JP2012007424A - 屋上液体散布設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部の気候状況に応じて屋上において所定の位置に液体を散布する屋上液体散布設備を提供する。
【解決手段】液体供給管20には、液体を屋根面に沿う方向に散布するスリット状開口を有する散布口30が、所望の間隔で装着されている。冬季においては、屋根外縁に沿って屋根に液体を散布し、屋根の端部から所定の範囲の積雪40を消雪させ、屋根からの積雪落下を防止する。液体供給管20が長い場合には、内管と外管の間で熱交換される二重管を用いると好適である。太陽光発電パネルに対して、冬季に消雪させたり、夏季に温度低下させるために液体を散布することも可能である。また、屋根下空間に貯留槽を形成して、そこに夜間電力を活用して液体を揚げ、昼間時には小さな加圧ポンプにより、そこから液体を屋上散布すると好適である。外部環境を検知して、積雪、屋根・太陽光発電パネルの高温化、植栽部の乾燥状態に応じて散布が制御される。
【選択図】図1

Description

本発明は、外部の気候状況に応じて屋上において所定の場所に液体を散布する屋上液体散布設備に関する。
豪雪地帯においては、冬季に陸屋根形式の建物屋上に突き出したパラペットには、積もった雪が建物の外壁から外部にせり出す状態となり、その積雪が建物際の地上部を歩行する人に落下して危害を及ぼす可能性がある。また、主に住宅用途に用いられる傾斜屋根形式の建物についても、建物から水平方向に片持ち形式で突き出した軒の上に積雪し、その積雪の重量により軒の構造部材が破損される可能性がある。
これを防止するために、豪雪地帯においては、定期的に又は多くの雪が積もった場合に、屋根の上に人が上り、雪下ろし作業を強いられている。特に、学校校舎のような大規模の建物の場合には、パラペットから外方に突き出して積もった雪の除去に、子どもたちに校舎際の通路の通行を禁止して、多くの人の労力により、危険な作業環境の中で屋上の雪下ろしがされている。
こうしたことから、これまでも水を温水として温めて傾斜屋根の棟上から散水し、屋根沿いに流して積雪を融かす等の様々な技術が提案されている。ところが屋根の棟上から散水して積雪を融かした場合には、融けてシャーベット状態となった雪塊が屋根勾配に沿って滑って、屋根の軒先から地上に落下して地上の人に危険を及ぼす可能性があった。また、融けた雪塊が地上に落下せずに軒先で凍結した場合には、屋根上に融けた水を蓄えるくぼんだ水槽となり、そこに溜まった水が屋内に漏水被害をもたらし、すがもれ現象を引き起こす可能性もあった。
屋上の積雪の消雪設備としては、加温水や地下水を使用せず、貯水槽に雨水及び融雪水を溜め、この水を揚水ポンプにより屋根棟上の散水管に導き、雪が降り出した時には降雪センサーが検知して、これに連動する揚水ポンプが作動して散水が開始され、融雪水及び雨水は樋により貯水槽に流入される雨水による循環式の消雪設備が提案されている(特開2005-83180号公報)。
しかし、この技術によれば、外気温が低い場合には貯水槽に溜めた水が凍結して使えなくなり、気象情報を把握して予め外気温がマイナス7〜8℃近くまで下がる場合には、夜間降雪がなくても揚水ポンプを稼動しておくことが求められ、不便であった。また、棟上から屋根全面に散水するものであるため、融雪されてシャーベット状になった雪塊が、雪の滑り止めに引っかからない場合には、軒先から滑り落ち、軒の下や建物の近くを通行する人に危害を及ぼす可能性があった。
一方、化石燃料の使用の抑制のため、太陽光発電パネルの普及が進みつつあり、その最大限の発電能力の発揮が期待されている。しかし、太陽光発電パネルに積雪して光があたらない状態では、太陽光発電パネルは発電しない。積雪により光があたらなくなり、又は火山灰やばい煙等により太陽光発電パネル面が汚損することを防止する技術として散水機能付太陽電池モジュールの技術が開示されている(特開平9−92866号公報)。該技術は、太陽電池パネルを取り付けるための枠材を備えた太陽電池モジュールで、その枠材の内部に中空部を設け、該中空部に液体を注入する注入口と、前記太陽電池パネルの受光面に注入された液体を散水する散水用ノズル孔と、を形成したことを特徴とする散水機能付太陽電池モジュールに関するものである。
この技術による場合には、前記枠材は太陽電池パネルと一体に用いられ、外気温が低くなる状態では、枠内の水も凍結して散水できなくなるという問題があり、パネルに積もった雪だけを融雪しても、パネルから屋根に滑り落ちてシャーベット状態となった雪塊が直立して氷柱状態の氷の塊となり、パネルに影響が及ぶ可能性があった。
また、夏季の日射に太陽光発電パネルが照らされて高温となる場合には、その発電能力が低下してしまうことから、太陽光発電パネル面の高温化抑制対策が求められている。しかし、先の技術によって太陽電池パネルに散水すると、光発電が可能な昼間において、揚水に必要とする電気料金が、発電効率の向上による得られる電気料金を上回ってしまうために適用できないという問題があった。こうしたことから、低コストで太陽電池パネルの温度の上昇を抑制する技術の開発も課題となっている。
更に、夏季においては、建物の屋根は太陽の日射や風雨により厳しい外部環境に晒されている。屋根の高温化の影響が建物の内部に伝わり、建物内部の居住環境にも影響を及ぼすと共に、都市部においては、道路に蓄積された熱とともに、ヒートアイランド現象を引き起こし地域の生活環境にも影響を及ぼしている。道路に水を散水し、その気化による気化熱で道路の温度を低下させることは可能であるが、歩行者や車両に対する汚損防止や危険防止の観点から道路に散水することは困難である。そこで、これらの影響がない屋上に場所を限定して水を散布することも課題となる。
更に、近年では、建物内部の居住環境を向上すると共に空調負荷を低減させるため、ひいては地球環境保全のために屋上緑化も進められている。しかし、屋上においてスプリンクラーを使って広い範囲に散水すると、近隣の住民の洗濯物等を汚す可能性もあり、屋上の土や植物の枝葉に十分に灌水をすることができない。こうしたことから、一般的には乾燥に強い一部の地被植物により、小規模な屋上緑化がされるに留まっている。こうした屋上緑化部の植栽の枝葉や土壌部に場所を限定して水を散布することも課題となる。
特開2005−83180号公報 特開平9−92866号公報
屋上において、外部の気候状況に応じて所定の位置に液体を散布する屋上液体散布設備を提供する。屋上液体散布設備は、軒先から滑り落ち下方の人に危害を及ぼす場所等の積雪の消雪、夏季に高温となる太陽発電パネル部の高温化抑制、屋上緑化植栽部の植物涵養や、屋根全面の温度上昇を抑制するため、所定の場所に低コストで液体を散布させることを目的とする。
本発明の第1の発明は、建物の屋上に液体を散布する屋上液体散布設備であって、
屋上に配設される液体供給管と、前記液体供給管に前記液体を供給する加圧ポンプと、屋上における外部環境を検知する検知手段と、前記外部環境に応じて前記加圧ポンプの作動を制御する制御手段とを含み、前記液体は地中の熱が供給された液体であって、
前記液体供給管には、建物屋上において前記液体を散布するスリット状開口を有する散布口が所望の間隔で装着されていることを特徴としている屋上液体散布設備である。
屋上液体散布設備は、降雪、外気温の高温化、好天の継続等の屋上における外部環境を検知する検知手段を含んでいる。検知手段としては、降雪センサー、温度センサー等を含み、これらで検知された外部環境情報を制御手段に送信する。制御手段は、記憶部を含んだマイクロコンピュータからなり、そこに予め記憶されている設定条件と前記外部環境情報に応じて、加圧ポンプを作動させ、又は停止させるように機能する。
液体としては、地中の熱が供給され温度が安定している井戸水、温泉水や、建物内で使用された再利用可能な手洗い水や浴室の排水等の中水、雨水等が建物下の地下水層に蓄えられ、又は前記中水が地下を廻って、地中の熱が供給されて床下の土の温度と略同等の温度となった水が用いられる。これにより、冬季においては、液体を温める熱源設備を不要にして、対象部分の積雪が消雪可能である。
液体供給管にはスリット状開口を有する散布口が所望の間隔で形成されると共に、液体が広い範囲に拡散しないように散布されることにより、液体の使用量を節約させて、低コストで効率よく、所定の対象とする場所に液体を散布させ、それ以外の範囲に液体散布の影響を及ぼさない。
また、豪雪地帯では、融雪された水の温度が低くなり、低温下において縦樋を流れる過程で凍結することがある。縦樋の凍結によって、縦樋の破損や屋上に水が溜ることによる建物の被害を防止するため、縦樋下方には縦樋凍結防止ヒータが設けられている。しかし、消雪した後も縦樋に前記液体を継続して供給すれば、縦樋内の液体を凍らせることもない。これにより、豪雪地帯では縦樋内の下方に設けられる縦樋凍結防止ヒータも不要となり、それに必要な電力が節約でき、低コストで危険な建物屋根の外周に沿った範囲の積雪を消雪することができる。
更に、冬季の消雪に限らず、外部環境に応じて、夏季においては太陽光発電パネルや屋根面の高温化抑制のために所定の場所に水を散布し、また春や秋の中間期においては、他に影響が及ばないように屋上の緑化植栽部に限って、液肥を含んだ液体を散布することも可能である。
本発明の第2の発明は、前記第1の発明において、
前記屋上液体散布設備は、前記液体を貯留する地下水槽と、前記地下水槽に蓄えられている液体の量を検知する液体量検知手段とを含み、
前記地下水槽には所定量の前記液体が貯留され、
前記液体は井戸水を含むと共に建物内の生活用途に供給されて使用され、
前記制御手段は、前記液体量検知手段により検知された前記地下水槽内の前記液体が所定の範囲の量となるように前記井戸水を補充する、ことを特徴としている。
本発明においては、液体散布設備に地下水槽を含み、液体には井戸水を含んでいる。豪雪地帯では、冬季は渇水期にあたり井戸から揚水可能な水量は少なくなる。多量の雪が継続して降雪した場合に、多量の井戸水を連続して汲み上げて散水した場合には井戸が涸れ、井戸水を汲み上げることができなくなる。本発明における地下水槽は、所定の時間連続して、建物の屋上に散水可能な量の液体を貯留可能な容量の地下水槽である。
一方、地下水槽に前記液体が貯留されたまま使われない状態が継続すると、冬季には地表近くの温度低下の影響を受け前記液体の温度も低下する。そこで、地下水槽内の液体は、例えばトイレの洗浄水、掃除用水、運動場の砂ぼこり防止止め散水などの建物の生活用途に供給されて使用される。そして、その液体の使用量に応じた井戸水が補充され、水槽内の液体に地中の熱が供給された井戸水が補充される。
また降雪時には、地下水槽から屋上に液体が供給され、その液体の使用量に応じた井戸水が補充される。地下水槽には、所定時間の散布に対応できる量の液体が貯留されており、それが所定量より少なくなった場合に井戸水が汲み上げられることになるため、短時間の降雪で井戸が枯渇することもない。また、補充される液体は地中の熱が供給された井戸水なので、地下水槽内の液体の温度が略同一の温度に維持される。これにより、連続して所定の温度の液体散布が可能となる。
本発明の第3の発明は、前記第1又は前記第3の発明において、前記液体供給管は、建物の屋上の外周に沿って屋根面の上方に配設され、前記散布口は前記建物の内方側に向けて形成されていることを特徴とする屋上液体散布設備である。
液体供給管は、少なくとも地上において建物の人が通行する道路などの側の辺に沿って、建物屋根の上方に形成されている。また、液体散布口が前記建物の内方側に向けて形成されているので、冬季において雪塊を建物の内方側で消雪させ、パラペット上部や傾斜屋根の軒先部に積雪させることがなく、建物外周に沿った範囲に雪が積もり、その雪が地上に滑落することが防止される。これにより建物の道路や通路に面した側の地上部通路、学校の校舎沿いの通路等の範囲のみに限って、低コストで効果的に落雪による危害の防止が可能である。
本発明の第4の発明は、前記第1乃至前記第3の発明において、前記検知手段には、降雪を検知する降雪センサーを含み、
前記制御手段は、前記降雪センサーにより検知された降雪状態に応じて、
前記液体を散布するように加圧ポンプを作動させることを特徴とする屋上液体散布設備である。
検知手段には降雪状態を検知する降雪センサーが含まれており、冬季には、降雪と同時に液体を散布しはじめ、降雪が終わっても所定の時間は液体を散布するように加圧ポンプを作動制御して、所定範囲の積雪の防止と、縦樋内に流れる融雪水の凍結を防止することができる。また、降雪が終了した場合には、前記制御手段により、所定の時間が経過した後に液体散布を停止させ、次に液体散布が必要とされるまで配管内の液体を排除する。これにより、屋根の軒先近くに積雪されることを防止すると共に、液体供給管の液体が凍結して破裂することを防止できる。
本発明の第5の発明は、前記第1乃至第4の発明において、前記液体供給管は、金属製内管の外側に所定の間隔を空けて外管を外装させた二重管からなる液体供給管であり、
前記金属製内管の一端が先端が閉塞された前記外管内で開放され、前記外管と前記内管を流れる前記液体の方向が逆となり、前記内管から供給された前記液体が前記内管と前記外管の間の空間を戻りつつ、前記外管に装着された前記散布口から液体を散布する液体供給管である、ことを特徴とする屋上散水設備である。
前記液体供給管は、金属製内管の外側に所定の間隔を空けて外管を外装させた二重管からなる液体供給管であり、前記金属製内管の一端が、先端が閉塞された外管内で開放され、前記外管と前記内管との間の空間を流れる液体の方向が逆とされている。これにより、内管の流入口から流入された液体が内管の流出口から外管と内管の間の空間に流入され、前記空間に流入した液体は、内管内の液体と反対方向に向かって、内管に沿って流通される。
その流通過程で、内管を流れる液体と前記空間を流通される液体との間で、金属製の内管壁を介して熱交換される。外管と内管の間の空間へ流入した液体は、外管の外部の影響を受けながら、前記空間の流路の終端に対応する位置である内管の始端の位置に向かって流れる。冬季においては、前記空間を流れる液体は流通過程で、外部の影響を受け徐々に冷やされることになる。しかし、前記空間を流れる液体は、内管流路の始端側の温度低下が小さい液体の側に流れ、内管壁を介して熱交換され、前記空間の液体温度が高められることになり、前期空間流路の始端と終端との温度変化が緩和される。また、内管が熱伝導率の高い金属製の管であるため、熱交換が円滑に行われ、外管に形成された各々の散布口から散布される液体が略同等の温度となって散布される。なお、外管壁からの放熱を目的とはしていないので、外管の散布口を除く範囲を保温すると、より好適である。
これにより、建物が大規模で、例えば、学校の校舎のように水平方向に長い建物のパラペットに沿って、数十メートルにも及ぶ長い液体供給管が配設される場合であっても、前述のように各々の散布口から散布される液体が略均等な温度となり、厳寒の時期でも液体供給管の流出末端近くで管内の液体が凍結することがない。これにより、建物が大規模である場合であっても、液体供給管の長さを長くして、系統数を少なくできる。
また、液体供給管が長い場合であっても各々の散布口の近くに配設された縦樋に流れる融雪水の温度も略一定とすることが可能となり、散布を停止した後に、一部の縦樋のみに冷たい融雪水が流れ込み、その樋内で融雪水が凍ることを防止することができる。これにより、豪雪地帯において建物が長い場合であっても、縦樋の下部の縦樋内に設けられて大きな電力を必要とする縦樋凍結防止ヒータが不要となり、少ない電力で危険な建物沿いの積雪を消雪することができる。
本発明の第6の発明は、前記第1乃至前記第5の発明において、前記検知手段には、屋上の温度を検知する温度センサーを含み、
前記制御手段は、前記温度センサーにより検知されたセンサー設置場所の温度状態に応じて、
前記液体の散布を制御するように加圧ポンプを作動させることを特徴とする屋上液体散布設備である。
検知手段には屋上の温度を検知する温度センサーが含まれており、夏季に屋根の温度が所定の温度になったことが検知された場合には、前記制御手段により液体を散布するように加圧ポンプを作動制御させ、その液体の気化にともなう気化熱により屋根面の温度を低下させる。これにより、ヒートアイランド現象の軽減に寄与するとともに、建物の最上階の建物内空間の温度上昇を抑制し、省エネルギーを図りつつ最上階の生活環境を向上させることができる。また、太陽光発電パネルを設置した屋上では、その近傍に温度センサーを設け、その温度が所定の温度になったことが検知された場合には、前記制御手段により太陽光発電パネルに液体を散布して、その液体の気化にともなう気化熱により太陽光発電パネルの温度を低下させ、太陽光発電パネルの発電能力を維持する。
本発明の第7の発明は、前記第1乃至前記第6の発明において、前記屋上液体散布設備は、建物内に配設される液体貯留槽を備え、
前記液体貯留槽は、前記建物の屋根近傍の屋内側に配設されることを特徴とする屋上液体散布設備である。
前記土中の温度と略同等の温度となった液体は、屋根近傍の屋内側に設置された液体貯留槽に散布されるまでの間は貯留される。発電所の余剰電力として割安に提供されている夜間電力により揚程能力の大きい揚水ポンプを使用して、液体を前記液体貯留槽に予め貯留しておく。そして、散布が必要な条件となった場合には、屋根近傍の液体貯留槽から小さい電力消費の加圧ポンプで散布し、低コストで屋上に液体を散布することが可能となる。
殊に、夏の日射により高温化し発電能力が低下する太陽光発電パネルへの液体散布に関しては、小さい電力消費の加圧ポンプで散布して発電能力を回復させることができる。これにより、太陽光発電パネルの発電能力の回復により得られる電力と売電による収益が、消費電力と夜間電力の消費支出を上回り、太陽光発電設備の導入を促進させるという効果も期待できる。
また、屋内側に貯留槽があることにより、貯留槽内の液体が凍結することもない。更に、建物の火災時にはこの貯留槽内の液体を消火活動に利用することもできる。これを、屋根に密接させて形成した場合にあっては、夏場に屋根が高温になる場合であっても、その熱が居室上部の屋根内の液体に伝わり蓄熱され、居室内に熱気が直接に伝わることがない。熱を蓄えて温度が高くなった液体は、前記屋上液体散布設備により屋上に散布され、その気化熱により屋根の温度を低下させる。液体貯留槽には、屋上に散布された液体に替えて、土中と略同等の温度の液体が補充され、屋根裏空間の熱気と液体貯留槽との間で熱交換され、屋根裏空間内における熱気の充満が軽減される。これにより、最上階の居室の冷暖房負荷を低減することができる。
第1の発明によれば、冬季には低コストで効率よく、冬季の積雪が落下する可能性のある建物のパラペットや軒先等の建物沿いの屋根上の積雪を消雪することができ、豪雪地帯では縦樋内の下方に設けられる縦樋凍結防止ヒータも不要となり、建物沿いの地上通路の安全を確保し、建物に対する積雪被害を防ぐことが可能である。また、それ以外の季節には、外部環境に応じて所定の場所に液体を散布することが可能である。
第2の発明によれば、長時間降雪する場合であっても、それに応じた時間の井戸水を屋上に散布することが可能である。
第3の発明によれば、建物屋上の外周沿いの範囲に限り、低コストで効果的に液体を散布することが可能である。
第4の発明によれば、積雪時に対応して、屋根の軒先近くの積雪が防止が可能であり、建物沿いの地上通路に雪塊が落下することを防止することが可能である。
第5の発明によれば、建物が大規模となる場合であっても、液体供給管の系統数を少なくすることができる。
第6の発明によれば、ヒートアイランド現象の軽減に寄与し、建物の最上階の建物内空間の温度上昇を抑制し、省エネルギーを図りつつ最上階の生活環境を向上させることが可能である。
第7の発明によれば、夏季において、低コストで太陽光発電パネルの発電能力を回復させることが可能である。また、最上階の居室の冷暖房負荷を低減することが可能である。
消雪用の屋上液体散布設備についての概要を説明する説明図である(実施例1)。 建物の配置を説明する説明図である(実施例1)。 建物の屋上で水平方向に水が散布されている状態を説明する平面説明図である(実施例1)。 散布口の一部切欠き断面図である。 建物パラペットに液体供給管が取り付けられた状態を説明する断面図である(実施例1)。 二重管の終端の状態を説明する断面図である(実施例2)。 二重管の接続状態を説明する一部切欠き断面図である(実施例2)。 図7A‐A部断面図である(実施例2)。 陸屋根屋上に太陽光発電パネルを配列させた状態の説明図である(実施例3)。 住宅に適用した屋上液体散布設備の概要を説明する説明図である(実施例4)。 豪雪地の建物の屋上からせり出した積雪が落下する状態を説明する説明図である。 地下水槽水量確保処理のフローを説明するフロー図。 消雪処理のフローを説明するフロー図。 太陽光発電パネル温度低下処理のフローを説明するフロー図。 所定間隔毎の液体散布処理のフローを説明するフロー図。
(実施例1)
実施例1では、例えば学校校舎として使用される陸屋根形式の建物100のパラペット10から建物の外方に、積雪をせり出させないように消雪する屋上液体散布設備を、図1から図5、図11を参照して説明する。図1は、屋上の消雪用の屋上液体散布設備についての概要を説明する説明図である。図2は、建物の配置を説明する説明図である。図3は、建物のパラペットに沿って所定の間隔で配置された散布口30から水平方向に水が散布されている状態を説明する平面説明図である。図4は、液体供給管に取り付けられた状態の散布口を説明する一部切欠き断面図である。図5は、建物の外周に沿って立ち上がっているパラペットに液体供給管が取り付けられた状態を説明する断面図である。図11は、豪雪地の建物の屋上から張り出した積雪が落下する状態を説明する図である。
豪雪地帯においては、短い時間の間に多量の積雪があり、屋根に積もる積雪40は陸屋根形式の建物100のパラペット10から建物の外方にも突き出した状態となるまで積雪する(図11参照)。そして所定の量を超えた積雪41は、パラペットから建物際の地上部に落下する。建物が学校校舎である場合には、その1階には、人50が学校校舎100から運動場120に出入りする出入口101が設けられている(図2参照)。人50の出入りの安全を確保するため、雪が降った後には、学校関係者は、パラペット10に積もって突き出した積雪を地上に落として建物際を通行する人の安全を図っている。実施例1は、こうした積雪がせり出した状態となることを防止するためのものであり、建物のパラペット上部に建物の内方に向けて散水する屋上液体散布設備に関するものである。
実施例1で散布される液体は、井戸60から汲み上げられる井戸水である。以下、実施例1を図面を参照して説明する。実施例1では、学校建物の敷地に、井戸60とポンプ室110とが配置されている。井戸60から揚水ポンプ61により汲み上げられた井戸水は、ポンプ室の地下に形成され所定の容量の井戸水を貯留可能な地下水槽62に一旦貯留され、地下水槽62を介して井戸水が建物の床下を通して屋上に揚げられ散布される。なお、建物の規模が小さく使用する井戸水が少ない場合には、地下水槽を設ける必要はない。
豪雪地帯では、冬季は渇水期にあたり井戸水が流れる量は少なくなる。多量の雪が継続して降雪した場合に、多量の井戸水を汲み上げて連続して散水した場合には井戸が涸れ、井戸水を汲み上げることができなくなる。そこで、実施例1ではポンプ室の地下に地下水槽62を設け、約30m3の井戸水を貯留している。地下水槽62は、冬でも温度が安定している地下に位置しているため、地表面近傍の温度の低下による影響は受けるものの、井戸水の温度が大きく低下することがない。
そして、降雪に応じて屋上散水設備から井戸水が散水されて地下水槽62の水の貯留量が所定量より少なくなったことが、水量検知手段として設けられている電極棒からなる水位センサー63により検知された場合には、揚水ポンプ61が作動して井戸水が補充される。一方、降雪がなく地下水槽62の井戸水が使用されない状態で長時間経過した場合には、地下水槽62の井戸水の温度は地表面の温度の影響を受けて、やや温度低下することになる。
しかし、実施例1では、地下水槽62の建物内で使用するトイレの洗浄水等の生活用途の給水管64に、図示しない加圧ポンプにより供給され、地下水槽62の液体の貯留量を減少させる。そして、地下水槽の水量が所定量より少なくなったことが水位センサー63により検知された段階で、地中の熱が供給された井戸水を地下水槽62に補充し、地下水槽62内の井戸水の温度低下を抑制させる。
ここで、地下水槽の水量確保処理のフローを、図12に示すフロー図を参照して説明する。地下水槽の水量のチェックは、適宜の間隔で、例えば水の使用が少ない時期には1日間隔で、冬季の降雪時期には1時間間隔で、所定のタイミングで適宜実行される。
まず、ステップ100(以下、ステップをSとする。)では、地下水槽に所定の水量の井戸水があるか否かが検知される。水量の検知は、地下水槽内に配設されている水位センサー63により実行される。生活用途に井戸水が使用され所定量の水量がない場合にはS110に進み、井戸水を揚水する揚水ポンプ61が作動し、地下水槽に井戸水を補給しS120に進む。S100で、地下水槽に所定量の水量がある場合には、揚水ポンプを作動させないで水量確保処理のフローを終了する。S120では、例えば10分間隔で地下水槽の水量が所定の水量に達したか否かがチェックされ、所定の水量に達した場合にはS130で揚水ポンプを停止させて、水量確保処理を終了する。またS120で、所定の水量に達していない場合にはS110に戻り、揚水ポンプの作動を継続させる。
さて、建物の1階床下の温度は、夏季には約25℃、冬季には約15℃であるため、地下水槽62から送られてきた井戸水は、地中の熱が供給され、僅かに加温される。そして、縦管21を介して屋上に揚げられた水は、建物のパラペット10上部に配設された液体散布管20内を廻り、液体散布管20の上方に突出して、約3mの間隔で装着された複数の散布口30から散布される。
屋上近くの壁には降雪センサー80が設けられ、降雪状態の変化を検知した場合には制御盤81に、降雪開始及び降雪終了の情報を伝達する。制御盤81は、降雪開始の情報が伝達された場合には、加圧ポンプ70を作動させる制御手段として機能する。加圧ポンプ70の作動により加圧されて、屋上の液体供給管20に流通された井戸水は、散布口30から建物の内方に向けて略水平方向に、半径1.5m〜2.0mの範囲の半円の範囲103に勢いよく噴出される(図3参照)。
降雪が終了したことが降雪センサーにより検知された場合には、制御手段は、所定の時間を経過してから加圧ポンプ70の作動を停止させる。すると、液体供給管の加圧状態が解除されることによりドレンバルブ34が開放され、ドレンバルブ34から液体供給管20内に空気が流入されて、液体供給管20と縦管21内に残留していた井戸水は三方弁71から地下水槽62に戻され、液体供給管内20の液体が排除される。
ここで、降雪に対応して実行される消雪処理のフローを図13を参照して説明する。図13では、液体としているが、実施例1では、液体は井戸水として説明する。まず、前記降雪センサー80により、降雪されたことが検知された場合(S200)には、S210で、前記屋上散水設備により井戸水が散布される。そして液体散布開始後所定時間、例えば1時間が経過していない場合には、S240に進む。S240にて、降雪が終了したと判定された場合には、更にS250にて降雪が終了して所定時間、例えば1時間経過したか否かが判定され、1時間が経過している場合にはS260に進み井戸水の散布が終了する。
しかしS220で液体散布開始後1時間経過した場合には、前記した水量確保処理が実行され、地下水槽に井戸水が補充される。また、S240にて、降雪センサーにより降雪が終了していないと判定された場合には、S210に戻り屋上において井戸水の散布を継続する。またS240にて、降雪が終了したと判定された場合であっても、降雪が終了して前記時間が経過していない場合には、縦樋に井戸水が流れるまで余裕時間として前記所定時間の間、例えば1時間が経過するまでS250にて井戸水の散布が継続される。S260にて井戸水の散布が終了して、S270では、次の降雪に備えて、地下水槽の水量確保処理がされ消雪処理が終了する。
以下、図4及び図5を参照して、詳細に説明する。液体供給管20には金属管が使用され、屈曲継手、T字型の継手により直線状の金属管が接続され、建物の外周に沿う形状の液体供給管が構成され、井戸60から揚水ポンプ61によって汲み上げた井戸水を、一旦地下水槽62に蓄えてから、加圧ポンプ70により屋上に流通させる。加圧ポンプ70としては1.5KWの出力の加圧給水ポンプユニットが使用される。
建物の屋上外周に立ち上がっている鉄筋コンクリート構造の立ち上がり部11には、その上部に金属製カバー12が被せられ、それを貫通して配管受け支柱13が立ち上がっている。その配管受け支柱13には上方から側面の上部を半円弧状に切り欠いた液体供給管受け部14が被され固定されている。液体供給管受け部14には、その半円弧状の形状に整合するようにあてられた板状のゴム製部材15を介して液体供給管20が載せられ、その液体供給管20を帯状金属部材16が抱持して、その帯状金属部材16の垂れ下がり部17が、前記液体供給管受け部14にビス止め18されて固定される(図5参照)。
水平に延びる液体供給管20は、約3.0mの長さで接続され、その接続部は図示しない水密シールを介して管継手22にねじ込まれて接続される。管継手22の側面の曲面部には、内側に螺旋溝を形成した筒状部23が形成され、筒部が管継手の内外に開放されている。散布口30は該筒状部23に整合して、図示しない水密シールを介してねじ込まれて接続される。
また、液体供給管30は、建物の隅部102などでは、屈曲継手24により向きを変えられてパラペット上に配設されるとともに、約50m間隔ごとにフレキシブルジョイント25を介して接続され、熱膨張や熱収縮による配管の長さの変化に対応される(図3参照)。建物100の規模が大きく、消雪対象の建物部分の長さが長くなる場合には、一系統の液体供給管20の長さを、その始端と末端における井戸水の温度変化が所定の範囲に留まる長さとし、複数系統の液体供給管を配設するようにして建物の周囲を囲うようにすればよい。
散布口30は、上方が閉じられた金属製の円筒管であり、その側面上方の片側に高さ1.5mmの横長形状のスリット状開口31が形成されている。前記筒状部23に接続された散布口30には、継手部22を介して液体供給管20から供給された井戸水が流通されて、前記スリット状開口31から散布される。液体供給管20の始端側と末端側では、液体供給管20に沿って設けられている複数の散布口30から水が散布されるため、各々の筒状部22における圧力が変化することがある。各筒状部の圧力が変化しても、各々の前記スリット状開口31の圧力が一定となるように、流量調整ネジ32で前記散布口の液体通路33の液体通過面積を調整して、各々の散布口30における圧力が一定となるように調整される。
各々の散布口30から散布された井戸水は、建物の屋上パラペット10に沿って建物内方側において略半円状の範囲103に散布され、各々の散布範囲がつながるように配置されているため(図3参照)、建物のパラペット10から外方に突出して雪が積もることがなく、建物周囲の地上部の安全性が確保される(図11参照)。
(実施例2)
実施例2では、前記液体供給管20を二重管とした場合の実施例を、図6〜図8を参照して説明する。図6は、二重管の終端の状態を説明する断面図である。図7は、二重管の接続状態を説明する一部切欠き断面図である。図8は、図7A−A部断面図である。実施例2は、実施例1の屋上のパラペットに沿って配設された液体供給管が二重管となることに関することを除き、他の構成は同様であるので、同一の構成部分は図面に同一の符号を付して、その説明を省略する。
二重管20aは、金属製液体供給管を外管26として、側壁が略蛇腹形状となった金属製のフレキシブルチューブ管を内管27として、外管の内部に内管を抱持して形成される。井戸から加圧ポンプ61により供給された井戸水は、まず内管27に流通され、内管27の軸に沿って、内管27の開放された終端に至り、その終端から末端がキャップ28で閉塞された外管26の中に流入する(図6参照)。
外管に流入した井戸水は、外管と内管の間の空間26aを内管内の流れの方向とは、逆方向に流れる(図7参照)。内管27は金属製の管であるため、内管27内を流れる液体と、外管と内管の間の空間26aを流れる液体とで温度差がある場合には、熱交換が行われ、その温度差が縮小する。また、内管27が略蛇腹形状となった金属製のフレキシブルチューブ管であるため、内管27内を流れる液体と、外管と内管の間の空間26aとを流れる液体の接触面積が大きくなり、熱交換が効果的に行われる。
外管26は、実施例1と同様に所定の間隔で管継手22位置で接続され、その管継手22には散布口30が装着されている。外管26には前記管継手22とは異なる位置に外管の側方に突き出してフランジ部29が形成されている。隣り合う外管26はパッキング90を介して、向かい合うフランジ部29a,29bがボルト91によりフランジ接合されて、連続した流通路が形成される。内管27は、外管のフランジ接合位置の近傍の位置で、スリーブ具92を介して接続される。外管のフランジ接合部には、内管位置保持具93が内管27に当接するように挟持される。
スリーブ具92は円筒管であって、その円筒管軸に交差する方向に、円筒管の略中央外側にフランジ94が形成された薄板からなる円筒管であり、その外径が前記内管の内径に整合する直径の管である。二つの内管27a,27bの接続の手順は、被接続側の内管27aの内方にスリーブ具92の円筒管を挿入して、内管27aから突き出したスリーブ具92の反対の円筒部に、接続する側の内管27bを外挿して接続させるようにする。
内管位置保持具93は、内管27を外管の軸に沿って略中央の位置に保持する保持具であって、接続される2つの外管29a,29bのフランジに挟まれて、フレキシブルチューブ管の蛇腹状側壁の凹部27cに当接される。内管位置保持具93は、内管と外管の間の空間26aを流通する井戸水の抵抗が大きくならないように、金属製薄板を型抜きされた細幅の材料からなり、内管をその周囲の三方向から保持している。地下水槽水量確保処理のフローと、消雪処理のフローは実施例1と同様であるので省略する。
(実施例3)
実施例3は、省電力にして、屋上の太陽光発電パネル84に散水して、冬季には太陽光発電パネル上の雪を消雪させ、夏季には太陽光発電パネルの発電能力を回復させる屋上液体散布設備を図9を参照して説明する。図9は、陸屋根104の上に太陽光発電パネル84を配列させた状態の説明図である。実施例3の場合も、液体としては井戸から揚水した井戸水を使用する。実施例3では、陸屋根式鉄筋コンクリート構造の屋根を二重のコンクリート板104a,104bで形成して二重スラブとして、その間に水槽72を設けて、その水槽72を介して屋上の太陽光発電パネル84に井戸水を散水する実施例である。
実施例3は、実施例2の二重管26と、水槽72近傍には小型の加圧ポンプ73と、地面近傍には大型の揚水ポンプを兼ねた加圧ホンプ70と、屋上には温度センサー83と、が備えられ、それらが制御手段81により制御されて、屋上の温度条件や降雪条件に応じて建物の屋根の上に配置された太陽光発電パネル84に散水されるものである。二重スラブ104a,104bの間に形成される水槽72には、発電所の余剰電力を活用するため割安な料金設定がされる夜間電力を使用して、大容量の加圧ポンプ70によって井戸水が汲み上げられる。
まず、夏季には、屋根の温度が55℃を超えたことを温度センサー83が検知した場合に、制御手段81により屋根裏の小型の加圧ポンプ73が作動され、太陽光発電パネル84と屋根に向けて水槽72の水が散布口30のスリット状開口31から散布される。太陽光発電パネル84と屋根への散水によって、太陽光発電パネル84の周辺の屋根の温度が55℃より低くなった場合には水槽72の水の散布が停止される。散布された水は、その気化熱により太陽光発電パネル84の温度を低下させ、太陽光発電パネル84は温度上昇により低下していた発電能力を回復させる。二重スラブ内の水槽72の井戸水の水量が所定の水量より少なくなった場合には、前記大型の揚水ポンプを兼ねた加圧ポンプ70により、水槽72内に井戸60から井戸水が供給される。
ここで、太陽光発電パネル温度低下処理のフローを図14を参照して説明する。太陽光発電パネル温度低下処理は、例えば30分間隔で実行される。S300にて、屋上に設置されている温度センサー83が屋根の温度が55℃を超えていると検知した場合には、S310にて所定時間、例えば15分間の間、加圧ポンプが作動され、太陽光発電パネル84に井戸水が散布される。それに伴って屋根の温度が55℃より低くなったと、前記温度センサーが検知した場合にはS330で加圧ポンプの作動を停止させ、井戸水の散布を停止する。S320にて、井戸水の所定時間の散布によっても屋根温度が55℃以上である場合には、S310に戻り、更に前記時間の間、井戸水が散布される。S330の加圧ポンプの停止後、S340に進み二重スラブ内水槽の水量確保処理が実行され、パネル温度低下処理が終了する。二重スラブ内の水量確保処理は、前述の地下水槽水量確保処理と同様のフローで処理される。
ここで、二重スラブ内の水槽72は、コンクリート構造体を防水することにより形成される。二重スラブの日射があたる外側のコンクリート温度が上昇しても、その下に熱容量の大きな水が水槽72内に蓄えられているため二重スラブの下の屋内側105には、屋根の熱気が伝わりにくくなるという効果もある。一方、水量に応じて荷重が増大して建物の過重負荷が増大する。しかし水がその熱容量により屋根からの熱を蓄えるため、従来技術によれば屋上の防水材を押さえると共に、その熱容量により室内への熱を遮熱するために、屋根板の上に重ねて形成されていた厚さ約20cmの押さえコンクリート(図省略)が削減でき、全体としては建物の荷重負荷を増大させない。
次に、冬季には、降雪センサー80が降雪を検知した場合には、太陽光発電パネル84に向けて水槽72の水がスリット状の散布口から散布される。降雪が終了してから所定の設定時間が経過した時点で水の散布を停止する。散布口に至る屋上液体供給管26は前記二重管で形成されているため、内管を流れる水と、外管と内管の間の空間の流れる水の間で熱交換され、管内の水が凍ることなく、また屋上液体供給管の始端側と終端側の散布口の温度が略同じになり、太陽光発電パネル84に均等に水を散布することができ、低コストにして、偏りなく太陽光発電パネル84の雪を消雪することができる。
(実施例4)
実施例4では、図10を参照して、木造住宅200の傾斜屋根に設置した実施例を簡単に説明する。図10は、住宅に適用した屋上液体散布設備の概要を説明する説明図である。実施例4では、屋根に散布する液体は井戸水の他に、住宅内で発生する浴槽201の余り水や手洗い水等の中水も利用する。住宅200内で発生した前記中水は、住宅の床下の液体貯留槽202に一時的に貯留され、その液体貯留槽202から揚水・加圧ポンプ74により液体供給管に中水が供給される。そして、制御手段81の制御により、その液体貯留槽202の中水が空となった場合には、井戸60から井戸水が汲み上げられるように制御される。これにより井戸水の使用を抑制し、水資源を有効に利用することができる。
液体貯留槽202は地中に埋設して形成されるため、地中の熱が供給され、液体貯留槽202内の中水の温度は、15℃〜25℃の温度に維持される。液体供給管20は、住宅の壁や軒205に固定されたブラケット203に支持され、散布口30から液体が住宅の屋根に沿う方向に散布される。降雪センサー80と制御手段81による、降雪状態に応じた液体散布の作用は前記した実施例1と同様であるので、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
規模の小さな住宅程度であれば、液体供給管20を二重管としなくても、軒先から張り出す積雪を有効に消雪することができる。また、屋根上への液体の散布により、軒先の雪を消雪させても、その上部の雪には散布の影響は及ばないので、液体の散布対象外の範囲には雪205が積もるが、豪雪地帯の屋根には雪の滑り止め部204が形成されているため、融けていない雪205が下方に滑ってくることがない。これにより、建物近くの地上部を歩行する人の安全が確保されると共に、軒先部分に積もった雪の重量により軒先部分が折れて破損するという建物被害を防ぐことができる。なお、消雪させない場合における積雪206を破線で表示した。
(その他の実施例)
・上記の実施例は、屋上に散布される液体は、主に井戸水であるとして説明したが、井戸水に限定されるわけではなく、例えば実施例4に示したように建物内の浴槽等の水の中水であってもよいし、雨水であってもよい。また、上水であってもよいが、低コストで融雪するためには井戸水を使用するのが好適である。
・上記の実施例では、散布口は液体供給管に直立させた筒体の側方から液体を散布させることとしたが、液体供給管から垂下させた散布管から側方に散布してもよい。更に、液体供給管の側面に、水平方向に突き出して散布口30を形成して、その先端部に水平スリット状開口を設けてもよい。
・上記の実施例では、液体供給管は、耐久性が高い金属管が好適であるが、ライニング鋼管であってもよいし、その外部を保護した樹脂管としてもよく、特に材質が限定されるわけではない。
・上記の実施例では、実施例1は冬季用として説明したが、各実施例共に夏季と冬季兼用の屋上液体散布設備としてもよいことは勿論のことである。
・また、所定の間隔で散布口を形成させた液体供給管を、都市部の建物の屋根全面に並べて、液体を屋根全面に散布して気化させて、その気化熱により屋根温度を低下させ、ヒートアイランド現象の解消に活用することもできる。この場合の所定間隔毎の液体散布処理フローを図15を参照して、簡単に説明しておく。まず、液体を散布した時刻を記憶させ、例えばS400にて、最近の散布時刻より所定期間例えば2時間の間液体の散布がない時間が継続した場合には、S411にて、所定時間例えば30分間加圧ポンプを作動させ、屋上に液体を散布させる。液体散布後はS420に進み、前記同様にS420にて地下水槽又は屋根近傍の水槽の水量を確保して液体散布処理を終了する。
・また、前記の実施例では液体は水としていたが、本発明による液体の散布範囲は限定されるため、液体肥料を混合させた液体を、植栽の枝葉に散布することとしてもよい。この場合においては、図15におけるS400の所定期間を例えば3日間のように長期にすればよい。
・また、前記の揚水・加圧ポンプの圧力を変化させて、液体散布量と散布範囲を調整することにしてもよい。
・前記実施例2では、内管を熱交換効率が最も高いフレキシブルチューブ管で説明したが、これに替えて単なる金属管としてもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100…陸屋根形式の建物、101…出入口、103…散布範囲、104…陸屋根、
104a,104b…コンクリート板、105…二重スラブ内下の屋内側空間、
110…ポンプ室、120…運動場、
200…木造住宅、201…浴槽、202…液体貯留槽、203…ブラケット、
204…雪の滑り止め部、205…積雪、206…消雪されなかった場合の積雪、
10…パラペット、11…立ち上がり部、12…金属製カバー、13…配管受け支柱、
14…液体供給管受け部、15…板状ゴム製部材、16…帯状金属部材、
17…垂れ下がり部、18…ビス止め、
20…屋上液体供給管、20a…二重管、21…縦管、22…管継手、23…筒状部、
24…屈曲継手、25…フレキシブルジョイント、26…外管、27…内管、
27a,27b…内管、27c…凹部、28…キャップ、
26a…外管と内管の間の空間、29…フランジ部、29a,29b…フランジ部、
30…散布口、31…スリット状開口、32…流量調整ネジ、33…液体通路、
34…ドレンバルブ、40…積雪、50…人、60…井戸、61…揚水ポンプ、
62…地下水槽、63…水位センサー、64…生活用途給水管、
70…加圧ポンプ、71…三方弁、72…水槽、73…小型加圧ポンプ、
80…降雪センサー、81…制御盤、83…温度センサー、84…太陽光発電パネル、
90…パッキング、91…ボルト、92…スリーブ具、93…内管位置保持具、
94…フランジ

Claims (7)

  1. 建物の屋上に液体を散布する屋上液体散布設備であって、
    屋上に配設される液体供給管と、前記液体供給管に前記液体を供給する加圧ポンプと、屋上における外部環境を検知する検知手段と、前記外部環境に応じて前記加圧ポンプの作動を制御する制御手段とを含み、
    前記液体は地中の熱が供給された液体であって、
    前記液体供給管には、建物屋上において前記液体を散布するスリット状開口を有する散布口が所望の間隔で装着されている、
    ことを特徴としている屋上液体散布設備。
  2. 前記屋上液体散布設備は、前記液体を貯留する地下水槽と、前記地下水槽に蓄えられている液体の量を検知する液体量検知手段とを含み、
    前記地下水槽には所定量の前記液体が貯留され、
    前記液体は井戸水を含むと共に建物内の生活用途に供給されて使用され、
    前記制御手段は、前記液体量検知手段により検知された前記地下水槽内の前記液体が所定の範囲の量となるように前記井戸水を補充する、
    ことを特徴としている請求項1に記載の屋上液体散布設備。
  3. 前記液体供給管は、建物の屋上の外周に沿って屋根面の上方に配設され、前記散布口は前記建物の内方側に向けて形成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋上液体散布設備。
  4. 前記検知手段には、降雪を検知する降雪センサーを含み、
    前記制御手段は、前記降雪センサーにより検知された降雪状態に応じて、
    前記液体を散布するように前記加圧ポンプを作動させる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の屋上液体散布設備。
  5. 前記液体供給管は、金属製内管の外側に所定の間隔を空けて外管を外装させた二重管からなる液体供給管であり、
    前記金属製内管の一端が先端が閉塞された前記外管内で開放され、
    前記外管と前記内管を流れる前記液体の方向が逆となり、前記内管から供給された前記液体が前記内管と前記外管の間の空間を戻りつつ、前記外管に装着された前記散布口から液体を散布する液体供給管である、
    ことを特徴とする請求項1乃至又は請求項4のいずれか1項に記載の屋上液体散布設備。
  6. 前記検知手段には、屋上の温度を検知する温度センサーを含み、
    前記制御手段は、前記温度センサーにより検知されたセンサー設置場所の温度状態に応じて、
    前記液体の散布を制御するように前記加圧ポンプを作動させる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の屋上液体散布設備。
  7. 前記屋上液体散布設備は、前記建物内に配設される液体貯留槽を備え、
    前記液体貯留槽は、屋根近傍の前記建物の屋内側に配設される、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の屋上液体散布設備。
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