JP2012016646A - 酸化セリウム触媒担持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種々の材質・形状の基体表面に対して、酸化セリウム触媒微粒子を低温で強固に固定でき、貴金属触媒を用いることなく、種々のVOCガスを、効率よく分解可能な酸化セリウム触媒担持体を提供する。
【解決手段】 基体と、各々シランモノマーにより表面を被覆されており、シランモノマーと基体表面との化学結合を介して基体の表面に固定され、シランモノマーの化学結合により互いに結合した酸化セリウム触媒微粒子を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、種類が限定されない基体であって、基体上に触媒微粒子が強固に固定されている触媒担持体に関し、例えば、自動車や工場などの排ガス処理に用いられるフィルターを基体として酸化セリウム触媒を担持させることにより、VOCなどの有害ガスを効率よく分解することを可能とした酸化セリウム触媒担持体に関する。
煤塵や排気ガスに含まれる浮遊粒子状物質(SPM:Suspended Particulate Matter)や、大気中の光化学オキシダントの濃度が高くなることで発生する光化学スモッグが、地球環境や人体に影響を及ぼすとして近年問題となっている。SPMと光化学スモッグの原因物質には、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)がある。VOCについては、国内では2004年5月に大気汚染防止法が改正されてVOCの排出抑制の目標値が掲げられ、2006年4月から施行されている。
このような排気ガス中のVOCを除去する方法としては、Pt触媒やPd触媒といった貴金属触媒を用いることが一般的である。
しかしながら、貴金属触媒を用いたVOC除去方法には以下のような問題がある。
Pt触媒、Pd触媒といった貴金属触媒を用いた場合には、使用中に、ダスト、すす、タールの貴金属触媒への吸着といった物理的被毒や、塩素化合物、硫黄化合物、有機シリコーンの吸着といった化学的被毒により触媒性能が劣化する問題がある。
また、前述したように近年の環境への意識の高まりにより、有害ガスの浄化用や燃料電池用として貴金属触媒が用いられており、希少金属であることから貴金属の価格が高騰しておりコスト高となる問題がある。
ここで、近年、ガソリン車の排ガス浄化用触媒の担体の一成分であり、還元雰囲気下では酸素を放出し酸化雰囲気下では酸素を吸蔵する酸素吸蔵放出能を有する、酸化セリウム(CeO)単体が、VOCの除去や、ガソリン車の排気ガスに含まれる未燃燃料や潤滑油などの可溶性有機質(SOF:Soluble Organic Fraction)の分解に効果があると報告されている(例えば非特許文献1、非特許文献2、及び特許文献1)。このことから実際、酸化セリウム触媒粉末を用いたVOC除去方法も検討されている(例えば、特許文献2、及び特許文献3)。また、HC吸着材層に担持された粒径が30〜200nmの酸化セリウム粒子触媒が提案されている(例えば、特許文献4)。
特開平8−290057号公報 特開2006−15338号公報 特開2007−175612号公報 特開平9−927号公報
D. Haffad, A. Chambellan, J.C. Lavall. Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 168 (2001) p153-164 Ching-Huei Wang, Shiow-Shyung Lin. Applied Catalysis A: General 268 (2004) p227-233
しかしながら、酸化セリウム触媒微粒子は無機物であり、基体に固定するには焼結法が用いられるが、基体の素材としては、焼結に耐えうるセラミックや金属などの素材で構成されるハニカム構造体や大きな粒状物に限定される。その上、フィルターなどに応用する場合には、用いる形状に制限があるという問題点があった。その他、基体に固定化する方法としてバインダーなどを用いる方法も考えられるが、用いた酸化セリウム触媒微粒子の多くがバインダーの内部に埋め込まれてしまい、表面に露出して機能する微粒子はわずかとなり、触媒としての効果は期待できない。
また、特許文献4では、HC吸着材層に担持された粒径が30〜200nmの酸化セリウム粒子触媒が開示されている。しかしながら、特許文献4において、酸化セリウムは、あくまでも酸化パラジウムや酸化プラチナなどの主触媒の補助触媒として使用されるに過ぎず、単独の主触媒として用いられるものではない。したがって、高価な貴金属類を使用するという問題が未だ残る。
そこで本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、低温で、かつ、いかなる材質・形状の基体表面に対しても、酸化セリウム触媒微粒子を強固に固定でき、様々な形状や環境下で効率よく機能を発現する、酸化セリウム触媒担持体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、基体と、各々シランモノマーにより表面を被覆されており、シランモノマーと基体表面との化学結合を介して基体の表面に固定され、シランモノマーの化学結合により互いに結合した酸化セリウム触媒微粒子を有する酸化セリウム触媒担持体である。
さらに、本発明は、基体と、各々シランモノマーにより表面を被覆されており、シランモノマーと基体表面との化学結合を介して基体の表面に固定され、シランモノマーの化学結合により互いに結合した無機微粒子と、互いに結合した無機微粒子の群内に分散した酸化セリウム触媒微粒子と、を有する酸化セリウム触媒担持体である。
本発明によれば、酸化セリウム触媒微粒子がシランモノマーと基体表面との化学結合を介して基体に固定されるので、低温で固定化することができる。これにより、金属やセラミックなどの無機材料を含む基体はもちろん、有機系の素材を含む部材を基体とする、様々な形状や環境下で効率よく機能を発現する酸化セリウム触媒担持体を提供できる。
本発明の第1実施形態の酸化セリウム触媒担持体の模式図である。 本発明の第2実施形態の酸化セリウム触媒担持体の模式図である。 本発明の第3実施形態の酸化セリウム触媒担持体の模式図である。
以下に、本実施形態の酸化セリウム触媒担持体について図を用いて詳述する。
図1は、本発明の第1実施形態である酸化セリウム触媒担持体100の断面の一部を模式的に表した図である。本第1実施形態の酸化セリウム触媒担持体100は、VOCを除去する触媒担持体である。本第1実施形態の酸化セリウム触媒担持体100は、基体1と、無機微粒子2−aと、触媒性能を示す酸化セリウム触媒微粒子2−bと、シランモノマー3と、を含んで構成される。
なお、図1では本第1実施形態を判りやすく模式的に示すため、無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bは、異なる無機化合物である場合を表したが、図2には、本発明の第2実施形態として、無機微粒子2−aを用いない場合、すなわち全ての無機微粒子を酸化セリウム触媒微粒子2−bとした場合を示した。さらに、図3には、本発明の第3実施形態として、シランモノマー3が表面に結合した無機微粒子2−aがシランモノマーの化学結合により相互に結合すると共に、基体1表面との間で化学結合4を(共有結合)形成することで固定され、酸化セリウム触媒微粒子2−bは、互いに結合した無機微粒子2−aの群内に分散して固定される場合を示した。
本発明の第1又は第3実施形態の無機微粒子2−a若しくは第1又は第2実施形態の酸化セリウム触媒微粒子2−bの表面にはシランモノマー3が不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて配向して結合している。無機微粒子2−a若しくは酸化セリウム触媒微粒子2−bの各々は、互いのシランモノマー3が脱水縮合反応した化学結合4(共有結合)により、互いに結合している。
また、基体1と無機微粒子2−a若しくは酸化セリウム触媒微粒子2−bとは、各微粒子表面のシランモノマー3が、基体1表面との間で化学結合4を(共有結合)形成することで、結合し固定されている。
本発明の各実施形態における、酸化セリウム触媒担持体100に用いられる基体1としては、シランモノマー3による化学結合4が可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、各種樹脂や、合成繊維や、綿、麻、絹等の天然繊維や炭素繊維や、金属材料や、ガラスや、セラミックなどの無機材料が挙げられる。
ここで、基体1に用いられる樹脂の例としては、ポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂や、ポリスチレン樹脂や、ABS樹脂や、AS樹脂や、EVA樹脂や、ポリメチルペンテン樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂や、ポリ塩化ビニリデン樹脂や、ポリアクリル酸メチル樹脂や、ポリ酢酸ビニル樹脂や、ポリアミド樹脂や、ポリイミド樹脂や、ポリカーボネート樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂や、ポリブチレンテレフタレート樹脂や、ポリアセタール樹脂や、ポリアリレート樹脂や、ポリスルホン樹脂や、ポリフッ化ビニリデン樹脂や、ETFEや、PTFEなどの熱可塑性樹脂や、ポリ乳酸樹脂や、ポリヒドロキシブチレート樹脂や、修飾でんぷん樹脂や、ポリカプロラクト樹脂や、ポリブチレンサクシネート樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂や、ポリブチレンサクシネートテレフタレート樹脂や、ポリエチレンサクシネート樹脂などの生分解性樹脂や、フェノール樹脂や、ユリア樹脂や、メラミン樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂や、ジアリルフタレート樹脂や、エポキシ樹脂や、エポキシアクリレート樹脂や、ケイ素樹脂や、アクリルウレタン樹脂や、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂や、シリコーン樹脂や、ポリスチレンエラストマーや、ポリエチレンエラストマーや、ポリプロピレンエラストマーや、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーや、漆などの天然樹脂などが挙げられる。
酸化セリウム触媒微粒子2−bの酸化触媒機能によりVOCを除去させるためには熱が必要である。酸化セリウム触媒微粒子が酸化分解を促進するための必要な熱は、除去するVOCによっても異なるが、雰囲気温度で50℃以上を必要とする場合がある。また、例えば、本実施形態の酸化セリウム触媒担持体100を工場から排出されるVOCの除去フィルターなどに用いる場合には、反応が行われる触媒表面は局部的に100℃以上となる場合がある。そのため、基体1は、VOCの除去に必要な温度よりも高い融点(耐熱性)を有する材料が好ましい。基体1に用いられる耐熱性を有する樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネートポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、超高分子ポリエチレンなどのエンジニアプラスチックや、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ETFEやPTFEなどのフッ素樹脂などのスーパーエンジニアリングプラスチックや、ポリフェノール、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの耐熱性熱硬化性樹脂が好ましい。
本発明の各実施形態の酸化セリウム触媒担持体100の基体1に用いられる無機材料としては、シランモノマー3が脱水縮合反応により化学結合4(共有結合)が可能な材料であれば特に限定されないが、金属及びセラミックスなど、材料の表面に酸化物の薄膜が形成されていることが好ましい。
基体1に用いられる金属材料としては、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、TZM、W−Reなどの高融点金属や、銀、ルテニウムなどの貴金属及びそれらの合金、チタン、ニッケル、ジルコニウム、クロム、インコネル、ハステロイなどの特殊金属、アルミニウム及びその合金、銅及びその合金及びその合金、ステンレス鋼、亜鉛及びその合金、マグネシウム及びその合金、鉄及びその合金などの汎用金属、また、各種めっき及び真空蒸着や、CVD法や、スパッタ法などで処理した金属材料を用いることが可能である。
本発明の各実施形態の基体1が金属及びその合金である場合には、その表面にカップリング剤が脱水縮合反応により共有結合するための酸化薄膜が形成されていることが、無機微粒子2−aを基体1の表面に強固に固定する為には特に必要となる。上述した金属及びその合金表面には、通常、自然酸化薄膜が形成されている。この酸化薄膜を利用するためには、予め、通常の公知の方法により付着している油分や汚れを除去することが、安定に、かつ、均一に無機微粒子2−aを固定するためには好ましい。さらに、公知の方法により化学的に酸化薄膜を形成したり、陽極酸化などの電気化学的な公知の方法により酸化薄膜を形成してもよい。
さらに、本発明の各実施形態の基体1には、土器、陶器、せっき、磁気などの陶磁器、ガラス、セメント、石膏、ほうろう及びファインセラミックスなどのセラミックスを用いることができる。本実施形態の基体1を構成するセラミックスの組成は、元素系、酸化物系、水酸化物系、炭化物系、炭酸塩系、窒化物系、ハロゲン化物系、及びリン酸塩系などのセラミックスを用いることができ、また、それらの複合物でもよい。
また、本発明の各実施形態の基体1には、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、石英ガラス、カルコゲンガラス、有機ガラス、ウランガラス、アクリルガラス、水ガラス、偏光ガラス、強化ガラス、合わせガラス、耐熱ガラス・硼珪酸ガラス、防弾ガラス、ガラス繊維、ダイクロ、ゴールドストーン(茶金石・砂金石・紫金石)、ガラスセラミックス、低融点ガラス、金属ガラス、及びサフィレットなどのガラスを用いることが可能である。
また、本発明の各実施形態の基体1には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、及びポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ質混合材を添加した混合セメントである高炉セメント、シリカセメント、及びフライアッシュセメントなどのセメントを使用することが可能である。
また、本発明の各実施形態の基体1には、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、フェライト、アルミナ、フォルステライト、ジルコニア、ジルコン、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ニューカーボン、ニューガラスなどや、高強度セラミックス、機能性セラミックス、超伝導セラミックス、非線形光学セラミックス、抗菌性セラミックス、生分解性セラミックス、及びバイオセラミックスなどのセラミックスを用いることが可能である。
また、効率よく酸化セリウム触媒担持体VOCを除去するためには、酸化セリウム触媒担持体100への熱供給方法が重要となる。一般的なダクトヒーターにより、酸化セリウム触媒担持体100で構成される触媒フィルター層の周囲を囲むような構成の場合には、均一な熱の供給や制御の問題が生じ、さらに装置のコンパクト化が難しい。しかしながら、基体1に発熱体としての性能を有する材料を含ませることによって、均一な熱供給が可能となり、熱源とフィルターを一体化することにより装置のコンパクト化が可能となる。
基体1に含まれる材料としては、発熱体としての性能を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、金属材料である場合は、Fe−Cr−Al系合金、Ni−Cr系合金、白金、モリブテン、タンタル、タングステンが好ましく、非金属材料である場合は、炭化ケイ素、モリブデン−シリサイト、カーボン、黒鉛、ジルコニア、ランタンクロマイトが好ましい。また、上記の発熱体としての性能を有する材料を含んでいれば、絶縁材料など他の材料との組み合わせでも良く、構成は限定されない。
本発明の各実施形態では、これらの基体1の形態は、パンチングシート状、繊維状、布状、メッシュ状、ハニカム状など、使用目的に合った種々の形状及びサイズ等のものが適用できる。
上述したように、本発明の第1又は第3実施形態の無機微粒子2−a若しくは本発明の第1又は第2実施形態の酸化セリウム触媒微粒子2−bの表面にはシランモノマー3が不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて配向して結合している。
ここで、シランモノマー3が不飽和結合部または反応性官能基を無機微粒子2−aの外側に向けて配向して結合する理由について詳述する。これは、シランモノマー3の片末端であるシラノール基が親水性であるため、同じく親水性である無機微粒子2−aの表面に引きつけられやすく、一方、逆末端の不飽和結合部または反応性官能基は疎水性であるため、無機微粒子2−aの表面から離れようとするからである。このため、シランモノマー3のシラノール基は、無機微粒子2−aの表面に脱水縮合反応により共有結合するため、シランモノマー3は不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて配向しやすい。したがって、多くのシランモノマー3については、不飽和結合部または反応性官能基を外側に向けて無機微粒子2−aと共有結合している。
脱水縮合により無機微粒子2−a若しくは酸化セリウム触媒微粒子2−bに共有結合するシランモノマー3が有する不飽和結合部または反応性官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基及びイソシアネート基などが挙げられる。
本発明の各実施形態の酸化セリウム触媒担持体100で用いられるシランモノマー3の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
本発明の第1又は第3実施形態の酸化セリウム触媒担持体100に用いる無機微粒子2−aとしては、非金属酸化物、金属酸化物、金属複合酸化物など無機酸化物が好適に用いられる。無機微粒子2−aは、非晶性あるいは結晶性のどちらでも良い。非金属酸化物としては、酸化珪素が挙げられる。また、金属酸化物としては酸化マグネシウム、酸化バリウム、過酸化バリウム、ギブサイト、ベーマイト、ダイスポア、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、過酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化鉄、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化プラセオジムなどが挙げられる。また、金属複合酸化物としては、酸化チタンバリウム、酸化コバルトアルミニウム、酸化ジルコニウム鉛、酸化ニオブ鉛、TiO2−WO3、AlO−SiO、WO−ZrO、WO−SnO、CeO−ZrO、In−Sn、Sb−Sn、Sb−Zn、In−Sn−Znなどが挙げられる。これらの無機微粒子は単体で用いても2種以上混合して用いても良い。
本発明の各実施形態の無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bは、平均の粒子径が500nm以下とすることが好ましい。平均粒子径が500nmより大きい場合では、基体1に対する無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bの密着性が低下する。このため平均粒子径が500nm以下である場合よりも無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bが剥がれやすくなるため、メンテナンスの手間やコストが多くかかってしまう。また、その使用環境や使用経時などにより、無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bの剥離が発生する場合がある。
また、酸化セリウム触媒微粒子は、粒子径が小さいほど触媒性能が高いことが一般的に知られている。繊維構造体に担持できる触媒微粒子の量には限界があり、また、コスト面からも触媒微粒子の担持量は少ない方が良いことから、酸化セリウム触媒微粒子2−bをナノ粒子化することで、少量で触媒性能を発揮できるフィルターの製造が可能となる。ただし、粒子径を小さくするには、製造時間、製造コストがかかる。
このため、粒子径と触媒性能の関係を考慮すると、無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bの平均粒子径は300nm以下であればさらに好ましいが、最も好ましくは平均粒子径が10nm以上100nm以下である。
また、本発明の各実施形態の酸化セリウム触媒担持体において、高比表面積の酸化セリウム触媒微粒子は気体と接触する接触面積が大きくなるため、より触媒活性が高くなることが期待される。酸化セリウム触媒微粒子の比表面積は20m/g以上が望ましい。
また、本発明の各実施形態の酸化セリウム触媒微粒子2−b又は無機微粒子2−aにRu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auなどの貴金属触媒微粒子を1種類以上担持してもよい。除去対象ガスに応じた、貴金属触媒微粒子を1種類以上選択し、担持した場合、低温から高温までの広範囲の温度領域において、効率よく触媒性能を発現させることが可能である。
さらに、本発明の第3実施形態の酸化セリウム触媒担持体100は、酸化セリウム触媒微粒子2−bが、微粒子表面のシランモノマー3が脱水縮合反応することにより化学結合4(共有結合)した無機微粒子2−aの群10の内部に保持されることによって基体1上に保持されている。
すなわち、本発明の第3実施形態の酸化セリウム触媒担持体100は、不飽和結合部または反応性官能基を有する反応性に優れたシランモノマー3を用いることで、シランモノマー3間の化学結合4により基体1上の複数の無機微粒子2−a同士を結合するとともに、基体1と対向する無機微粒子2−a表面のシランモノマー3と基体1表面との間で化学結合4を形成することで、無機微粒子2−aを基体1上に固定している。
そして、無機微粒子2−a同士の結合および無機微粒子2−aの群10と基体1との結合により形成されたスペース5に酸化セリウム触媒微粒子2−bが分散して保持されている。スペース5は外部空間と連通しており、酸化セリウム触媒微粒子2−bは、その触媒性能が維持された状態で基体1上に保持されている。
すなわち、本発明の第3実施形態の酸化セリウム触媒微粒子2−bは、触媒性能が維持された状態で、基体1上において少なくとも無機微粒子2−aおよび当該無機微粒子2−aに結合したシランモノマー3によって囲まれている。
本発明の第3実施形態の酸化セリウム触媒担持体100は、有効成分である酸化セリウム触媒微粒子2−bが、バインダー等により被覆されることなく、基体1に固定された無機微粒子2−aの群10によって形成されるスペース5にて保持されている。そのため、酸化セリウム触媒微粒子2−bの基体1上での粒子密度を大きくすることが可能である。これにより、通過するVOCガスと酸化セリウム触媒微粒子2−bとが接触する確率を高くすることができ、触媒活性の発現効率が非常に高い。
次に、代表例として、本発明の第3実施形態の酸化セリウム触媒担持体100の製造方法について説明する。まず、シランモノマー3が表面に化学結合している無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bをメタノールやエタノール、MEK、アセトン、キシレン、トルエンなどの分散媒に混合し、分散させる。ここで、分散を促進させる為に、必要に応じて界面活性剤や、塩酸、硫酸などの鉱酸や、酢酸、クエン酸などのカルボン酸などを加えるようにしてもよい。続いて、ビーズミルやボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、ホモジナイザーなどの装置を用いて無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bを分散媒中で解砕・分散させ、無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bを含むスラリーを作製する。
なお、無機微粒子2−aと不飽和結合部または反応性官能基を有するシランモノマー3との共有結合は通常の方法により形成させることができ、例えば、分散液にシランモノマー3を加え、その後、還流下で加熱させながら、無機微粒子2−aの表面にシランモノマー3を脱水縮合反応により共有結合させてシランモノマー3からなる薄膜を形成する方法や、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー3を加えた後、或いは、シランモノマー3を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー3を無機微粒子2−aの表面に脱水縮合反応により共有結合させ、次いで、粉砕・解砕して再分散する方法が挙げられる。
ここで、還流下、または、粉砕により微粒子化して得られた分散液にシランモノマー3を加えた後、或いは、シランモノマー3を加えて粉砕により微粒子化した後、固液分離して100℃から180℃で加熱してシランモノマー3を無機微粒子2−aの表面に脱水縮合反応による共有結合させる場合、シランモノマー3の量は、無機微粒子2−aの平均粒子径にもよるが、無機微粒子2−aの質量に対して0.01%質量から40.0質量%であれば無機微粒子2−a同士、および無機微粒子2−aの群10と基体1との結合強度は実用上問題ない。また、結合に預からない余剰のシランカップリングモノマー3があっても良い。
続いて、以上のようにして得られた無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bが分散したスラリーを固定する基体1の表面に塗布する。具体的な無機微粒子2−a及び酸化セリウム触媒微粒子2−bが分散したスラリーの塗布方法としては、一般に行われているスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、キャストコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法を用いればよく、目的に合った塗布ができれば特に限定されない。
次に、必要に応じて、加熱乾燥などで分散媒を除去した後、無機微粒子2−aの表面のシランモノマー3間で化学結合4を形成させることにより無機微粒子2−a同士を結合させるとともに、結合した無機微粒子2−aを、シランモノマー3と基体1表面との間の化学結合4を形成させることにより、基体1上に固定させる。このとき、酸化セリウム触媒微粒子2−bは、無機微粒子2−a同士の間や無機微粒子2−aと基体1との間に分散して嵌ることにより保持される。
本実施形態においては、基体1とシランモノマー3とを化学結合4させる方法として、グラフト重合による結合方法を用いることが好ましい。
本実施形態の酸化セリウム触媒担持体100におけるグラフト重合としては、例えばパーオキサイド触媒を用いるグラフト重合、熱や光エネルギーを用いるグラフト重合、放射線によるグラフト重合(放射線グラフト重合)などが挙げられ、形状や形態に応じて適宜選択して用いられる。なお、パーオキサイド触媒による処理、熱や光エネルギーによる処理、および放射線による処理によって、無機微粒子2−a表面とシランモノマー3間の化学結合を形成させることができる。
ここで、シランモノマー3のグラフト重合を効率良く、かつ、均一に行わせるために、予め、基体1の表面を、コロナ放電処理やプラズマ放電処理や、火炎処理や、クロム酸や過塩素酸などの酸化性酸水溶液や水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ性水溶液による化学的な処理などの親水化処理をしてもよい。
なお、本発明の第1及び第2実施形態の酸化セリウム触媒担持体は、酸化セリウム触媒微粒子2−bを上記説明での無機微粒子2−aと同様の処方を用いて製造すればよい。
以上説明したように、本実施形態の酸化セリウム触媒担持体100によれば、基体1に結合した無機微粒子2−aの群内に酸化セリウム触媒微粒子2−bが分散して保持される。このため、酸化セリウム触媒微粒子2−bは強固に基体1上で保持されるので、剥がれなどを抑制することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明方法による下記実施例2、3、4及び比較例2の酸化セリウム触媒担持体の製造にあたっては、エレクトロカーテン型電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、CB250/15/180L)を用い、電子線グラフト重合により実施した。
(実施例1)
無機微粒子として市販のジルコニア微粒子(日本電工株式会社製、PCS)をメタノールに対して10.0質量%、シランモノマーとして3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)を無機微粒子に対して5.0質量%加えてpHを3.0に塩酸で調製した後、ビーズミルにより平均粒子径20nmに粉砕分散した。その後、凍結乾燥機により固液分離して120℃で加熱し、シランモノマーをジルコニア微粒子の表面に脱水縮合反応により化学結合させて被覆を形成した。得られた表面処理されたジルコニア微粒子と市販の比表面積143m2/gの酸化セリウム微粒子(信越化学工業株式会社製、CeO2(BB))をメタノールを溶媒とし、ビーズミルにより平均粒子径45nmに再度粉砕分散し、それぞれの粒子が分散溶液を得た。このとき、固形分に対して、酸化セリウムの充填量を40wt%とした。
ガラス織物(サカイ産業株式会社製)を、上記分散溶液に浸漬させ、エアーブロアーで余剰分を除去した後、130℃、15分間乾燥した。次に、酸化セリウム微粒子分散液を塗布したガラス織物に電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射することで、ジルコニア微粒子がシランモノマーのグラフト重合によりガラス織物に結合され、その群内に酸化セリウム微粒子が分散した状態で固定化された酸化セリウム触媒担持体を得た。
(実施例2〜5)
市販の比表面積143m2/gの酸化セリウム微粒子(信越化学工業株式会社製、CeO2(BB))を、溶媒としてメタノールと、シランモノマーとして3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)を無機微粒子に対して3.0質量%加えて、pHを3.0に塩酸で調製した後、ビーズミルにより粉砕分散した。その後、凍結乾燥機により固液分離して120℃で加熱し、シランモノマーを酸化セリウム微粒子の表面に脱水縮合反応により化学結合させて被覆を形成した。得られた表面処理された微粒子を、メタノールを溶媒として、ビーズミルによりそれぞれ、平均粒子径45nm(実施例2)、105nm(実施例3)、310nm(実施例4)、520nm(実施例5)に再度粉砕分散しナノ粒子化した酸化セリウム触媒微粒子の分散溶液を得た。あとは、実施例1と同様にガラス織物である触媒担持体を得た。
(実施例6)
市販のステンレス製メッシュ(株式会社NBCメタルメッシュ製、ST325−23)を70℃に加温した63%硝酸水溶液に10分間浸漬し、ステンレス表面に酸化被膜を形成した。次に、実施例1で用いた分散液を、酸化被膜を形成したステンレス製メッシュにエアレススプレーで塗布し、130℃、10分間乾燥した。その後、200kVの加速電圧で5Mrad照射することで、ジルコニア微粒子がシランモノマーのグラフト重合によりステンレスメッシュ表面にジルコニウム微粒子内に酸化セリウム微粒子が分散した状態で固定化された酸化セリウム触媒担持体を得た。
(実施例7)
発熱繊維(帝人株式会社製、ソフテレック)で布状のフィルターを作製した。この発熱体フィルター表面に実施例1で用いた分散液に浸漬し、余剰分の分散液をブロアーにて除去し、130℃、50分間乾燥した。その後、実施例1と同様の条件で電子線を照射し、ジルコニア微粒子がシランモノマーのグラフト重合によりソフテックスで織られたフィルター表面に結合され、その群内に酸化セリウム微粒子が分散した状態で固定化された酸化セリウム触媒担持体を得た。
(実施例8)
50μmの厚さのポリイミドフィルム(三井化学株式会社製、オーラム)の片面にスパッタリングによりクロムの薄膜を形成した。その後、銀ペーストをスクリーン印刷でクロム薄膜表面にフィルムの対向する対辺近傍に一対の電極を形成した。次に、実施例1で用いた分散液をエアレススプレーにて、電極を形成したクロム薄膜表面に塗布し、130℃、5分間乾燥した。その後、実施例1と同様の条件で電子線を照射し、ジルコニア微粒子がシランモノマーのグラフト重合によりフィルム表面上のクロム薄膜に結合され、その群内に酸化セリウム微粒子が分散した状態で固定化された酸化セリウム触媒担持体を得た。
(比較例1)
実施例2で、シランモノマーの代わりにバインダー成分としてテトラメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−504)を、酸化セリウム微粒子に対して50.0質量%添加した以外は、実施例2の方法と同様に分散溶液を得た後、ガラス織物(サカイ産業株式会社製)を、上記分散溶液に浸漬させ、エアーブロアーで余剰分を除去した後、130℃で、15分間乾燥し酸化セリウム触媒担持体を得た。
(比較例2)
実施例2の酸化セリウム微粒子の平均粒子径が45nmに分散された酸化セリウム微粒子の分散溶液の代わりに、平均粒子径が800nmに分散された酸化セリウム微粒子の分散溶液を用いた以外は実施例2と同様の手順でサンプルを作製した。
<担持量>
酸化セリウム触媒微粒子担持サンプル質量に対するセリウムの金属質量割合を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3520)により測定した。
<VOCの除去率>
実施例1で得たジルコニア微粒子、酸化セリウム微粒子担持フィルターを10gステンレス製触媒反応管に入れた。実施例1で得たフィルターと酸化セリウムの重量を同じにするため、実施例2〜5及び比較例1、2で得た酸化セリウム触媒微粒子担持フィルターは6.6gをステンレス製触媒反応管に入れた。
実施例6および7で得られたジルコニア微粒子、酸化セリウム微粒子担持フィルターをプレス金型で外形20φに打ち抜いた。フィルター外周部の一部の金属部を露出させ、20枚重ね、露出させた金属部を接触させてステンレス製の反応管内部にそれぞれのフィルターの露出した金属部が接触するように充填した。反応管の前後に電極を形成し、110Vの交流電圧を印加して、ステンレス製メッシュおよび発熱繊維で織ったフィルターを発熱させるようにし、反応管の内部に熱電対を装着して、反応管内が200℃に調整するようにした。
実施例8で得られた触媒体は、幅10mm、長さ300mmの帯状に一対の電極が帯状体端部に残るようカットし、形成した一対の電極に交流電圧が印加できるように銅線を結合させ、渦巻状に丸めてステンレス製の反応管に充填した。反応管内部には熱電対を装着し、ポリイミドフィルム表面に形成したクロム薄膜に110Vの交流電圧を印加して発熱させ、反応管内部を200℃に調整するようにした。
触媒を充填した反応管に700ppm程度の濃度のトルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチルをそれぞれ別々にSV=3000h-1になるよう、流量を調整し、各ガスをステンレス製触媒反応管を通過させる。ステンレス製触媒反応管を通過した気体をテドラーパックに密封し、テドラーパック内のVOC濃度をガスクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー株式会社製、7890A GC)を用いて測定した。この時、触媒フィルターとVOCガスとが接触する部分の温度を200℃に保ち試験を行った。実施例1から8、比較例1と2の各測定結果を表1に示す。
なお、表1中のVOC分解率(%)は、以下の数式を用いて算出される。
VOC分解率(%)=[{(接触前のVOC濃度)−(接触後のVOC濃度)}/(接触前のVOC濃度)]×100
また、CeO2担持力としては、分解性能の試験を行った後の酸化セリウム触媒微粒子担持フィルターを、イソプロピルアルコールに浸漬し超音波を一時間照射したときの、酸化セリウム触媒微粒子の脱離の有無を目視にて観察し3段階で評価した。
上記の結果より、比較例2では酸化セリウム粒子はフィルターに担持しにくいことが確認された。また比較例1ではバインダーにより触媒性能が発揮されないことが確認された。
一方、本発明の実施例1から8で得られた酸化セリウム触媒担持体は、極めて高いVOCに対する活性を示すことが確認された。また、酸化セリウムの十分な担持力も有する。よって、本発明の有効性が証明された。
100:酸化セリウム触媒担持体
1:基体
2−a:無機微粒子
2−b:酸化セリウム触媒微粒子
3:シランモノマー
4:化学結合
5:空間部(スペース)
10:無機微粒子2−aの群

Claims (7)

  1. 基体と、
    各々シランモノマーにより表面を被覆されており、前記シランモノマーと前記基体表面との化学結合を介して前記基体の表面に固定され、前記シランモノマーの化学結合により互いに結合した酸化セリウム触媒微粒子を有することを特徴とする酸化セリウム触媒担持体。
  2. 基体と、
    各々シランモノマーにより表面を被覆されており、前記シランモノマーと前記基体表面との化学結合を介して前記基体の表面に固定され、前記シランモノマーの化学結合により互いに結合した無機微粒子と、
    前記互いに結合した無機微粒子の群内に分散した酸化セリウム触媒微粒子と、
    を有することを特徴とする酸化セリウム触媒担持体。
  3. 前記酸化セリウム触媒微粒子は、平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化セリウム触媒微粒子。
  4. 前記基体は、樹脂を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化セリウム触媒担持体。
  5. 前記基体は、無機材料を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸化セリウム触媒担持体。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の酸化セリウム触媒担持体を用いてなる繊維構造体。
  7. 請求項6に記載の繊維構造体を用いてなるフィルター。

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