JP2012017372A - トナー用ハイブリッド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】
ポリエステル樹脂にエチレン性不飽和化合物と有機過酸化物を用いてグラフト共重合する下記(1)〜(7)の条件をみたすトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、特定の範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が特定の範囲であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂とエチレン性不飽和化合物の質量比が特定の範囲であること。
(5)エチレン性不飽和化合物は、少なくともスチレン類及びN,N−ジメチルアクリルアミドからなること。
(6)N,N−ジメチルアクリルアミドが特定の範囲で使用されること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分が特定の式の範囲であること。
【効果】
トナーの保存安定性などが優れるトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法を提供することができる。
【選択図】 なし
ポリエステル樹脂にエチレン性不飽和化合物と有機過酸化物を用いてグラフト共重合する下記(1)〜(7)の条件をみたすトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、特定の範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が特定の範囲であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂とエチレン性不飽和化合物の質量比が特定の範囲であること。
(5)エチレン性不飽和化合物は、少なくともスチレン類及びN,N−ジメチルアクリルアミドからなること。
(6)N,N−ジメチルアクリルアミドが特定の範囲で使用されること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分が特定の式の範囲であること。
【効果】
トナーの保存安定性などが優れるトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法を提供することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、トナー用ハイブリッド樹脂の製造方法に関し、更に詳しくは、トナーの保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性を改良することができるトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法に関する。
従来、電子写真、静電記録、磁気記録及びトナージェット方式等における静電荷像を現像するために使用されるトナーは、カーボンブラック等の顔料を熱可塑性樹脂中に混合溶融混練して一様とした後、トナーとして必要な粒径の粉末に粉砕する、いわゆる粉砕法により製造されてきた。
近年、電子写真画像の更なる高画質化や高解像度化の要求に従って、粉砕法に代わり、比較的小粒径で粒径の揃った樹脂粒子を得ることが容易な、懸濁重合法、乳化重合凝集法、乳化分散法等でトナー粒子を造粒する重合トナーが実施されている。
懸濁重合法では、結着樹脂の原材料である重合性単量体中に重合開始剤及び着色剤等を溶解もしくは分散させた重合組成物を分散媒体中に懸濁し、重合し造粒する。また、乳化重合凝集法では、乳化重合により形成した樹脂分散液と着色剤、離型剤等の粒子分散液とを凝集、成長、融合して、造粒する。これらの製造法では、コアシェル構造をもったトナー合成が容易であり、離型剤成分を多量にトナー粒子に添加しても、トナー粒子表面に離型剤成分を存在させず、内包化することができるため、低温定着時における高光沢度の画像の実現と高い耐久性の両立が可能である。
しかしながら、より省エネルギー化のために定着時のトナーに掛かる熱量が低くても定着するようにトナーのガラス転移温度を下げると、保存性が悪くなるというような問題があった。
このような問題を解決するために、また、懸濁重合により得られた母粒子の表面にポリエステル樹脂粒子を凝集融着させて外層を形成させるトナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。これらの方法により得られるトナーは、長期間に渡る高温高湿下での帯電安定性には欠けるものであった。これは、ポリエステル樹脂とバインダー樹脂との接着性が十分でなく、表層となるポリエステル樹脂が中身のバインダー樹脂を保護しきれなかったためと考えられる。
さらには、ウレタン変性ポリエステルまたは/およびアクリル変性ポリエステルでシェル層を形成させるトナーやポリエステル変性ビニル系共重合体を表層付近に局在化させる懸濁重合トナーが開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、さらに摩擦帯電特性、多数枚耐久性、低温定着性、耐高温オフセット性に優れている静電荷像現像用トナーが待望されている。
本発明の課題は、電子写真又は静電印刷等において静電荷像を現像するために用いたときにトナーの保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性が優れる電子写真用又は静電印刷用として好適なトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明のトナー用ハイブリッド樹脂を電子写真用トナーに用いることで、トナーの保存安定性や耐久性に優れ、低温定着性と耐高温オフセット性も両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための手段である本発明は、
ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を用いてグラフト共重合するトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法であって、下記(1)〜(7)の条件をみたすことを特徴とするトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも5〜45℃高い温度範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が130〜160℃であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の質量比((A)/(B))が50/50〜90/10であること。
(5)エチレン性不飽和化合物(B)は、少なくともスチレン類(a)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(b)からなること。
(6)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対してN,N−ジメチルアクリルアミド(b)が0.1質量%以上10質量%以下であること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%(U)が下記の式(I)の範囲であること。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
である。
ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を用いてグラフト共重合するトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法であって、下記(1)〜(7)の条件をみたすことを特徴とするトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも5〜45℃高い温度範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が130〜160℃であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の質量比((A)/(B))が50/50〜90/10であること。
(5)エチレン性不飽和化合物(B)は、少なくともスチレン類(a)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(b)からなること。
(6)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対してN,N−ジメチルアクリルアミド(b)が0.1質量%以上10質量%以下であること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%(U)が下記の式(I)の範囲であること。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
である。
電子写真又は静電印刷等において静電荷像を現像するために用いたときにトナーの保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性が優れる電子写真用又は静電印刷用として好適なトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法を提供することができる。
本発明は、ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を用いてグラフト共重合するトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法であって、下記(1)〜(7)の条件をみたすことを特徴とするトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも5〜45℃高い温度範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が130〜160℃であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の質量比((A)/(B))が50/50〜90/10であること。
(5)エチレン性不飽和化合物(B)は、少なくともスチレン類(a)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(b)からなること。
(6)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対してN,N−ジメチルアクリルアミド(b)が0.1質量%以上10質量%以下であること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%(U)が下記の式(I)の範囲であること。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも5〜45℃高い温度範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が130〜160℃であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の質量比((A)/(B))が50/50〜90/10であること。
(5)エチレン性不飽和化合物(B)は、少なくともスチレン類(a)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(b)からなること。
(6)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対してN,N−ジメチルアクリルアミド(b)が0.1質量%以上10質量%以下であること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%(U)が下記の式(I)の範囲であること。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
一般に、ポリエステル樹脂は、その分子的構造からアクリル樹脂等の他の樹脂に比較して機械的強度も優れているので、トナー粒子シェル層にポリエステルを主成分とするハイブリッド樹脂を配置することにより、機械的強度の優れるトナーを作製することができる。さらに、前記特徴を持った製造方法で得られたハイブリッド樹脂は、ポリエステル単独成分およびエチレン性不飽和化合物の重合体とからなるハイブリッド成分を有している。これにより、シェル層とコア部との密着性が高くなったものと考えられる。その結果、保存性、耐久性を高めるポリエステル表層と、低温定着性を向上させるコア、さらには表層とコアを接着させるハイブリッド成分との完全な機能分離を実現したものと考えられる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂(A)は、ハイブリッド樹脂の物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方又は両方を適宜選択して使用することが可能である。前記ポリエステル樹脂(A)は、多価アルコールからなるアルコール成分と、多価カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを縮重合することにより得られる。
前記ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分とカルボン酸成分を以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。さらには、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルなどの多価アルコール等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではなく、また、多価アルコールの一部を1価のアルコールに変えて適宜用いることが出来る。これらは一種単独でもよく、二種類以上を組み合わせてもよい。
カルボン酸成分としては、アルコール成分と縮合してエステルを形成できるものであればよいが、例えば、多価のカルボン酸化合物である、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物、さらには、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸のなどの多価カルボン酸やその無水物を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではなく、また、多価カルボン酸の一部を1価のカルボン酸に変えて適宜用いることが出来る。これらは一種単独でもよく、二種類以上を組み合わせてもよい。
ポリエステル樹脂(A)の重合に使用される触媒としては、ポリエステル製造に用いられる脱水触媒、エステル交換触媒、遷移金属系重合触媒及び助触媒を用いることができ、単独あるいは併用して用いることもできる。遷移金属系重合触媒としては、例えば、酸化第一錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ラウリレート、ジメチル錫マレートなどの錫化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどのチタン化合物、ニ酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化合物、酸化マンガンなどのマンガン化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。それらの中でも、環境保護の観点から、チタン化合物を使用するのが好ましい。エステル交換触媒としては、例えば、酢酸カルシウムなどのカルシウム化合物、酢酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物、酢酸亜鉛などの亜鉛化合物などが挙げられる。また、これらの触媒を2種類以上、併用して使用してもよい。更に、ポリエステルの着色を避けるため、酸化防止剤として、有機リン化合物を使用してもよい。
ポリエステルの重合は、常法によりカルボン酸成分100モル%に対して、アルコール成分が100〜120モル%の範囲で、不活性ガス気流中で無有機溶剤または有機溶剤の存在下、150〜260℃の温度で行うことが適当である。反応の追跡は酸価、水酸基価を測定することにより行い、両者から計算し、分子量を求めることにより所望の分子量が得られた時点で反応を終了する。
ポリエステル樹脂の分子量は限定されるものではなく、ハイブリッド樹脂の物性を合わせるために適宜選択できるが、重量平均分子量(Mw)が低すぎると、トナーとした場合に、耐ブロッキング性、画像性、環境安定性が悪化する傾向にあり、逆に高すぎると低温定着性が悪化する恐れがあるため、1,000≦Mw≦20,000であることが適当である。
このようにして得られるポリエステル樹脂(A)の存在下、スチレン類(a)とN,N−ジメチルアクリルアミド(b)を少なくとも含有するエチレン性不飽和化合物(B)を重合することにより、本発明のハイブリッド樹脂が得られる。
本発明で用いるスチレン類(a)とは、具体的にスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち好ましいものは、スチレンである。
本発明においては、N,N−ジメチルアクリルアミド(b)を重合成分として使用することを特徴とする。N,N−ジメチルアクリルアミド(b)の使用量は、ポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)との総和に対して0.1質量%以上10質量%以下である。N,N−ジメチルアクリルアミド(b)の使用量が0.1質量%以上10質量%以下の場合には、ハイブリッド成分の形成に寄与するN,N−ジメチルアクリルアミド(b)の量が適当となる。
詳細は明らかではないが、ハイブリッド成分は、主にエチレン性不飽和化合物中のN,N−ジメチルアクリルアミドのジメチル中の水素及びポリエステル樹脂中のアルコール成分中のエチレン基あるいはプロピレン基中の水素が引き抜かれた後、結合し、形成されていると推測される。
本発明においては、エチレン性不飽和化合物(B)として、少なくともスチレン類(a)とN,N−ジメチルアクリルアミド(b)とを含有するが、これらのみに限定されるものではなく、ハイブリッド樹脂の物性を合わせるために適宜、スチレン類(a)とN,N−ジメチルアクリルアミド(b)以外のモノマーを用いることを選択でき、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;スチレンスルホン酸のようなスルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、この中でも(メタ)アクリル酸若しくはその誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
本発明で用いる有機過酸化物は、1時間半減期分解温度範囲が130〜160℃の有機過酸化物であることを特徴とする。前記有機過酸化物は炭素原子を化合物の骨格に有する過酸化物であればよく、水素引き抜き効果を持つラジカルを発生できる過酸化物が好ましく、具体的には、ジ(2−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−アミルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられ、一種単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよく、用いる有機過酸化物全体としての1時間半減期分解温度範囲が130〜160℃であればよい。
有機過酸化物の使用量はポリエステルとエチレン性不飽和化合物との総和に対して0.1質量%以上10質量%以下となることが好ましく、特に0.2質量%以上5質量%以下となることがより好ましい。0.1質量%よりも含有量が少ない場合に比べ、0.1質量%以上である場合には、エチレン性不飽和化合物の付加反応の効率が向上し、水素引き抜き効果が向上し、ハイブリッド成分が形成されやすくなるため好ましい。また、10質量%よりも多い場合に比べ、10質量%以下である場合には、コストの上昇が抑制されるため好ましい。
本発明のハイブリッド樹脂のグラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の質量比((A)/(B))が、50/50〜90/10であることを特徴とする。ポリエステル樹脂(A)の質量比が50質量%未満である場合、機械的強度の優れている成分が少な過ぎるため、機械的強度の強いトナーを得ることが出来ない。また、ポリエステル樹脂(A)の質量比が90質量%を超える場合、バインダー樹脂との接着性が十分でなく、耐久性が劣る。
本発明の製造方法においては、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも5〜45℃高い温度範囲としたポリエステル樹脂(A)に有機溶剤を用いることなく、エチレン性不飽和化合物(B)と1時間半減期分解温度の範囲が130〜160℃の有機過酸化物をグラフト共重合させることを特徴とする。
本発明の製造方法においては、有機溶剤を使用しないことを特徴とする。有機溶剤を使用しないことにより、ポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)および有機過酸化物との接触頻度が高まるため、エチレン性不飽和化合物(B)の重合体とのハイブリッド成分が形成されやすくなる。
本発明の製造方法においては、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも、ポリエステル樹脂(A)を5〜45℃高い温度範囲としてグラフト重合することを特徴とする。グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも、ポリエステル樹脂(A)を5℃以上高くすることにより、ポリエステル樹脂(A)の流動性が適度に高めまるため、ポリエステル樹脂(A)中のエチレン性不飽和化合物(B)の均一分散性が高まる。また、有機過酸化物の分解による水素引き抜き能力が適度に高まることにより、グラフト効率を高めることが出来る。一方、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも、ポリエステル樹脂(A)が45℃よりも高い場合、有機過酸化物の分解速度が速すぎる結果、グラフト効率が劣る。
本発明の製造方法においては、ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を滴下重合することが好ましく、ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を滴下する時間が、1時間以上10時間以下であることが好ましく、3時間以上8時間以下であることがより好ましい。1時間未満であると、ポリエステル樹脂(A)中のエチレン性不飽和化合物(B)の均一分散性が低下する結果、グラフト率が低下する。また、10時間より長いと生産性が低下する。
ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を滴下した後、エチレン性不飽和化合物の重合率を高めることを目的として、1時間以上5時間以下で保温することが好ましく、2時間以上4時間以下であることがより好ましい。1時間未満であるとエチレン性不飽和化合物の重合率の上昇が不十分である場合があり、5時間より長いと生産性が低下する。
上記保温時間後、未反応エチレン性不飽和化合物を除去することを目的として、減圧装置などを用いることにより、1時間以上5時間以下の蒸留処理を行うことが好ましく、2時間以上4時間以下であることがより好ましい。1時間未満であるとエチレン性不飽和化合物の除去が不十分である場合があり、5時間より長いと生産性が低下する。
本発明におけるハイブリッド樹脂は、ポリエステル単独成分とエチレン性不飽和化合物の重合体単独成分および両者のハイブリッド成分とからなる。ハイブリッド樹脂中、ポリエステルの低分子量成分およびエチレン性不飽和化合物の重合体は、シクロヘキサンに可溶である。一方、ポリエステルの高分子量成分およびハイブリッド成分およびは、シクロヘキサンに不溶である。
本発明におけるハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分は、以下の式より求める。
シクロヘキン不溶成分(質量%)=100×W2/W1
上記の式中、W1は、測定に用いるハイブリッド樹脂の固形量であり、ハイブリッド樹脂が約0.2gになるように秤量した測定値であり、W2は、W1で秤量したハイブリッド樹脂をセパラフラスコに仕込み、シクロヘキサン200mlを入れて、25℃で2時間攪拌し、還流下で2時間攪拌し一晩放置し、メンブレンフィルター(1.0μm)で濾過し、150℃で30分乾燥して得られる不溶成分の付着したメンブレンフィルターの秤量した測定値から濾過前のメンブレンフィルターを秤量した測定値を差し引いて求めたメンブレンフィルターに付着した不溶成分の値である。
シクロヘキン不溶成分(質量%)=100×W2/W1
上記の式中、W1は、測定に用いるハイブリッド樹脂の固形量であり、ハイブリッド樹脂が約0.2gになるように秤量した測定値であり、W2は、W1で秤量したハイブリッド樹脂をセパラフラスコに仕込み、シクロヘキサン200mlを入れて、25℃で2時間攪拌し、還流下で2時間攪拌し一晩放置し、メンブレンフィルター(1.0μm)で濾過し、150℃で30分乾燥して得られる不溶成分の付着したメンブレンフィルターの秤量した測定値から濾過前のメンブレンフィルターを秤量した測定値を差し引いて求めたメンブレンフィルターに付着した不溶成分の値である。
本発明におけるハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%(U)は式(I)で示される範囲である。この範囲のシクロヘキサン不溶成分を有していると、トナーは低温定着性と耐高温オフセット性、保存安定性を両立でき、さらには、高温高湿下での帯電安定性、すなわち、耐久性が良好となるが、シクロヘキサン不溶成分が式(I)の範囲より少ない場合、トナーは耐久性が劣る。シクロヘキサン不溶成分が少ない、すなわち、ハイブリッド成分が少ないとシェル層のポリエステルとコア部の結着樹脂との密着性が低下する。シェル層とコア層との密着性が低下すると、シェル層の保護性能が低下する結果、長期間に渡る高温高湿下での帯電安定性が劣ったと考えられる。また、シクロヘキサン不溶成分が式(I)の範囲より多い場合は、ハイブリッド成分を介して、ポリエステルとコア部の結着樹脂とが相溶し過ぎる結果、シェル階層からなる相分離構造をとりにくくなる。その結果、保存性、耐久性が悪化したと考えられる。さらには、低温定着性も悪化する。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
本発明のハイブリッド樹脂の重量平均分子量Mwは5000≦Mw≦25000が好ましく、更に好ましくは5000≦Mw≦15000である。ハイブリッド樹脂の重量平均分子量Mwが5000未満であった場合、耐久性が低下する傾向にあり、Mwが25000を超える場合には、単量体への溶解に時間がかかることに加え、低温定着時の画像光沢性に劣る傾向にある。
本発明のハイブリッド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃〜100℃の範囲が好ましく、62℃〜90℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合には、トナー表面に外添剤が埋め込まれやすくなることで、高温高湿下での大量印刷時に安定した画像を出力することが困難となる場合がある。一方、ガラス転移温度が100℃を超える場合には低温定着時の画像光沢性に劣る傾向がある。
本発明のハイブリッド樹脂をトナーの結着剤として用いる場合には、スチレン重合体、スチレン共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、架橋されたスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体とポリエステル樹脂とを複合化した樹脂などのビニル系樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などのハイブリッド樹脂とは異なる結着剤の主剤となる結着樹脂1種以上が必要であり、これらの中でも、主剤となる結着樹脂としてはビニル系樹脂、特に、スチレン−アクリル系共重合体であることが好ましい。この結着剤の主剤とは、結着剤50質量%以上を占める結着樹脂をいう。結着剤としてハイブリッド樹脂は1〜50質量%含有していることが好ましい。
トナー中の本発明のハイブリッド樹脂の含有量は、トナー100質量%に対して0.1〜40質量%である。ハイブリッド樹脂の含有量が0.1質量%未満であると、トナー表層にシェル層を形成するには不十分となり、耐久性が不十分となる。また、ハイブリッド樹脂の含有量が40質量%より大きいと、低温定着性が悪くなり、粒度分布が広くなってしまう。さらに低温定着性と保存性、耐久性を良好に保つためには、好ましくは8〜40質量%である。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーは、粉砕法でも製造できるが、粉砕法では上記のようなトナーのコアシェル構造を得るために種々の処理が必要であり、収率やコストの面から不利である。これに対して、乳化重合凝集法などで得られたコア粒子分散液に、本発明のハイブリッド樹脂の分散液を添加し、凝集することによりシェル層を形成すれば、コアシェル構造を、容易に得ることが出来る。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーを重合法で製造する方法のうち、乳化重合凝集法による製造方法の一例を説明する。
結着剤の主剤となる結着樹脂分散液、離型剤分散液、着色剤分散液を混合し、分散液のpH調整および凝集剤の使用により凝集させ、撹拌しながら所定の温度まで昇温して所望の平均粒径に成長するまで保持し、コア粒子を形成し、所望の粒径に達したら、本発明のハイブリッド樹脂分散液を加え、所定の温度まで昇温した後、一定時間保持し、シェル層を形成する。その後、塩化ナトリウムのような凝集剤を加え、加温した後、保温し、凝集体を熱融合させ、室温まで冷却して粒子分散液の固液分離、洗浄、乾燥を数回行い、トナー粒子を得ることができる。このトナー粒子に表面処理剤を添加して体積平均粒子径2〜15μmのトナーを得ることができる。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーに含有されることのできる着色剤としては、特に限定されるものではなく従来公知の染料、顔料等を挙げることができる。この着色剤の具体例としては、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、ピグメントレッド、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミン、ピグFBメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。着色剤の含有量は、着色剤として染料又は顔料を使用する場合には、結着剤の固形分に対して、好ましくは0.5〜20質量%である。磁性トナーの場合は、磁性体微粉末を用いるため、着色剤の含有量は、結着剤の固形分に対して、好ましくは20〜150質量%である。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーに含有されることのできる離型剤としては、ポリオレフィン樹脂類[ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン(炭素数3〜8)共重合体、αオレフィン重合体など]、パラフィン類(n−パラフィン、イソパラフィンなど)、エステルワックス類(カルナバワックス、モンタンワックス、ライスワックス等)、炭素数30以上の脂肪族アルコール、炭素数30以上の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられ、1種又は2種以上を併用しても良い。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーに成分として含めることのできる荷電制御剤としては特に限定されず、例えば、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、スルホン酸基含有ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマーが挙げられる。トナー中の荷電制御剤の含有量は、結着剤の固形分に対して、好ましくは0〜10質量%である。
本発明においてコア粒子表面に形成されるシェル層は少なくとも、前記ハイブリッド樹脂を含む結着剤からなっている。シェル層は、コア粒子分散液にハイブリッド樹脂分散液を添加し、コア粒子表面にシェル粒子を付着・融着して形成される。シェル粒子は従来から知られているポリエステル系樹脂粒子の形成方法によって形成可能であり、例えば、溶解懸濁法によって得ることができる。コア粒子表面にシェル粒子を付着・融着させるためには、コア粒子を得るための凝集・融着工程に連続して、このシェル層形成工程を実施するとよい。シェル層形成工程においてシェル粒子をコア粒子に付着させた後は、通常、完全に系の凝集力を消失させて粒子成長を停止し、加熱により融着させるとともにシェル層の被膜化・粒子の形状制御を行う。
融合して得た粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー母粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
表面処理工程では、乾燥処理されたトナー粒子に対して単独あるいは複数種の表面処理剤を添加・混合する。表面処理剤としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーン等の微粉末が挙げられる。トナー中の表面処理剤の含有量は、結着剤の固形分に対して、好ましくは0.1〜20質量%である。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーを粉砕法で製造する場合は、公知の方法を用いることが出来る。すなわち、本発明のハイブリッド樹脂、結着樹脂、着色剤、必要によりその他の添加剤を粉体混合機により混合してから加熱ロール、エクストルーダー、ニーダー等の混練機を用いて温度100〜200℃で溶融し、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却した後、粉砕および分級を行って、体積平均粒子径2〜15μmのトナー粒子を得る。得られたトナー粒子に粉体混合法により表面処理剤を混合してトナー例えば電子写真用トナーを得ることができる。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーは、ガラス転移温度が45〜55℃であることが好ましい。ガラス転移温度が45℃未満であると、トナー粒子の強度が低下し、耐久性が低下する結果、転写性、現像性、保存性が悪化する。一方、ガラス転移温度が55℃を超えると低温定着性が悪化する。
本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で磁性一成分現像用トナーとして、磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分現像用トナー、二成分現像用トナー又はキャリアと混合して二成分現像剤として、特に限定されることなく、いずれの現像法にも用いることができる。
また、本発明のハイブリッド樹脂を含有するトナーは種々の定着方法、例えばオイルレス又はオイル塗布ヒートロール法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。先ず、ハイブリッド樹脂及びトナーの物性評価方法について説明する。
(1)シクロヘキサン不溶成分(式(I)中のU)
シクロヘキサン不溶成分は、以下の式より求める。
シクロヘキン不溶成分(質量%)=100×W2/W1
上記の式中、W1は、測定に用いるハイブリッド樹脂の固形量であり、ハイブリッド樹脂が約0.2gになるように秤量した測定値であり、W2は、W1で秤量したハイブリッド樹脂をセパラフラスコに仕込み、シクロヘキサン200mlを入れて、25℃で2時間攪拌し、還流下で2時間攪拌し一晩放置し、メンブレンフィルター(1.0μm)で濾過し、150℃で30分乾燥して得られる不溶成分の付着したメンブレンフィルターの秤量した測定値から濾過前のメンブレンフィルターを秤量した測定値を差し引いて求めたメンブレンフィルターに付着した不溶成分の値である。
シクロヘキサン不溶成分は、以下の式より求める。
シクロヘキン不溶成分(質量%)=100×W2/W1
上記の式中、W1は、測定に用いるハイブリッド樹脂の固形量であり、ハイブリッド樹脂が約0.2gになるように秤量した測定値であり、W2は、W1で秤量したハイブリッド樹脂をセパラフラスコに仕込み、シクロヘキサン200mlを入れて、25℃で2時間攪拌し、還流下で2時間攪拌し一晩放置し、メンブレンフィルター(1.0μm)で濾過し、150℃で30分乾燥して得られる不溶成分の付着したメンブレンフィルターの秤量した測定値から濾過前のメンブレンフィルターを秤量した測定値を差し引いて求めたメンブレンフィルターに付着した不溶成分の値である。
(2)酸価測定
本発明における酸価は、試料2gをテトラヒドロフラン(以下、THFと略することがある)50mlに溶解させ、指示薬としてフェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加えた後、1/10N規定KOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が紫色を呈した時点を終点とし、この滴定量と試料質量から酸価(KOHmg/g)を算出した。
本発明における酸価は、試料2gをテトラヒドロフラン(以下、THFと略することがある)50mlに溶解させ、指示薬としてフェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加えた後、1/10N規定KOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が紫色を呈した時点を終点とし、この滴定量と試料質量から酸価(KOHmg/g)を算出した。
(3)分子量測定
THF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。GPCによる分子量測定条件は以下の通りである。
装置 : 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム : TSKgel GMHxl + GMHxl−l
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.1質量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
THF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。GPCによる分子量測定条件は以下の通りである。
装置 : 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム : TSKgel GMHxl + GMHxl−l
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.1質量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
(4)ガラス転移温度測定
ガラス転移温度は示差走査型熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製:EXSTAR6000)を用いた測定において、試料10mgを窒素雰囲気下、20℃で5分保持した後、120℃まで10℃/分で昇温し、更に120℃で10分間放置した後、降温速度10℃/分で10℃まで冷却し、10℃で10分間放置した後、昇温速度10℃/分で120℃まで昇温した際の、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度(Tg)とした。
ガラス転移温度は示差走査型熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製:EXSTAR6000)を用いた測定において、試料10mgを窒素雰囲気下、20℃で5分保持した後、120℃まで10℃/分で昇温し、更に120℃で10分間放置した後、降温速度10℃/分で10℃まで冷却し、10℃で10分間放置した後、昇温速度10℃/分で120℃まで昇温した際の、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度(Tg)とした。
(5)粒度測定
各種分散液中の粒径はマイクロトラックUPA9340を用いて測定した。
各種分散液中の粒径はマイクロトラックUPA9340を用いて測定した。
(6)トナーの低温定着性の評価
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/秒に設定した温度変更可能である定着器を用いて印刷を行い、低温定着性の評価を行った。また、トナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とした。以下の基準で判定した。
○:定着温度が120℃未満で定着開始。低温定着性を良好と判定。
△:定着温度が120℃以上140℃未満で定着開始。
×:定着温度が140℃以上で定着開始。低温定着性不良と判定。
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/秒に設定した温度変更可能である定着器を用いて印刷を行い、低温定着性の評価を行った。また、トナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とした。以下の基準で判定した。
○:定着温度が120℃未満で定着開始。低温定着性を良好と判定。
△:定着温度が120℃以上140℃未満で定着開始。
×:定着温度が140℃以上で定着開始。低温定着性不良と判定。
(7)トナーの高温オフセット性の評価
低温定着性の評価方法と同一条件で定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐高温オフセット性を判断した。
○:オフセット発生温度が220℃以上。耐高温オフセット性が良好と判定。
△:オフセット発生温度が200℃以上220℃未満。使用に耐える耐高温オフセット性であると判定。
×:オフセット発生温度が200℃未満。耐高温オフセット性に劣ると判定。
低温定着性の評価方法と同一条件で定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐高温オフセット性を判断した。
○:オフセット発生温度が220℃以上。耐高温オフセット性が良好と判定。
△:オフセット発生温度が200℃以上220℃未満。使用に耐える耐高温オフセット性であると判定。
×:オフセット発生温度が200℃未満。耐高温オフセット性に劣ると判定。
(8)トナーの保存安定性の評価
温度50℃で3日間放置した後のトナー粉体の凝集程度を目視にて判断した。
○:ブロッキングしていない(実用レベル)。
△:一部ブロッキングしている。
×:ブロッキングがひどい。
温度50℃で3日間放置した後のトナー粉体の凝集程度を目視にて判断した。
○:ブロッキングしていない(実用レベル)。
△:一部ブロッキングしている。
×:ブロッキングがひどい。
(9)トナーの耐久性の評価(画像濃度)
常温常湿環境下(23℃,60%RH)及び高温高湿環境下(30℃、80%RH)において、3000枚の画出し試験を行った。その後、ベタ画像を印刷し、得られた画像を目視で観察し、以下の基準を用いて耐久性を判断した。
○:かすれが見られない均一なベタ画像
△:かすれが見られるが、白スジはない
×:白スジあり
常温常湿環境下(23℃,60%RH)及び高温高湿環境下(30℃、80%RH)において、3000枚の画出し試験を行った。その後、ベタ画像を印刷し、得られた画像を目視で観察し、以下の基準を用いて耐久性を判断した。
○:かすれが見られない均一なベタ画像
△:かすれが見られるが、白スジはない
×:白スジあり
<合成例1>
(ポリエステル樹脂の合成)
BPA−PO(ビスフェノールA プロピレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
BPA−EO(ビスフェノールA エチレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
TPA(テレフタル酸) 100.0mol%
上記ポリエステル系モノマーをジブチル錫オキシド2mmol%とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着し、窒素雰囲気下、常圧下230℃で18時間反応した後、減圧処理を3時間して、脱水縮合反応を行うことにより、ポリエステル樹脂(Pes−A1)を得た。Pes−A1の酸価は4.5(KOHmg/g)、Mwは9,100、Tgは68.8℃であった。
なお、上記のmol%はカルボン酸成分であるテレフタル酸のmol数を100mol%としたときの比率である。
(ポリエステル樹脂の合成)
BPA−PO(ビスフェノールA プロピレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
BPA−EO(ビスフェノールA エチレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
TPA(テレフタル酸) 100.0mol%
上記ポリエステル系モノマーをジブチル錫オキシド2mmol%とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着し、窒素雰囲気下、常圧下230℃で18時間反応した後、減圧処理を3時間して、脱水縮合反応を行うことにより、ポリエステル樹脂(Pes−A1)を得た。Pes−A1の酸価は4.5(KOHmg/g)、Mwは9,100、Tgは68.8℃であった。
なお、上記のmol%はカルボン酸成分であるテレフタル酸のmol数を100mol%としたときの比率である。
<合成例2>
(ポリエステル樹脂の合成)
BPA−PO(ビスフェノールA プロピレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
BPA−EO(ビスフェノールA エチレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
TPA(テレフタル酸) 80.0mol%
IPA(イソフタル酸) 20.0mol%
上記ポリエステル系モノマーを使用する以外は、合成例1と同様にポリエステル樹脂(Pes−A2)を得た。Pes−A2の酸価は4.3(KOHmg/g)、Mwは8,800、Tgは68.1℃であった。
なお、上記のmol%はカルボン酸成分であるテレフタル酸のmol数とイソフタル酸のmol数との合計を100mol%としたときの比率である。
(ポリエステル樹脂の合成)
BPA−PO(ビスフェノールA プロピレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
BPA−EO(ビスフェノールA エチレンオキシド付加物(2mol付加物)) 58.0mol%
TPA(テレフタル酸) 80.0mol%
IPA(イソフタル酸) 20.0mol%
上記ポリエステル系モノマーを使用する以外は、合成例1と同様にポリエステル樹脂(Pes−A2)を得た。Pes−A2の酸価は4.3(KOHmg/g)、Mwは8,800、Tgは68.1℃であった。
なお、上記のmol%はカルボン酸成分であるテレフタル酸のmol数とイソフタル酸のmol数との合計を100mol%としたときの比率である。
(ハイブリッド樹脂の合成)
<実施例1>
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたセパラフラスコにPes―A1 70質量部を仕込み、窒素雰囲気下、170℃に溶融した。系内温度を保ったまま、スチレン29.0質量部およびN,N−ジメチルアクリルアミド1.0質量部からなるエチレン性不飽和化合物(B)及び重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド)2.5質量部の混合液を7時間かけて滴下した後、3時間攪拌保持した。
さらに、系内温度を170℃に保ったまま、還流冷却器を減圧装置に変更して減圧蒸留処理を2時間行い、未反応のエチレン性不飽和化合物(B)およびジ−t−ブチルパーオキサイドが分解した低分子量化合物の除去し、ハイブリッド樹脂(HB−1)を得た。表2にハイブリッド樹脂(HB−1)の物性を示した。
<実施例1>
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたセパラフラスコにPes―A1 70質量部を仕込み、窒素雰囲気下、170℃に溶融した。系内温度を保ったまま、スチレン29.0質量部およびN,N−ジメチルアクリルアミド1.0質量部からなるエチレン性不飽和化合物(B)及び重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド)2.5質量部の混合液を7時間かけて滴下した後、3時間攪拌保持した。
さらに、系内温度を170℃に保ったまま、還流冷却器を減圧装置に変更して減圧蒸留処理を2時間行い、未反応のエチレン性不飽和化合物(B)およびジ−t−ブチルパーオキサイドが分解した低分子量化合物の除去し、ハイブリッド樹脂(HB−1)を得た。表2にハイブリッド樹脂(HB−1)の物性を示した。
<実施例2−12>
表1に示した条件以外は、実施例1と同様にハイブリッド樹脂(HB−2〜12)を得た。表3にハイブリッド樹脂(HB−2〜12)の物性を示した。
表1に示した条件以外は、実施例1と同様にハイブリッド樹脂(HB−2〜12)を得た。表3にハイブリッド樹脂(HB−2〜12)の物性を示した。
<比較例1−9>
表2に示した条件以外は、実施例1と同様にハイブリッド樹脂(hb−1〜9)を得た。表3にハイブリッド樹脂(hb−1〜9)の物性を示した。
表2に示した条件以外は、実施例1と同様にハイブリッド樹脂(hb−1〜9)を得た。表3にハイブリッド樹脂(hb−1〜9)の物性を示した。
(結着剤の主剤となる結着樹脂(スチレンアクリル樹脂)分散液の調製)
スチレン 70質量部
アクリル酸ブチル 30質量部
n−オクチルメルカプタン 2質量部
上記成分を混合溶解したモノマー混合液を調製した。攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたセパラフラスコに、イオン交換水260質量部、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部を仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した後、これに1質量%過硫酸カリウム水溶液70質量部を添加した。次に、モノマー混合液を滴下した後、更に2時間保持し重合を完結させた。重合反応終了後、内容物を室温まで冷却し、スチレンアクリル樹脂分散液(固形分濃度20質量%)を得た。平均粒径は80nmであった。
スチレン 70質量部
アクリル酸ブチル 30質量部
n−オクチルメルカプタン 2質量部
上記成分を混合溶解したモノマー混合液を調製した。攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたセパラフラスコに、イオン交換水260質量部、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部を仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した後、これに1質量%過硫酸カリウム水溶液70質量部を添加した。次に、モノマー混合液を滴下した後、更に2時間保持し重合を完結させた。重合反応終了後、内容物を室温まで冷却し、スチレンアクリル樹脂分散液(固形分濃度20質量%)を得た。平均粒径は80nmであった。
(離型剤(ワックス)分散液の調製)
イオン交換水80重量部、カルナバワックス20重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3重量部を混合し、高圧せん断をかけて乳化分散させワックス微粒子分散液(ワックス分20重量%)を得た。平均粒径は130nmであった。
イオン交換水80重量部、カルナバワックス20重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3重量部を混合し、高圧せん断をかけて乳化分散させワックス微粒子分散液(ワックス分20重量%)を得た。平均粒径は130nmであった。
(着色剤分散液の調製)
顔料粒子としてピグメントレッド122(21.5重量部)を、アニオン界面活性剤2.5重量部を使用して、イオン交換水76重量部に分散させ、着色剤微粒子分散液(顔料分20質量%)を得た。平均粒径は110nmであった。
顔料粒子としてピグメントレッド122(21.5重量部)を、アニオン界面活性剤2.5重量部を使用して、イオン交換水76重量部に分散させ、着色剤微粒子分散液(顔料分20質量%)を得た。平均粒径は110nmであった。
(ハイブリッド樹脂分散液(HBS−1〜12、hbs−1〜9)の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたセパラフラスコ中で、リン酸三カルシウム水溶液およびドデシル硫酸ナトリウムの混合液を60℃に昇温し、ハイブリッド樹脂の酢酸エチル溶液を加えた。その後96℃まで昇温して溶剤を除去することによって、ハイブリッド樹脂分散液(HBS−1、固形分濃度20質量%)を得た。平均粒径は110nmであった。ハイブリッド樹脂(HB−2〜12、hb−1〜9)を使用する以外は、上記と同様にハイブリッド樹脂分散液(HBS−2〜12、hbs−1〜9)を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えたセパラフラスコ中で、リン酸三カルシウム水溶液およびドデシル硫酸ナトリウムの混合液を60℃に昇温し、ハイブリッド樹脂の酢酸エチル溶液を加えた。その後96℃まで昇温して溶剤を除去することによって、ハイブリッド樹脂分散液(HBS−1、固形分濃度20質量%)を得た。平均粒径は110nmであった。ハイブリッド樹脂(HB−2〜12、hb−1〜9)を使用する以外は、上記と同様にハイブリッド樹脂分散液(HBS−2〜12、hbs−1〜9)を得た。
(トナーの作製)
<作製例1>
3L筒型フラスコに、上記のようにして得られたスチレンアクリル樹脂分散液370質量部(樹脂固形分として74質量部)、上記のようにして得られたワックス分散液20質量部(ワックス分として4質量部)、上記のようにして得られた着色剤分散液35質量部(顔料固形分として7質量部)、及びイオン交換水370質量部を仕込み、撹拌しながら2N水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合分散液のpHを10.0に調整した。次に、これに50質量%塩化マグネシウム水溶液60質量部を添加した後、撹拌しながら85℃に昇温して5μmの平均粒径に成長するまで保持し、コア粒子を形成した。その後、ハイブリッド樹脂分散液(HBS−1)75質量部(樹脂固形分として15質量部)を添加して、さらに85℃で1.5時間保持し、シェル層を形成した。その後、20質量%塩化ナトリウム水溶液185質量部を添加してから92℃に昇温して2時間保持した後、室温まで冷却し、溶液の濾過および得られた固形分のイオン交換水への再懸濁処理といった洗浄処理を5回繰り返し、乾燥させる事によって粉末を得た。得られた粉末100質量部に対し、1質量部のコロイダルシリカ(アエロゾルR972、日本アエロジル株式会社製)を混合機にて混合し、トナーD1を得た。得られたトナーD1の低温定着性、耐高温オフセット性、保存安定性、及び画像濃度(耐久性)の評価結果などを表4に示す。
<作製例1>
3L筒型フラスコに、上記のようにして得られたスチレンアクリル樹脂分散液370質量部(樹脂固形分として74質量部)、上記のようにして得られたワックス分散液20質量部(ワックス分として4質量部)、上記のようにして得られた着色剤分散液35質量部(顔料固形分として7質量部)、及びイオン交換水370質量部を仕込み、撹拌しながら2N水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合分散液のpHを10.0に調整した。次に、これに50質量%塩化マグネシウム水溶液60質量部を添加した後、撹拌しながら85℃に昇温して5μmの平均粒径に成長するまで保持し、コア粒子を形成した。その後、ハイブリッド樹脂分散液(HBS−1)75質量部(樹脂固形分として15質量部)を添加して、さらに85℃で1.5時間保持し、シェル層を形成した。その後、20質量%塩化ナトリウム水溶液185質量部を添加してから92℃に昇温して2時間保持した後、室温まで冷却し、溶液の濾過および得られた固形分のイオン交換水への再懸濁処理といった洗浄処理を5回繰り返し、乾燥させる事によって粉末を得た。得られた粉末100質量部に対し、1質量部のコロイダルシリカ(アエロゾルR972、日本アエロジル株式会社製)を混合機にて混合し、トナーD1を得た。得られたトナーD1の低温定着性、耐高温オフセット性、保存安定性、及び画像濃度(耐久性)の評価結果などを表4に示す。
<作製例2−12>
ハイブリッド樹脂分散液(HBS−2〜12)を使用した条件以外は、作製例1と同様にトナーD2〜D12を得た。得られたトナーD2〜D12の保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性の評価結果などを表4に示す。
ハイブリッド樹脂分散液(HBS−2〜12)を使用した条件以外は、作製例1と同様にトナーD2〜D12を得た。得られたトナーD2〜D12の保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性の評価結果などを表4に示す。
<作製比較例1−9>
ハイブリッド樹脂分散液(hbs−1〜hbs−9)を使用した条件以外は、作製例1と同様にトナーd1〜d9を得た。得られたトナーd1〜d9の保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性の評価結果などを表4に示す。
ハイブリッド樹脂分散液(hbs−1〜hbs−9)を使用した条件以外は、作製例1と同様にトナーd1〜d9を得た。得られたトナーd1〜d9の保存安定性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐久性の評価結果などを表4に示す。
(トナーD1〜D12、d1〜d9の評価結果)
トナーの評価結果から、ハイブリッド樹脂の製造方法によって得られたハイブリッド樹脂を含有するトナーD1〜D12は、低温定着性と耐高温オフセット性、保存安定性を両立でき、さらには、高温高湿下での帯電安定性、すなわち、耐久性が良好であることがわかる。
トナーの評価結果から、ハイブリッド樹脂の製造方法によって得られたハイブリッド樹脂を含有するトナーD1〜D12は、低温定着性と耐高温オフセット性、保存安定性を両立でき、さらには、高温高湿下での帯電安定性、すなわち、耐久性が良好であることがわかる。
Claims (1)
- ポリエステル樹脂(A)にエチレン性不飽和化合物(B)と有機過酸化物を用いてグラフト共重合するトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法であって、下記(1)〜(7)の条件をみたすことを特徴とするトナー用ハイブリッド樹脂の製造方法。
(1)グラフト共重合する際の反応温度が、グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度よりも5〜45℃高い温度範囲であること。
(2)グラフト共重合する際に有機溶剤を用いないこと。
(3)グラフト共重合に用いられる有機過酸化物の1時間半減期分解温度の範囲が130〜160℃であること。
(4)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の質量比((A)/(B))が50/50〜90/10であること。
(5)エチレン性不飽和化合物(B)は、少なくともスチレン類(a)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(b)からなること。
(6)グラフト共重合する際のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対してN,N−ジメチルアクリルアミド(b)が0.1質量%以上10質量%以下であること。
(7)ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%(U)が下記の式(I)の範囲であること。
(A×0.95+B×(1/2)) ≧ U ≧A (I)
但し、式(I)中のAはポリエステル樹脂(A)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値であり、Uはトナー用ハイブリッド樹脂のシクロヘキサン不溶成分の質量%の値であり、Bはエチレン性不飽和化合物(B)のポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和化合物(B)の総和に対する質量%の値である。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2010154394A JP2012017372A (ja) | 2010-07-07 | 2010-07-07 | トナー用ハイブリッド樹脂の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2012017372A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP4124153A1 (en) | 2012-01-30 | 2023-01-25 | Ntt Docomo, Inc. | Priority of random access preamble in inter-band carrier aggregation |
-
2010
- 2010-07-07 JP JP2010154394A patent/JP2012017372A/ja active Pending
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