JP2012013438A - ガラス焼結造粒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融していないガラス粒子と廃液との接触面積を増大させることにより、溶融していないガラス粒子の表面に、廃液から溶媒を除去することにより生成する固形物を、容易に付着させることができるようにしたガラス焼結造粒体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】廃液の溶媒を除去すると生成する成分を溶融ガラスで固化するために使用されるガラス焼結造粒体であって、軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスの粉末を焼結して成り、吸水率が10%以上80%以下の範囲にあり、圧壊強度が1.0kgf/粒以上20.0kgf/粒以下の範囲内にあるガラス焼結造粒体、及び、ガラス粉末、固体粘結剤、液体粘結剤、希硝酸を含有する混練物を350℃以上から前記ガラスの軟化点以下の温度範囲内にて焼結する工程を有する方法。
【選択図】図1

Description

この発明は、ガラス焼結造粒体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、廃液中の液体を除去すると生じる固形物をガラス内に包摂することができるガラス焼結造粒体及びそのようなガラス焼結造粒体を好適に製造することのできるガラス焼結造粒体の製造方法に関する。
放射性廃液等の廃液のガラス固化処理は、廃液とガラス粒子とを溶融炉中で混合溶融し、キャニスターに流し込んでガラス固化体とする方法である。ここで従来から用いられているガラス粒子は、粒子径が2〜3mmで、表面が平滑で透明なガラス球体であり、ガラス粒子の内部に廃液を吸収することはない。
廃液中にルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの白金族元素が含まれていると、溶融したガラスにこれら白金族元素が相溶し難いので、白金族粒子が溶融ガラスから分離することがある。この重い白金族粒子が分離し、溶融炉の炉底に蓄積すると、高い導電性のため溶融炉の通電異常となり得るという問題がある。また廃液中にはモリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)などの沈殿物も出来やすく、組成が均一なガラス固化体を作ることが難しいという問題もある。
上記問題を解決するために、貫通孔を形成したガラスビーズ、中空球状に形成したガラスビーズ、及び多孔質に形成したガラスビーズが報告されている(特許文献1の特許請求の範囲参照)。
特許文献1の段落番号0014における「ビーズ本体に貫通孔を形成したり、中空球(バルーン)状や多孔質のガラスビーズとすることで、ガラスビーズの表面積が増え、廃液との接触面積が増えるため、廃液中の白金族粒子とガラスビーズの反応が良好となり、溶融炉内での白金族の堆積を防止できるという優れた効果を発揮する」との記載を参照すると、特許文献1のガラスビーズは廃液と接触するその表面積を増大させることを目的とするものと考えられる。
しかしながら、特許文献1では表面積に関し肝心な通常のガラス球との比較データの具体的な記載がない。そこで、特許文献1における段落番号0031を参照して、直径3mmの中実のガラスビーズの表面積と、直径が1mmの1個の貫通孔を有する直径3mmのガラスビーズの表面積とを計算してみると、中実なガラスビーズの表面積に対して、1個の貫通孔を有する同径のガラスビーズの表面積は、約33%程度増加するだけである。また中空球状のガラスビーズは、その中空球体の一部が溶融して穴が開くようになるガラスビーズの溶融前に、廃液と接触する表面積の増加はない。ビーズを中空化し重量が減じた分だけ、作業に必要なガラス原料重量を等しくするとして、使用するビーズ量を増やすと、その分だけ表面積は実質的に増大したことになる。特許文献1には明確な表面積増大の数値が示されていないが、このような中空化によるビーズ表面積の増大を推定すると、体積50%の中空化で表面積は2倍程度、実効増加するものと考えられる。特許文献1にある多孔質に形成したガラスビーズは、孔の形状に関し、特に記述がなく、密閉気孔型が多ければ、中空球状と同様に溶融前には廃液と接触する表面積の増加は少ない。単位体積重量の減少分だけ、ガラスビーズの使用個数が増え、表面積の実効増加があるのみである。
溶融炉内では、通電により溶融状態になっている溶融ガラス相とその溶融ガラス相の表面に蓋のようにして存在する仮焼相と仮焼相の上で固体状態になっているガラスと液状になっている廃液とが存在する廃液接触相とが存在する。
してみると、特許文献1に記載の発明は、溶融炉内においてガラスビーズと廃液とが接触する際のそのガラスビーズの単位重量あたりの接触面積を増大させることを目的とするものと考えられる。このように考えると、特許文献1に記載されている多孔質のガラスビーズは、その表面に開口がなくて内部に多数のポアが形成されている密閉気孔型の多孔質体である。
さらに、特許文献1では、「球状のビーズ本体に貫通孔を有するガラスビーズ」(特許文献1の請求項1)、「複数の貫通孔を交差して有するガラスビーズ」(特許文献1の請求項2)、「中空球形状に形成したガラスビーズ」(特許文献1の請求項3)、「球状のビース本体を多孔質に形成したガラスビーズ」(特許文献1の請求項4)のいずれのガラスビーズについても当業者に理解することができる程度の製造方法が特許文献1における明細書に記載されていない。
特許第4434226号公報
この発明が解決しようとする課題は、前記問題点を解決し、溶融していないガラス粒子1個あたりのそのガラス粒子と廃液との接触面積を増大させることにより、溶融していないガラス粒子の内部空間に浸入した廃液から溶媒を除去することにより生成する固形物を、ガラス粒子の内部空間を形成する内部表面に容易に、かつ多量に付着させることができるようにしたガラス焼結造粒体を提供することにある。
この発明の他の課題は、前記問題点を解決し、機械的強度が大きくて廃液との接触面積を増大したガラス焼結造粒体を高い収率をもって製造することができるガラス焼結造粒体製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためのこの発明の手段は、
(1) 廃液の溶媒を除去すると生成する成分を溶融ガラスで固化するために使用されるガラス焼結造粒体であって、
軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスの粉末を焼結して成り、
吸水率が10%以上80%以下の範囲にあり、
圧壊強度が1.0kgf/粒以上20.0kgf/粒以下の範囲内にある
ガラス焼結造粒体であり、
(2) 前記廃液が高レベル放射性廃液である前記(1)に記載のガラス焼結造粒体であり、
(3) 前記ガラス焼結造粒体は、その中心粒子径が1.0mm以上30.0mm以下の範囲内にある(1)又は(2)記載のガラス焼結造粒体であり、
(4) 前記ガラス焼結造粒体は、その比表面積が0.2m/g以上50m/g以下の範囲内にある前記(1)から(3)までのいずれか一項に記載のガラス焼結造粒体であり、
(5) 前記ガラス焼結造粒体は、その細孔容積が0.1cc/g以上0.8cc/g以下である前記(1)から(3)までのいずれか一項に記載のガラス焼結造粒体であり、
(6) 前記ガラス焼結造粒体は、その表面に溝を有して成る前記(1)から(5)までのいずれか一項に記載のガラス焼結造粒体であり、
前記課題を解決するためのこの発明の他の手段は、
(7) 軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスを製造する原料であるガラス粉末と、前記ガラス粉末の質量に対して固体粘結剤1質量%以上10質量%以下と、前記ガラス粉末の質量に対して液体粘結剤1質量%以上10質量%以下と、前記ガラス粉末、前記固体粘結剤及び前記液体粘結剤の合計に対して希硝酸25質量%以上60質量%以下とを含有する混練物を、350℃以上から前記ガラスの軟化点以下の温度範囲内にて焼結することを特徴とするガラス焼結造粒体の製造方法であり、
(8) 前記固体粘結剤は澱粉及び/又はセルロースであり、前記液体粘結剤がコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナである前記(7)に記載のガラス焼結造粒体の製造方法である。
この発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
この発明によると、軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスの粉末を焼結して成り、かつ吸水率が10%以上80%以下の範囲にある固体状態のガラス焼結造粒体が、ガラスを溶融する溶融炉内に投入されると、溶融炉内に投入された廃液と前記ガラス焼結造粒体とが仮焼相の上表面で接触する。投入されたガラス焼結造粒体と廃液とが接触すると、ガラス焼結造粒体の表面に開口する開口部からガラス焼結造粒体の内部に廃液が浸入し、ガラス焼結造粒体の内部に浸入した廃液における溶媒が溶融炉内部の高温により蒸発してガラス焼結造粒体の内部から除去されると、ガラス焼結造粒体の内部に廃液残渣が固形物として残留する。廃液残渣がガラス焼結造粒体の内部に残留する状態となっているガラス焼結造粒体自体が溶融炉内の高温度によって溶融すると、溶融したガラス中に廃液残渣が相溶した状態となる。つまり廃液残渣が溶融ガラスで包み込まれた状態となる。廃液残渣が溶融ガラスで包み込んだ状態になっている溶融ガラスを冷却すると廃液残渣をガラス内に封じ込めたガラス固化体を得ることができる。したがって、この発明によると、溶融していないガラス粒子と廃液との単位面積あたりの接触面積を増大させることにより、溶融していないガラス粒子の内部空間に浸入した廃液から溶媒を除去することにより生成する固形物を、ガラス粒子の内部空間を形成する内部表面に容易に、かつ多量に付着させることができるようにしたガラス焼結造粒体を提供することができる。
この発明に係るガラス焼結造粒体は、圧壊強度が1.0kgf/粒以上20.0kgf/粒以下の範囲内にある。したがって、溶融炉における仮焼相表面に向けて通常1〜5mの高さにある投入装置からこのガラス焼結造粒体を投入、又は落下させても、ガラス焼結造粒体は容易に破損しない。また溶融炉における仮焼相表面には投入された廃液が高温度に加熱されて廃液から蒸気が吹き上がり、また仮焼相表面で溜まっている廃液内部が対流しているから、このような廃液に投入乃至落下されたガラス焼結造粒体は、吹き上がる蒸気及び廃液の対流によって仮焼相上で激しく転々とすることによりガラス焼結造粒体同士が衝突しても、ガラス焼結造粒体が破損することがない。したがって、この発明によると、廃液と接触させる際に容易に破壊しないで内部空隙に廃液残渣を収容した状態のガラス焼結造粒体を提供することができる。
さらに補足すると、圧壊強度が前記範囲における下限値よりも小さいガラス焼結造粒体は、衝撃により容易に破壊されて粉状体になる。そうすると、破砕されたガラス焼結造粒体の総量における見かけ上の外表面の表面積が増大するが、粉砕されたガラス焼結造粒体の内部表面積が減少するのでガラス焼結造粒体の内部に取り込まれる廃液残渣の量が低下する。その結果として、溶融ガラスの内部に取り込まれる廃液残渣の量が低下する一方、粉砕されたガラス焼結造粒体の外表面に付着する廃液残渣量が増大するので、廃液が高レベル放射性廃液である場合には、溶融炉内に白金族元素の塊が生じ易くなってこの発明の目的を達成することができなくなる。また、ガラス焼結造粒体の圧壊強度が前記範囲における上限値を超えると、上限値を超えるに比例したメリットを見出すことができず、この発明の目的を達成することができない。
この発明によると、前記廃液が高レベル放射性廃液である場合に、高レベル放射性廃液中に含まれる放射性物質特に白金族元素を溶融炉内でガラスから分離して塊状に析出することなく、溶融したガラス内に放射性物質を固溶し、又は包摂した状態で封じ込めることのできるガラス焼結造粒体を提供することができる。
この発明によると、前記ガラス焼結造粒体は、その中心粒子径が1.0mm以上30.0mm以下の範囲内にあると、廃液と接触させる際の取り扱いの容易なガラス焼結造粒体を提供することができる。見方を変えると、中心粒子径が前記範囲の下限値よりも小さいと、廃液が高レベル放射性廃液である場合に、溶融炉にガラス焼結造粒体を投入したときに、溶融炉の中から噴出している蒸気の上昇流によりガラス焼結造粒体が溶融炉外に放出されてしまって廃液中の残渣をガラスで固化するに必要な量のガラス焼結造粒体を確保することができなくなり、また一方、中心粒子径が前記範囲の上限値を超えると、取り扱い難くなる。
この発明によると、その比表面積が0.2m/g以上50m/g以下の範囲内にあるので、ガラス焼結造粒体の内部に浸入する廃液残渣を保持することができ、例えば高レベル放射性廃液の残渣を大量にガラスの内部に封じ込めることができるガラス焼結造粒体を提供することができる。
この発明によると、その細孔容積が0.1cc/g以上であると、ガラス焼結造粒体の内部に浸入する廃液残渣を保持することができ、例えば高レベル放射性廃液の残渣を大量にガラスの内部に封じ込めることができるという利点を有するガラス焼結造粒体を提供することができる。また、その細孔容積が0.8cc/g以上であると、ガラス焼結造粒体
の圧壊強度が低下し、好ましくない。
この発明によると、その表面に溝が形成されていることにより、外表面積を増大させたガラス焼結造粒体を提供することができる。
この発明によると、特定のガラス粉末、特定配合割合の固体粘結剤、特定配合割合の液体粘結剤、及び特定量の希硝酸を原料にして形成された粒状体を焼結するので、特定の吸水率を有するこの発明のガラス焼結造粒体を製造するのに好適な製造方法を提供することができる。
この発明によると、特定の固体粘結剤及び特定の液体粘結剤を使用するので、吸水率、圧壊強度および収率が向上するといったメリットを有するガラス焼結造粒体の製造方法を、提供することができる。
図1は、ガラス焼結造粒体の製造方法、およびガラス焼結造粒体製造プラントを説明する図である。 図2は、ガラス焼結造粒体表面の70倍電子顕微鏡写真である。 図3は、ガラス焼結造粒体断面の50倍電子顕微鏡写真である。 図4は、ガラス焼結造粒体断面の500倍電子顕微鏡写真である。
この発明に係るガラス焼結造粒体で処理される対象物は廃液である。この廃液は、廃液の溶媒を除去すると、廃液中に溶解状態で、又は懸濁状態で含んでいた物質を含む残渣を生じさせる。このような廃液として、高レベル放射性廃液、及び有害な物質を溶液状態で、又は懸濁状態で含有する廃液等を挙げることができる。
この発明のガラス焼結造粒体は、軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスで形成されている。軟化点が前記範囲における下限値未満であると、ガラス粉末を焼結することによる焼結造粒体を製造するのが困難になり、また、廃液が高レベル放射性廃液である場合には、この高レベル放射性廃液を処理する溶融炉が1200℃前後となるように運転されているので、このような温度下ではガラス焼結造粒体の溶融速度が早過ぎてガラス焼結造粒体の内部に高レベル放射性廃液が浸入する前にガラス焼結造粒体が溶融してしまってこの発明の目的を達成することができない。また、前記範囲における上限値を超えると、廃液が高レベル放射性廃液である場合には、溶融炉内でこのガラス焼結造粒体の溶融が遅いか、全く溶融しないという問題が発生してこの発明の目的を達成することができない。
なお、ここで「軟化点」は、近似的にこれより低い温度では、そのガラスのほとんどの成形操作が不可能な温度と定義され、JIS R 3103−1「ガラスの粘性及び粘性定点―第1部:軟化点の測定方法」により、測定することができる。
前記範囲の軟化点を有するガラスとして、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、フッ化バリウムガラス、鉄リン酸ガラス等を挙げることができる。
ここで、高レベル放射性廃液中の残渣をガラス固化処理に使用されるガラス焼結造粒体を構成するガラスは、溶融炉内で溶融するときに、白金族元素、又はモリブデン酸塩などと相分離を生じないこと、高い化学的耐久性を有すること、適切な粘性を有していること、高レベル放射性廃液残渣を高い含有率で包摂することができること等といった特性を有していることが好ましい。この発明に使用されるホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラスは、前記いずれかの特性をさらに高度に発現させるために主成分以外にAl,Li,Ca,Znなどの酸化物を含有するのがよい。
この発明に係るガラス焼結造粒体の吸水率は、10%以上80%以下の範囲にある。ガラス焼結造粒体の吸水率がこの範囲内にあると、容積密度が小さくなり、比表面積が大きくなるという利点がある。換言すると、この発明に係るガラス焼結造粒体の吸水率が前記範囲内にあると、ガラス焼結造粒体は廃液をガラス焼結造粒体内に十分に吸収することができ、廃液の溶媒が除去されることにより廃液残渣をガラス焼結造粒体内に十分に保持することができる。
この発明に係るガラス焼結造粒体の吸水率は、JIS R 2205「耐火れんがの見掛気孔率・吸水率・比重の測定方法」により、測定することができる。
この発明に係るガラス焼結造粒体の圧壊強度は1.0kgf/粒以上20.0kgf/粒の範囲内にある。ガラス焼結造粒体の圧壊強度が前記範囲内にあると、ガラス固化処理中、例えば溶融炉にガラス焼結造粒体を移送する途中で割れたり欠けたりすることがなく、また溶融炉内の仮焼相上にその仮焼相から高くとも1mの位置にある投入装置から投下してもそのガラス焼結造粒体が潰れたり欠けたりしないという利点がある。換言するとガラス固化処理中にガラス焼結造粒体が潰れたり欠けたりすると、溶融したガラスと廃液残渣とが分離してしまって溶融ガラス中に廃液残渣を封じこむことができなくなる。圧壊強度は、ガラス焼結造粒体を20粒分取し、分取したガラス焼結造粒体それぞれの圧壊強度を測定して、平均値を求めて「圧壊強度」とする。
この発明に係るガラス焼結造粒体はその中心粒子径が1.0mm以上30.0mm以下の範囲内にあるのが好ましい。ガラス焼結造粒体の中心粒子径が1.0mm未満では、溶融炉にこのガラス焼結造粒体を投入するときに溶融炉で発生する蒸気の上昇流によりガラス焼結造粒体が溶融炉外に逸散してしまうことがあり、ガラス固化の効率が低下する。また中心粒子径が30.0mmを超えると、ガラス焼結造粒体の重量が増加することにより、取り扱いが煩雑になり、溶融炉に投入されたガラス焼結造粒体が溶融して均質化するまでの時間が長くなるという問題がある。
このガラス焼結造粒体の中心粒子径は、ガラス焼結造粒体を20粒分取し、その直径をノギスで測定して、その中心値を求めることにより決定する。また、ガラス焼結造粒体が球形でない形状、例えば円筒体、破砕物形等であるときには、そのガラス焼結造粒体の最も長い寸法を粒子径とする。
この発明に係るガラス焼結造粒体の比表面積は、0.2m/g以上50m/g以下の範囲内にあるのが好ましい。ガラス焼結造粒体の比表面積が前記範囲内にあると、ガラス焼結造粒体の吸水率を大きくすることができる。比表面積は、市販の比表面積測定装置により測定することができる。
この発明に係るガラス焼結造粒体はその細孔容積が0.1cc/g以上0.8cc/g以下であるのが好ましい。この発明に係るガラス焼結造粒体はこの発明の方法により製造されると密閉気孔がなく開口気孔ばかりを有するので、細孔容積(cc/g)は、水の比重が1であるので、前記吸水率(質量%)の1/100の値として細孔容積を算出する。
この発明に係るガラス焼結造粒体は、その表面に溝が形成されている網目模様のガラス焼結造粒体が好ましい。
この発明のガラス焼結造粒体の製造方法は、ガラス粉末、固体粘結剤、液体粘結剤、及び希硝酸を含有する混練物を特定の焼成温度で焼成する工程を有する。
前記ガラス粉末を形成するガラスは、この発明に係るガラス焼結造粒体を形成するガラスと同じであるから、その詳細な説明を省略する。またガラス粉末は、その平均粒子径が1μm以上50μm以下の範囲内にあることが好ましい。ガラス粉末の平均粒子径が前記範囲内にあると、ガラス粉末、粘結剤及び希硝酸を混練容器内で撹拌するとガラス粉末、粘結剤及び希硝酸が均一に混じり合い混練時間の経過に伴って均一で強固な混練物が得られるので、ガラス焼結造粒体の圧壊強度、吸水率および収率が大きくなるという利点がある。ここで、収率とは、得られるガラス焼結造粒体の重量の、用いられたガラス粉末重量に対する割合である。
固体粘結剤は、前記ガラス粉末の粒子同士を結合させ、焼成工程にて燃焼して消失し、燃焼により発生した燃焼ガスが内部から外部へと通過することによりガラス焼結造粒体に細径の開放気孔を形成させる固体物質である。この固体粘結剤としては、例えば寒梅粉、α化デンプン(馬鈴薯)、及びα化デンプン(タピオカ)等の澱粉、並びに布海苔、結晶セルロース、及び粉末セルロース等のセルロースを挙げることができる。これらはその一種単独を採用することができ、またこれらの二種以上を併用することもできる。
固体粘結剤はその平均粒径が5μm以上350μm以下であるのが好ましい。固体粘結剤の平均粒径が上記範囲内にあると、混練時にガラス粉末と良くなじんで均一で強固な混練物が得られるので、ガラス焼結造粒体の圧壊強度、吸水率および収率が大きくなるという利点がある。固体粘結剤の平均粒径は粒度分布測定装置により測定することができる。
また、前記固体粘結剤の配合量は、ガラス粉末に対して、1質量%以上10質量%以下の範囲内にあることが好ましい。固体粘結剤の配合量が前記範囲の下限値よりも少ないか上限値よりも多いと、ガラス焼結造粒体を好適に製造することができなくなることがある。
前記液体粘結剤は、固体粘結剤と同様に前記ガラス粉末の粒子同士を結合させ、希硝酸で希釈されて流動性を増加させ、固体粘結剤が取り残したガラス粉末の未結合部分を結合させる液体物質である。この液体粘結剤としては、コロイダルアルミナ、コロイダルシリカのいずれか1種、または両方の組み合わせからなることが好ましい。
この発明においては、前記液体粘結剤と固体粘着剤とを併用する。この固体粘結剤と液体粘結剤との併用により、ガラス焼結造粒体の圧壊強度、吸水率および収率がより大きくなるという利点がある。
また、液体粘結剤の配合量は、ガラス粉末に対して、1質量%以上10質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
希硝酸は、硝酸濃度が0.5〜1.5質量%の範囲内にある水溶液が好ましい。希硝酸は、ガラス粉末と粘結剤の結合を強化して強固な混練物を生成する機能を有し、ガラス焼結造粒体の吸水率および収率がより大きくなるという利点がある。なお、希硝酸の代わりに水を使用した場合には、収率が大幅に低下する。また硝酸以外の代表的無機酸である硫酸、塩酸では収率向上の機能はなく、さらに装置腐食等の問題があり、この発明の課題を解決することができない。前記希硝酸の配合量は、ガラス粉末仕込み原料中、25質量%以上60質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
また、ガラス粉末、固体粘結剤及び液体粘結剤に加えて焼消剤をさらに加えるのが好ましい。この焼消剤は、ガラス粉末同士を結合するバインダーの機能を有してはいないが、焼成工程にて発生する燃焼ガスにより開放気孔の生成を増加させるので、この発明の方法に焼消剤を使用すると得られるガラス焼結造粒体の吸水率が高くなる。前記焼消剤として、木粉、木炭粉、米粉、小麦粉、大麦粉、蕎麦粉、トウモロコシ粉、クルミ殻粉を挙げることができ、これらのいずれか1種、またはいずれか2種以上の組み合わせを配合することができる。また、焼消剤の配合量は、ガラス粉末、固体粘結剤及び液体粘結剤の合計に対して、3質量%以上15質量%以下の範囲内にあることが好ましい。焼消剤の配合量が15質量%以上では、圧壊強度が低下するため好ましくない。
この発明に係るガラス焼結造粒体の製造方法をさらに具体的に説明する。
図1に示されるように、この発明に係るガラス焼結造粒体の製造方法は、ガラス粉末、固体粘結剤、液体粘結剤、及び希硝酸を混練する工程を有する。この製造方法を実施するガラス焼結造粒体製造プラントは、ガラス粉末、固体粘結剤、液体粘結剤、及び希硝酸を混練する混練機と、前記混練物から成形物を成形する成形機と、前記成形物を焼成する焼成装置とを有している。
混練工程においては、仕込み原料S1を混練機P1により混練する。
混練に際して、ガラス粉末を構成するガラスの種類、ガラス粉末の粒子径、及びその配合量、固体粘結剤の種類、その粒子径、及びその配合量、液体粘結剤の配合量、希硝酸における硝酸の濃度、及び希硝酸の配合量、必要に応じて配合される焼消剤の種類及びその配合量については前記の通りである。
混練機としては、双腕型混練機(ニーダー)などを採用することができる。
混練温度は5℃以上50℃以下の範囲内に調節することが好ましい。また混練時間は10分以上25分以内の範囲内にあることが好ましい。混練温度と時間が前記範囲内にあると、ガラス粉末が粘結剤により強固に結合し、成形不良品が減少するため、ガラス焼結造粒体の圧壊強度、吸水率および収率が高くなるという利点がある。
この発明に係るガラス焼結造粒体の好適な製造方法においては、前記混練機で混練することにより得られる混練物をシート状に圧延するシート圧延工程を有する。
シート圧延工程においては、成形機P3に供給しやすくするために、シート圧延装置装置P2により混練物S2をシート状に圧延する。
圧延により形成されるシートの厚さは10mm以上30mm以下の範囲内にあることが好ましい。シートの厚さが前記範囲内にあると、成形物のロスが少なくなるという利点がある。
この発明に係るガラス焼結造粒体の好適な製造方法においては、シート圧延工程により得られるシート状の混練物を溝が形成された網目模様を有する成形物S3に成形する成形工程を有する。この成形物は粒子状をなす。
この成形工程では、シート状の混練物が溝ロールの溝に詰め込まれ、掻き取り刃で掻き取られる。掻き取られた混練物は、成形ロール上に落とされ、揉み板との間で揉まれて粒子状に成形される。掻き取られた混練物の量は、焼成後所定の粒子径となるように決定される。
成形ロールの表面には、回転軸の垂直方向に溝が形成されており、隣り合う溝の間に形成された表面の幅(溝と溝との間隔)は、0.20mm以上0.50mm以下の範囲内にあることが好ましい。また、溝の深さは0.25mm以上0.50mm以下の範囲内にあることが好ましい。また、溝の幅は0.25mm以上0.55mm以下の範囲内にあることが好ましい。溝間の表面の幅、溝の深さ、溝の幅が上記の範囲内にあると、ガラス焼結造粒体表面にきれいな網目模様の溝ができるという利点がある。
この発明に係るガラス焼結造粒体の好適な製造方法においては、前記成形工程で得られる粒子状の成形物を乾燥する乾燥工程を有する。
乾燥工程においては、自然乾燥および乾燥装置P4を用いる強制乾燥により、成形物S3を乾燥する。なお、自然乾燥は省略してもよい。
自然乾燥の場合、乾燥時間は、5時間以上24時間以内の範囲内とし、表面が乾いて白くなるまで乾燥するのが好ましい。
乾燥装置としては、バッチ式乾燥機(インキュベ−タ等)、連続式乾燥機(ベルトドライヤー等)などを採用することができる。
乾燥装置による乾燥温度は、60℃以上90℃以下の範囲内にあることが好ましい。また。乾燥装置による乾燥時間は0.5時間以上10時間以内の範囲内にあることが好ましい。乾燥装置による乾燥温度、乾燥時間が前記範囲内にあると、成形物の割れ、ひびが少なくなるため、焼成後の焼結造粒体の収率が高くなるという利点がある。
この発明に係るガラス焼結造粒体の好適な製造方法においては、前記乾燥工程で得られる乾燥粒子の粒度を揃える篩分工程を有する。篩分工程においては、成形時に発生した形状不良品を篩分装置P5により選り分ける。なお、この篩分工程は省略してもよい。
篩分装置としては、振動篩、トロンメルなどを採用することができる。篩網の目開きは、目標粒子径±5%となるように選定する。
この発明に係るガラス焼結造粒体の製造方法においては、乾燥粒子を焼成する焼成工程を有する。焼成工程においては、焼成装置P6により乾燥粒子を焼成する。
焼成装置としては、バッチ式焼成炉(マッフル炉等)、連続式焼成炉(キルン等)、トンネル炉などを採用することができる。
焼成装置による焼成温度は、350℃以上ガラスの軟化点以下の範囲内にあることが好ましい。350℃以下では、固体粘結剤、焼消剤等が残存し、充分な吸水率圧壊強度が得られない。また、ガラスの軟化点以上では、ガラスの軟化により細孔が塞がって充分な吸水率が得られない。
この発明に係るガラス焼結造粒体の製造方法における好適な焼成時間は、5時間以上20時間迄の範囲内にあることが好ましい。焼成時間が前記範囲内にあると、圧壊強度が大きくなり、収率が高くなるという利点がある。
この発明に係るガラス焼結造粒体の好適な製造方法においては、前記焼成工程で得られた粒子状のガラス焼結造粒体の粒子径を揃える篩分工程を有する。
篩分工程においては、焼成時に発生した破砕品等の形状不良品を篩分装置P7により選り分ける。
篩分装置としては、振動篩、トロンメルなどを採用することができる。篩網の目開きは、目標粒子径±5%となるように選定した。
かくして製造されるガラス焼結造粒体のガラス粉末からの収率は、85%以上98%以下の範囲内にある。この発明に係るガラス焼結造粒体の製造方法には、ガラス焼結造粒体の収率が前記範囲内にあるので、生産性を高められ、製造コストを下げられるという利点がある。
ガラス焼結造粒体の形状は、球形以外にも、円筒形、立方体などを採用することができる。このほかガラス焼結造粒体の形状としては、大型の成形物を破砕後篩分した破砕物形などを採用することができる。球形以外の形状の場合の成形機は、押出成形機等が採用される。
ガラス焼結造粒体の用途としては、高レベル放射性廃液の溶融固化原料以外にも、各種廃液の溶融固化原料として、さらには排水処理吸着剤などがある。
なお、この発明は上述の発明を実施するための形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
つぎに、この発明の実施例について具体的に説明する。ただし、この発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
ガラス焼結造粒体の評価方法について説明する。
「中心粒子径」
ガラスビーズを20粒分取し、その直径をノギスで測定して、中心値を求めた。
「吸水率」
JIS R 2205「耐火れんがの見掛気孔率・吸水率・比重の測定方法」により、吸水率(質量%)を測定した。
「細孔容積」
細孔容積(cc/g)は、水の比重が1であるので、前記吸水率(質量%)の1/100の値として細孔容積を算出する。
「比表面積」
比表面積測定装置((株)島津製作所製フローソープIII 2310)を用いて測定した。
「圧壊強度」
ガラス焼結造粒体を20粒分取し、その圧壊強度を測定して、平均値を求めた。測定装置は錠剤破壊強度測定装置(富山産業(株)製TH−203CP)を用いた。
「表面模様観察」
担体粒子の表面は、電子顕微鏡((株)キーエンス製VE−8800)を用いて観察した。
「表面積」
電子顕微鏡写真をベースに、網目模様の溝を特定し、ガラス焼結造粒体表面の凹凸面積を算出した。
「収率」
付着水を除いたガラス粉末の重量と、得られたガラス焼結造粒体の重量の比率から算出した。
ガラス焼結造粒体の作製、およびガラス焼結造粒体の評価結果について説明する。
(実施例1)
二酸化ケイ素(SiO)62.5質量%、酸化ホウ素(B)19.5質量%、アルミナ(Al)6.9質量%、酸化カルシウム(CaO)3.7質量%、酸化亜鉛(ZnO)3.7質量%、酸化リチウム(LiO)3.7質量%の組成成分からなるホウケイ酸ガラス原料A(中心粒子径:1.8mmφ以上2.8mmφ以下、軟化点:780℃、比表面積:0.00087m/g、吸水率:0.062%)を、ボールミル(FRITSH社製puluerisette型)で粉砕後、篩分して中心粒径5μmの粉末ガラスAを得た。
前記粉末ガラスA568g、固体粘結剤として粒子径150μmの寒梅粉130g、液体粘結剤としてコロイダルシリカ80g、1質量%濃度の希硝酸260g、焼消剤として木粉110gおよびクルミ殻粉5gを、双腕型混練機(ニーダー)を用いて、室温で15分間混練した。混練物をシート圧延装置により厚さ10mmのシート状に圧延した。製丸機において、シート状の混練物は溝ロールの溝に詰め込まれ、掻き取り刃で掻き取られる。掻き取られた混練物は成形ロール(表面材質:ハードクロムメッキ、直径:375mm、回転数:21rpm)上に落とされ、揉み板(表面材質:サージ生地、振動数:600回/分以上700回/分以下、振幅:成形後の粒子径の1.5倍に設定)との間で揉まれて成形される。掻き取られた混練物の量は、焼成後所定の粒子径となるように決定した。成形ロールの表面には、回転軸の垂直方向に溝が形成されている。隣り合う溝の間に形成された表面の幅は0.05mm、溝の深さは0.26mmであり、溝のピッチは0.30mmであった。
成形物は、室温で20時間かけて表面が白くなるまで自然乾燥し、その後インキュベータを用いて、100℃で10時間乾燥した。乾燥後、形状不良品を篩分装置により選り分けた。篩網の目開きは、目標粒子径±5%となるように選定した。選り分け後、マッフル炉(電熱ヒーター加熱式)を用い、650℃で8時間焼成した。その結果、球形のガラス焼結造粒体が得られた。
表1は、ガラス焼結造粒体の作製における仕込み原料、およびガラス焼結造粒体の評価結果を示したものである。中心粒子径は2.6mmであり、吸水率および比表面積は、ホウケイ酸ガラス原料Aの各1000倍、12000倍に増加しており、圧壊強度も大きな値を示している。ガラス焼結造粒体の表面には、溝が形成された網目模様が観察された。
また、収率も良好であった。
Figure 2012013438
(実施例2)
二酸化ケイ素(SiO)56.5質量%、酸化ホウ素(B)17.0質量%、アルミナ(Al)5.8質量%、酸化カルシウム(CaO)3.4質量%、酸化亜鉛(ZnO)3.4質量%、酸化リチウム(LiO)3.4質量%、酸化ナトリウム(NaO)10.5%の組成からなるホウケイ酸ガラス原料B(中心粒子径:1.8mmφ以上2.8mmφ以下、軟化点:618℃、比表面積:0.00091m/g、吸水率:0.047%)を、実施例1と同様に粉砕した後に、篩分して中心粒径15μmの粉末ガラスBを得た。
仕込み粉末ガラスを、実施例1のAから実施例2のBに変更し、焼成温度を600℃とした以外は、実施例1と同様の方法にてガラス焼結造粒体を作製した。結果を表1に示すが、吸水率および比表面積は、ホウケイ酸ガラス原料Bの各1100倍、3300倍に増加しており、圧壊強度も大きな値を示している。
図2は、ガラス焼結造粒体表面の電子顕微鏡写真である。ガラス焼結造粒体Bの表面積は、表面が平滑なホウケイ酸ガラス原料Bの表面積と対比して、網目模様の溝の部分が表面積を増大させる。ガラス焼結造粒体の表面を電子顕微鏡で観察し、表面積を計算した結果、溝の斜面部分の表面積が、平滑なホウケイ酸ガラス原料Bの表面積の35%に相当した。したがって、ガラス焼結造粒体の表面に網目模様の溝を形成することにより、表面積が35%増大する。
図3および4は、ガラス焼結造粒体をダイヤモンドカッターで切断した断面の電子顕微鏡写真である。図3に示される断面において形成された開口気孔型の細孔の一例を指摘すると、図3左下の焼結造粒体最端部から右上の造粒体内部へ向かって、粘結剤等の燃焼ガスにより生成した開口気孔型の細孔(黒色)がガラス部(白色)の間に多数認められる。
(実施例3)
仕込み粉末ガラスを、Aから市販品である旭硝子(株)製AGC粉末ガラス ASF1780(軟化点780℃、中心粒径5μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてガラス焼結造粒体を作製した。結果を表1に示す。
(実施例4)
廃液模擬物質として0.1mol/Lの濃度に調製された2価コバルト(硝酸コバルト)水溶液10mLと上記実施例1で製作したガラス焼結造粒体20gをビーカーの中で接触混合したところ、赤色のコバルト水溶液はほとんど、ガラス焼結造粒体に吸収され、造粒体は薄い赤色に変化した。これはガラス焼結造粒に吸水能力があることを示している。コバルト水溶液を吸い取り、表面は乾燥状態のガラス焼結造粒体を加熱すると水分がガラスから発生し、水分の蒸発後、ガラス造粒体が薄い青色に変色することが観察された。この現象は始め水溶液中で赤色のコバルトが、脱水して青色に変色したものである。肉眼観察によっても、金属塩水溶液がガラス焼結造粒体に吸収され、造粒体の中で脱水固化することが分かる。
(比較例1)
ガラス焼結造粒体の作製方法は、固体粘結剤を配合せず、かつ液体粘結剤としてコロイダルシリカ12質量%を用いたこと以外、実施例1と同様である。
その結果、圧壊強度は1.2kgf/粒であり、吸水率は7.9%であり、収率は60%であった。固体粘結剤を配合しなかったことにより、圧壊強度、吸水率および収率が大きく低下することが確認された。
(比較例2)
ガラス焼結造粒体の作製方法は、液体粘結剤を配合せず、かつ固体粘結剤として粒子径150μmの寒梅粉2質量%と粒子径150μmの粉末セルロース5質量%を用いたこと以外、実施例1と同様である。
その結果、圧壊強度は4.2kgf/粒であり、吸水率は8.8%であり、収率は62%であった。液体粘結剤を配合しなかったことにより、吸水率および収率が大きく低下することが確認された。
(比較例3)
ガラス焼結造粒体の作製方法は、希硝酸を配合せず、かつイオン交換水35質量%を用いたこと以外、実施例1と同様である。
その結果、圧壊強度は4.1kgf/粒であり、吸水率は9.4%であり、収率は20%であった。希硝酸を配合しなかったことにより、収率が大きく低下することが確認された。
(比較例4,5)
ガラス焼結造粒体の作製方法は、焼成温度を変化させた以外は、実施例1と同様である。
結果を表2に示すが、焼成温度が340℃では固体粘結剤、焼消剤等が残存し、圧壊強度が大幅に低下する。また、焼成温度が軟化点以上の800℃では、ガラス成分の軟化により細孔が塞がって充分な吸水率をえられない。
Figure 2012013438
S1 仕込み原料
S2 混練物
S3 成形物
S4 ガラス焼結造粒体
P1 混練機
P2 シート圧延装置
P3 成形機
P4 乾燥装置
P5 篩分装置
P6 焼成装置
P7 篩分装置

Claims (8)

  1. 廃液の溶媒を除去すると生成する成分を溶融ガラスで固化するために使用されるガラス焼結造粒体であって、
    軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスの粉末を焼結して成り、
    吸水率が10%以上80%以下の範囲にあり、
    圧壊強度が1.0kgf/粒以上20.0kgf/粒以下の範囲内にある
    ガラス焼結造粒体。
  2. 前記廃液が高レベル放射性廃液である前記請求項1に記載のガラス焼結造粒体。
  3. 前記ガラス焼結造粒体は、1.0mm以上30.0mm以下の範囲内にある
    請求項1又は2記載のガラス焼結造粒体。
  4. 前記ガラス焼結造粒体は、その比表面積が0.2m/g以上50m/g以下の範囲内にある前記請求項1から3までのいずれか一項に記載のガラス焼結造粒体。
  5. 前記ガラス焼結造粒体は、その細孔容積が0.1cc/g以上0.8cc/g以下である前記請求項1から4までのいずれか一項に記載のガラス焼結造粒体。
  6. 前記ガラス焼結造粒体は、その表面に溝を有して成る前記請求項1から5までのいずれか一項に記載のガラス焼結造粒体。
  7. 軟化点が500℃以上1200℃以下の範囲にあるガラスを製造する原料であるガラス粉末と、前記ガラス粉末の質量に対して固体粘結剤1質量%以上10質量%以下と、前記ガラス粉末の質量に対して液体粘結剤1質量%以上10質量%以下と、前記ガラス粉末、前記固体粘結剤及び前記液体粘結剤の合計に対して希硝酸25質量%以上60質量%以下とを含有する混練物を、350℃以上から前記ガラスの軟化点以下の温度範囲内にて焼結することを特徴とするガラス焼結造粒体の製造方法。
  8. 前記固体粘結剤が澱粉及び/又はセルロースであり、前記液体粘結剤がコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナである前記請求項6又は7に記載のガラス焼結造粒体の製造方法。
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