JP2012018039A - マイクロ流路と核酸ハイブリダイゼーションのためのマイクロチップとカラム及び装置並びに方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】核酸分離用担体が充填されたマイクロ流路において、担体による励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を防止して、標的核酸鎖の光学検出を高精度に行うための技術の提供。
【解決手段】標的核酸鎖が含まれる溶液が通流され、標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖が固相化されたアガロースゲル担体(アガロースゲルビーズ)2が、前記溶液の送液方向下流側に配設されたフィルタ113によって保持された状態で充填されたマイクロ流路11を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】標的核酸鎖が含まれる溶液が通流され、標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖が固相化されたアガロースゲル担体(アガロースゲルビーズ)2が、前記溶液の送液方向下流側に配設されたフィルタ113によって保持された状態で充填されたマイクロ流路11を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロ流路と核酸ハイブリダイゼーションのためのマイクロチップとカラム及び装置並びに方法に関する。より詳しくは、核酸分離用担体として光透過性を有するアガロースゲル担体を充填したマイクロ流路等に関する。
近年、遺伝子の変異や多型、発現量、ネットワークなどの解析に利用され得るバイオアッセイ技術の開発が進んでいる。例えば、DNAチップ又はDNAマイクロアレイと呼ばれる集積基板を用いた方法が挙げられる。DNAチップやタンパク質を集積したプロテインチップなどに代表されるセンサーチップ技術は、標的物質と検出用物質との間の特異的な相互作用を利用してサンプル中の標的物質を分離・検出している。
最近では、流路やキャピラリー内において、標的物質と検出用物質とを相互作用させる技術が提案されている。また、物質間相互作用の応用として、核酸間のハイブリダイゼーション反応を流路やキャピラリー内で進行させる技術も提案されている。例えば、特許文献1には、ポリヌクレオチドの増幅を行う部分と、検出用オリゴヌクレオチドが固定されている多孔質層を有するハイブリダイゼーション部分とが、流路によって連結されているポリヌクレオチドの分析用部材が開示されている。特許文献2には、毛細管状の流路の内壁にプローブ化合物を固定して、被検ポリヌクレオチドとハイブリダイゼーションを進行させるポリヌクレオチドの分析方法が開示されている。
流路やキャピラリー内において、物質間相互作用を進行させる場合、サンプル溶液等の送液に伴い、流路の内圧が著しく上昇してしまうことが問題となる。特に標的物質を核酸鎖とする場合には、細い流路内で核酸鎖のハイブリット形成が進行することにより、流路の実質的体積が減少し、流路内圧が上昇することがある。また、標的核酸鎖以外の核酸鎖が流路内に非特異的に吸着すると、流路の目詰まりが生じ、流路内圧が上昇してしまう。
本発明者らは、特許文献3において、流路やキャピラリー(以下、これらを「マイクロ流路」とも称する)内での目詰まりを防止し、内圧上昇を防止することが可能なマイクロ流路系を提供している。このマイクロ流路系は、標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有し、捕捉鎖を多孔質担体に固相化した核酸分離用担体が充填されたものである(当該文献、請求項6参照)。
上記特許文献3に開示されるマイクロ流路系では、核酸分離用担体として多孔質担体(例えば、パーフュージョンクロマトグラフィー粒子)を用いることで、流路内の内圧上昇を防止して高流量の送液を行うことができる。
一方で、多孔質担体が光透過性を有していない場合には、蛍光物質を用いて光学的に標的核酸鎖を検出する際に、蛍光物質に照射される励起光や蛍光物質から発せられる蛍光が担体によって遮断されたり、反射あるいは散乱されたりしていた。励起光や蛍光が担体によって遮断されると、十分な蛍光の検出強度が得られず、標的核酸鎖の検出精度が低下してしまう。また、励起光や蛍光が担体によって反射あるいは散乱されると、蛍光検出時のバックグラウンドが高くなりダイナミックレンジが小さくなって標的核酸鎖の検出精度が低くなる。
そこで、本発明は、核酸分離用担体が充填されたマイクロ流路において、担体による励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を防止して、標的核酸鎖の光学検出を高精度に行うための技術を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、標的核酸鎖が含まれる溶液が通流され、標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖が固相化されたアガロースゲル担体が、前記溶液の送液方向下流側に配設されたフィルタによって保持された状態で充填されたマイクロ流路を提供する。
このマイクロ流路では、核酸分離用担体として光透過性を有するアガロースゲル担体を充填しているため、励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を抑制できる。また、アガロースゲル担体を保持するためのフィルタを送液方向下流側にのみ配設しているため、標的核酸鎖を断片化していない状態で捕捉鎖に接触させることができる。
また、本発明は、前記マイクロ流路が形成され、マイクロ流路への前記溶液の導入口と、マイクロ流路からの前記溶液の排出口と、が配設された核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ及びカラムを提供する。
このマイクロ流路では、核酸分離用担体として光透過性を有するアガロースゲル担体を充填しているため、励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を抑制できる。また、アガロースゲル担体を保持するためのフィルタを送液方向下流側にのみ配設しているため、標的核酸鎖を断片化していない状態で捕捉鎖に接触させることができる。
また、本発明は、前記マイクロ流路が形成され、マイクロ流路への前記溶液の導入口と、マイクロ流路からの前記溶液の排出口と、が配設された核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ及びカラムを提供する。
さらに、本発明は、標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖が固相化されたアガロースゲル担体が、前記溶液の送液方向下流側に配設されたフィルタによって保持された状態で充填されたマイクロ流路に、アガロースが添加された液相を用いて標的核酸鎖を含む溶液を通流させる手順を含む核酸ハイブリダイゼーション方法を提供する。
この核酸ハイブリダイゼーション方法では、核酸分離用担体として光透過性を有するアガロースゲル担体を用いるため、励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を抑制できる。また、アガロースゲル担体を保持するためのフィルタを送液方向下流側にのみ配設するため、標的核酸鎖を断片化していない状態で捕捉鎖に接触させることができる。さらに、アガロース添加の液相を用いることで、アガロースゲル担体同士を緩やかに粘着させて安定化させることができる。
この核酸ハイブリダイゼーション方法では、核酸分離用担体として光透過性を有するアガロースゲル担体を用いるため、励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を抑制できる。また、アガロースゲル担体を保持するためのフィルタを送液方向下流側にのみ配設するため、標的核酸鎖を断片化していない状態で捕捉鎖に接触させることができる。さらに、アガロース添加の液相を用いることで、アガロースゲル担体同士を緩やかに粘着させて安定化させることができる。
本発明により、核酸分離用担体が充填されたマイクロ流路において、担体による励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を防止して、標的核酸鎖の光学検出を高精度に行うための技術が提供される。
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。
1.マイクロ流路及び核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
(1)核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
(2)アガロースゲル担体
2.核酸ハイブリダイゼーション方法
(1)コンディショニング
(2)標的核酸鎖の通流と洗浄
(3)検出鎖の通流と洗浄
(4)検出
3.核酸ハイブリダイゼーション装置
1.マイクロ流路及び核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
(1)核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
(2)アガロースゲル担体
2.核酸ハイブリダイゼーション方法
(1)コンディショニング
(2)標的核酸鎖の通流と洗浄
(3)検出鎖の通流と洗浄
(4)検出
3.核酸ハイブリダイゼーション装置
1.マイクロ流路及び核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
(1)核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
図1は、本発明に係るマイクロ流路が形成された核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップの構成を説明する模式図である。図1(A)は上面図、(B)は(A)中P−P断面に対応する断面図である。
(1)核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ
図1は、本発明に係るマイクロ流路が形成された核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップの構成を説明する模式図である。図1(A)は上面図、(B)は(A)中P−P断面に対応する断面図である。
図中、符号1で示す核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ(以下、「マイクロチップ」と略記する)には、標的核酸鎖が含まれる溶液(以下、「サンプル液」と称する)が通流されるマイクロ流路11が形成されている。符号111は、マイクロ流路11へのサンプル液の導入口を示す。また、符号112は、マイクロ流路11からのサンプル液の排出口を示す。導入口111から送液されたサンプル液は、マイクロ流路11内を通流して排出口112から排液される。
マイクロ流路11内には、標的核酸鎖を分離するための核酸分離用担体としてアガロースゲル担体2が充填されている。アガロースゲル担体(アガロースゲルビーズ)2のサンプル液送液方向下流側には、フィルタ113が配設されている。フィルタ113には細孔が形成されており、この細孔はサンプル液やサンプル液中の標的核酸鎖や塩、界面活性剤等の物質を透過させるが、アガロースゲル担体2を通過させないような孔径とされている。これにより、フィルタ113は、マイクロ流路11内に充填されたアガロースゲル担体2を保持して、流路内を通流するサンプル液とともにアガロースゲル担体2が排出口112から排出されるのを防止する。フィルタ113の細孔径は、アガロースゲル担体2の大きさに応じて適宜設計され得るが、例えば0.5〜20μm程度、より好ましくは10μm程度とされる。
フィルタ113は、マイクロ流路11内に充填されたアガロースゲル担体2の送液方向下流側のみに設けられ、上流側には配されていない。フィルタを上流側に設けた場合、アガロースゲル担体2をマイクロ流路11内により安定的に保持することができる。しかし、サンプル液中に含まれる標的核酸鎖がフィルタを通過する際に切断、断片化されてしまうおそれが生じる(後述試験例2参照)。標的核酸鎖がアガロースゲル担体2と接触する前に断片化してしまうと、アガロースゲル担体2に固相化された捕捉鎖との間のハイブリダイゼーション反応の効率が低下する。
マイクロチップ1は、マイクロ流路11が成形された基板層1bと、導入口111及び排出口112が形成された基板層1aと、を貼り合せて構成されている。基板層1a,1bの材質は、標的核酸鎖の光学検出のため光透過性を有する材質とされ、例えばガラスや各種プラスチック(PP,PC,COP、PDMS)とされる。基板層1a,1bの材質は、自家蛍光が少なく、波長分散が小さいために、光学誤差の少ない材質を選択することが好ましい。
マイクロ流路11等の基板層1a,1bへの成形は、ガラス製基板層のウェットエッチングやドライエッチングによって、またプラスチック製基板層のナノインプリントや射出成型、切削加工によって行うことができる。そして、マイクロ流路11等を形成した基板層1a,1bを貼り合せることで、マイクロチップ1を形成できる。基板層の貼り合せは、例えば、熱融着、接着剤、陽極接合、粘着シートを用いた接合、プラズマ活性化結合、超音波接合等の公知の手法により行うことができる。なお、ここでは、マイクロチップ1にマイクロ流路11を一つ設ける場合を例に説明するが、マイクロ流路11の配設数は2以上としてもよい。
(2)アガロースゲル担体
図2は、アガロースゲル担体2表面の物質構成を説明する模式図である。ここでは、アガロースゲル担体としてアガロースゲルビーズを用いる場合を例に説明する。
図2は、アガロースゲル担体2表面の物質構成を説明する模式図である。ここでは、アガロースゲル担体としてアガロースゲルビーズを用いる場合を例に説明する。
アガロースゲル担体(以下、「アガロースゲルビーズ」と称する)2の表面には、標的核酸鎖をビーズ上に捕捉するための捕捉鎖21が固相化されている。捕捉鎖21は、標的核酸鎖に対し相補的な塩基配列を有し、標的核酸鎖と相互作用して二本鎖(ハイブリッド)を形成する。本発明において、標的核酸鎖は、DNAやRNAに加えて、これらのリボース部分の構造を改変して得られる核酸類似体(例えば、LNA(Locked Nucleic Acid))等とされる。捕捉鎖21は、標的核酸鎖の種類に応じて、DNAやRNA、核酸類似体等から適宜選択して用いられる。
捕捉鎖21の塩基配列の長さ(塩基数)は、標的核酸鎖の塩基配列の少なくとも一部に相補的な塩基配列を有することにより、標的核酸鎖と相互作用して二本鎖を形成し得る限りにおいて、特に限定されない。捕捉鎖21の塩基数は、通常、数塩基〜数百塩基であり、好ましくは10塩基〜100塩基程度、さらに好ましくは15〜30塩基程度である。また、捕捉鎖21は、標的核酸鎖の塩基配列に対し完全に相補的な塩基配列を有している必要はなく、標的核酸鎖との二本鎖形成が可能な限りにおいて、その塩基配列中に1塩基又は2塩基以上のミスマッチ(非相補塩基)を有していてもよい。捕捉鎖21の塩基配列は、標的核酸鎖との解離温度(Tm)が、後述する検出鎖と標的核酸鎖との解離温度と同程度となるように設計することが好ましい。
アガロースゲルビーズ2表面への捕捉鎖21の固相化は、従来公知の手法によって行うことができ、例えばアビジン−ビオチン結合やカップリング反応(ジアゾカップリング反応など)によって行うことができる。アビジン−ビオチン結合を利用する場合には、アガロースゲルビーズ2表面にストレプトアビジンを固定化し、末端にビオチンを修飾した捕捉鎖21をアビジン−ビオチン間の結合によって固相化する。また、捕捉鎖21の固相化は、本発明者らが上記特許文献3に開示するイオン交換結合による手法を採用してもよい。
以上では、本発明に係るマイクロ流路を核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップとして実施する場合を例に説明した。本発明に係るマイクロ流路は上記特許文献3に開示されるような核酸ハイブリダイゼーション用カラムとしても好適に実施可能である。
2.核酸ハイブリダイゼーション方法
図3は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション方法の手順を説明するフローチャートである。また、図4は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション方法の各手順におけるアガロースゲルビーズ2表面の物質構成を説明する模式図である。
図3は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション方法の手順を説明するフローチャートである。また、図4は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション方法の各手順におけるアガロースゲルビーズ2表面の物質構成を説明する模式図である。
(1)コンディショニング
図3、ステップS1では、導入口111からハイブリダイゼーション反応用の緩衝液を導入しマイクロ流路11内に通液させて、アガロースゲルビーズ2のコンディショニングを行う。コンディショニングは、マイクロ流路11内の液体を置換し、脱気するために行われる。ステップS1におけるアガロースゲルビーズ2表面の物質構成を図4(A)に示す。
図3、ステップS1では、導入口111からハイブリダイゼーション反応用の緩衝液を導入しマイクロ流路11内に通液させて、アガロースゲルビーズ2のコンディショニングを行う。コンディショニングは、マイクロ流路11内の液体を置換し、脱気するために行われる。ステップS1におけるアガロースゲルビーズ2表面の物質構成を図4(A)に示す。
(2)標的核酸鎖の通流と洗浄
図3、ステップS2では、導入口111からサンプル液を導入しマイクロ流路11内に通液させる。本ステップでは、標的核酸鎖に対し相補的な塩基配列を有する捕捉鎖21と標的核酸鎖とが二本鎖を形成し、標的核酸鎖がアガロースゲルビーズ2表面に捕捉される。
図3、ステップS2では、導入口111からサンプル液を導入しマイクロ流路11内に通液させる。本ステップでは、標的核酸鎖に対し相補的な塩基配列を有する捕捉鎖21と標的核酸鎖とが二本鎖を形成し、標的核酸鎖がアガロースゲルビーズ2表面に捕捉される。
ステップS2後のアガロースゲルビーズ2表面の物質構成を、図4(B)に示す。図中、符号Tはサンプル液に含まれる標的核酸鎖、符号Nは標的核酸鎖以外の核酸鎖(非標的核酸鎖)を示す。
サンプル液の導入は、ステップS1で用いたハイブリダイゼーション反応用の緩衝液を液相に用いて行うことが好ましく、より好ましくはアガロースが添加された前記緩衝液を液相に用いて行うことが好ましい。アガロース添加の液相を用いることで、マイクロ流路11内のアガロースゲルビーズ2同士を緩やかに粘着させて安定させることができる。アガロースの液相への添加量は、0.02〜0.2%程度、より好ましくは0.05%程度とされる。アガロース添加の液相は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション方法の各ステップにおいても用いることができる。
捕捉鎖21と標的核酸鎖とのハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイゼーション反応用緩衝液の組成(例えば、塩や界面活性剤の濃度)やマイクロ流路11内の温度を調整し、適当なハイブリッド形成条件下において行われる。標的核酸鎖の自己ハイブリッド形成を抑制するため、サンプル液を予め加温してマイクロ流路11内に導入することが有効である。また、標的核酸鎖の捕捉鎖21への非特異的な吸着を抑制するため、サンプル液の通流時のマイクロ流路11内を加温することが有効である。
サンプル液の通液後、導入口111から洗浄液を導入しマイクロ流路11内に通液させ、アガロースゲルビーズ2の洗浄を行う。洗浄は、捕捉鎖21と標的核酸鎖とのハイブリッド形成が維持される条件にて行い、非標的核酸鎖と捕捉鎖21に非特異的に吸着した標的核酸鎖とをマイクロ流路11内から除去するために行う。
(3)検出鎖の通流と洗浄
続いて、図3、ステップS3では、アガロースゲルビーズ2表面に捕捉された標的核酸鎖を検出するための検出鎖を導入口111からマイクロ流路11内に導入する。本ステップでは、標的核酸鎖に対し相補的な塩基配列を有する検出鎖と標的核酸鎖とが二本鎖を形成し、捕捉鎖21−標的核酸鎖−検出鎖のサンドイッチハイブリッドが形成される。なお、本ステップは、上記のステップS2と同時に行ってもよい。
続いて、図3、ステップS3では、アガロースゲルビーズ2表面に捕捉された標的核酸鎖を検出するための検出鎖を導入口111からマイクロ流路11内に導入する。本ステップでは、標的核酸鎖に対し相補的な塩基配列を有する検出鎖と標的核酸鎖とが二本鎖を形成し、捕捉鎖21−標的核酸鎖−検出鎖のサンドイッチハイブリッドが形成される。なお、本ステップは、上記のステップS2と同時に行ってもよい。
検出鎖は、捕捉鎖21と同様に、標的核酸鎖に対し相補的な塩基配列を有し、標的核酸鎖と相互作用して二本鎖を形成する。検出鎖も、標的核酸鎖の種類に応じて、DNAやRNA、核酸類似体等から適宜選択して用いられる。また、検出鎖の塩基配列の長さ(塩基数)も、標的核酸鎖の塩基配列の少なくとも一部に相補的な塩基配列を有することにより、標的核酸鎖と相互作用し二本鎖を形成し得る限りにおいて、特に限定されない。さらに、検出鎖は、標的核酸鎖の塩基配列に対し完全に相補的な塩基配列を有している必要はなく、標的核酸鎖との二本鎖形成が可能な限りにおいて、その塩基配列中に1塩基又は2塩基以上のミスマッチ(非相補塩基)を有していてもよい点も、捕捉鎖21と同様である。検出鎖の塩基配列は、標的核酸鎖との解離温度(Tm)が、捕捉鎖21と標的核酸鎖との解離温度と同程度となるように設計することが好ましい。
検出鎖には、蛍光物質や化学発光物質、放射性物質などの標識物質Lが標識(ラベル)される。次に説明するステップS4において、これらの標識物質Lから発生する蛍光や発光、放射線を検知することで、標的核酸鎖の検出が行われる。
ステップS3後のアガロースゲルビーズ2表面の物質構成を、図4(C)に示す。図中、符号Dは検出鎖を示す。検出鎖Dの溶液をマイクロ流路11内に通液すると、捕捉鎖21とハイブリッドを形成する標的核酸鎖Tに対し、さらに検出鎖Dがハイブリダイズする。これにより、標的核酸鎖Tは捕捉鎖21及び検出鎖Dとハイブリッドを形成し、サンドイッチハイブリッド(ダブルハイブリッド)となる。
検出鎖と標的核酸鎖とのハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイゼーション反応用緩衝液の組成(例えば、塩や界面活性剤の濃度)やマイクロ流路11内の温度を調整し、適当なハイブリッド形成条件下において行われる。検出鎖の標的核酸鎖への非特異的な吸着を抑制するため、検出鎖溶液の通流時のマイクロ流路11内を加温することが有効である。
検出鎖溶液の通液後、導入口111から洗浄液を導入しマイクロ流路11内に通液させ、アガロースゲルビーズ2の洗浄を行う。洗浄は、検出鎖と標的核酸鎖とのハイブリッド形成が維持される条件にて行い、標的核酸鎖に非特異的に吸着した検出鎖をマイクロ流路11内から除去するために行う。
(4)検出
図3、ステップS4では、アガロースゲルビーズ2表面に捕捉された標的核酸鎖を、検出鎖に標識された標識物質から発生する蛍光や発光、放射線を検知することによって検出する。具体的には、例えば検出鎖に蛍光物質を標識した場合、アガロースゲルビーズ2に励起光を照射し、励起された蛍光物質から発生する蛍光を検知する。蛍光等の強度を測定すれば、蛍光強度等に基づいて標的核酸鎖を定量的に検出することもできる。
図3、ステップS4では、アガロースゲルビーズ2表面に捕捉された標的核酸鎖を、検出鎖に標識された標識物質から発生する蛍光や発光、放射線を検知することによって検出する。具体的には、例えば検出鎖に蛍光物質を標識した場合、アガロースゲルビーズ2に励起光を照射し、励起された蛍光物質から発生する蛍光を検知する。蛍光等の強度を測定すれば、蛍光強度等に基づいて標的核酸鎖を定量的に検出することもできる。
本発明においては、核酸分離用担体として光透過性を有するアガロースゲルビーズ2を用いている。アガロースゲルビーズ2では、励起光を照射した際に、励起光がビーズによって遮断されたり、反射あるいは散乱されたりすることがないため、これを充填したマイクロ流路11では励起光が深部にまで到達でき、発生する蛍光も強い。また、励起光の戻り光を少なくでき、光検出器のダイナミックレンジを広くとることができる。さらに、アガロースゲルビーズ2では、蛍光物質から発せられる蛍光が担体によって遮断されたり、反射あるいは散乱されたりすることがない。従って、励起光や蛍光が担体によって遮断されるために生じる蛍光検出強度の減衰やバックグラウンドの上昇を排除して、標的核酸鎖を高感度、高精度に検出できる。
3.核酸ハイブリダイゼーション装置
図5は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション装置の構成を説明する模式図である。
図5は、本発明に係る核酸ハイブリダイゼーション装置の構成を説明する模式図である。
核酸ハイブリダイゼーション装置は、マイクロチップ1と、マイクロチップ1のマイクロ流路11内の温度を制御するヒートブロック103と、マイクロチップ1の導入口111に溶液を送液して排出口112から排液させる送液手段と、マイクロチップ1のマイクロ流路11内に充填されたアガロースゲルビーズ2に励起光を照射し、発生する蛍光を検出するための光学検出手段と、を備えている。
ヒートブロック103は、マイクロチップ1のマイクロ流路11内を加熱又は冷却する温度制御部として機能する。ヒートブロック103は、上述のステップS2において標的核酸鎖の捕捉鎖21への非特異的な吸着を抑制するため、サンプル液の通流時にマイクロ流路11内を加温する。また、ヒートブロック103は、上述のステップS3において検出鎖の標的核酸鎖への非特異的な吸着を抑制するため、検出鎖溶液の通流時にもマイクロ流路11内を加温する。なお、ヒートブロック103は、通常使用されるヒーターであってよく、ペルチェ素子やジュール・トムソン素子等に置換してもよい。ヒートブロック103の温度は例えば60℃とされる。
送液手段は、通常使用されるポンプやシリンジポンプ、チューブやバルブ等によって構成できる。送液手段には、導入口111に導入されるサンプル液を加熱する加熱部としてインラインヒーター102が含まれる。インラインヒーター102は、上述のステップS2において標的核酸鎖の自己ハイブリッド形成を抑制するため、サンプル液を予め加温してマイクロ流路11内に導入する。インラインヒーター102における加熱(熱変性)後、マイクロ流路11のアガロースゲルビーズ2の充填領域まで送液される間に、サンプル液を急冷させることで、標的核酸鎖の自己ハイブリッド形成を抑制できる。インラインヒーター102の温度は例えば95℃とされる。
光学検出手段は、励起光光源と、マイクロ流路11内に充填されたアガロースゲルビーズ2に対して励起光を集光・照射する集光レンズやダイクロイックミラー、バンドパスフィルター等からなる照射系と、励起光の照射によって検出鎖に標識された蛍光物質から発生する蛍光を検出する検出系と、によって構成される。検出系は、例えば、PMT(photo multiplier tube)や、CCDやCMOS素子等のエリア撮像素子等によって構成される。なお、図では、光学検出手段として集光レンズ101のみを示している。また、図では、照射系と検出系を同一の光学経路により構成した場合を示したが、照射系と検出系は別個の光学経路により構成してもよい。
<試験例1>
1.アガロースゲルマイクロビーズの光透過性の評価
市販のストレプトアビジン結合ポリスチレンマイクロビーズ(StreptavidinCoated Microsphere plain、Polysciences)とストレプトアビジン結合アガロースゲルマイクロビーズ(Stereptavidin AgaroseResin、Pierce)の光透過性を比較した。ガラス製基板上に各ビーズの懸濁液を滴下して1層に凝集した状態とし、可視光の透過スペクトルを測定した。
1.アガロースゲルマイクロビーズの光透過性の評価
市販のストレプトアビジン結合ポリスチレンマイクロビーズ(StreptavidinCoated Microsphere plain、Polysciences)とストレプトアビジン結合アガロースゲルマイクロビーズ(Stereptavidin AgaroseResin、Pierce)の光透過性を比較した。ガラス製基板上に各ビーズの懸濁液を滴下して1層に凝集した状態とし、可視光の透過スペクトルを測定した。
透過スペクトルの測定結果を図6に示す。ポリスチレンマイクロビーズでは透過率が40%程度であるのに対して、アガロースゲルマイクロビーズは100%近い透過率を示した。
次に、アクリル製マイクロチップに形成した流路(断面縦幅0.3 mm、横幅0.5 mm、流路長2 mm)に各ビーズを充填した状態で可視光の透過スペクトルを測定した。可視光はマイクロチップに対して垂直に照射し、流路内のビーズに照射した。
透過スペクトルの測定結果を図7に示す。ポリスチレンマイクロビーズを充填した流路では透過率は5%未満であった。これに対して、アガロースゲルマイクロビーズを充填した流路では80%程度の透過率が得られた。
本試験例の結果から、アガロースゲルマイクロビーズが高い光透過性を有し、これを充填した流路では光の遮断や反射、散乱が抑制されることが示された。
<試験例2>
2.フィルタの配設位置と核酸鎖の断片化の評価
試験例1で作製したアクリル製マイクロチップの流路内に、孔径5μmのフィルタを装着した。流路に流路切換バルブとシリンジポンプを配管した。
2.フィルタの配設位置と核酸鎖の断片化の評価
試験例1で作製したアクリル製マイクロチップの流路内に、孔径5μmのフィルタを装着した。流路に流路切換バルブとシリンジポンプを配管した。
HeLa細胞よりトータルRNAを抽出し、核酸溶液を調製した。シリンジポンプを用いて核酸溶液を流路内に送液し、フィルタを通過した核酸溶液を回収した。核酸溶液をバイオアナライザ(Agilent)を用いて電気泳動し、核酸溶液中のRNA鎖の塩基長分布を測定した。
塩基長分布の測定結果を図8に示す。流路通液前の核酸溶液に比して、通液後の核酸溶液では、リボソームRNAに由来する2つのピークが減少し、RNAの断片化が生じていることが分かる。この結果は、フィルタをハイブリダイゼーション反応の反応場よりも上流側に設けた場合には、核酸鎖がフィルタを通過する際に切断、断片化され、ハイブリダイゼーション効率が低下することを示唆する。
<試験例3>
3.核酸ハイブリダイゼーション
(1)標的核酸鎖、捕捉鎖、検出鎖の合成
標的核酸鎖としてランダムに塩基配列を決定したDNAを合成した。標的核酸鎖の塩基配列を「表1」に示す。標的核酸鎖の5´末端側の塩基配列に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖と、標的核酸鎖の3´末端側の塩基配列に相補的な塩基配列を有する検出鎖を合成した(表1参照)。捕捉鎖の3´末端はビオチン化した。また、検出鎖の5´末端を蛍光色素(Cy3)により標識した。
以下で用いた0.3M塩化ナトリウム水溶液中での捕捉鎖及び検出鎖の解離温度(Tm)は、いずれも73℃と計算された。
3.核酸ハイブリダイゼーション
(1)標的核酸鎖、捕捉鎖、検出鎖の合成
標的核酸鎖としてランダムに塩基配列を決定したDNAを合成した。標的核酸鎖の塩基配列を「表1」に示す。標的核酸鎖の5´末端側の塩基配列に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖と、標的核酸鎖の3´末端側の塩基配列に相補的な塩基配列を有する検出鎖を合成した(表1参照)。捕捉鎖の3´末端はビオチン化した。また、検出鎖の5´末端を蛍光色素(Cy3)により標識した。
以下で用いた0.3M塩化ナトリウム水溶液中での捕捉鎖及び検出鎖の解離温度(Tm)は、いずれも73℃と計算された。
(2)サンプル液の調製
標的核酸鎖と検出鎖の100μM水溶液を調製した。標的核酸鎖溶液を20μlと検出鎖溶液20μlとを混合し、0.05%アガロース及び0.2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する0.3M 塩化ナトリウム溶液を310μl加えて混合し、サンプル液とした。
標的核酸鎖と検出鎖の100μM水溶液を調製した。標的核酸鎖溶液を20μlと検出鎖溶液20μlとを混合し、0.05%アガロース及び0.2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する0.3M 塩化ナトリウム溶液を310μl加えて混合し、サンプル液とした。
(3)アガロースゲルビーズへの捕捉鎖の固相化
表面にストレプトアビジンが固定されたアガロースゲルビーズ懸濁液(Streptavidin Agarose Resin,Thermo Scientific)を用意した。アガロースゲルビーズ懸濁液200μlに、100μMの捕捉鎖水溶液50μlを添加し、懸濁した。その後、さらに蒸留水250μlを加えて懸濁、混合した。
表面にストレプトアビジンが固定されたアガロースゲルビーズ懸濁液(Streptavidin Agarose Resin,Thermo Scientific)を用意した。アガロースゲルビーズ懸濁液200μlに、100μMの捕捉鎖水溶液50μlを添加し、懸濁した。その後、さらに蒸留水250μlを加えて懸濁、混合した。
(4)核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップの作製
ガラス製マイクロチップに形成した流路(断面縦幅0.5 mm、横幅0.5 mm、流路長60 mm)内に、孔径10μmのフィルタを装着した。アガロースゲルビーズを流路に注入し、充填した。流路内のアガロースゲルビーズ充填領域の長さは30mm程度とした。流路に流路切換バルブとシリンジポンプを配管した。
ガラス製マイクロチップに形成した流路(断面縦幅0.5 mm、横幅0.5 mm、流路長60 mm)内に、孔径10μmのフィルタを装着した。アガロースゲルビーズを流路に注入し、充填した。流路内のアガロースゲルビーズ充填領域の長さは30mm程度とした。流路に流路切換バルブとシリンジポンプを配管した。
(5)核酸ハイブリダイゼーション装置の構成
マイクロチップの流路と流路切換バルブとの間に、60℃に保ったインラインヒーターを配管した。マイクロチップは、60℃に保ったヒートブロック上に設置した。
マイクロチップの流路と流路切換バルブとの間に、60℃に保ったインラインヒーターを配管した。マイクロチップは、60℃に保ったヒートブロック上に設置した。
緑色LED光源を用意し、Cy3励起用フィルタと組み合わせて、Cy3の励起光源とした。分光器を用意し、Cy3蛍光用フィルタと組み合わせて、Cy3の蛍光検出器とした。2つの光ファイバを同軸にバンドルした光ファイバケーブルを用意し、励起光用光ファイバを励起光源に、受光用光ファイバを蛍光検出器に結線した。光ファイバケーブルの先端に設けた対物レンズを、流路内のアガロースゲルビーズに対向させた。これにより、流路内に充填されたアガロースゲルビーズに励起光を照射し、発生する蛍光を検出する光学系を構成した。なお、励起光の照射スポット径は500μmとした。
(6)測定
インラインヒーター及びヒートブロックを60℃に設定した。ハイブリッド形成液(0.05 %アガロース, 0.2 %SDS含有0.3 M塩化ナトリウム溶液)を流路に送液し、アガロースゲルビーズのコンディショニングを行い、蛍光測定を行った。送液速度は50μl/分とした。流路を観察したところ、アガロースゲルビーズ間の粘着が見られ、アガロースゲルビーズは流路内に安定して保持されていた。
インラインヒーター及びヒートブロックを60℃に設定した。ハイブリッド形成液(0.05 %アガロース, 0.2 %SDS含有0.3 M塩化ナトリウム溶液)を流路に送液し、アガロースゲルビーズのコンディショニングを行い、蛍光測定を行った。送液速度は50μl/分とした。流路を観察したところ、アガロースゲルビーズ間の粘着が見られ、アガロースゲルビーズは流路内に安定して保持されていた。
サンプル液350μlを送液し、捕捉鎖と標的核酸鎖と検出鎖のサンドイッチハイブリダイゼーションを行った。洗浄液(0.05 %アガロース, 0.2 %SDS含有0.3 M塩化ナトリウム溶液)を1.5ml送液し、蛍光測定を行った。送液速度は50μl/分とした。
次に、インラインヒーターを95℃、ヒートブロックを80℃に昇温し、液相を純水に変更して2.4ml送液することにより、ハイブリッドを解離(変性)させた。変性操作後に蛍光測定を行った。
コンディショニング後(A)、サンプル液及び洗浄液の送液後(B)、及び変性操作後(C)の蛍光測定結果を図9に示す。コンディショニング後(A)に比べて、サンプル液及び洗浄液の送液後(B)の蛍光強度が増大していることから、捕捉鎖と標的核酸鎖と検出鎖のサンドイッチハイブリッドの形成が確認される。また、変性操作後(C)、蛍光強度が減少したことから、上記の蛍光強度の増大が、捕捉鎖と標的核酸鎖と検出鎖の特異的なハイブリダイゼーションによるものであり、非特異的な吸着によるものではないことが確認できた。
本発明に係るマイクロ流路等によれば、核酸分離用担体による励起光や蛍光の遮断や反射、散乱を防止して、標的核酸鎖の光学検出を高精度に行うことができる。従って、本発明は、核酸の分離操作やハイブリダイゼーション反応操作の精度向上に寄与し得る。
1:マイクロチップ、1a,1b:基板層、101:対物レンズ、102:インラインヒーター、103:ヒートブロック、11:マイクロ流路、111:導入口、112:排出口、113:フィルタ、2:アガロースゲルビーズ、21:捕捉鎖、D:検出鎖、L:標識物質、N:非標的核酸鎖、T:標的核酸鎖
Claims (5)
- 標的核酸鎖が含まれる溶液が通流され、
標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖が固相化されたアガロースゲル担体が、前記溶液の送液方向下流側に配設されたフィルタによって保持された状態で充填されたマイクロ流路。 - 請求項1記載のマイクロ流路が形成され、
マイクロ流路への前記溶液の導入口と、マイクロ流路からの前記溶液の排出口と、が配設された核酸ハイブリダイゼーション用マイクロチップ。 - 請求項2記載のマイクロチップと、
前記導入口に導入される前記溶液を加熱する加熱部、及び/又はマイクロ流路内の温度を制御する温度制御部と、を備える核酸ハイブリダイゼーション装置。 - 標的核酸鎖に相補的な塩基配列を有する捕捉鎖が固相化されたアガロースゲル担体が、前記溶液の送液方向下流側に配設されたフィルタによって保持された状態で充填されたマイクロ流路に、アガロースが添加された液相を用いて標的核酸鎖を含む溶液を通流させる手順を含む核酸ハイブリダイゼーション方法。
- 請求項1記載のマイクロ流路が形成され、
マイクロ流路への前記溶液の導入口と、マイクロ流路からの前記溶液の排出口と、が配設された核酸ハイブリダイゼーション用カラム。
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