JP2012020643A - タイヤ形状予測法、タイヤ形状予測装置、およびプログラム - Google Patents
タイヤ形状予測法、タイヤ形状予測装置、およびプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】タイヤのトレッド部の形状を予測する際、タイヤのトレッド部の摩耗した形状を再現したタイヤの摩耗モデルを、タイヤモデルとして作成する。次に、前記タイヤモデルが路面を再現した路面モデル上を転がるときの前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギを算出する。算出した摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量を算出する。前記摩耗エネルギの算出に用いたタイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測することにより、前記トレッド部の摩耗前のクラウン形状を有するタイヤモデルを作成する。
【選択図】 図6
Description
当該文献1のシミュレーション方法では、タイヤを有限個の要素に分割してトレッドパターン部を有するタイヤモデルを設定するモデル設定ステップと、予め定めた境界条件に基づいてタイヤモデルを仮想路面で転動させるシミュレーションを行ってタイヤモデルの摩耗特性を取得する摩耗シミュレーションステップと、前記摩耗特性に基づいて前記トレッドパターン部のトレッド面を凹ませてタイヤモデルを摩耗状態に修正するモデル修正ステップとを含み、かつ、前記修正されたタイヤモデルを用いてさらに前記摩耗シミュレーションステップが行われる。
タイヤのトレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤの摩耗モデルを、タイヤモデルとして作成するステップAと、
作成したタイヤモデルが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギを算出するステップBと、
前記摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量を算出するステップCと、
前記摩耗エネルギの算出に用いた前記タイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測するステップDと、を有する。
前記ステップDでは、予測された前記摩耗前のトレッド部のクラウン形状を用いて摩耗前のタイヤモデルがさらに作成され、作成された前記摩耗前のタイヤモデルは、前記ステップBにおける摩擦エネルギの算出に用いるタイヤモデルとして用いられることにより、ステップB〜Dを繰り返し行うステップEを有する、ことが好ましい。
また、前記ステップCにおいて、前記摩耗量は、前記摩耗エネルギに定数を乗算することにより算出される、ことが好ましい。
タイヤのトレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤの摩耗モデルを、タイヤモデルとして作成する第1モデル作成部と、
作成したタイヤモデルが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギを算出するエネルギ算出部と、
前記摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量を算出する摩耗量算出部と、
前記摩耗エネルギの算出に用いたタイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測する形状予測部と、を有する。
タイヤのトレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤの摩耗モデルをタイヤモデルとして、コンピュータが作成する手順Aと、
前記タイヤモデルが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギをコンピュータが算出する手順Bと、
前記摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量をコンピュータが算出する手順Cと、
前記摩耗エネルギの算出に用いた前記タイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状をコンピュータが予測する手順Dと、を有する。
図1は、本実施形態の予測装置10の構成を示す構成図である。
予測装置10は、摩耗したタイヤのトレッド部のクラウン形状から摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測する。予測装置10は、トレッド部が摩耗したタイヤのクラウン形状を再現したタイヤモデルを、別途作成された路面モデル上に転動させる。さらに、予測装置10は、転動するタイヤモデルが路面モデルから受ける摩擦エネルギを用いて、トレッド部がこの摩耗形態にいたる摩耗前のクラウン形状を予測する。
予測装置10がクラウン形状を予測するタイヤは、例えば乗用車用タイヤあるいは重荷重用(バス、トラック用)タイヤ等が含まれ、タイヤサイズに限定されない。
具体的には、摩擦エネルギ算出部26は、作成されたタイヤモデルTMに空気圧充填処理を施し、この処理後のタイヤモデルTMを路面モデルRMに接地させる接地処理を行う。この処理後、摩擦エネルギ算出部26は、タイヤモデルTMに転動処理を施す。空気圧充填処理、接地処理および転動処理は、予め設定されたシミュレーション条件に基づいて行われる。転動処理における走行条件は、一定の走行速度のスリップ角0およびスリップ率0の転動状態、コーナリング状態、制動状態、あるいは駆動状態を再現する条件を含む。具体的には、転動処理において、コーナリング状態、制動状態、あるいは駆動状態が再現される場合、摩擦エネルギ算出部26は、摩擦エネルギを算出するための走行条件を定めるために、タイヤモデルTMのコーナリング特性あるいは制駆動特性を算出する。摩擦エネルギ算出部26は、算出したコーナリング特性あるいは制駆動特性を用いて走行条件を定めて、この条件で転動シミュレーションを行うことにより、摩耗エネルギを算出する。
このときのコーナリング特性あるいは制駆動特性は、摩擦エネルギを算出するための転動処理とは別のプレ転動処理を行うことにより得られる。コーナリング特性は、例えばスリップ角を与えたときのコーナリングパワー(スリップ角1度における横力)を含み、制駆動特性は制駆動スティフネス(スリップ率0.1における制駆動力)を含む。摩擦エネルギ算出部26は、コーナリングパワーあるいは制駆動スティフネスをプレ転動処理によって算出する。さらに、摩擦エネルギ算出部26は、摩擦エネルギを算出するために、後続して行う転動処理において横力あるいは制駆動力が所定の値になるように、算出したコーナリングパワーあるいは制駆動スティフネススを用いてリップ角あるいはスリップ率等を走行条件として定める。
具体的には、メモリ16に記憶されている基準摩耗量および基準単位摩擦エネルギ、摩耗指数を用いて、各節点における摩耗量(トレッド部の厚さの減少量)を求める。摩耗量は、下記式(1)を用いて単位摩擦エネルギが算出された節点毎に求められる。すなわち、摩耗量は、摩耗エネルギに定数を乗算することにより算出される。
×(基準摩耗量)×(摩耗指数) ・・・・・・・・・(1)
基準単位摩擦エネルギと基準摩耗量は、基準とするトレッドゴムを供えたタイヤを、室内試験機を用いて走行させて、走行距離毎の摩耗量を計測するとともに、このタイヤの転動シミュレーションにより単位摩擦エネルギを算出することにより、得られる。
形状予測部30は、図3に示すように、各節点における摩耗量から補間によりタイヤ断面方向における位置が異なる複数の点における摩耗量を求め、この摩耗量を求めた点を用いて少なくとも2つ以上の代表点A1〜A5を定める。上記複数の点は、例えば、タイヤ幅方向(図3中の左右方向)において一定の間隔毎に定めたトレッド部表面の点である。
これにより、摩耗前のクラウン形状を有するタイヤモデルが作成される。
作成された摩耗前のタイヤモデルは、摩擦エネルギ算出部26、摩耗量算出部28、形状予測部30、および、第2モデル作成部32による各処理に再度用いられる。
このように、予測装置10は、算出された摩耗エネルギから摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測することができる。したがって、予測装置10は、効率よく摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測することができる。例えば、予測装置10は、理想的に摩耗したトレッド部のクラウン形状を用いることにより、摩耗が理想的な形態で進むトレッド部の新品時のクラウン形状を予測することができる。
トレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤモデルTMを、コンピュータがタイヤモデルとして作成する手順Aと、
タイヤモデルTMが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、タイヤモデルTMが路面モデルから受ける摩擦エネルギをコンピュータが算出する手順Bと、
摩擦エネルギに基づいて、トレッド部の摩耗量をコンピュータが算出する手順Cと、
摩耗エネルギの算出に用いたタイヤモデルTMのトレッド部のクラウン形状に摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状をコンピュータが予測する手順Dと、を有する。
更に、予測されたトレッド部の摩耗前のクラウン形状を用いて摩耗前のタイヤモデルが作成され、作成されたタイヤモデルが、手順Bにて用いる上記タイヤモデルとして再度用いられる。
図6は、タイヤのクラウン形状の予測方法のフローを示す図である。
まず、設定部34は、オペレータからの入力を受け、この入力に基づいて、タイヤモデルの作成条件やタイヤの転動シミュレーションの走行条件等を含んだ各種条件を設定する。設定された条件はメモリ16に記憶される。
走行条件は、空気圧、負荷荷重、転動速度、横力、キャンバ角、制駆動力を含む。これらの条件は、予めメモリ16に記憶されており、摩擦エネルギ取得部26から呼び出されて設定される。
タイヤモデルTMの転動シミュレーションでは、タイヤモデルTMに対して空気圧充填処理、接地処理、および転動処理が実行される。
空気圧充填処理では、タイヤモデルTMのタイヤ空洞領域に面する内周面の各節点に、設定された圧力に相当する力が与えられる。
勿論、スリップ角およびスリップ率を固定にした走行条件を用いて、後続する転動処理を行ってもよい。
こうして、転動シミュレーションが行われ、タイヤモデルTMが路面モデルRMから受ける各種力や変位の結果はメモリ16に記憶される。
まず、摩擦エネルギ算出部26は、タイヤモデルTMのトレッドゴムの表面に位置する各節点の中から、路面モデルRMと接触して接触力を受ける節点を見出し、この節点について、路面モデルRMから受けるせん断力を含む接触力を取得する。さらに、摩擦エネルギ算出部26は、上記節点における、路面モデルRMに対する相対変位であるすべり量を取得する。摩擦エネルギ算出部26は、取得したせん断力とすべり量を乗算し、乗算結果を節点の節点面積で除算することにより、各節点における単位摩擦エネルギを算出する。ここで、節点面積とは、以下のように定まる面積である。タイヤモデルTMが、例えば、図7に示すように、節点F1,F2,F4,F5を持つ要素X1と、節点F4,F5,F7,F8を持つ要素X2と、節点F5,F6,F8,F9を持つ要素X3と、節点F2,F3,F5,F6を持つ要素X4と、を有する場合を考える。この場合、節点面積は、節点F5を共有して節点とする要素X1〜X4の表面の面積を路面モデルRMと接触する節点の数で除算した値を、合計したものをいう。節点F5は要素X1〜X4で共有されるので、節点F5の節点面積の値は、図7中の要素X1の面積を節点の数4で除算した値と、図7中の要素X2の面積を節点の数4で除算した値と、図7中の要素X3の面積を節点の数4で除算した値と、図7中の要素X4の面積を節点の数4で除算した値とを合計した値となる。すなわち、節点面積の値は、図7中の斜線の面積をいう。
具体的には、形状予測部30は、メモリ16から、節点毎に算出された摩耗量を呼び出し、この摩耗量を用いて、互いに位置が異なるトレッド部の面上の複数の点における単位摩擦エネルギを求める。上記複数の点は、タイヤ幅方向に一定間隔で設けられたトレッド部の表面上の点である。さらに、形状予測部30は、摩耗量を求めた上記点を用いて少なくとも2つ以上の代表点を定め、定めた代表点から、摩耗量の厚さに基づいて摩耗前代表点を定める。形状予測部30は、予測した少なくとも2つ以上の摩耗前代表点を用いて、ベジェ曲線等によりトレッド部の摩耗前のクラウン形状を予測する。
上記代表点と上記摩耗量から摩耗前代表点を定めるとき、形状予測部30は、代表点から摩耗量の分だけ、タイヤ径方向外側に向かって延びた位置に摩耗前代表点を定める。なお、摩耗前代表点の位置は、代表点から上記タイヤ径方向外側に延びる位置であるが、これに限定されない。例えば、摩耗前代表点の位置は、クラウン形状が摩耗したタイヤモデルの代表点における法線方向外側に延びる位置であってもよい。あるいは、タイヤ回転軸上のタイヤ中心位置を中心とした放射方向外側に延びる位置であってもよい。
なお、代表点は、上記平均値を用いて定めたが、これに限定されない。例えば、代表点は、平均値の代わりに、最大値、最小値、あるいは、中間値(メジアン値)を用いtrもよい。
一方、判定結果が否定である場合、ステップS16にて作成されたタイヤモデルは、ステップS12における処理対象のタイヤモデルとされ、再度、タイヤの転動処理が行われて摩擦エネルギの算出が行われる。このように、ステップS18における判定結果が肯定になるまで、ステップS12〜S16が繰り返し行われる。
12 CPU
14 バス
16 メモリ
18 入出力インターフェース部
20 入力操作系
22 出力装置
24 第1モデル作成部
26 摩擦エネルギ算出部
28 摩耗量算出部
30 形状予測部
32 第2モデル作成部
34 設定部
36 処理モジュール群
Claims (7)
- タイヤのトレッド部のクラウン形状を予測するタイヤ形状予測方法であって、
タイヤのトレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤの摩耗モデルを、タイヤモデルとして作成するステップAと、
作成したタイヤモデルが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギを算出するステップBと、
前記摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量を算出するステップCと、
前記摩耗エネルギの算出に用いた前記タイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測するステップDと、を有することを特徴とするタイヤ形状予測方法。 - 前記トレッド部の前記摩耗量は所定範囲内に含まれるように定められ、
前記ステップDでは、予測された前記摩耗前のトレッド部のクラウン形状を用いて摩耗前のタイヤモデルがさらに作成され、作成された前記摩耗前のタイヤモデルは、前記ステップBにおける摩擦エネルギの算出に用いるタイヤモデルとして用いられることにより、ステップB〜Dを繰り返し行うステップEを有する、請求項1に記載のタイヤ形状予測方法。 - 前記ステップBにおいて前記摩擦エネルギの算出を行う際、前記タイヤモデルを用いてコーナリング特性あるいは制駆動特性を計算することにより走行条件を定め、前記走行条件を前記タイヤモデルに与えて前記摩耗エネルギを算出する、請求項1または2に記載のタイヤ形状予測方法。
- 前記ステップCにおいて、前記摩耗量は、前記摩耗エネルギに定数を乗算することにより算出される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ形状予測法。
- 前記ステップDにおいて、タイヤ幅方向における位置が異なる複数の点における摩耗量が求められ、摩耗量を求めた前記複数の点を用いて少なくとも2つ以上の代表点が定められ、定められた前記代表点から、前記摩耗量に基づいて摩耗前代表点の位置が予測され、予測された少なくとも2つ以上の摩耗前代表点を用いて前記トレッド部の摩耗前のクラウン形状が作成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ形状予測法。
- タイヤのトレッド部のクラウン形状を予測するタイヤ形状予測装置であって、
タイヤのトレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤの摩耗モデルを、タイヤモデルとして作成する第1モデル作成部と、
作成したタイヤモデルが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギを算出するエネルギ算出部と、
前記摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量を算出する摩耗量算出部と、
前記摩耗エネルギの算出に用いたタイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状を予測する形状予測部と、を有することを特徴とするタイヤ形状予測装置。 - タイヤのトレッド部のクラウン形状を、コンピュータに予測させるプログラムであって、
タイヤのトレッド部の摩耗したクラウン形状を再現したタイヤの摩耗モデルをタイヤモデルとして、コンピュータが作成する手順Aと、
前記タイヤモデルが、路面を再現した路面モデル上を転がるときに、前記タイヤモデルが前記路面モデルから受ける摩擦エネルギをコンピュータが算出する手順Bと、
前記摩擦エネルギに基づいて、前記トレッド部の摩耗量をコンピュータが算出する手順Cと、
前記摩耗エネルギの算出に用いた前記タイヤモデルのトレッド部のクラウン形状に前記摩耗量の厚さを付加して摩耗前のトレッド部のクラウン形状をコンピュータが予測する手順Dと、を有することを特徴とするプログラム。
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