JP2012015323A - Cis系膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成膜後におけるセレンの脱離を大幅に抑制し、かつ、高い生産効率でCIS系膜を成膜できるCIS系膜の製造方法を提供する。
【解決手段】長尺な基板を長手方向に搬送しつつCIS系膜の成膜を行い、その後、前記基板の搬送方向に、複数、配列された冷却手段によって、前記基板の冷却を行うことにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池に利用されるCIS系膜の製造方法に関し、詳しくは、Seの脱離や膜の損傷を抑制した高品質なCIS系膜を、高い生産性で製造することができるCIS系膜の製造方法に関する。
従来、太陽電池においては、バルクの単結晶Siまたは多結晶Si、あるいは薄膜のアモルファスSiを用いたSi系太陽電池が主流であったが、近年では、Siに依存しない化合物半導体系太陽電池の研究開発が行われている。
化合物半導体系の太陽電池としては、GaAs系等のバルク系と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなるCIS(Cu−In−Se)やCIGS(Cu−In−Ga−Se)などのCIS系とが知られている。CIS系の化合物半導体は、光吸収率が高く、高い光電変換効率が報告されている。
ここで、CIS系の化合物半導体は、高温で成膜する方が高い光電変換効率が得られることが知られている。そのため、太陽電池において、光吸収層(光電変換層)としてCIS系膜を用いる際には、500℃以上の高温で成膜を行うのが通常である。
ところが、このような高温でCIS系膜を成膜すると、基板(膜)が冷却するまでの間に、再蒸発等によって、沸点が低いSe(および/またはS)が膜から脱離してしまう。その結果、膜中のSe不足によるpn接合の形成不足や、膜の欠陥等が生じて、十分な光電変換性能を有する光吸収層が得られないという問題が有る。
このような問題を解決するために、各種の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、CIS系膜(カルコパイライト型三元化合物膜)を光吸収層として利用する薄膜太陽電池の製造において、CIS系膜を成膜した後、Se(あるいはS)を含む雰囲気中で基板の冷却を行うことにより、冷却中に膜中から脱離したSeを補給することが記載されている。
また、特許文献2には、真空蒸着によるCIS系膜の成膜において、成膜チャンバ内で基板を所定方向に搬送する搬送手段と、成膜チャンバ内を上流側の第1区間と下流側の第2区間とに分割する仕切板と、基板を裏面から加熱する、基板搬送方向で温度調整が可能なヒータとを用いることが記載されている。
このCIS系膜の成膜では、第1区間では、ヒータによって基板を400〜1000℃に加熱して、SeやCu等の多元同時蒸着によってCIS系膜を成膜し、第2区間では、Seのみを蒸発しつつ、ヒータの温度をSeの融点+150℃以下の温度として、基板を冷却することにより、冷却中にCIS系膜から脱離したSeを補給する。
特開平6−120545号公報 特開2006−307278号公報
このように、高温でのCIS系膜の成膜を行った後、基板の冷却空間内をSe蒸気雰囲気とすることにより、冷却中に脱離したSeを補給して、良好な光電変換性能を有するCIS系膜を製造することができる。
しかしながら、このような従来のCIS系膜の製造方法では、CIS膜の成膜を終了した後に、Seの脱離が生じない温度まで基板を冷却するのに時間がかかり、生産速度が遅く、生産効率が悪いという問題点がある。
また、冷却中にCIS系膜内に十分なSeを供給するためには、膜からのSeの脱離が生じない温度まで冷却するまでの間、連続的に、基板にSeを供給し続ける必要がある。そのため、Seの供給量が非常に多くなってしまい、材料コストが高くなってしまうという問題もある。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、CIS膜やCIGS膜等のCIS系膜を成膜した後の、基板(膜)の冷却の際におけるSeの脱離を大幅に抑制し、かつ、冷却ムラ等に起因するCIS系膜の損傷も防止することができ、しかも、早い生産速度で、良好な生産効率でCIS系膜を製造することができる、CIS系膜の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、CIS系膜の成膜を行い、その後、前記基板の搬送方向に、複数、配列された冷却手段によって、前記基板の冷却を行うことを特徴とするCIS系膜の製造方法を提供する。
また、前記基板をロール状に巻回してなる基板ロールから基板を送り出し、前記成膜および冷却を行った後、再度、前記基板をロール状に巻回するのが好ましい。
また、前記冷却手段は、前記基板搬送方向の上流の冷却手段が、下流の冷却手段よりも冷却温度が高いのが好ましい。
また、前記冷却手段が、前記基板の非成膜面に当接して冷却を行う、接触型の冷却手段であるのが好ましい。
この際において、前記冷却手段が、前記基板の非成膜面に当接するエンドレスベルトと、このエンドレスベルトを冷却する冷却ローラとを有すのが好ましい。
また、前記冷却手段の間の1箇所以上に、前記基板が通過する開口を有する隔壁を設けるのが好ましい。
この際において、前記隔壁の上流側と下流側とで、雰囲気が異なるのが好ましい。さらに、前記隔壁の1つにおいて、この隔壁の上流側はセレンを有する雰囲気で、下流側はセレンを有さない雰囲気であるのが好ましい。さらに、前記セレンを有する雰囲気中では前記基板を180℃以上まで冷却し、前記セレンを有さない雰囲気中では、前記基板を180℃未満まで冷却するのが好ましい。
また、前記隔壁の上流側より下流側の方が圧力が高いのが好ましい。
このような本発明の製造方法においては、CIS系膜を成膜する成膜基板として、長尺な基板を用い、基板を長手方向に搬送しつつ、CIS系膜の成膜を行い、その後、基板の搬送方向に配列された複数の冷却手段によって、基板の冷却を行う。
そのため、本発明の製造方法によれば、CIS系膜を成膜したのち、複数段の冷却によって、迅速に基板の温度をSeの脱離が生じない温度まで冷却できるので、冷却時間を大幅に短縮して、高い生産速度および生産効率でCIS系膜を製造できる。また、成膜終了後、基板を迅速にSeの脱離が生じない温度まで冷却できるので、Seの脱離量を大幅に低減できる。
さらに、搬送方向に配列した複数の冷却手段によって冷却を行うので、基板の冷却中に非冷却区間を設けた状態として、この区間で基板自身の伝熱によって基板温度の均一化を図ることができ、例えば、大型の冷却ドラム等による1段階の冷却を行った場合に比して、基板の全面を均一に冷却することができ、冷却ムラに起因する収縮差によるCIS系膜の割れやヒビ、シワ等の発生も、好適に防止できる。
そのため、本発明によれば、Seの脱離に起因ずる光電変換効率の低下等を低減し、かつ、膜の割れなどの損傷等も防止した、高品質なCIS系膜を、高い生産速度および生産効率で、安定して製造することができる。
本発明のCIS系膜の製造方法の一例を実施する成膜装置の一例の概念図である。 (A)は、本発明のCIS系膜の製造方法の一例を説明するためのグラフで、(B)は、通常のCIS系膜の製造方法の一例を説明するためのグラフである。 本発明のCIS系膜の製造方法の別の例を実施する成膜装置の一例の概念図である。 (A)〜(D)は、本発明のCIS系膜の製造方法に利用される冷却手段の別の例の概念図である。
以下、本発明のCIS系膜の製造方法について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明のCIS系膜の製造方法の一例を実施する成膜装置の一例を、概念的に示す。
この成膜装置10は、長尺な基板Z(ウエブ状の基板Z)を長手方向に搬送しつつ、CIS膜やCIGS膜等のCIS系膜を成膜し、その後、段階的に基板Zを冷却することにより、基板ZにCIS系膜を製造するものである。
図示例の成膜装置10は、長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール12から、基板Zを送り出して、長手方向に搬送しつつ成膜および冷却を行い、成膜済みの基板Zを、再度、巻取り軸14に巻き取ってロール状にする、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による成膜装置である。
図示例において、成膜装置10は、真空チャンバ16内に形成される、供給室18と、予備加熱室19と、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cの3つの成膜室を有する成膜ゾーン20と、巻取り室24とを有して構成される。
供給室18は、基板ロール12から基板Zを送り出して、予備加熱室19に搬送する室で、回転軸26と、ガイドローラ27aおよび27bと、真空排気手段28とを有して構成される。
基板ロール12は、回転軸26に装填される。基板ロール12が装填された回転軸26は、時計周りに回転することにより、基板ロール12に巻回された基板Zを長手方向(図中矢印a方向)に送り出す。
ガイドローラ27aおよび27bは、公知のガイドローラで、駆動ローラでも従動ローラでもよい。この点に関しては、後述するガイドローラも、全て同様である。
真空排気手段28は、供給室18内を所定の圧力に減圧するものである。
図示例の成膜装置10においては、真空排気手段28は、供給室18の圧力が、所定の圧力となるように、供給室18を排気する。
真空排気手段28には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ、ドライポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。
この点に関しては、後述する真空排気手段31、42および60も同様である。
基板ロール12から送り出された基板Zは、矢印a方向(長手方向)に搬送され、ガイドロール27aおよび27bに案内されて、供給室18と予備加熱室19とを隔離する隔壁25に形成された搬入口25aから、予備加熱室19に搬送される。
本発明において、CIS系膜を成膜する基板Zには、特に限定はなく、CIS膜を成膜可能な各種の長尺なシート状物が、全て、利用可能である。
一例として、太陽電池の製造工程において、光吸収層(光電変換層)を形成される、可撓性を有する長尺なシート状物が例示される。具体的には、可撓性を有し、表面が絶縁性の長尺なシート状物に、Mo、Cr、Wなどからなる下部電極(下部電極層)を形成してなる基板Zが例示される。この基板Zは、下部電極と絶縁層との間に、Na2OやNa2Sなどのアルカリ金属を含む化合物を含有するアルカリ供給層を有してもよい。
好ましくは、金属製の基材の表面に、絶縁層を形成し、その上に下部電極(あるいはさらに、絶縁層と下部電極との間にアルカリ供給層)を形成してなる基板Zが例示される。中でも、特に、可撓性を有する金属製基材の表面に加圧接合や溶融メッキ等によってアルミニウム層を形成し、このアルミニウム層の表面(金属基材と逆側)を陽極酸化してなる絶縁層を有する積層体の上(絶縁層の表面)に、下部電極(同前)を形成してなる基板Zは、好適に例示される。
この基板Zにおいて、金属製の基材としては、オーステナイト系ステンレス鋼、炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、42インバー合金やコバール合金、36インバー合金、Ti等が、好適に例示される。中でも特に、ステンレス鋼は好適に例示される。
後に詳述するが、本発明の製造方法では、基板Zを、例えば550℃に加熱しつつCIS系膜を成膜し、その後、基板Zを急速に冷却する。
ここで、金属製基材を有する基板Z、特に、金属製基材の表面にアルミニウム層および陽極酸化絶縁層を有する基板Zは、基板Zの熱膨張を金属製基材が支配する。上記の各金属、中でも特にステンレス鋼は、いずれもCISやCIGS等のCIS系膜(CIS系化合物)と、近似する熱膨張係数を有する。
そのため、このような基板Zを用いることにより、加熱や冷却による熱膨張に起因する割れや層剥離等の基板Zの損傷、成膜したCIS系膜の割れやヒビ等の損傷を好適に防止して、適正な製品を安定して製造することが可能になる。
また、後述するが、本発明の製造方法では、CIS系膜の成膜後、多段の冷却手段によって冷却を行うことにより、非冷却区間において、基板自身の熱伝導によって、基板Zの温度均一化を図れる。そのため、金属基材を用いる基板Z、特に、ステンレスとアルミニウムと絶縁層との積層体を用いる基板Zのように、熱伝導性の高い基板は、好適である。
前述のように、基板ロール12から送り出された基板Zは、供給室18から予備加熱室19に搬送される。
予備加熱室19は、CIS系膜を成膜される基板Zの予備加熱を行う室で、予備加熱手段29と、ガイドローラ30と、真空排気手段31とを有して構成される。
後に詳述するが、本発明の製造方法では、基板Zを所定の温度に加熱しつつ、CIS系膜を成膜する。予備加熱手段(プレヒータ)29は、成膜に先立って、CIS系膜の成膜に供される基板Zを、基板Zを裏面(非成膜面)から加熱することにより、基板Zの予備加熱を行うものである。
予備加熱手段29には、特に限定はなく、後述する加熱手段38と同様、所定の時間で目的とする温度まで基板Zを加熱可能なものであれば、公知のシート状物の加熱手段が、各種、利用可能である。
また、予備加熱手段29による基板Zの加熱温度にも特に限定はなく、成膜時(後述する第1成膜室20a)における基板温度等に応じて、成膜ゾーン20において適正な基板温度での成膜を可能にする温度を、適宜、設定すればよい。
真空排気手段31は、予備加熱室19を所定の圧力に減圧するものである。
図示例の成膜装置10においては、真空排気手段31は、成膜ゾーン20(第1成膜室20a)の圧力よりも、若干、高い圧力となるように、予備加熱室19を排気する。これにより、予備加熱室19の圧力が、成膜ゾーン20における成膜に悪影響を与えることを防止し、かつ、成膜ゾーン20内の蒸気が予備加熱室19(あるいはさらに供給室18)に混入して、予備加熱室19内を汚染することを防止できる。
予備加熱室19で予備加熱された基板Zは、予備加熱室19と成膜ゾーン20(第1成膜室20a)とを隔離する隔壁32に形成された搬入口32aから、成膜ゾーン20に搬送される。
成膜ゾーン20は、予備加熱された基板Zの表面(例えば、前述の例であれば下部電極の表面)に、CIS系膜を成膜するものであり、基板Zの搬送方向に配列して、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cの3つの成膜室を有している。
第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cは、基本的に、同じ構成を有するものであり、成膜手段36と、加熱手段38と、ガイドローラ40と、真空排気手段42とを有する。なお、最下流の第3成膜室20cのみ、加熱手段38の下流に、ガイドローラ41を有している。
ここで、各成膜室の最上流に配置されているガイドローラ40は、基板Zを所定の搬送経路に案内するのみならず、基板Zを加熱する加熱ローラとなっている。また、各成膜室同士は、基板Zの搬入口39aを有する隔壁39によって隔離される。
第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cは、共に、基板Zの表面に、CIS系膜を成膜する室である。あるいは、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cは、段階的なCIS系膜の成膜における、各段階の成膜を行う室である。
従って、第1成膜室20a、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cにおいて成膜する膜は、成膜ゾーン20で実施するCIS系膜の成膜方法(本発明の製造方法で採用するCIS系膜の成膜方法)に応じて、同じものでも異なるものでもよい。
本発明の製造方法で製造するCIS系膜とは、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる化合物半導体の膜である。
中でも特に、光吸収率が高く、高い光電変換効率が得られることから、光電変換層34は、CuおよびAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、Al、GaおよびInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、S、SeおよびTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる、化合物半導体であることが好ましい。
具体的には、CuAlS2、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2、CuGaSe2、CuInSe2(CIS)、AgAlS2、AgGaS2、AgInS2、AgAlSe2、AgGaSe2、AgInSe2、AgAlTe2、AgGaTe2、AgInTe2、Cu(In1-xGax)Se2(CIGS)、Cu(In1-xAlx)Se2、Cu(In1-xGax)(S、Se)2、Ag(In1-xGax)Se2、およびAg(In1-xGax)(S、Se)2等が挙げられる。
特に、CuInSe2(CIS)、および/または、これにGaを固溶したCu(In、Ga)Se2(CIGS)を含む膜が好ましい。CISおよびCIGSはカルコパイライト結晶構造を有する半導体であり、光吸収率が高く、高い光電変換効率が得られ、しかも、光照射等による効率の劣化が少なく、耐久性に優れている。
成膜手段36による、CIS系膜の成膜方法にも、特に、限定はなく、公知の成膜方法が、各種、利用可能である。
一例として、多源同時蒸着法、セレン化法、スパッタ法、ハイブリッドスパッタ法、および、メカノケミカルプロセス法等が例示される。
多元同時蒸着法は、複数種の成膜材料を、同じ成膜空間に配置された異なる蒸着源(蒸発源)に充填して、異なる成膜材料を充填する複数の蒸着源から、真空蒸着によって同時に成膜を行う方法である。
例えば、CIGS膜であれば、前述の特許文献2に示されるように、成膜空間に、Cuの蒸着源、Inの蒸着源、Gaの蒸着源、および、Seの蒸着源を配列して、基板Zに対し、4つの蒸着源から、同時に真空蒸着を行うことにより、CIGS膜を成膜する。
また、多源同時蒸着法としては、3段階法(J.R.Tuttle et.al,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.426(1996)p.143.等)、バイレイヤー法、ECグループの同時蒸着法(L.Stolt et al.:Proc.13th ECPVSEC(1995,Nice)1451.等)も知られている。3段階法は、高真空中で最初にIn、Ga、及びSeを例えば基板温度300℃程度で同時蒸着し、次に500〜560℃に昇温してCu及びSeを同時蒸着後、In、Ga、及びSeをさらに同時蒸着する方法である。バイレイヤー法は、第1段階で、Cu、In、Ga、およびSeを同時蒸着し、第2段階でCuを除いたIn、Ga、およびSeを同時蒸着する方法である。さらに、ECグループの同時蒸着法は、蒸着初期にCu過剰CIGS、後半でIn過剰CIGSを蒸着する方法である。
セレン化法は2段階法とも呼ばれ、最初にCu層/In層または(Cu−Ga)層/In層等の積層膜の金属プリカーサをスパッタ法、蒸着法、または電着法などで成膜し、これをセレン蒸気またはセレン化水素中で450〜550℃程度に加熱することにより、熱拡散反応によってCu(In1-xGax)Se2等のセレン化合物を生成する方法である。
このほか、金属プリカーサ膜の上に固相セレンを堆積し、この固相セレンをセレン源とした固相拡散反応によりセレン化させる固相セレン化法も知られている。
スパッタ法としては、CuInSe2多結晶をターゲットとした方法、Cu2SeとIn2Se3をターゲットとし、スパッタガスにH2Se/Ar混合ガスを用いる2源スパッタ法(J.H.Ermer,et.al, Proc.18th IEEE Photovoltaic SpecialistsConf.(1985)1655-1658.等)、および、Cuターゲットと、Inターゲットと、SeまたはCuSeターゲットとをArガス中でスパッタする3源スパッタ法(T.Nakada,et.al, Jpn.J.Appl.Phys.32(1993)L1169-L1172.等)が知られている。
ハイブリッドスパッタ法としては、前述のスパッタ法において、CuとIn金属は直流スパッタで、Seのみは蒸着とするハイブリッドスパッタ法(T.Nakada,et.al., Jpn.Appl.Phys.34(1995)4715-4721.等)が知られている。
メカノケミカルプロセス法は、CIGSの組成に応じた原料を遊星ボールミルの容器に入れ、機械的なエネルギーによって原料を混合してCIGS粉末を得、その後、スクリーン印刷によって基板上に塗布し、アニールを施して、CIGSの膜を得る方法である(T.Wada et.al, Phys.stat.sol.(a), Vol.203(2006)p2593等)。
本発明において、CIS系膜の成膜法としては、これ以外にも、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD法、スプレー法などが利用可能である。
例えば、スクリーン印刷法またはスプレー法等で、Ib族元素、IIIb族元素、及びVIb族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理を行うことにより、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9−74065号、同9−74213号等の各公報)。
本発明において、CIS系膜の成膜方法としては、高い変換効率が得られる、ロール・ツー・ロールへの適正に優れる等の理由により、多元同時蒸着法、中でも特に、3段階法が好適に利用される。
成膜手段36は、実施するCIS系膜の成膜方法に応じた、公知の各種の部材を有して構成される。
例えば、真空蒸着を行う場合には、成膜材料を充填して加熱/蒸発する蒸着源や加熱手段、蒸着源を閉塞するシャッタ等を有して構成され、スパッタリングを行う場合には、ターゲットを保持するカソードやスパッタガスの導入手段等を有して構成される。
図示例の成膜手段36は、一例として、多元同時蒸着によってCIGS膜(層)の成膜を行うものである。これに対応して、成膜室内には、基板Zの搬送方向に、Seを充填して加熱蒸発するSe蒸着源36S、Cuを充填して加熱蒸発するCu蒸着源36C、Gaを充填して加熱蒸発するGa蒸着源36G、および、Inを充填して加熱蒸発するIn蒸着源36Iが配列される。なお、基板Zの搬送方向に対する蒸着源の配列は、この例に限定はされず、各種の順番が利用可能である。
また、各蒸着源(成膜材料)の加熱方法には、特に限定はなく、抵抗加熱、電子線加熱、誘導加熱等、真空蒸着で利用されている公知の各種の方法が利用可能である。さらに、図示は省略するが、成膜室には、蒸着源を閉塞するシャッタ等、公知の真空蒸着装置が有する各種の部材が、必要に応じて配置されている。
なお、成膜装置10において、成膜室に配置される成膜手段36は、1つに限定はされず、1つの成膜室に複数の成膜手段36を配列して設けてもよい。あるいは、成膜ゾーン20において、成膜室は、1室もしくは2室でもよく、また、4室以上でもよい。さらに、3室有する内の2室もしくは1室のみを用いてCIS系膜の成膜を行ってもよい。
すなわち、本発明の製造方法は、1段の成膜によってCIS系膜を成膜してもよく、前述の多元同時蒸着のバイレイヤー法のように、3段階以外の多段の成膜によって、CIS系膜を成膜してもよい。また、CIS系膜の膜厚を厚くするために、CIS系膜の成膜を、複数回、繰り返して行ってもよい。
加熱手段38は、CIS系膜を成膜される基板Zを裏面(非成膜面)から加熱して、成膜中における基板Zの温度(すなわち成膜温度)を、所定の温度とするものである。
加熱手段38としては、所定の時間で目的とする温度まで基板Zを加熱可能なものであれば、公知のシート状物の加熱手段が、各種、利用可能である。
なお、本発明の製造方法においては、CIS系膜の変換効率等の点で、成膜中における基板Zの温度は、500〜600℃が好ましく、特に、530〜560℃が好ましい。
なお、本発明の製造方法においては、複数の成膜室でCIS系膜を成膜する場合には、全ての成膜室において、同じ温度に基板Zを加熱するのに限定はされない。
例えば、成膜ゾーン20が、多元蒸着法の3段階法によってCIGSの成膜を行う場合には、前述のように、第1成膜室20aにおいて、基板Zを300℃程度に加熱してIn、Ga、およびSeを同時蒸着した後、第2成膜室20bおよび第3成膜室20cにおいて、基板を500℃以上に加熱して成膜を行う。
さらに、真空排気手段41は、成膜室内を、多元同時蒸着によるCIS系膜の成膜に対応する圧力(真空度)に排気する真空排気手段である。
供給室18から成膜ゾーン20(第1成膜室20a)に搬送された基板Zは、第1成膜室20a,第2成膜室20b、第3成膜室20cと、順次、搬送されて、各成膜室において、加熱手段38によって加熱されつつ、成膜手段36による成膜を行われて、CIS系膜(図示例においては、CIGS膜)を成膜されて、ガイドローラ41によって案内されて、成膜ゾーン20(第3成膜室20c)と巻取り室24とを分離する隔壁46に形成された搬入口46aから、巻取り室24に搬送される。
巻取り室24は、前述のように例えば550℃程度で成膜を行われた基板Z(およびCIS系膜)を冷却して、冷却済みの基板Zを巻取り軸14に巻き取って、再度、ロール状にするものである。
図示例において、巻取り室24は、前述の巻取り軸14と、第1冷却手段50と、第2冷却手段52と、第3冷却手段54と、ガイドローラ56aおよび56bと、真空排気手段60とを有する。
図1に示すように、第1冷却手段50、第2冷却手段52、および第3冷却手段54は、この順番で、所定の間隔を有して、基板Zの搬送経路に配置される。
第1冷却手段50は、冷却ローラ50Hと、ローラ50aと、両ローラに張架されるエンドレスベルト50bとを有して構成される。
第2冷却手段52も、同様に、冷却ローラ52Mと、ローラ52aと、両ローラに張架されるエンドレスベルト52bとを有して構成される。
さらに、第3冷却手段54も、同様に、冷却ローラ54Lと、ローラ54aと、両ローラに張架されるエンドレスベルト54bとを有して構成される。
冷却ローラ50H、52M、および54Lは、共に、内部に冷却手段を内蔵する、公知の冷却ローラである。したがって、冷却ローラ50Hとローラ50aとに張架されるエンドレスベルト50b、冷却ローラ52Mとローラ52aとに張架されるエンドレスベルト52b、および、冷却ローラ54Lとローラ54aとに張架されるエンドレスベルト54bは、共に、張架される冷却ローラによって、冷却される。
なお、各冷却ローラは、いずれも温度調整が可能であるのが好ましい。
また、エンドレスベルト50b、エンドレスベルト52b、およびエンドレスベルト54bは、共に、熱伝導性の高い金属材料で形成されている。
さらに、第1冷却手段50、第2冷却手段52、および第3冷却手段54は、共に、基板Zの搬送の搬送経路において、エンドレスベルト50b、エンドレスベルト52b、およびエンドレスベルト54bが、基板Zの裏面(CIS系膜の非成膜面)に当接するように配置される。
したがって、CIS系膜を成膜された基板Zは、巻取り室24の最上流に配置される接触式の第1冷却手段50、第2冷却手段52、および第3冷却手段54によって、3段階で、裏面から冷却される。
本発明は、CIS系膜の成膜後、このように基板の搬送方向に、複数、配列される冷却手段によって、基板Zを冷却することにより、基板Zの冷却時間を大幅に短縮してCIS系膜の生産速度を向上し、かつ、成膜後のSeの脱離を大幅に低減し、しかも、急速な冷却によって生じるCIS系膜の割れやヒビ、シワ等の発生を抑制して、良好な生産効率で、光電変換効率の高い高品質なCIS系膜を製造することを可能にしたものである。
前述のように、CIS膜やCIGS膜などのCIS系膜は、高温で成膜を行う程、高い光電変換効率を得ることができ、一般的に、500℃以上の高温で成膜が行われる。
ところが、従来のCIS系膜の製造方法では、前述の特許文献1や特許文献2に示されるように、成膜後の冷却を放冷で行っているため、冷却に非常に長い時間がかかり、生産速度が非常に遅い。
しかも、冷却中に、膜中のSeが再蒸発等によって脱離してしまい、その結果、膜中に欠陥が生じ、また、Seの不足により十分なpn接合が形成ができず、目的とする光電変換効率を得ることができないという問題もある。特許文献1や特許文献2に示されるように、Seの脱離が生じない温度までの冷却を、Se蒸気雰囲気で行うことにより、Se脱離の問題は解決できるが、Seの脱離が生じない温度までの冷却中、長時間に渡ってSeを蒸発させ続ける必要があるため、材料費が高くなってしまう。
ここで、このような問題は、CIS系膜を成膜した後、基板ZをSeの脱離が生じない温度まで急冷することで、解決できる。
図示例のようなロール・ツー・ロールによる製造であれば、例えば、大型の冷却ドラムを用い、成膜済みの基板の裏面を冷却ドラムに巻き掛けて搬送することにより、効率よく、かつ、迅速に基板Zを冷却することができる。
しかしながら、この冷却方法では、基板Zやドラム表面の平面性に問題が有る場合や、基板Zに掛かるテンションのバラツキ等が生じた場合には、ドラムと基板Zとの密着状態が部分的に不均一になり、基板Zの浮き等、ドラムへの基板Zの密着が不十分な部分が生じてしまう。このような状態で基板Zの冷却を行うと、ドラムへの密着が悪い部分は、密着が良好な部分に比して、十分に冷却が進行せず、基板Z内に温度ムラが生じてしまう。基板Zは、冷却されることで収縮するが、冷却ば良好な部分と冷却が不十分な部分とでは、基板Zの収縮量が異なる。
その結果、成膜したCIS系膜に、面方向の引張応力や圧縮応力が部分的に掛かって、膜に割れやヒビ等を生じてしまう。また、基板Z自身にも、この応力によってシワが寄ったりする(クニックが発生する)。しかも、部分的な収縮量の違いによって、基板Zの浮きの状態も悪化するので、悪循環的に、この割れやシワ等の問題は大きくなる。特に、基板Zの幅(搬送(長手)方向と直交方向)が広い場合には、この問題は顕在化する。
また、図示例のようなロール・ツー・ロールの成膜装置では、成膜および冷却後、再度、基板Zを巻き取ってロール状に巻回するが、この巻取り時に、基板Zの温度が高いと、巻き取られた基板Zが冷却されるにしたがって収縮し、いわゆる巻き締まりが進行する。この巻き締まりによって、基板の表面(すなわちCIS系膜の表面)と裏面との間で摺接が生じ、CIS膜の表面が損傷してしまう。特に、基板Zの長さが長い場合には、この問題は顕在化する。
ドラムを大型化して冷却時間を長くし、また、ドラムの温度を低くして冷却速度を向上すれば、十分な温度まで基板Zを冷却して、この巻き締まりの問題は解決できる。しかしながら、ドラムを大型化すれば、密着ムラも多くなり、また、冷却速度を向上すると、前述の密着ムラに起因する冷却ムラの問題が大きくなってしまう。
これに対し、本発明は、長尺な基板Zを長手方向に搬送しつつ成膜を行う、いわゆる、ロール・ツー・ロールによってCIS系膜を成膜することにより、複数の冷却手段を搬送方向に配列して、CIS系膜を成膜した基板Zを搬送しつつ、複数段での冷却を行う。
したがって、本発明によれば、複数段の冷却手段によって、CIS系膜の成膜後、短時間で十分な低温まで冷却することができるので、基板冷却時間を大幅に短縮して、生産速度を向上できる。特に、冷却手段として、図示例のような接触式の冷却手段を利用することにより、高速で、効率の良い冷却を行うことができる。
しかも、ロール・ツー・ロールによって高効率なCIS膜の成膜が可能であるので、冷却時間の短縮化と相俟って、極めて高い生産効率でCIS系膜を製造することが可能となる。また、短時間で基板ZをSeが脱離しない温度まで冷却できるので、Seの脱離に起因するCIS系膜の光電変換特性の低減を防止できる。
また、搬送方向に配列した複数の冷却手段での複数段での冷却では、冷却ゾーン(冷却領域)を分割して、各冷却ゾーンの間に非冷却区間を設ける結果となる。そのため、この非冷却区間において、基板Z自身が有する熱伝導によって温度ムラを低減し、温度の均一化を図ることができるので、前述の冷却ムラに起因するCIS系膜の割れやヒビ、基板Zのシワ等の発生も、大幅に抑制できる。
さらに、複数段での冷却を行うことで、各冷却ゾーンにおける基板との接触長を短くでき、かつ、基板Zが高温の状態での冷却手段の温度も、1段の場合に比して高く出来るので、前記密着ムラによる冷却ムラによって生じる問題も、より抑制することができる。
そのため、本発明によれば、Seの脱離に起因ずる光電変換効率の低下等を低減し、かつ、膜の損傷等も防止した、高品質なCIS系膜を、高い生産速度および生産効率で、安定して製造することができる。
ここで、本発明の製造方法では、全ての冷却手段の温度を均一にしてもよいが、図示例の成膜装置10おいては、好ましい態様として、第1冷却手段50の冷却ローラ50Hの温度が最も高く、第2冷却手段52の冷却ローラ52Mの温度が次いで高く、第3冷却手段54の冷却ローラ54Lの温度が最も低い。
すなわち、基板Zの冷却温度が、基板搬送方向の下流に向かって、段階的に降下する。
従って、第1冷却手段50のエンドレスベルト50bに接触した位置での基板Zの温度をTIN、基板Zが第3冷却手段54から離間した位置での基板Zの温度をTOUT、基板Zが接触した位置でのエンドレスベルト50bの温度をTH、同エンドレスベルト52bの温度をTM、同エンドレスベルト54bの温度をTLとすると、基板Zの温度(実線ZaおよびZb)と、エンドレスベルト50b、エンドレスベルト52b、およびエンドレスベルト54bの温度(いずれも破線)は、一例として、図2(A)に概念的に示すように変化する。
ここで、図2(A)において、Zaは、エンドレズベルトに基板Zが適正に密着されている部分の温度変化を示し、Zbは、エンドレスベルトへの基板Zの密着が不適正な部分の温度変化を示す。
図2(A)に示されるように、基板Zが冷却手段によって冷却されている状態(搬送方向に破線が記される領域)では、エンドレスベルトとの密着が適正な部分が不適正な部分よりも強く冷却され、基板Z内に温度ムラが生じる。しかしながら、非冷却区間(搬送方向に破線が記されない領域)において、適正に密着していた部分は、周囲の密着が不適正な部分の熱によって、若干、温度が上昇し、逆に、密着が不適性であった部分は、周囲の密着が適正であった部分によって冷却される。その結果、非冷却区間において、密着が適正な部分と不適正な部分との温度ムラを、解消することができる。
これに対し、冷却ドラムを用いた場合には、図2(B)に概念的に示すように、冷却ドラムによる基板Zの冷却(搬送方向の一点鎖線の位置まで)によって、Zaで示す冷却ドラムとの密着が適正な部分と、Zbで示す冷却ドラムとの密着が不適正な部分との間に、大きな温度差が生じ、すなわち、基板Z内に大きな温度ムラが生じてしまう。また、この基板Z内の温度ムラが解消されるまでにも、時間がかかる。その結果、前述のような温度ムラに起因する基板Zの収縮量の違いによって、CIS系膜の割れやヒビ、基板Zのシワ等が生じてしまう。
また、このように、段階的に冷却温度を下げて行く構成を有することにより、基板Zと冷却手段(エンドレスベルト)との温度差を少なくして、前述の冷却ムラに起因するCIS系膜の割れ等を、より好適に抑制できると共に、冷却終了時の基板Zの温度も、無理なく十分に低い温度にできる。
本発明の製造方法において、冷却終了時における基板Zの温度には、特に限定はなく、少なくとも、CIS系膜からのSeの脱離が生じない温度(250℃程度)となっていればよいが、基板Zを、再度、巻回した際の巻き締まり等を考慮すると、好ましくは、20〜150℃、特に、20〜100℃であるの好ましい。
従って、第1冷却手段50の冷却ローラ50H、第2冷却手段52の冷却ローラ52M、および第3冷却手段54の冷却ローラ54Lの温度は、CIS系膜を成膜された基板Zの温度(TIN)や、各冷却手段における冷却時間(すなわち基板搬送速度)等に応じて、冷却終了時における基板Zの温度(TOUT)が上記温度となるように、適宜、決定するのが好ましい。また、冷却中の基板Zの温度を測定して、冷却終了時における基板Zの温度が上記温度となるように、各冷却ローラの温度を制御するのも好ましい。
なお、本発明において、CIS系膜の成膜終了から、成膜後の基板Zの急冷開始までの時間には、特に限定はないが、装置構成等に応じて、出来るだけ短時間とするのが好ましく、特に30秒以下とするのが好ましい。
これにより、より好適な生産効率を確保し、かつ、Seの脱離も低減できる。
なお、成膜終了とは、基板Zが、成膜蒸気が存在しない位置に至った時点である。従って、図示例の成膜装置10においては、基板Zが、隔壁46を抜けて巻取り室24に搬入された時点が、成膜終了時となる。
前述のように、基板Zは、冷却されることによって、収縮する。また、この収縮によって、基板Zの搬送速度は、基板搬送方向によって変動する。
従って、この速度変動に応じて、第1冷却手段50、第2冷却手段52、および第3冷却手段54は、搬送速度(エンドレスベルトの回転速度)が異なるものであってもよい。また、各冷却部において、基板Zの搬送速度を検出して、検出結果に応じて、冷却部毎に搬送速度を調節するようにしてもよい。
さらに、図示例のように、エンドレスベルトを基板Zに当接して冷却を行う冷却手段の場合には、例えば、エンドレスベルトをメッシュ状にする等の方法によって、ヤング率が非常に低いエンドレスベルトを用い、基板Zの収縮と共に、エンドレスベルトも収縮するようにしてもよい。
図示例の巻取り室24では、好ましい態様として、第1冷却手段50、第2冷却手段52、および第3冷却手段54との接触によって、共に、基板Zの搬送経路を上方に向けて屈曲させるように、基板Zの搬送経路が設定される。
本発明の製造方法において、接触式の冷却手段を用いる場合には、成膜後に基板Zを冷却する冷却手段(好ましくは全ての冷却手段)との接触によって、搬送経路を上方に屈曲(屈折)させるように、基板Zの搬送経路を設定することにより、冷却手段と基板Zとを確実に当接/密着して、高い冷却効率で確実に基板Zの冷却を行うことが可能となる。
なお、本発明の製造方法においては、図示例のような接触式の冷却手段を用いて基板Zを冷却する場合には、図示例のように、基板Zの裏面に接触して、基板Zの冷却を行うのが好ましい。
これにより、温度差の大きな部材が、高温のCIS系膜に、直接、接触することに起因する、CIS系膜の損傷や特性劣化を抑制して、より安定して、光電変換効率の高いCIS系膜を製造することを可能になる。
第1冷却手段50〜第3冷却手段54によって冷却された基板Zは、ガイドローラ56aおよび56bによって所定の搬送経路を案内されて、巻取り軸14によって、巻き取られ、再度、ロール状の巻回物とされる。
また、真空排気手段60は、巻取り室24の圧力が、成膜ゾーン20(第3成膜室20c)の圧力よりも、若干、高い圧力となるように、巻取り室24を排気する。これにより、巻取り室24の圧力が成膜ゾーン20での成膜に悪影響を与えることを防止し、かつ、成膜ゾーン20内の蒸気が巻取り室24に混入して、室内や成膜済みの基板Zを汚染することを防止できる。
図示例の成膜装置10では、第1冷却手段50〜第3冷却手段54に加え、ガイドローラ56aおよび/または56bも、冷却ローラとして、本発明における冷却手段としてもよい。
また、CIS系膜に当接して、基板Zを案内するガイドローラを有する場合には、CIS系膜の損傷等を防止するために、このようなCIS系膜に当接するガイドローラは、両端部の径が中央領域の径よりも大径である、いわゆる段付きローラなど、基板Zに非接触(少なくとも中央の製品領域には非接触)なローラとするのが好ましい。
前述のように、図示例の成膜装置10においては、CIS系膜を成膜した後、基板Zをロール状に巻き取る。この巻取りに起因して、基板Zの表面(CIS系膜の表面)が損傷する場合が有る。そのため、本発明の製造方法においては、基板Zの冷却後で、かつ、巻取り前において、基板Zに保護シートを積層して、この積層体を巻き取ることにより、基板表面の保護を図るのが好ましい。
保護シートには、特に限定はなく、基板Zの全面を覆うラミネートフィルム(合紙)や、基板Zの端部(好ましくは製品領域以外)に積層されて、巻き取られる基板Zの間に間隙を形成する、いわゆる耳端テープ等が例示される。また、これらの保護シートは、少なくとも基板Zの表面との接触面が、粘着性を有するのも好ましい。
さらに、基板Zと保護シートとの積層は、冷却手段による冷却終了から、基板Zの巻取りまでの間で、基板Zの表面に最初に接触する部材よりも上流で行うのが好ましい。
以下、成膜装置10の作用を説明する。
基板ロール12が回転軸26に装着されると、基板Zが基板ロール12から引き出され、供給室18のガイドローラ27aおよび27b、予備加熱室19のガイドローラ30、成膜ゾーン20の各成膜室のガイドローラ40および最後のガイドローラ41、巻取り室24の第1冷却手段50、第2冷却手段52、第3冷却手段54、ならびに、ガイドローラ56aおよび56bを経て、巻取り軸14に至る、所定の搬送経路で挿通される。
また、成膜ゾーン20において、各成膜室の成膜手段36の各蒸着源に、成膜材料が充填される。
基板Zが所定の搬送経路で挿通され、成膜材料の充填が終了したら、真空チャンバ16を閉塞して、真空排気手段28、31、42、および60を駆動する。また、成膜ゾーン20の各成膜室においては、各蒸着源における成膜材料の加熱を開始し、さらに、予備加熱手段29、加熱手段38、およびガイドローラ40による基板Zの加熱を開始する。また、巻取り室24では、各冷却ローラ50H、52Mおよび54Lの冷却を開始する。
各室の圧力が安定し、かつ、蒸発源および加熱手段38の温度が安定し、さらに、各冷却ローラの温度が安定したら、基板Zの搬送を開始し、基板Zの搬送速度が安定した時点で、成膜ゾーン20の各成膜室において、蒸着源のシャッタを開放して、基板ZへのCIGS膜の成膜を開始する。
基板ロール12から送り出された基板Zは、供給室18から予備加熱室19に搬送され、長手方向(矢印a方向)に搬送されつつ、予備加熱手段29によって予備加熱され、次いで、成膜ゾーン20に搬送され、各成膜室において、加熱手段38に加熱されつつ、成膜手段36によってCIGS膜を成膜され、巻取り室24に搬送される。
図示例においては、一例として、前述の3段階法の多元同時蒸着によってCIGS膜を成膜する。
すなわち、まず、第1成膜室20aにおいて、加熱手段38によって基板Zを300℃程度に加熱して、Se蒸着源36S、Ga蒸着源36G、およびIn蒸着源36Iのみを用いて、In、Ga、およびSeを同時蒸着する。次いで、第2成膜室20bにおいて、加熱手段38によって基板Zを500℃以上に加熱して、Se蒸着源36SおよびCu蒸着源36Cのみを用いてCuおよびSeを同時蒸着する。さらに、第3成膜室20cにおいて、加熱手段38によって基板Zを500℃以上に加熱して、Se蒸着源36S、Ga蒸着源36G、およびIn蒸着源36Iのみを用いて、In、Ga、およびSeを同時蒸着して、CIGS膜を成膜し、巻取り室24に搬送する。
従って、成膜装置10においては、成膜ゾーン20が、3段階法の多元同時蒸着によるCIGS膜を成膜のみを行う装置である場合には、第1蒸着室20aおよび第3蒸着室20cは、Cu蒸着源36Cを有さなくてもよく、第2蒸着室20bは、Ga蒸着源36GおよびIn蒸着源36Iを有さなくてもよい。
なお、本発明の製造方法において、成膜するCIGS膜(CIS系膜)の膜厚には、特に限定はなく、製造する製品、例えば太陽電池等の構成や要求性能等に応じて、適宜、設定すればよい。
巻取り室24に搬送された基板Zは、長手方向に搬送されつつ、第1冷却手段50、第2冷却手段52、および第3冷却手段54によって冷却され、さらに、ガイドローラ56aおよび56bによって、所定の搬送経路で搬送され、巻取り軸14によって巻き取られる。
前述のように、このような本発明の製造方法によれば、基板Zの冷却時間を大幅に短縮して、かつ、ロール・ツー・ロールによって、極めて高い生産効率でCIS系膜を製造することが可能である。しかも、短時間で基板ZをSeが脱離しない温度まで冷却するので、冷却時のSe供給を行わなくても、Seの脱離に起因するCIS系膜の光電変換特性の低減を大幅に抑制した、高品質なCIS系膜を製造できる。
また、搬送方向に分割した冷却手段によって多段の冷却を行うため、成膜したCIS系膜の割れやヒビ、基板Zのシワ等も好適に防止できる。
図1に示す成膜装置10は、CIS系膜を成膜した後の基板Zの冷却を、1つの室内で行ったが、本発明は、これに限定はされず、搬送方向に、複数、配列される冷却手段の間に、室(空間)を分離する隔壁を設け、冷却中に、基板Zに対して、各種の処理を行うようにしてもよい。
図3に、その一例を示す。なお、図3に示す成膜装置70は、図1に示す成膜装置10と同じ部材を多用しているので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を中心に行う。
図3に示す成膜装置70は、第2冷却手段52と第3冷却手段54との間に、基板Zが通過するための搬入口72aを有する隔壁72を設けて、成膜ゾーン20と巻取り室24との間に、Se供給室74を設けた構成を有する。すなわち、図示例においては、冷却ゾーン(冷却室)が、隔壁72の上流側の第1冷却手段50および第2冷却手段52と、隔壁72の下流側の第3冷却手段54とに分割される。
なお、隔壁72の位置は、図示例の位置に限定はされず、第1冷却手段50と第2冷却手段52との間に隔壁72を設けてもよい。
従って、成膜装置70においては、成膜ゾーン室20に搬送された基板Zは、加熱手段38によって加熱されつつ、成膜手段36によってCIS系膜(図示例においてはCIGS膜)を成膜されて、ガイドローラ41によって案内されて、隔壁46の搬入口46aから、Se供給室74に搬送されて、隔壁72の搬入口72aから、巻取り室24に搬送される。
Se供給室74は、基板ZにSe(セレン)を供給しつつ(Se雰囲気において)、CIS系膜を成膜された基板Zを冷却する室(空間)であり、前述の第1冷却手段50および第2冷却手段52に加え、第2Se蒸着源76および真空排気手段78を有する。
真空排気手段78は、Se供給室74内を所定の圧力に減圧するものである。
ここで、真空排気手段48は、Se供給室74内の圧力を、上流の成膜ゾーン20(第3成膜室20c)における成膜圧力よりも、若干、高い圧力で、かつ、下流の巻取り室24よりも、若干、低い圧力とする。すなわち、冷却ゾーンを分離する隔壁72の下流側の室を、上流側の室よりも高圧とする。
これにより、Se供給室74の圧力が成膜ゾーン20での成膜に悪影響を与えることを防止し、かつ、成膜ゾーン20の蒸気がSe供給室74に混入して、基板Zや室内を汚染されるのを防止できる。また、後述するように、Se供給室74内は、基板ZにSeを供給するためにSe雰囲気とされるが、Se供給室74の圧力を巻取り室24よりも低くすることにより、Se蒸気(Se含有ガス)が巻取り室24に混入することを防止し、基板Zや巻取り室24内がSeで汚染されるのを防止できる。
第2Se蒸着源76は、真空排気手段78による減圧下で、充填したSeを加熱蒸発さすることにより、Se供給室74内をSe(蒸気)雰囲気として、第1冷却手段50および第2冷却手段52によって冷却される基板Z(CIS系膜)に、Seを供給するものである。
第2Se蒸発源46におけるSeの加熱蒸発方法は、真空蒸着で利用される各種の蒸着源と同様でよく、抵抗加熱、電子線加熱、誘導加熱等の公知の手段が、全て、利用可能である。
先の成膜装置10と同様に、成膜ゾーン20でCIS系膜を成膜された基板Zは、長手方向に搬送されつつ、第1冷却手段50および第2冷却手段52によって冷却される。ここで、成膜装置70においては、第2Se蒸発源46が、Seを加熱/蒸発することにより、Se供給室74内をSe雰囲気とし、CIS系膜にSeを供給する。
成膜装置70においては、冷却中にCIS系膜にSeを供給することにより、成膜後に脱離したSeを補給して、良好な生産効率で、安価に、光電変換効率の高いCIS系膜を製造することを可能にしたものである。
すなわち、前述のように、高温で成膜を行う程、高い光電変換効率を得ることができ、一般的に、500℃以上の高温で成膜が行われ、その後の冷却中に、CIS系膜からSeが脱離する。
これに対し、前述のように、本発明の製造方法においては、搬送方向に配列された複数の冷却手段によって、CIS系膜を成膜した後の基板Zを冷却することにより、短時間で基板ZをSeが脱離しない温度まで冷却できるので、Seの脱離を大幅に低減できる。また、成膜装置70のように、基板Zの冷却をSe雰囲気中で行うことにより、冷却中に脱離したSeをCIS系膜に補給して、より安定して、良好な光電変換特性等を有する高品質な製造できる。
ここで、短時間で基板Zの冷却を行うことができる本発明の製造方法によれば、冷却中にSeの供給を行っても、冷却時のSe供給時間も大幅に短縮できるので(すなわちSeの供給量も大幅に低減して)、材料費の高騰も抑制できる。さらに、成膜ゾーン20による成膜でCIS系膜中へのSe供給が不十分であった場合にも、膜中へのSeの供給を行うことができる。
成膜装置70においては、基板Zの温度等に応じて、Se供給室74において、Seの供給量を制御してもよい。
一例として、基板Zの温度と、最適なSeの加熱条件(第2Se蒸着源76の温度等)との関係を、予め実験やシミュレーションによって調べて、テーブル(LUT)化しておき、Se供給室74において、基板Zの温度を検出して、この温度測定結果に応じて、前記テーブルを参照して、Seの加熱を制御する。
さらに、本発明の製造方法において、冷却手段による急冷中のSeの供給方法は、Seを蒸発してSe供給室74内をSe雰囲気にする方法に限定はされず、各種の方法が利用可能である。
一例として、Se供給室74内にセレン化水素ガスを供給して、室内をSe雰囲気とする方法等、各種の方法が利用可能である。
また、Se供給室74では、Seに代えてS(硫黄)を供給しても良く、また、SeとSの両方を供給してもよい。
あるいは、冷却手段の間の複数の位置に隔壁を設けて、Se供給室におけるSe供給およびS供給室によるS供給など、成膜したCIS系膜に対して、複数の異なる処理を行って、CIS系膜の製造を行ってもよい。
これにより、Seと同様にCIS系膜から脱離し易いSを補充することができ、また、Seが脱離した後にSを入れて、膜表面のみの禁制帯幅を代えて、良好な効率のCIS系膜を製造できる。
Se供給室74において、第1冷却手段50および第2冷却手段52に冷却されつつ、Seを供給された基板Zは、隔壁72の搬入口72aより、巻取り室24に搬送される。
巻取り室24に搬送された基板Zは、Se雰囲気ではない(非Se雰囲気の)巻取り室24において、3段目の冷却手段である第3冷却手段54によって、さらに冷却され、ガイドローラ56aおよび56bによって所定の搬送経路を案内されて、巻取り軸14によって、巻き取られ、再度、ロール状の巻回物とされる。
ここで、図示例のように、隔壁によって冷却ゾーンを分割して、隔壁の上流側はSe雰囲気としてCIS系膜へのSeの供給を行い、かつ、隔壁の下流側は非Se雰囲気とする場合には、上流側のSe雰囲気の室内では、基板Zの冷却は、基板Zの温度が180℃になるまでとし(基板Zを180℃の以上の温度まで冷却)、下流側の非Se雰囲気の室内では、基板Zを180℃未満の温度まで冷却するのが好ましい。
基板Zの温度が180℃未満では、Seの脱離は起こらず、また、基板Zの温度が180℃以上では、CIS系の膜中に取り込まれない余分なSeは、反射されて、基板Zの表面には、付着しないと考えられる。
従って、Se雰囲気で冷却する基板Zの温度を180℃以上とすることにより、脱離した分のSeの補給を好適に行うことができる、余分なSeの付着を防止できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
また、非Se雰囲気で基板Zを180℃未満まで冷却することにより、非Se雰囲気におけるSeの脱離を確実に防止できる、基板Zを巻回した後の巻き締まりを抑制できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
以上の点を考慮すると、Se雰囲気では、基板Zを180〜250℃まで冷却するのが好ましく、特に、180〜210℃まで冷却するのが好ましい。また、非Se雰囲気では、基板Zを20〜150℃まで冷却するのが好ましく、特に20〜100℃まで冷却するのが好ましい。
従って、上記基板Zの温度条件を満たすように、第1冷却手段50、第2冷却手段52および第3冷却手段54の冷却温度、Se供給室74における基板Zの搬送長等を設定するのが好ましい。
また、Se供給室74および巻取り室24において、基板Zの温度を検出して、上記基板Zの温度条件を満たすように、第1冷却手段50、第2冷却手段52および第3冷却手段54での基板Zの冷却を制御するのも好ましい。
本発明の製造方法において、成膜後に基板Zを急冷する冷却手段は、図示例のような冷却ローラとエンドレスベルトとを用いる物に限定はされず、冷却ドラム、冷却ローラ、輻射式の冷却手段等、長尺なシート状物を搬送しつつ、冷却を行うことができる公知の冷却手段が各種、利用可能である。
また、搬送方向に配列される冷却手段も、図示例のように3つ(3段の冷却)に限定はされず、複数の冷却手段を基板Zの搬送方向に配列するものであれば、2つの冷却手段を用いてもよく、あるいは、4以上の冷却手段を配列してもよい。また、エンドレスベルトを用いる冷却手段と、冷却ローラ等、異なる冷却手段を併用してもよい。
図4に、本発明の製造方法で利用可能な基板Zの冷却手段の別の例を示す。
図4(A)に示す例は、1本のエンドレスベルトで、CIS膜を成膜された基板Zに3段階の冷却を行う例である。
この冷却手段80は、エンドレスベルト82と、第1冷却ローラ84H、第2冷却ローラ84M、および第3冷却ローラ84Lと、ガイドローラ86a〜86gとを有して構成される。
各冷却ローラは、温度調整が可能な公知の冷却ローラであり、ガイドローラ86は、少なくとも1つが駆動ローラである公知のガイドローラであり、さらに、エンドレスベルト82は、先の例と同様、熱伝導性の高い材料で形成されるエンドレスベルトである。
図示例において、第1冷却ローラ84H、第2冷却ローラ84Mおよび第3冷却ローラ84L、ならびに、ガイドローラ86a、86c、86e、86fおよび86gは、エンドレスベルト82の輪の内側(内面に当接するように)に配置され、ガイドローラ86bおよび86dはエンドレスベルト82の輪の外側(外面に当接するように)に配置される。
第1冷却ローラ84H、ガイドローラ86a、第2冷却ローラ84M、ガイドローラ86c、第3冷却ローラ84L、および、ガイドローラ86eは、基板Zの搬送方向(矢印a方向)に、この順番で、基板Zの搬送経路にエンドレスベルト82を張架するように配置される。また、ガイドローラ86fおよび86gは、これら基板Zの搬送経路に配置されるローラと共に、エンドレスベルト82を張架するように配置される。
さらに、ガイドローラ86bは、ガイドローラ86aと第2冷却ローラ84Mとの間で、ガイドローラ86dは、ガイドローラ86cと第3冷却ローラ84Lとの間で、共に、エンドレスベルト82を基板Zの搬送経路から離間するように配置される。
図示例において、第1冷却ローラ84Hとガイドローラ86aが1段目の冷却手段を形成し、第2冷却ローラ84Mとガイドローラ86cが2段目の冷却手段を形成し、第3冷却ローラ84Lとガイドローラ86eが3段目の冷却手段を形成する。
従って、基板Zは、まず、第1冷却ローラ84Hとガイドローラ86aとの間で、第1冷却ローラ84Hによって冷却されたエンドレスベルト82に冷却され、ガイドローラ86aと第2冷却ローラ84Mとの間で、エンドレスベルト82から離間されて非冷却状態(非冷却区間)となる。
次いで、基板Zは、第2冷却ローラ84Mとガイドローラ86cとの間で、第2冷却ローラ84Mによって冷却されたエンドレスベルト82に冷却され、ガイドローラ86cと第3冷却ローラ84Lとの間で、エンドレスベルト82から離間され非冷却状態となる。
さらに基板Zは、第3冷却ローラ84Lとガイドローラ86eとの間で、第3冷却ローラ84Lによって冷却されたエンドレスベルト82に冷却され、エンドレスベルト82から離間して冷却を終了する。
従って、図4(A)に示す冷却手段80は、最も上流の冷却ローラ84Hの温度が最も高く、次いで、冷却ローラ84Mの温度が高く、最下流の冷却ローラ84Lが、最も低温であるのが好ましい。
前述のように、本発明の製造方法においては、エンドレスベルトを用いないで、冷却ドラムや冷却ローラを、直接、基板Zに当接して、冷却を行ってもよい。
例えば、図4(B)に示すように、基板Zの搬送方向に配列された2つの冷却ドラム88Hおよび88Lに、順次、基板Zを巻き掛けて搬送することにより、冷却手段の間に非冷却区間を設けて、CIS系膜を成膜された基板Zを冷却してもよい。この際においては、冷却効率を向上するために、基板Zを表面側から押圧するように配置する補助ローラ90を設けて、冷却ドラムへの基板Zの巻き掛け角(ラップ角)を大きくしてもよい。
ここで、補助ローラ90は、CIS系膜に当接するので、端部の径が中央部の径よりも大きい、前述の段付きローラ等を用いて、基板Zの端部(非製品領域)のみに当接し、基板Zの中央(製品領域)部には部材が接触しないようにするのが好ましい。
また、冷却ドラムの温度は、『冷却ドラム88H>冷却ドラム88L』とするのが好ましのは、先の例と同様である。
また、図4(C)に示すように、多数の冷却ローラ(図示例においては8本)を基板Zの搬送経路に配列することにより、冷却手段の間に非冷却区間を設けて、CIS系膜を成膜された基板Zを冷却してもよい。
図4(C)に示される例においても、基板Zの搬送方向(矢印a方向)の上流から下流に向かって、順に、冷却ローラの温度を低くするのが好ましい。
本発明の製造方法では、冷却効率を考慮すれば、上述のような接触式の冷却手段、特に、裏面に接触して基板Zを冷却する冷却手段が好ましく用いられるが、十分な冷却性能を有するものであれば、図4(D)に示す輻射伝熱板94のような、輻射式の冷却手段も、利用可能である。
図4(D)に示す例では、輻射伝熱板94aと94bとの間に隔壁92を設けて、輻射伝熱板94aを配置する室と、輻射伝熱板94bを配置する室とを、分離している。
ここで、上流側の輻射伝熱板94aが配置される室(空間)は、一例として、Se(蒸気)雰囲気となっており、CIS系膜にSeを供給している。そのため、隔壁92の上流側では、膜へのSe供給の妨害とならないように、基板Zの下には配置せず、基板Zの上側のみに、輻射伝熱板94aを配置している。
従って、隔壁が無く、輻射伝熱板94aおよび94bが、共に、非Se雰囲気の室に配置される場合には、図中点線で示すように、上流側の輻射伝熱板94aも、基板Zを挟むように2枚が配置される。逆に、輻射伝熱板94aおよび94bが、共に、Se雰囲気の室に配置される場合には、下流側の輻射伝熱板94bも、上側の1枚のみとする。
以上、本発明のCIS系膜の製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
図1に示される成膜装置10を用いて基板Zの表面に、厚さ2.5μmのCIGS膜を成膜した。
基板Zは、厚さ0.1mmのステンレス板と、厚さ30μmのアルミニウムとを加圧接合し、アルミニウムの表面を陽極酸化してなる絶縁層を形成してなる積層体の表面に、Na2Oを含むアルカリ供給層を形成し、その表面にMoからなる下部電極層を形成してなる、幅300mmの基板Zを用いた。
基板Zの搬送速度は、0.5m/minとした。
CIGS膜の成膜は、前述の3段階法によって行った。
なお、SeとGaとInの同時蒸着を行う第1成膜室20aにおける基板Zの温度は350℃、SeとCuの同時蒸着を行う第2成膜室20bにおける基板Zの温度は550℃、SeとGaとInの同時蒸着を行う第3成膜室20cにおける基板Zの温度は550℃とした。
第1冷却手段50、第2冷却手段52および第3冷却手段54は、共に、厚さ0.15mm、幅320mmのステンレス製のエンドレスベルトを用いた。各冷却手段、共に、エンドレスベルトと基板Zとの接触長は250mmとした。
さらに、第1冷却手段50の冷却ローラ50Hの温度は315℃、第2冷却手段52の冷却ローラ52Mの温度は165℃、第3冷却手段54の冷却ローラ54Lの温度は15℃とした。
このような条件の下、100mの前記基板ZにCIGS膜を成膜した。
成膜中に、パイロメータによって基板Zの温度を測定したところ、第1冷却手段50と基板Zとが接触した時点(冷却開始時)での基板Zの温度は525℃前後、第3冷却手段54と基板Zとが離間した時点(冷却終了時)での基板Zの温度は75℃前後で、共に安定していた。
成膜後の基板Zの巻き姿、および、基板Zの表面(CIGS膜表面)の状態を、目視およびレーザ顕微鏡によって観察した。
その結果、巻き姿は良好であり、さらに、基板Zの表面の状態も良好であった。また、基板Zのシワも確認されなかった。
[比較例1]
成膜後の基板Zの冷却を、第1冷却手段50、第2冷却手段52および第3冷却手段54ではなく、冷却ドラムで行った以外は、実施例1と同様にして、基板Zの表面にCIGS膜を成膜した。
なお、冷却ドラムは、幅方向の長さが320mm、外径が800mmのステンレス製で、ラップ角は110°とした(冷却長768mm)。
また、ドラム表面の温度は、75℃とした。
実施例1と同様に、成膜中に基板Zの温度を測定したところ、冷却ドラムに基板Zが巻き掛かった時点(冷却開始時)での基板Zの温度は525℃前後、冷却ドラムから基板Zとが離間した時点(冷却終了時)での基板Zの温度は75℃前後で安定しており、実施例1と同様であった。
実施例1と同様に巻き姿および基板Zの表面の状態を確認したところ、巻き姿には、基板Zのシワ等に起因すると思われる乱れが認められた。また、基板Zの表面には割れやヒビが確認され、さらに基板Zにはシワが確認された。
[実施例2]
第1冷却手段50の冷却ローラ50H、第2冷却手段52の冷却ローラ52M、および、第3冷却手段54の冷却ローラ54Lの温度を、共に、75℃とした以外は、実施例1と同様にして、基板Zの表面にCIGS膜を成膜した。
実施例1と同様に、成膜中に基板Zの温度を測定したところ、第1冷却手段50と基板Zとが接触した時点での基板Zの温度は525℃前後、第3冷却手段54と基板Zとが離間した時点での基板Zの温度は75℃前後で安定しており、実施例1と同様であった。
実施例1と同様に巻き姿および基板Zの表面の状態を確認したところ、巻き姿は良好で、また、基板Zの表面の状態も良好であったが、基板Zには、若干のシワが確認された。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
太陽電池の製造における光吸収層(光電変換層)の作製等に、好適に利用可能である。
10,70 成膜装置
12 基板ロール
14 巻取り軸
16 真空チャンバ
18 供給室
19 予備加熱室
20 成膜ゾーン
20a 第1成膜室
20b 第2成膜室
20c 第3成膜室
24 巻取り室
26 回転軸
27a,27b,30,40,41,50a,52a,54a,56a,56b,86a〜86g ガイドローラ
28,31,42,60,78 真空排気手段
29 予備加熱手段
25,32,46,72 隔壁
36 成膜手段
38 加熱手段
46 第2Se蒸着源
50 第1冷却手段
50H,52M,54L,84H,84M,84L 冷却ローラ
50b,52b,54b,82 エンドレスベルト
52 第2冷却手段
54 第3冷却手段
74 Se供給室
76 第2Se蒸着源
80 冷却手段
88H,88L 冷却ドラム
90 補助ローラ
94a,94b 輻射伝熱板

Claims (10)

  1. 長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、CIS系膜の成膜を行い、その後、前記基板の搬送方向に、複数、配列された冷却手段によって、前記基板の冷却を行うことを特徴とするCIS系膜の製造方法。
  2. 前記基板をロール状に巻回してなる基板ロールから基板を送り出し、前記成膜および冷却を行った後、再度、前記基板をロール状に巻回する請求項1に記載のCIS系膜の製造方法。
  3. 前記冷却手段は、前記基板搬送方向の上流の冷却手段が、下流の冷却手段よりも冷却温度が高い請求項1または2に記載のCIS系膜の製造方法。
  4. 前記冷却手段が、前記基板の非成膜面に当接して冷却を行う、接触型の冷却手段である請求項1〜3のいずれかに記載のCIS系膜の製造方法。
  5. 前記冷却手段が、前記基板の非成膜面に当接するエンドレスベルトと、このエンドレスベルトを冷却する冷却ローラとを有する請求項4に記載のCIS系膜の製造方法。
  6. 前記冷却手段の間の1箇所以上に、前記基板が通過する開口を有する隔壁を設ける請求項1〜5のいずれかに記載のCIS系膜の製造方法。
  7. 前記隔壁の上流側と下流側とで、雰囲気が異なる請求項6に記載のCIS系膜の製造方法。
  8. 前記隔壁の1つにおいて、この隔壁の上流側はセレンを有する雰囲気で、下流側はセレンを有さない雰囲気である請求項7に記載のCIS系膜の製造方法。
  9. 前記セレンを有する雰囲気中では前記基板を180℃以上まで冷却し、前記セレンを有さない雰囲気中では、前記基板を180℃未満まで冷却する請求項8に記載のCIS系膜の製造方法。
  10. 前記隔壁の上流側より下流側の方が圧力が高い請求項6〜9のいずれかに記載のCIS系膜の製造方法。
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