜80℃の範囲にあり、前記完全発色温度tは冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち0℃以下、好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−50〜−10℃の範囲にあることが好適である。
以下に前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について化合物を例示する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3´,6´−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては下記一般式(1)で示される化合物を用いることができる。
Figure 2012021072
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 2012021072
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2012021072
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2012021072
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2012021072
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセル顔料の表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径が0.01〜5.0μm、好ましくは0.1〜4.0μm、より好ましくは0.5〜3.0μmの範囲のものが実用性を満たす。
平均粒子径が5.0μmを越えると、ボールペンに収容して実用に供する際、ボールとボール抱持部の空隙をマイクロカプセル顔料が塞いで目詰まりを生じ、インキ吐出性を損ない易くなる。一方、0.01μm未満の系では、高濃度の発色性を示し難い。
なお、粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出する。
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態の他、非円形断面の形態であってもよい。
ここで、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たすことが好ましい。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記マイクロカプセル顔料は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中10乃至50質量%、好ましくは15乃至45質量%、より好ましくは20乃至45質量%の範囲で用いられる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することにより、顔料の凝集、沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができる。
更に、前記インキ組成物をボールペンに充填した際、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ダイユータンガム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、スメクタイトやヘクトライト等の無機質粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
なお、前記剪断減粘性付与剤として多糖類と、スメクタイトやヘクトライト等の無機粒子を併用することにより、インキを収容したボールペンレフィル、或いは、ボールペンの筆記先端部が大気中で長時間放置された場合でもペン先の乾燥に起因するカスレや筆記不能の発生を抑制することができる。
前記多糖類はインキ組成物全量中0.2〜0.5質量%含有され、且つ、多糖類と無機粒子の質量比率が1:0.2〜1:1.5であることにより、インキ中でマイクロカプセル顔料が凝集、沈降することを抑制する効果と、前記ペン先の乾燥に起因するカスレや筆記不能の発生を抑制する効果を共に満たし、経時後も良好な筆記性能を示すボールペンレフィル、ボールペンを得ることができる。
前記剪断減粘性付与剤のうち、前記多糖類がインキ組成物全量中0.2質量%未満では、インキ粘度が低すぎてマイクロカプセル顔料の凝集、沈降を抑制する効果に乏しく、一方、多糖類がインキ組成物全量中0.5質量%を越えると、インキ粘度が高すぎて筆跡がかすれ易くなる。
更に、前記多糖類の質量に対し、無機粒子の質量比率が0.2を下回ると、前記多糖類との相乗効果に乏しく、前記多糖類を単独で用いた場合と同様の効果が得られるのみである。一方、前記多糖類の質量に対し、無機粒子の質量比率が1.5を超えると、筆跡のかすれを生じ易くなる。
なお、前記多糖類はインキ組成物全量中0.2〜0.3質量%含有されることがより好ましく、且つ、多糖類と無機粒子の質量比率は、1:0.4〜1:1.0であることがより好ましい。
前記N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体は、剪断減粘性付与剤による好適な粘性を阻害することなく、良好なキャップオフ性能を付与できる。これは、該共重合体が一般的な水溶性樹脂と比較して乾燥時の皮膜が柔軟であり、水分の蒸発抑制効果にも優れているため、皮膜がインキの乾燥を防止し、筆記時には容易に皮膜が破壊されるため、筆記先端部を大気中で長期間放置した後に筆記しても良好な筆跡が形成できるものと推察される。
又、着色剤として用いられるマイクロカプセル顔料の凝集を発生させることもないため、初期及び経時後も良好な筆記濃度を有する筆跡を形成できる。
前記N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体に用いられるN−ビニルピロリドン誘導体としては、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチルピロリドン、N−ビニル−5,5−ジエチルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドン等が挙げられ、前記ピロリドンと共重合するアルケン化合物としては炭素数2〜6の化合物が挙げられ、プロペン、1−ブテンを例示できる。
又、構造の異なるN−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体をインキ中に添加してもよい。
前記N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物との共重合体はインキ組成物全量中0.1〜10.0質量%含有され、好ましくは0.1〜5.0質量%含有される。
インキ組成物全量中0.1質量%未満では、乾燥時の皮膜の性質は前記剪断減粘性付与剤に依存することになり、前述した柔らかい皮膜によるキャップオフ性能を得ることができない。インキ組成物全量中10.0質量%を越えると、高剪断領域のインキ粘度が上昇するため、線割れや、インキ追従性不良が発生する。
前記インキ組成物中には、8糖以上の澱粉糖化物及び/又はその還元物を30質量%以上含有してなる糖混合物を含有させることが好ましく、いっそう耐乾燥性を向上させることができると共に、垂れ下がり防止性能を付与することができる。
前記糖混合物として好ましくは8糖以上の糖類が50%以上含まれるものが用いられ、より好ましくは8糖以上の糖類が70%以上含まれるものが用いられる。
耐乾燥性を付与するためには、ある程度の乾燥皮膜の形成が必要であるが、単糖や二糖は乾燥皮膜の形成が充分でないので耐乾燥性に対する効果が小さく、吸水性が高いためにボールペンに適用した場合、チップを下向き(倒立)で放置することによる垂れ下がりが発生しやすい。また、3糖〜7糖程度では、単糖や二糖に比べて吸水性は低くなるが、十分な耐乾燥性を得るには至らない。
更に、十分な耐乾燥性を得るために多量の添加を試みると、吸水性が高くなり垂れ下がりの原因になったり、添加した糖が溶解しきれずにインキ中の固形分が増加し、耐乾燥性が低下することがある。
前記糖類は分子量が大きくなるに従い吸湿性が低くなり、乾燥皮膜を形成し易くなる特徴を有することから、8糖以上の糖類を用いることで高湿度下での垂れ下がりを防止できると共に、耐乾燥性も向上する。
更に、耐熱性、耐酸性、耐微生物性等の性能も向上し、インキ中で安定した状態を維持できる。
前記8糖以上の糖類としては、澱粉の酵素分解等によって得られる澱粉糖化物や、該澱粉糖化物の末端基を還元した還元澱粉糖化物を用いることができる。
また、澱粉を分解していくと、様々な重合度の糖類が生成するため、8糖以上の糖類のみを完全に単離することは技術的に困難であり、製造コストもかかってしまう。そこで、7糖以下の糖類が存在する糖混合物において、前記8糖以上の糖類を30質量%以上含有することにより、インキ中で前記性能を十分に得ることができ、耐乾燥性及び垂れ下がり防止性能を付与できる。
前記糖混合物はインキ組成物全量に対して0.5〜10.0質量%、好ましくは1.0〜8.0質量%の範囲で配合される。0.5質量%より少ないと耐乾燥性を向上させる効果が得られ難く、10.0質量%より多いとインキの粘度が上昇して泣き出しやボテの原因になったり、追従性を妨げることがある。更には耐乾燥性を悪化させてしまうこともある。
また、必要により紙面への固着性や粘性付与のためにアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を添加することもできる。
更に、必要により各種添加剤を加えることができる。
前記添加剤として、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、天然又は合成ポリフェノール類、N−ビニルピロリドンオリゴマー、コウジ酸、ヒドロキシルアミン類、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素、ホルムアミジンスルフィン酸、グルタチオン、n−ブチルアルデヒドとアニリンの反応物等の酸素吸収剤、消泡剤、分散剤等を添加してもよい。
また、本発明のインキ組成物には、沸点が150℃以上の有機溶剤が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、或いは有機溶剤を含有しないことにより筆跡の乾燥性を向上させることができ、筆跡を形成した直後に摩擦部材の適用により筆跡を変色又は消色させることを可能とし、利便性を向上させることができる。
前記沸点が150℃以上の吸湿性を有する有機溶剤としては、エチレングリコール(沸点197℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、トリエチレングリコール(沸点287℃)、プロピレングリコール(沸点187℃)、1,3−ブチレングリコール(沸点207℃)、グリセリン(沸点290℃)、フルフリルアルコール(沸点171℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点271℃)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点304℃)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃)が挙げられる。
本発明のインキ組成物中には水の他、水溶性有機溶剤を添加することもできるが、グリコール系水溶性有機溶剤を含有しないことが好ましく、インキ粘度の上昇によるインキ追従性不良や、筆跡の乾燥不良、筆跡の滲み等種々の不具合を発生することがない。
前記グリコール系水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリン等を例示できる。
前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させて形成したボール抱持部にボールを抱持したチップ、金属材料のドリル等による切削加工して形成したボール抱持部にボールを抱持したチップ、金属又はプラスチック成形体内部に樹脂製のボール受け座を設け、ボールを抱持したチップ等が挙げられる。
また、前記チップはバネ体によりボールを前方に付勢させる構成であってもよい。
前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.1〜3.0mm径程度のものが適用できるが、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1.0mmのものが用いられる。
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
前記ボールペンチップとインキ収容管は、直接又は接続部材を介して嵌合され、インキ組成物と必要によりインキ逆流防止体組成物を充填してボールペンレフィルを形成する。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体の逆流防止体を併用することもできる。
前記ボールペンチップ先端には、ペン先乾燥防止用の樹脂被膜を固着させることもでき、チップ先端部のボールと、ボール抱持部と、ボールとボール抱持部の間隙を覆うように固着することにより、チップ先端部の乾燥防止及びインキ中の媒体の揮発を防止できる。
前記樹脂被膜を形成する樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂が用いられる。
前記ボールペンレフィルは、軸筒内に収容してキャップ式のボールペンを得ることができる。
また、前記ボールペンレフィルは、軸筒内に収容して出没式のボールペンを得ることもでき、ボールペンレフィルは、チップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する。
出没機構としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に
設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
前記マイクロカプセル顔料を含むインキを充填したボールペンレフィル、それを収容したボールペンにより形成される筆跡は、摩擦部材の適用により変色又は消色させることができる。
前記摩擦部材としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、前述の摩擦部材が好適に用いられる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂等が用いられる。
前記摩擦部材はボールペンと別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせてボールペンセットを得ることもできるが、ボールペンに摩擦部材を固着させることにより、携帯性に優れる。
キャップを備えるボールペンの場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式のボールペンの場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、数値は質量部を表わす。
マイクロカプセル顔料Aの調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料Aを単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.8μm、完全消色温度は55℃、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を青色に発色させたもの)を着色剤として用いた。
マイクロカプセル顔料Bの調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料Bを単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.0μm、完全消色温度は58℃であり、完全発色温度は−20℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料をピンク色に発色させたもの)を着色剤として用いた。
マイクロカプセル顔料Cの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.3μm、完全消色温度は56℃であり、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により黒色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させたもの)を着色剤として用いた。
マイクロカプセル顔料Dの調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は0.5μm、完全消色温度は64℃であり、完全発色温度は−30℃であり、温度変化により橙色から無色に変色する。
前記マイクロカプセル顔料(予め−30℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を橙色に発色させたもの)を着色剤として用いた。
ボールペン用水性インキ組成物の調製
以下の表にインキ組成を示す。表中の組成の数値は質量部を表す。
なお、インキ組成物は、水中にマイクロカプセル顔料と、剪断減粘性付与剤と、N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体と、各種添加剤を投入して攪拌、混合することにより得られる。
Figure 2012021072
Figure 2012021072
表中の原料の内容を注番号に従って以下に説明する。
(1)商品名:ケルザンST、三晶(株)製、剪断減粘性付与剤
(2)商品名:レオザン、三晶(株)製、剪断減粘性付与剤
(3)商品名:サンデック30、三和澱粉工業(株)製、8糖以上の澱粉糖化物を94%含む糖混合物
(4)商品名:ルーセンタイトSWF、コープケミカル(株)製、珪酸ナトリウム・マグネシウム(ヘクトライト)
(5)商品名:プライサーフAL、第一工業製薬(株)製、リン酸エステル系界面活性剤
(6)商品名:プロキセルXL−2、アビシア(株)製、1,2−ベンズチアゾリン−3−オン
(7)商品名:ジョンクリル61J、BASFジャパン(株)製、固形分30%
ボールペンレフィルの作製
前記各インキ組成物6をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管5に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)4を介して金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させて形成したボール抱持部に直径0.5mmのステンレス鋼ボール3を抱持したボールペンチップ2と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させてボールペンレフィル1を得た(図3参照)。
前記ボールペンレフィルを用いて、以下の試験を行なった。
耐乾燥性試験
筆記可能であることを確認したボールペンレフィルを、ペン先を露出した状態で室温下(25℃)及び50℃恒温糟内に横置きで60日間放置した後、筆記用紙に手書きで丸を一行に12個連続筆記し、何行目から正常に筆記できるかを調べ、以下の基準で評価した。
◎:書き始めから正常に筆記できる。
○:1行目から正常に筆記できる。
△:3行目以内に正常な筆記ができる。
×:正常な筆記に4行以上を要する、もしくは、筆記できない。
インキ安定性試験
各インキをポリプロピレン容器に充填して密封した後、50℃で30日間放置後、各々のインキの状態を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:顔料の凝集や沈降はみられず、初期と同様の状態を示す。
△:初期と比較すると若干の顔料凝集が認められるものの、実用レベルにある。
×:インキが相分離する。
以下の表に多糖類に対する無機粒子の質量比率、耐乾燥性試験及びインキ安定性試験の結果を以下の表に示す。
Figure 2012021072
ボールペンの作製
実施例1で得たボールペンレフィルを、軸筒8内に組み込み、出没式ボールペン8を得た(図4参照)。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で筆記して得られる初期の筆跡は青色を呈していた。
なお、前記筆跡は、軸筒先端開口部の周囲に設けたSEBS樹脂製の摩擦部材9を用いて摩擦することにより消色させることができる。
ボールペンの作製
実施例2で得たボールペンレフィルを、軸筒9内に組み込み、出没式ボールペン7を得た(図5参照)。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒側面に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で筆記して得られる初期の筆跡はピンク色を呈していた。
なお、前記筆跡は、軸筒後端部に設けたSEBS樹脂製の摩擦部材10を用いて摩擦することにより消色させることができる。
ボールペンの作製
実施例3で得たボールペンレフィルを、軸筒8内に組み込み、出没式ボールペン7を得た(図6参照)。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で筆記して得られる初期の筆跡は黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は、出没機構に設けたSEBS樹脂製の摩擦部材9を用いて摩擦することにより消色させることができる。
ボールペンレフィルの作製
実施例1のインキ組成物をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)を介して直径0.4mmのステンレス鋼ボールを抱持したボールペンチップと連結させ、前記ポリプロピレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填した。
次いで、インキ収容管の後部に各インキ組成物と同一色の操作体を嵌着してボールペン用レフィルを得た。
ボールペンレフィルの作製
実施例3のインキ組成物をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)を介して直径0.4mmのステンレス鋼ボールを抱持したボールペンチップと連結させ、前記ポリプロピレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填した。
次いで、インキ収容管の後部に各インキ組成物と同一色の操作体を嵌着してボールペン用レフィルを得た。
ボールペンの作製
前記のようにして得た二本のボールペン用レフィルを、後部に開閉自在の蓋部10を有する透明な軸筒8(直径11mm)に組み込み、蓋部を閉めた後、出没機構の操作体の作動によっていずれかのボールペン用レフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する出没式ボールペン7を得た(図7参照)。
なお、前記軸筒先端の開口部近傍には、SEBS樹脂製の摩擦部材9を設けてなる。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で筆記して得られる初期の筆跡は青色、ピンク色を呈していた。
なお、前記筆跡は摩擦部材を用いて摩擦することにより消色させることができる。
ボールペンの作製
実施例1、3で得た各ボールペンレフィルを、後部に開閉自在の蓋部10を有する透明な軸筒8(直径11mm)に組み込み、蓋部を閉めた後、出没機構の操作体の作動によっていずれかのボールペン用レフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する出没式ボールペン7を得た(図7参照)。
なお、前記軸筒先端の開口部近傍には、SEBS樹脂製の摩擦部材9を設けてなる。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で筆記して得られる初期の筆跡は青色、ピンク色を呈していた。
なお、前記筆跡は摩擦部材を用いて摩擦することにより消色させることができる。
ボールペンの作製
実施例3、4で得た各ボールペンレフィルを、光遮蔽性軸筒8(直径11mm)内に組み込み、出没機構の作動によっていずれかのボールペン用レフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する出没式ボールペン7を得た(図8参照)。
なお、前記軸筒先端の開口部近傍には、SEBS樹脂製の摩擦部材9を設けてなる。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で筆記して得られる初期の筆跡はピンク色、黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は摩擦部材を用いて摩擦することにより消色させることができる。
ボールペンの作製
実施例5で得たボールペンレフィルを、軸筒8内に組み込み、出没式ボールペン7を得た(図5参照)。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒側面に設けられたクリップ形状の出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で灰色の用紙に筆記して得られる初期の筆跡は橙色を呈していた。
なお、前記筆跡は、軸筒後端部に設けたSEBS樹脂製の摩擦部材9を用いて摩擦することにより消色させることができ、筆記箇所に白濁の残像は視認されなかった。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全発色温度
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の発色開始温度
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の消色開始温度
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全消色温度
1 ボールペンレフィル
2 ボールペンチップ
3 ボール
4 接続部材
5 インキ収容管
6 インキ組成物
7 出没式ボールペン
8 軸筒
9 摩擦部材
10 蓋部

Claims (10)

  1. (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料と、水と、剪断減粘性付与剤と、N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体を少なくとも含有してなる可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物。
  2. 前記剪断減粘性付与剤が多糖類である請求項1記載の可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物。
  3. 前記多糖類がサクシノグリカン、キサンタンガム、ウェランガムから選ばれる請求項1又は2記載の可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物。
  4. 前記N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体がN−ビニルピロリドンと1−ブテンの共重合体である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物。
  5. 8糖以上の澱粉糖化物及び/又はその還元物を30質量%以上含有してなる糖混合物を含有してなる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物。
  6. 前記マイクロカプセル顔料をインキ組成物全量中10〜50質量%含有してなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可逆熱変色性ボールペン用水性インキ組成物を、インキ収容管内に収容し、前記インキ収容管にボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は接続部材を介して装着したボールペンレフィル。
  8. 請求項7記載のボールペンレフィルを、出没機構を備えた軸筒内に収容してなり、出没機構の作動によってボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没するボールペン。
  9. 軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容し、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する請求項8記載のボールペン。
  10. 摩擦部材を備えてなる請求項8又は9記載のボールペン。
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