JP2012020886A - 結晶成長容器および結晶製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】転位を低減した結晶を成長できる、結晶成長容器および結晶製造方法を提供する。
【解決手段】結晶成長容器は、原料を加熱溶融した後、溶融した原料を一方向から凝固させることにより結晶を製造する結晶成長容器であって、先端部11と、胴部12とを備える。先端部11は、種結晶9を配置する。胴部12は、先端部11と接続され、かつ先端部11の径よりも大きな径を有するとともに、内部で原料8を加熱溶融する。先端部11の底面11aの厚みT11aは、先端部11の側面11bの厚みT11bよりも小さい。
【選択図】図3
【解決手段】結晶成長容器は、原料を加熱溶融した後、溶融した原料を一方向から凝固させることにより結晶を製造する結晶成長容器であって、先端部11と、胴部12とを備える。先端部11は、種結晶9を配置する。胴部12は、先端部11と接続され、かつ先端部11の径よりも大きな径を有するとともに、内部で原料8を加熱溶融する。先端部11の底面11aの厚みT11aは、先端部11の側面11bの厚みT11bよりも小さい。
【選択図】図3
Description
本発明は、結晶成長容器および結晶製造方法に関し、たとえば化合物半導体結晶の結晶成長容器および結晶製造方法に関する。
従来、GaAs(ガリウム砒素)などの化合物半導体結晶は、たとえばVB(Vertical Bridgman:垂直ブリッジマン)法、VGF法(Vertical Gradient Freeze:垂直温度傾斜凝固)法などの垂直ボート法により製造されている。
このような化合物半導体結晶の製造に用いられる装置として、たとえば特開2006−104033号公報(特許文献1)に開示の化合物半導体単結晶成長装置が挙げられる。この特許文献1には、種結晶載置部、増径部および定径部を有する成長容器を支持部材により支持して加熱装置内に配置し単結晶を成長するVB法およびVGF法による化合物半導体単結晶の成長装置において、成長容器の種結晶載置部の側面を覆う覆い部材を設置し、覆い部材の熱伝導率λ(W/m・K)と厚さt(m)とが1.0×10-3≦t/λ≦1.0×10-2の関係を満たすように設定することが開示されている。覆い部材の熱伝導率λ(W/m・K)と厚さt(m)とが1.0×10-3≦t/λ≦1.0×10-2の関係を満たすように設定することで、結晶からの放熱不足をなくし、固液界面が融液に対して凹面になることによる転位の発生をなくすことも特許文献1には開示されている。
しかしながら、本発明者が鋭意研究した結果、上記特許文献1の化合物半導体単結晶成長装置において、成長する結晶に発生する転位を十分に低減できないことを見い出した。
したがって本発明の目的は、転位を低減した結晶を成長できる、結晶成長容器および結晶製造方法を提供することである。
上記特許文献1の化合物半導体単結晶成長装置において、成長する結晶に転位が発生する原因について本発明者が鋭意研究した結果、固液界面が融液に対して凹面になるように化合物半導体単結晶が成長していることに起因していることを見い出した。固液界面が融液に対して凹面である場合、結晶に転位が発生すると、その転位が結晶の径方向の中央部に向けて集まるように成長するため、転位を低減することができない。
そこで、本発明の結晶成長容器は、原料を加熱溶融した後、溶融した原料を一方向から凝固させることにより結晶を製造する結晶成長容器であって、先端部と、胴部とを備える。先端部は、種結晶を配置する。胴部は、先端部と接続され、かつ先端部の径よりも大きな径を有するとともに、内部で原料を加熱溶融する。先端部の底壁の厚みは、先端部の側壁の厚みよりも小さい。
本発明の結晶成長容器によれば、種結晶を配置する先端部において底壁の厚みが側壁の厚みよりも小さいため、側壁へ流出する熱量よりも底壁へ流出する熱量を増やすことができる。このため、結晶の径方向の中央部からの固化を促進することができるので、成長する結晶と溶融した原料との界面(固液界面)を、原料側へ凸形状とすることができる。これにより、仮に結晶の成長に伴い転位が発生しても、その転位を径方向の外周側に逃がすことができる。したがって、転位を低減した結晶を成長することができる。
上記結晶成長容器において好ましくは、先端部の底壁の厚みは、先端部の側壁の厚みの0.5倍以下である。
これにより、成長する結晶の中央部からの固化をより促進することができるので、成長する結晶と溶融した原料との界面を凸形状に制御しやすくなる。したがって、転位をより低減した結晶を成長することができる。
上記結晶成長容器において好ましくは、先端部内側の断面積が0.2cm2以上0.8cm2以下である。
0.2cm2以上の場合、径方向の温度差を設けやすくなるので、成長する結晶と溶融した原料との界面を凸形状に形成しやすくなる。0.8cm2以下の場合、種結晶を小さくできるので、コストを低減することができる。
上記結晶成長容器において好ましくは、先端部および胴部は、パイロリティックボロンナイトライド(pBN)である。
pBNは異方性を有する材料であるので、成長する結晶の径方向の熱伝導率よりも、成長方向の熱伝導率が高くなるように先端部および胴部を設けることで、先端部の底壁からの熱の流出をより高めることができる。このため、転位をより低減した結晶を成長することができる。
上記結晶成長容器において好ましくは、先端部の内部で、かつ種結晶の下に配置されるとともに、種結晶の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物質をさらに備える。
これにより、成長する結晶の側壁よりも底壁へ流出する熱量をより増やすことができる。このため、成長する結晶の中央部からの固化をより促進することができるので、成長する結晶と溶融した原料との界面を凸状に制御しやすくなる。したがって、転位をより低減した結晶を成長することができる。
上記結晶成長容器において好ましくは、上記物質は、パイロリティックグラファイト、グラファイト焼結体およびグラッシーカーボンの少なくとも1つを含む。
パイロリティックグラファイト、グラファイト焼結体およびグラッシーカーボンは熱伝導率が高いため、成長する結晶の成長の側壁よりも底壁へ流出する熱量をより一層増やすことができる。したがって、結晶に発生する転位をより一層低減することができる。
本発明の結晶製造方法は、上記いずれかに記載の結晶成長容器を用いて結晶を製造する方法であって、以下の工程を備える。先端部に種結晶を配置する。胴部に原料を配置する。原料を加熱することにより原料を溶融する。溶融した原料を種結晶側から凝固させることにより、結晶を製造する。
本発明の結晶製造方法によれば、結晶を製造する工程において、種結晶を配置した先端部において底壁の厚みが側壁の厚みよりも小さいため、側壁へ流出する熱量よりも底壁へ流出する熱量を増やすことができる。このため、結晶の径方向の中央部からの固化を促進して結晶を製造することができるので、製造する結晶と溶融した原料との界面を凸状にすることができる。これにより、仮に製造に伴い転位が発生しても、その転位を外周側に逃がすことができる。したがって、転位を低減した結晶を製造することができる。
上記結晶製造方法において好ましくは、上記結晶を製造する工程では、先端部において0.5mm/h以上2.0mm/h以下の成長速度で結晶を製造する。
0.5mm/h以上の場合、結晶の生産性の低下を抑制できる。2.0mm/h以下の場合、固化潜熱の発生を効果的に抑制することができるので、固液界面の凹化を抑制することができる。したがって、転位をより低減した結晶を製造することができる。
以上より、本発明の結晶成長容器および結晶製造方法によれば、転位を低減した結晶を成長することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における結晶100を概略的に示す断面図である。まず、図1を参照して、本実施の形態の結晶100について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における結晶100を概略的に示す断面図である。まず、図1を参照して、本実施の形態の結晶100について説明する。
結晶100は、先端部101と、先端部101と接続され、かつ先端部101の径よりも大きな径を有する胴部102とを備える。先端部101は、略円柱状である。胴部102は、先端部101の上方に連なる増径部102aと、増径部102aの上方に連なる直胴部102bとを有する。増径部102aは、先端部101から直胴部102bに向けて徐々に径が大きくなるテーパ状である。直胴部102bは、径がほぼ一定である。
結晶100において転位が低減されており、たとえば面内の転位数は50個以下である。結晶100は、化合物半導体であることが好ましく、たとえばGaAs、GaP(ガリウムリン)、InAs(インジウム砒素)およびInP(インジウムリン)の少なくともいずれかである。
図2は、本発明の実施の形態1における結晶成長容器1を概略的に示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における結晶成長容器1の坩堝10の先端部11近傍を概略的に示す拡大断面図である。続いて、図2および図3を参照して、本発明の一実施の形態における結晶100の製造に用いられる結晶成長容器1の主要な構成について説明する。
図2に示すように、結晶成長容器1は、台座2と、台座2上に搭載された坩堝10と、坩堝10の内部に充填される原料を加熱するための加熱部5とを備える。加熱部5は、台座2および坩堝10の外周を囲むように配置されている。
台座2は、平面形状が円形状の円柱状体であって、上部表面にはすり鉢状の傾斜部2aと、この傾斜部2aの内周側(上部表面のほぼ中央)に位置する凹部2bとを有する。凹部2bの平面形状はたとえば円形状であって、当該凹部2bの幅は深さ方向においてほぼ一定である。傾斜部2aは、凹部2bの上端部から台座2の外周側に向かうにつれて台座2の底壁からの距離が大きくなるように(台座2の底壁に対して)傾斜した構成となっている。台座2の材料としては、たとえば石英、アルミナ、SiC、Si3N4などを用いることができる。
この台座2上に搭載される坩堝10は、図3に示すように、種結晶9を配置するための先端部11と、この先端部11の上方に位置し、かつ先端部11と接続された胴部12とを含む。先端部11および胴部12を構成する坩堝10の材料としては、たとえばpBNを用いることができる。
先端部11は、台座2の凹部2bの内部に収納されるとともに、台座2の凹部2bの内壁に沿った形状(平面形状はほぼ円形状)である。先端部11は、内部に種結晶9を配置し、かつ底壁11aと、当該底壁11aと接続される側壁11bとを有する。底壁11aは、上述した台座2の上部表面上に搭載可能な形状であり、先端部11において胴部12と接続されている側と反対側(下側)に位置する。側壁11bは、胴部12と底壁11aとを接続する。
胴部12は、先端部11の径よりも大きな径を有するとともに、内部で原料8を加熱溶融する。胴部12は、先端部11の側壁11bと接続された増径部12aと、増径部12aと接続された直胴部12bとを有する。増径部12aは、先端部11の上に連なり、台座2の傾斜部2aに沿って傾斜した側壁を有する。増径部12aにおける側壁の(直胴部12bの側壁に対する)傾斜角度は、台座2の傾斜部2aの(台座2の外周側壁に対する)傾斜角度とほぼ同様となっている。直胴部12bは、増径部12aの上に連なり、平面形状が台座2と同様のたとえば円形状であって、ほぼ一定の幅を有する。
なお、直胴部12bの幅は増径部12aから離れるに従って徐々に大きくなっていてもよいし、直胴部12bの途中で幅の変化率が変更されていてもよい。つまり直胴部12bについては、上述のように幅がほぼ一定の場合のみならず、ある程度幅が変化している(直胴部12bの側壁が台座2の外周側壁に対して若干傾斜している)場合もある。また、直胴部12bは、当該直胴部12bにおける幅の変化率が増径部12aにおける幅の変化率より小さくなっていればよい。ここで幅とは、坩堝10の延在方向に対して垂直な方向(水平方向)における幅を意味する。先端部11の幅は、深さ方向の任意の位置においてほぼ一定である。
ここで、先端部11の構造について図3を参照して説明する。図3に示すように、先端部11の底壁11aの厚みT11aは、先端部11の側壁11bの厚みT11bよりも小さい。先端部11の底壁11aの厚みT11aを側壁11bの厚みT11bよりも小さくすることによって、側壁11bよりも底壁11aへ流出する熱量を増やすことができる。この観点から、先端部11の底壁11aの厚みT11aは、先端部11の側壁11bの厚みT11bの0.5倍以下であることが好ましい。
先端部11において、底壁11aの厚みT11aは、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。先端部11において、側壁11bの厚みT11bは、底壁11aの厚みT11aよりも大きく、かつ2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。底壁11aの厚みT11aが0.2mm以上である場合には、坩堝10が割れることを抑制でき、0.5mm以上である場合には、坩堝10が割れることをより抑制できる。側壁11bの厚みT11bが2.0mm以下の場合には、先端部11の熱の流れを良好に維持でき、1.0mm以下の場合には、先端部11の熱の流れをより良好に維持できる。
先端部11内側の断面積(底壁11aの内径によって求められる面積)は0.2cm2以上0.8cm2以下であることが好ましく、0.3cm2以上0.8cm2以下であることがより好ましい。0.2cm2以上の場合、径方向(底壁11aと平行な方向)の温度差を設けやすくなる。0.3cm2以上の場合、径方向の温度差をより設けやすくなる。0.8cm2以下の場合、内部に配置する種結晶9を小さくできるので、コストを低減することができる。
なお、結晶成長容器1は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
続いて、図1〜図6を参照して、本実施の形態における結晶100の製造方法を説明する。図4は、本発明の実施の形態1における結晶製造方法を示すフローチャートである。図5および図6は、本発明の実施の形態1における結晶を製造する状態を概略的に示す断面図である。本実施の形態では、図2に示す結晶成長容器1を用いて、図1に示す結晶100を製造する。
図2〜図4に示すように、まず、種結晶9を準備する(ステップS1)。具体的には、図2および図3に示した結晶成長容器1における坩堝10の先端部11の内部に種結晶9を配置する。種結晶9は、成長する結晶と同じ組成であることが好ましい。
次に、図2〜図4に示すように、胴部12に原料8を配置する(ステップS2)。具体的には、結晶成長容器1の坩堝10の内部に結晶100の原料8となるべき多結晶の原料片を所定の量だけ投入する。上述した種結晶9および原料8の組成としては、任意の結晶性の材料を用いることができる。
次に、図4および図5に示すように、原料8を加熱することにより原料8を溶融する(ステップS3)。具体的には、図2に示す加熱部5に通電することにより、坩堝10の内部の原料8を加熱して溶融状態して、図5に示す原料融液16を生成する。なお、このとき坩堝10の先端部11の内部に配置された種結晶9は溶融しないように、加熱部5による加熱条件を調整する。
次に、図2、図4〜図6に示すように、溶融した原料(原料融液16)を一方向(たとえば種結晶9側)から凝固させることにより、結晶15を製造する(ステップS4)。具体的には、図示しない昇降装置などを用いて、加熱部5に対して、台座2および坩堝10を図2および図5の下側に移動させることにより、原料融液16の温度を、坩堝10の先端部11の内部に配置された種結晶9の近傍から徐々に下げていく。この結果、加熱されて溶融していた原料が、種結晶9の近傍から徐々に凝固(結晶化)する。このように凝固した部分は結晶となる。そして、徐々に台座2および坩堝10を加熱部5の内周側から下側へと引き抜いていくことにより、原料融液16は坩堝10の下側(すなわち種結晶9の近傍)から徐々に結晶化していく。このようにして、図5に示すように先端部11内で結晶15が成長し、引き続き図6に示すように胴部12内で結晶15が成長することで、図1に示す結晶100を成長させることができる。なお、台座2および坩堝10を固定し、加熱部5を上方へと移動させてもよい。
上記ステップS4では、図5に示すように先端部11において、0.5mm/h以上2.0mm/h以下の成長速度で結晶を製造することが好ましい。この成長速度は、加熱部5に対して、台座2および坩堝10を図2および図5の下側に移動させる速度である。
続いて、本実施の形態の結晶成長容器1および結晶製造方法の効果について、図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施の形態の結晶成長容器および結晶製造方法の効果を説明するための概略断面図である。図8は、比較例の結晶成長容器を概略的に示す断面図である。
本実施の形態では、先端部11の底壁11aの厚みT11aを側壁11bの厚みT11bよりも小さくしているので、結晶を製造する工程(ステップS4)において発生する熱を、側壁11bよりも底壁11aへ多く流出することができる。つまり、原料融液16から台座2へ伝わる熱の流れを先端部11の底壁11aに向かう方向(下方向)へガイドすることができる。このため、結晶15の径方向の中央部からの固化を促進することができるので、図7に示すように、原料融液が凝固して成長した結晶15(固相)と、原料融液16(液相)との境界部である界面17(固液界面)を、原料融液16側へ凸形状にすることが可能になる。この結果、得られる結晶15において結晶欠陥の発生を抑制できる。
それに加えて、仮に、結晶15の成長に伴い転位が発生しても、その転位を結晶成長容器1の坩堝10の側壁に向けて(図7における矢印18に向けて)成長することができる。転位が側壁にぶつかると、転位の進行はそこで止まるので、成長する結晶に発生する転位を低減することができる。このように先端部11で転位が発生した場合でも、その転位を外側に逃がすことで、結晶15中に残留する転位を低減できるので、胴部12に囲まれる結晶15(図1における結晶100の胴部102)に発生する転位を低減できる。このため、図1に示すような転位を低減した結晶100を製造することができる。
一方、図8に示すように、比較例の結晶成長容器を構成する坩堝20は、先端部21の底壁の厚みT21aは、先端部21の側壁の厚みT21bよりも大きいので、発生する熱を底壁よりも側壁へ多く流出するため、成長する結晶15と原料融液16との界面17は凹状になる。比較例のように、成長する結晶15と原料融液16との界面17が凹状になると、結晶15の成長に伴い転位が発生した場合には、図8に示す矢印18のように径方向の中央部に向けて転位が進行する。このため、成長する結晶15に転位が貫通し、転位を低減することができない。
以上より、本実施の形態における結晶成長容器1および結晶製造方法によれば、従来より結晶の成長を制御することが困難であった先端部11に着目して、先端部11の底壁11aの厚みT11aを側壁11bの厚みT11bよりも小さくすることで、先端部11での結晶成長を制御しているので、転位を低減した結晶100を製造することができる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における結晶成長容器30の先端部11近傍を概略的に示す拡大断面図である。図9を参照して、本実施の形態における結晶成長容器30について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2における結晶成長容器30の先端部11近傍を概略的に示す拡大断面図である。図9を参照して、本実施の形態における結晶成長容器30について説明する。
図9に示すように、結晶成長容器30は、基本的には図1および図2に示す結晶成長容器1と同様の構成を備えているが、先端部11の内部で、かつ種結晶9の下に配置されるとともに、種結晶9の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物質31をさらに備えている点において異なる。
物質31は、坩堝の先端部11の底壁11aに接するように配置される。物質31は、側壁11bに沿った形状であり、たとえば円柱状である。物質31は、先端部11の内部に配置されたときに、先端部11の上方に種結晶9を配置する空間を設けるような形状であることが好ましい。
物質31は、結晶を成長する際に発生する熱を、側壁11bよりも底壁11aへ多く流出するために設けられている。このため、物質31は、種結晶9の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。言い換えると、成長する結晶の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する。この観点から、物質31は、パイロリティックグラファイト、グラファイト焼結体、グラッシーカーボンなどのカーボンであることが好ましく、パイロリティックグラファイトおよびグラファイト焼結体の少なくとも1つを含むことがより好ましい。たとえばGaAs結晶を成長する場合には、物質31の熱伝導率は、GaAsの熱伝導率よりも高いことが好ましく、具体的には室温における熱伝導率が60(W/(m・K))より高いことが好ましい。
本実施の形態における結晶製造方法は、基本的には実施の形態1と同様であるが、図9に示す結晶成長容器30を用いる点において異なる。
以上説明したように、本実施の形態における結晶成長容器30および結晶製造方法によれば、先端部11の内部で、かつ種結晶9の下に配置されるとともに、種結晶9の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物質31をさらに備えている。
本実施の形態における結晶成長容器30および結晶製造方法によれば、物質31がヒートシンクの役割になるので、成長する結晶の側壁よりも底壁へ流出する熱量をより増やすことができる。このため、成長する結晶の中央部からの固化をより促進することができるので、成長する結晶と溶融した原料との界面を凸状に制御しやすくなる。したがって、結晶に発生する転位をより低減することができる。
また、先端部11の底壁11aの厚みを側壁11bの厚みよりも小さくすることで物質31がヒートシンクとしてより有効に作用し、発生した転位を外側に逃がすことができる。
本実施例では、結晶成長容器において、先端部の底壁の厚みを先端部の側壁の厚みよりも小さくすることによる効果について調べた。
(本発明例1)
本発明例1は、上述した実施の形態1の図2に示す結晶成長容器1を用いて、Si(シリコン)ドープGaAs単結晶の成長を行なった。
本発明例1は、上述した実施の形態1の図2に示す結晶成長容器1を用いて、Si(シリコン)ドープGaAs単結晶の成長を行なった。
図2を参照して、結晶成長容器1において、先端部11および胴部12はpBN製であり、先端部11の内径は6.5mm(先端部11内側の断面積は0.3cm2)で、先端部11の長さは40mmで、胴部12の直胴部の内径は80mmであった。pBN坩堝は特開平10−194886号公報に示されるように、BCl3やNH3などの原料ガスをカーボン製の基材上で反応させることによって作製した。面積の小さい底面は原料ガスが十分に供給されるため、側面よりも厚くなる。そこで本発明では、通常の方法で作製したpBN坩堝の底壁をサンドペーパーで加工することで側壁よりも薄くなるようにした。このとき、先端部11において底壁11aの厚みT11aは0.5mmで、側壁11bの厚みT11bは1.0mmであった。
製造するGaAs結晶の重量を6kgとし、それに必要な原料とドーパントであるSiを600mg用いた。また、種結晶としては、直径が6.1mm(断面積0.3cm2)で、長さが40mmで、方位<100>のGaAs結晶を用いた。
坩堝10の先端部11の底壁11aに種結晶9を配置し、その上の胴部12に原料8を充填した後、坩堝10の周囲に配置された加熱部5により原料8を溶融し、種付けを行ない下端より徐々に冷却して、図1に示す形状のGaAs単結晶を成長させた。
GaAs結晶を成長した後、GaAs結晶の先端部101と増径部102aとの境界部分からウエハを採取し、転位数(面内の合計数)を調べた。その結果、転位数は50個以下であった。また、GaAs結晶の先端部101において種付け以後に成長した部分の界面形状をエッチングにより調べた結果、界面は凹化していなかった。
(本発明例2)
本発明例2は、上述した実施の形態2の図9に示す結晶成長容器30を用いて、SiドープGaAs単結晶の成長を行なった。本発明例2の結晶成長容器は、基本的には本発明例1と同様の結晶成長容器を用いたが、先端部11の内部で、かつ種結晶9の下に配置されるとともに、種結晶9の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物質31をさらに備えている点において異なっていた。具体的には、結晶成長容器30は、種結晶9の下部に種結晶9と同じ直径で、長さ40mmのパイロリティックグラファイトを物質31として配置した。
本発明例2は、上述した実施の形態2の図9に示す結晶成長容器30を用いて、SiドープGaAs単結晶の成長を行なった。本発明例2の結晶成長容器は、基本的には本発明例1と同様の結晶成長容器を用いたが、先端部11の内部で、かつ種結晶9の下に配置されるとともに、種結晶9の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物質31をさらに備えている点において異なっていた。具体的には、結晶成長容器30は、種結晶9の下部に種結晶9と同じ直径で、長さ40mmのパイロリティックグラファイトを物質31として配置した。
本発明例2の結晶成長容器を用いて、本発明例1と同様の条件で、GaAs結晶を成長し、本発明例1と同様に転位数を調べた結果、転位は30個以下であり良好な結果が得られた。また、本発明例1と同様に界面形状をエッチングにより調べた結果、界面は凹化していなかった。
(比較例1)
比較例1は、図8に示す坩堝20を備えた結晶成長容器を用いて、SiドープGaAs結晶の成長を行なった。比較例1の結晶成長容器は、基本的には本発明例1と同様の結晶成長容器を用いたが、坩堝20の底壁および側壁の厚みが異なっていた。
比較例1は、図8に示す坩堝20を備えた結晶成長容器を用いて、SiドープGaAs結晶の成長を行なった。比較例1の結晶成長容器は、基本的には本発明例1と同様の結晶成長容器を用いたが、坩堝20の底壁および側壁の厚みが異なっていた。
具体的には、先端部21において底壁21aの厚みT21aは1.5mmで、側壁21bの厚みT21bを1.0mmとした。つまり、比較例1の先端部21の底壁21aの厚みT21aは、先端部21の側壁21bの厚みT21bよりも大きかった。
比較例1の結晶成長容器を用いて、本発明例1および2と同様の条件で、GaAs結晶を成長し、本発明例1および2と同様に転位数を調べた結果、転位数は300個程度であり、本発明例1および2よりも良い結果は得られなかった。
以上より、本実施例によれば、先端部の底壁の厚みを先端部の側壁の厚みよりも小さくすることにより、転位を低減した結晶を成長できることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,30 結晶成長容器、2 台座、2a 傾斜部、2b 凹部、5 加熱部、8 原料、9 種結晶、10,20 坩堝、11,21,101 先端部、11a,21a 底壁、11b,21b 側壁、12,102 胴部、12a,102a 増径部、12b,102b 直胴部、15,100 結晶、16 原料融液、17 界面、18 矢印、31 物質。
Claims (8)
- 原料を加熱溶融した後、溶融した前記原料を一方向から凝固させることにより結晶を製造する結晶成長容器であって、
種結晶を配置するための先端部と、
前記先端部と接続され、かつ前記先端部の径よりも大きな径を有するとともに、内部で前記原料を加熱溶融するための胴部とを備え、
前記先端部の底壁の厚みは、前記先端部の側壁の厚みよりも小さい、結晶成長容器。 - 前記先端部の前記底壁の厚みは、前記先端部の前記側壁の厚みの0.5倍以下である、請求項1に記載の結晶成長容器。
- 前記先端部内側の断面積が0.2cm2以上0.8cm2以下である、請求項1または2に記載の結晶成長容器。
- 前記先端部および前記胴部は、パイロリティックボロンナイトライドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶成長容器。
- 前記先端部の内部で、かつ前記種結晶の下に配置されるとともに、前記種結晶の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する物質をさらに備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶成長容器。
- 前記物質は、パイロリティックグラファイト、グラファイト焼結体およびグラッシーカーボンの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の結晶成長容器。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶成長容器を用いて結晶を製造する方法であって、
前記先端部に前記種結晶を配置する工程と、
前記胴部に前記原料を配置する工程と、
前記原料を加熱することにより前記原料を溶融する工程と、
溶融した前記原料を前記種結晶側から凝固させることにより、結晶を製造する工程とを備えた、結晶製造方法。 - 前記結晶を製造する工程では、前記先端部において0.5mm/h以上2.0mm/h以下の成長速度で前記結晶を製造する、請求項7に記載の結晶製造方法。
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JP2010157691A JP2012020886A (ja) | 2010-07-12 | 2010-07-12 | 結晶成長容器および結晶製造方法 |
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JP2015231921A (ja) * | 2014-06-09 | 2015-12-24 | 住友電気工業株式会社 | 結晶成長用坩堝 |
-
2010
- 2010-07-12 JP JP2010157691A patent/JP2012020886A/ja not_active Withdrawn
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