JP2012013575A - 走査プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料(磁性材料)を加工せず又探針先端を劣化させることなく磁気力分布を高分解能で測定可能な非接触式の走査プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】カンチレバー6と、探針5と、カンチレバーの変位を検出する力検出器8と、試料台2と、試料台を移動する移動手段(3,4,15,19,20)とを備え、試料台に載置される試料1の表面の高さ分布と磁気力分布を非接触で測定するための走査プローブ顕微鏡において、探針5に交流電圧を印加する交流電圧源12と直流電圧を印加する直流電圧源とを更に有し、試料表面の高さ分布を、静電気力を用いて測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料表面の磁気力分布を測定する走査プローブ顕微鏡に関する。
従来の磁性材料の表面観察手法には、ビッター法、カー顕微鏡、スピン偏極走査型電子顕微鏡(Spin−SEM:Spin-Polarized Scanning Electron Microscopy)、ローレンツ電子顕微鏡、磁気力顕微鏡(MFM:Magnetic Force Microscopy)等がある。ビッター法は、古くから用いられている技術であり、磁性体試料表面に磁性微粒子のコロイド溶液をたらし、試料の磁壁近傍に引き付けられた微粒子のパターンを光学顕微鏡で観察するものである。カー顕微鏡は、磁性体試料に直線偏光が入射すると反射光が楕円偏光となる磁気カー効果を用いて、偏光顕微鏡により磁区観察を行う磁気光学的な手法であり、これも古くから知られている。Spin−SEMは、磁性材料に電子線を照射した際に放出される2次電子のスピンを3次元ベクトル成分に分解して検出する手法である(例えば、非特許文献1)。磁性材料から放出される2次電子は試料内のスピン磁気モーメントの情報を持っているので、これを検出しマッピングすることで試料表面の磁化の大きさおよび向きが2次元画像として得られる。ローレンツ電子顕微鏡は、電子線が磁性体試料を透過する際に、試料内部の磁化から受けるローレンツ力による電子線の曲がりを利用して磁壁あるいは磁区を可視化するものである。
一方、MFMは光や電子線を用いず、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscopy)と呼ばれる手法を基礎としている。この手法は、磁性体をコートした探針を持ったカンチレバーと磁性体試料との間に働く磁気力をカンチレバーのたわみとして検出しながら、探針を試料表面上で走査することにより磁気力分布をマッピングする手法である(例えば、非特許文献2)。探針には磁気力以外に原子間力等も加わっており、磁気力を他の相互作用から分離する必要がある。そのために、まず、カンチレバーを振動させ、探針と試料の接触時に働く原子間力により減少する振動振幅を一定に保つように探針−試料間距離を調整する。これにより試料表面の高さ方向の位置が決定され、そこから一定の距離だけ探針を試料表面から離した状態で、カンチレバーの振動の位相変化から長距離力である磁気力を検出する。
(小池和幸ら、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス24巻L542頁1985年(K. Koike et al., Jpn. J. Appl. Phys., 24, L542 (1985)) (マーチンら、アプライド・フィジックス・レター50巻1455頁1987年(Y. Martin et al., Appl. Phys. Lett. 50, 1455 (1987)))
ビッター法およびカー顕微鏡は比較的簡便な方法であるが、ともに光学顕微鏡を用いているため分解能は1μm程度であり、微細な磁区構造の観察はできない。Spin−SEMの分解能は数nm程度と高いが、表面感度が高いため試料表面処理により観察対象を露出させる必要があり、さらに、超高真空中での動作を必要とする。また、ローレンツ顕微鏡においては、電子を透過させるために試料を薄膜に加工する必要があるため、加工による試料の変質が懸念される。
一方、MFMは大気中動作が可能であり、比較的簡便な操作により10nm程度の高分解能が得られる。しかし、試料表面の位置を検出するために探針を試料表面と接触させなければならず、測定中に探針先端が破壊されたり、試料表面の磁性物質が付着するなどした場合、検出される磁気力信号が不安定となってしまうという問題があった。AFMにおいて、探針−試料間のファンデルワールス力を利用することにより、探針と試料を接触させないで試料表面の位置を検出する非接触式の手法が存在するが、ファンデルワールス力と磁気力を分離するのが困難なため、MFMにおいては非接触式の手法は使えなかった。
本発明の目的は、試料を加工せず又探針先端を劣化させることなく磁気力分布を高分解能で測定可能な非接触式の走査プローブ顕微鏡を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態は、カンチレバーと、前記カンチレバー先端に設けられた探針と、前記カンチレバーの変位を力として検出する力検出器と、試料を載置する試料台と、前記試料台を移動する移動手段とを備え、前記試料台に載置される試料の表面の高さ分布と磁気力分布を非接触で測定するための走査プローブ顕微鏡において、前記探針に交流電圧を印加する交流電圧源と直流電圧を印加する直流電圧源とを更に有し、前記試料表面の高さ分布は、静電気力を用いて測定されるものであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡とする。
また、強磁性体の探針を用いて試料の表面の磁気力分布を測定する走査プローブ顕微鏡において、前記探針を前記試料の表面に対して面内方向および垂直方向への相対的な移動手段、前記探針を振動させる励振器、前記探針に印加される力を検出する力検出器、前記探針に交流電圧を印加する交流電圧源、前記探針に直流電圧を印加する直流電圧源、前記力検出器の出力信号から前記交流電圧源の周波数成分を検出する第一のロックインアンプ、前記第一のロックインアンプからの出力がゼロとなるように前記直流電圧源の出力を制御する第一の制御系、前記力検出器の出力信号から前記交流電圧源の二倍周波数成分を検出する第二のロックインアンプ、前記第二のロックインアンプからの出力が一定値となるように前記移動手段を垂直方向に制御する第二の制御系、前記力検出機の出力信号と前記励振器の励振信号の位相を比較する位相比較器、前記移動手段を面内方向に移動させながら前記第二のロックインアンプの出力及び前記位相比較器の出力を取得する制御装置、および、前記制御装置で取得した前記第二のロックインアンプの出力および前記位相比較器の出力を前記移動手段の面内方向の位置に対応させて表示する表示装置、を具備することを特徴とする走査プローブ顕微鏡とする。
本発明によれば、静電気力を用いて試料表面位置を検出することにより、探針を試料表面に接触させることなく、高安定、高分解能で磁性体の磁気力測定が可能となる。
本発明の実施形態に係る走査プローブ顕微鏡の概略構成図である。 第1の実施例に係る走査プローブ顕微鏡により測定された静電気力の電圧二回微分信号の探針‐試料間距離依存を示すプロットである。 第1の実施例に係る走査プローブ顕微鏡により測定された磁石表面の(a)形状を示す二次元画像、(b)磁気力分布を示す二次元画像、(c)図3(a)の直線AAにおける断面図、および、(d)図3(b)の直線BBにおける断面図である。 本発明の実施形態に係る走査プローブ顕微鏡の測定手順を示したフロー図である。
本発明は、探針−試料間に働く静電気力が、交流電圧を用いたロックイン検出を行うことにより、磁気力を含んだ他の相互作用と分離可能であること、また、静電気力が原子間力と比較して長距離力であるため、探針が離れた状態で試料表面位置の検出が可能であること等の新たな知見に基づくものである。
以下、走査プローブ顕微鏡にかかる発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る走査プローブ顕微鏡の概略構成図である。試料1は磁性材料で構成された試料であり、アース電位に接地されている。試料1の表面に対向してカンチレバー6が配置され、その先端には探針5が設けられている。探針5はそれ自体が強磁性体で構成されるか、あるいは強磁性体でコートされ、一定の方向に磁化されている。カンチレバー6および探針5は発振部(励振器)7により、固有振動数かその近傍の周波数(固有振動数の±1%程度以内)で、測定試料1の表面に対して垂直方向に振動させられる。カンチレバー6は発振部(励振器)7による強制振動の他に、試料1との間の相互作用により変位し、その変位は変位検出部(力検出器)8を用いて検出される。試料1は試料台2を介してXYZ走査機構3および粗動機構4上に固定されており、XYZ走査機構3により探針5に対して3次元方位方向に移動させることができ、また、粗動機構4により試料1と探針5の間の距離を大きく変化させることができる。
探針5には交流電圧印加部(交流電圧源)9から出力される交流電圧および直流電圧印加部(直流電圧源)12から出力される直流電圧を足し合わせた電圧信号が印加される。このとき、接地された試料1と探針5の間には、この電圧信号と試料1表面の仕事関数の差に応じた静電気力が加わり、カンチレバー6が変位する。
交流電圧の振幅はあらかじめ設定された値であるが、直流電圧の値は次のように決定される。変位検出部(力検出器)8からのカンチレバー6の変位信号はロックインアンプA(第一のロックインアンプ)10に入力され、交流電圧印加部(交流電圧源)9から出力される交流電圧に同期した同じ周波数の信号を参照信号として、変位信号内の交流電圧と同じ周波数成分の強度が検出される。探針5と試料1との間の距離をz、電位差をV、誘電率をεとすると、カンチレバー6に加わる静電気力Fは、F∝εV/zとなる。ロックインアンプA(第一のロックインアンプ)10から出力される信号は静電気力の電圧Vに関する微分となるため、dF/dV∝εV/zとなり、距離zおよび誘電率εが一定であれば、電位差に比例した値となる。そのため、ロックインアンプA(第一のロックインアンプ)10からの出力信号がゼロとなるように、フィードバック制御部A(第一の制御系)11を用いて、直流電圧印加部(直流電圧源)12から出力される直流電圧を調整することにより、探針5と試料1との間の電位差は常にゼロに保たれる。これにより、試料表面の電位によらずカンチレバー6に加わる静電気力をゼロとすることができる。即ち、探針と試料との間の電位差は、ロックインアンプAとフィードバック制御部Aを含む電位差制御部により、直流電圧印加部の直流電圧を調整することにより制御できる。
また、変位検出部(力検出器)8からのカンチレバー6の変位信号はロックインアンプB(第二のロックインアンプ)13に入力され、交流電圧印加部(交流電圧源)9から出力される交流電圧に同期した二倍周波数の信号を参照信号として、変位信号内の交流電圧の二倍周波数成分の強度が検出される。ロックインアンプB(第二のロックインアンプ)13から出力される信号は静電気力の電圧Vに関する二回微分となるため、dF/dV∝ε/zとなり、誘電率εが一定であれば、探針5と試料1の間の距離zの二乗に反比例した値となる。そのため、ロックインアンプB(第二のロックインアンプ)13からの出力信号が設定された一定の値となるように、フィードバック制御部B(第二の制御系)14を用いて、Z駆動部15を介してXYZ走査機構3をZ方向に駆動し、試料1の探針5に対するZ方向の位置を調整することにより、探針5と試料1との距離が一定値に保たれる。これにより、試料表面の凹凸によらず探針5と試料1との距離は常に一定となる。即ち、探針と試料表面との間の距離は、ロックインアンプBとフィードバック制御部Bとを含む距離制御部により、試料の探針に対するZ方向の位置を調整することにより制御できる。
さらに、変位検出部(力検出器)8からのカンチレバー6の変位信号は位相検出部(位相比較器)17に入力され、発振部(励振器)7からの励振信号と、カンチレバー6の変位信号内の励振信号と同じ周波数成分の信号の位相が比較され、位相差に比例した位相信号が出力される。位相信号は探針5に加わる力に応じて変化するが、探針5と試料1の間の電位差はフィードバック制御によりゼロに保たれているため静電気力は含まれず、また、探針5と試料1が接触しない程度に十分に離す(1nm以上、実用的には5nm以上)ことにより、機械的な接触による力やファンデルワールス力の影響も無視できるため、探針5が試料1からの漏えい磁界から受ける磁気力を反映している。即ち、磁気力と他の力とを分離することができる。
測定は図4に示したような手順で行う。まず、カンチレバーセットステップS401でカンチレバー6をセットした後に、試料セットステップS402で試料1を試料台2にセットする。さらに、試料位置調整ステップS403で試料1の測定したい所望の位置が探針5の直下となるように試料1の位置を調整する。次に、探針電圧印加ステップS404で、交流電圧印加部(交流電圧源)9から出力される交流電圧および直流電圧印加部(直流電圧源)12から出力される直流電圧を足し合わせた電圧信号を探針5に印加し、電位差制御開始ステップS405でフィードバック制御部A(第一の制御系)11による探針‐試料間電位差制御を開始する。この状態で、粗動ステップS406で、制御部21は粗動部20を介して粗動機構4を駆動することにより粗動を行い、探針5を試料1に数百nm程度まで接近させる。粗動はロックインアンプB(第二のロックインアンプ)13から出力される信号があらかじめ設定したしきい値を超えた時点で停止し、次の距離制御開始ステップS407でフィードバック制御部B(第二の制御系)14による探針‐試料間距離制御を開始する。この時点で、探針5と試料1の距離が一定、かつ、探針5と試料1の電位差がゼロとなるように制御されている。
走査およびデータ取得ステップS408で、制御部21は走査部19を介してXYZ走査機構3を駆動することにより、試料1を探針5に対してXY方向に走査する。なお、試料1と探針5の距離は一定に保たれており、従来の接触式のMFMと異なりカンチレバーの上下移動(Z方向)をする時間を必要としないため計測時間の短縮が図れる。また、探針が試料に触れることがないため試料表面の磁性物質の探針への付着がなく磁気力信号が不安定となることもない。
試料1を探針5に対してXY方向に走査する際、制御部21は、各測定点においてフィードバック制御部B(第二の制御系)14からの出力信号を、表面形状取得部16を介して表面形状データとして取り込み、さらに、位相検出部(位相比較器)17からの出力信号を、磁気力取得部18を介して磁気力データとして取り込む。表面形状データ表示ステップS409で表面形状データを、各XY座標を用いて2次元的にマッピングし、表面形状の画像を表示装置(図示せず)に表示する。さらに、磁気力データ表示ステップS410で磁気力データを、各XY座標を用いて2次元的にマッピングし、磁気力分布の画像を表示装置(図示せず)に表示する。
本発明を、以下の実施例を用いて詳細に説明する。なお、発明を実施するための形態に記載され、本実施例に未記載の事項は本実施例にも適用することができる。
本実施例に係る走査プローブ顕微鏡を用いて、磁性体試料としてネオジウム‐鉄‐ホウ素磁石表面の磁気力分布を測定した。走査プローブ顕微鏡の構成は図1と同様である。ネオジウム‐鉄‐ホウ素磁石は、アモルファス炭素基板表面に形成した厚さ200nmの薄膜を厚さ20nmのタンタル膜を介して10層積層し、最表面を厚さ40nmのタンタル膜で被覆したものを用いた。試料は試料面に垂直方向に磁界消磁した。カンチレバーとして、長さ110μm、幅35μm、力定数0.95N/mのシリコン製のものを用い、カンチレバーホルダーに設けられた励振用ピエゾ素子により、カンチレバーの固有振動数である105kHzで振動させた。振動振幅は5nmであった。カンチレバー先端には長さ20μmの探針が設けられ、その表面を強磁性体であるコバルトを厚さ60nmコートし、さらに保護層として厚さ20nmのクロムをコートした。
カンチレバーの変位は、レーザダイオードからのレーザ光をカンチレバー表面に照射し、そのときの反射光を2分割フォトダイオードで検出し、2つの出力の差分を取ることにより検出した。探針には周波数1000Hz、振幅1Vの交流電圧を印加し、ロックインアンプを用いてカンチレバーの変位信号から交流電圧と同じ周波数成分を検出することにより、探針−試料間に働く静電気力の電圧微分に対応する信号を得た。この信号がゼロとなるように、フィードバック回路を用いて探針電圧の直流成分の値を調整することにより、探針‐試料間の電位差がゼロとなるように制御した。また、ロックインアンプを用いてカンチレバーの変位信号から交流電圧の二倍周波数成分、すなわち2000Hzの周波数成分を検出することにより、探針−試料間に働く静電気力の二回電圧微分に対応する信号を得た。
試料基板を、ピエゾ素子を用いたXYZ走査ステージ上に固定し、ステッピングモータとねじを用いた粗動機構によってステージ全体を上下方向に移動し、試料表面に対向して取り付けられたカンチレバーに試料を接近させた。試料‐探針間に十分に大きな静電気力が作用し始めるまで接近させた後、ステッピングモータを停止した。
図2は本実施例に係る走査プローブ顕微鏡により測定された静電気力の二回微分値の探針‐試料間距離依存を測定した結果のプロットである。試料表面が探針先端に接近すると静電気力の二回微分信号は探針‐試料間距離の二乗に反比例して増大するため、静電気力の二回微分信号を一定に調整することにより、探針‐試料間距離を一定に保つことができる。
本実施例では、フィードバック回路を用いて静電気力の二回微分信号の設定値が1(任意単位)となるようにXYZ走査ステージのZ方向ピエゾ素子に印加する電圧を調整し、探針‐試料間距離を40nmに維持した。この程度の距離では探針に働く原子間力およびファンデルワールス力の影響は無視できる。
この状態において、本実施例に係る走査プローブ顕微鏡を用いて試料表面の10μm×8μmの領域をラスター走査することにより得られた画像を図3に示す。図3(a)は、探針‐試料間距離のフィードバック回路からの出力値をD/Aコンバータで制御PCに読み込み、試料表面のXY座標に対して濃淡表示した表面凹凸像である。また、図3(b)は、カンチレバー励振用ピエゾ素子に印加した交流信号とカンチレバーの変位信号の位相を位相比較器で比較して求めた位相差信号の値をD/Aコンバータで制御PCに読み込み、試料表面のXY座標に対して濃淡表示した画像であり、濃淡は試料表面の垂直方向の磁化の大きさおよび向きに対応している。明るい領域がS極、暗い領域がN極である。
図3(c)は図3(a)の直線AAにおける断面図、図3(d)は図3(b)の直線BBにおける断面図である。面内空間分解能はともに約50nmであり、磁気力分布を高分解能で測定できること、又静電気力による位置検出精度も十分得られることがわかった。また、本実施例によれば、探針は試料表面と接触しないため、探針先端にコートした強磁性体層を保護する保護層が不要となる。その結果、探針先端の曲率半径を小さくすることができるため、分解能が向上する。
以上、本実施例によれば、静電気力を用いて試料表面位置を検出することにより、試料を加工せず又探針先端を劣化させることなく磁気力分布を高分解能で測定可能な非接触式の走査プローブ顕微鏡を提供することができる。また、探針が試料と接触することがないため異物付着が無く、磁気力を高安定に検出することができる。また、測定点ごとにカンチレバーを上下する必要がないため、計測時間を短縮できる。さらに、探針は試料表面と接触しないため、探針先端にコートした強磁性体層を保護する保護層が不要であり、探針先端の曲率半径を小さくすることができるため、分解能が向上する。
磁石材料の磁区サイズおよび構造の評価、また、ハードディスクドライブヘッド周囲の磁界評価に適用できる。
1…試料、2…試料台、3…XYZ走査機構、4…粗動機構、5…探針、6…カンチレバー、7…発振部(励振器)、8…変位検出部(力検出器)、9…交流電圧印加部(交流電圧源)、10…ロックインアンプA(第一のロックインアンプ)、11…フィードバック制御部A(第一の制御系)、12…直流電圧印加部(直流電圧源)、13…ロックインアンプB(第二のロックインアンプ)、14…フィードバック制御部B(第二の制御系)、15…Z駆動部、16…表面形状取得部、17…位相検出部(位相比較器)、18…磁気力取得部、19…走査部、20…粗動部、21…制御部、S401…カンチレバーセットステップ、S402…試料セットステップ、S403…試料位置調整ステップ、S404…探針電圧印加ステップ、S405…電位差制御開始ステップ、S406…粗動ステップ、S407…距離制御開始ステップ、S408…走査およびデータ取得ステップ、S409…表面形状データ表示ステップ、S410…磁気力データ表示ステップ。

Claims (7)

  1. カンチレバーと、前記カンチレバー先端に設けられた探針と、前記カンチレバーの変位を力として検出する力検出器と、試料を載置する試料台と、前記試料台を移動する移動手段とを備え、前記試料台に載置される試料の表面の高さ分布と磁気力分布を非接触で測定するための走査プローブ顕微鏡において、
    前記探針に交流電圧を印加する交流電圧源と直流電圧を印加する直流電圧源とを更に有し、
    前記試料表面の高さ分布は、静電気力を用いて測定されるものであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  2. 請求項1記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記試料表面の高さ分布は、前記力検出器からの出力信号が入力され、前記探針と前記試料表面との間の距離を一定に制御するための距離制御部を用いて測定されるものであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  3. 請求項2記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記距離制御部は、
    前記力検出器の出力信号から前記交流電圧源の二倍周波数成分を検出する第二のロックインアンプと、
    前記第二のロックインアンプからの出力が一定値となるように前記移動手段を垂直方向に制御する第二の制御系と、を備えることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  4. 請求項1記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記直流電圧源の電圧は、前記探針と前記試料との間の電位差をゼロに保つように設定されるものであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  5. 請求項4記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記探針と前記試料との間の電位差は、前記力検出器からの出力信号が入力される電位差制御部により制御されることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  6. 請求項5記載の走査プローブ顕微鏡において、
    前記電位差制御部は、
    前記力検出器の出力信号から前記交流電圧源の周波数成分を検出する第一のロックインアンプと、
    前記第一のロックインアンプからの出力がゼロとなるように前記直流電圧源の出力を制御する第一の制御系と、を備えることを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
  7. 強磁性体の探針を用いて試料の表面の磁気力分布を測定する走査プローブ顕微鏡において、
    前記探針を前記試料の表面に対して面内方向および垂直方向への相対的な移動手段、
    前記探針を振動させる励振器、
    前記探針に印加される力を検出する力検出器、
    前記探針に交流電圧を印加する交流電圧源、
    前記探針に直流電圧を印加する直流電圧源、
    前記力検出器の出力信号から前記交流電圧源の周波数成分を検出する第一のロックインアンプ、
    前記第一のロックインアンプからの出力がゼロとなるように前記直流電圧源の出力を制御する第一の制御系、
    前記力検出器の出力信号から前記交流電圧源の二倍周波数成分を検出する第二のロックインアンプ、
    前記第二のロックインアンプからの出力が一定値となるように前記移動手段を垂直方向に制御する第二の制御系、
    前記力検出機の出力信号と前記励振器の励振信号の位相を比較する位相比較器、
    前記移動手段を面内方向に移動させながら前記第二のロックインアンプの出力及び前記位相比較器の出力を取得する制御装置、
    および、前記制御装置で取得した前記第二のロックインアンプの出力および前記位相比較器の出力を前記移動手段の面内方向の位置に対応させて表示する表示装置、
    を具備することを特徴とする走査プローブ顕微鏡。
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